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格差拡大、成長に悪影響?:「格差是正は経済成長を阻害」説の見直し、安倍政権も民主党的所得再分配強化へと舵取り
http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/102.html
投稿者 あっしら 日時 2016 年 2 月 28 日 04:20:04: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


 「格差を是正するために再配分政策を手厚くすると、税が高くなることなどを通じて、経済活動が悪化し、成長が引き下げられる」という説は、格差是正をことさら政策化しなくても、供給力増強と経済成長が所得水準下位層を“自然”に引き上げる経済発展段階においてはそこそこ通用性がある。

(課税が強化されると投資原資が劣化するため、供給力増強が遅滞する可能性)

 OECDやIMFが、「「格差是正は適切に進めれば経済成長を阻害しない(むしろ経済成長率を高める)」可能性がある」と見解を変えたのは、日本を含むほとんど先進国で、供給力増強と経済成長が見込めなくなったからである。

(現状では、課税を強化したから投資が低迷するわけではなく、期待収益率の低下が投資を低迷させている)


 賃上げの源泉である高付加価値の供給活動に従事する人が減少していくような発展段階では、政府が所得再分配政策を強化しないと、格差拡大というより多数の国民がずるずると生活レベルを劣化させていくことになる。

 リベラル主義者が気にする格差よりも、貧困の絶対的な悪化のほうが深刻な問題である。

 転載する論考のなかに、ローレンス・サマーズ教授の長期停滞説に関して、「近年の経済動向や金融危機による大幅な格差拡大が長期停滞の原因ではないかと指摘する研究もある」というが、先進国で供給力増強と経済成長が低迷していることが格差拡大(多数派の生活レベル劣化)の原因なのだから、“長期停滞が格差拡大の原因”である。

 まとめに「格差が供給低迷と需要減をもたらす可能性」とあるが、資本制経済では「供給=需要」だから、供給の低迷は必然的に需要減をもたらす。(念のため、供給とは、ものの供給ではなく供給活動のためにお金を投じること)

 安倍政権(財務省)は、昨年秋から、経済再建策の柱を「所得再分配」政策の強化にシフトしている。
 「所得再分配」政策の強化は民主党の根幹的な経済政策なのだが、安倍政権は、徐々にだがその方向に舵を取っていく。

 野党は、そのような安倍政権の変化に対応できなければ、安倍政権にとって代わることはできない。

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[エコノクストレンド]格差拡大、成長に悪影響?
小林慶一郎慶大教授、富の再配分に効果も

 グローバルな金融危機以降、世界的に所得や富の格差に対する関心が高まっている。パリ経済学校のトマ・ピケティ教授が「21世紀の資本」で論じているように、20世紀の末から、所得格差は世界的に拡大している。

 格差拡大の一つの原因は、あらかじめ保険をかけることができない様々なリスクが人生の各段階で個人を襲う、ということである。リスクが無数にあれば、もっとも運の良い人と、もっとも運の悪い人の差は時間とともに開いていく。格差の原因のサーベイとしては、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのマリア・クリスチーナ・ディナルディ教授による2015年の論文などがある。

 「格差の拡大が経済成長に影響するか」というテーマも関心を集めている。経済協力開発機構(OECD)や国際通貨基金(IMF)の研究者は、所得や富の格差が経済成長に悪影響を与える可能性を示す研究をしている。

 OECDのフェデリコ・シンガロ氏の14年の論文では、過去30年間に大半のOECD諸国で所得格差が拡大したことを指摘し、所得格差が経済成長率を抑制していると主張している。シンガロ氏は、社会的に下層の人々は所得が減ると教育投資を減らす傾向があるので、格差拡大は社会全体での教育投資の量を減らし、経済成長を遅らせる、と論じている。したがって、税制や社会保障政策によって格差を是正することは、適切な政策設計をすれば成長を阻害しない、と主張する。

 IMFのジョナサン・オストリ氏らの14年の論文でも同様の結果を出している。IMFの最新データを使った研究で、所得格差の拡大は中期的に経済成長を低下させることが分かった。また、格差是正のための再配分政策は、経済成長に対してマイナスの影響はほとんどないという。

 これらの研究結果は、格差是正と経済成長についての従来の常識を覆す面がある。これまでは、格差を是正するために再配分政策を手厚くすると、税が高くなることなどを通じて、経済活動が悪化し、成長が引き下げられる、と考えられてきた。つまり、格差是正と経済成長はトレードオフの関係にあると思われてきた。ところが、OECDやIMFの研究は、この通念が誤りである可能性を強く示唆している。「格差是正は適切に進めれば経済成長を阻害しない(むしろ経済成長率を高める)」可能性が、データから示されたのである。

 15年2月16日の本欄でも紹介したとおり、13年に米ハーバード大学のローレンス・サマーズ教授が長期停滞(Secular Stagnation)説を唱えてから、欧米経済が長期的に低成長に陥っているのではないか、という議論が高まっている。近年の経済動向や金融危機による大幅な格差拡大が長期停滞の原因ではないかと指摘する研究もある(米ブラウン大学のガウティ・エガートソン准教授らによる14年の論文)。

 格差拡大がどうして経済成長率を低下させるのか。OECDやIMFの研究では、教育や技術などの「供給」能力の低迷という要因を重視しているが、「需要」の縮小という要因も問題だと思われる。アティフ・ミアン・米プリンストン大学教授とアミール・サフィ・米シカゴ大学教授の共著「ハウス・オブ・デット」(14年)は、家計の債務の膨張(これは富の格差拡大の一種である)が米経済を脆弱にしていると主張している。はっきりしたモデルは示していないが、ミアン教授たちは、家計の過剰債務が消費需要など「総需要」を低迷させたと考えているようだ。

 筆者はミアン教授たちの実証結果に合う理論的な説明を考えた。金融危機などのために多数の家計が過剰債務を背負った状態になると、それらの家計が日常的な出費をするために借り入れられる資金が少なくなるという「借り入れ制約」の問題が発生する。富の格差拡大の結果として借り入れ制約の問題が発生するということである。その結果、過剰債務を持つ家計は消費需要を減らし、そのため、経済全体の総需要が落ち込む。

 これまでの経済学のモデルでは、過剰債務による需要の落ち込みは一時的な現象であり、需要低迷が長期的に続くことはない、と思われていた。しかし、運転資金のような短期のローンが制約されると、ミアン教授たちが指摘した長期的な需要の落ち込みが発生することが分かった。

 金融危機によって、大きな富の格差が生じ、借り入れ制約の問題が発生すると、総需要が長期的に停滞する可能性がある。すると、富を再配分(ここでは過剰債務を削減)すれば、借り入れ制約は緩和し、総需要が拡大するかもしれない。このことは、金融政策や財政政策などのマクロ経済政策が景気を改善するメカニズムとして、富の再配分の経路(再配分チャネル)があり得ることを意味している。

 実際、金融政策の有効性を評価する上で、再配分チャネルを重視する研究者が最近は増えている。たとえば、プリンストン大学のグレッグ・カプラン教授とベンジャミン・モル助教授、ニューヨーク大学のジョヴァンニ・ヴィオランテ教授は16年の論文で、金融政策分析のための新しい枠組みとして「異質的エージェント型ニューケインジアン(HANK)モデル」を提唱している。

 これまで金融政策の分析において標準モデルとされてきた通常のニューケインジアンモデルでは、人々の間に富の格差は存在しない、という想定を置いて金融政策を分析してきた。HANKモデルでは、人々の間に富の格差が存在し、その格差や所有する資産の違いが金融政策の効果に大きく影響する。

 通常のニューケインジアンモデルでは、金融政策は金利を上下させることで効果を発揮する(金利チャネル)。金利が下がると借り入れを増やして設備投資を増額する企業が増え、総需要が増える、というメカニズムである。しかし、金融危機以降の日米欧先進国では、金利がゼロ近傍で動きがとれなくなっているため、金利チャネルで金融政策が効果を発揮するとは考えにくい。このような時代に、一種の格差是正ともいえる再配分チャネルで金融政策は効果を発揮する、と主張する研究が現れたことは興味深い。

 プリンストン大学のマーカス・ブルナーメイアー教授とユリ・サニコフ教授も16年の論文で、金融政策が資産分布の変化を通じて効果を発揮するという理論を作っている。彼らのモデルの特徴は、貨幣という資産を明示的に考察する点である。

 通常のニューケインジアンモデルでは「資産としての貨幣は存在しない」という(単純化のための)仮定が置かれているが、ブルナーメイアー教授たちは貨幣と他の資産との選択の問題を重視した。中央銀行が貨幣の供給を増やせば貨幣価値が下がり、相対的に他の資産の価値が上がるため、資産選択を通じたチャネルが金融政策を波及させるのである。

 このように、富の格差が経済成長や金融政策に大きな影響を与えるという考え方は、これからの経済政策を構想する上で重要な役割を果たすかもしれない。

ポイント
○格差が供給低迷と需要減をもたらす可能性
○格差是正策は成長に悪影響なしとの指摘も
○金融政策も格差の変化を通じて効果を発揮

[日経新聞2月22日朝刊P.21]

 

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コメント
 
1. 2016年2月28日 07:30:08 : vOh0xAfCRQ : TQRqYmTAqYc[3]
ほんとにこの人は安倍が好きだな

2. 2016年2月28日 09:02:49 : yBQkrRTumA : UvxNb8gKnf4[593]

 単純明快な方法がある

 1億円 現金を持っている人から 10年間で 2000万徴収する <= −2%のマイナス金利
  
 10兆円 内部留保している会社から 10年間で 5兆円徴収する <= 資産税

 1000万 使う人から 300万徴収する <= 消費税 30%

 ===

 一人 100万しか 使えない(金がない人)に 100万出して 200万使えるようにする

 <= これが ベーシックインカムだ

 


3. 2016年2月28日 12:25:52 : Oozg29Kcag : Qiiwq5NaXgQ[61]
政治板の記事だから、まとはずれかもしれないけどコメントさせてもらおう。
紹介されている日経新聞の記事は転倒してないだろうか。これではまるで経済成長至上主義だ。いったい経済政策というのは、経済成長を実現するなら何でもよくて、かりに経済成長を阻害するとしたら格差も是正すべきではないというような姿勢で構想されるものなのか。

4. 2016年2月29日 02:41:57 : IJjjrLkBu1 : Tp0IihGPIW0[279]
  大きな政府で国民福祉優先、弱者に手厚い政策を採れば、当然ながら国富は減少するから、小さな政府によって企業利益を増進させ、福祉政策は縮小させる、などの政策を採る事は、国家としては必要であり、これを、およそ10年毎に繰り返すのが、政権交代の目的となろう。
  ところが、日本の場合は、ほぼ自民一党でやって来たため、保守ということもあり、政財官の護送船団方式により、主に財界の利益を最大限に確保する政策が採られて来た関係で、内需の拡大を論じられた時期も有ったが、結局は未だその時期では無い、という財界の声が強く、小さな政府から大きな政府への顕著な転換は為されなかったのである。
  要は、保守政権による料亭政治では大きな政府型の発想は生まれず、常に財界の内部留保、官の資本家層への補助金、交付金政策、という形が主体であり、その余りが出来れば民衆へというスタイルが続いたのである。
  いわゆるトリクルダウンであるが、そんな自然な流れにはならないからこそ、政権交代により、保守とリベラルによる小さな政府と大きな政府の繰り返しを他国は選んでいるのであろう。政権交代が富の循環と再配分になるのである。
  安倍首相は、保守一党で両方を満足させられると考えているが、財界人を料亭には呼ぶが、シールズの青年はテロリスト呼ばわりして話も聞こうとしないのであるから、どう考えても一党で保守もリベラルも満足させるのはムリ筋なのである。
  もし安倍政権で富の再配分もやる、と本気で思うのであれば、官僚機構を総取り換えし、行政立法案を福祉優先のみにするくらいの気構えが必要である。
  ところが、行政機構は軍産複合体ロビイストの要請で法案を作り、数の力で与党が可決するのを当然としており、安倍政権も前のめりであるのに再配分などと調子が良く、結局のところビタ一文民衆には回って来ないのは確実であろう。
  輪転機で円札が刷れなくなるまでどの位の期間があるのか分からないが、再配分をやると言いつつ、中国や北朝鮮の脅威を米軍ロビイストに煽られて軍備の拡大に緩和マネーの殆どを費やしているようでは、とてもでは無いが、富の民衆への再配分など、到底不可能なのである。

5. 2016年2月29日 11:28:41 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[323]
しゃれにならない深刻さ、日本の消費が危ない日本の家計はすでにギリギリの状況
2016.2.29(月) 加谷 珪一
日本の家計は想像以上に厳しい状況に追い込まれている(写真はイメージ)
 2015年10〜12月期のGDP(国内総生産)は、消費の低迷によって再びマイナス成長に転落した。石原経財相は「記録的な暖冬による影響」との見解を示したが、多くの人はそうではないことを実感しているはずだ。このところ、日本の家計は相当厳しい状況に追い込まれており、消費を増やす余力がほとんどなくなっているのが現実である。

 これまで日本経済は、何とか消費だけは維持されることで、それなりの成長が続いてきた。もし、今回の消費低迷が一時的なものにとどまらなかった場合、事態は少々深刻である。今の経済状況において構造的な消費低迷に陥ってしまうと、政策的に打つ手がなくなってしまう。

マイナス成長は事前に予想されていたが

 内閣府は2月15日、2015年10〜12月期のGDP速報値を発表した。成長率は、物価の影響を除いた実質でマイナス0.4%、年率換算ではマイナス1.4%となった。4〜6月期に続いて2回目のマイナス成長である。今回、マイナス成長となることは、多くの関係者が予想していたので、市場に驚きはなかった。

 過去3カ月の鉱工業生産指数は、10月が前月比プラス1.4%、11月がマイナス0.9%、12月がマイナス1.4%と冴えない数字が続いていた。需要サイドの統計である家計調査の結果も同じである。2人以上の世帯における実質消費支出は、10月がマイナス0.7%、11月がマイナス2.2%、12月はマイナス1.0%であった。この統計にはネット販売の分が考慮されていないといった特殊要因を考慮しても、消費が著しく弱くなっていることは確実である。

 10月から12月にかけての輸出は金額ベースで約4000億円(貿易統計、季節調整済)、率にして2%のマイナスとなっていた。設備投資の先行指標である機械受注だけはまずまずの数字となっており、代表的な指標である船舶を除く民需の10〜12月期見込みは、前期比プラス2.9%であった。

 消費が大きく落ち込んでいることや、輸出が伸び悩んでいることなどから、専門家の多くがマイナス成長を予測していたが、フタを開けてみると実際その通りであった。

 GDPの中でもっとも大きな割合を占める個人消費がマイナス0.8%と全体の足を引っ張っている。住宅が占める割合は低いものの、伸び率はマイナス1.2%とさらに落ち込みが激しい。一方、設備投資は事前の予想通りプラス1.4%となっており、これによって大幅なマイナスを回避した。輸出入については輸出以上に輸入が落ち込んだため、全体として寄与度はプラスとなっている。

日本の家計はすでにギリギリの状況

 GDPのマイナス幅自体はそれほど大きなものではなく、今回の結果によって、日本経済が景気後退に陥ったと断言するのは早計だろう。だが、頼みの綱であった個人消費が低迷しているというのは、今後の景気見通しを考える上で、気になる結果である。

 これまでの日本経済は、個人消費があまり落ち込まなかったことで、何とか成長を維持してきた面があった。だが消費の弱さが継続する事態となれば、影響は長期に及ぶことになる。1〜3月期のGDPにおいても消費が弱かった場合には、少々深刻なことになるかもしれない。

 当たり前のことかもしれないが、消費が落ち込んでいるのは、家計の経済状況が苦しいからである。家計調査の結果を見ると、それは一目瞭然である。2人以上の世帯における実質消費支出は、何と21カ月連続の前月割れとなっている。つまり、過去2年間、ほぼ毎月消費が減っているという状況なのである。

 家計が苦しいことは別の指標からも明らかである。家計の豊かさを示す指標として多く人に知られているエンゲル係数が急上昇しているからだ。

 昨年(2015年)12月における家計の消費支出は31万8254円だった、この月の食料品支出は8万8327円であり、エンゲル係数を計算すると27.8%となる。12月は食料品支出が増えるのでエンゲル係数が増加することが多いが、2014年12月の数値は25.9%だったことを考えると、昨年と比べてかなり上昇したとみてよいだろう。

 2013年までは、エンゲル係数が25%を超える月はほとんどなかったが、2014年に入ってから25%を超える月が増加。2015年になるとその傾向がさらに顕著になり、昨年5月以降は、毎月25%を超えている。

携帯電話料金論争のベースにあるのは家計の貧しさ

 食料品には、生活を維持するための最低限度の支出水準というものがあり、嗜好品と比べて極端に節約することができない。生活が苦しくなってくると、家計支出に占める食料品の割合が増加するという一般的な傾向が見られることから、エンゲル係数は生活水準を示す指標としてよく使われている。

 もっとも、先進国においては消費が多様化しており、必ずしもエンゲル係数の上昇が生活水準の低下を示すとは限らない。単純にエンゲル係数の上昇から家計が貧しくなっていると断定するのは危険だが、現在の日本においては十分に当てはまると考えてよいだろう。実は、日本における家計支出の絶対値はここ15年、一貫して減少が続いており、家計が貧しくなっているのはほぼ確実だからである。

 2000年における家計の平均支出は32万円だったが、2015年はとうとう29万円を切っている。家計の支出が減っているのは、世帯収入が減少しているからである。平均的な世帯年収は過去15年間で15%ほど減少しており、これに伴って支出を切り詰めていると考えられる。

 昨年秋、安倍首相が突然「日本の携帯電話は高すぎる」と発言し、これを見直すよう指示。株式市場では携帯各社の株価が下落しちょっとした騒ぎとなった。日本の携帯電話料金が不透明であることは事実だが、国際的に見て不当に高いというわけではない。総務省が行った内外価格差調査によると、同一条件下での通信料金は、ニューヨークが1万601円、東京が7022円、パリが4911円、ロンドンが7282円であった。

 この話は、昨年9月に開催された経済諮問会議の場における民間議員の指摘がきっかけであり、安倍首相がこの状況を詳しく把握していたのかは不明だが、携帯電話料金を高く感じるという現実は間違っていない。家計における通信費の割合は年々上昇が続いており、2015年は通信費が全体の4.4%を占めるまでになった。15年前の調査では約3%だったのでかなりの上昇である。通信費の割合が上昇しているのは、スマホの普及でネット接続料金が増加していることもあるが、家計が貧しくなり、支出の絶対値が大きく減っていることの影響も大きい。

賃金が上がっても手取り収入が思いのほか増えない理由

 家計の支出が減っている最大の理由は、実質賃金が上昇していないことである。労働者の実質賃金は毎年減少が続いており、これが家計を圧迫している。物価の上昇に対して賃金の絶対値が追い付いていない。

 安倍政権は、経済界に対して賃金を上げるよう異例の要請を3年連続で行っているが、あまり効果は上がっていない。大企業は賃上げに応じることができても、中小企業にはその体力がないところも多い。

 さらにいえば、大企業の社員についても、賃上げ分が可処分所得の拡大につながっていないのが現実である。賃金が増えても、その分、社会保険料の負担が増加しているからである。

 サラリーマンは、社会保険料の半額を会社が負担する仕組みになっている。例えば、年間の収入(給与と賞与)が500万円の人は、現在、約90万円の年金保険料を納めており、この金額を個人と会社で折半する。賃上げが実施される前の2013年には、この金額は年間約85万円であった。年収500万円だった人が、2年連続の2%賃上げによって年収が約520万円に上昇した場合、年金保険料は約95万円となり、個人負担分は約5万円増加することになる。賃上げされた分は20万円だが、保険料率の上昇などで約5万円が打ち消され、実質的には15万円しか手取りのお金は増えていない。これは年金だけの数字なので、医療や介護などを含めると、さらに少ない金額になる可能性が高いだろう。

 また、安倍政権は成長戦略の一環として企業に対してROE(株主資本利益率)の向上も強く求めているが、これも賃金に対して悪影響を与えてしまう。ROEを向上させるためには配当を増額する必要があるが、配当は企業の最終利益の中から捻出される。つまり賃金支払後の利益が配当を決めることになるため、配当の増額と賃金の上昇は、理論的にトレードオフとなってしまうのだ。

構造的な消費低迷に入ってしまうと手の打ちようがない

 政府がROEの向上を強く求める理由は、苦しい年金財政を何とか維持するためである。現在、年金は保険料の徴収よりも保険料の支払いが上回っており、このままでは運用積立金が枯渇してしまう。公的年金を維持していくためには、企業からの配当を増額させる必要がある。

 年金は資産のない高齢者にとっては唯一の所得であり、勤労者の賃金に相当する。つまり、勤労者の賃金を上げれば、高齢者の年金が減るという皮肉な状況になっているのだ。

 こうした状況を打開するためには、企業の生産性を向上させ、企業が生み出す付加価値を増大させる以外に方法はないが、状況は厳しい。

 現在、日本経済には強い逆風が吹いている。中国経済の失速に加え、頼みの綱であった米国の景気にも失速懸念が生じている。これに加え、マイナス金利政策が裏目に出たことで、市場では円高が進んでいる。このままの状態が続いた場合、日本企業の業績が下振れすることはほぼ確実であり、これによって設備投資や消費が冷え込むという悪循環に陥る可能性がある。

 これまで日本企業は、賃金の抑制や非正規社員の拡大、下請けに対する値引き要請など、場当たり的な手法で利益の拡大を続けてきた。本来、こうした手法は持続不可能だが、しばらく続いた円安が賞味期限を延ばしてしまった。

 教科書的にはビジネスモデルの転換が必要ということになるわけだが、経済的な基礎体力が弱っている時に大規模な改革を実施するのは困難である。もし、次の四半期以降、本格的に消費が低迷するようであれば、政策的には打つ手がなくなってしまうかもしれない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46181

[32初期非表示理由]:担当:要点がまとまっていない長文


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