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立花聡の「世界ビジネス見聞録」 米軍のシリア撤退でいちばん困るのは誰か? 20兆米ドルに及ぶ習近平政権の「隠し資産」とは
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投稿者 うまき 日時 2018 年 12 月 27 日 12:47:23: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

立花聡の「世界ビジネス見聞録」

米軍のシリア撤退でいちばん困るのは誰か?

トランプを読み解く(3)
2018/12/26

立花 聡 (エリス・コンサルティング代表・法学博士)

シリアからの米軍撤退をトランプ大統領が決断した。大方の識者はこれを批判している。衝撃のあまり、厳しく批判し、憤慨している人も大勢いる。識者の見解だけに根拠はしっかりしているし、問題点の指摘も明快。どの記事を読んでも納得させられる。ただ1つだけ、そのほとんどは評論家の目線で諸問題を捉えている。当のトランプ氏本人の立ち位置や目線とはどんなものか、大変気になるところだ。2つの論点に分けて考えてみたいと思う。


12月19日、トランプ大統領は米軍のシリアからの撤退を発表(写真:AFP/アフロ)
公約と現実のギャップ
 シリアからの米軍撤退は、トランプ氏の公約だった。まず、1つ目の論点は、公約と現実のギャップをどう処理するかという実務問題の扱い方から入りたい。

 時間軸を遡ってトランプ氏が大統領に当選したときのことを思い出したい【参照:「ずけずけ言う男、トランプ流の選挙マーケティング」トランプを読み解く(2)】。トランプ氏の当選それ自体がまず、予想を外した多くのメディアや識者にとってある種のショックだった。当選の事実を前に、彼らは今度こう語った。「トランプの過激な言説や公約は、選挙のためのものだ。いざ大統領の座についたら豹変するかもしれない。少なくとも、言っていたことを全部やらないだろう」。

 希望的観測だった。残念ながら、またまた予想に反して、トランプ氏はその公約をほとんど果たしてきたのではないか。メディアや識者、いわゆるエリートたちは、理性的に物事を考え、非常に合理性のある結論(予想)を出す。しかし、トランプ氏はこの論理的な文脈を踏まないのである。さらに、トランプ氏の言説は内実だけでなく、その表現や言葉遣いも非常に乱暴で決して格調高きものではない。この辺もエリート層の作法を踏み外している。故に、エリートたちは本能的にトランプ氏にある種の拒絶反応を起こすのである。

 にもかかわらず、トランプ氏はしっかり公約を果たしてきた。1つだけ、中国の為替操作国認定、人民元をめぐり中国と戦う姿勢を選挙公約で示してきたが、それが果たされていなかった。その代わりにトランプ氏はより大きなスケールで中国に貿易戦争を仕掛けた。選挙中の公約をこれだけ誠実にしかも、額面通りに実行する政治家は稀有な存在である。

 公約をすべて誠実に守り、果たしていくことは正しいことだ。しかし、原初的な民意を反映した公約と現実との間にはしばしばギャップが生じる。この場合はどうするかという実務問題が横たわっている。エリートたちの考えはおそらく、理性と知性に基づき、民意に修正を加えることであろう。つまり、「大統領の座についてからの豹変」という合理性が期待されていたのである。

トランプとリー・クアンユーの違い
 しかし、トランプ氏は「豹変」しなかった。愚直に公約を果たそうとしたのだった。実はトランプ氏はひそかにこう考えていたのかもしれない――。公約はとにかく守る。やってみて失敗した場合は、「申し訳ない。国民の皆さんの意思は通らなかった。私は皆さんの望む通りの事をやったけれど、残念ながら、現実は厳しい。改めなければならない」とこの調子で通す。

 つまり、民意というのは私利私欲(個益)の総和なのだ。国民に現実の「壁」を知ってもらうために、ある種の検証が欠かせないからだ。アメリカ合衆国株式会社の株主は国民だ。株主からこうやれああやれと言われても、無茶なことはできないので、社長が勝手に株主の意思を修正していいかどうか、これは非常にシビアな問題だ。

 言ってみれば、「実体」と「手続」の関係である。有言実行という「手続」を踏んでたとえその結果が「実体」の失敗であっても、それは民主主義のコストである。民主主義の本質的な価値は、「実体」にではなく、「手続」にある。

 トランプ大統領の言行はエリート層の作法を踏み外しているだけに、理解に苦しむ人が多い。ここで、トランプ氏とシンガポールの初代首相リー・クアンユー氏(故人)を比較すると分かりやすい――。

 リー・クアンユーは「シンガポール国民の皆さん、政府のエリートたちは最善を考えてやるから、みんな黙ってついてこい」という姿勢だったのに対して、トランプ氏は「アメリカ国民の皆さん、みんなの考えや意志が最悪であっても、政府はその通りにやるから、エリートたちは黙れ」といったところではないだろうか。

なぜメディアを敵に回すのか?
 もう少し話が逸れる。トランプ氏は大統領就任後、ホワイトハウス記者会が毎年春に開催する恒例の夕食会を2回連続欠席していた。さらに「フェイクニュース」を連呼したり、記者を「出入禁止」にしたり、ずいぶん乱暴なことをしてきた。なぜメディアと対立するのか。メディアを敵に回して大統領には勝ち目があるのか。これを解明するには、2つの本質的な矛盾に着目する必要がある。

 1つ目は、メディアと民主主義の矛盾。

 メディアといえば民主主義の象徴といってよい。では、メディアと民主主義とはどこが矛盾なのか。それよりも、民主主義制度のもとで国民に選ばれた大統領であるトランプ氏は、なぜメディアから批判・攻撃を受けなければならないのか、という疑問がある。

 ある意味で国民に選ばれたトランプ氏を馬鹿にすることは、つまり国民の意思を馬鹿にすることでもある。エリート層が主宰するメディアはそもそも民意をどう捉えているのか。

 大多数の国民は決して国家単位の共同体利益を総合的に考慮できるほどの賢人ではない。よって、その国民の意思を積み上げる政治は現実的ではない。政治家は理性と知性をもって民意の修正をしなくてはならない。そうした作業を行わずに、単純なる民意の集結だけでは、国家運営がうまくいくはずがない。そういう馬鹿なことをやる大統領は馬鹿だと、エリート層のメディアは批判する。

 民主主義の産物であるメディアは、いざ知識人で構成されるエリート層に掌握されると、素朴な民衆に対して直ちに上からの目線を取るのだ。

民衆を馬鹿にする民主主義のパラドックス
 2つ目は、ポピュリズムと民主主義の矛盾。

 ポピュリズム、民意迎合というのは常に批判される対象となる。民主主義の本旨は民意の政治への反映であれば、民意迎合のどこがおかしいのか。むしろあってしかるべきだ。ポピュリズムの汚名をトランプ氏に押し付ける裏側には、民意の非理性・不合理性に対する否定が見え隠れする。

 そもそも、「ポピュリズム」とは何か。それは、エリート層の思惑通りに、あるいは筋書き通りに民衆が動かない現象に対する不満、苛立ちと批判の表れにほかならない。エリート層は自らの民衆に対する影響力の脆弱さを反省せずに、民衆を馬鹿にし、民衆を軽蔑し、あるいは民衆に責任を転嫁する。そうした意味が込められているのだ。

「誰よりも民衆を愛した君は、誰よりも民衆を軽蔑した君だ」という芥川龍之介の名言を思い出せば、納得する。

 トランプ氏は内心でどう考えているのか。「何が民意だ。そんな無茶なことはうまくいくはずがない。あっそ、それでも言うなら、この俺がやってやろうじゃないか。失敗したら民意が悪い、民衆の責任だ。成功したらオレ様の功績だからな。やってやろうじゃないか」と、それはまったく私の邪推だけれど。

 こうした錯綜する関係を整理してみると、メカニズムはなんとなく見えてくる。

選択と集中、全体最適と局所最適
 いよいよ2つ目の論点に入りたい。

 シリアからの米軍撤退。トランプ氏の長年の公約だった。多くの人、特にエリート層が驚いた。トランプ氏は「私が長年主張してきたことで、驚くことではない」とツイートした。「ISの敵はロシアやシリア、イランなどだ」と指摘した上で、「アメリカはこれらの国々のためにコストを負担してきた。米国民の生命を犠牲にし、何兆という巨額の金を払いながらも、感謝されたことはほぼない。見返りのないまま中東での警察官の役割を続けたいだろうか」と訴えた。トランプ氏の論理からすれば、この発言は紛れもなく彼の真意だった。

 メディアや識者、いわゆる理性的なエリート層は反論する。その論点は主に2つある――。1つは、「IS戦闘員は現在も一部残っているため、復活するかもしれない」。もう1つは、「米軍撤退でロシアとイランが現地で影響力を強めるかもしれない」。これらはすべて理性に基づく合理的な推論である。にもかかわらず、トランプ氏は一蹴した。

 経営者的な目線からすると、「ISは果たして物理的に完全撲滅することは可能か?」「全滅のベンチマークとは何か?」「全滅させるにはあとどのくらいの時間とコストがかかるのか?」「もしISが全滅しなかったらどうするか?」「仮にISが全滅したとしても、ロシアとイランの勢力拡張を抑止することができるのか、またそれはどのくらいの時間とコストがかかるのか?」。この一連の問いに回答することが不可能だ。すると、経営者ならば、総括して1つの質問に集約するだろう。それは、「シリア撤退によってどんな不利益があるか」である。

 そもそも論になるが、これからの中東は米国にとってどのような意味をもつのだろうか。かつての米国にとって極めて重要度の高かった中東だが、米国発のシェール革命で一挙にその戦略的意義が失われた。そこで米国が中東から手を引いた後に、中東が仮に群雄割拠の時代に突入したとしても、即座に米国に大きな危険が及ぶことはない。逆に中東に居残ったほうがコストもかかるし、リスクも高いといえる。

 米国が中東との関係を切れば、むしろISあるいは別の形でイスラム教に絡んだテロリストとの敵対関係は薄れ、少なくとも米本土がテロ襲撃を受ける確率も減少するだろうと、トランプ氏はそう読んでいたのではないか。

 それよりも、いま米国にとっての主たる敵は中国である。中東での投入を削減し、リソースを対中決戦にシフトすることは、まさに「選択と集中」の原則にも合致する。経営者としての考え方ではあるが。

 はっきり言えば、「米兵の命と莫大なコストをかけて、これから何年頑張っても確固たる勝利の目処が立たないシリアで戦う」か、それとも「1〜2年で、少々の経済的影響で巨大パワー中国を完敗させる」か、このような選択肢に直面するトランプ氏は、経営者的な決断を下したのである――。「原油の中東」、その存在意義が薄れた。正直どうでもいいのだ。それよりも主たる敵の中国潰しに資源を集中投下する。

 少々乱暴ではあるが、財務的に言えば、中東での投入は物理的な戦場があっての固定費である。これに対して、対中貿易戦争はバーチャル戦場故の変動費なのである。長期にわたる固定費負担よりも中期的な変動費がはるかに経営上の健全性を有しているからだ。さらに何よりも一番大切なことは、後者の貿易戦争は基本的に命にかかわるものではないことだ。

 エリートたちの中東地域についての分析は正しいと思われる。ただトランプ氏はこれを「局所最適」と捉えていたのかもしれない。全体最適と局所最適のバランスが大切だが、トランプ氏は最終的に躊躇なく全体最適の選択肢を取ったのではないかと、そう思えてならない。

 最後に触れておきたいのはマティス国防長官。彼は実に優秀な軍人だ。軍人は友軍や戦友を見捨てて戦場を去るわけにはいかない。使命感と仁義は「理」と「情」の結合であるのに対して、トランプ氏は徹底的な合理性という「理」と「利」に価値を置いた。軍人と政治家、そして経営者、という異なる世界の狭間で苦渋の決断を迫られた彼の姿には、宿命的なものがあった。マティス氏がトランプ政権から去ることは誠に残念だ。

 米中関係にあたってマティス氏はバランサー役、ときにはブレーキ役を引き受けてきた。彼が去ったことによって、トランプ政権の対中姿勢がより強硬になる可能性が高まった。さらに中東から引き揚げられた資源は、米中貿易戦争に集中投下されると、一番困る人は習近平氏にほかならない。

<第4回へ続く>
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14883

http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14895


 


チャイナ・ウォッチャーの視点

20兆米ドルに及ぶ習近平政権の「隠し資産」とは?

2018/12/27

樋泉克夫 (愛知県立大学名誉教授)


写真:新華社/アフロ
 習近平政権は、貿易・ハイテク・通信問題を主戦場とする米中覇権争いに世界各国の華僑華人社会に扶植した組織を動員し、トランプ政権に対し搦め手で揺さ振りを掛けようとしているようだ。

 12月22日、アフリカのソマリアにある中国和平統一促進会や東部アフリカ中国和平統一促進会などが全世界の華僑華人社会に向けて、「覇権・迫害・ニセ人権に反対し、カナダ政府に対し孟晩舟女士の無条件釈放を要求する共同宣言」への署名を呼びかけた。「孟晩舟女士」とは、もちろん米中貿易・ハイテク戦争に絡んで12月初めにカナダで身柄を拘束された華為(ホワウエイ)の孟晩舟CFOである。

「米中覇権争い」に対する習近平の本気度
「人権擁護を謳うカナダによる不当逮捕は、中国公民の合法で正当な権利を不当に侵す極めて卑劣な行為である。本件は通常の司法事案ではなく政治的陰謀であり、中国の企業と公民に対する政治的迫害である」と強い調子で書き出された「共同宣言」には、ソマリア、スーダン、タンザニア、ザンビア、アンゴラ、ジンバブエ、赤道ギニア、ナビビア、レソト、南スーダン、コンゴ、ケニア、ナミビア、ルアンダなどアフリカ諸国を中心に、アラブ首長国連邦、エジプト、デンマーク、スウェーデン、ブルガリア、ルーマニア、パナマ、ロシア、アメリカ、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、タイ、マレーシア、インドネシア、韓国などの中国和平統一促進会や関係者が署名している。(タイの華字紙『中華日報』電子版は、12月22日から23日にかけての24時間ほどで86を数える団体と個人が署名したと伝える)。

 日本においては耳慣れない名前の団体だが、中国和平統一促進会は1988年にケ小平の提唱によって組織され、台湾との統一促進を目指す非共産党人士を中心とした民間組織とされる。当初は台湾独立反対を目的にしていたが、現在ではチベットとウイグルの独立反対も掲げ、4952万100人(2013年9月16日現在)を数える全世界の華僑華人社会に根を張り影響を拡大している。

 これまで華僑にせよ華人にせよ、漢族をルーツとする海外在住者と看做されてきた。中国では「華僑」を国外在住の中国公民(=国籍保有者)、「華人」あるいは「外籍華人」を元中国公民の外国国籍保持者及びその後裔(=外国人)と規定してきた。だが、『華僑華人与西南辺疆社会穏定』(石維有・張堅 社会科学文献出版社 2015年9月)が示すところでは、最近では中国の領内から海外に移住した少数民族であっても――極端にいうなら「逃亡藏人(逃亡チベット人)」ですら華僑華人と看做そうとする動きが見られる。

 これを敷衍するなら、海外で反中・独立活動を展開するチベットやウイグルの出身者も華僑華人に組み込まれることになり、台湾・チベット・ウイグルの独立運動は国内問題として取り扱うことができる。そこで一連の独立運動の国際問題化を阻止するリクツが成り立つというのが、おそらく中国の狙いだろう。

 現在、中国和平統一促進会トップを占める汪洋は習近平政権中枢(党中央政治局委員=チャイナ・セブン)の一員であり、全国人民政治協商会議全国委員会主席(参議院議長に相当)を務める。ということは、中国和平統一促進会は非共産党人士による民間組織というより、やはり共産党政権傘下の統一戦線工作機関と考えて間違いはないはずだ。

 今回の署名運動は共産党伝統の統一戦線工作の一環であり、カナダ政府に対する華僑華人社会を背景にしての揺さぶりと考えられる。だが、この程度の抗議活動でカナダ政府が孟晩舟CFOの釈放に応ずるわけも、ましてやトランプ米大統領が中国の巨大先端産業への追及の手を緩めるはずもないだろう。であるなら今回のカナダ政府糾弾を求めた署名活動は米中覇権争いに対する習近平政権の“本気度”を示し、世界各国の4952万100人の糾合を狙っているようにも思える。

バンコクで行われた前代未聞の「指導工作」
 中国和平統一促進会と同じような性格を持つ組織に、「僑聯」の略称で知られる中華全国帰国華僑聯合会がある。共に華僑華人を活動対象とするが、民間組織を掲げている前者に対し、全国人民政治協商会議を構成するだけに後者は公的機関の権能を持つ。

 僑聯の前身は共産党が根拠地としていた延安で組織された延安華僑救国聯合会で、当時は1000万人を数えられていた在外華僑を抗日戦争に取り込むことを狙ったものだ。抗日戦争への参戦を目指し帰国した若者を中心に組織された華僑聯合会などを基礎に、1940年9月にはシンガポール、イギリス、フランス、アメリカ、インドネシアなどからの帰国者が合流し延安華僑救国聯合会が結成され、主として海外における抗日闘争を展開する任務を帯びていた。

 その後、1956年になって関連団体を束ねる形で僑聯が組織され、帰僑(帰国した華僑)や僑眷(海外華人社会に親族を持つ者)を介し、共産党・政府と在外在住者とを結ぶ役割を担うことになる。

「無数の帰僑・僑眷と在外同胞は中国の特色ある社会主義建設における貴重な資源」であり、「中華民族の偉大な復興を実現する重要な力」であると位置づけ、「中華民族の偉大な復興という夢を実現させるために内外の中華民族の一層の共同奮闘を必要としている」と訴える習近平政権は、国内に住む帰僑や僑眷と海外の華僑華人社会との結びつきを強化し、僑聯を「中国の夢」の実現するために活用する――いわば僑聯は多くの華僑華人を糾合し、彼らを「愛国同胞」に仕立て上げ、一帯一路に組み込む――ことを狙っているといえるだろう。

 2017年6月、日本の東北大学に留学し博士号を取得した万立駿(1957年生まれ/大連出身)が僑聯主席に就任した。僑聯党書記を兼任することから、彼は習近平政権における華僑華人社会対策の現場トップに位置することになる。

 そんな万立駿が12月6日、バンコクで活動を続ける泰国和平統一促進会総会を訪れ、会長以下の会員を前に「中華民族の核心的利益」を実現させるために奮闘するよう「指導工作」を行った。これまで30年以上に亘って華僑華人社会の動きを見続けてきたが、僑聯トップが海外に出向き、ここまで明確な形で「指導工作」を行った例は聞いたことがない。ということは今回の「指導工作」を機に、僑聯によるテコ入れが本格化するとも考えられる。

「在外華僑華人」は中国ソフトパワー戦略の柱
 習近平政権の基盤が確立される前後の2015年7月、『華僑華人在中国軟実力建設中的作用研究 RESERCH ON EFFECTS OF OVERSEAS CHINESE IN CHINESE SOFTPOWER BUILDING』(経済科学出版社)が、在外華僑華人と「中華民族の偉大な発展」の関係を国家レベルで研究した成果として出版された。

「改革開放以来30有余年、中国の経済と社会は驚天動地の変化を遂げ、貧しく遅れた国家から瞠目すべき現代的大国へと発展し、経済力は世界第2位に躍り出た。財政収入は100兆元の大台を突破し、総合国力は明らかに強化され、社会の調和は進み、国際的な影響力と発言権は飛躍的に高まった。だが、中国が発展するほどに、西側の大国でも『中国脅威論』『中国責任論』などの不協和音が愈々撒き散らされようになった。このような環境において、中国ではソフトパワーの早期確立が論議されねばならなくなった」と冒頭に記し、世界各国に根を張っている在外華僑華人を、世界覇権を目指す中国にとってのソフトパワー戦略の有力な柱として位置づけた。

 また在外華僑華人に「中華優秀文化の伝え手」、「中国発展モデルの実践者」、「中国とグローバル経済とを結ぶ要」、「中国伝統文化の創新者」という多面的な働きを求め、「中華民族への帰属意識とアイデンティティーは華僑華人を団結させる“磁石”」であると捉えた後、「中華民族への帰属意識こそが、彼らと血の繋がる大地への奉仕と祖先への感謝を促す原動力である」と説く。

 これを要するに、習近平政権は在外華人を中国と一体化させることで、同政権が目指す世界戦略を海外から積極的に支援・補完させようというのだろう。

 この本では在外居住者を華僑(中国国籍保有者)、華人(中国以外の国籍保有者)、大陸新移民(対外開放後の移住者)と分けている。たとえばアフリカ21カ国を見ると、最多の南アフリカには16万人の華僑と14万人の華人が住み、そのうち10万人が大陸新移民である。最少のトーゴでは華僑が123人、華人が7人、そのうちの大陸新移民が125人を占める。伝統的な相互扶助組織の同郷会や同業会の活動が認められるばかりでなく、南アフリカを含め各国で圧倒的多数を占める大陸新移民によって中国和平統一促進会が続々と組織化されていることが判る。

20兆米ドルに及ぶ習近平政権の「隠し資産」とは?
 冒頭に示したカナダ政府に対する抗議の署名活動がソマリアの中国和平統一促進会などアフリカを中心に進められているのも、なにやら納得ができそうだ。ここからも習近平政権の世界戦略に占めるアフリカの重要性が浮かんでくるようだ。

 中国から「中国とグローバル経済とを結ぶ要」と見做される4952万100人の経済力に関し、この本では陳雲・青華大学教授の2007年段階における分析を援用して彼らの資本総額は「既に2万億美元に達している」と試算する。「2万億美元」、つまり20兆米ドルという数字が現状を的確に反映しているか判断する術はないものの、これが中国の国家財政の統計には計上されないことはもちろんだが、習近平政権にとっては“隠し資産”といえないこともないだろう。

 日中戦争から国共内戦までの長い戦乱期を経て国庫が底を尽いていた建国当初、経済社会建設に多大な働きをしたのは「僑匯」と呼ばれる海外在住者からの送金だった。これが建国期の苦しい国家財政を救った歴史を振り返るなら、「2万億美元」は“21世紀の僑匯”ともいえる。

 カナダ政府批判の署名活動、アフリカを軸に世界各地に展開する中国和平統一促進会、それを北京から「指導工作」する僑聯、チベットやウイグル出身者を含め国外在住の少数民族までをも華僑華人に組み込んでしまおうとする動き――中国が備えた独自の“戦略資源”を、今後、習近平政権はどのように使おうとするのか。米中戦争の行方に対する判断を日本的常識で一刀両断に下すことは、やはり危険過ぎると言わざるをえない。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14913  

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コメント
1. 2018年12月28日 23:28:38 : LY52bYZiZQ : i3tnm@WgHAM[-10422] 報告
Qアノン:アメリカの停電と政府機能の一時閉鎖について
.
新 ch政経
2018/12/28 に公開
https://www.youtube.com/watch?v=6Sm2iYwTT8k

マティス国防長官の辞任を前倒しし、「解任」することにしたトランプ大統領 〜ヘンリー・キッシンジャー博士と協調して動いているQグループが、トランプ政権を完全に掌握〜
.
新 ch政経
2018/12/28 に公開
https://www.youtube.com/watch?v=jy2EBfR9Hxk

[18初期非表示理由]:担当:混乱したコメント多数により全部処理

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