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日本と中東の男女格差はどちらが深刻か(1)〜女性実業家「イスラムが女性を家庭に縛ると解釈するのは誤っている」と/川上泰徳
http://www.asyura2.com/16/kokusai16/msg/102.html
投稿者 仁王像 日時 2016 年 11 月 03 日 07:02:02: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc
 

日本と中東の男女格差はどちらが深刻か(1)/川上泰徳
2016年11月02日(水)
http://www.newsweekjapan.jp/kawakami/2016/11/post-23_1.php

<男女格差ランキングで、日本は144カ国中111位。「G7最下位」と報じられたが、むしろ「中東レベル」と言うべきだ。中東といえば、欧米から「女性差別」と批判されるイスラム教の国々だが、実はそれらの国々よりも日本のほうが深刻かもしれない>

ダボス会議で知られる世界経済フォーラム(WEF)が10月下旬に各国の「男女格差(ジェンダーギャップ)」を比較した今年の報告書を発表し、日本は世界144カ国中111位だった。朝日新聞は「主要7カ国(G7)で最下位」などという見出しで報じた。144位までのランキングを見れば、110位以下では中東の主だった国々16カ国が並んでいる。これを見る限り、日本の男女格差は「G7最下位」どころではなく、中東レベルである。

「中東レベル」というと、中東で男女格差が広いのは、欧米からは「女性差別」と批判されるイスラムという宗教が理由と思うかもしれない。しかし、一口に中東と言っても、国によってイスラムの厳格さの度合いにはかなりの違いがある。伝統的な王制・首長制の湾岸諸国ではアルコール禁止など厳格なイスラムが実施されている印象だが、エジプトやシリア、レバノンという共和制では、女性参政権もあり、アルコールも売られている。イスラムが男女格差を広げる要因ならば、イスラム色が薄い国の方が当然、男女格差が少ないと思うかもしれないが、実はそうとは言えない。

【参考記事】フランス警官、イスラム女性にブルキニを「脱げ」

 カタール(119位)、アラブ首長国連邦(UAE、124位)、クウェート(128位)など湾岸諸国が、エジプト(132位)やレバノン(135位)よりも男女格差が少ないという結果である。シリアにいたっては、最下位に近い142位である。

 さらにイラン(139位)やサウジアラビア(141位)という厳格な「イスラム体制」の国が、シリア、イエメン(144位)よりも男女格差が少ないという、意外な結果も出ている。これを考えると、男女格差の拡大には、イスラムではなく、戦争や治安の悪化がかなり影響しているのではないかという推測もできる。

 内戦や紛争が広がる中東にあって、湾岸諸国はまだ比較的平静を保っている。戦争が起こったり、軍事クーデターがあったりという暴力が吹き荒れる状況では、むき出しの力の論理という「男性的価値」で社会が動き、腕力では劣る女性が結果的に排除され、男女格差が開くという仮説が成り立つかもしれない。

 WEFの男女格差の指標は、朝日新聞によると、「経済活動への参加と機会」「政治への参加」「教育」「健康と生存率」の4分野の計14の項目で、男女平等の度合いを指数化して順位を決める、という。日本の男女格差を4分野ごとに見てみると、「経済活動への参加と機会」(116位)、「政治への参加」(103位)「教育」(76位)、「健康と生存率」(40位)という大きなばらつきがある。日本の女性は、教育でも健康でも男性とあまり差がないが、政治や経済からは露骨に排除されているという特殊な状況が浮き彫りになっている。

【参考記事】女性の半数が「夫は外、妻は家庭」と思っているのに、一億総活躍をどう実現するのか

 私はこの報告書について、ツイッターで「日本の男女格差は中東レベル」とつぶやいたところ、元「一部上場企業の執行役員」と名乗る人から、「利益を追求する企業にとって女性はハッキリ戦力ダウンになり企業同士がしのぎを削っている時、致命傷になりかねない。それが企業現場の現実であり本音」という反応があった。

 まさにこれが日本の企業の役員の「本音」なのだろう。こうして日本の企業で女性が排除され、「経済活動への参加と機会」(116位)という結果になっているわけだ。興味深いのは、この元「一部上場企業の執行役員」の反応の中に、「戦力ダウン」という言葉が出てくることだ。社員について「新戦力」「即戦力」という呼び方もあり、まさに「企業戦士」の発想であり、企業は「軍隊」となり、企業の競争は「戦争」というアナロジーとなる。中東では実際に戦争状態が広がっているために女性は排除されているのではないかと書いたが、日本の企業から女性が排除されるのは、日本社会、特に企業が「戦争」マインドという男性的価値で動いているからかもしれない。

日本も中東も責任ある地位は圧倒的に男性だが...

 長くなったが、以上は前置きである。本論は、日本とともに男女格差が世界最下位レベルの中東諸国でのイスラムと女性の社会参加について考えてみたい。

 私は新聞社で長年、中東特派員・専門記者として働いた中で、できるだけ、イスラム社会の女性たちに話を聞こうと思った。それは、私が新聞社に入社して6年目から3年半、家庭面の記者として働き、その間、主な取材相手が女性だったという若いころの記者経験がもとになっている。働きながら、家事を行い、子育てをし、地域活動を支えるという女性たちを取材し、女性の立場から社会を見ることで、日本社会の実相や歪みが見えてくるという経験だった。

 男性中心社会の日本では、官民の様々な場面で、新聞記者として取材する時、責任あるポストにいる相手はかなりの割合で男性となる。逆に家庭や暮らしでの男性の存在は薄い。その意味では、家庭面の記者というのは、まさに男性中心の世界から、女性中心の世界に移ったような体験だった。男女雇用機会均等法の施行(1986年)も働く女性の立場から取材し、これで日本の労働状況も画期的に変わるかもしれない、という期待を抱いた。しかし、それから30年たって、「経済活動への参加と機会」(116位)という数字を突き付けられているのである。

 男性中心社会という意味では、中東のイスラム社会も似ている。だからこそ、女性たちに話を聞くことで、社会の実相が見えてくるということも、日本での取材と通じるものがある。イスラム世界では政治や経済、行政で責任ある地位に立つのは日本と同様に圧倒的に男性が多いが、イスラムが宗教として強い影響力を維持しているのは、人々の日々の暮らしのルールとして食い込んでいるためである。

 家庭や暮らしを支えているのは女性たちであり、イスラム社会を支えているのは女性たちである。しかし、イスラム世界の女性たちの中にも、政治や経済、社会活動で指導的な立場に立つ人たちがいて、彼女らに話を聞くと、男性が社会の表舞台に立ち、女性は家庭を支えるという「役割分担」をよしとしているわけではない。

 トルコでエルドアン大統領が率いるイスラム系政党「公正発展党」の女性支持者で、父親が経営する業務用アイロンメーカーの輸出入業務を担当する女性実業家ムトル・アルカンさんは「イスラムが女性を家庭に縛ると解釈するのは誤っている」と語った。イスラムの預言者であり、開祖のムハンマドの妻ハディージャについて「彼女は、メッカで隊商貿易を行う女性であり、ビジネス・ウーマンでした」と続けた。

 90年代にイスタンブール市長だったエルドアン氏は、イスラム系政党の若手指導者だったが、「家族支援」を掲げ、女性の運動員が貧困家族を訪問して、貧困救済を実施することで草の根的に支持を広げた。イスラム世界では男性が他人の家庭を訪ねて、女性たちの相談に乗ることはできない。女性であれば家庭訪問をして、妻たちを支援することができる。エルドアン氏はイスタンブール市長になると、家族支援センターを開設して、女性相談員が貧困家庭を訪問するシステムを市の事業として導入した。

「文化が変わるには時間がかかる」と語った女性医師

 イスラム系組織で女性たちが慈善事業の中心となるのはエジプトでも同様である。2011年の「アラブの春」でエジプトのムバラク体制が倒れて、同年末に行われた議会選挙で、イスラム系政党の「自由公正党」が4割以上の議席を獲得して第1党になった。党の母体は穏健派イスラム組織のムスリム同胞団であるが、その活動を支えていたのは、草の根的な貧困救済活動であり、その活動を担ったのは女性たちだった。

 私はムスリム同胞団の取材をするなかで、カイロのギザ地区で「家族支援協会」という組織を主催しているアッザ・ガルフさんという女性社会運動家を知り、度々、取材した。自身の古いアパートを事務所とした協会には、いつも地域の女性や家族が集まっていた。ガルフさんはカイロ大学で社会政策を学び、学生時代から社会運動に関わっていた。事業のことや会の金銭的なことなど、どんな質問にも、受益者や寄付者の台帳を開いて、明確に証拠を示しながら説明してくれた。

 ガルフさんはエジプト革命後の議会選挙で、自由公正党から立候補して当選した。当時47歳。選挙で当選した議員498人のうち女性議員は9人に過ぎなかった。うち自由公正党の女性議員はガルフさんら4人で、当時、エジプト女性権利センターのアブコムサン代表は「女性候補の数ではイスラム系と世俗系に差はない」と語った。

 ガルフさんは「女性は社会の問題と共に悲惨な現実を生きている。そんな女性の声を議会に上げなければならない」と語り、議会での女性議員の少なさについては「男性中心の社会の在り方を変えねばならない。同胞団もそんな社会の一部だ」と言い切った。

 2008年に新聞でサウジアラビアに関する5回の連載をした時に、働く女性を通じて女性の社会的地位と、離婚した女性に取材して夫婦の問題を書こうと決めて取材した。いまでも女性の自動車運転が認められていない国である。


(関連)
・世界各国の男女格差 日本は111位に後退〜1位アイスランド、2位フィンランド…日本はフィリピン、中国より下位/nhk
 http://www.asyura2.com/16/kokusai15/msg/801.html
 投稿者 仁王像 日時 2016 年 10 月 27 日 21:29:20: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc  

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