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リスクオン相場に陰り、久方ぶりに原油高がかく乱要因にも 日銀が長期金利上昇を静観、市場機能優先
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/697.html
投稿者 うまき 日時 2018 年 10 月 06 日 18:24:09: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

(回答先: 吉野家、人件費増もう限界 3〜8月 増収も最終赤字 投稿者 うまき 日時 2018 年 10 月 06 日 18:10:18)

コラム2018年10月5日 / 19:43 / 1日前更新

リスクオン相場に陰り、久方ぶりに原油高がかく乱要因にも
田巻一彦
2 分で読む

[東京 5日 ロイター] - 米株高がリードしてきたリスクオン相場に陰りがみえてきた。基調転換を促すかもしれない大きな要因が原油高だ。原油高が物価を押し上げ、米長期金利の上昇を促せば、米株が天井を形成しかねない。

日本経済に目を転じると、原油高が時間差で消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)を押し上げるが、賃金の伸びが鈍い中で消費に悪影響を与えるリスクもある。かく乱要因としての「原油高」が久々に主役になるかもしれない。

<米株高の前に立ちはだかる長期金利上昇>

3日のニューヨーク市場で、北海ブレント先物LCOc1が1バレル=85.58ドルと2014年11月以来、約4年ぶりの高値まで上昇。米WTI原油先物CLc1も75.78ドルまで上がった。

4日には、米長期金利US10YT=RRが3.2%台へと7年ぶりの高水準に上昇。これを受けてダウ.DJIは前日比200ドルを超す下落となった。

ニューヨーク市場では、5日に発表される9月雇用統計における時間当たりの平均賃金に注目が集まっている。賃金が上がれば物価が押し上がるという「正攻法」な反応だが、実はそれだけが長期金利上昇の要因ではない。

景気拡大と賃金上昇というサイクルに、原油上昇という要因が加わって、一段と物価押し上げに注目が集まり、長期金利の上昇に拍車をかけかねないという懸念がありそうだ。

<下落要因の中で上がり出した原油>

足元での原油上昇は、 米在庫の予想外の増加やサウジアラビアやロシアの増産情報など、原油価格を押し下げる材料を押し切って展開されている。別のもっと大きな上げ要因があるということだ。

それは、米国による対イラン制裁の存在だ。トランプ米大統領の打ち出したこの「外交カード」が、需給のひっ迫懸念を連想させ、原油価格の大幅上昇という見通しに力を与えている。

また、足元での米経済の過熱ともみえる拡大の大元も、トランプ減税が起点になっているとの見方が多い。言わば「トランプ発」の政策が、米長期金利上昇の背景にあるとみていいだろう。

<原油高による物価上昇、注目されるFRBのスタンス>

米のイラン制裁が原油高の原因として存在している以上、原油高の基調が短期的に変わる見通しはない。そのように判断する欧米の投資マネーの主体が多くなっているため、しばらく「壁」になっていた米長期金利3%を突破し、さらに上昇する勢いをみせていると考える。

米長期金利が3.5%に接近し、さらに突破するような流れになれば、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策は、トランプ大統領が「警鐘」を鳴らしても、利上げ路線を簡単には修正しないだろう。

そうだとすれば、4日のニューヨーク市場ではっきりみえた「米長期金利上昇/米株下落」という構図が、大きな流れとして定着する可能性もある。

<日本では携帯値下げ圧力を吸収する可能性>

米国だけでなく、欧州や日本など主要7カ国(G7)にとって、大幅な原油高は「コスト上昇」として、久々に市場から意識される展開がいよいよ始まることも覚悟しなくてはならないかもしれない。

ダウ平均
26447.05
.DJIDOW JONES INDEXES
-180.43(-0.68%)
.DJI
.DJI
その時、日本の経済にどのような変化が起きるのだろうか──。

日本のコアCPIは、ガソリンなどの石油製品も含まれるため、一定の時間差を伴って原油高を反映した指数の上昇が予想される。

携帯電話料金などの引き下げが来年前半にも予想される中、原油上昇に伴う物価上昇圧力が、物価低下圧力を相殺し、コアCPIを1%台前半から半ば付近まで押し上げる余地もあるのではないか。

<懸念される消費へのマイナス>

ただ、今年の春闘による賃上げの実績が、政府が希望していた3%を下回った結果、現状で個人消費を拡大させる購買力の大きな増加は起きていない。

そこにエネルギー関連のコスト増が加わると、個人消費に悪影響を及ぼすルートも想定しておく必要がありそうだ。

特に冬場の暖房で灯油を多く消費する北海道、東北、北陸などの地域では、エネルギーコストの上昇が、個人消費の力をそぐ方向で働くのではないか。

株高・円安という追い風で、景気拡大を図ってきた政府・日銀にとって、予想を上回るテンポで上がってきた原油価格が、日本経済にとってどのような影響を及ぼすのか、重要な局面がいずれ来ることになりそうだ。

市場参加者の中でも、年末から年明けにかけた市場価格の見通しが交錯しているが、物価上昇を「デフレ脱却」の明確な証拠として、手放しで喜べない展開もありそうだ。
https://jp.reuters.com/article/column-oil-price-idJPKCN1MF0VH


 

ビジネス2018年10月5日 / 19:23 / 39分前更新
アングル:
日銀が長期金利上昇を静観、市場機能優先
2 分で読む

[東京 5日 ロイター] - 米国の金利上昇を受けて、足元では日本の長期金利にも上昇圧力がかかっている。この状況下で日銀は、市場機能の改善を促す観点からも、緩やかな上昇ペースによる長期金利の一定程度の上昇を容認するとみられる。長期金利の誘導目標であるゼロ%程度の範囲を逸脱しない限り、超長期ゾーンの金利には一段の上昇余地がありそうだ。

日銀は7月31日の金融政策決定会合で、鈍い物価上昇を踏まえて金融緩和政策の持続性を高めることを狙って、現在「ゼロ%程度」としている長期金利の誘導目標について「経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうる」とし、市場機能に配慮して上昇を容認する姿勢を示した。

黒田東彦総裁は同日の会見で、それまでゼロ%を中心に上下0.1%となっていた長期金利の変動幅について「その倍程度に変動し得ることを念頭に置いている」とし、上下0.2%程度の変動を許容する考えを表明した。

4日の円債市場では、前日の米利上げの継続観測を背景とした米長期金利の大幅上昇を受け、日本の長期金利JP10YTN=JBTCも上昇。一時、2016年9月の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)政策の導入以降で最高水準となる0.155%を付けたものの、日銀は静観した。

長期金利の変動容認を決定した直後の8月2日に長期金利が0.145%まで急上昇した際には、市場にとって想定外の国債買い入れを実施して抑制を図った。今回はその水準を上回ったにもかかわらず、オペで金利上昇の抑制に動くことはなかった。

背景には、長期金利の水準自体が黒田総裁が示した上限の範囲内に収まっていることに加え、今回の変動幅は0.02%程度と、米金利の急上昇に比べて上昇テンポが緩やかなことがありそうだ。

これまでは、海外金利の上昇に連動した長期金利の上昇をけん制してきた日銀だが、7月末の決定を踏まえ、市場機能の改善を優先し、米金利に対する一定の追随も容認したかたちだ。

もっとも、依然として物価は目標の2%には遠く、日銀では長期金利がゼロ%程度の範囲から逸脱することがないよう、市場動向を慎重にモニターしていく方針。黒田総裁が指摘した「倍程度」の具体的な水準は明らかではないが、長期金利が0.2%前後に上昇する局面では緊張感が高まる可能性が大きい。

<超長期、フラット化の修正過程>

他方、7月末の決定以降、相対的に大きく金利が上昇しているのが、残存期間10年超の超長期ゾーンだ。

4日の市場では一時、20年利付き国債利回りJP20YTN=JBTCが17年2月22日以来の0.690%、30年国債JP30YTN=JBTCが16年2月24日以来の0.950%、40年国債JP40YTN=JBTCは16年2月22日以来の1.115%と大幅に上昇した。

それでも日銀では超長期ゾーンについて、これまで大きくイールドカーブがフラット化してきた修正過程にあると位置づけているとみられ、日銀関係者は、長期金利が目標のゼロ%程度で推移している限り「超長期利回りは、さらに上昇する余地がある」と指摘する。

日銀は9月21日、「残存25年超」の国債買い入れを500億円とし、100億円の減額に踏み切ったが、今後の市場動向次第では「残存期間10年超25年以下」を含めて減額が検討される可能性がありそうだ。

東短リサーチ・チーフエコノミストの加藤出氏は、超長期金利は日銀の誘導目標ではないとし「超長期はデュレーションが長いので、バランスシートに残る期間も長く、日銀としてはあまり買いたくないだろう」と指摘している。

伊藤純夫 木原麗花 編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/boj-rate-market-idJPKCN1MF15A  

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コメント
1. 2018年10月06日 18:34:19 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1610] 報告
中間選挙、どちらが勝っても株価に追い風
選挙の翌年、株価は4年サイクルの最高潮を迎える

現職の共和党上院議員テッド・クルーズ氏は中間選挙で民主党のベト・オルーク候補の挑戦を受ける PHOTO: EUROPEAN PRESSPHOTO AGENCY
By
Allison Prang and Akane Otani
2018 年 10 月 5 日 16:39 JST
 米国株が過去最高値付近で推移するなか、一部の投資家は9年に及ぶ強気市場にもう一段弾みをつける、意外な追い風を待っている。それは中間選挙だ。
 米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを決定し、米国とカナダの北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉が妥結したのを確認し、投資家は次の関心を11月6日の中間選挙に向けている。共和党は連邦議会の過半数議席維持をかけて民主党と対決する。
パワーバランスと株価S&P 500種株価指数の年間上昇率(1950〜2017年の平均)

Source: LPL Research, FactSet

 共和党が過半数を失った場合、減税や移民など幅広い政策の先行きに不透明感が生じ、短期的には株式市場が大きく揺れ動く可能性があると、アナリストは話す。だが多くの人々はいずれの政党が勝利宣言しようとも、株価がさらに前進を続けると期待している。
 好調な経済と株価は、大統領の政党が議会の主導権を守るための良い兆しとなり、唐突な政策転換の可能性を最小限に抑えるだろう。だが、たとえ大統領の政党が議席を失ったとしても、歴史的にみると株価は上昇する傾向にある。多くのアナリストが指摘するように、中間選挙の翌年はこれまで、4年サイクルで株価が最も好調な年に当たっている。1つには、中間選挙は大抵、大統領の政党が議席を失うことになり、その結果、景気を押し上げる政策の立法化に尽力するためだ。
 ストラテガス・セキュリティーズの分析によると、1946年のサイクル以降、中間選挙の翌年にS&P 500種株価指数が下げたことは一度もなく、平均で15%高となっている。どちらの政党が議会過半数を獲得したかは関係なかった。これに対し、ダウ・ジョーンズ・マーケット・データによると、1946年以降のS&P 500種指数の年間平均上昇率は8.8%で、下落した年も20回あった。
 スタイフェル・ニコラウスのマイケル・オキーフ最高投資責任者(CIO)は、強気市場はさらに上昇し続け、今年S&P 500種指数の上昇を主導したハイテク銘柄だけでなく、幅広いセクターがけん引役になるとの見方を示した。
 「それ以外の市場がさらにステップアップする時だ」とオキーフ氏は言う。「グロース株やFANG銘柄がこれまでの市場の中心だったが、大型バリュー株――優良銘柄や有配銘柄など――が再び選好されることになるだろう」
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FRB、雇用市場対策の遅れは危険
9月の米失業率は3.7%と、1960年代以来の低水準となった
By Justin Lahart
2018 年 10 月 6 日 09:16 JST 更新

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

*** 

 米雇用市場を冷え込ませるものなどあるだろうか。そう、米連邦準備制度理事会(FRB)だ。

 米企業の採用難は先月、一段と悪化した。9月の雇用の伸びは鈍化したものの、失業率は3.7%と、前月の3.9%から低下した。雇用減速はハリケーン「フローレンス」の影響だった公算が大きい。ただ、失業率は1960年代後半以来の低水準となっている。現在の労働市場は当時から様変わりしたとはいえ、60年代の状況を振り返ってみる価値はある。

 1960年代と言えば、失業率が低下し、初めの頃にはインフレも低水準だった。だが、60年代半ばになって賃金と物価が上向き始めた。インフレ率は65年終盤の1.9%から69年終わりには5.9%へ上昇。FRBは早期に強硬な対応策を講じることはなかった。69年にその必要性を認識し、翌日物金利を6%から9%へ引き上げた。これによって米経済はリセッション(景気後退)入りし、株価は36%の大幅安となった。中銀の手ぬるい対応の危険を示す教訓だ。

 これはFRBにとって繰り返しを避けたい過ちとも言えるもので、FRBが来年にかけて現行の利上げペース継続を見込んでいる一つの理由でもある。投資家はつい最近になってFRBの方針を言葉通りに受け取るようになった。米国債利回りが数年ぶり高水準をつけているのはこのためだ。

 FRBは時間をかけつつも着実に利上げを進め、失業率はここ1年で4.2%から3.7%へ低下した。失業率が今後1年で3.2%へ低下したら、FRBはどうするだろうか。減税や政府支出拡大の恩恵がまだ経済に響き渡る中、投資家はFRBが金融引き締めペースを加速させる可能性を考え始める必要がある。

 金利上昇とそれに続く成長減速は、投資家が歓迎できるものでは到底ない。だが、FRBが雇用市場の急流を放置するなら、もっと悪い状況になるかもしれない。
 


 


トップニュース2018年10月6日 / 07:49 / 10時間前更新
焦点:インド「影の銀行」に信用リスク懸念、淘汰進むか
2 分で読む

[ニューデリー 28日 ロイター] - インドは一部ノンバンクで流動性不足が表面化したのをきっかけに、「影の銀行」全体で信用リスクへの懸念が広がっている。ノンバンクは自己資本が不十分な小規模事業者で免許が大量に取り消されるほか、自己資本が十分で慎重経営の大手が零細事業者を飲み込み、業界で淘汰が進みそうだ。

ノンバンクはこの数週間で大手のインフラストラクチャー・リーシング・アンド・ファイナンシング・サービシズ(IL&FS)が債務不履行に陥った上、大手資産運用会社が住宅金融機関デワン・ハウジング・ファイナンス(DWNH.NS)の短期債を大幅に安い価格で売却したことから、流動性不足の不安が強まった。

バンダン銀行の非常勤会長でインド準備銀行(中央銀行)元副総裁のラシッド・カーン氏は「事態の推移を見ると懸念が広まるのはもっともなことで、業界は統廃合に見舞われそうだ」と述べ、ノンバンクの一部は借り入れが短期で貸し付けが長期という資産と負債のミスマッチの問題に取り組むべきだとの考えを示した。

市場では地方や都市部のローン市場で圧倒的なシェアを持つ、無数のハイリスク・零細ノンバンクに注目が集まっている。インドの影の銀行セクターは今や1万1400社を超えてバランスシートの合計は22兆1000億ルピー(3040億ドル)に上り、銀行に比べて規制が緩い。銀行は不良債権処理問題への対処を迫られて融資手続きが遅れがちなだけに、新たな投資家を引き付けている。

ノンバンクの融資残高は銀行の2倍近いペースで伸び、IL&FSなどトップ集団は最高位の格付けを受けていた。

しかしこうした格付けは疑いの目を向けられるようになり、IL&FSはこの数カ月で何度も格下げに見舞われた。ノンバンクの多くは返済手段のない借り手に融資しており、リスクテークが過剰との懸念が高まっている。また、規制が緩いために資金洗浄に手を染めているところもあるとの疑念が高まっている。

一部の投資家はノンバンクについて、借り入れコストの上昇にこの数日の市場の混乱が追い打ちとなって信用収縮(クレジットクランチ)に見舞われ、自己資本が乏しい企業は生き残りが難しいとみている。

カプリ・グローバル・キャピタルのオーナーのラジェシ・シャルマ氏は「小規模ノンバンクは流動性が今の水準を維持できず、コストの面で問題に直面するだろう。しかし中規模や大規模なノンバンクは流動性や資金アクセスを維持できるはずだ」と指摘。政府からの支援措置がなければ、資産運用で成績を上げられないノンバンクは消滅するだろうと述べた。

中銀は既に2000万ルピー(27万5330ドル)の最低自己資本を満たしていないノンバンクの事業免許を取り消している。

業界団体である金融業発展会議(FIDC)のラマン・アガルワル議長は、最終的に最大1500社が廃業に追い込まれるとの見通しを示した。

一方、元中銀副総裁でインディアブルズ・ハウジング・ファイナンスの取締役を務めるS・S・ムンドラ氏は「ノンバンク業界で合従連衡の動きが一定程度起きる」とした上で、「長期的にみれば業界にとって良いことだ」とした。

Dewan Housing Finance Corporation Ltd
275.15
DWNH.NSNATIONAL STOCK EXCHANGE OF INDIA
-22.15(-7.45%)
DWNH.NS
DWNH.NS
(Krishna N. Das and Neha Dasgupta記者)
https://jp.reuters.com/article/india-nonbank-idJPKCN1MC0S3


 


【米国株・国債・商品】株は下落、原油4週連続高−供給不足警戒
Jeremy Herron、Vildana Hajric
2018年10月5日 11:41 JST 更新日時 2018年10月6日 6:18 JST
米国株は週間ベースで1カ月ぶり大幅安。米国債は売りが続き、利回りは7年ぶり高水準となった。米雇用統計の内容を受け、利上げ見通しが一段と強まった。

  テクノロジー株が特に下落した。ナスダック100指数は週間ベースで3%安。米中貿易摩擦の悪化が懸念されている。S&P500種株価の産業別11指数のうち8指数が下落。ダウ工業株30種平均に採用されている銘柄の中でインテルが最も売られた。ブルームバーグが中国が極小チップを使ってハッキングを図ったと報じたことに引き続き投資家が反応した。

米国株は週間ベースで1カ月ぶり大幅安
米国債は続落、米雇用統計で利上げ観測
NY原油は週間ベースで4週連続高、供給不足を警戒
NY金は上昇、米雇用者数と賃金の伸びが鈍化
  S&P500種株価指数は0.6%安の2885.57。ダウ工業株30種平均は180.43ドル(0.7%)下げて 26447.05ドル。10年債利回りは5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して3.23%。

  アマゾン・ドット・コムやネットフリックスなどテクノロジー株が幅広く売られた。ミラー・タバクの株式ストラテジスト、マット・メイリー氏は「何よりも貿易懸念が材料だ。なぜならこうした企業は中国に多くを販売しているか、中国での生産量が多いからだ」と指摘した。

  9月の米雇用統計では雇用者数の伸びが前月より小さく、予想も下回った。賃金上昇率はやや鈍り、失業率は3.7%と、1969年12月以来の低水準に下げた。前月の雇用者数は大幅上方修正され、3カ月間の平均は19万人増となった。

  低失業率と前月の大幅上方修正を受け、米利上げ軌道にほとんど修正はないと投資家が受け止めたことが米国債の売りにつながった。

  オバマ前政権で米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務め、現在はプリンストン大学教授のアラン・クルーガー氏は、「完全雇用状態を示す統計と言ってよい」とブルームバーグテレビジョンで発言。「米金融当局の利上げ軌道が補強されるだろう」と述べた。

  原油先物相場はほぼ変わらず。週間ベースでは4週連続高となった。イランからの供給が失われる一方、サウジアラビアとロシアの生産は供給不足を回避するには不十分との懸念がある。

  ロシアのノバク・エネルギー相は、米国がイランの輸出に圧力をかけており、原油価格は今秋バレル100ドルに達する可能性があると指摘した。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物11月限は1バレル=74.34ドルで引けた。ロンドンICEの北海ブレント12月限は42セント安の84.16ドル。

  金先物は上昇。米雇用統計で失業率の低下が示され、米国債利回りが7年ぶりの水準に上昇したものの、金は買われた。雇用者数と賃金の伸びが鈍化したことが重視された。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は0.3%高の1オンス=1205.60ドルで終了。

原題:U.S. Stocks Fall as Treasuries Extend Slump: Markets Wrap(抜粋)
Crude Advances For Fourth Week as Supply Jitters Stoke Concern(抜粋)
Gold’s Gains in Face of Yield Surge Fuel Bets That Worst Is Past(抜粋)

(第4−7段落を加えます.)
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE
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◎NY外為:ドルは反落、米雇用統計受けて荒い値動き
  5日のニューヨーク外国為替市場ではドルが下落。ブルームバーグのドル指数は7営業日ぶりに下げた。9月の米雇用統計が強弱まちまちな内容になったことを受け、トレーダーは利益の確定に動いた。国債利回りの上昇と株式の下落は、資源国通貨への重しとなった。

  ドルは主要10通貨の大半に対して上昇したが、ドル指数はマイナス圏となった。9月の雇用者数の伸びは前月より小さく、予想も下回った。天候の影響と前月統計の修正、失業率の低下といった統計の細目を消化する展開で、ユーロは発表直後の数分間に対ドルで日中安値と高値の両方を付けた。

  ニューヨーク時間午後4時47分現在、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は前日比0.2%安。ユーロは対ドルで0.1%高の1ユーロ=1.1522ドル。ドルは対円で0.2%安い1ドル=113円70銭。

  ポンドはこの日主要10通貨のうちドルに対する上昇率が最も大きく、日中は0.8%上げて1ポンド=1.3123ドルを付ける場面もあった。欧州連合(EU)が英国に踏み込んだ内容の自由貿易協定案を提示すると報じられ、EU離脱合意に対する期待が高まった。ポンドは週間ベースでも上昇した。

  オーストラリア・ドルとニュージーランド・ドルはともに米ドルに対して数年ぶりの安値。米国株安が背景となった。

欧州時間の取引
  米雇用統計の発表を控え、ドル指数が7営業日連続で上昇。ポンドは英国のEU離脱に関する合意が楽観視されて上昇したものの、米国債の下落を受けて上げ幅を縮めた。

原題:Dollar Pares Weekly Gain After U.S. Payrolls Data: Inside G-10(抜粋)
Dollar Extends Best Run This Year Before Payrolls: Inside G-10

◎米国株・国債・商品:株は下落、原油は4週連続高−供給不足を警戒
  米国株は週間ベースで1カ月ぶり大幅安。米国債は売りが続き、利回りは7年ぶり高水準となった。米雇用統計の内容を受け、利上げ見通しが一段と強まった。

  テクノロジー株が特に下落した。ナスダック100指数は週間ベースで3%安。米中貿易摩擦の悪化が懸念されている。S&P500種株価の産業別11指数のうち8指数が下落。ダウ工業株30種平均に採用されている銘柄の中でインテルが最も売られた。ブルームバーグが中国が極小チップを使ってハッキングを図ったと報じたことに引き続き投資家が反応した。

米国株は週間ベースで1カ月ぶり大幅安
米国債は続落、米雇用統計で利上げ観測
NY原油は週間ベースで4週連続高、供給不足を警戒
NY金は上昇、米雇用者数と賃金の伸びが鈍化
  S&P500種株価指数は0.6%安の2885.57。ダウ工業株30種平均は180.43ドル(0.7%)下げて 26447.05ドル。10年債利回りは5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して3.23%。

  アマゾン・ドット・コムやネットフリックスなどテクノロジー株が幅広く売られた。ミラー・タバクの株式ストラテジスト、マット・メイリー氏は「何よりも貿易懸念が材料だ。なぜならこうした企業は中国に多くを販売しているか、中国での生産量が多いからだ」と指摘した。

  9月の米雇用統計では雇用者数の伸びが前月より小さく、予想も下回った。賃金上昇率はやや鈍り、失業率は3.7%と、1969年12月以来の低水準に下げた。前月の雇用者数は大幅上方修正され、3カ月間の平均は19万人増となった。

  低失業率と前月の大幅上方修正を受け、米利上げ軌道にほとんど修正はないと投資家が受け止めたことが米国債の売りにつながった。

  オバマ前政権で米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務め、現在はプリンストン大学教授のアラン・クルーガー氏は、「完全雇用状態を示す統計と言ってよい」とブルームバーグテレビジョンで発言。「米金融当局の利上げ軌道が補強されるだろう」と述べた。

  原油先物相場はほぼ変わらず。週間ベースでは4週連続高となった。イランからの供給が失われる一方、サウジアラビアとロシアの生産は供給不足を回避するには不十分との懸念がある。

  ロシアのノバク・エネルギー相は、米国がイランの輸出に圧力をかけており、原油価格は今秋バレル100ドルに達する可能性があると指摘した。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物11月限は1バレル=74.34ドルで引けた。ロンドンICEの北海ブレント12月限は42セント安の84.16ドル。

  金先物は上昇。米雇用統計で失業率の低下が示され、米国債利回りが7年ぶりの水準に上昇したものの、金は買われた。雇用者数と賃金の伸びが鈍化したことが重視された。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は0.3%高の1オンス=1205.60ドルで終了。

原題:U.S. Stocks Fall as Treasuries Extend Slump: Markets Wrap(抜粋)
Crude Advances For Fourth Week as Supply Jitters Stoke Concern(抜粋)
Gold’s Gains in Face of Yield Surge Fuel Bets That Worst Is Past(抜粋)

◎欧州債:イタリア債が下落ーEU離脱見通し改善で英国債も安い
  5日の欧州債市場では、イタリア債が中期物を中心に下落。英国のEU離脱見通しが改善したことから、英国債がドイツ債に対してアンダーパフォームした。

イタリア債は5年−30年物の利回り曲線がフラット化。サルビーニ副首相がEUに対する批判を強め、5年債利回りは17ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.62%となった
先物取引は薄商いで、出来高は10日平均を60%下回った
ドイツ債、英国債とも朝方から下落。EUと英国の離脱合意が非常に近いとするEU関係者の見方をロイター通信が伝えた
EUが英国に「最も踏み込んだ」自由貿易協定案を提案する見通しだと伝わると、両国債とも安値を更新
来週はユーロ圏国債の発行が減る見通し。経済指標の発表も少ない
ドイツ10年債利回りは前日から3bp上昇の0.56%、フランス10年債利回りは2bp上げて0.90%、イタリア10年債利回りは9bp高い3.42%
ユーロ参加国の国債利回りとスプレッドの一覧はこちらをクリックしてください
原題:Italian Bonds Lead EGB Declines; End-of-Day Curves, Spreads(抜粋)


(NY外為と米国株・国債・商品を更新します.)
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE
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サウジ皇太子:アラムコIPOは21年までに実施、2兆ドル価値見込む


 

サウジ、ソフトバンクの第2ビジョン・ファンドに5兆円出資へ
Riad Hamade、Matthew Martin、Archana Narayanan
2018年10月6日 10:56 JST 更新日時 2018年10月6日 17:03 JST
1本目と合わせると出資額は10兆円強に倍増
サウジ公共投資ファンドはアラムコ上場などによる資金見込む
サウジアラビアの政府系ファンドは、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が計画する第2のビジョン・ファンドに450億ドル(約5兆1170億円)出資する。1本目への拠出と合わせると、出資額は900億ドルに倍増することになる。

  サウジの公共投資ファンド(PIF)は、サウジ基礎産業公社(SABIC)の持ち分売却や国営石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)などによって向こう3−4年で1700億ドルの資金が入ると見込んでおり、その活用方法を探している。PIFの会長を務めるムハンマド皇太子がブルームバーグとのインタビューで明らかにした。


孫正義氏(左)とサウジのムハンマド皇太子(3月27日、ニューヨーク)写真家:Jeenah Moon / Bloomberg
  ムハンマド皇太子は、PIFが第2ビジョン・ファンドへの主要な出資者となることを望んでいると説明。「われわれは1本目への出資で大きな恩恵を受けている。PIFとしては、1本目への450億ドルの出資で最初の1年に多額の収入を目にしていなければ、さらに450億ドルを出資するようなことはしない」と語った。

  孫氏は2本目のビジョン・ファンドで1000億ドルの調達を目指している。ブルームバーグ・ニュースはソフトバンクへの電話取材を試みたが、営業時間外のためコメントは得られなかった。

  PIFは世界最大の政府系ファンドになる戦略を2016年に発表して以来、大胆な投資を行ってきた。その多くは、まだ黒字化していないテクノロジー企業が対象となっている。1本目のビジョン・ファンドへの出資以外では、ウーバー・テクノロジーズに35億ドル出資したほか、テスラの株式を5%近く取得した後にそのライバルのルーシッドにも10億ドル出資した。PIFはさらに、ブラックストーン・グループが運営する米インフラファンドに200億ドル出資することでも合意している。

  ムハンマド皇太子は、ソフトバンクの第2ビジョン・ファンドへの投資がPIFの資産拡大に寄与すると指摘。PIFの資産は「現在3000億ドルを上回っており、4000億ドルに近づいている。20年の目標は6000億ドル前後だ。20年にこの目標を突破すると考えている」と語った。

原題:Saudi Arabia Doubles SoftBank Bet With Extra $45 Billion (1)(抜粋)

(ムハンマド皇太子の発言などを追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-06/PG5LNF6TTDS001

[18初期非表示理由]:担当:要点がまとまってない長文orスレ違いの長文多数により全部処理

2. 2018年10月08日 12:09:18 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1619] 報告
ドル不足 調達金利上昇 米利上げ・新興国不安 邦銀、10年ぶり水準
2018/10/8付
日本経済新聞 朝刊
 世界で米ドルを調達しにくい状況が広がっている。米国の利上げと新興国不安でドルの需要が高まり、日本では銀行が円でドルを調達する金利が上昇。9月には年率換算で3%台前半とリーマン・ショック以来、10年ぶりの高さとなった。アジアではドル建て債務の借り換えが困難になるリスクが高まっており、世界経済に影響が広がる可能性が出ている。


 日本の銀行は海外で企業に融資するためにドルを持つ。日銀によると8月時点で邦銀の海外での融資は75兆8千億円で、元手となる預金は62兆9千億円。この差額の13兆円程度は米銀行などから借りて調達する。
 円をドルに替える費用は主に日米の金利差で決まる。銀行間金利(総合・経済面きょうのことば)はドルだと2.4%程度だが円はほぼ0%。ドルの調達には、この金利差分のコストを負担する必要がある。米国では貸出金利があまり上がっておらず、調達コストの増加は収益の圧迫要因になる。
 9月下旬には調達金利が年3.15%まで上がった。このうち金利差によるのは2.5%弱で、さらにドルの需要を映す上乗せ分も0.7%弱まで上昇。新興国や日欧など米国以外からのドルの需要が強く、4月以後、0.1〜0.2%程度で推移していた邦銀の上乗せ分も増えている。
 野村証券の中島武信氏は邦銀のドル調達金利は19年年末には3.75%程度まで上がるとみる。三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長は「事業モデルの見直しが急務だ」と話す。
 日本だけでなく欧州の金融機関でもドルの調達金利が上がっている。ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)でドルは年率2.4%程度と08年11月以来の高水準。英国の欧州連合(EU)離脱交渉やイタリアの財政問題が混迷すれば、一段と上昇する可能性もある。
 ドルの金利上昇は、アジアなどの新興国にとってはさらに深刻だ。対外債務を増やしてきた新興国は一段と資金調達が厳しい状況となりかねないからだ。
 新興国では08年のリーマン・ショック以後、潤沢なドルの資金が流入し、社債などでドル建て債務を膨らませてきた。国際決済銀行(BIS)の集計によると、銀行部門を除く新興国のドル建て債務の合計は3.7兆ドルに達し、過去10年で2.3倍に増えている。
 新興国の信用が低下し、資金が米国に戻る動きも顕著だ。ドルの金利上昇に加えてドルの不足感が高まると、新興国の政府や企業は次にドル建て債務を借り換える際、さらに金利が上乗せされるリスクが出てくる。
 今後もドルの不足感が高まる懸念は強い。米連邦準備理事会(FRB)は国債などを買うことによるドルの供給を昨年秋から減らしている。3日時点のFRBの総資産は約4.2兆ドルで1年前より3千億ドル弱減った。減少ペースは加速する見通しで、米国内外のドルは着々と減っていく。
 FRBは来年末までに3〜4回の利上げをする見込み。11日にインドネシアで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でも、ドルが金融情勢に与える影響が議題の一つになる。


 

地銀再編に「長崎モデル」 九州2行の統合承認
2018/8/24 20:00
日本経済新聞 電子版
 公正取引委員会は24日、長崎県の親和銀行を傘下に置くふくおかフィナンシャルグループ(FG)と同県の十八銀行の統合を認めると発表した。これで両社の再編問題は2年半越しで決着した。独占禁止法上の問題を解消するために、融資先企業が競合金融機関から借り換えることで融資シェアを下げる今回の手法は、同じ県内にある地銀同士が統合する際のモデルケースとなりそうだ。

記者会見するふくおかFGの柴戸隆成社長(左)と十八銀行の森拓二郎頭取(24日午後、福岡市)

 公取委の承認を受けて両社は同日、福岡市内で共同記者会見を開き、2019年4月に経営統合する方針を発表した。ふくおかFGの柴戸隆成社長は「今後の人口構造を考えると、今やらなければ地域の金融システムを維持できない」と統合の意義を改めて強調。そのうえで借り換えによるシェア引き下げを「苦渋の決断だった」と述べた。
 両社が統合計画を発表したのは16年2月。当初は17年4月の統合を目指していた。ところが統合で長崎県内での中小企業向け融資のシェアが80%近くになり、利用者の選択肢が狭まることを公取委が問題視。両社は公取委が納得する解消措置を示せず、審査は長期化した。17年7月には無期延期に追い込まれていた。
 審査の突破口となったのは、融資先企業に競合する金融機関に借り換えてもらう手法だ。佐賀銀行や長崎銀行など周辺の地銀、信用金庫やメガバンク、商工組合中央金庫など約20の金融機関が受け皿となり、貸出額で計1千億円弱相当を移す。これにより長崎県内での中小向け融資シェアは18年1月時点の約75%から約65%に下がる。
 受け皿となる金融機関が長崎県内での営業体制の強化を表明していることもあり、公取委は「中小企業の選択肢は確保される」と判断した。
 両社は統合後の地域での融資シェアが100%になる離島などで金利が不当に上がらないよう、第三者が監視する枠組みの導入もあわせて提示した。公取委は23日に最終意思決定を行う委員会を開き、内容を精査したうえで両社の統合計画を認めることを決めた。
 こうした方式は今後の地銀再編の1つのモデルになる可能性がある。統合で地域の融資シェアが高まり、独禁法上の問題がある再編案に関して、公取委の深町正徳企業結合課長は「債権譲渡が問題解消策の柱となる」と指摘。そのうえで「今回の事例が先例になる」との考えを示した。
 これまでの地銀再編は県境をまたぐ広域型や、競合が激しい都市部での再編が主体だった。ただマイナス金利政策や人口減少で地銀の苦境が強まるなか、重複店舗の統廃合など合理化の余地がより大きい県内同士の再編で「実」を取るニーズが強まっている。
 県内首位と2位で融資シェアが80%近くになる長崎県は突出しているが、過疎地ほど市場の魅力は薄いため、県内勢のシェアは高くなりがちだ。
 今後は長崎県での統合の行方を横目に再編を模索してきた他の地銀の動向が焦点になる。現在、岩手、富山など全国の13都府県で長崎と同じく県内に3行以上の地銀がひしめく。長崎での再編実現は「地銀にとっては選択肢が広がる」(金融庁幹部)ことになる。再編相手を県内に求める動きが広がる可能性がある。
 一方、今回のケースは県内での融資シェアが高くなる統合では他の金融機関に債権を移し替えないと実現できないという先例にもなった。「ここまで汗をかかないと統合できないのか」と受け止める地銀関係者もいる。


地銀の本業利益、半分が赤字
金融庁が集計
2018/9/26 18:00
日本経済新聞 電子版
 金融庁は26日、106ある地方銀行の半分が2期以上連続で本業利益が赤字になっているとの集計結果を発表した。23行は5期以上の連続赤字で、長期にわたって赤字から抜け出せない地銀が毎年増えている。厳しい本業を補ってきた有価証券運用でも含み益が減っており、苦境が一段と鮮明になっている。
 埼玉りそな銀行を含む地銀の2018年3月期の決算をもとに、貸し出しや投資信託の販売などに伴う手数料収入を本業利益として計算した。18年3月期は54行の本業が赤字で、このうち52行は2期以上連続で赤字だった。16年3月期は40行が赤字だったが、超低金利の長期化で融資から得られる利益が細り、赤字の地銀が増えている。
 地銀は株式や債券などの運用益で苦しい本業を補ってきた。ただ「益出し」を繰り返してきたことで、16年3月末に2.6兆円あった有価証券の含み益は18年3月末に1兆円まで落ち込んだ。金融庁は厳しい現状を踏まえて、持続可能なビジネスモデルを早期に構築するよう促している。
地銀「不良債券」を処理 外債、赤字覚悟で損切り (2018/8/14 21:43) [有料会員限定]
北関東地銀4〜6月期、めぶきは最終増益 収益厳しく (2018/8/8 22:30)
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人口減、低金利…しのぐ地方銀行
2018/10/8 7:00
日本経済新聞 電子版
 低金利や地域の人口減で地方銀行が厳しい経営環境下に置かれている。県内競合行からのトップ招請、犬猿の仲だったライバル行の経営統合、コンサルティング機能の強化など、様々な新機軸を打ち出す。生き残りをかけた東日本の地銀の取り組みを紹介する。
■競合行からトップ招く
 東北では地銀全15行のうち2018年3月期で本業のもうけを示す実質業務純益を増やせたのは3行にとどまった。

 特に福島銀行は最終赤字となり、福島県最大手で競合行の東邦銀行出身、加藤容啓氏が6月に社長に就いた。9月28日には就任後初めて経営方針を発表。18年3月期で33億円の赤字だった単独最終損益を、21年3月期には6億円の黒字に転換するというものだ。
 しかしそのための施策は「事務の合理化」「営業力の強化」「人材・店舗の効率的運用」などの文言にとどまり、具体策は見えてこない。
 「東邦出身ですが、心機一転がんばります」。今夏、取引先の経営者と向き合う加藤氏の姿があった。社長就任直後から始まった取引先へのあいさつ回り。「加藤社長は自分で訪問先を選んで」(関係者)おり、その中には東邦銀がメインの取引先も含まれる。
 加藤氏の社長就任は様々な臆測を呼んだ。福島銀の行員は取引先からこうささやかれるようになった。「いつか東邦銀にのみ込まれるんでしょうね」

加藤容啓社長の似顔絵をあしらった福島銀行のポスター
 だが、加藤氏の姿勢は違う。福島銀の店舗に貼られたポスターには、イラストで描かれた加藤氏が拳を振り上げている。前例のない社長の似顔絵ポスターだ。「福島銀は単独での再生をめざす。生まれ変わったことを銀行の内外に浸透させたかった」(加藤氏)と話す。
 営業も変えた。加藤氏は福島銀の社長に就任するまで東邦銀の証券子会社トップだった。そこで培ったノウハウをもとに保険や投資信託の販売に力を入れる。最優先は手数料収入の底上げだ。保険は販売額の3%前後が手数料として入る。低金利で融資の利ざやが稼げない状況下で保険重視の姿勢を鮮明にした。
 優越的地位の乱用など独占禁止法に抵触する恐れがあるとして、東邦銀は融資先に積極的に販売してない。福島銀は営業担当に東邦銀の融資先を回らせて保険を売る作戦だ。「販売をきっかけに今後の取引につながる可能性がある」(福島銀の支店幹部)ともくろむ。

 しかし低金利で利益を出しにくいとはいえ、主に貸出業務から生まれる資金利益が銀行の収益の柱だ。投信や保険の販売手数料に頼るのは限界がある。
 18年3月期の赤字決算は店舗の減損処理も一因だった。収益性が低下した店舗などの固定資産について、価値を引き下げた。収益を抜本的に改善させないと減損の懸念がつきまとう。
■かつての犬猿の仲が握手
 新潟県では県内のライバル行が手を結んだ。長年、犬猿の仲と呼ばれた第四銀行と北越銀行が1日に経営統合したのだ。やはり経営環境の悪化が背景にあった。
 持ち株会社、第四北越フィナンシャルグループが発足。2行を合わせた新潟県内のシェアは56%で、地域に1強の金融グループが誕生した。
 同日発表した中期経営計画では21年1月に両行が合併し、店舗の統廃合や従業員の再配置を進め、25年度までに累計170億円の統合効果を生み出すとした。

握手する第四北越フィナンシャルグループの佐藤勝弥会長(右)と並木富士雄社長(1日、新潟市)
 店舗の統廃合については、1店舗のみが立地する地域では合併後も当面は店舗を存続させる一方で、近隣に複数の店舗が立地している約50店を対象に統廃合を進める方針を示した。隣接している地域では「店舗内店舗」方式で統合する方針だ。店舗の統廃合で空いたスペースは介護や創業支援などの施設として活用することを検討する。
 一連の効率化で捻出した900人から退職などを差し引いた500人を、営業や取引先企業への人材派遣、新規ビジネスなどに振り向ける。
 統合でコスト削減をそこまで進めるのは、マイナス金利政策による収益の悪化と地域経済の停滞があるためだ。本業の利益を示す単体の実質業務純益を15年3月期と18年3月期で比べると、第四銀が27%、北越銀が18%それぞれ減っている。
 金融緩和の出口戦略が見えず、地盤の新潟県では人口減が進み、開業率も全国平均より低い。1行単独での努力では限界があるとみて、長年のライバル関係を超えて今回の経営統合に至った。
■本業厳しく、コンサル強化
 2年前に経営統合し、傘下銀行に常陽銀行と足利銀行を抱える、めぶきフィナンシャルグループは、行員のコンサルティング力を底上げして激変期を乗り切ろうとしている。
 マイナス金利政策の影響で超低金利が続くなか、利益の源泉となる資金利益(2行合算)は19年3月期で42億円(3%)減る見通しなど、本業は厳しい環境にある。コスト削減に向けた店舗の軽量化や業務の効率化は待ったなしだ。
 20年1月には足利銀が基幹システムを常陽銀と共通化する。統合の準備作業が足利銀で本格化し、常陽銀では法人向け融資審査での人工知能(AI)活用や少人数で運営できる軽量店舗の設置を進める。
 これらの対策で捻出した時間と資金は行員のコンサルティング力の強化に振り向ける。カネ余りの時代にあって「あらゆる企業が抱える課題は人手不足」(笹島律夫めぶきFG社長)。IT企業から講師を招いて取引先の業務効率化につながる技術を行員に学ばせるなど、金融以外の知識も備えた人材の育成を図る。
 リース、証券子会社の再編や営業ノウハウの相互共有、重複店舗の解消といったこれまでに実施した施策に比べると、新たな業務に対応できる人材の育成は時間がかかる。ITを駆使した業務改革を進めつつ、行員一人ひとりのスキルをいかに高めるか。3年生になっためぶきFGに課された宿題だ。
(古山和弘、松添亮甫、上月直之)


 


バンガード創業者が説く、シンプルな投資のすすめ
毎年恒例のボーグルヘッド会議、投資家200人が集結
バンガードグループ創業者のジョン・C・ボーグル氏 RYAN COLLERD FOR THE WALL STREET JOURNAL
By Jason Zweig
2018 年 10 月 8 日 08:00 JST

――筆者のジェイソン・ツヴァイクはWSJパーソナル・ファイナンス担当コラムニスト

***

 米ペンシルベニア州で先週、200人の投資家を集めて開いた会議はキリスト教の伝道集会のようでも、経営学修士(MBA)コースの財務の授業のようでもあった。

 「ボーグルヘッド」と呼ばれる投資家たちは敬愛するバンガードグループ創業者のジョン・C・ボーグル(ジャック・ボーグル)氏に感謝を伝えるためにやってきた。彼らにとってこの会議は、投資にまつわる体験やアドバイスを語り合い、「投資は簡単で大した金もかからない」という認識を強め合う場でもあった。 

 2000年以降、ボーグルヘッドは一握りの筋金入りのファンの集まりから無料のオンラインフォーラム(bogleheads.org)に成長した。フォーラムの登録ユーザーは7万5000人で、個人の財務・金融に関して考え得るすべての話題について300万件を超える投稿がある。

 ボーグルヘッドが臆面もなく称賛するボーグル氏は1974年にバンガードを設立し、その翌年に初のインデックス型投資信託を設定した。バンガードによると、1990年代初頭以降、米国の投資家がインデックス型の投信のおかげで節約できた手数料は約1500億ドル(約17兆円)に上る。

IDカードの写真は参加者本人のものではなくボーグル氏の写真
IDカードの写真は参加者本人のものではなくボーグル氏の写真 PHOTO: RYAN COLLERD FOR THE WALL STREET JOURNAL
 会議の参加者が首に下げているIDカードの写真は参加者本人のものではなく、ボーグル氏の写真だった。「ジャック・ボーグルを大統領に」と書かれた選挙運動用のバッジを身に付けている人も数人いた。

 ボーグル氏が姿を現すと、参加者は総立ちになって拍手喝采した。ボーグル氏は前日に病院で不整脈の治療を受けていたこともあり、到着は約10分遅れた。

 89歳のボーグル氏は生まれつきの冠動脈疾患を抱えており、これまでに数回、心臓発作を起こしている。1996年には心臓移植を受けた。

 ボーグル氏は前かがみになって杖をつきながら演台のところまで歩くと、後ろの椅子に腰掛けた。演台を飾っていたのはボーグル氏の写真で、そこにはこう書かれていた。「われらの友人で助言者のジャック・ボーグル」

演台を飾るポスターには「われらの友人で助言者のジャック・ボーグル」と書かれたあった
演台を飾るポスターには「われらの友人で助言者のジャック・ボーグル」と書かれたあった PHOTO: RYAN COLLERD FOR THE WALL STREET JOURNAL
 ボーグル氏は疲れ切って弱っているように見えた――89歳で心臓が悪ければ、誰だってそう見えるだろう――が、声はこれまでと同じように力強かった。

 ボーグル氏は価格の安い「バリュー」株は高額な「成長」株を収益率で上回るのは間違いないとか、上場投資信託(ETF)はインデックス型の投信より優れているなど世間が無条件に受け入れている投資の常識を攻撃した(ボーグル氏は長期的にはバリュー株も成長株も収益率は一致すると予想している)。バンガードは最大のETF運用会社の一つだが、ボーグル氏はETFが過剰な売買を招いていると考えている。

 株式については、長期的にはインフレ調整後の値上がり率が年平均で4%を超える可能性は低いと警告し、世界中の投資家は「もっと節約し、コストを減らした方がいい」と述べた。

 さらに、投資家は自分がコントロールできるもの(例えば手数料や税金)をコントロールし、コントロールできないものは諦めるべきという自身の信条を繰り返した。

 ボーグル氏は個人資産のおよそ半分を株で、残りの半分を債券で保有していると言い、「半分の時間はなぜ株にこれほど多く投資しているのかと考えて過ごし、もう半分の時間はなぜ株にこれだけしか投資していないのかと考えて過ごす」と語った。

 会議ではこうも言った。「私は自分が知らないことを知ることでキャリアを築いた」

 「ここにいる皆さんは私にとって大切な存在だ」。そう聴衆に語りかけるボーグル氏の声はかすれていた。ボーグル氏の話が終わると、ボーグルヘッドは立ち上がって再び拍手喝采を送った。多くの人が目に涙を浮かべていた。

参加者全員にボーグル氏の本が配布された
参加者全員にボーグル氏の本が配布された PHOTO: RYAN COLLERD FOR THE WALL STREET JOURNAL
 デービッド・クロースさん(31)はマサチューセッツ州リビア在住の配管工で、退職後に備えて貯蓄を始めた2、3年前に偶然、ボーグルヘッドのサイトを見つけた。当時は「何の知識もなかった」と言い、「それまで貯蓄や投資について教えてくれる人はいなかった」と話した。現在はバンガードのインデックス型の投信に「ロス」という種類の個人退職口座(IRA)を開設していて、「今は自分でできるような気がする」そうだ。会議に参加したのは「自分より賢い人達と付き合えば成長できるから」だという。

 ビクトリア・ファインバーグさん(64)は国防総省を退職し、今は電子工学のエンジニアだ。ボーグルヘッドのサイトに出会ったとき、ファインバーグさんは株で損をしたショックからまだ立ち直っていなかった。2001年に初めてフォーラムに質問を投稿したところ、参加者の「知性と専門性にとても感動した」と語った。「彼らはとても親切に対応してくれた」

 ファインバーグさんが年に一度のこの会議に参加するのは今回で12回目。会議に参加する最大の目的はボーグル氏に感謝の気持ちを伝えることだ。「(ボーグル氏は)大変な仕事、本当に割に合わない仕事をしてくれた。そのおかげで私は多くの間違いをしたにも関わらず退職することができた」

 リック・ブリッジマンさん(53)は先月末でジョージア州の検事の仕事を辞めた。妻のジェノリアさん(57)は疾病対策センター(CDC)の元管理職だ。ブリッジマンさんは「ここに来る以上の退職祝いは思いつかなかった」と話した。

 1990年代初め、2人はジョージア州アトランタの個人資産に関する会議でボーグル氏の講演を聞いた。「なるほどと思わせる」話で、「これだと思った」そうだ。2人はインデックス投信を購入し、寝かせている。

ランチをとりながら情報交換に勤しむ参加者
ランチをとりながら情報交換に勤しむ参加者 PHOTO: RYAN COLLERD FOR THE WALL STREET JOURNAL
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 ブリッジマンさんは退職の話を聞きつけた株式仲買人の友人から昼食に誘われた話をしてくれた。友人には「昼食に行くのはいいが、私はボーグルベッドだからインデックスファンドやシンプルな投資を信頼していることは承知しておいて」と伝えたそうだ。

 「彼は今も友人だが、昼食にはいまだに誘われていない」。ブリッジマンさんはそう言うと、当時を思い出して妻と大笑いした。

 何人かの出席者は声を潜めて筆者にこう尋ねた。いつかボーグル氏がいなくなったら、ボーグル氏の代わりになれるような人はいるのか、と。

 私は思いついた唯一の答えを口にした。「私にも分かりません」

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By
Leslie P. Norton
2018 年 5 月 22 日 07:16 JST
• インデックスファンドの生みの親が批判に反論
 現在の市場に対して、良い方向であれ悪い方向であれ責任がある人物が1人いるとすれば、それはジャック・ボーグル氏だ。同氏は40年以上も前に現在のバンガード・グループを設立し、米国人の投資手段だけでなく、恐らくは市場がどのように機能するかも永久に変えてしまった、インデックスファンドの生みの親でもある。
 現在、インデックスファンドは株式ファンドの運用資産の43%を占めており、今後3年間でその割合は50%に達すると予想されている。保有対象をアクティブに評価するマネジャーがいない米国のファンドの規模は、約7兆ドルに達する。
 ボーグル氏が1976年に初のインデックスファンドを設定した際には、冷笑され、米国的ではないと評された。その後、インデックスファンドの人気が上昇するとともに、反動も増えている。批判する向きは、市場の崩壊を警告し、市場全体の単一的な動きを懸念している。
 インデックスファンドはより賢明で、情報に通じた投資家層を生み出し、彼らはより低い手数料を求め、資産運用業界のコストを押し下げ、投資教育の水準を改善した。だが、インデックス投資の台頭は一握りの銘柄の価格上昇にもつながった。また、企業が投資家の懸念に対応する必要性が低下して企業統治が悪化するとの懸念や、3兆4000億ドルの上場投資信託(ETF)が市場を不安定にしているとの懸念もある。
 ボーグル氏は本誌のインタビューで、インデックス投資が市場を不安定にしたという批判に答え、ETF時代がどのように終わるかを示唆し、市場をアンダーパフォームするファンドが増えれば低コストの必要性は増すばかりだと述べた。
 批判する向きは、インデックス投資家が資本を適切に配分していないと問題視する。つまり、インデックスファンドに資金が流入した場合、時価総額の大きな企業は株価上昇が適切であるか否かにかかわらず、時価総額比率相当の金額が投資され、さらに割高になるというものだ。近年、いわゆるFAANG銘柄で、個人情報問題や規制の可能性による混乱が生じるまで、バリュエーションが大幅に割高と見なされていた。

 さらに、わずか3485の上場銘柄に対して、インデックスは5000本を超える。資金の大半はS&P500指数や他の大型株指数に流入し、小型株の資本を枯渇させる可能性がある。
 第3の問題は、アクティブ運用マネジャーが減少するにつれて、上場企業の価値を決める市場の能力が低下することだ。ボーグル氏でさえ、誰もがインデックス投資に向かえば「際限のない混乱」という結果になると述べている。4番目は、株式保有がバンガード、ブラックロック(BLK)、ステート・ストリート(STT)の3社に集中することだ。3社を合わせると、S&P500指数構成銘柄の88%の企業の最大株主となっており、最近まで株主総会において、経営能力に関係なく会社側の意向に沿って投票する傾向にあった。
 ボーグル氏は当然のことながら、これらの批判に反論している。市場は資本配分とはほとんど関係ない。また、アクティブ運用から資金が流出しているため、市場に対するインデックス運用者の影響は過大評価されていると同氏は言う。インデックスファンドが株式ミューチュアルファンドの資産の43%を占める一方で、インデックスファンドの自動的な組み換えは、株式市場の全ての出来高の5%を占めるにすぎない。一方で、ミューチュアルファンドは全体として大型株の比重が指数よりも高い。例えばアップル(AAPL)はS&P500指数の3.55%を占めるが、株式ファンドの平均では3.63%となっている。アルファベット(GOOGL)はそれぞれ3.01%と3.44%で、アマゾン・ドット・コム(AMZN)は2.87%と3.4%となっている。同氏は「インデックス運用が市場の70%を占めたとしても問題にはならないとみている。実際にはインデックス投資は増えるべきだ」と語る。
• EFTと株式の集中保有を懸念
 とはいえ、ボーグル氏は1点を認めている。インデックスファンドが進化してETFを生み出した。ETFは投資家に対して、長期保有ではなく売買を促す。ETFの売買回転率は同氏にとって不安な点であり、上位100本では785%に及び、時価総額上位100銘柄では144%だ。ボーグル氏は、ETFはパッシブ運用のインデックスファンドがアクティブ運用に変化したもので、取引コストの上昇や市場タイミングの問題も生み出していると述べる。
 ボーグル氏は、ETFは純粋に投機的で、底値で売って高値で買うよう促していると懸念している。指数自体に加えて構成銘柄に流入した資金を勘案した金額加重平均収益率に対する調査では、2005年から2017年にかけて伝統的なインデックスファンドの平均リターンは8.4%、アクティブ運用ファンドは7.2%、ETFは5.5%だった。この調査結果は、ETFの終わりの種を含んでいる。また同氏は、多くのニッチ分野が一般的になったために、ETFの成長が減速し、多くのETFが姿を消していくと予想している。
 とはいえ、同氏は懸念し過ぎている可能性がある。ETFを短期的に利用する正当な理由は多く存在し、その一つはヘッジだ。2012年のバンガードの320万件の取引を対象とした調査によると、大半の個人投資家がETFを長期保有していた。
 ボーグル氏はまた、インデックス運用大手3社による株式の集中保有を懸念している。2017年時点で、バンガードはS&P500指数構成銘柄のうち491社で株式の5%超を保有していた。

 ボーグル氏は、インデックス運用については依然として楽観的だ。「人々のコスト意識が高まり、投資期間の理解が深まるにつれて、インデックス運用の革新は進行していく」と語る。特に、今後の市場のリターンが過去数年の驚異的なリターンを下回る公算が大きいため、この重要性が高まると同氏は話す。ボーグル氏の計算方法は単純で、配当利回り、利益成長、推定株価収益率(PER)を用いる。この計算によって、株式市場の短期的な年平均リターンは6%と同氏は予想する。
• インタビュー
以下、本誌のインタビューをお届けする。
本誌:あなたは、インデックスファンドで怪物を生み出したのか?
ボーグル氏:総出来高のおそらく5%を占める伝統的なインデックスファンドと、年間回転率が800%を超えるETFを区別しなければ、生み出したという主張はできない。インデックスで活発なのは、ほぼ100%がETFだ。金融の野心家が参入し、ニッチ分野を見いだそうとしている。生涯を通じて通用する優れた投資アイデアというのは信じがたい。多くのニッチに人が集まっており、それに伴って多くのETFが撤退するだろう。
Q:規制当局は、ETFを精査すべきか?
A:インデックス運用全般、中でもETFの拡大に注目している規制当局は世界中にあるが、どのように規制したらよいか分かっていない。ETFはブラックロック、バンガード、ステート・ストリートによる寡占状態にある。投資会社法は基本的に、ミューチュアルファンドは企業の株式を10%を超えて保有してはならないと定めている。しかし、あるファンドの持ち分が10%に達しようとする場合、2本目のファンドを立ち上げれば、テクニカルには規制を順守したことになる。上限を設定すべきだ。われわれ(ファンド会社)が米国の全企業の50%の株式を保有するなど、突拍子もない状態だし、まだほど遠い。しかし、これら大手企業が今まで通りの経営を続けるとは考えにくい。
Q:議決権代理行使におけるインデックス運用会社の役割は?
A:積極的関与だ。実現するまでに長い時間がかかった。機関投資家、特にインデックスファンドが真剣に取り組んでいないと私が語ったのは2001年だった。ウォール街では経営陣が気に入らなければ株式を売れば良いが、インデックスファンドは株式を売れないため、別の手段を取る必要がある。
Q:業界2.0(次世代の資産運用業界)はどうなるか?
A:マーケティングが前面ではなく、受託者の義務やプロ意識の後ろに控えるような業界だ。コストは低下するだろう。業界はより寡占的になるだろうか? 運用資産が100億ドル未満のような小規模マネジャーにも常に存在余地はある。しかし、大手は一段と強くなるだろう。人々がコストを意識し始めてからの時間が長くなり、どれほど長く投資するかを理解するにつれて、インデックス運用の進化は加速するだろう。
Q:ポートフォリオに含まれている銘柄は?
A:私には二つのポートフォリオがある。一つは年金ポートフォリオで、株式と債券が60対40で、バンガード・トータル・ストック・マーケット・インデックス(VTSMX)のようなインデックスファンドが主体だ。バンガード・ウェリントン(VWELX)やプライムキャップといったファンドも大量に保有している。取締役の経験もあって、ストックオプションのパフォーマンスも良い。個人の投資勘定としては株式40%、債券60%としており、ボーグル・インベスト・マネジメント・スモール・キャップ・グロース(BOGIX)を保有しているほか、バンガード・タックス・マネージド・グロース・アンド・インカム(VTGIX)を特に好んでいる。

 
バロンズ】ファンドではなく「マネジャー」を買え
マネジャーの選定方法をウィーナー氏とローウェル氏に聞く

ジム・ローウェル氏とダン・ウィーナー氏 PHOTO: PHILIP VUKELICH
By
Leslie P. Norton
2018 年 7 月 10 日 08:16 JST
 バンガード・グループとフィデリティ・インベストメンツほど、米国人の投資先として認知度や忠誠度、実績が高い会社はほとんど存在しない。両社は1970年代から脚光を浴び始め、今やバンガードは運用資産5兆ドル超、フィデリティは直接運用する2兆5000億ドルに加えて、証券会社、退職年金勘定などの管理資産が7兆ドルある。1990年代に、これら2社の複雑なファンドのガイドを提供して有名になったのが、『インディペンデント・アドバイザー・フォア・バンガード・インベスターズ』の編集長のダン・ウィーナー氏と、『フィデリティ・インベスター』と『フィデリティ・セクター・インベスター』の編集長のジム・ローウェル氏だ。両氏はそれぞれの会社のアクティブ運用のマネジャーの調査を行ってきたため、スター的なマネジャーをはじめ、各マネジャーの実績を熟知している。両氏のモデルポートフォリオは、S&P500指数を大きくアウトパフォームしており、アドバイスに従っていた人は報われている。両氏はまた、運用資産55億ドルの資産運用会社アドバイザー・インベストメンツでもチームを組んでいる。
 本誌:ニュースレターの執筆は、資産運用マネジャーの仕事に役立ってきたか?
 ウィーナー氏:私は27年半もニュースレターを書いてきた。アクティブ運用のファンドでポートフォリオを組み、インデックスをアウトパフォームする方法を示すのに、これ以上良い方法はない。
 ローウェル氏:常に書くことで、考えが明確になり、落ち着いていられる。2008〜2009年の 金融危機のさなかに、ファンドの明細書は怖くて開封しなくともわれわれのレターは読んでいた顧客もいた。
 ウィーナー氏:この仕事は投資家の教育というわけで、非常に興味深い。
 Q:成功したと分かる時はどんな時か?
 ウィーナー氏:「ファンドではなくマネジャーを買え」というような自分が言った言葉が使われる時だ。
 ローウェル氏:「客に出した料理を自分も食べる」。
 ウィーナー氏:「市場のタイミングではなく、市場にいる時間」。上昇や下落のタイミングの予測は難しいが、時間は重要だ。退職の時期に合わせるターゲットデート・ファンドは生まれた年に合わせて配分が決められているが、十把一からげにするよりも、個別の要因に合わせて投資教育をすべきだと思う。
• アクティブファンドに投資する理由
 Q:アクティブファンドのパフォーマンスはベンチマークを下回りがちだが、アクティブを選ぶ理由は何か?
 ウィーナー氏:平凡なマネジャーは使わない。何千もの中から10本程度は安定的に好成績をあげ、強い投資哲学や戦略を維持しているものがある。
 ローウェル氏:多くの投資家は、インデックスファンドや上場投資信託(ETF)の手数料の低さをリスクの低さと勘違いしている。
 ウィーナー氏:誰もがバンガード500インデックス・ファンド(VFINX)やバンガード・トータル・ストックマーケット・インデックス・ファンド(VTSMX)のことを口にするが、全ての資金をこれらにつぎ込んでいれば2009年のような株価下落時には、半分以上の資金を失って泣く羽目になる。この時は元に戻るのに3年半かかった。分散投資しなければいけない。
 Q:アクティブ運用ファンドは手数料が高いためインデックスファンドの成績を上回るのが難しいのでは?
 ウィーナー氏:アクティブでも低コストのファンドもある。バンガード配当グロース・ファンド(VDIGX)のマネジャーはドナルド・キルブライド氏だが、堅固なバランスシートを重視している。相場が軟調になると同氏が選んだ45〜50銘柄は注目を浴びるようになるだろうし、弱気相場でも下落率が低い。数学は残酷なものだ。相場が20%下落すると、元に戻るには25%上昇しなければならない。50%下落なら2倍に上昇しなければならない。下落率を抑えられれば、回復も早い。
 ローウェル氏:フィデリティのファンドの多くは過去10年で手数料率を大幅に引き下げた。フィデリティで最大級のアクティブ運用のグロースファンドであるフィデリティ・コントラファンド(FCNTX)のウィル・ダノフ氏の強みは、相場下落時もファンドの下落率が低いことだ。フィデリティ・ロー・プライスト・ストック・ファンド(FLPSX)を率いるジョエル・ティリンガスト氏は、恐らく同世代最高の銘柄選びの名人だ。ぜひポートフォリオ内に同氏のファンドを加えたいものだ。
 ウィーナー氏:10億ドル近い資金をプライムキャップのファンドに投資している。バンガード・プライムキャップ・ファンド(VPMCX)は1984年の設定以降バンガード500をアウトパフォームしている時の方が多い。同期間のリターンは7572.8%対3369.6%だ。複利の力は素晴らしい。
• マネジャーの選定方法
 Q:マネジャーをどうやって選定するのか?
 ローウェル氏:マネジャーの独自のランキングシステムを持っており、マネジャーの銘柄選択スキルを見ている。モーニングスターはファンドのパフォーマンスのレーティングであるため意思決定には利用しない。
 ウィーナー氏:例えば、ハイイールド債のマネジャーを探していた時、アーティザン・パートナーズが新規にハイイールド・ファンドを設定する予定で、アイビー・インベストメント・マネジメントのブライアン・クルーグ氏を採用したと聞いた。われわれは、クルーグ氏のアイビーでの成績を確認し、アーティザン・ハイ・インカム・ファンド(ARTFX)が2014年に設定された1カ月後に投資した。一時は半分程度も保有し、現在も約6%保有している。モーニングスターは3年の実績が必要なためカバーしていない時だった。
 ローウェル氏:2012年にバンガード・ヘルスケア・ファンド(VGHCX)のヘルスケア銘柄選別の達人だったマネジャーが退職した。当時、われわれは長年ヘルスケアをオーバーウエートとしていた。VGHCXと同程度のパフォーマンスのハートフォード・ヘルスケア・ファンド(HGHAX)が見つかったが、ロードが5.5%と高い。
 ウィーナー氏:しかし、ハートフォードのマネジャーの一人が、バンガードのマネジャーの右腕だったことが判明し、手数料は高いが、アウトパフォームの可能性のあるハートフォードに投資した。

両氏が選ぶお気に入りのマネジャーとは
 Q:その他に選好するマネジャーは誰か?
 ローウェル氏:ウオッチリストに入っているフィデリティ・イベント・ドリブン・オポチュニティーズ・ファンド(FARNX)のアービンド・ナバラトナム氏は、インデックスからの除外、事業再編、経営陣や戦略の大幅な変化などの特別な事情を抱える企業を保有している。その他保有銘柄数の少ないファンドも選好する。フィデリティ・インターナショナル・グロース・ファンド(FIGFX)のジェド・ワイス氏は99銘柄、フィデリティ・フォーカスト・ストック・ファンド(FTQGX)のスティーブ・デュフォー氏は41銘柄しか保有していない。
 ウィーナー氏:自己資金を投資しているマネジャーも選好している。コミットメントが感じられる。
 Q:バンガードは400本、フィデリティは500本ものファンドがあるが多過ぎないか?
 ローウェル氏:混乱する。われわれのレターは荒野の中のガイドの役割を果たしているので成功している。
 Q:マネジャーへのお気に入りの質問は何か?
 ローウェル氏:まず、普通の会話から始めて、幸福度を確かめる。その後にファンドの成績や、過去12カ月の予想外のリスクや機会、今後1年の見通しについて聞く。
ウィーナー氏:尊敬するマネジャーは誰かと聞くのも興味深い。
 Q:長期的な投資機会は現時点では何か?
 ローウェル氏:ヘルスケア。特にバイオテクノロジー、医療機器・システムなどが成長する公算が大きい。
 ウィーナー氏:ヘルスケア。短期間で米国の国内総生産(GDP)の20%を占めるようになるだろう。ベビーブーマーは、彼らの両親の世代とは異なり、退職後もアクティブで、ヘリコプタースキーやインラインスケートを楽しむ。骨盤や膝関節の置換手術を何度も行っている友人がいる。
 Q:個人勘定の中身は?
 ローウェル氏:アドバイザー・インベストメンツにあるわれわれの確定拠出年金(401k)は、われわれのクライアントと同じようなファンドに投資されている。主に、バンガード、フィデリティ、プライムキャップのファンドだ。


 
中国が一部銀行対象に預金準備率引き下げ−今年4回目
Bloomberg News
2018年10月7日 16:50 JST
• 米中通商対立の激化受け、経済のてこ入れ図る
• 実施は15日、銀行が人民銀に預けねばならぬ資金は20兆円減へ

The People's Bank of China headquarters stand in Beijing, China.
Photographer: Qilai Shen/Bloomberg
中国人民銀行(中央銀行)は7日、今年4回目となる預金準備率の引き下げを発表した。米国との通商対立の激化を受けて、金融当局として経済のてこ入れを図る。
  人民銀がウェブサイトに掲載した発表文によれば、一部銀行を対象に預金準備率を1ポイント引き下げ、15日から実施する。市中銀行が人民銀に預けねばならない資金は計1兆2000億元(約20兆円)減ることになる。このうち4500億元は、満期を迎える既存の中期貸出制度(MLF)の返済に活用されることになる。


原題:PBOC Cuts Reserve Ratio for Fourth Time in 2018 as Growth Slows(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-07/PG7WFF6S972801

 
中国経済、落日の足音 世界株高に忍び寄る影
内憂外患 広がる波紋
2018/9/26 5:30
日本経済新聞 電子版
 「成長が頭打ち。もう潮時だ」。大阪府に住む個人投資家の柿谷信司さん(仮名)はこの夏、5年以上保有した中国のネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)株をすべて売却した。きっかけは今年4〜6月期の決算。四半期ベースで13年ぶりの減益に転じた。「政府の規制強化が足かせとなっている」とみる。テンセント株は昨年末比で約2割下落した。
中国 落日の足音(日経ヴェリタストーク) 
 激化する米中の貿易戦争。中国経済はどこまで持ちこたえられるのか。9月25日放送(日経CNBC) 週刊投資金融情報紙「日経ヴェリタス」の主要記事を専門家と編集長が解説する。
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 テンセントだけではない。上海証券取引所に上場する企業で構成する上海総合指数は、米トランプ政権が中国からの輸入品2000億ドル(約22兆円)分に制裁関税を課すと発表した17日、2014年11月以来の安値を付けた。15年の「人民元切り下げショック(チャイナショック)」以降の最安値だ。藍沢証券の王曦氏は「中国当局の金融引き締めで投資家心理が弱含んだところに、米中貿易問題が追い打ちをかけた」と話す。
■成長率6.1% 信用収縮も
 米中貿易戦争は激化の一途をたどる。米国の発表を受け即座に中国側も米製品600億ドル分に追加関税を課すと報復に打って出た。米バンクオブアメリカ・メリルリンチは中国の19年の国内総生産(GDP)成長率が6.1%に低下すると試算する。
 貿易戦争だけが原因ではない。「信用収縮が起きているのではないか」。エコノミストの間で話題になっているのが、ネット上で個人間の資金融通を仲介する「ピア・ツー・ピア(P2P)金融」の動向だ。規制強化で廃業する業者が数百社にのぼり、貸付総額が急減している。

 「宇宙の目」も減速ぶりを映し出す。米ベンチャー、スペースノウが中国の6000以上の工業地区の操業状況を衛星画像から分析した景気指数は9月まで3カ月連続で低下した。「プラスチックをつくる射出成型機の受注キャンセルが起き始めている」(日本の機械メーカー幹部)
 中国政府も手をこまぬいているわけではない。地方政府に債券発行を促し公共投資を再加速させる考え。一定の効果は上がるとみる向きもあるが米国を刺激せずに打てる手は限られる。
 19日には李克強(リー・クォーチャン)首相が「人民元の切り下げ競争はしない。知的財産権の侵害も厳しく取り締まる」と夏季ダボス会議の講演で語った。中国経済の専門家は「(広域経済圏構想の)『一帯一路』という言葉を見かける機会がめっきり減った」という。
■貿易戦争 最大の試練か
 チャイナショックをはじめ、中国経済は幾度も崩壊のリスクを指摘されながら、大規模な財政政策や資本規制などを通じて持ちこたえてきた。だが今回、李首相は「大規模な景気対策はあえて講じない」と強調する。債務膨張など無理な成長の弊害が見えてきた中、高度成長の終幕を受け入れる姿勢に転じたようにも見える。
 すでに生産年齢人口は減少に転じ、人件費も上昇が続く。東南アジアなどに生産拠点を移す動きが絶えない。第一生命経済研究所の西浜徹氏は「すぐに破裂する確率は低いが、急減速のマグマは静かにたまりつつある」と話す。
 世界経済に影響が及ぶのはまだ先だ。米国株は最高値を更新。日経平均株価も8カ月ぶりの2万4000円台乗せが近づく。だが米中貿易戦争が本格化するとされる来年以降、一段の株高を阻む最大の要因になりかねない。「中国経済の急減速はテールリスク(確率は極めて低いが、起こると影響は甚大なリスク)」(アセットマネジメントOneの鴨下健氏)。警戒度は上がっている。
 14億人近い人口を抱え、世界第2の経済大国にのし上がった中国。貿易戦争は改革開放路線にカジをきった約40年間で「最大の試練」とみる向きもある。中国経済の減速はどこまで深刻化し、世界経済に悪影響を及ぼし得るのか。リスクの深度を点検し、向き合い方を探った。
[日経ヴェリタス2018年9月23日号]


無名の「マイクロブランド」急増、背景に何が?新たな技術と手法が可能にしたニッチなブランドの台頭
今やどこを見渡しても、爆発的な数の名もない「マイクロブランド」が気味悪いほどの正確さでターゲット広告を配信している
 
By Christopher Mims
2018 年 10 月 7 日 08:48 JST

――筆者のクリストファー・ミムズはWSJハイテク担当コラムニスト

***

 経済学者のジョン・メイナード・ケインズが予想できなかったことの1つが、成熟した経済においては、誰もがマットレスの新興企業に雇われているか、そうした企業の宣伝をするポッドキャスト配信者として働いていることだ。もちろん、これは冗談だ。しかし、思い付く限り全ての媒体で十数社のマットレス通販会社が消費者の関心を引こうと争っている。

 マットレスは氷山の一角にすぎない。どこを見渡しても、爆発的な数の電子機器や衣料品、化粧品、家具、食品の「マイクロブランド」が気味が悪いほどの正確さで、われわれにターゲット広告を配信している。とりわけインスタグラムとフェイスブックではこれが顕著だ。キャスパー・マットレスやカイリー・コスメティクスなど一部企業は一夜にして成功を収めている。しかし、ホームシック・キャンドルズやローイング・ブレザーズなどは聞いたこともないだろう。

 こうした事態は、新しい技術と手法を組み合わせることによって可能になった。広告主は商品が存在さえしないうちから、模型や試作品でオーディエンス(広告の受け手)の反応を試し、海外工場に委託して素早く生産する一方で、決済から出荷まで全てをアウトソースできる。

 マイクロブランドブームは、商品の発売者や資金調達の仕方、製造方法、広告手法に変化をもたらしつつある。そもそも商品の着想の仕方さえ変わりつつある。こうした事態を受け、ジレットやJ.クルー、テンピュール・シーリーといった従来ブランドはマイクロブランドのイノベーション――新興企業が見極めたトレンド、サブスクリプション(定額制)ビジネスモデル、無料配送など――を模倣せざるを得なくなっている。中にはマットレス会社のサータ・シモンズなどのように競合するマイクロブランドを買収した企業もある。

 ブームに乗り遅れまいとアマゾンも「Our Brands」というプライベートブランドを立ち上げた。自社製品をアマゾンで独占販売することに同意すれば、追跡ツールの提供や販促支援を受けられるほか、アマゾンのサイトでより有利な場所に配置してもらえるというものだ。

 「かつての『テックスタック』のように、新たな『ブランドスタック』が起こりつつある」。スタートアップ企業投資家でソフトウエア大手アドビシステムズの最高製品責任者を務めるスコット・ベルスキー氏はこう指摘する。スタックとは、うずたかいサンドイッチのようにさまざまな要素が何層にも積み重なり、さまざまな商品の開発・提供を可能にしている状態を指す。

ブランドの誕生

 新しいブランドスタックがいかにしてマイクロブランドの急増を可能にしているかを理解するには、商品を発売する過程を想像してみるといいだろう。まずは架空のスタートアップ企業「アップリフト・コーヒー」の諮問委員会を結成するため、少数の経験豊富なマイクロブランド起業家団を採用する。

 マイクロブランドを立ち上げる上での最初のステップは、ちょっとした広告文と写真のストックを照らし合わせて選定し、数百または数千ドルを支払ってテスト広告をインスタグラムとフェイスブックに掲載することだ。こう話すのは、マイクロブランドのスタートアップ企業のアドバイザーを務めるジェシー・ホロウィッツ氏だ。同氏はコンタクトレンズのネット直販会社ハブル・コンタクツの創業者だ。同社は7370万ドル(約84億円)を調達している。アップリフト・コーヒーが売る商品はまだなくても構わないが、広告が何回タップされたかを測定することで、商品の需要感をつかみ始めることができる。

 こうしたテストは不可欠だとオンラインマーケティング会社デジショップガール・メディアのカティア・コンスタンティン氏は話す。同社はピザ生地を手掛ける「カリフラワー」などのマイクロブランドがアマゾンの売上ランキングでトップになる手助けをしている。コンスタンティン氏の顧客企業の1社は、さまざまな衣類の広告をインスタグラムに掲載していた。広告のクリック率が高く、十分な予約注文が受けられた場合、中国の工場は即座にその衣類の製造を開始できるようになっていたという。

 マイクロブランドの台頭を可能にした要因の1つは、気味が悪いほど正確にターゲットを絞った広告だ。それには人工知能(AI)を用いた複雑なアルゴリズムが利用されており、広告主でさえそのアルゴリズムを完全に理解していない。広告主は単に都市部に住む18〜34歳の裕福な若者に狙いを定めているのではなく、そうした対象を絞るアルゴリズムを通じて「類似」オーディエンス、すなわち似たような商品をクリックまたは購入した人たちを探している。

 かつては、ブランドが広告を大々的に打ち、安心して購入できそうな商品を繰り返しわれわれに知らせていた。しかし、消費者になじみのないマイクロブランドは別の方法で注目を集め、信頼を築いている。ホロウィッツ氏によると、最も反応率が高いのはグラフィックと動画が最も洗練されているブランドだ。また、価格の低さや配送に手間がかからないことも、新しいブランドを頻繁に試しやすくしているとホロウィッツ氏は指摘する。

コーヒーの生産

 アップリフト・コーヒーの予約注文が十分に取れたら、生産に取り掛かる時期だ。これは以前ほど費用もかからず、大変ではなくなっている。工場のオートメーションがはるかに柔軟になっているためだ。コンピューター化によって、商品が変わっても生産ラインを素早く切り替えられるようになったと食品会社JMスマッカーのエンジニアリング担当上級マネジャー、ジョー・ゼンバス氏は話す。同社は自社工場だけでなく外部で委託生産した食品も販売している。

 受託製造会社は、以前よりも経済的に1つの商品を毎月わずか数日で生産できるようになっている。ゼンバス氏によると、数週間の間に1つの生産ラインで数十種類の異なる商品を生産することができ、商品を切り替える際の休止時間は分単位で測れるほどになっている。

 支払いの受け取りや在庫の管理、商品の発送はかつてそれ自体が悪夢だった。しかし今や、こうした作業は全て――そして消費財会社がかつて手掛けていたほぼ全ての他の作業も――多くの大小さまざまな企業にアウトソースできるとベルスキー氏は指摘する。電子商取引(EC)サイトの支援サービスはショッピファイ、カスタム梱包(こんぽう)はルミ、商品の保管・配送はUPSやデリバーといった具合だ。

 こうしたインフラは全て消費者、特に若い消費者の需要がきっかけとなって生まれたものだ。「消費者はもはやメーシーズ(米百貨店)に行き、ブランドを探したいとは思っていない」とコンスタンティン氏は話す。「若い人たちは(ソーシャルメディアの)フィードにいる。彼らはさまざまな商品をクリックし、そして購入している」

 マイクロブランドが有効、あるいは新しいトレンドだと誰もが認めているわけではない。広告会社R/GAの米国戦略担当トップ、トム・モートン氏は、インターネットが登場する前から、雑誌の裏表紙のほか、ショッピングモール内のアーバン・アウトフィッターズやホットトピックなどの衣料品ブランド店で新興のファッションや生活用品ブランドを目にすることができたと話す。今は新興ブランドにとってエコシステムが整っている一方で、ブランド立ち上げを容易にしているその環境が持続的な成長を阻害する可能性もある。

 「そうしたビジネスが成長カテゴリーにあるのは確かだが、商品は取り換え可能だ。インスタグラムでは写真5枚おきにスポンサー付きの広告枠が設けられているため、数分スクロールすれば同じようなTシャツのスタートアップ企業を4社目にすることができる」。モートン氏はこう指摘する。

 ブランドの未来もインターネット上の他の全てと同じだ。大きいものはかつてないほど巨大化し、細分化した他の選択肢は独自のニッチ市場を見つけている。ブランドがニッチすぎれば、オーディエンス不足で存続できないだろう。しかし、マイクロブランドが部族的アイデンティティーを求めるフォロワーを集めることができれば、最終的に「マイクロ」というステータスから脱却できるかもしれない。

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ノーベル経済学賞、マクロ受賞に注目 バーナンキ氏ら
2018/10/8 6:30 日本経済新聞 電子版
スウェーデン王立科学アカデミーは日本時間8日夕、2018年のノーベル経済学賞を発表する。受賞が見込まれる顔ぶれの中には、ベン・バーナンキ元米連邦準備理事会(FRB)議長の名前もある。近年は個人や企業の意思決定や活動に着目する「ミクロ経済学」に関わる受賞が続いてきた。50回目の授与となる今回は、経済成長や金融危機などを分析対象とする「マクロ経済学」の分野が受賞するかどうかが注目される。

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過去のノーベル賞授賞式が開かれたスウェーデンのストックホルムの会場
経済学賞はスウェーデンの中央銀行が1968年に設立300周年を記念してノーベル財団に働きかけて創設した。物理学賞や化学賞、文学賞など1901年から始まったノーベル賞とは創設の経緯が異なるが、世界の経済学者にとって最高の栄誉であることには変わりない。
創設から80年代までは故ポール・サミュエルソン氏など第2次世界大戦後の経済学を確立した大物の受賞が続いた。その後、市場原理を重視する「シカゴ学派」やゲーム理論、心理学と経済学を融合した行動経済学など受賞分野は広がっている。過去79人の受賞者のうち米国生まれは44人と圧倒的な存在で、日本人の受賞者はまだいない。
今年の受賞者は誰か。慶応大の坂井豊貴教授は「マクロが注目分野だ」と話す。近年、この分野の受賞者が少ない点を理由に挙げる。サミュエルソン氏らが確立したマクロ経済学はいまも中核的な分野だが、2011年にトーマス・サージェント氏とクリストファー・シムズ氏が受賞して以来、受賞から遠ざかっている。坂井氏によると、今年の経済学賞の選考委員7人のうち研究領域がマクロ分野に近い人物が多いことも、受賞が有力視されるゆえんだ。

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バーナンキ元FRB議長=ロイター
マクロ分野で注目されるのが、元FRB議長のバーナンキ氏だ。同氏は80年代から銀行破綻などを伴う金融不安が景気低迷を増幅させるメカニズムを解明し、その研究は世界中の経済学者に影響を与えた。
かねて研究者として著名だったバーナンキ氏はその後、FRB理事を経て06〜14年には議長を務めた。議長在任中には、08年のリーマン・ショックなどを伴う世界的な金融危機が発生。市場からの国債買い入れなど大胆な政策対応を陣頭指揮した。FRBという実務機関のトップを務めた人物がノーベル経済学賞を受けるとなれば異例だ。

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清滝信宏・米プリンストン大教授
マクロ分野ではほかに、技術進歩が経済成長に与える影響を定式化した米ニューヨーク大学のポール・ローマー教授などの名前が挙がっている。日本人では米プリンストン大教授の清滝信宏氏が、金融危機の理論を確立した貢献により受賞が期待されている。
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リーマン後10年、次の危機は(時論)[有料会員限定]
2018/8/14 2:00

ロイター
リーマン救済「手段なく」[有料会員限定]
2018/9/14付



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