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(回答先: ヨハン・シュトラウス 2世 『皇帝円舞曲』 投稿者 中川隆 日時 2020 年 2 月 01 日 01:38:54)
リヒャルト・シュトラウス 『薔薇の騎士』
R. Strauss - Der Rosenkavalier - Excerpts - Richard Mayr, Viorica Ursuleac - Clemens Krauss (1933)
Richard Strauss
Der Rosenkavalier
Excerpts:
a) Act I - Vorspiel ... Wie du warst, wie du bist
b) Act I - Pardon, mein hübsches Kind
c) Act I - Bin ich da nicht wie ein guter Hund
d) Act I - I komm' glei ... Di rigori armato il seno ... Als Morgengabe ... Mein lieber Hyppolyte [with interruption]
e) Act I - Kann mich auch an ein Mädel erinnern
f) Act II - Mit ihren Augen voll Tränen
g) Act III - Ist ein Traum
Die Feldmarschallin - Viorica Ursuleac
Octavian - Eva Hadrabova
Sophie - Maria Gerhard
Baron Ochs auf Lerchenau - Richard Mayr
Annina - Bella Paalen
Valzacchi - Hermann Gallos
Italian Singer - Koloman von Pataky
Modistin - Fr. Braun
Tierhändler - Richard Tomek
Drei adelige Waisen - Fr. Jonas, Fr. Mathias, Fr. Brunnbauer
Vier lakaien - Hr. Schinke, Hr. Rouland, Hr. Scholtys, Hermann Reich
Orchester der Wiener Staatsoper
Clemens Krauss, conductor
Wiener Staatsoper, January 22, 1933
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Lotte Lehmann; M. Olszewska; E. Schumann; R. Mayr; "DER ROSENKAVALIER"; (Abridged); R. Strauss
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Lotte Lehmann: Soprano
Elisabeth Schumann: Soprano
Richard Mayr: Tenor/baritone
Maria Olszewska: Mezzo soprano
Robert Heger: conductor
Vienna Philharmonic Orchestra
Recorded in June 20-24,1933 at Mittlerer Konzerthaussaal, Vienna
ローベルト・ヘーガー指揮ウィーン・フィル
ロッテ・レーマン、マリア・オルツェヴスカ、エリーザベト・シューマン、リヒャルト・マイール
EMI。1933年9月録音。Referenceシリーズ輸入盤。
抜粋だが、実に味わい深い。古き良き時代が聞こえる。
最後の侯爵夫人の「Ja,Ja」の一言だけ、レーマンが忘れて録音セッションから帰宅してしまったため、(ゾフィ役の)シューマンが歌っている。
山崎浩太郎氏によれば、本来はこのメンバーを指揮するべきはブルーノ・ワルターのはずだった、という。
http://classic.music.coocan.jp/opera/r-strauss/rosen.htm
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Strauss - Der Rosenkavalier - Excerpts - Lehmann, Hadrabova, Schumann - Knappertsbusch (Wien, 1936)
Richard Strauss Der Rosenkavalier Excerpts:
a) Act I - Vorspiel ... Wie du warst, wie du bist
b) Act I - Ich will ihn nicht seh'n, solch schreclichen Tag ... Ich werd jetzt in die Kirchen geh'n
c) Act II - Vorspiel ... Ein erster Tag
d) Act II - Mir ist die Ehre widerfahren
e) Act III - Leopold mir genga ... Mein Gott, es war halt nichts als eine Farce
f) Act III - Hab mir's gelobt, ihn lieb zu haben
Die Feldmarschallin - Lotte Lehmann
Octavian - Eva Hadrabova
Sophie - Elisabeth Schumann
Baron Ochs auf Lerchenau - Berthold Sterneck
Faninal - Victor Madin
Marianne Leitmetzerin - Aenne Michalsky
Annina - Bella Paalen
Valzacchi - William Wernigk
Haushofmeister bei Faninal - Richard Tomek
Chor der Wiener Staatsoper
Orchester der Wiener Staatsoper
Hans Knappertsbusch, conductor
Wiener Staatsoper, April 22, 1936
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Richard Strauss: Der Rosenkavalier / Knappertsbusch ( Wien 1955 )
Die Feldmarschallin, Fürstin Werdenberg: Maria Reining
Der Baron Ochs auf Lerchenau: Kurt Böhme
Octavian, genannt Quinquin: Sena Jurinac
Herr von Faninal: Alfred Poell
Sophie, seine Tochter: Hilde Güden
Jungfer Marianne Leitmetzerin: Judith Hellwig
Valzacchi, ein Intrigant: László Szemere
Annina, seine Begleiterin: Hilde Rössel-Majdan
Der Haushofmeister bei der Feldmarschallin: Harald Pröglhöf
Der Haushofmeister bei Faninal: William Wernigk
Ein Notar: Ljubomir Pantscheff
Ein Sänger: Karl Terkal
Polizeikommissär: Adolf Vogel
Drei adelige Waisen: Alberta Kolm, Elfriede Hochstätter, Maria Trupp
Ein Tierhändler: Erich Majkut
Ein Wirt: Fritz Sperlbauer
Eine Modistin: Berta Seidl
Chor und Orchester der Wiener Staatsoper
Hans Knappertsbusch
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ウィーン・フィル
マリア・ライニング、セーナ・ユリナッチ、ヒルデ・ギューデン、クルト・ベーメ
GOLDEN Melodram。1955年11月16日、ウィーン国立歌劇場再建記念公演シリーズのライヴ。
第2次大戦で破壊されたウィーン国立歌劇場は元通りに再建され、1955年11月5日、カール・ベーム指揮の「フィデリオ」で再開した。この再建記念公演では、他にベームが「ドン・ジョヴァンニ」「ヴォツェック」「影のない女」、フリッツ・ライナーが「マイスタージンガー」を振っている。
このクナの「ばらの騎士」は、上のクライバー盤と主役女性が全く同一である。やはり、このキャストはこの3人に「とどめをさす」ということになっていたのだろう。
第2幕から聞き始めたら、なんともおっとりしたテンポで、なかなかウキウキしてこない。いざ、ばらの騎士が現れたら、ますますテンポが落ちて、若い2人はそこで目一杯歌っている。が、指揮するクナは決して陶酔していないのである。
2004年末、以前に入手しそこなっていたRCA盤を入手(写真)。しかし音質は似たり寄ったりである。
http://classic.music.coocan.jp/opera/r-strauss/rosen.htm
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Richard Strauss: Der Rosenkavalier / Knappertsbusch ( München 1957 )
(Erika Köth & Hans Knappertsbusch • Bayerische Staatsoper, 1957)
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Feldmarschallin: Marianne Schech
Octavian: Hertha Töpper
Sophie: Erika Köth
Faninal: Albrecht Peter
Baron Ochs: Otto Edelmann
Leitmetzerin: Liesl Kadera
Annina: Ina Gerhein
Valzacchi: Paul Kuën
Wirt: Karl Ostertag
Sänger: Lorenz Fehenberger
Haushofmeister: Walter Carnuth
Polizeikommissär: Carl Hoppe
Chor und Orchester der Bayerischen Staatsoper
Hans Knappertsbusch
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Der Rosenkavalier : E.Kleiber / Vienna Philharmonic, Reining, Jurinac, etc (1954 Monaural)
エーリヒ・クライバー/『ばらの騎士』
昔から極めつけと言われる名盤中の名盤
1954年モノラル録音。エーリヒ&カルロスのクライバー親子は、どちらも『ばらの騎士』を大得意としていましたが、当盤は、父エーリヒが残した極めつけと言われる名盤中の名盤。
濃厚で個性的な往年のウィーン・フィル・サウンドと、名歌手たちの味わい豊かな歌唱が聴きものです。
元帥夫人:マリア・ライニング
オックス男爵:ルートヴィヒ・ヴェーバー
オクタヴィアン:セーナ・ユリナッチ
ファーニナル:アルフレート・ペル
ゾフィー:ヒルデ・ギューデン
マリアンネ:ユーディト・ヘルヴィヒ
アンニーナ:ヒルデ・レッスル=マイダン
ヴァルツァッキ:ペーター・クライン
歌手:アントン・デルモータ
警部:ヴァルター・ベリー
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
エーリヒ・クライバー(指揮)
録音:1954年5月29日-6月28日、ウィーン(モノラル)
この演奏が貴重なのは、第二次大戦を生き延びたウィーンの古きよき伝統が肌で感じられるからです。クライバー・パパが振った「ばらの騎士」が現存するだけでもたいしたものです。この演奏の特徴は、ドイツ語で綴られた歌詞が聞き取りやすく、歌詞が極めて聴き取りにくく絢爛豪華だけのカラヤンの新盤の対極をいくものであることです。恐らく、クライバー・パパは、カラヤンとは全く異なるオペラ観をしていたのでしょう。
あと1年でSTEREOだったのに残念。でもいまもこれが代表盤。ユリナッチのオクタヴィアンが美しく、ペルとギューデン親子の喧嘩もおかしい。しかしなによりエーリヒが聞かせるのは、これは「歌芝居」だということ。早い言葉のスピード、応酬をそのまま音楽に載せ、芝居をやらせる。こうした「ばらの騎士」はほぼ同じキャストのクナッパーツブッシュ盤、それにカルロスしか他にないのです。カラヤンなどは豪勢な音楽に歌が載っているだけ。
初めての人にはお薦めできないが・・・
この曲を得意にし、素晴らしい演奏を重ねながら、もうスタジオ録音は期待できないカルロス・クライバーの父親の録音(カルロスが2種の映像を発売許可した意義はきわめて大きいと思うが)。
古い録音だけにデメリットはある。まず、モノラルで音が良くない。R.シュトラウスの流麗きわまる音楽を堪能するには、これは非常に残念。あと、ちょうど女性オペラ歌手の歌唱法が変化する時代のものだけに、その歌い方は現代の我々にはやはり古風に感じられる。
しかし、演奏そのものは実にすばらしいものである。加えて、通常の上演ではカットされる部分も含めた「完全録音」である意味も大きい。だが、何よりの魅力は音楽に込められた実に若々しい生命力。息子のカルロスもこの「いのちのいぶき」を継承したことで、大成功を収めたと思う。
その意味では、世評に高いカラヤンの旧盤(新盤は問題外)さえ、凌ぐできと僕は思う。僕のコレクションでも特に大切な1組。ただし、前記欠点があるので、この曲を初めて聞く方にはお薦めできない。録音のいい新しい盤(その意味ではカラヤンの新盤がいいか?)か、カルロスの映像でこの作品の魅力をある程度わかった上でお聞きになると、エーリッヒが単なる「カルロスの父親」ではなく、自身極めて優れた指揮者であったこと、この作品の最高級の理解者であったことがご理解いただけると思う。
https://www.amazon.co.jp/R-シュトラウス-ばらの騎士-クライバー-エーリヒ/dp/B00005HMCB/ref=cm_cr_arp_d_product_top?ie=UTF8
エーリヒ・クライバー指揮ウィーン・フィル
マリア・ライニング、セーナ・ユリナッチ、ヒルデ・ギューデン、ルートヴィヒ・ヴェーバー
DECCA。1954年6月、ムジークフェラインでの録音。
モノラルだが、本場の人に言わせれば「これしかない!」という名演。
(この国内盤CDが出たとき、吉田秀和氏が「レコ芸」今月の1枚でそう書いていた。)
E.クライバーの持つ「トスカニーニ的」な面 − 歌うところと、リズミックな推進力が必要なところのコントラスト − がこのオペラには向いている。この特質は息子カルロスにもよりはっきりした形で受け継がれている。クライバー親子と比べると、カラヤンの演奏は「ただ何となく流れていってしまうだけ」のように聞こえてしまうのである。
2000年10月、DECCA LEGENDSシリーズで、96kHZ, 24bit リマスタリングされた輸入盤を入手した。
http://classic.music.coocan.jp/opera/r-strauss/rosen.htm
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『薔薇の騎士』( Der Rosenkavalier)作品59 は、リヒャルト・シュトラウスの作曲したオペラ。
この作品はワーグナーの後期のオペラに比肩する長大な作品規模と大掛かりな管弦楽ゆえにしばしば楽劇と呼ばれるが、これはシュトラウス自身の命名ではない。
出版時のタイトルは
Komödie für Musik in drei Aufzügen:Der Rosenkavalier
(3幕の音楽のための劇『薔薇の騎士の騎士』)
とあるに過ぎない。
台本はフーゴ・フォン・ホーフマンスタールによる(日本語訳は下記を参照)。
シュトラウスは、ホーフマンスタールと既に『エレクトラ』で共作していたが、それは既に上演された舞台戯曲にシュトラウスが曲をつけただけであった。それゆえこの『ばらの騎士』こそがシュトラウスとホーフマンスタールの2人の大家による長年の実り豊かな作品の実質的に最初の共同作業となった。
作曲は1909年初めから1910年にかけて行われた。当初ホーフマンスタールの発案で男装の女性歌手を起用した軽い喜劇的な作品として計画されたが、2人の夥しい数の往復書簡(下記の日本語訳文献に詳しい)を中心とした議論の末、最終的に現在の形としてまとめられた。
タイトルの「ばらの騎士」とは、ウィーンの貴族が婚約の申込みの儀式に際して立てる使者のことで、婚約の印として銀のばらの花を届けることから、このように呼ばれる。物語当時の貴族の間で行われている慣習という設定であるが、実際にはホーフマンスタールの創作である(「このオペラでは一見本物に見えるものが実は虚構なのです」とホーフマンスタールは言っている)。
音楽内容的には、「モーツァルト・オペラ」を目指したものである。
物語の舞台はマリア・テレジア治世下のウィーンに置かれ、ロココの香りを漂わせつつ、遊戯と真実を対比させた作品として仕上げられた。
プロットが『フィガロの結婚』と似ているのはこのためである。
物語に即して『サロメ』、や『エレクトラ』(部分的には無調ですらあった)の激しいオーケストレーションや前衛的な和声はすっかり影を潜め、概して親しみやすい平明な作風で書かれている。声楽パートも「吼える二匹のケモノのような」(とホーフマンスタールが揶揄した)ワーグナーのドラマティックなものから、モーツァルト的な、リリックな歌唱スタイルになっている。
このオペラは筋立ては貴族達の恋愛がテーマのコメディ作品でありながら、全3幕からなる非常に大規模で演奏困難なオペラである。
第1幕・第2幕はウィーンの貴族の屋敷内に、第3幕は居酒屋・宿屋に設定されている。
作品の主要な人物4名のうち3名が第1幕で登場し、残る1名が第2幕で登場、第3幕では最後に全員が揃い、物語の完結を迎える。
バレエは当初挿入される予定であったが外され、合唱も大きな役割は持たない。
主要な4人に次ぐ役が 3、4人おり(ただし比重は4人に比べて格段に低い)、ソロ又は重唱で歌う役は名の無い役も含め28人を数える。
そのほかに黙役のオックス男爵の庶子等も必要である。
1幕に登場するテノール歌手はイタリアオペラのパロディを狙った端役ではあるが、曲自体はかなり美しいこともあって特別にスター歌手を呼び舞台に華を添える事もある。
このオペラは長大で難しいため、上演のみならず録音でもしばしば慣習的にカットが行われている。これはシュトラウス自身が認めていたものである。
なお、ほとんどが重唱曲でアリアは一切なく、テノールは第1幕でかなり揶揄的な扱いで登場するのみであるなど、シュトラウスのイタリアオペラ嫌いがかなり反映されている。
また、2人の小悪党がイタリア人として設定され、オクタヴィアンもロフラーノという姓からイタリア系貴族であることが暗示されており、オックスが怒りのあまりイタリア人差別的な言葉をわめき散らした後、2人がオクタヴィアン側に寝返る伏線となっている(基本的には金で転んだのだが)。
これらは、ハプスブルク帝国が中東欧や北イタリアへ支配を広げた結果、イタリアをふくむ非ドイツ系貴族の一部がドイツ風の名乗りでオーストリア宮廷に仕えていた当時の状況を反映している。
なお、シュトラウスのイタリアオペラ批判は、後年、自ら台本にも加わった最後のオペラ『カプリッチョ』で、より徹底的な形で(擁護的な立場も取り入れる一方、揶揄の描写としては遥かに痛烈に)繰り返されることになる。
初演と評価
初演は入念なリハーサルの後 1911年1月26日、ドレスデン宮廷歌劇場で、エルンスト・フォン・シューフの指揮、ゲオルク・トラーとマックス・ラインハルトの演出により上演され、未曾有ともいえる大成功を収めた。すでに作曲家としての地位を確立していたシュトラウスの新作に対する世間の期待は高く、ウィーンからドレスデンまでの観劇客用特別列車が運行されたほどである。引き続き50回におよぶ再演が続けられたほか、ベルリン宮廷歌劇場、プラハ歌劇場、バイエルン宮廷歌劇場、ミラノのスカラ座など主要な歌劇場でも立て続けに上演され、いずれも好評をもって迎えられた[1]。
それまでのシュトラウスの前衛的な作風に好意を示していた批評家や作曲家たちからは、本作は「時代遅れ」で「大衆迎合的」だと批判されたが、聴衆の支持は絶大で、今日ではシュトラウスの代表作と見なされているばかりか、ドイツ圏の主要歌劇場や音楽祭において最も重要なレパートリーの一つに数えられる。
大作であり歌手への要求項目も多いため、水準の高い上演は容易ではないが、各歌劇場がこぞって意欲的に取り組むこともあり、録音や録画でもロングセラーに耐えるような演奏が数多く残されている。ドイツ圏の外でも人気は高く、比較的小規模上演の可能なモーツァルト作品や『こうもり』などに伍して最もよく上演されるドイツオペラのひとつである。
有名な上演としては、第二次世界大戦中の爆撃で破壊されたため、再建されたウィーン国立歌劇場の再開記念公演(1955年、ハンス・クナッパーツブッシュ指揮)や、ウィーン国立歌劇場の来日公演(1994年、カルロス・クライバー指揮)などが挙げられる。
作品の構成
主な登場人物
元帥夫人マリー・テレーズ
声質はリリックソプラノ。
オーストリア陸軍元帥であるヴェルデンベルク侯爵の夫人で、一般には「元帥夫人」またはドイツ語で「マルシャリン」と呼ばれる。シュトラウスの説明では年齢は32歳未満とされる。公務や趣味の狩などでしばしば家を空ける夫とは年齢が離れている。
いとこで青年貴族のオクタヴィアンと愛人関係にある。内省的で、いずれは若い愛人も自分を捨てて去っていくのだという諦念をもっている。台詞からはオクタヴィアン以前にも愛人がいたとの解釈も可能である。
侯爵夫人としての気品をそなえる歌唱および舞台での演技力と、長大なモノローグや愛人との重唱では微妙な心の揺れを表現することが求められる難しい役である。かなり名をなしたベテランが演じることが多く(ゾフィーやオクタヴィアンから転じた例も少なくない)、この役を得ることはドイツオペラ系ソプラノ歌手の夢でもある[6]。
このオペラの実質的な主人公であるにもかかわらず、2幕には登場しない。
出ずっぱりとなる1幕の長丁場を終えると後は 3幕の後半までは全く出番が無い。
オクタヴィアン
元帥夫人の若い愛人で17歳の青年貴族。親しい女性からはカンカンの愛称で呼ばれる。
元帥夫人と愛し合っていたが、ばらの騎士として会ったゾフィーとたちまち恋に落ち、最後には彼女と結ばれる。
物語中では女装して元帥夫人の小間使いマリアンデルを演じる。
ほぼ全編出ずっぱりの大役である。ホーフマンスタールの当初の構想にあった人物と思われ、ソプラノまたはメゾソプラノ歌手が男装して颯爽と演ずる、いわゆるズボン役の代表格。
同じ男装役である『フィガロの結婚』のケルビーノと共通のレパートリーとする歌手も多い。劇中で女装して女中に化けるという設定もケルビーノと共通する。
ちなみにゾフィーが寝床でいつも読み耽っている“Ehrenspiegel Österreich”というタイトルの貴族譜におけるオクタヴィアンのフルネームは“Octavian Maria Ehrenreich Bonaventura Fernand Hyazinth”で、これをゾフィーは暗誦してみせ、オクタヴィアンを驚かせる。
レルヒェナウ男爵オックス
声質はバス。
元帥夫人の従兄。性格は野卑で傲慢で自己中心的で好色漢、おまけにケチである。しかも剣はからきし苦手な臆病者という、一見極めつけの俗物である。
しかしその強烈なキャラクターから、元帥夫人とともに、このオペラの主役と言ってもよい(事実、当初の題は『オックス』であった)。
喜劇的な性格俳優としての演技力とともに卓越した歌唱力(歌の多い2幕の最後で低いホ音を長く伸ばして歌う)をも要求される。
以上のような大役ゆえに、この役は経験豊かなベテランのバス歌手によって歌われる事が多い。そのせいで、オックスを熟年か初老の男と誤解されがちであるが、実はR.シュトラウスによると「オックスは35歳位の田舎者で、女たらしではあるがいつも貴族然としていなければならない(たとえ田舎貴族であろうと)」とある。
ゾフィー
声質は高いリリックソプラノ。
ファニナルの一人娘。修道院を出たばかりで、父親が決めた政略結婚に従い、オックス男爵の婚約者に予定される。
社交界や青年貴族の系譜などを見て彼らの生活を夢見る、夢多き若い娘である。オックス男爵に失望して、ばらの騎士として登場したオクタヴィアンに助けを求める。
初々しい歌唱が要求される。
フォン・ファニナル
声質は高いバリトン。
新たに貴族に叙せられたばかりの富裕な俄成金。妻は以前に亡くしており、子はゾフィー一人である。血縁によって貴族としての立場を強化するために、娘とレルヒェナウ家のオックス男爵との婚約を計画する。
オーケストラ編成
注意書きとして、弦編成は指揮者の判断により(台詞の明瞭性に配慮し)演奏するプルト数を制限させること、とある。
第3幕では舞台裏でワルツなどを奏するバンダとして、フルート2、オーボエ、クラリネット3、ファゴット2、ホルン2、トランペット、小太鼓、ハルモニウム、ピアノ、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、コントラバスを配置する。
弦編成についての注意書きによると、非常に良いソロ奏者5名の良く響く楽器による演奏、または各パート複数奏者で演奏させ、その場合に各2名を避けること、とある。[7]
あらすじ
第1幕
ウィーンにあるヴェルデンベルク侯爵夫人の寝室。
元帥夫人とオクタヴィアンがベッドで昨夜からの愛の余韻に浸っている。若いオクタヴィアンは情熱的に愛を語るが、夫人はふと物思いにとらわれている。黒人少年の召使が朝食を持ってくるので二人で食べ始める。部屋の外が騒がしくなるので、ふたりは元帥が突然帰ってきたのかと狼狽し、オクタヴィアンは物陰に隠れる。しかし、夫人は続きの間から漏れ聞こえる声でそれが侯爵ではなく従兄のオックス男爵であることを知る。オクタヴィアンは小間使いの服を着て現れ、来客のどさくさに紛れて引き上げようとするが、ドアのところでオックスと鉢合わせする。好色なオックスは「彼女」が男性だとは気づかずに興味を示し、来客の用件もそこそこに口説き始める。オクタヴィアンが逃れようとしてもできないため、あきらめた元帥夫人が「彼女」をマリアンデルという娘だとオックスに紹介し同席するよう命ずると、オックスはやっと用件を切り出す。
彼は最近貴族に列せられた富裕な商人ファニナルの一人娘と婚約したので、婚約申し込みの使者として「ばらの騎士」を務めてくれる貴族を紹介して欲しいという。元帥夫人は悪戯心を起こし、オクタヴィアンの絵姿を見せて“従弟”のロフラーノ伯爵ではどうかと尋ねる。オックスは同意するが、オクタヴィアンと目の前のマリアンデルが瓜二つであるのに驚き、曖昧にごまかす夫人の言葉から、ロフラーノ家の庶子だと思いこむ。そこへ侯爵家の執事や面会客がぞくぞく入ってくるので、オクタヴィアンはようやく抜け出すことに成功する。
夫人の調髪師が彼女の髪を整える間、孤児の母親や帽子売りなど、来客が次々に用件を述べる。情報屋のヴァルツァッキとアンニーナがゴシップを売りこみに来るが夫人は取り合わない。しかたなく彼らはオックスに取り入り、男爵はあとで宿屋に来るよう言う。テノール歌手が夫人の前でオペラセリア風の空虚なアリアを歌っている間、オックスは侯爵家の公証人とともに結婚契約書を作り始めるが、欲深い彼は膨大な持参金を受け取る条項を無理やりに入れようとして弁護士を怒鳴りつける。ちょうどそのとき、夫人が「髪型がおばあさんのようだ」というので調髪師が慌てて手直しをしている。心が沈んだ夫人は教会に行く時間だからと皆を下がらせる。オックスはどうにか結婚契約書を作り上げ、元帥夫人に礼を述べると立ち去る。
元帥夫人は物思いにふけり、自分がいずれは年を取らねばならぬ思いを一人語る。彼女はそれが悲しいけれども受け入れなければならない現実であるという諦念を持つが、実感としてはまだあきらめきれない複雑な気持ちである。そこへ自分の服に着替えたオクタヴィアンが颯爽とやってくる。彼は元帥夫人が悲しそうな様子なので元気付けようとするが、心乱れた夫人からいずれ自分が夫人の元を去ることになるだろうといわれて憤慨し、いつまでも自分はあなたとともにあるのだと情熱的に語る。しかし、夫人が考えを改めないので不安になり、彼女を問い詰めるが、彼女は動じない。夫人は午後の再会を約束して彼をさらせる。彼を傷つけたことを悔いた夫人は、部屋を去るオクタヴィアンと別れのキスもしなかったと気づいて召使に呼びにやらせる。しかし、オクタヴィアンはすでに馬で駆け去っていたという報告を聞き、ふたたび一人物思いに沈む。
第2幕
第1幕から数日後、ウィーン市内のファニナル家の客間。
「ばらの騎士」と婚約者オックスが初めて訪ねてくる当日の朝。婚約者となるゾフィー当人ばかりか、父親のファニナルも落ち着かずそわそわとしている。ゾフィーは落ち着くために神に祈っている。ばらの騎士到着より先に婚約者を迎えに行かねばならないファニナルが出発すると、ほどなく外が騒がしくなり、ロフラーノ伯爵の到着を告げる。使者の行列に導かれて純白の衣装に身を包んだオクタヴィアンが登場する。
緊張した彼は銀のばらをゾフィーに手渡し、口上を述べると、ゾフィーもぎこちなく返礼を述べる(銀のばらの献呈の場面)。儀式が終わるとようやく打ち解けたゾフィーはいろいろと語り始める。それを見ていたオクタヴィアンは自分の心に沸き起こった不思議な感情を押さえられない。彼は一目見ただけでゾフィーを恋してしまったことを知る。緊張の解けた二人が語らいを続けていると、そこにオックス男爵が従者とともに登場する。しかしオックスの無作法な振る舞いにゾフィーは驚き、オクタヴィアンも脇で憤慨する。ファニナルがオックスを別室に案内すると他の人も一緒に付き従って去るが、ゾフィーとオクタヴィアンは残る。レルヒェナウ家の従者が酒に酔ってファニナル家の女中たちを追い回す騒ぎが起こり、ファニナル家の家来が皆その場を去る。二人きりになったため、ゾフィーはオクタヴィアンに助けを求め、彼は応じて二人のために守ると宣言するのでゾフィーは感激し、二人は抱き合う。
そこへ第1幕でオックス男爵の手下となったヴァルツァッキとアンニーナが現れ、二人を引き離し大声を出してオックス男爵を呼ぶ。オックスが登場すると、彼と口をきくのも嫌なゾフィーに代わってオクタヴィアンがゾフィーの気持ちを伝えようとするが、オックスは彼を小馬鹿にして取り合わない。ついにゾフィーがオックスとは結婚しないと宣言するが、オックスは無視して彼女を連れだそうとするので、オクタヴィアンは剣に手を掛ける。オックスは家来を呼ぶが、オクタヴィアンが剣を抜くので彼らはだらしなく引き下がる。ついにオックスも剣を抜いて応戦するが、あっさり肘を突かれて悲鳴を上げる。オクタヴィアンを遠巻きにして言葉だけは威勢の良いレルヒェナウ家の召使が騒いでいるところにファニナルが登場し、起こったことに仰天する。医者がオックスの治療にとりかかる。オクタヴィアンが騒ぎを詫びて退場し、ゾフィーは父親に男爵との結婚を取りやめるよう懇願するがファニナルは聞き入れず彼女を叱責する。彼はゾフィーを去らせると、手当ての終わったオックスに詫びて酒を振舞う。
落ち着きを取り戻した男爵は酔った勢いで鼻歌交じりである。そこにアンニーナが登場し、オックス宛ての手紙を持ってくる。男爵がそれを読ませると、それはマリアンデルから会いたいという手紙である。当然オクタヴィアンの計略だが、そうとは知らない男爵はすっかり有頂天になりワルツに乗せて歌う。謝礼を求めるアンニーナを無視するので失望した彼女は怒ってその場を去る。そんなことは全く気にせず一人「私がいなけりゃ毎日さびしい。私がいれば夜も短い」と歌いつつオックス男爵が退場するところで幕が降りる。
第3幕
第2幕と同日夕刻のウィーンの居酒屋の部屋。
幕が上がると怪しげな居酒屋の一室で食事の準備が行われている。オックスを計略にかけるべく店員に準備をさせているのはケチなオックスに見切りをつけてオクタヴィアン側に寝返ったヴァルツァッキとアンニーナである。食事の支度だけではなく、オックスを驚かせる仕掛けが準備されている。やがて、マリアンデルに扮したオクタヴィアンが登場する。手はずが整ったことに満足して二人に財布を渡し、その場を去る(この間、オーケストラ演奏だけによるパントマイムで進行する)。
ほどなくオックス男爵とマリアンデルが登場する。オックスは店主たちを去らせ、マリアンデルを口説き始めるが、彼女は純朴な田舎娘の芝居をしつつはぐらかす。やがて、先ほどの仕掛けが働き始め、オックスは驚き混乱、マリアンデルも驚いて見せる。そこへアンニーナが登場してオックスを自分の夫だと告げ大勢の子供が「パパ、パパ」と叫んでオックスにまとわり付くので、オックスは怒って大声で通りの警察官を呼ぶ。警察官の質問に対しオックスは自分の身分を告げ、マリアンデルをファニナルの娘で自分の婚約者だと紹介する。そこへオクタヴィアンがオックスの名で呼んだファニナルが登場する。彼は警察官にマリアンデルのことを問われ、驚愕して自分の娘であることを否認する。騒ぎを聞きつけて集まった野次馬が「これはスキャンダルだ!」と大騒ぎしているところに、突如元帥夫人が到着する。
彼女がやってくることはオクタヴィアンの計画にはなかったので当惑するオクタヴィアン。さらにゾフィーまでもそこに現れ、状況をみて驚きあきれる。彼女は気分が悪くなった父親を連れて別室に去る。元帥夫人がオックスの身分を保証するので警官は去る。ゾフィーが戻って来て、現れた父の言葉として二度と自分の前に現れないようオックスに告げるのでオックスは憤慨する。元帥夫人はオクタヴィアンに扮装を解いて出てくるようにいう。オックスは驚き、ここでようやくオクタヴィアンとマリアンデルが同一人物であることを悟る。同時に、先日の朝マリアンデル、すなわちオクタヴィアンが元帥夫人の寝室にいた事情も察する。ゾフィーも三人のやりとりでオクタヴィアンと元帥夫人の関係に気付いて呆然とする。元帥夫人はオックスに「すべては終わった」と告げ、退場を命ずる。初めは納得せず渋ったオックスも負けを認め、その場を去ろうとする。そこへ宿屋の主人が勘定書きをつきつけ、アンニーナにつれられた子供たちが再び登場してオックスを追いかけるので、彼は従者をつれてそこを逃げ出す。宿屋の主人やアンニーナたちが彼を追いかけて全員去り、舞台には元帥夫人とオクタヴィアン、それにゾフィーの三人だけが残る。
元帥夫人は先日予期したときが思いのほか早くやってきたことを悲しみつつ、若い二人を祝福する気持ちでオクタヴィアンをゾフィーの元に行かせる。自分の気持ちにまだ戸惑いながらも、元帥夫人に感謝してオクタヴィアンがゾフィーに近づき、当惑する彼女に思いを告げる。ゾフィーがまだ事態を受け入れかねているので、元帥夫人は彼女にやさしくオクタヴィアンとともに家に帰るよう諭す。最初はぎこちなく拒否していたゾフィーも、オクタヴィアンの求愛を受け入れる。複雑な心境を三人それぞれが歌う(終幕の三重唱)。元帥夫人はそっと去る。それには気付かず二人が抱き合って夢ではないかと語り合う。元帥夫人がファニナルを伴って再登場し、ファニナルは納得して夫人とともに去る。幸福感に満たされた若い二人は今ひとたび短い二重唱を歌って退場する。二人が去ったあと軽妙な音楽に乗って、元帥夫人の黒人小姓が現れ、ゾフィーの落としたハンカチを見つけて駆け去ると幕が下りる。
楽曲解説
「モーツァルト風のオペラ」を目指したこともあり、概ね3管編成のオーケストラは随所でシュトラウスならではの官能的・色彩的な部分もあるものの、比較的軽妙で透明な音色を主体としている。その意味ではモーツァルトのオペラ・ブッファを意識したかのようなつくりである。
物語の舞台となったウィーン名物のウィンナ・ワルツがあちこちに登場しているのは、作品の時代とは合わないとして一部の批評家からの指摘を受けたが、聴衆からは好評であった。オックス男爵のワルツはしばしば独立して演奏されることがある。
序奏
第1幕の幕が開く前に演奏される。元帥夫人とオクタヴィアンが過ごした一夜を描くとされる短い導入曲で、オクタヴィアンを表す若々しく情熱的な動機や、それに応えて元帥夫人を表す柔和な音楽が奏されるうちに幕が開く。
元帥夫人のモノローグ
第1幕で独りになった元帥夫人の独白である。夫人は、修道院を出てきたばかりの若い自分はどこへいったのかと問い、また避けられない老いの予感に心を痛めるが、時の移ろいは誰にも避けられないものであることを悟り、いつかはオクタヴィアンが去ることを予言する。元帥夫人を演ずる歌手の重要な聴かせどころのひとつで、リサイタルで独立して演奏されることもある。
銀のばらの贈呈の場面と二重唱
第2幕でオクタヴィアンがゾフィーに婚約のしるしであるペルシャ産の香油をたらした銀の薔薇の造花を渡す場面の音楽である。ハープやチェレスタに彩られて弱音器つきの弦楽器が木管が奏でる優美で、繊細な色彩感をもった音楽に乗って婚約申込みの口上が述べられる。そのあとには打ち解けた二人の二重唱が続くが、結婚の喜びを歌い上げるゾフィーと、彼女に惹かれて恋心を抱き始めたオクタヴィアンがそれぞれ歌う音楽には微妙なずれがある。
オックス男爵のワルツ
第2幕後半で、オクタヴィアンに腕を傷つけられたオックス男爵が、ファニナルの薦める酒を飲んで機嫌を直して歌う場面の音楽。通称『ばらの騎士のワルツ』で知られるが、ヨーゼフ・シュトラウスのワルツ『ディナミーデン』をもとにした作品である。なお、シュトラウスはこの『ばらの騎士のワルツ』について「あのウィーンの陽気な天才(ヨハン・シュトラウス2世)を思い浮かべずして作曲するなど、ありえただろうか?」と語っている。
パントマイム
第3幕冒頭で、マリアンデル名義でオックス男爵をおびき出し、一杯食わせようというオクタヴィアンの作戦を実行するため、宿屋で準備を行う場面で奏される。歌唱・台詞無しのパントマイムで進行する。軽快・快活な曲想である。
三重唱
『ばらの騎士の三重唱』として知られる名場面。
それぞれが自分の想いを独白で歌う三重唱である。オクタヴィアンは一目惚れしたゾフィーに夢中だが、先日まで愛し合っていた元帥夫人にも未練があり、ひどく混乱している。ゾフィーはオックスに裏切られ、自分を救ってくれると信じたオクタヴィアンが各上の元帥夫人と愛人関係にあることを知って傷ついている。
オクタヴィアンをつなぎとめることも出来たはずの元帥夫人であるが、潔く若い二人を祝福し、身を引く決意をする。ホーフマンスタールはシュトラウスに手紙を送り、この場面で元帥夫人がゾフィーに見劣りするような音楽を書いてはならないと注意を呼びかけている。若いオクタヴィアンの気持ちとしてはゾフィーに夢中であることを表しつつ、彼女よりも魅力的な元帥夫人が敢えて身を引くことを音楽でも示すように、との趣旨である。
今日、この場面はゾフィー役ではなく、元帥夫人役の歌手にとっての聴かせどころの一つと見なされていることから、シュトラウスは台本作者の要求に見事に応えたのだと考えてよい。シュトラウスにとっても愛着のある曲であり、遺言により彼の葬儀で演奏された(指揮はゲオルク・ショルティ)。
ワルツ第1番、ワルツ第2番、組曲ほか
便宜上「ワルツ第1番」と称されているもの(TrV227c)は、1944年にシュトラウスが第1幕と第2幕の素材から編纂したワルツである。
同じく「ワルツ第2番」と称されている第3幕の素材を編纂したもの(TrV227a)は、それより10年前の1934年に成立したと言われている(編曲者の名は伝わっていない)。
「組曲」は、全曲から選んだ場面を再構成して1945年に出版されたもの(TrV227d)、初演直後にナンブアト("Nambuat"。この名はペンネームであり、実際はタウブマン(Otto Taubmann)編と伝えられている)が編纂したものなどがある。指揮者のアルトゥール・ロジンスキ編と伝えられ(シュトラウスの関与の程度など、成立事情は定かでない)、現在広く演奏される1945年の「組曲」[8]は実際には音楽の切れ目がなく、いわば全曲を交響詩に編み直したような構成となっている。
その他、1926年にサイレント映画の伴奏音楽用にシュトラウス自身が編曲した映画音楽「ばらの騎士」(TrV227b)もある(自作自演の音盤あり)。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%B0%E3%82%89%E3%81%AE%E9%A8%8E%E5%A3%AB
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