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「想定外」なトランプの勝利、支持層の期待に応えられるか 積もり積もったクリントンへの「うんざり感」(WEDGE)
http://www.asyura2.com/16/kokusai16/msg/282.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 11 月 12 日 01:16:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

             大勝利を収めたトランプ氏。クリントン氏に対するアメリカ社会の本音は…(写真:ロイター/アフロ)


「想定外」なトランプの勝利、支持層の期待に応えられるか 積もり積もったクリントンへの「うんざり感」
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8209
2016年11月11日 辰巳由紀 (スティムソン・センター主任研究員) WEDGE Infinity


 11月8日に行われた米大統領選挙で、直前までの予想を覆して共和党のドナルド・トランプ候補が第45代大統領に選出された。予備選に向けた各候補者の出馬表明から始まり11月8日まで続いた18カ月の大統領選挙。今年の選挙を一言で説明するとすれば「想定外」という言葉が一番しっくりくる。民主党側でバーニー・サンダース上院議員が出馬表明をしたとき、クリントン前国務長官が予備選で最後の最後まで苦戦することになることは誰も予想していなかった。そして、ドナルド・トランプ氏が大統領選挙への出馬を表明したとき、一体、誰が、大方の予想を覆して次期大統領に選ばれることを予想しただろうか。

■トランプ氏の大勝利の要因

 なぜ、こんなことになったのか。一番よく聞かれる分析は「静かなる有権者によるエスタブリッシュメントの否定」だ。このラインの分析によると、「静かなる有権者」の大部分は米国の中西部、つまり、ひと昔前は製造業や鉄鋼業で栄えていたが、テクノロジーの発達や国際貿易の広がりに伴い雇用を失い、活気を失った地域に住んでいる。そして彼らは、ワシントンDCが象徴するエリート層に見捨てられたと感じており、トランプ氏が選挙期間中訴え続けた「アメリカを再び偉大な国に(make America Great again)」というスローガンに強く共鳴し、トランプ氏を議会共和党指導部が批判すればするほど、メディアがトランプ氏の問題発言やスキャンダル疑惑を報じれば報じるほど、エスタブリッシュメントが自分たちの候補者を貶めていると感じ、これまで現状に幻滅して投票にもいかなかったような有権者層が大挙してトランプ氏の支持に動いた、というのである。

 確かに、トランプ氏勝利には、そのような「静かなる有権者」の支持が役割を果たした部分は大きいだろう。しかし、大統領選挙や過去の大統領の演説などのデータを集めている米国大統領制プロジェクト(American Presidency Project)によれば、今年の選挙の投票率は57%前後で、1972年以降の大統領選挙の平均的な投票率とそれほど変わらない。つまり、「現状とエスタブリッシュメントに不満を抱えた有権者がどこからともなく大挙して現れ、トランプ氏に投票した」という説明だけではなぜ、1984年以降一貫して民主党大統領候補が勝利してきたウィスコンシン州や、2008年と2012年の大統領選挙でオバマ大統領が勝ち取ったペンシルベニア州やミシガン州ですべて平均5%の差をつけてトランプ氏が勝利したのかは説明できないのだ。

 次によくあげられる理由は「クリントンはオバマ大統領を当選に導いたコアリションを維持できなかった」というものである。2008年、2012年ともに、オバマ大統領が当選した背景には、民主党の固定票に加えて30歳以下の若い有権者の間の絶大な支持と、有色人種(特に黒人)の絶対的な支持、さらに、オバマ大統領が掲げた「変化」のメッセージに惹かれた無党派層の支持があった。クリントン氏は、予備選での苦戦が象徴するように、この3つの層をつなぎとめておくことができず、このことが予想外の敗北につながった、という分析である。確かに、USAトゥディをはじめ主要紙の出口調査の結果を見ると、30歳以下の若い有権者でクリントン氏に投票したのは50%強に過ぎない。9割近くがクリントン氏に投票した黒人以外の有色人種も、3割以上がクリントン氏に投票していない。しかも、クリントン氏が絶対的に有利だと思われた女性票も割れている。

■クリントンに対する「うんざり感」

 実は、今回の選挙の結果の最大の理由は、投票率の低さにあるのではないか。最近のアメリカの政治で言われるのは、共和党、民主党、それぞれが持っている固定票は、それぞれ有権者全体2〜3割程度に過ぎず、選挙の行方を左右するのは(1)無党派層の投票行動、(2)固定票層をどれだけ投票所に向かわせることができるか、ということである。特に、今回の大統領選挙は、トランプ氏、クリントン氏ともに有権者の「不人気度」が極めて高かったため、どれだけ、コアな支持者を民主、共和それぞれが投票所に向かわせることができるかが選挙の行方を左右するという指摘が早くからされていた。今年の選挙の結果は、共和党の方が、より多くのトランプ支持者を投票所に向かわせることに成功したことの反映だと捉えるのが一番、説明がつくのではないか。

 そしてそのような低い投票率を招いた最大の原因は、単純に言えばアメリカの有権者の大部分が「クリントン」という名前に感じていた「うんざり感」ではなかっただろうか。言い換えれば、「ヒラリー・クリントン」という人間が米国政治の表舞台に立ち続ける姿を見るのに大部分の有権者が飽きてしまった、ということだ。大統領夫人として1992年に知名度が全国区になってから20年あまり、ヒラリー・クリントンは常に、大統領夫人として、上院議員として、そしてオバマ政権の国務長官として、常にアメリカ政治の中枢を歩き続けていた。彼女の資質や能力の高さについて疑問に思う人はもはやいない。だが、20年、彼女の名前を聞き続けてきたアメリカの有権者のかなりの数の人は「もうクリントンはいいよ。他に誰かいないの」という気持ちを持ってしまったのではないだろうか。

 その「うんざり感」を感じさせる証左は、身近なところにもあった。私は、大統領選で激戦州と言われるバージニア州の北部に住んでいる。クリントン氏がバージニア州でかろうじて勝利した最大の理由は、私が住んでいる地域とその近郊が圧倒的にクリントン氏に票を投じたからなのだが、2008年、2012年の選挙ではオバマ大統領のプラカードを自宅の前庭に立てている家を近所でたくさん見かけた。ところが、今年は、クリントン支持のプラカードを庭に立てている家は近所でもほとんどみかけなかった。近所の人や、子供の学校の友達の父兄と話していても一番よく聞いた言葉は「トランプもクリントンもどちらも嫌。ゲイリー・ジョンソン(無所属で立候補した候補)がもう少し国際感覚があればよかったのに」だった。

 クリントン氏が圧倒的に強いはずのバージニア州北部ですら、こんな感じである。他の州ではおそらく、さらに「うんざり感」の空気が強く漂っていたことだろう。「アメリカ初の女性大統領」というだけでは克服できないこの「うんざり感」が、予備選でサンダース上院議員の大健闘につながり、本選では「トランプは絶対に嫌」な有権者のかなりの数を家にとどまらせ、「トランプも決して好きではないけど、クリントンはもう嫌だから」という有権者を投票所に向かわせる結果になってしまったのではないか。

■「トランプ政権になっても、自分は絶対に政権入りしない」

 そうは言っても、誰も当選すると思っていなかったトランプ候補が次期大統領になってしまった今、アメリカはどうなってしまうのか。選挙終了直後からのトランプ氏の言動を見ていると、遅まきながら次期大統領という立場の重みを事態の重大さに気が付いたのかもしれない。当選後の勝利宣言の演説の内容は、クリントン候補に対する批判は一切なく、非常に穏当なものだった。また、当選から2日後の11月10日、トランプ次期大統領はメラニア夫人を伴ってワシントンDCを訪れ、オバマ大統領やライアン下院議長などと一通り面会したが、面会の冒頭でカメラに映った同氏の顔は、これまでにないほど神妙なものだった。ほぼ毎日のように問題発言や差別発言ともとれる言動を繰り返していたトランプ氏とは全く別人のようだ。

 一つの物差しになるのは、主要閣僚を支える政府の幹部職にどのような人たちが指名されるのかである。すでにメディアでは、国務長官候補にニュート・ギングリッチ元下院議長、国土安全保障長官候補にルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長など、政治家としての旬は10年以上前に終わったイメージが強い人たちの名前が取りざたされ、不安感を煽っているが、政権が代わるたびに人事が行われる「政治任用職」の数は4000とも5000ともいわれる。レーガン大統領は当選後、自分の周りを優秀なアドバイザーで固めることで自らの知識や経験の不足を補ったと言われるが、トランプ次期大統領に同じことができるかである。

 ここでの問題は、大統領選挙期間中に、候補者としてのトランプ氏の数々の問題発言や差別発言に反発して、「トランプ政権になっても、自分は絶対に政権入りしない」と公言した、過去の共和党政権で重要なポストについた経験を持つ人間が内政、外交、安保にまたがってかなりの数いることだ。自身のフェイスブックで「トランプ氏には投票しません」と発信したコンドリーザ・ライス元国務長官のほか、トランプ氏を支持しないだけではなく、実際にクリントン氏に投票したと公言した有力な関係者も、ブッシュ前大統領のスピーチライターを務めたデイビッド・フラム氏や日本でもよく知られているリチャード・アーミテージ元国務副長官など、多数いる。トランプ次期大統領が彼らのように、自分に対して過去、批判的なことを言った人物であっても、彼らの専門性を買って政府の要職に指名するだけの度量の広さを見せることができるかは、大統領としてのトランプ氏の物事へのアプローチを測るうえで一つの重要な物差しになるだろう。

 さらに、トランプ氏が、共和党が多数党であるとはいえ、選挙期間中、自分に批判的だった議員が多数いる議会とどのような関係を築いていくかも重要だ。特に、ポール・ライアン下院議長とミッチ・マコーネル共和党上院院内総務は、どちらも選挙期間中、トランプ氏が差別発言や問題発言をするたびに、かなりオープンにトランプ氏の批判をしてきた。ライアン下院議長に至っては、トランプ氏の女性蔑視発言が録音されたテープが公になってからは、トランプ氏と一緒に選挙集会に出ることさえ拒み、議会選挙候補者に対し「自分が当選することだけに集中してほしい」という発言までしており、トランプ氏は本来であれば顔も見たくないだろう。しかし、大統領として、選挙期間中に公約として掲げた政策イニシアチブを実現するためには、議会からの協力なしに大統領ができることは非常に限られる。特に、実現のために立法化が必要な場合は、大統領がむしろ議会に「お願い」する立場になることも少なくない。大統領としてのトランプ氏はここでも試されることになる。

■約束した「変化」の実現は難しいのでは

 そして、トランプ次期大統領にとっての最大の課題は、自分を当選させてくれた支持層との関係である。国内では選挙期間中のトランプの発言とは裏腹に、かつて鉄鋼業や製造業、農業で栄えた町が、これまでと同じ産業で再活性化できる可能性は少ない。国内インフラ整備には政府予算の投入が必要になるが、政府への歳入を増やすためには、増税がやむを得ない場合もあるが、これは「減税」を掲げているトランプ氏の政策と真逆になる。また対外的には「限定的関与」を謳っていても、それがいかに「言うは易く、行うは難し」かは、オバマ政権の8年間をみるだけでわかる。トランプ氏は9月の外交政策に関するスピーチで、「自分が大統領になったら、米軍幹部に対して、IS壊滅のための作戦を30日以内に提出するように要請する」といったが、ISやかつてのアル・カーイダで壊滅させることができる計画を30日で作れるようであれば、オバマ大統領やブッシュ前大統領が既に作らせ、実行に移しているだろう。

 つまり、トランプ次期大統領が選挙期間を通じてアピールしてきた政策のかなりの部分は、そんなにすぐに変えることができないものばかりだ。しかし、トランプ氏はこれまで、支持者に対して「変化はすぐにやってくる」とアピールしている。支持者の期待は高いが、すぐにトランプ氏が約束した「変化」が感じられなければ、2年後の中間選挙で、今回の大統領選挙で彼に投票した支持者も、それ以外の有権者も、厳しい判断を下すだろう。

 今回の大統領選挙は初めから終わりまで「想定外」だった。今はアメリカも世界も、トランプ次期大統領が就任後、「想定外」に安定した政権運営の手腕を発揮する可能性にかけるしかないのかもしれない。

 

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コメント
 
1. 2016年11月12日 10:44:12 : LY52bYZiZQ : i3tnm@WgHAM[-7466]
 米国人の信仰するキリスト教が一神教で日本人よりも個人主義を大切にする。ゆえに無党派層といっても日本人のように雁首揃えて同調するような集団行動は取らない。日本のメディアが考えるほど米国民は単純じゃないんだろう。

2. 2016年11月12日 10:54:19 : 8Oi1Lk4lZM : V9y9ehFrIqY[2]
日本もアメリカも、いつでも「想定外」の国wwww

3. 2016年11月12日 12:16:38 : 9QewkUGcqk : 4QXc8C8kgnU[197]
プロテクターが外れたらいつ逮捕されてもおかしくない犯罪者にすぎないわけだからな。韓国は大統領がやめたら毎度逮捕されたり捜査されたりしているが、むしろ健全かもしれない。他国では大統領をやめてもプロテクターが維持されているだけでな。

4. 2016年11月12日 17:41:02 : 1hFwhl5XF6 : A44FqszPm3Y[52]
想定外といえば、読者を騙せて責任逃れができると考えている辰巳由紀は、このつまらない記事をマヌケだとする批判に、耐えられないかも知れない。

辰巳由紀が言っている「うんざり感」もヒラリーの聴衆を見れば分かったことだし、サンダース離脱時の党員の反発も見て知っていたはずだ。

何も見ない目のカニミソ頭が書く記事は、ステレオタイプの言い訳にしかなっていない。
残念でした。


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