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日露領土交渉の行き詰まりをどう打開するか/「日ソ共同宣言」60周年にあたって 日本共産党幹部会委員長 志位和夫
http://www.asyura2.com/16/senkyo214/msg/632.html
投稿者 gataro 日時 2016 年 10 月 19 日 13:43:20: KbIx4LOvH6Ccw Z2F0YXJv
 







 

「しんぶん赤旗」 2016年10月19日(水)
日露領土交渉の行き詰まりをどう打開するか
――「日ソ共同宣言」60周年にあたって
2016年10月18日 日本共産党幹部会委員長 志位 和夫
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-10-19/2016101903_01_0.html  

 日本共産党の志位和夫委員長が18日、発表した日露領土問題に関する提言「日露領土交渉の行き詰まりをどう打開するか――『日ソ共同宣言』60周年にあたって」の全文を紹介します。

 12月15日、ロシア・プーチン大統領が来日し、日露首脳会談が予定されている。首脳会談では、領土問題が大きな焦点となるとされている。

 安倍首相は、日露領土交渉に「新しいアプローチ」でのぞむというが、その中身はさだかではない。首脳会談にあたって、日本政府が、交渉にのぞむ論建てを、国際法的にも明確に整理してのぞまないと、日露領土交渉の行き詰まりが打開できないばかりか、重大な落とし穴に落ち込む危険もあることを、危惧している。

 1956年10月19日の「日ソ共同宣言」から60周年にあたり、日露領土交渉の行き詰まりをどう打開するか。この60年の日露(日ソ)領土交渉から教訓を引き出し、今後に生かすことが求められる。

 日本共産党は、日露(日ソ)領土問題の解決の政策として、(1)北海道の一部である歯舞、色丹については、中間的な友好条約によって速やかな返還を求める、(2)千島列島返還を内容とする平和条約を締結する――という段階的解決を主張してきた。

 今後の日露領土交渉が踏まえるべき基本点について、次の三つの点を提起したい。

1、歯舞、色丹の「2島先行返還」はありうることだが、その場合は、中間的な条約と結びつけて処理することとし、平和条約は、領土問題が最終的な解決にいたった段階で締結すべきである。

 日露領土交渉にかかわって、「歯舞、色丹の『2島先行返還』で日露平和条約を締結する」という方針が政府内で浮上してきたとの報道がなされている。

 ことの真偽は不明だが、日本政府が、歯舞、色丹、国後、択捉を一体に扱う「4島一括」の方針を見直し、北海道の一部である歯舞、色丹の「2島先行返還」を求めるというなら、そのこと自体は、道理にかなったことである。

 問題は、この段階で日露平和条約を締結するということが報じられていることである。平和条約が締結されれば、それにどんな留保条件をつけようと、両国間の国境の公式の画定という意義を事実上持つことになる。仮に「2島返還」の段階で平和条約を締結すると、それ以上の領土返還交渉の道が事実上閉ざされることになる。

 1956年の「日ソ共同宣言」のさいに、ソ連側は歯舞、色丹の「引き渡し」を認めながら、それを平和条約締結と結びつけ、歯舞、色丹の「引き渡し」で日ソ間の領土問題を終結させるという態度をとった。仮に「2島返還で平和条約」ということになれば、1956年の「日ソ共同宣言」当時のソ連側の主張への全面屈服となり、歴代日本政府の60年にわたる立場の自己否定となることを指摘しなければならない。

2、この60年間にわたって、日露領土問題が前進してこなかったのは、「国後、択捉は千島列島にあらず。だから返還せよ」という日本政府の主張が、歴史的事実にてらしても、国際法的にも、通用しない主張だったことにある。このことを正面から認め、領土交渉の方針の抜本的な再検討を行うことが必要である。

 1951年に締結されたサンフランシスコ平和条約は、2条C項で「日本国は、千島列島……に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」と宣言している。日本政府は、この宣言を不動の前提として領土交渉を進めるために、「国後、択捉は千島列島にあらず。だから返還せよ」という主張をしてきた。

 この主張は、得撫以北の北千島を最初から領土要求の対象にしないという根本問題にくわえて、国後、択捉の南千島についての返還の主張としても、国際法的にまったく根拠のないものである。

 ――1951年のサンフランシスコ会議で、日本側全権の吉田茂首相は、演説のなかで、択捉、国後の両島を「千島南部の二島」と呼び、得撫などについても「得撫以北の北千島諸島」と呼んで、その全体を「千島列島」とみる立場を、明確に表明している。アメリカ側全権のダレス国務長官の演説にも「千島列島」に触れた箇所があるが、明らかに南北千島の全体を含むものとして、この言葉を使っていた。

 ――サンフランシスコ平和条約を批准した日本の1951年の国会では、「(サンフランシスコ)条約にある千島列島の範囲については、北千島と南千島の両者を含むと考えております」(西村熊雄条約局長)という見解が、日本政府の公式見解として繰り返し表明されている。

 ――「国後、択捉は千島列島にあらず」という主張は、アメリカの入れ知恵で、1955年になって突然開始されたものだった。日本政府は、1955年に米英仏3カ国に対して、“サンフランシスコ平和条約でいう「千島列島」とは、国後、択捉両島を含まないものと理解していたか”という「質問」を出したが、アメリカの回答は「日本が択捉、国後を千島列島の一部でないという理由で日本に返還するよう、ソ連を説くことになんら反対するものではない」というものであり、イギリスの回答は「米国の見解に同意を表明しえない」、フランスの回答は「サンフランシスコ会議議事録は、千島の範囲に関し言及している。特に日本代表が国後、択捉を南千島として言及していることに注意を喚起する」というものだった。条約締結の国際会議および批准した国会で表明した見解を、後になって覆す主張を行っても、世界に通用するものではない。

 「国後、択捉は千島列島にあらず。だから返還せよ」という主張が破たんしたことは、60年間の日露領土交渉の全体が証明している。この事実を直視し、日本政府として大胆に領土交渉の方針の再検討を行うことが求められている。

3、日露領土問題の根本は、「領土不拡大」という第2次世界大戦の戦後処理の大原則を踏みにじって、「ヤルタ協定」で「千島列島の引き渡し」を決め、それに拘束されてサンフランシスコ平和条約で「千島列島の放棄」を宣言したことにある。この戦後処理の不公正にいまこそ正面からメスを入れるべきである。

戦後処理における不公正を、「領土不拡大」という国際的な道理にたちもどって是正する


 第2次世界大戦のさい、連合国は、「領土不拡大」を戦後処理の大原則にすることを、繰り返し宣言している。対日戦の戦後処理についても、連合国は、1943年の「カイロ宣言」で、「同盟国は自国のために利得も求めず、また領土拡張の念も有しない」こと、日本は「暴力及び貧欲により日本国の略取したる……一切の地域から駆逐される」ことを宣言している。これは、「領土不拡大」という国際的な民主主義の道理に合致したものだった。

 1945年のヤルタ会談で、ソ連のスターリンが、対日参戦の条件として、「千島列島の引き渡し」を要求し、その要求に米英側が応じ、「ヤルタ協定」に書き込まれたことは、「領土不拡大」という戦後処理の大原則に明白に違反する不公正なものだった。さらに、1951年のサンフランシスコ平和条約のさい、アメリカの要求で「千島列島の放棄」の条項が入れられたことは、「ヤルタ協定」の不公正の延長線上にたったものであり、これも「領土不拡大」という大原則に背く不公正なものだった。

 日露領土問題を解決する中心点は、戦後処理におけるこの不公正を、「領土不拡大」という国際的な道理にたちもどって是正することにある。


「ヤルタ協定」「サ条約」の不公正に目をつぶり続ける姿勢を根本から改めよ


 日本政府は、「千島列島」「国後、択捉」について、「カイロ宣言」が言う「暴力及び貪欲により略取」された地域に当たらないと主張している。そうであるなら、なぜサンフランシスコ平和条約で、日本は「千島列島の放棄」をしたのか。それは「カイロ宣言」の「領土不拡大」の大原則に反するものではないのか。この大問題について、日本政府から納得のいく説明は、この60年間にわたって一度も行われていない。

 日本政府は、「ヤルタ協定」における「千島列島の引き渡し」について、「領土問題の最終的処理につき決定したものでなく、領土を移転するようないかなる法律的効果を持つものでない。日本はこの協定に拘束されるものではない」と、「ヤルタ協定」の法的効果は否定している。しかし、この協定が「領土不拡大」という戦後処理の大原則に反する不公正な取り決めだったことを批判したことは一度もない。

 日本政府は、「ヤルタ協定」およびサンフランシスコ平和条約において、「領土不拡大」という戦後処理の大原則に反する不公正が行われたことに、目をつぶり続けるという姿勢を根本的に改め、国際的な民主主義の道理に立って、この不公正に正面からメスを入れるという姿勢に転換すべきである。


「サ条約」の千島関連条項を廃棄・無効化し、千島列島全面返還の交渉を


 「領土不拡大」の原則にたつ以上、日露両国が戦争などの手段に訴えることなしに国境を画定しあった平和的な領土交渉の到達点を、日露両国間の国境画定の土台に据えることは、当然のことである。すなわち、1855年の日魯通好条約、1875年の樺太・千島交換条約の結果、全千島列島が日本の歴史的領土となった。日露領土交渉にあたっては、この到達点を土台に据えるべきである。

 日本政府は、「ヤルタ協定」の「千島列島の引き渡し」、それに拘束されたサンフランシスコ平和条約での「千島列島の放棄」は、「領土不拡大」という第2次世界大戦の戦後処理の大原則に背く不公正なものだったことを正面から認めるべきである。サンフランシスコ平和条約の千島関連条項を廃棄・無効化し、千島返還を要求する国際法上の立場を確立して、千島列島の全面返還を内容とする平和条約締結の交渉を行うべきである。この立場の交渉を行ってこそ、国後、択捉の返還の道も開けてくる。

 いったん結んだ条約を廃棄・無効化することは、決して不可能ではない。サンフランシスコ平和条約についても、第3条は、沖縄に対する日本の主権を否定しており、廃棄の手続きはとられていないが、この条約の壁を超えて、沖縄の本土復帰は現実のものとなっている。いったん結んだ条約であっても、そのなかに国際的な民主主義の道理にてらして問題点があれば、それを是正することはできるのである。

 スターリンが、第2次世界大戦の時期に行った覇権主義的な領土拡張のうち、バルト3国の併合、ポーランドの一部地域の併合など、ほとんどがすでに解決をみている。スターリンが進めた不当な領土拡大で、当事国が是正を求めているにもかかわらず今日まで残されているのは、千島列島だけである。

 日本政府が、戦後処理の不公正を正すという立場に立つことこそ、回り道のように見えても日露領土問題を解決する唯一の道であること、それこそが「日ソ共同宣言」から60周年の歴史の教訓であることを強調したい。

 ●サンフランシスコ会議での吉田茂・日本政府代表の発言(1951年9月7日の全体会議)

 「日本開国の当時、千島南部の二島、択捉、国後両島が日本領であることについては、帝政ロシアもなんらの異議を挿(は)さまなかったのであります。ただ得撫以北の北千島諸島と樺太南部は、当時日露両国人の混在の地でありました。…平和的な外交交渉を通じて樺太南部は露領とし、その代償として北千島諸島は日本領とすることに話し合いをつけたのであります」

 ●サンフランシスコ条約の批准国会での外務省・西村熊雄条約局長の答弁(51年10〜11月)

 「条約にある千島列島の範囲については、北千島と南千島の両者を含むと考えております」「この千島列島の中には、歯舞、色丹はこれは全然含まれない。併し(しかし)国後、択捉という一連のそれから以北の島は、得撫・アイランド、クリル・アイランドとして全体を見ていくべきものではないか」


 




 

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コメント
 
1. 新共産主義クラブ[2424] kFaLpI5ZjuWLYINOg4mDdQ 2016年10月19日 14:19:52 : dY7KlgRDmI : FdxbIpQKUsc[1]
 
>平和条約は、領土問題が最終的な解決にいたった段階で締結すべきである。
 
 本来の共産主義は、グローバリズムだと私は思いますが。
 
 国家の固有の領土というのは、暫定的な概念だと思います。
 
 地球上の全ての土地や天然資源、生産手段は全ての地球に住む人によって私的(してき)に共有(きょうゆう)し、全ての生活手段は私的に私有するというのが、共産主義社会の本来の姿だと、私は思います。
 
 現在に生きる人、将来に生きる人の平和のために役立つロシアとの平和条約の締結であれば、反対する必要はないと思います。
 
 ただし、安倍政権がロシアとの平和条約締結を急ぐ背景には、中国に対する戦争の計画があると考えられます。
 
 例えば、日ソ中立条約(1941年4月13日署名、1941年4月25日発効)の締結の3ヵ月後の1941年7月28日に日本軍は南部仏印へ進駐を開始しました。
 
 安倍政権がロシアとの平和条約締結を急ぐ背景には、南シナ海における自衛隊と中国軍との衝突を急ぐ思惑があることを暴露すべきだと思います。
 

2. 罵愚[4235] lGyL8A 2016年10月19日 14:54:44 : UYexk2abv2 : RIiWuu7OIh4[11]
 日本共産党については下記の討論会が詳しい。
https://www.youtube.com/watch?v=BP6knYTjWnc

3. 雅則[371] ieuRpQ 2016年10月19日 15:06:09 : xn6KEm5ovs : B0BV3@N4oQo[26]
皆様見ていると随分欲張りだと思う。日本の国土でさえ。耕作放棄地過疎地域など沢山あり。国有化して生かす道を考えるべきだ。北方4島はソ連の日本への参戦でロシアが得たものである。戦争すれば損をするばかりである。ロシア北朝鮮韓国中国と戦争して日本が存続できると思っているのか危険な原発が北海道。青森を始め列島中に並んでいる。出来て100年も経たないうちに福島の原発の放射能の様に地元民が安心して生活を送ることの出来ない。土地を産み出した核等用いないでも
原発を狙われれば日本列島は人間の住めない国に成る。今大切な事は決して戦争はしない事だ。太平洋戦争の戦災から学んだ国民が憲法9条戦争の放棄の平和憲法を産み出した。外務大臣重光葵の国連加盟国に成った時の米ソの平和の懸け橋になり世界平和の為に貢献する国家に成ると宣言したように今こそ日露平和条約を結びアジアの国々と助け合って行く事が最大の国益である。中東シリアイラクなど戦争が終わればアメリカ合衆国も平和な道に進むだろう。戦後のゼロから遣り直そう。世界に信用される国家に成る様に努力しよう。

4. 罵愚[4236] lGyL8A 2016年10月19日 17:02:10 : UYexk2abv2 : RIiWuu7OIh4[12]
>北方4島はソ連の日本への参戦でロシアが得たものである。戦争すれば損をするばかりである。

 でも、反対にロシアは日ソ中立条約違反の戦争をして得をしてるじゃん?


5. 2016年10月19日 17:20:02 : rrhrFN6JLd : C6EI10g_Gy4[1455]
>>4アメリカがソ連に参戦するよう促したんだろ。千島列島進呈するからって。アメリカはタプルスタンダードで成り立ってる国だ。

6. 2016年10月19日 19:21:16 : 9QewkUGcqk : 4QXc8C8kgnU[4]
志位はアメリカの要望を代弁している。アメリカは日露平和条約の締結だけは防ぎたい。日本がロシアと手を結べば中国とも手を結ぶとこになる。その条件が整った時に放り出されるファクターはアメリカだけだ。それをアメリカはよく理解しているため、北方領土問題が解決しては困るし、日朝国交回復も許せない。

アメリカは日本を橋頭堡化してはじめて極東アジアへ介入する口実ができる。
そして橋頭堡を失えば大平洋へ追い落とされる。
安倍(の背後霊)が何者なのかは知らないが、アメリカ大好きっ子ではないようだな。


7. 罵愚[4240] lGyL8A 2016年10月20日 05:41:59 : UYexk2abv2 : RIiWuu7OIh4[16]
>>5
 論点がズレてるよ、

8. 罵愚[4241] lGyL8A 2016年10月20日 05:58:58 : UYexk2abv2 : RIiWuu7OIh4[17]
>>6
>アメリカ大好きっ子ではないようだな。

 70年間、首根っこをつかまれてきたが、アメリカの凋落があらわになってきて、やっと、すこしだけ、言いたいことが言える状況が生まれつつあるってところかなぁ…しかし、この状況は裏返すと共産支那の膨張には自力で対処しなければならないし、ロシアとの外交も自前でやらなければならない。喜んでいいのか、泣きたくなるのか、微妙な時代だな。
 国民の大半は、いまだに…大阪の警察官が沖縄でつぶやいたように、自分の国は自分で守るって市民感覚をもてない"植民地土人"の状態で、独立国の国民なんて呼べるような人たちではないのだから、あぶない状況ともいえる。


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