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アルプスのスキー場はもうすぐ人工雪になる
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/539.html
投稿者 中川隆 日時 2019 年 7 月 20 日 18:37:59: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: ニセコは既に外人に乗っ取られ日本語も通じなくなった 投稿者 中川隆 日時 2019 年 1 月 23 日 11:00:42)


アルプスのスキー場はもうすぐ人工雪になる


2019年7月20日
焦点:スイスアルプスにも温暖化、リゾート地「生き残り」模索
https://jp.reuters.com/article/climate-change-alps-idJPKCN1UE0SB


[アローザ(スイス) 16日 ロイター] - 厳しい熱波が行楽客を冷涼な山に向かわせ、子供たちが祖父母の思い出話を通じてしか「雪」を知らない未来が現実味を帯びてきたことを受け、アルプスのスキーリゾート地は、気候変動の影響に強い関心を寄せるようになっている。

地球温暖化により、特に高度が低い地域における降雪量の減少が広く予想されるなかで、スイスの観光産業は、気象の影響に翻弄されやすいが高収益のビジネスをどうすれば維持できるか模索している。

セルビア最後のサーカス熊の「ナパ」にも声がかかった。

スイス東部に位置するスキーリゾート、アローザでは、650万ドル(約7億円)を投じ、ナパのほか、アルバニアのレストランに置かれたおりから救出された2頭の熊を収容する保護地区を作った。夏季に観光客を集め、スキー客やスノーボード客への依存を減らすことが狙いだ。

夏らしい天気に恵まれたある1日、アローザは学校の生徒たちや家族連れ、80歳の誕生日を祝う退役軍人らでにぎわった。アローザの観光主任パスカル・イェニー氏によれば、今年の集客目標は5万人だ。

アローザは過去にも「変身」を遂げている。1930年代に冬季の行楽地へと転じる以前は、数十年にわたり結核患者のための保養地として知られていた。だが、昨年の冬季宿泊客は夏季の3倍以上の62万人近くに達しており、夏向きリゾートへの変身は簡単ではない。

イェニー氏は今後20─30年間で降雪量が急減することを懸念し、リスクヘッジを試みている。

「人工降雪の技術が大きく進歩しつつあるのは、私たちにとって多少なりとも励みになる。今では、気温5度でも雪を作ることができる」とイェニー氏は言う。同氏が立つワイスホルン・ケーブルカーの脇にある展望台からは、雪に覆われたアルプスの渓谷が一望できる。

イェニー氏の2本柱の戦略は、山岳リゾートが直面するジレンマを浮き彫りにしている。経済協力開発機構(OECD)の言う「観光に関するグローバル規模の再検討」に取り組みつつ、どうやって利益を確保するのか、という問題だ。

OECDは観光産業に関するメガトレンドに関する2018年の報告書のなかで、「気候変動の影響は、旅行・観光産業全体で感じられるようになるだろう」と指摘した。OECD加盟国は、世界の貿易・投資の80%を占めている。

OECDは、暴風雨や洪水、高潮が海沿いの地域を脅かし、南方の行楽地は極端な熱波に、北方の行楽地は降雪期間の短縮に悩まされるだろうと指摘している。

<人工降雪でデンマークとの提携も>

オーストリアやフランスに比べ、スイスの山岳リゾートは標高が高く、降雪量が減少するなかでも有利な状況にある。

だが、査読を伴う地球科学専門誌「クリオスフィア」(「氷圏」の意)に掲載されたレポートによれば、標高3000メートルの地点でも、温室効果ガスの排出量が削減されなければ、2100年にはスキー場の積雪量が2分の1以下に減少する可能性があるという。

「どれだけ救えるか」と題された2017年の同レポートによれば、アルプスの4分の1に該当する標高1200メートル以下のリゾート地では、ほとんど雪が見られなくなるかもしれないという。グローバルな気温上昇を抑え込めれば、降雪量は徐々に安定すると、同レポートは予測している。

アローザの標高は1775メートルだが、イェニー氏は、低地で雪が見られなくなれば、人々の雪への愛着が薄れ、来訪者が減るのではないかと懸念している。

「このセクターにとっては、その方が怖い」とイェニー氏は言う。

そこで彼が興味を惹かれたのが、デンマークの工業団地だ。アローザはここで人工降雪プロジェクトに協力している。このプロジェクトが成功すれば都市で暮らしていてもスキーを覚えることができ、その後はさらに上達するためにアルプスに足を運んでくれるだろう、というのがイェニー氏の願いだ。

経済的な計算は明解だ。アローザでは、スキーヤー向けリフト1日乗車券の料金が79スイスフラン(約8600円)であるのに対し、夏季のハイキング客やマウンテンバイク愛好者がフィールドアスレチックや湖での遊泳やボートを楽しむための1日フリーパスは、通常18スイスフランなのだ。

ホテルやレストランの料金も冬季の方が高い。だが、スイスフラン高のために敬遠している客も多い。

スイスは世界でも最も富裕な国の1つであり、スイス政府は、観光産業の長期展望は健全だと話している。2017年のレポートによれば、「夏の山岳リゾートは、地中海リゾートに代わる選択肢になりうる」という。

ベルン大学地域開発センターのエコノミスト、テレーゼ・レーマン氏によれば、スイス全体ではすでに夏季観光が宿泊件数全体の60%を占めているが、収入の点では18%にすぎないという。

政府のデータによれば、気候変動だけが原因ではないにせよ、2016年までの10年間でスキー客が24%減少した。

「経済の強力なけん引役であるスキー観光の衰退は、夏季の収入増加よりも影響が大きい」とスイスのラッパーズビル応用科学大学のランドスケープ・アンド・オープンスペース研究所のドミニク・ジークリスト所長は言う。

欧州では高齢化が進み、若い世代のあいだでスキーへの関心が低下している。観光産業のロビー団体スイス・ツーリズムによれば、代わりにスノーシューイング、冬季ハイキング、スレッディング(そり滑り)、スキーツーリング(山岳地帯でのスキーを用いたハイキング)が増加傾向にあるという。

スイス国内では、2015年までの10年間で、大規模リゾートの宿泊数が1%増加する一方で、小規模リゾートでは17%の減少が見られた。業界再編も視野に入ってくる。

「小規模なリゾートの多くはわらにもすがる思いで、できるだけ長く生き延びようと努力している。これらの渓谷は、こうした冬季観光に依存しているからだ」とジークリスト所長は言う。

<雪の備蓄、氷河の保護>


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ジークリスト所長は、スイスのグラウビュンデン、バレー両州やオーストリアのチロル州、フランスのサボア地域の大規模リゾートには生き残りのためのマーケティング力があると言い、スイス国内については、標高の高いアンデルマット、ツェルマット、サンモリッツといった名を挙げる。

スイス中央部にあるリゾート地アンデルマット・スイス・アルプスでは、夏季には自転車愛好家をターゲットとしており、またウィンタースポーツ愛好者のために新たなリフトを建設した。

同リゾートでは、近隣の氷河が溶けるのを防ぐため、春になるとフリース製シートで覆っているほか、コストのかかる人工雪の使用をなるべく避けるため、家屋よりも高い雪の山を築いておいて、早ければ11月からゲレンデに投入している。

スイス政府によれば、欧州内からの観光客相手のビジネスに特化していたスキーリフト運営会社は、この10年でスイスフラン高による打撃を受けたという。だが、少数派ではあるものの、好調な夏季ビジネスを持つリフト運営会社は、他地域からの観光客により業績好調だ。

レーマン氏は、小規模なリフト運営会社の多くは収支を合わせるために低利の融資を利用したり、最近増加している州補助金を受けたりしていると話す。

レーマン氏によれば、リフト運営会社の約3分の1は無借金経営だが、遠方からの観光客に依存しているという。これは環境という視点からは望ましくない、と同氏は言う。休暇の二酸化炭素排出量を大きく増やしているのが航空機だからだ。

「恐らく私たちは、成長だけを重視するのを止め、単に観光だけでなく、優れた住環境としてアルプス地域を盛り上げていかなければならないのだろう」と彼女は言う。

株式上場しているケーブルカー運営会社ベルクバーネン・エンゲルベルク・トリュブゼー・ティトリス・ベット(TIBN.S) とユングフラウバーン・ホールディング(JFN.S)では、年間を通してアジア、中でも中国とインドからの観光客が重要な収入源になっている。

持続可能性に関する質問に対し、ティトリスでマーケティング担当ディレクターを務めるペーター・ラインル氏は、今後50年間の展望は明るいと話す。「1企業の力で気候変動の問題を丸ごと解決することはできない。枠組みとなる条件は政治家が提示しなければならない」

ユングフラウバーンでコーポレート・セクレタリーを務めるクリストフ・シュレッピ氏は、同社では地元住民800人を雇用し、山岳地帯での生活を次世代に向けて経済的に持続可能なものにすることに貢献していると話す。

スイス政府は、アジアからの団体客をどれだけ集めたいかは個々のリゾート地次第だとしている。その一方で、政府としては個人客向けのプモーションと持続可能性に注力するとしており、最近では日本からの観光客が個人で訪れて滞在期間が長くなる傾向にあると指摘する。

「長時間のフライトで欧州やスイスにやってくるアジアからの観光客は、できるだけ長く滞在してくれることに留意すべきだ」と、国家経済事務局の観光政策部長を務めるリヒャルト・ケンプ氏はロイターに語った。

ケンプ氏によれば、政府は山岳地域のインフラを通年で活用することを推奨しているが、スイス文化の真髄ともいえるウィンタースポーツを諦めたわけではないという。

ただし同氏も、低地の人々が「冬の感覚」を失いつつある難題が大きくなりつつあることは認めている。

(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/climate-change-alps-idJPKCN1UE0SB  

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