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経歴詐称の蓮舫代表を選んだ民進党の稚拙な危機管理
ネットが明らかにした「二重国籍」の実態
2016.9.16(金) 池田 信夫
東京・永田町の民進党本部。蓮舫氏の「二重国籍」問題は今や彼女個人だけの問題ではなくなった
民進党が9月15日の党大会で、蓮舫氏を代表に選出した。先週の当コラム「 蓮舫氏の『二重国籍』についての説明は支離滅裂」でも書いたように、彼女の国籍については違法行為の疑いがあり、それについての彼女の答も二転三転している。
事実関係と法的問題については、私の主宰するウェブサイト「アゴラ」に八幡和郎氏が詳しく書いているので、繰り返さない。今や問題は彼女個人ではなく、そういう事実を知った上で彼女を選出した民進党の責任になった。
矛盾だらけだった蓮舫氏の説明
簡単に経緯を振り返ってみよう。8月29日に八幡氏が「 蓮舫にまさかの二重国籍疑惑」という記事を書き、アゴラ編集部も蓮舫事務所に確認を求めた。このとき事務所が過失を認めれば、話は終わっていた。国籍選択した人が外国籍の離脱を忘れるのはよくあることで、一般人なら大した問題ではない。
ところが彼女は9月3日に、読売テレビの番組で「私は生まれたときから日本人です」とか「18歳で日本人になりました」という矛盾した弁明をした。これについて私がアゴラで「おかしい」と指摘すると、翌週の6日の記者会見で彼女は、台湾国籍が残っている可能性があると認めた。
それはいいのだが、このとき彼女は「台湾代表処(大使館にあたる)で調べたが分からないので、念のため改めて国籍を放棄した」という不可解な話をした。国籍があるかどうかは受付ですぐ分かるので、これは国籍があったということを意味するが、各社は彼女の弁明を真に受けて「改めて国籍を放棄」という奇妙なニュースを報じた。
これについて私が指摘すると、2ちゃんねるのまとめサイトに 台湾政府の官報(総統府公報)の写真が投稿された(下の写真)。驚いたことに30年以上前から台湾の国籍喪失者は官報で公示されており、その中に「謝蓮舫」という名前がないことが確認されたのだ。
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(*配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで写真をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47912)
これを複数の台湾人が国民IDで検索し、ほとんど半日で蓮舫氏の嘘がネットで暴かれてしまった。これが決定打で、それまで多くの人が疑わしいと思っていても決め手のなかった国籍の詐称が、公開情報で明らかになってしまった。
迷走した民進党執行部の危機管理
国籍問題についての首相官邸の対応は見事だった。菅官房長官は9月7日の定例会見で「ご自身が説明すべき問題だ」と前置きした上で、「一般論として申し上げれば、外国の国籍と日本の国籍を有する人は、22歳に達するまでにどちらかの国籍を選択する必要があり、 選択しない場合は日本の国籍を失うことがあることは承知している」と答えた。
無駄のないコメントで、首相官邸が初動の段階で全容を掌握していたことを示している。もちろん実際に蓮舫氏が国籍を失うことはありえないが、国籍法ではその可能性がある(ので今のうちに身を引いたほうがいい)というシグナルを送ったのだ。
ところが民進党の岡田克也代表はこのシグナルを読み取れず、8日の記者会見で彼女を民進党の「多様な価値観」の代表だと賞賛し、「お父さんが台湾の人だから、何かおかしいかのような発想がどこかにあるとすると、極めて不健全なことだ」とトンチンカンな答をした。
そして蓮舫氏は13日になって記者会見で「台湾政府から国籍が残っていると連絡を受けた」と認めた。これは12日に党員・サポーターの郵便投票を締め切った後であり、「改めて放棄」という弁明を信じて彼女に投票した党員は、裏切られたことになる。
しかし台湾政府はいまだに「台湾籍を抜く」とは明言していないので、彼女は当分、二重国籍のまま民進党代表を務めることになる。もし台湾政府が「蓮舫氏の国籍喪失許可申請には不備があるので却下する」と表明したら、彼女は日本国籍を離脱するしかない。台湾も二重国籍を認めていないからだ。
14日になって、民進党の有志20人が「蓮舫氏は党員・サポーターを欺いたので、選挙をやり直すべきだ」という要望書を執行部に提出したが、民進党の選挙管理委員会は「候補者としての要件を満たしている」として選挙を強行した。
民進党が分裂して年内解散も
このように振り返ってみると、ネットの威力に改めて驚く。昔なら「国籍を改めて放棄」という奇妙な弁明にもマスコミは裏を取れず、彼女が代表になったら忘れたかもしれない。しかし国境を超えたネット民の協力で、台湾政府の情報が明らかになった。
さらに「台湾国籍があったことは知らなかった」という彼女の言い逃れに対しても、 1993年の朝日新聞で「在日の中国国籍の者としてアジアからの視点にこだわりたい」というインタビューが出てきた。
他にも雑誌のインタビューで「私は台湾籍」とか「私は二重国籍」と語っているが、今のところ彼女は「それはメディアの誤りで、私は日本人だと思っていた」と主張している。しかし2004年の選挙公報では「台湾国籍から帰化」と書き、公式ホームページでも2013年までそう書いている。
蓮舫氏は代表代行なので、執行部の方針も踏まえて行動したはずだが、支離滅裂な言い訳を重ねた。9月26日から始まる臨時国会で自民党が彼女を追及したら、少なくとも代表辞任は避けられない。議員辞職もありうる。
政界では「年内解散」という声も聞こえてきた。安倍首相は憲法改正や総裁3選のために解散・総選挙のタイミングを探っているが、今回の騒動で代表が辞任すると、民進党は壊滅的な打撃を受け、離党予備軍が新党を結成するかもしれない。
それに合わせて12月の日露首脳会談の後に解散すれば民進党の勢力は激減し、自民党は単独で3分の2を取ることも可能だ。民進党を離党した人々がそれに合流すれば、公明党なしでも憲法を改正できるかもしれない。憲法改正という大義名分で「大連立」することも考えられる。
いずれにせよ蓮舫氏は、沈みかけていた民進党という泥舟の船底に穴をあけたようなものだ。今回の事件で民進党に危機管理能力がないことは明らかになったので、そんな政党に存在価値はない。蓮舫代表もろとも解党したほうがいい。
http://livedoor.blogimg.jp/ikeda_nobuo/imgs/6/c/6c7bd7c0.jpg
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47912
台湾政府の官報に蓮舫氏の「国籍喪失」の記載はない
2ちゃんねる経由の情報だが、台湾政府の官報はネットですべて公開されており、国籍喪失は毎年1月最初の官報にまとめて公示される。蓮舫氏が国籍を喪失したはずの20歳のときの1988年(民国77年)の国籍喪失者は次の通り:
蓮舫事務所が国籍喪失を確認したいのなら、台湾政府に問い合わせるまでもなく、ネット上で確認できる。この前後の年も見たが、今のところ彼女の名前は見当たらないので、蓮舫氏が今年の9月6日まで中華民国籍をもっていたことはほぼ確実だ。また彼女に中華人民共和国の国籍法は適用されないので、国籍を自動的に喪失することもありえない。
公示されるのは来年1月なので、代表選挙の投票日である15日までに二重国籍が解消される見通しはない。これまで彼女がたびたび「台湾国籍を抜いた」と述べたことも経歴詐称にあたり、官庁でも企業でも解雇理由になる(軽犯罪法違反)。民進党の選管は、彼女が違法状態のまま代表に就任することを認めるかどうか、見解を明らかにしてほしい。
追記:「毎年1月最初」という情報は誤りで、他の月にも記載があるようだ。本人に届けを出した記憶がないので、あるはずがないが、マスコミ各社は今年までの毎月の官報をチェックしてください。
追記2:この記事から1日たったが、残念ながら父親「謝哲信」の名前は外国人登録証紛失者に出てきたが、台湾政府の官報に「謝蓮舫」の名前はなかった。台湾のIDがあれば電子的に検索できるので、一発でわかる。
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51983847.html
- 国際板リンク: ヒューマン・バラク・オバマ 第4回:大統領は二重国籍?〜「生まれつきのアメリカ人」とは 戦争とはこういう物 2016/9/16 10:07:22
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