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日銀の金融緩和に見る行動経済学の「偽薬効果」と「埋没費用の呪縛」(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/132.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 8 月 07 日 13:04:25: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

日銀の金融緩和に見る行動経済学の「偽薬効果」と「埋没費用の呪縛」
https://diamond.jp/articles/-/176645
2018.8.7 大江英樹:経済コラムニスト ダイヤモンド・オンライン


日銀の決定会合を受けても、市場はあまり反応しなかった Photo:PIXTA


プラシーボ効果とサンクコストが
見えてくる日銀の金融政策


 7月30日、31日の2日間にわたって日銀の金融政策決定会合が行われた。今回の会合は、これまでの方針を変更することが示唆されるのではないかという事前の観測もあったため注目を集めたが、大胆な政策転換はなく、株式・為替の市場も大きく反応することはなかった。

 会合の内容についての詳細や、今後の金融・経済の見通しについては多くのエコノミストや評論家がコメントしているし、筆者は金融政策についての専門家ではないので、これに対する評価や特段のコメントは避けたいと思う。

 ただ、2013年以降続いた大胆な金融緩和政策と、最近の政策の傾向を見ていると、心理学や行動経済学の面から非常に興味深いものが見えてくる。一つは「プラシーボ効果」、そしてもう一つが前回このコラム(「『元を取りたい』と思う気持ちは、かえって損を拡大しかねない」)でも取り上げた「サンクコスト」だ。

 そこで今回は、日銀の金融政策を行動経済学の視点から考えてみよう。

株価の値上がりは
プラシーボ効果


 プラシーボ効果というのは「偽薬効果」ともいわれる。病気の患者に本当の薬ではない、ただの栄養剤とか、極端な場合は小麦粉を与えても、心理的な効果で病気がよくなるというものだ。

 なぜそうなるかのメカニズムは完全に解明されていないが、確かな効果があることは多くの実験で実証されている。久留米大学の塚崎公義教授は、以前から度々、日銀の政策によって株価が上がったのはこの「偽薬効果」だと指摘してきた。

 筆者も塚崎教授の意見に同意する。金融緩和策の狙いをごく簡単に言うと、大胆な金融緩和を行えば世の中にお金が出回るはずだ、そうすれば景気がよくなり物価も株価も上がるというものである。ところが、実際には世の中にお金は回らず、物価も上がらず、株価だけは上がった。

 なぜ、そうなったのか。普通に考えれば、世の中にお金が出回ることでその資金が株に向かうと考えるべきだが、実際にはそれほど世の中にお金は回らなかった。にもかかわらず株が上がったこと、それこそがプラシーボ効果なのだ。

 株価というものは、市場に参加する投資家の“期待値”によって形成されるものだ。したがって、金融緩和によって景気がよくなるから株価も上がると信じる人が多く出てくると株価は上昇する。なぜなら、多くの人は景気がよくなると株が上がると考えているからだ。

 ところが、実際は逆のことも多い。つまり景気がよくなるから株が上がるのではなく、株が上がるから景気がよくなるということである。「資産効果」は、その典型といっていいだろう。

 もちろん、投資家の期待感だけで株価が上がっても、それが維持されるとは限らない。アベノミクスの初期においては、プラシーボ効果によって株価上昇が起きたことは事実だと思うが、それだけで株価上昇が続くほど市場は甘くない。確かな企業業績の向上という裏づけがあるからこそ、株価上昇は続いたのだといえよう。

 では、なぜ金融緩和を実施しているにもかかわらず、世の中にお金が回らなくなったか。それは日銀が銀行から国債を買って銀行にお金を供給したにもかかわらず、そのお金が市中に出回ることなく、また日銀の当座預金勘定に戻るということが起きたからだ。

 そこで銀行に対して、これ以上日銀への預け入れを増やさず、市中に資金供給を促すという目的で、2016年2月から実施されたのが「マイナス金利政策」である。しかしながら、銀行の貸し出しが増えないのは銀行だけに理由があるわけではなく、多くの企業が手元に資金を多く保有しているからだ。

 マイナス金利政策は実効性のある政策だろうが、これには副作用も伴う。日銀も当然そのことは十分理解しており、実際に今回の金融政策決定会合においては、金融機関の収益低下や、国債市場の取引の減少といった副作用も配慮された内容になっていることがうかがえる。

政策転換につきまとう
サンクコストの呪縛


 筆者は、そういった副作用の懸念はあるものの、大胆な政策転換も拙速には事を運べないという空気が今回の会合には見て取れると考える。そうした政策転換については常に「サンクコストの呪縛」がつきまとうからだ。

 前回のコラムでも解説したが、サンクコストとは「埋没費用」ともいって、既に払ってしまったので、取り戻すことができない費用のことをいう。前回は「コンコルドの誤謬」という例を挙げてサンクコストについて解説したが、これはコンコルドに限らず、政策においても、企業や組織においても頻繁にみられる現象である。

 例えば、泥沼化した日中戦争で、もし早い時期に撤退していたとしたら太平洋戦争は避けられたかもしれない。あるいは企業でも、コンサルタントを入れて始めたプロジェクトは、多額のコンサル料を支払ってしまっているがゆえに、効果がなさそうだと分かってもそのまま続けてしまっているというのはありがちな話だ。

 筆者は、何となく日銀がこの「サンクコストの呪縛」に陥りはしないかということも懸念している。「ここまで緩和策を続けてきたのに、ここで止めてしまったら、今までの意味がなくなってしまう」という心理だ。

「さすがに一国の金融政策を考えるのに、そういうことはないだろう」と思われるかもしれない。しかしながら、国の重要な政策といえども人間が実行しているわけだから、案外こうした心理的な罠に陥ることはあり得る。特に組織で意思決定する時には、「同調圧力」だって起こりがちだ。そういうことが正しい意思決定を損なう例を、われわれはいくつも見てきた。

 しかしながら、過ぎ去った過去を取り戻すことはできないのだから、サンクコストにとらわれることなく、状況の変化に応じて柔軟に政策は変更した方がいいと考えるべきだろう。

呪縛に陥ることなく軌道修正した
日銀の金融政策決定会合


 もちろん金融政策の変更という重大な事項はアナウンスメント効果が大きいので、不用意に政策方針の変更を発表すれば大きな混乱を招く恐れがある。そういう意味で今回の会合では、サンクコストの呪縛に陥らないよう方針変更を前面に出さず、上手に軌道修正していこうという空気が見て取れるように思える。

 世界では米中貿易戦争を始めとして、保護主義の空気が高まりつつある。そんな状況の中では、国内の景気をしっかり維持していくことは極めて重要だと言える。しかしながら景気には必ず大きな波があり、数年以内には大きな景気の減速は起こり得る懸念もある。

 緩和策、超低金利策を続けていくと、仮にそのような大きな景気後退の動きが出てきた時に、金融政策では何も手を打てなくなってしまい、結果として次の不況は相当長引く可能性があり得るということも多くの識者が指摘していることである。

 願わくば、政策におけるサンクコストの呪縛にとらわれることなく、必要とあれば適切な軌道修正をやってほしいものである。

(経済コラムニスト 大江英樹)


 

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コメント
 
1. 中川隆[-13891] koaQ7Jey 2018年8月07日 14:25:34 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-17725]
>普通に考えれば、世の中にお金が出回ることでその資金が株に向かうと考えるべきだが、実際にはそれほど世の中にお金は回らなかった。にもかかわらず株が上がったこと、それこそがプラシーボ効果なのだ。


また嘘言ってる

日本の銀行が日銀に国債を売った金で米国債を買って、その金が外資の日本株買いに回ったんだろ

誰でも知ってる経済のイロハだ

[18初期非表示理由]:担当:混乱したコメント多数により全部処理

2. 2018年8月07日 16:42:09 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1154]

>筆者は、何となく日銀がこの「サンクコストの呪縛」に陥りはしないかということも懸念
>緩和策、超低金利策を続けていくと、仮にそのような大きな景気後退の動きが出てきた時に、金融政策では何も手を打てなくなってしまい、結果として次の不況は相当長引く
>サンクコストの呪縛にとらわれることなく、必要とあれば適切な軌道修正をやってほしい

筆者は、サンクコストという概念で、日銀の緩和政策を批判しようとしているが

現時点では、日銀のマイナス金利による損失は、株式や債券からの収益でトータルでは賄われているので

特に、この点に関してサンクコストは発生していない


もしきちんと批判したいのであれば、金融緩和政策のサンクコストが何か

具体的に、どういう経済主体に、どういうコストが発生しているのかを明確に指摘して

政策の作用と副作用を比較すべきだろう

これまで

巨額の量的金融緩和策によりハイパーインフレになるという批判が以前は多かったが

これが妄想であり、国内産業の高い生産性が維持される限り、

賃金増と消費・投資増が起こらなければインフレ率は上昇しないという、

理論的には予想されていたことが、日銀に限らず

FRBやECBにおいても経験的にも実証されたと言っていい


一方、近年は、その逆に、黒田日銀の予想(マッカラムルール)通りにインフレ率が

十分上昇してないという批判が増えているが

マッカラムルールもまた線形的に成立するものではないことは以前からわかっていたので

これも不思議ではない


また近年のグローバル化や、IT化による賃金や価格の下押しは、

日本のような超少子高齢化国家以外でも、インフレ率を下押ししている

よってデフレから短期間に脱却し、2%インフレ率が定常的に実現しない状況では

金融緩和政策の副作用を考慮して、長期化を目指すというのは

現時点では、最適かどうかは決められないとしても、

緩和を完全に止めることによる反作用のリスク(金利と財政コストの上昇、円高不況)を考えれば


多くの批判者が言い続けるように、完全に止めさせるのは難しいだろう


3. 2018年8月07日 19:12:04 : EC4liSO1Gt : 7KdtFe9mWZs[9]
実体と 株価のギャップ 浮き彫りに

4. 2018年8月08日 08:33:38 : kNeY0s9eJg : _DtOmeuKCLg[91]
将来の不景気に対しての金融緩和の余地を残すために、今金利の引き上げをするという考えは、何か本末転倒の気がする。まあ、もともと超金融緩和自体も考えが本末転倒のところがあったので、やむを得ないのかもしれない。
 本来とは、企業が生産性を上げ、持続的な成長をすることである。そのためには、構造改革や創造性開発などの人材改革ともいうべきことが、不可避であろう。にも関らず超金融緩和などという、当座しのぎを行うならば、それは極めて短期に留めていろいろな方法を模索するのが自然なのだが、いかんせん担当者が本来を忘れた保身や権力を指向する輩であった。
 本来に戻るように利子率を自然に持っていき、グローバル化に全てが対応できるような努力を皆が行えるように、厳しい状況に耐えるよう説得すべきであろう。

5. 2018年8月08日 10:52:24 : LY52bYZiZQ : i3tnm@WgHAM[-6962]
2018年8月8日(水)

公的マネー投入 株価つり上げに66兆5000億円

アベノミクス 異常事態

 アベノミクス(安倍晋三政権の経済政策)によって国内株式市場に投入されている公的資金の時価総額が6月末時点で66兆5000億円に達していることが7日までにわかりました。東証1部の時価総額に占める比率も3月末時点の10・0%程度から10・3%程度に増えています。国内株の1割を公的資金が占め、株価をつり上げる異常事態です。本紙の集計でわかりました。


https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-08-08/2018080801_01_1.jpg

 株式を買い入れている公的資金は、日銀と年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)です。

 日銀は年6兆円のペースで株価指数連動型上場投資信託(ETF)を買い入れています。4月は株価が上昇基調だったため、日銀のETF購入はそれほど多くありませんでしたが、6月には株価が低迷。これを買い支えるために6月後半の2週間では10営業日のうち9営業日で日銀が買いに入るなど、大量のETF購入が行われました。この結果、6月末時点で26兆円以上の水準に達したと推計されます。

 一方、GPIFについては3日に4〜6月期の運用状況が発表されています。これによると少なくとも3月末時点の保有株式を維持し、保有総額は3500億円程度、増やしていると考えられます。

 以上を踏まえると6月末時点で株式市場に投入されている公的マネーはGPIF40兆4000億円程度、日銀26兆1000億円程度と推計されます。公的マネーのほとんどは東証1部上場企業に向けられています。東証1部の時価総額の1割以上が公的マネーで占められていると推計されます。

 公的マネーが「筆頭株主」となっている企業は東証1部上場企業全体では3月末より12社増え、722社となっています。GPIFが単独で筆頭株主となっている企業が6社減となる一方で、日銀単独で筆頭株主となっている企業は7社増えました。

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-08-08/2018080801_01_1.html

[18初期非表示理由]:担当:混乱したコメント多数により全部処理

6. 2018年8月08日 13:53:50 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1181]

あと日銀批判(なのかどうかは不明確だが、明らかに批判的な文章)としては、

↓のように、今回の政策調整は、逆方向の政策変更が2つ入ったから「無理筋」という批判も、よく見かけるが

政策というのは、常に、アクセルとブレーキが混在しているのは、増税と補助金、減税など複雑に絡まっていることからも明らかだ

こうした批判者は、未だに日銀が2%目標の達成を最優先としているという勘違いを続けているせいだろう


しかし、既にYCCに転換したのだから、そうした妄想はいい加減、捨てた方が、良いだろう


 


 
外為フォーラムコラム2018年8月8日 / 12:11 / 1時間前更新

コラム:「無理筋」の日銀パッケージ、来春ドル100円も=上野泰也氏

上野泰也 みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
4 分で読む

[東京 8日] - 日銀が7月31日に決定した緩和修正策「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」は、もくろみ通りの結果を出したと言えるだろうか。

日本国内では、異次元緩和長期化の副作用(金融機関の収益に対する累積的悪影響や債券市場の流動性低下・こう着)への目配りが今回の政策パッケージの主眼であるとみる市場参加者が多い。筆者もそのように認識している。

長短の政策金利(日銀当座預金の政策金利残高に適用される金利「マイナス0.1%」および長期金利ターゲット「ゼロ%程度」)は「当分の間」、現在の水準が維持されるというフォワードガイダンスは、アルゴリズム取引を含む海外の為替市場プレーヤーの受け止め方を意識して、円高進行を回避すべく付加されたもので、「従」の決定内容にすぎないとみるべきだろう。

債券相場の振れはこのところ大きくなっている。一時は「生体反応」がほとんどなくなったかに見えた国内債券市場は、ある程度まで息を吹き返した。長期・超長期ゾーンの国債利回りは修正策決定前よりも高くなっており、金融機関の収益にらみで日銀がイールドカーブを立てる(ベアスティープ化させる)狙いがあるとすれば、その方向になっている。

そして、こうした円の長期・超長期ゾーン金利上昇にもかかわらず、為替は円高ドル安には動いていない。株価水準をにらんだ月ごとの買い入れ額の増減など実務上のメリハリを許容しつつも、上場投資信託(ETF)買い入れ額が年間約6兆円で維持されたこともあり、国内株は日銀会合後も底堅く推移している。各市場の動き方のみについて言えば、日銀はここまでは「うまくやった」と言えるだろう。

<全く見えない利上げ時期、エンドレスの緩和へ>

だが、そもそも論で言えば、この政策パッケージはもともと「無理筋」である。本来は反対方向を向いているものを、あたかも同じ方向を向いているかのように言いくるめて、1つにまとめて「枠組み強化」と銘打ったものであり、やれることには自ずと限界がある。

日銀は最新の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)の中で、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)の見通し(政策委員大勢見通し中央値)を2018、2019、2020年度のいずれについても下方修正し、大規模で実験的な金融緩和がこのまま少なくとも2020年度まで続くことを事実上認めた。

政策金利の引き下げ余地や長期国債買い入れの増額余地など「弾薬」が手元に十分あるならば、追加緩和が当然浮上するシチュエーションである。

だが、日銀は2013年4月の異次元緩和導入時や2014年10月の追加緩和時に、「弾薬」を大量に、後先をよく考えずに費消してしまった。しかも、最近は緩和長期化による弊害・副作用への目配りも求められるようになってきている。

従って日銀は、円高阻止策をとらざるを得なくなるほど為替市場の状況変化によって追い込まれない限りは、追加緩和ではなく、「粘り強く」金融緩和を続けるという持久戦の道筋を引き続き選ぶだろう。日本経済の実力や国民の物価観から考えて明らかに高すぎる2%の「物価安定の目標」の達成を目指して、エンドレスの金融緩和がだらだらと続いていくイメージである。

日本国債のイールドカーブを、魚の鯛(たい)に例えた場合、口のところ(翌日物金利)と、胴体の後ろの方(新発10年債利回り)の2カ所が、イールドカーブ・コントロールによって固定されている。

後者については、上下に振れる余地を従来の倍(20ベーシスポイント)程度に拡大することで、金融政策決定会合で大まかな合意が成立した。10年債利回りの上昇余地は0.2%前後まで広がったと黒田東彦日銀総裁が記者会見で明らかにしたものの、実際は2017年2月に記録した水準である0.15%を超えようとするあたりからは投資家の押し目買い注文が厚くなり、利回り上昇には歯止めがかかると考えられる。

日銀が今回付加した政策金利のフォワードガイダンスを見るまでもなく、日銀が利上げに動くことのできる時期は、全く視野に入っていない。鯛の頭の部分(中短期ゾーン)は、下方にしっかり押さえ込まれたままである。胴体が上方に持ち上がる余地も、すでに述べた通り、限定的だ。従って、鯛の尾っぽの部分にあたる超長期ゾーンの金利についても、上昇の余地と上昇の持続性は限定的だと筆者はみている。

<副総裁発言に込められた2つのメッセージ>

雨宮正佳日銀副総裁は8月2日に京都で講演した際に、「信認確保」「持続性強化」という2つの問題が今回の決定の背後にあるとした上で、「経済・物価の見方などを反映して長期金利がある程度変動することを許容し、市場機能を維持することが必要と判断した」「ただし、長期金利の操作目標は『ゼロ%程度』から変えていない」「金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切に国債買い入れを実施する方針であり、金利水準が切り上がっていくことを想定しているものではない」と明言した。

上記を少し深読みすれば、以下の2つのメッセージが込められていると考える。

1)経済・物価の先行き見通しの変化などを反映した、債券市場が本来有している機能に即した金利の上昇を、日銀は従来よりも幅を拡大して容認する。

2)しかし、日銀が金利上昇をどのくらいまで容認するか試してみようとするような思惑的な債券売りの増加・長期金利の急上昇を日銀はしっかりけん制する。

実際、日銀は8月2日午後、10年債入札の低調な結果をにらみつつ、おそらく市場を落ち着かせてイレギュラーな金利上昇の流れをけん制する狙いから、残存期間5年超10年以下の長期国債買い入れ4000億円を、事前予告なしにオファーした。

日銀がやれることは限られているという事実が浮き彫りになったのが、7月31日の金融政策決定会合だったと言うこともできるだろう。

そして、ドル円相場の行方を決めるのは、日本ではなく米国の金融政策の今後のコースである。

米国の利上げがいつ停止するか、利上げ局面終了がいつコンセンサスになるかが、100円ラインを試す時期を決定付けることになるだろう。それは2019年春頃ではないかと、筆者は引き続き予想している。

上野泰也氏(写真は筆者提供)
*上野泰也氏は、みずほ証券のチーフマーケットエコノミスト。会計検査院を経て、1988年富士銀行に入行。為替ディーラーとして勤務した後、為替、資金、債券各セクションにてマーケットエコノミストを歴任。2000年から現職。

*本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。

(編集:麻生祐司)


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