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多数決の結果は民意の反映か  「勝てば正しい」は間違い   慶応大教授・坂井豊貴氏
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/893.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 6 月 17 日 19:23:27: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

多数決の結果は民意の反映か 坂井豊貴氏

毎日新聞2016年6月16日 東京朝刊


「勝てば正しい」は間違い 慶応大教授・坂井豊貴氏
 参院選が22日に公示される。結果次第では選挙後に憲法改正の発議や国民投票がある可能性もある。これらは全て多数決で決められる。その結果が民意だとされているからだ。だが、それは本当に正しいのか。「多数決を疑う」(岩波新書)の著者、坂井豊貴・慶応大教授(40)に聞いた。【聞き手・尾中香尚里、写真・中村藍】

−−「多数決を疑う」必要性を訴えているのはなぜですか。

 「選挙で勝った自分の考え方が民意だ」という政治家の言葉を、よく耳にするようになったからです。選挙に勝ったというだけで、政治家が自分のやることを全て正当化するのは、大変危険なことだと危機感を持っています。

 選挙では候補者や政党が、複数の政策を「抱き合わせ」で訴えます。AさんとBさんが争い、Aさんが勝つとします。しかし、同じ選挙で個々の政策ごとに多数決をとったとすると、全ての政策でBさんの政策が選ばれ、実現する政策が正反対になり得る。これを「オストロゴルスキーのパラドックス」==と呼ぶのですが、数学的にはこんな可能性が実際に生じます。ある政治家が勝ったからといって、彼の政策が有権者から支持されたとは限らないのです。

−−多数決にはどんな問題があるのですか。

 多数決というと、いかにも多数派の意見が尊重されそうです。だから「少数意見も尊重せよ」と言われるのですが、そもそも多数決が本当に「多数派の意思」を尊重しているのかというと、極めて怪しいのです。

 致命的な欠陥として、多数決は「票の割れに弱い」点が挙げられます。2000年の米大統領選で、共和党のブッシュ氏と民主党のゴア氏が争いましたが、第3の候補・ネーダー氏が現れ、ゴア氏の票を食ってブッシュ氏が勝ちました。最近の国政選挙で野党候補が乱立し、野党側の票が多い場合でも与党が勝った例も同様です。

 今回の参院選で、野党は1人区で候補者を一本化しました。好むと好まざるとにかかわらず、そうせざるを得ないのです。しかし、結果として選択肢が減り、有権者は細かな意思表示ができません。

 また、全ての有権者から2番目に支持されている候補がいると仮定します。万人のための民主主義の観点からは望ましい候補ですが、この候補は多数決の選挙では1票も得られない。有権者は1位の候補しか選べないからです。

 だから候補者は万人に配慮するより、極端な発言で悪目立ちしたり、特定の層への配慮やバッシングをしたりするようになります。候補者が悪いというより、制度が彼らをそうさせてしまうのです。結果として多数決が社会の分断を招きかねない。多数決は民主主義との相性が悪いのです。

−−では、憲法改正の発議要件である「3分の2以上の賛成」など、圧倒的多数の支持を求めている場合は、多数決の結果が多数派の意思を表したと言えますか。

 50%より大きい可決ラインを求める多数決を「特別多数決」といいます。重要なことを多数決で決めるなら、次のようなことが起きないようにすべきだと考えます。

 現行案Aと、代替案B、Cの3案があるとします。B案はA案より、C案はB案より人気があるが、C案よりA案の方が人気がある−−。これを「多数決のサイクル」と呼びます。じゃんけんの三すくみのような状態ですね。こうした状態が起きないようにするには、数学的には最低でも64%以上の賛成が必要とされています。

 「3分の2以上の賛成で可決」は、ハードルの高さとして適切です。ただし、憲法改正について言えば、衆院では小選挙区制の導入で「地滑り的勝利」が頻発しており、「3分の2の賛成」は高いハードルではありません。一方、発議後の国民投票は過半数の賛成で可決。過半数とは投票で物事を決める時の最低ラインです。

 つまり衆院の「3分の2」も、国民投票の過半数も、改憲のハードルとしては低い。改憲への実質的なハードルは、複数区や比例代表の比率が高い参院選だけなのです。その意味でも、今回の参院選はとても重要です。

−−多数決の弊害を緩和する仕組みはあるのですか。

 私が推すのは「ボルダルール」という制度です。スロベニアの国会議員選挙の一部などで用いられています。これは、3人の候補者がいれば、1位に3点、2位に2点、3位に1点と加点します。このルールのもとでは、選挙で勝つためには多くの有権者から少しずつ加点した方が有利。先ほどの「全ての人から2位になる候補」は、かなり強くなります。

 従来の多数決に決選投票を付ける方法もあります。自民党総裁選や、旧民主党の代表選で用いられています。死票を減らし、少なくとも多数派の意思をより尊重することはできます。

−−しかし現実に、多数決を用いた選挙制度は、日本だけでなく世界の多くの国で採用されています。多数決で選挙が行われるなかで、有権者や選ばれる政治家は何に留意すれば良いのでしょうか。

 繰り返しますが、多数決は票の割れに致命的に弱い。勝った候補が有権者の多数派であるとは限りません。また、全ての有権者から2位にされる候補は勝てないことから分かるように、勝った候補が有権者の広い支持を得られているとも限りません。

 そうであれば、道徳的な話になってしまいますが、権力の使い方には節度がなければなりません。権力を使う側には「節度を持つことが必要だ」という自覚を持つ必要があります。節度を持つとは、つまり「立憲主義的抑制を守る」ということです。多数派の力でやるべきではないこと、合法であっても権力の使い方として正しくないことについて、権力者は常に自覚すべきです。

 有権者も、常に権力をチェックすることを忘れてはなりません。おかしな権力の使い方があれば、きちんと声を上げるべきです。

 現行制度では、選挙から次の選挙までの間は、有権者には手続きとしての意思表示の機会がありません。ですから、投票以外の意思表明の場、例えばデモや言論活動などについて、参加はしないまでも、リスペクトする(敬意を払う)ことはとても重要なことだと考えています。

聞いて一言
 「多数決を疑う」と聞くと「選挙結果を否定しているのか」と疑問を持つ人がいるかもしれないが、そうではない。選挙で勝ったことのみを錦の御旗(みはた)のごとく振りかざし、異論をねじ伏せる最近の政治への違和感の正体を、学問的に形にしただけなのだ。こうしたことを知っているかどうかで、選挙に対する私たちの構えも、多少変わるのではないだろうか。民主主義は社会を構成する万人のためのものであり、多数派だけのものではないことを、参院選を前に改めてかみしめたい。

 ■ことば

オストロゴルスキーのパラドックス
 代表制(選挙で候補者を選ぶなど)と直接制(個々の政策を直接選ぶ)が正反対の結果を生み出すこと。オストロゴルスキーは19世紀末から20世紀初めに活躍したロシアの政治学者。

 候補者AとBの2人が争う多数決選挙を仮定する。争点は財政、外交、環境の三つ、有権者は「一郎」ら5人=図。例えば「一郎」は財政と外交はA、環境はBを支持しており、総合的にAを支持する。ここで、候補者AとBのどちらかを選ぶ選挙を行うと、3対2でAが勝つ。だが、争点ごとにそれぞれ直接選挙を行ったとすると、全ての争点でBが勝つことになる。

有権者    財政 外交 環境 支持候補

一郎     A  A  B  A

春子     A  B  A  A

二郎     B  A  A  A

夏子     B  B  B  B

純      B  B  B  B

多数決の結果 B  B  B  A

 ■人物略歴

さかい・とよたか
 1975年広島県生まれ。米ロチェスター大博士課程修了。専攻は社会的選択理論。横浜国立大、慶応大経済学部准教授を経て2014年より現職。著書「『決め方』の経済学」が近日刊行予定。
http://mainichi.jp/articles/20160616/ddm/004/070/025000c  

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コメント
 
1. 2016年6月17日 19:36:14 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[1690]

オストロゴルスキーのパラドックスが意味するところは、

今の代表民主制というのは、

過半数有権者の満足度を高める政策(利権)パッケージを出すことができれば、

個々の政策に関しては、全体の過半数の支持を得る必要はない


具体的には、有効投票数の過半数を占める層(例えば高齢者)の支持を得られるような候補者が勝利し易いということだ

結果として、痛みを伴う改革回避や、バラマキ嗜好へのバイアスが強まることになる



2. 2016年6月17日 20:11:54 : nUFUX7pmlY : lImCZiABadg[3]


           パラドックス に加えて ムサシ



3. 佐助[3561] jbKPlQ 2016年6月17日 21:45:53 : 9zzRTyeBxk : 4eYUJw@wYHY[3]
民主主義とは多数決原理であり、独裁主義に対立する理念と信じられている。

しかし「民主主義は理念でなくルール」少数意見尊重こそ民主主義です

だが2020年まではルールをブチ壊せと怒号する思考と行動の独裁者を待望する。

政治の基本対立要素の一つは「民主主義は理念でなくルール」なので、ルール(制度)の対立構造が変化する。もう一つの政治の基本対立要素は「自由」「平等」という理念(政治的概念)

「民主主義は正義を多数決で決めるので、少数意見は多数意見に絶対服従しなければならない」と主張する権力者や既得権益護持者や金持ちに多い,
民主主義の多数決のルールは、王政でも独裁制でも採用されてきた。歴史をひも解くと、少数派の意見が時間と共に多数派の意見になり、政治のルールは変化してきた。だが、どんな少数派の意見が多数派になるのか、あらかじめ判定することは難しい。だから、少数意見はひとまず多数意見に従い、多数意見は少数意見に耳を傾けるルールが誕生したのだ。故に、多数意見は常に正義で絶対服従沈黙せよとの権力者や政治家の意見は軍国時代と同じで、少数意見尊重こそ民主主義だ」

日本の大政翼賛会は、一党独裁に反対する人が立候補できぬ選挙制度ルールで、独裁権力を国民の総意だと思わせた。日本は小数多党化で一党独裁主義国家,そして隷米国家で大政翼賛会でもある。そのために「ルールを破壊させることが正義・善」と政治指導者は考え行動している。だからこの時代は「民主主義のルールが破壊されている」このようにルールを否定する少数派の復古と改革の極端な行動との理念は弾圧されるが、その流れた血は、戦争で統合加速され、つぎの政治現象へと移行してゆくことになる。

今日2000〜2020 年代の「ルールを否定破壊する少数派に寛容な時代」は、どんな左右の原理主義を誕生させているか?右翼原理主義は「移民」と「領土」問題で排外的思考と行動を台頭させている。左翼原理主義は、1%の金持ちが99%の富をもつ「不平等の是正」の思考と行動を台頭させている。それと平行して宗教の原理主義が、暗殺やテロリズムの思考と行動を台頭させ、戦争の瀬戸際に押し進めている。

政治現象は、民主・民本主義政治体制と、そうでない体制とが対立していると信じられている。だが、民主主義はルールにスギないため、どんな政治体制も、多数決を集団の総意として利用してきた。だから、多数意見は正義・善であり、少数派の意見は間違っているので、転向しなければ抑圧排除してもよろしい、という常識は間違っている。

したがって、民主主義はルールではなく、自由・平等と同じような政治的理念だと仮定して観察すると、政治のルールの基本対立要素とその周期が、全く見えなくなる。

だが政治家は当選した瞬間、その政治のルールの中に思考と行動は閉じ込められる。そして、ルールのコップの中で権力争奪のため、離合集散する。その駆け引きは、現実に次々と発生する問題解決を論じながら、実際には、応急手当の試行錯誤を攻撃し、互いに足を引っ張りあう。それなのに、政治家は国民と国家の利益のためだと確信することができる。そのために、根本的解決を常に先延ばしされるだけなので、いっそ古いルールをブチ壊した方が手っとり早いと、ルールをブチ壊せと怒号する思考と行動の独裁者を待望する。


4. 2016年6月17日 22:24:45 : wHuL1akb5k : DuRAeKF5kNQ[3]
有権者というのは、わがままなもんだし、政策に関して深く考える時間も能力もない場合が多いから、両立不可能なAの政策とBの政策を同時に支持する・・・なんてことも往々にしてある。そこに、「選良」を選んで、彼らの主張をセットとして選択する意味があるわけね。

今の政治家が選良であるかどうかは別として、この投稿のような意見は政治を機能不全に陥らせる原因にもなりうると思うよ。

いずれにしろ、民意なるものを近似的にも政治に反映させるためには、選挙によって多数を得た勢力に権力を持たせるしかないのだな。さもないと、独善的な連中が、市民・国民・労働者の代表を僭称して、少数者による支配を実現する口実にもなりかねんからな。

で爺


5. 2016年6月18日 01:48:59 : ITXemROTZQ : xloJ6nXrwco[6]
 多摩散人です。

「多数決の結果は民意の反映か  「勝てば正しい」は間違い」(この投稿の標題)

 多数決の結果が民意の反映とは言えない場合もある。「勝てば正しい」とは必ずしも言えない。そんなことは常識だよ。

 しかし、多数決で決める以外にもっといい方法がないから、これでやっている。

 民主主義の欠点を指摘するのは馬鹿でも出来る。「慶応大教授・坂井豊貴」という人は、本当に学者なんですか。AとBのモデルなんて、素人だって考えるが、そういう場合もあるということに過ぎない。

 では、少数決がいいんですか。独裁制がいいんですか。神託政治がいいんですか。下駄を投げて政策を決めればいいんですか。

 世論調査で政策を決めろという考えがある。これはだめ。その説明はものすごく面倒なので省略。スイスみたいな小さな国で、民主主義が浸透している国なら、直接民主主義が有効な場合もある。しかし、普通の国は間接民主主義が当たり前。この話も難しい。


6. 2016年6月18日 04:14:14 : 0W7JaiYSHc : 3NEjj60c7as[85]
学者=100%エリート主義

学者が正しい=メンシェビッキが正しいという理屈

多数派が正しい=ボルシェビッキを正しいとすれば、エリート主義を撲滅できる

まあ、これが多数派優先の原理だ


7. 2018年6月28日 10:55:56 : pXxFbGpMtI : 5BqPkwae3js[-1]
多数決は必ずしも正しいことじゃないってのはわかったけれど、
劇団四季のミュージカル「CATS」を面白がらなかったら許さないって、マ!

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