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トランプ不動産を買いあさるロシアのエリート層 ドル円3つのシナリオ 不安先行トランプ円高は短命か 森友問題キーマンリスク
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投稿者 軽毛 日時 2017 年 3 月 27 日 18:44:41: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

News | 2017年 03月 27日 11:57 JST 関連トピックス: トップニュース
特別リポート:
トランプ不動産を買いあさるロシアのエリート層


 3月17日、ロイターが公文書やインタビュー、企業の記録を調べたところ、ロシアのパスポートあるいは住所をもつ少なくとも63人が、フロリダ州南部にある「トランプ」の名を冠した豪華タワーマンション7棟で、少なくとも総額9840万ドル(約110億円)に上る物件を購入していたことが分かった。写真はフロリダ州サニーアイルズビーチにあるトランプパレス。13日撮影(2015年 ロイター/Joe Skipper)

[マイアミ/モスクワ 17日 ロイター] - 昨年の米大統領選に出馬した実業家ドナルド・トランプ氏は、選挙期間中、ロシアとビジネス上の関係はないと述べていた。大統領に就任してからは、より断固たる態度で、そうした関係を否定している。

「私自身の考えを言えば、ロシアでは何も所有していないと断言できる」と、トランプ大統領は先月、記者会見でこう述べた。「私はロシアにローンはないし、いかなる取引もしていない」

しかし米国では、事情は異なるようだ。ロシアのエリート層が「トランプ」ブランドの不動産を買いあさっているからだ。

ロイターが公文書やインタビュー、企業の記録を調べたところ、ロシアのパスポートあるいは住所をもつ少なくとも63人が、フロリダ州南部にある「トランプ」の名を冠した豪華タワーマンション7棟で、少なくとも総額9840万ドル(約110億円)に上る物件を購入していたことが分かった。

トランプ不動産を買うロシア富裕層
トランプ不動産を買うロシア富裕層
購入者には、軍事・情報施設の建設に関わっているモスクワに本社を置く国営建設会社の元幹部や、サンクトペテルブルクにある投資銀行の創設者、そして銀行取引や不動産や電子機器の卸売業に従事するコングロマリット(複合企業)の共同創設者など、政治的なコネクションを持つビジネスマンが含まれている。

また、ロシア権力層で第2、第3の階層にいる人物たちもトランプ氏の不動産に投資している。

フロリダにあるトランプ・ブランドのマンションを購入したロシア人投資家をロイターが調査したところ、トランプ大統領もしくは、彼の不動産会社が不正を行っているという兆候は見られなかった。また、購入者にロシアのプーチン大統領の側近は含まれていないようである。

米ホワイトハウスはロイターからの質問をトランプ氏が経営していたトランプ・オーガニゼーションに照会した。同社のアラン・ガーテン最高法務責任者(CLO)は、ロシアとトランプ大統領のビジネスとの関係に対するそのような調査は見当違いだと主張している。

「これはメディアが創り出した誇張された話だと言える。私はこの会社にずっとおり、取引についてよく分かっている」とガーテン氏はインタビューでこう答えた。

こうしたロシア人投資家たちは保守的なのかもしれない。分析からは、トランプ氏が所有するタワーマンション7棟、計2044戸のうち、約3分の1に当たる少なくとも703戸が、有限会社(LLC)名義であることが明らかとなった。LLC名義となれば、真の所有者の身元を隠すことが可能であり、購入者の国籍も判然としない。

ロシアの住所やパスポートを使わなかったロシア系米国人は、今回の集計に含まれていない。

<サニーアイルズ>

ロイターの調査がフロリダ州に焦点を当てたのは、同州にトランプ・ブランドの不動産が集中しており、他州よりも同不動産の購入者を特定しやすかったからである。

リゾート地のサニーアイルズビーチには、フロリダに存在するトランプ・ブランドのタワーマンション7棟のうち6棟がある。同地はまた、別の意味でも傑出している。米国勢調査データによると、サニーアイルズにある不動産を含む郵便番号の地域には、推定1200人のロシア生まれの住民がおり、米国で最多となっているという点だ。

トランプ・オーガニゼーションは、世界中で展開するブランド戦略と同様に、自社のウェブサイトでフロリダ州にある全7棟のタワーマンションを広告している。これらタワーマンションからトランプ氏がどれだけ所得を得ているかは正確には分からない。

タワーマンション7棟のうち6棟は、トランプ氏が2001年に米国人不動産デベロッパーのデザー父子とライセンス契約している。同契約の下、不動産にはトランプ氏の名を冠し、同父子が管理している。

息子のヒル・デザー氏はインタビューのなかで、同プロジェクトは初期販売で20億ドルを売り上げたと語った。そこからトランプ氏は手数料を得たという。秘密保持契約を理由に、手数料の金額について同氏は語らなかった。一方、トランプ・オーガニゼーションのガーテン氏は、トランプ氏が定額と歩合の両方から所得を得ていたと述べたが、詳細は明らかにしなかった。

ヒル・デザー氏。フロリダ州サニーアイルズビーチで13日撮影(2017年 ロイター/Joe Skipper)
ヒル・デザー氏。フロリダ州サニーアイルズビーチで13日撮影(2017年 ロイター/Joe Skipper)
フロリダ州マイアミの大手不動産デベロッパーであるエドガルド・デフォルトゥーナ氏の推計によると、同様のブランド化されたプロジェクトに支払われた標準的な料金に基づくと、トランプ氏が初期販売で得た手数料は1─4%だという。だとすると、トランプ氏はサニーアイルズのタワーマンションで計2000万─8000万ドルを得たことになる。

トランプ大統領は、フロリダ州にある7棟すべてのタワーマンションでその後に販売された分の手数料は受け取っていない。

だが、昨年の大統領選中に提出された資産報告書によると、トランプ大統領はサニーアイルズにある6棟のうち1棟からは今でも利益を得ている。トランプ氏は「Trump Marks Sunny Isles I LLC」という企業から10万─100万ドルを受け取ったと報告書にはある。デザー氏によると、こうした資金は、ホテルとマンションの複合施設「トランプ・インターナショナル・ビーチ・リゾート」から得たものだという。

左から、トランプロワイヤル、トランプパレス、トランプ・インターナショナル・ビーチ・リゾート。サニーアイルズビーチで13日撮影(2017年 ロイター/Joe Skipper)
左から、トランプロワイヤル、トランプパレス、トランプ・インターナショナル・ビーチ・リゾート。サニーアイルズビーチで13日撮影(2017年 ロイター/Joe Skipper)
トランプ氏は、フロリダ州ハリウッドにあるもう1つのタワーマンション「トランプハリウッド」からの所得を申告していない。同マンション200戸から同氏が長年どのくらい稼いだかは不明だ。

差し押さえ物件の競売で180戸を引き受けた投資ファンドBH3は、トランプ氏に1戸当たり2万5000ドルのライセンス料を支払ったと、同ファンドの共同創設者ダニエル・レベンソーン氏は述べた。もし残りの20戸からも同額のライセンス料を得ていたのであれば、トランプ氏は500万ドルを手にしていたことになる。

ガーテン氏はトランプ氏の手数料について確認するのを差し控えた。

トランプハリウッドのサイン。フロリダ州ハリウッドで14日撮影(2017年 ロイター/Joe Skipper)
トランプハリウッドのサイン。フロリダ州ハリウッドで14日撮影(2017年 ロイター/Joe Skipper)
<ロシアのエリート層>

タワーマンションへの投資は、プーチン大統領率いるロシアにおいて、同国の富裕層が、キャッシュをしまい込むのに外国の不動産をいかに利用しているかを垣間見せてくれる。

購入したロシア富裕層の1人はアレクサンドル・ユズビク氏だ。フロリダ州の不動産登記簿によると、同氏と妻は2010年、サニーアイルズにあるトランプパレスの3901号室を130万ドルで購入している。同物件は約195平方メートルの広さで、3つの寝室があり、パノラマビュ−を楽しめる。

ユズビク氏は2013年から2016年まで、軍事施設で建設プロジェクトを行う国営企業、Spetstroiの上級役員だった。

同社ウェブサイトによると、ロシア情報機関の連邦保安局(FSB)のモスクワにある訓練学校で建設プロジェクトに同社は関わっていた。また、ロシア軍の情報機関、参謀本部情報総局(GRU)一般幕僚の本部棟の建設にも関与している。

同社がロイターに送った書簡によると、ユズビク氏は2016年3月に辞任している。

一部のロシア国営企業の職員は通常、資産や所得の公開が求められる。ユズビク氏と妻は2013年の資産を申告している。公開されているその申告書には、ロシア国内の資産しか計上されておらず、米フロリダ州のマンションは含まれていない。

この件について、ユズビク氏からコメントを得ることはできなかった。

もう1人のマンション所有者、アンドレイ・トルスコフ氏は、持ち株会社「アブソルート・グループLLC」の創設者であり、共同オーナーである。同社は電子機器卸売業や銀行取引、不動産開発を行い、モスクワ、ロンドン、ニューヨークでプロジェクトを展開している。電子機器卸売業はロシアで最大だと、同社の代理店はロイターに語った。同社は財務諸表を公表していない。

トルスコフ氏は2011年、トランプハリウッドの1102号室を140万ドルで購入。約290平方メートルの広さで3つの寝室を備えている。

トルスコフ氏は電話インタビューで、トランプハリウッドの1戸を購入したことを認めた。フロリダのマンションは当時、モスクワ郊外の3部屋ある物件と同額で、不動産を所有するにはフロリダは良い場所だったと同氏は語った。また、購入は個人的決断であり、ビジネスとは関係ないと述べた。

ロシアでのインタビューやフロリダ州の公文書、ビューロー・ヴァン・ダイク社の企業データベース「オービス」によると、ロシア富裕層の購入者の何人かは、モスクワとサンクトペテルブルクの同国2大都市の出身だった。

そのなかの1人に、アレクセイ・ウスタエフ氏がいる。同氏はサンクトペテルブルクにあるバイキング銀行の創設者である。同銀行は、共産主義体制の崩壊後、ロシアで初めて設立された民間投資銀行の1つだ。

同行のウェブサイトに掲載されているプロフィールによると、ウスタエフ氏は、サンクトペテルブルクの児童養護施設やチェスクラブへの寄付によってロシアのスポーツ省から表彰されている。また、銀行業務や慈善活動が評価され、同市の商工会議所からも表彰を受けている。

<地方の有力者>

フロリダ州の公文書によると、ウスタエフ氏は2009年、サニーアイルズにあるトランプパレスの5006号室を120万ドルで購入。その2年後には、近くで開発されたトランプロワイヤルのペントハウスを520万ドルで購入している。

ウスタエフ氏は電子メールでの質問に対し、これら物件の購入は私的に使用するためだと回答したが、同氏の家族が米国で行っている事業についてはコメントしなかった。「私はロシアに住み、仕事をしている。海外に行くのは仕事か休暇に限られている」と同氏は述べた。

一方、ロシア人購入者の多くは地方の有力者で占められている。その1人がオレグ・ミゼブラ氏だ。同氏は炭鉱業界の大物で、交通警察の責任者を務めた経歴の持ち主。同氏の会社の主な資産は極東サハリンにある。

ミゼブラ氏は2010年、プーチン大統領の目にとまった。与党「統一ロシア」の集会で、大統領は同氏の仕事を称賛し、同氏との質疑応答に長時間を費やした。

ミゼブラ氏が傘下に置く企業「Swiss Residence Aliance Inc」は2010年、トランプハリウッドのペントハウス1号室を680万ドルで購入している。広さ約760平方メートル、天井の高さは約3.7メートルで、6つの寝室を備えたメゾネット仕様である。同氏はロイターのコメント要請に回答しなかった。

こうしたロシア人購入者の一部は米国でうまくやっているように見える。地方政治家のワジム・バレリエビッチ・ガタウリン氏はトランプハリウッドの部屋を、フロリダ州に登録している会社「VVGReal Estate Investments LLC」を通して350万ドルで購入した。

それから5年後、ガタウリン氏は同物件をデラウエア州にある有限会社に410万ドルで売却している。この有限会社の所有者については、州の記録に記載されていない。

ガタウリン氏はまた、2012年初めにも同じくトランプハリウッドの2701号室を92万ドルで購入しているが、数カ月後にはベネズエラ出身の夫妻に110万ドルで売却している。

ガタウリン氏はロシア連邦を構成する半自治のバシコルトスタン共和国出身。地方の副検事の息子として生まれ、自身も2013年から2015年まで地方議会の議員を務めた。

地方議会議員として、ガタウリン氏はロシア連邦法のもと、所得と資産を申告する義務がある。同氏が2013年に提出した所得申告書のコピーには、当時トランプハリウッドに所有していた2つ目の物件は含まれていなかった。

バシコルトスタンにあるガタウリン氏の会社に送ったメッセージに同氏は返答しなかった。

<バイカーの友人>

ガタウリン氏は最近、フロリダ州マイアミの都市圏で活発に投資している。同氏の会社は2012─2016年、ブロワード郡の不動産に少なくとも2800万ドルを費やしている。また、同社は2015─2016年にマイアミ・デイド郡の不動産6件を購入・売却し、計23万8400ドルの利益を上げている。

ガタウリン氏の会社は同州ハリウッドのビーチに近い小さなモーテルも登記している。モーテルの従業員はロイターに対し、ガタウリン氏が「ゴーストのように現れては消える」とし、現在はロシアにいると語った。一方、ロシアにあるガタウリン氏の持ち株会社の秘書は3月17日、同氏はロシアにいないと話した。

ガタウリン氏が所有するモーテル。フロリダ州ハリウッドで14日撮影(2017年 ロイター/Joe Skipper)
ガタウリン氏が所有するモーテル。フロリダ州ハリウッドで14日撮影(2017年 ロイター/Joe Skipper)
トランプ氏の不動産を購入したロシア人の一部にとって、米国での経験は良いことばかりではないようだ。パベル・ウグラノフ氏はロシア西部サラトフ州政府で2010─2011年、産業・エネルギー副大臣を務めたことのある事業家である。

ウグラノフ氏は2012年、トランプハリウッドの3704号室を180万ドルで購入。その2年後、3寝室ある広さ約315平方メートルの同物件を290万ドルで売却した。

それより以前、ロシアでウグラノフ氏は、2006年と2011年に州都サラトフ市議会選に出馬したが落選している。2度目は与党「統一ロシア」に所属しての出馬だった。2011年に副大臣辞任後、同氏は当時妻だったアナスタシアさんに、フロリダに移住すると告げた。

アナスタシアさんは、マイアミのマンションで行われたインタビューで、元夫のウグラノフ氏が移住の理由を一度も言わなかったと話す。「男の人が何を考えているか見当もつかない」と彼女は言う。

ウグラノフ氏はマイアミでガソリンスタンドを開業したが、経営不振に陥り売却した。その後、チャーター船ビジネスと運送業を始めるが、どちらも振るわなかった。

米国ではロシア国内でのような人脈はなく、米国流ビジネスの方法も分からなかったと、アナスタシアさんは言う。

ウグラノフ氏は昨年8月、ロシアのバイク集団「夜のオオカミたち」のリーダーであるアレクサンドル・ザルドスタノフ氏と一緒に写る自身の写真をフェイスブックのページに投稿した。同集団とザルドスタノフ氏は、米国による経済制裁対象となっており、同国への入国も制限されている。

ロシア大統領府のウェブサイトによると、ザルドスタノフ氏はプーチン大統領と複数回、面会している。大統領は2013年、同氏に「栄誉勲章」を授与している。

ウグラノフ氏は先月後半、電話でのインタビューのなかでトランプ氏のタワーマンション購入を認めたが、これは個人的な問題だとして、質問に答えることを拒否した。「要するに、私の私生活はあなたたちに関係ないということだ」と同氏は語った。

<やり手の仲介者>

トランプ氏のビジネスパートナーである前出の米国人不動産デベロッパーのヒル・デザー氏は、フロリダ州サニーアイルズにあるタワーマンション6棟が、同氏の家族やトランプ家、またサニーアイルズに成功をもたらしたと考えている。

左からトランプタワー1、同2、同3。サニーアイルズビーチで13日撮影(2017年 ロイター/Joe Skipper)
左からトランプタワー1、同2、同3。サニーアイルズビーチで13日撮影(2017年 ロイター/Joe Skipper)
デザー氏や同氏の会社の元従業員らによると、ホテルを含むこれら不動産が建設あるいは宣伝されていた2001年から2011年の間、トランプ氏は少なくとも4回は現場に足を運んだという。トランプ氏が建物の外観に同意していたとデザー氏は語る。

「トランプ氏の関係者は品質管理と建設にとても関与していた」とデザー氏。「毎四半期ごとにやって来ては、進捗を確認していた。私たちがちゃんと利益を上げているか確認したがった」

デザー氏によると、住宅市場が崩壊した2008年、トランプ氏のタワーマンション900戸がデフォルト(債務不履行)した。デザー氏はその後何年もかけて、債権者に返済すべく懸命に努力したという。これら900戸が売却されるまで、トランプ氏はそこから稼ぎを全く得ていないと、同氏は付け加えた。

デザー氏と地元の不動産仲介業者によると、外国人の買い手がトランプ氏の不動産を購入し始めたのは、住宅市場の崩壊後にデベロッパーが価格を引き下げてからだという。主な買い手は南米出身者で、ロシア人や旧ソ連出身者の割合は小さかった。

デザー氏によると、2011年初めまでにトランプ氏の不動産は利益を上げ始めた。デザー氏は4億7500万ドルあったローンの完済を祝うパーティーにトランプ氏を招待した。そこで、トランプ氏から大統領選に出馬する計画を聞かされたという。

デザー氏と同氏の父親であるマイケル氏、そしてトランプ氏は上機嫌で大量のローン書類に火をつけ、トランプ氏の不動産を借りている人や地元のビジネス関係者らから拍手喝采を受けた。パーティーの様子を撮影したビデオには、笑顔を絶やさず、冗談を飛ばし、集まった人たちをもてなすトランプ氏が写っている。

「マイケル・ジャクソンの髪の毛がペプシの撮影で燃えたとき、一緒にいた。あれはひどかった」と、1984年にペプシのコマーシャル撮影でジャクソンの髪に火がついたときのエピソードを、トランプ氏は披露した。「火のすぐ近くに座っていた。自分の髪だったら、倒産する」

ロシアのプーチン大統領と電話会談するトランプ米大統領。ワシントンのホワイトハウスで1月撮影(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)
ロシアのプーチン大統領と電話会談するトランプ米大統領。ワシントンのホワイトハウスで1月撮影(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)
デザー氏とトランプ氏はマンションを売るのにエレナ・バロノフ氏の力を得た。バロノフ氏は1980年代にソ連から米国に移住した。ウズベキスタン育ちのバロノフ氏は、ソ連の文化協会で活発に活動していた。間もなく同氏は、ロシア人観光客の団体をマイアミに勧誘し始めた。

デザー氏の父、マイケル氏は自分の会社と一緒に働くようバロノフ氏をスカウトした。デザー氏によると、バロノフ氏はロシア人の買い手を呼び込むため、モスクワやサンクトペテルブルク、フランス、ロンドンにまで足を運び、100万─200万ドルの分譲マンションを彼らに売り込んだ。バロノフ氏は2014年に白血病と診断され、1年後に亡くなった。

「彼女(バロノフ氏)の影響力は彼らにとって絶大だった。誰も彼女に取って代わることはできない」とデザー氏は語った。

(Nathan Layne記者、Ned Parker記者、Svetlana Reiter記者、Stephen Grey記者、Ryan McNeill記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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トランプ政策とドル円、3つのシナリオ 
門田真一郎バークレイズ証券 シニア為替・債券ストラテジスト
[東京 27日] - トランプ大統領と共和党指導部は24日、医療保険制度改革法(オバマケア)の改廃法案である「アメリカン・ヘルス・ケア・アクト(AHCA)」の下院採決を撤回した。より完全な撤廃を求める共和党保守派グループ「下院自由議員連盟」などの反対で過半数の票を確保できなかったことが直接的な原因だが、そもそも今回の共和党案は国民の支持も非常に低いものだった。

3月16―21日実施の米キニピアック大学調査によれば、AHCAへの支持率は17%にとどまり、共和党支持者のみでも41%と半数に届いていなかった。

共和党内部の各方面に配慮していった結果、最終的な共和党案は無保険者を今後10年間に2400万人増やす一方、財政赤字の削減幅は1500億ドルと当初案の3370億ドルから大きく縮小するなど、支離滅裂な内容となっていた。

共和党指導部は今後、税制改革に軸足を移していくとしている。税制改革は共和党内でも比較的支持を集めやすいと目されており、市場でも期待感からか24日は株の買い戻しがみられた。ただ、オバマケア改廃交渉の難航はトランプ政権の運営能力に改めて疑問を呈する結果であり、今後の政策シナリオについては幅広い可能性を想定しておく必要があろう。

本稿では、マクロ経済・金融市場への影響が大きいとみられる税制改革と通商政策を中心に、基本シナリオ、強気シナリオ、弱気シナリオの3つの想定に基づいて検討したい。

<2011年以降のドル高トレンド終えんも>

まず基本シナリオでは、抜本的な税制改革を伴わない減税と対象を絞った象徴的な保護主義的通商政策を想定する。減税規模については、国内総生産(GDP)比1%程度の所得税減税と同0.5%程度の法人税減税によって、2018年1―3月期の成長率が1.3%ポイント程度押し上げられると見込んでいるが、昨年11月の大統領選直後の当初想定からは規模・時期ともに前提を後退させている。

通商政策は一部の国に対する業種別の関税適用など象徴的な域を出ないものになると考えている。トランプ大統領が共和党予備選の頃から主張していた中国、メキシコに対する大規模関税などは結局実現に至っていない。

また、その他インフラ投資などの政策は執行に時間を要するものも多く、短期的な景気刺激効果は限定的なものになるだろう。こうした前提の下、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策については今年3回の利上げ(3月、9月、12月)を予想している。

財政拡張の遅延と規模縮小、そして緩やかな利上げは、先行きドル高が小幅にとどまることを示唆している。現在では年内のドル指数の上昇余地は3%程度にとどまり、年末にも2011年以降続いた長期ドル高トレンドがピークを迎えると考えている。ドルはすでに大幅な過大評価水準にあり、他国経済の持ち直しによって米国経済の循環的な優位性が失われる中、ドル高が一服していくとみる。

トランプ政策が短期的な財政刺激に終始し、潜在成長率の押し上げが限定的にものになるとみられる中、米長期金利の上昇余地もかなり限られよう(2017年末の米10年金利を2.5%と予想)。

すでにFRBの年3回の利上げも織り込まれつつある中、米金利上昇によるドルの押し上げも限定的なものとなりそうだ。特に米金利差主導で上昇してきたドル円は今年半ば以降、110円を割り込み、円高が進むとみている。ポンドも実質実効レートではほぼ半世紀ぶりの割安水準にあり、中期的には対ドルで買われやすいとみる。

<弱気シナリオに傾くリスク>

次に、強気シナリオとしては、大規模減税、法人税制の簡素化、国境税調整などを含む抜本的な税制改革が実施された場合を想定している(通商政策は基本シナリオ同様、象徴的な範疇にとどまると仮定)。

国境税調整は実質所得減少を通じて短期的な個人消費の押し下げ圧力となろうが、最終的には税制改革とともに米国内での設備投資拡大につながるとみている。この場合、米国の潜在成長率が押し上げられ、実質金利上昇や資本収益率の改善から長期フォワード金利が押し上げられ、基本シナリオ対比で8―9%のドル高余地が生じよう。

低付加価値生産国の新興国通貨が売り圧力に晒されやすい一方、資本財出荷国(日本、ユーロ圏、スイス、スウェーデンなど)や高付加価値製品を生産する新興国の通貨(一部の東アジア諸国)はアウトパフォームしやすいだろう。

最後に弱気シナリオでは、財政拡張が規模・時期ともに失望を招く結果となり、昨年11月以降に市場で織り込まれてきた政策期待やアニマルスピリットが剥落していくというものだ。経済政策の失敗を受けたトランプ政権は有権者の支持確保に向けて保護主義政策を一層推進するリスクもあろう。この場合、市場の米利上げ期待も大きく後退する中、米金利と米株価が低下し、2011年以降の長期ドル高トレンドが早期に終えんを迎えよう。

市場ではディフェンシブ型ポートフォリオへの資産再配分が進み、安全通貨である円やスイスフランが買われる一方、新興国通貨のうち、世界経済・米国経済の需要ショックに左右されやすい東アジアやメキシコは下落圧力に晒されるだろう。最近のオバマケア交渉の結果を踏まえると、リスクはどちらかというと弱気シナリオに傾いていると思われる。

トランプ政策は米国経済やドルのみならず、グローバルな金融市場に大きな影響を及ぼす。その根幹の1つだったオバマケア撤廃が暗礁に乗り上げた今、他の政策を巡る交渉も一筋縄ではいかないリスクが高まっており、幅広い政策シナリオを想定しておくことの重要性が増している。

*門田真一郎氏は、バークレイズ証券のシニア為替・債券ストラテジスト。2008年にバークレイズ証券に入社し、銀行戦略調査および外債ストラテジーを担当、2013―16年にバークレイズ銀行で為替ストラテジストを務めた後、16年から現職。海外拠点の為替・金利・経済チームとのネットワークを活かし、為替市場見通しのほか、海外経済・政治動向などについて幅広い情報提供を行っている。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)経済学部卒。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

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不安先行のトランプ円高は短命か=尾河眞樹氏
尾河眞樹
尾河眞樹ソニーフィナンシャルホールディングス 執行役員・金融市場調査部長
[東京 27日] - 昨年11月8日に行われた米大統領選後のドル円相場を整理すると、3つのステージに分けられる。第1ステージは、11月8日から1月20日までの「トランプ・ラリー」だ。トランプ大統領の掲げてきた減税やインフラ投資といった景気刺激策への期待から、期待インフレ率と米長期金利が上昇し、米株価とドル円がパラレルに上昇した。

第2ステージは1月20日の大統領就任式から3月15日前後までで、トランプ大統領による保護主義的な発言が目立ったことにより、ドル円は軟調に推移した一方、米株価は続伸。米株価とドル円の相関性が完全に崩れ、「保護主義懸念相場」となった。

そして、3月中旬から足元までの相場は、第3ステージに入りつつある。今度は、米株価とドル円の相関性は戻ったが、これまで堅調だった米株価が反落し、同時にドル安円高が進んでいる。投資家の不安心理を示すVIX指数(別名「恐怖指数」)もじわり上昇するなど、リスクセンチメントがやや悪化しつつあるが、背景にはトランプ政権の「政策実行性への懸念」がある。

<第3ステージのドル安円高進行余地>

きっかけはトランプ大統領が3月16日に発表した、来年度予算の概要(A Budget Blueprint to Make America Great Again)だ。これは、あくまで「裁量的支出」のみをカバーした、いわば予算案の「たたき台」である。これまで期待されていた税制改革やインフラ投資などの詳細は一切含まれていなかったことが失望を誘った。

環境保護や海外への援助、貧困対策などの歳出が2―3割カットされた一方で、国防関連、軍事費や国土安全保障、国境の壁への費用が増額されている。民主党はこの内容に真っ向から反対しているが、共和党の一部有力議員もこれに反対の姿勢を示している。

正式な大統領の予算案である「予算教書」は、通常2月上旬に議会に提出されるが、今回は5月中旬までに詳細が明らかになる予定だ。それを受けて議会で減税法案が2018年度の財政調整措置として審議される。その後ようやく歳出法案が審議されるとなると、歳出法案の成立までには、相当の時間を要することになるだろう。

トランプ大統領と共和党議会の間の溝が深まればなおさらだ。減税法案の可決・成立は、8月の議会休会までに決着がつかなければ、早くて9月末から10月初めになるとの見方もある。2018年度予算は2017年10月から2018年9月までだが、もし歳出法案を新年度までに成立させることができなかった場合は、連邦政府機能の一時閉鎖となるリスクも浮上する。

いずれにせよ、予算をめぐる各法案の審議に時間がかかり、減税やインフラ投資の実行が大きく後ずれしたり、規模が期待外れとなる場合は、市場に失望感が広がるだろう。この場合、米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースも予想より遅くなるとの見方が広がり、ドル安が進行する公算が大きい。

医療保険制度改革法(オバマケア)を巡って米議会がこれほど揉めたことを踏まえれば、そのリスクは排除できない。トランプ政権は3月23日、同日中に予定していたオバマケア代替法案の採決を延期。翌24日、法案を撤回すると表明した。共和党の一部に反対意見が強く、可決に必要な過半数の票を確保する見通しが立たなかったためだ。

共和党内では米国版の国民皆保険制度であるオバマケアの撤廃を望む保守強硬派の議員団が、今回のオバマケア代替法案に強く反対していた。トランプ大統領が同法案撤回後「次は税制改革に取り組む」と述べたことで市場のセンチメントはいくぶん持ち直しているが、今後の議会の動向には不安が残る。

問題は、第3ステージの「政策実行性への懸念」によるドル安円高がこのまま本格的なトレンドになるのか、あるいは一時的なポジション調整にとどまるかだ。中期的に見れば5月の予算教書とその後の議会の動向が鍵を握るが、テクニカル上、短期的にはドル円は下向きの様相を呈している。

日足の一目均衡表は完全に雲を下抜けたほか、週足ベースの一目均衡表も1月中旬以降サポートとして機能してきた雲上限111.40円を割り込んだ。また、2月安値の111.69円をネックラインとするダブルトップが完成したと見れば、107.90円付近まではすでに下落余地が広がっていると考えることもできる。

4月は米財務省による為替報告書の提出や5月にかけて行われるフランス大統領選など、リスクイベントが盛りだくさんであることを踏まえれば、短期的なドル円の下落リスクには警戒したいところだ。

<ドル安円高の長期トレンド化に3つの壁>

ただ、筆者はこの第3ステージは一時的なものにとどまり、長期のドル円の下落トレンド入りを意味するものではないと考えている。第1に、今回の為替報告書で米国が中国を為替操作国に認定する可能性は低いとみている。

米財務省は「為替操作」の判断基準として、1)対米貿易黒字額が年200億ドル超、2)経常収支黒字が名目国内総生産(GDP)比3%超、3)年間のネット外貨購入が対GDP比2%超、の3点を挙げているが、中国は1点目に抵触しているのみで、3点目は自国通貨売りではないため、現段階で「為替操作国」への認定には無理がある。

第2に、フランス大統領選も、世論調査を見る限りでは極右政党の国民戦線・ルペン党首の支持率には若干陰りが見られる。おそらく秘書給与問題などのスキャンダルが影響しているのではないか。

もちろん、選挙が世論調査通りにいかないことは、昨年6月の英国民投票での欧州連合(EU)離脱選択や11月のトランプ大統領当選で実証済みであるため、引き続き警戒は必要だが、オランダの選挙結果からも分かる通り、人々は「チェンジ」を求めてはいるものの「混乱」を求めてはいないようだ。

その点、フランス大統領候補としてニューフェースのマクロン氏は政治家としてのバックグラウンドがなく、「新しさ」や「改革」が期待できる。ルペン氏が当選した場合の市場混乱の可能性も考慮すれば、マクロン氏のほうが今回の選挙では有利であると言えそうだ。

第3に、最も肝心なポイントとして米国経済が足元堅調であることが挙げられる。仮に税制改革法案の成立が遅れ、これが米国経済を押し上げる時期が後ろ倒しになったとしても、米景気が今年、腰折れに至る可能性は極めて低い。

米国のインフレ率は着実に加速しており、減税やインフラ投資の規模が期待されるほど大規模なものでなかったとしても、これらは来年の米国経済を支援しインフレ率を押し上げよう。それを見込んで米金利が再び上昇し始めれば、ドル円は緩やかな上昇トレンドに戻るとみている。

24日にオバマケア代替法案が撤回されても、市場のリスクセンチメントが悪化せず、ドル円も急落していないのは、こうした点が背景にあるのではないか。

複雑で時間がかかりそうなオバマケアはとりあえず棚上げして、トランプ大統領が述べるとおり、税制法案に早々に着手するのであれば、目先テクニカル上のポジション調整は進んだとしても、それは一時的なものにとどまり、ドル円は反転上昇すると考える。

*尾河眞樹氏は、ソニーフィナンシャルホールディングスの執行役員兼金融市場調査部長。米系金融機関の為替ディーラーを経て、ソニーの財務部にて為替ヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析、および個人投資家向け情報提供を担当。著書に「本当にわかる為替相場」「為替がわかればビジネスが変わる」「富裕層に学ぶ外貨投資術」などがある。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

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コラム:森友学園問題、投資家が考えるべき「キーマンリスク」 
Quentin Webb

[香港 24日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 「キーマンリスク」は日本語で何と言うのだろうか。投資家はそれについて考える必要があるかもしれない。

日本の安倍晋三首相の関与も取り沙汰されている学校法人「森友学園」の国有地払い下げ問題について、投資家は差し当たり楽観している。とはいえ、この問題は、あるぜい弱性を際立たせている。

それは、日本で現在展開されている大規模で抜本的な経済見直しは、1人の人物を中心に回っており、そのため同改革は「アベノミクス」と呼ばれているという点だ。

ナショナリズム色の強い教育で知られる大阪の学校法人「森友学園」が国有地を評価額よりも安い価格で払い下げを受けた問題を巡って、同学園の理事長を退任する意向を示している籠池泰典氏は23日、首相からの寄付金として100万円を昭恵首相夫人から受け取ったと参議院予算委員会の証人喚問で発言した。

首相夫妻はそのような支払いをしたこともなければ、同学園に対して、いかなる不適切な支援も行ったことはないと、籠池氏の主張を否定している。

市場は、これを政治的混乱だとはやし立ててはいない。24日午後の早い時点で、東証株価指数(TOPIX)は2月半ばに同問題が発覚して以降、0.5%下落しただけだ。MSCIワールド指数が0.4%上昇したことを考えると、それほど悪くはない。

ただしこうした騒動は、日本を応援する投資家が、安倍首相や首相と緩和策で手を握る日本銀行の黒田東彦総裁にいかに投資しているかを喚起させる。安倍首相が2012年に就任する以前、不人気だった一連の前任者らの在任期間は非常に短いものだった。そのことが、切に求められていた改革の推進をほぼ不可能にさせていた。

対照的に、日本は現在、安定した政治の先導役のように見える。高い支持率を背景に、安倍首相は農業から郵政民営化やコーポレートガバナンス(企業統治)に至る分野において変革にまい進することが可能だ。森友学園の籠池氏が証人喚問を行う前に実施されたある世論調査では、安倍内閣の支持率は低下したものの、56%と比較的高い数字を維持している。

安倍首相が辞任に追い込まれても、明らかな後継者は存在しない。型破りな東京都知事、小池百合子氏がそのうち名乗りを上げるかもしれないが、与党・自民党には傑出した候補者がいない。現在の見通しは、安倍首相が再選を目指し、2020年の東京五輪後も首相の座にあり続けるというものだ。

トップがどう変わっても、これまで進展してきたことが後戻りすることはないだろう。だが国民や政党からの支持が弱い人物が取って代わった場合、新たな政策の導入はより困難となり、官僚からの抵抗も強まる可能性がある。

これまで改革が行われてきたにもかかわらず、日本経済の復活は全くもって道半ばであるため、このことは重要だ。成長率やインフレ率、収益性は低過ぎ、労働市場はあまりに硬直している。投資家にとって、安倍首相抜きのアベノミクスはそれほど魅力的には聞こえないだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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