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グリーグ 『ペール・ギュント』
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/933.html
投稿者 中川隆 日時 2020 年 2 月 22 日 16:29:59: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: グリーグ 『ペールギュント ソルヴェイグの歌』 投稿者 中川隆 日時 2020 年 2 月 22 日 15:19:44)

エドヴァルド・ハーゲルップ・グリーグ 『ペール・ギュント』


ビーチャムのグリーグ 『ペール・ギュント』


Grieg: Peer Gynt(excerpts), Beecham & RPO (1955)




エドヴァルド・ハーゲルップ・グリーグ
ペール・ギュント (抜粋)


(00:05) 1. 花嫁の行列の通過
(03:49) 2. イングリッドの嘆き
(08:16) 3. 山の魔王の宮殿にて
(10:33) 4. 朝
(14:43) 5. オーセの死
(20:43) 6. アラビアの踊り
(25:28) 7. ソルヴェイグの歌
(30:48) 8. アニトラの踊り
(34:51) 9. ペール・ギュントの帰郷
(37:56) 10. ソルヴェイグの子守唄


ソプラノ:イルゼ・ホルヴェーク
指揮:サー・トマス・ビーチャム
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
ビーチャム合唱協会 (合唱指揮:デニス・エドワード・ヴォーン)


録音:1956年6月5、18、21、29日、1957年4月1日 アビーロード・スタジオ (ロンドン)


▲△▽▼


劇音楽
『ペール・ギュント』(作品23、1875年/1885年、1888年、1891年、1902年改訂)


『ペール・ギュント』第1組曲(作品46、1888年)
5.0点
超有名な「朝」をはじめ、4曲とも有名曲である。
一度聴けば忘れないような印象的で大変親しみやすいメロディーの素晴らしさは、見事というほかない。とにかく楽しくていい曲ということに尽きる。
素朴なオーケストレーションは聴きやすい。
有名曲が多いわけではないグリーグだが、この組曲に最大級の傑作を集められたこと自体が、彼のネームバリュー向上に貢献したとも言えるだろう。


『ペール・ギュント』第2組曲(作品55、1892年)
3.8点
3曲目までは、いかにも第1組曲の選に漏れた2軍の曲集という冴えない感じである。親しみやすいアレンジだが面白くない。
しかし、3曲目で作った雰囲気から入る4曲目のソルヴェイグの歌の透明な悲哀の純粋な美しさに感動させられて胸がいっぱいになり、最初の方の不満は吹き飛んでいく。
https://classic.wiki.fc2.com/wiki/グリーグ


『ペール・ギュント』(Peer Gynt )作品23 は、エドヴァルド・グリーグの代表作の一つで、ヘンリック・イプセンの戯曲『ペール・ギュント』のために作曲した劇付随音楽。
管弦楽のための組曲が2つ編まれており(作品46と作品55)、それらが有名である。
また他にもグリーグ自身の編曲で何曲かがピアノ独奏曲やピアノ伴奏の歌曲に編曲されている。
高名な劇付随音楽の中では珍しく、劇そのものの初演のための作曲である。


作曲の経緯


『ペール・ギュント』はイプセンが1867年に書いた作品である。
元は上演を目的としないレーゼドラマとして書かれたが、その後イプセンはこれを舞台で上演することになった。本来は舞台向きでないこの作品の上演に当たって、イプセンは音楽によって弱点を補うことを考えた。そこで1874年に、当時作曲家として名を上げつつあった同国人のグリーグに、劇音楽の作曲を依頼した。


グリーグは自分の作風が小品向きであり、劇的でスケールの大きな舞台作品には向かないと考えていて、一旦は依頼を断わろうともしたが、報酬と、民族的な題材への作曲に興味を引かれたこともあり、作曲を引き受けた。作曲は同年に開始したが難航し、翌1875年に完成した。


『ペール・ギュント』の舞台上演は1876年2月24日、クリスチャニア(現オスロ)の王立劇場で初演が行われた。音楽の指揮はヨハン・ヘンヌムによる。上演は、イプセンの狙い通りに音楽のおかげもあって成功を収めたが、一方で近代性を備えた風刺的なイプセンの戯曲に対してグリーグの音楽がロマンティックに過ぎることへの批判もあった。


グリーグはその後、再演のたびに改訂を行っており、1885年、1887年から1888年、1890年から1891年、1901年から1902年に改訂されている。


1876年にパート譜のみ出版された後、1908年にドイツのペータース社から出版されたが、完全な形で全曲版がペータース社から出版されたのは1987年である。

編成
ピッコロ、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、チューバ、ティンパニ、大太鼓、小太鼓、シンバル、タムタム、トライアングル、タンブリン、シロフォン、鐘、ハープ、オルガン、ピアノ、ハリングフェーレ(またはヴィオラ独奏)、弦五部、独唱、合唱


組曲版でもおおよそ同じ編成であるが、声楽やオルガン、ピアノなどは省かれている。


構成(作品23)


グリーグが作曲した音楽は全27曲(番号付きの26曲と番号なしの1曲)である。
他にヨハン・ハルヴォルセンがグリーグのピアノ曲を編曲した追加曲もある。


第1幕


1.婚礼の場で(I Bryllupsgården)
第1幕への前奏曲。
(追加曲)花嫁の行列の通過(Brudefølget drager forbi)
ピアノ曲集『人々の暮らしの情景』作品19の第2曲をハルヴォルセンが管弦楽編曲して1886年に追加したもの。
2.ハリング舞曲(Halling)
3.跳躍舞曲(Springar)


第2幕


4.花嫁の略奪とイングリ(イングリッド)の嘆き(Bruderovet - Ingrids Klage)
第2幕への前奏曲。
5.ペール・ギュントと山羊追いの女たち(Peer Gynt og Sæterjentene)
女声による三重唱。
6.ペール・ギュントと緑衣の女(Peer Gynt og den Grønnkledte)
7.ペール・ギュント「育ちのよさは馬具見りゃわかる」(Peer Gynt: 《Pa Ridestellet skal Storfolk kjendes!》)
8.ドヴレ山の魔王の広間にて(I Dovregubbens Hall)
男声合唱が加わる。
9.ドヴレ山の魔王の娘の踊り(Dans av Dovregbbens Datter)
10.ペール・ギュントはトロルに追い回される(Peer Gynt jages av Troll)
11.ペール・ギュントとベイグ(Peer Gynt og Bøygen)


第3幕


12.オーセの死(ノルウェー語版)(Åses døt)
(番号なしの1曲)


第4幕


13.朝のすがすがしさ(ノルウェー語版、英語版)(Morgenstemning)
第4幕への前奏曲。
14.盗賊と密売者(Tyven og Heleren)
盗賊と密売者が交互に歌う。
15.アラビアの踊り(Arabisk Dans)
女声二部合唱と独唱(アニトラ)が加わる。
16.アニトラの踊り(ノルウェー語版)(Anitras Dans)
17.ペール・ギュントのセレナーデ(Peer Gynts Serenade)
ペール・ギュントの歌。バリトン独唱。
18.ペール・ギュントとアニトラ(Peer Gynt og Anitra)
19.ソルヴェイの歌(ノルウェー語版)(ソルヴェイグの歌、Solveigs Sang)
舞台裏の歌手が歌う。
20.メムノン像の前のペール・ギュント(Peer Gynt ved Memnonstøtten)


第5幕


21.ペール・ギュントの帰郷、海の嵐の夕方(Peer Gynts Hjemfart. Stormfull Aften på Havet)
22.難破(Skipsforliset)
23.小屋でソルヴェイ(ソルヴェイグ)が歌っている(Solveig synger i Hytten)
24.夜の情景(Nattscene)
25.ペンテコステの賛美歌「祝福の朝なり」(Pinsesalme: 《Velsignede Margen》)
無伴奏のユニゾンによるペンテコステ(聖霊降誕祭)の賛美歌のコラール。
26.ソルヴェイ(ソルヴェイグ)の子守唄(Solveigs Vuggevise)
女声独唱。


第1組曲 作品46


1891年に編曲された。
原曲の第13、12、16、8曲の4曲を選び、声楽のパートや台詞を省き、楽曲の一部を削除している。

第1曲「朝(ノルウェー語版、英語版)」(ホ長調)
第2曲「オーセの死」(ロ短調)
第3曲「アニトラの踊り」(イ短調)
第4曲「山の魔王の宮殿にて」(ロ短調)


第2組曲 作品55


1892年に編曲、翌1893年に改訂された。
原曲の第4、15、21、19曲の4曲を選び、第1組曲と同様に編曲した。
「ソルヴェイグの歌」では歌唱のパートを器楽に置き換えている。
なお、当初は「アラビアの踊り」の代わりに「山の魔王の娘の踊り」(原曲の第9曲)が入っていたが、改訂時に現行の形に改められた。


第1曲「イングリッドの嘆き」(ト短調)
第2曲「アラビアの踊り」(ハ長調)
第3曲「ペール・ギュントの帰郷」(嬰ヘ短調)
第4曲「ソルヴェイグの歌」(イ短調)


https://ja.wikipedia.org/wiki/ペール・ギュント_(グリーグ)
 

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コメント
1. 中川隆[-13616] koaQ7Jey 2020年2月22日 16:31:46 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-134] 報告

グリーグ 劇付随音楽「ペールギュント」第1、2組曲 〜ぶらり北欧の旅〜 : ハルくんの音楽日記 2009年4月28日
http://harucla.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-f58b.html


Peer Gynt Suite No. 1, Op. 46: I. Morning Mood


Peer Gynt Suite, No. 1, Op. 46: IV. In The Hall of The Mountain King


Conductor: Ari Rasilainen
Orchestra: Norwegian Radio Orchestra
Released on: 2018-11-30




「ペールギュント」は誰でも知っているほど有名ですね。
僕が中学校の頃には音楽授業の鑑賞曲でしたし、「朝」という曲はいたるところでBGMに使用されています。でもこの話の内容は結構支離滅裂なのですよ。
というよりも主人公のペール・ギュントはとんでもない男なのです。話の内容を引用してみますと・・・・

落ちぶれた豪農の息子ペール・ギュントは母親と暮らす夢ばかり見ている男。かつての恋人イングリッドを結婚式から奪取して逃亡する(まるで「卒業」だね。)ところがじきにイングリッドに飽きて捨ててしまう。それからまた他の娘と婚礼寸前までゆくが逃げ出してしまう。さらに純情娘ソルヴェイグと恋に落ちるが彼女をおいてまた放浪の旅に出てしまう。山師になって金をもうけては無一文になったり、精神病院に入って皇帝になった気になってみたりするが、結局は年老いて帰郷する。ペールが死を意識して歩いていると、あるボタン職人に出会う。このボタン職人というのは実は、死んで天国に行くような善人でもなく、地獄に行くような悪人でもない「中庸」の人をボタンに溶かしこむのが仕事の職人だった。それを知ったペールはボタンには成りたがらず、自分は善悪を問わず中庸では無かったことを証明してもらおうと駈けずりまわる。ところが誰もそれを証明してはくれない。けれども最後の証人として会ったソルヴェイグは彼に子守唄を歌い、それを聞きながらペールは永眠する。

と、ざっとこんな話です。もしも最後にフーテンの寅さんがペールに会ったら何と言うでしょうね。「そうかい、そうかい。おっちゃんは随分苦労してきたんだねえ。でも安心しな。おてんとうさんはみんな分かっていなさるよ。」こんな優しい言葉をかけてあげるのではないでしょうか。

さて、この音楽を聴くのに素晴らしい演奏が有るのでご紹介します。

アリ・ラシライネン指揮ノルウェー放送管(1996年録音/ワーナーミュージック盤) 

有名曲だけに昔から多くの指揮者が大オーケストラと録音していますが、それらはまずほとんどが大げさで派手な演奏です。その点、この自国ノルウェーのオーケストラは響きが一味違います。「朝」のなんという爽やかさでしょう。空気感が全然違うのです。

カラヤン/ベルリン・フィルだと「朝だぞ〜!日の出を拝みにさっさと出て来い〜!」という感じなのですが、同じ北欧のフィンランド出身のライシネンが指揮するこの演奏では、静かに優しく声をかけられて気持ちよく目が覚めてゆく感じなのですよ。

「オーゼの死」もたいていはぶ厚い弦楽群がこれでもかと大げさに歌い上げますよね。ラシライネンはそうではなく、静かに、しかし心を込めて歌います。なので悲しみの深さが余計感じられるのです。

「アニトラの踊り」はうって変わってセンス抜群ですし、「山の魔王の宮殿で」は決してこけおどしでない迫力が最高です。終曲の「ソルヴェイグの歌」では淡々とペールの帰りを待ちわびる心を歌い上げます。

どうぞ「こんな中学校の鑑賞曲など今更聴かないさ」とおっしゃられる人にこそこの演奏を聴いて頂きたいと思います。たまたま一度お会いしたことも有る音楽評論家の許光俊さんが「クラシック名盤バトル」の中でこのCDを取り上げているのを見たときにはわが意を得たりでした。あの先生は結構キワモノ(?)を推薦することが多いですが、これぞという推薦盤もあるので注目はしています。


コメント

そういうお話だったんですかw(゚o゚)w
「朝」だけを聴いているととてもそんな風には・・・いやぁ驚きました。
しょーもない男だね〜〜┐(´д`)┌ヤレヤレ
でも西洋ものって放蕩三昧というか放浪の最後にかつて愛して捨てたはずの女性に魂を救われるってパターンが多くないですか・・・
聖母愛とかマドンナ崇拝ってものの延長線上にあるような気がするのですが。
神の恩寵によって救われるのでは宗教色が強くなるというか教訓めいてくるというか・・・それでは劇にならないので、神の代理としての聖母崇拝。そしてマドンナ。
まぁこれは私の勝手な憶測ですが。
これは聴いてみたくなりました。。。
私はこーゆーしょ〜もない男の話がワリと好きなんですよ。
投稿: ペール・ギュントって | 2009年4月28日 (火) 21時26分



いやー、女性はやっぱり男性にとってはいつでも母の存在ですよ。普段はリードしているつもりでも、ちょっと落ち込んだ時なんかは甘えたくなりますもの。ただし本当に甘えさせてくれるかどうかは別ですけど。(苦笑)
ほうら、はるりんさんもこーゆーしょ〜もない男性が案外好きでしょう?やっぱりマドンナなのですよー。
投稿: ハルくん | 2009年4月28日 (火) 21時39分


(笑)・・・
まあペール・ギュントだけでなく、レミンカイネンも、スサノオノミコトも、冷静に考えれば手が早くてしょうもない野郎と言えるでしょうね。こういう男が出てくるのはヨーロッパの話だけでないのかもしれません。確かに説話では、身を滅ぼして母親に拾われるという結末が少なくないですね。聖書に出てくる放蕩息子は父親の元に帰りますが、これは「神の元に帰れ」という例え話だから仕方がないでしょう。
ところでカール・シュルヴィッツという人の「夜明け」という絵本があります。ノルウェーの暗い冬が明ける頃のこと、闇の中をお父さんに連れられて峠まで行くと、日の出が見えた!という話です。ぜひペール・ギュントの「朝」を聴きながらご覧ください。
投稿: かげっち | 2009年4月28日 (火) 21時51分



はるりんさん、僕はもともと「本場もの」が好きなのですよ。料理と同じなのです。微妙な味付けってやっぱり本場の職人と食材でないとなかなか出ないでしょう?
北欧料理は北欧で食べたいし、イタリア料理はイタリアで、フランス料理はフランスで、スペイン料理はスペインで、讃岐うどんは香川県で食べたいと思うのです。いたって単純なことなのです。
ですので音楽も北欧ものに限らず大抵は本場、自国演奏家のものが好きなのですよ。味わいの違いって絶対に有ると思います。
投稿: ハルくん | 2009年4月28日 (火) 22時13分


「ペールギュント」は学校の音楽の時間の鑑賞曲のため、たいへん損をしている作品と思います。組曲形式での演奏のイメージが強いのでしょう。イブセンの戯曲への付随音楽であるという事を忘れがちだと思います。原曲で聴くと全く印象が違って聴くことができます。
第1曲の第1幕への前奏曲もペールとソルヴェーグのその後を暗示しているような音楽ですし、「山の魔王の宮殿で」はコーラス入りで聴くと組曲と比べて全く印象が違います。また「ソルヴェイグの歌」はやはりソプラノの独唱でソルヴェイグの思いを切々と歌い上げた歌入りで聴きたいものですし、最後の音楽(第26曲)の「ソルヴェイグの子守歌」は本当にしんみりします。
私は持っているCDは残念ながら本場物ではなく心苦しいのですが、ブロムシュテット指揮サンフランシスコ交響楽団の20曲が収録されている全曲からの抜粋盤です。(デッカ)
解説もしっかりとしており重宝しています。
アリ・ラシライネン指揮ノルウェー放送管の録音は組曲形式でしょうか?
全く知りませんでした。北欧のサウンドで「ペール・ギュント」を聴いてみたいものです。
投稿: オペラファン | 2009年4月28日 (火) 23時42分



ラシライネン/ノルウェー放送は残念ながら組曲盤なのですよ。でもそれを補うだけの本場ものの良さが有ると思います。
ブロムシュテット/サンフランシスコはシベリウスでとても素晴らしい演奏をしていましたからグリーグも良さそうですね。
出来ることなら話の筋を順に追って声楽入りで聴きたいものです。
投稿: ハルくん | 2009年4月29日 (水) 00時02分


ブロムシュテット、サンフランシスコ響は私も持ってます。
実は「ペールギュント」は「朝」と「ソルヴェイグの歌」しか知らなかった。
それがカラヤン、ベルリン・フィルで第2組曲形式であることを初めて知ったのです。ちなみにカラヤンはウィーン・フィルで組曲を抜粋して取り上げてます。
ブロムシュテットは北欧音楽のスペシャリストとも言われています。「ペールギュント」の劇版はこれしか持っていませんが、手を抜かないサウンドで臨場感があります。
投稿: eyes_1975 | 2009年4月29日 (水) 23時22分



劇版の全曲盤CDは他にヤルヴィ/エーテボリも有りますね。
それに自国ノルウェーのベルゲンフィルの録音も有るようなので私としては大いに気になります。
やはりこの曲は北欧の演奏家で聴きたいところです。
投稿: ハルくん | 2009年4月30日 (木) 06時04分


『春の祭典』『親愛の声』に引き続き、またしても図書館で良いCDを聴くことができました。
ここで紹介されているラシライネン盤です。
もっとも、演奏そのものは同じですが、CDは違います。morokomanが聴いたCDのカップリングはノルウェーの後発の作曲家セーヴェルーの『ペール・ギュント組曲』です。
つまり、新旧のノルウェーの作曲家による『ペール・ギュント組曲』が、1枚のCDに収録されているという面白い企画のCDです。
ですが、ここはラシライネンの演奏について書きたいので、グリーグの作品のみ取り上げます。

>有名曲だけに昔から多くの指揮者が大オーケストラと録音していますが、それらはまずほとんどが大げさで派手な演奏です。その点、この自国ノルウェーの演奏家はアプローチが一味違います。「朝」のなんという爽やかさでしょう。空気感が全然違うのです。カラヤン/ベルリンフィルだと「朝だぞ〜!日の出を拝みにさっさと出て来い〜!」という感じなのですが、ラシライネンだと静かに優しく声をかけられて気持ちよく目が覚めてゆく感じなのですよ。「オーゼの死」もたいていはぶ厚い弦楽群がこれでもかと大げさに歌い上げますよね。ラシライネンはそうではなく、静かにしかし心を込めて歌います。なので悲しみの深さが余計感じられるのです。「アニトラの踊り」はうって変わってセンス抜群ですし、「山の魔王の宮殿で」は決してこけおどしでない迫力が最高です。終曲の「ソルヴェイグの歌」は淡々と慈しみに満ちていて、死に行くペールの心を慰めます。(ハルくん様)

ラシライネン盤については、全くハルくん様と同意見ですね。余計な装飾もハッタリもない、必要不可欠な力しか入れないが故に「本物」が滲み出る名演です! 

ハルくん様がお持ちのCDには、ラシライネンの顔写真は掲載されていますでしょうか? morokomanが聴いたCDでは写真がありました。見てビックリ! いかつい感じの、ボクサーとかレスラーとか言った方が納得できる雰囲気を持った人ですね。(^^;) 人は見かけに寄らないと申しますが、その言葉が証明できる写真ですよ。

また、文章を読む限り、ハルくん様はラシライネンをノルウェーの人であると思ってらっしゃるようですが、「○○ネン」となっていることから、morokomanは「ノルウェー人ではないのでは? ノルウェーだったら○○センになるはず!」「○○ネンはフィンランドの名前だから、ラシライネンはフィン人だ」と思っておりました。
確認するとその通りで、フィンランドの出身ですね。もしかすると指揮法をパヌラから学んだのかもしれません。その可能性は充分ありますね。どちらにせよ、本当にフィンランドの人材の豊富さには、目をみはらされるものがあると思いますね。(^^) 
投稿: morokoman | 2012年10月23日 (火) 21時44分



おっしゃるとおり、てっきりアリ・ラシライネンはノルウェー人だとばかり思い込んでいました。確かに、この人はフィンランドの出身ですね。いかつい(鼻の潰れたような?)ボクサー顔は典型的なフィン族の顔ですね。
パヌラ教授に指揮を習ったのも間違いはなさそうです。またしても教授のお弟子さんの名指揮者が増えましたね。
投稿: ハルくん | 2012年10月23日 (火) 22時06分


>この自国ノルウェーのオーケストラは響きが一味違います。

全くその通りですね。
でも、だからこそ少し悔しい思いがします。組曲ではなく、ぜひ全曲抜粋盤を出して欲しかったです。
と言うのは、これほどの演奏が出来るのでしたら、是非「序曲(第1幕への前奏曲)」と「ソルベイグの子守歌」を聴きたかったですね。
序曲(第一幕への前奏曲)では、その途中で、ノルウェーの民俗楽器であるハルダンゲル・フィドルの奏法を思わせる、素晴らしい独奏がヴィオラで演奏されます。
morokomanはこれをバルビローリ/ハルレ管弦楽団の演奏で聴き、大変感激しました。
ぜひこの部分はノルウェーのトップの演奏家で聴いてみたいのです。バルビローリ盤以上の感激が味わえるのではないでしょうか?
それと、最後の「ソルヴェイグの子守歌」。「ソルヴェイグの歌」とは違う曲です。これもバルビローリ盤で聴き、あまりの素晴らしさに涙が出ました。なぜグリーグがこれを組曲で外してしまったのか、不思議です。
morokomanがグリーグだったら、「アラビアの踊り」は外してそこに「ソルヴェイグの歌」を入れ、「ペール・ギュントの帰郷」の後に「ソルヴェイグの子守歌」を入れますね。
それはともかく、これもノルウェーの演奏家達の演奏で聴きたいです。
この2曲が入っていないのが、返す返すも残念です。
投稿: morokoman | 2012年10月23日 (火) 23時06分



そうですね。全曲盤は本当に録音が少ないですね。
しかもノルウェーの演奏家でとなると、ほとんど有るような無いような。
この曲は、やはりオスロフィルかベルゲンフィルで聴きたいところです。
僕は「アラビアの踊り」は結構好きなんですけど(汗)、「ソルヴェイグの子守歌」は入れて欲しかったですね。劇の結末として重要ですからね。
投稿: ハルくん | 2012年10月23日 (火) 23時48分


ハルくん様
日を改めまして、続きです。(^^)
ペール・ギュントに関しては、これからもあまり話題になることは無いと思いますので、どうかお付き合いください。

>僕は「アラビアの踊り」は結構好きなんですけど(汗)

ありゃりゃ……(^^;)。
でも、シベリウスの『ペルシャザールの饗宴』もそうなんですが、やっぱり「北欧版の中近東音楽」なんですね。少し嘘っぽさを感じてしまうので、この「アラビアの踊り」は外したら……などと思ってしまったのです。
ですが、ハルくん様に敬意を表し、以下に書き改めます。

「morokomanがグリーグだったら、第1組曲の最初に「序曲」を加え、第2組曲の終わりに「子守歌」を加え、両組曲とも5曲にします。」 
これだったら大丈夫ですね。(^^)

それから、ハルくん様の記事に移ります。
>もしも最後に寅さんが彼に会ったら何と言うでしょうね。(略)こんな優しい言葉をかけてあげるのではないでしょうか。(ハルくん様)
ハルくん様は優しいなぁ……。
実は若き日のグリーグがこの劇音楽を依頼されたとき、
「こんな奴(ペール)は嫌いだ!」
と言ったそうな。内心この仕事は意に沿わなかったのではないでしょうか。それでもこれだけの曲を作ってしまうのはさすがですけど。かなり苦しんだという記録が残っていますね。

>ペールが死を意識して歩いていると、あるボタン職人に出会う。
このボタン職人のことは知りませんでした。「ペール・ギュント」を扱ったCDの、どの解説書にも紹介されていないからです。
実に不気味な存在ですね。絶対人間ではありませんね。「中庸」の人をボタンに溶かしこむなんて……。ファンタジー小説の元祖とも言える、ロード・ダンセイニ(アイルランドの作家。『指輪物語』のトールキン、『ゲド戦記』のル・グィン、『クトゥルー神話』のラブクラフトなどに絶大な影響を与えた人物)の創作神話やファンタジー小説に出てきそうな存在です。想像するだに恐ろしい、実に気になる人物ですね。
このボタン職人について、もっと情報をお持ちでしたら、ぜひお教えください。
投稿: morokoman | 2012年10月24日 (水) 22時06分


なるほど、5曲構成の組曲版!これは通常の組曲版よりも絶対に良いですね。誰かレコーディングしませんかね。
いや僕が優しいと言うよりも、寅さんが優しいのです。これは映画の中で聴いたようなセリフです。故郷を離れて放浪する者同士の共感を想像させるので、こんなセリフを思いつかされました。
この記事を書いた時に、ボタン職人のことをどこで読んだのかは、すっかり忘れてしまいました。(汗)
ですので、申し訳ないのですが、この他に情報は知りません。
しかし本当に恐ろしい存在ですね。「中庸」の人がボタンにされてしまうなんてねぇ。
投稿: ハルくん | 2012年10月24日 (水) 23時22分


>なるほど、5曲構成の組曲版!これは通常の組曲版よりも絶対に良いですね。誰かレコーディングしませんかね。

やって欲しいですね〜。しみじみそう思います。

>故郷を離れて放浪する者同士の共感を想像させるので、こんなセリフを思いつかされました。

そうですね。確かに放浪者ならではの「共感」はあると思います。待ってくれる人−ソルヴェイグやさくら−もいますしね。

>ですので、申し訳ないのですが、この他に情報は知りません。

う〜む、残念。しかしペール・ギュントの資料に当たる機会は出てくるでしょうから、その時調べてみることにします。興味をかきたてて下さる貴重な情報、どうもありがとうございました。

そして最後にハルくん様の記事に今一度戻ります。
>どうぞ「こんな中学校の鑑賞曲など今更聴かないさ」とおっしゃられる人にこそこの演奏を聴いて頂きたいと思います。

確かに一聴の価値ある演奏でした。ハルくん様と図書館に感謝! ですね。(^^)
「中学校の鑑賞曲」−確かにそうですね。いえ、現在なら「母と子のコンサート」でも取り上げられそうな曲です。非常にわかり易い曲ですから。
ですが、morokomanのような人間にとっては、グリーグと言えば「ペール・ギュント」と言う現在にいたる状況は、極めて不満です。
グリーグには後年、『交響的舞曲集』という大傑作を作曲しています。初めて知った時はぶっ飛びました。
「なんでこれが演奏されないんだ!!」

と思ったものです。「ペール・ギュント」の世俗的な人気の陰に隠れてしまって光が当たらないんだとしたら−おそらくそうでしょうが−「ペール・ギュント」が憎たらしくなってくるんですよ。(^^;)

評論家の宇野先生がシベリウスの第2番を悪ざましに罵る気持ちが、実に良くわかるんですよ。ひとつの突出した人気作品のおかげで、真の傑作がスポイルされてしまうことへのいらだたしさ。宇野先生もmorokomanも、共通して持っている感情です。
投稿: morokoman | 2012年10月24日 (水) 23時45分



「交響的舞曲集」って、そんなに凄い曲でしたっけ?
それほど真面目に聴いていませんでしたので、今度聴き直してみます。
宇野功芳先生は実際に2、3度お話をしましたし、非常に影響を受けた評論家です。
「シベ2を聴くくらいならシベ1を聴くべきだ」という評論ですね。
正直、これには余り賛同していません。

そりゃ4番以降の曲は、2番と比べたら深さが雲泥の差ですよ。
でも2番もやはり良い曲ですし、1番がそれよりも格段に上だとも思っていません。有名で親しみ易い2番から入門して徐々に後期の曲の深みにはまってゆくのが問題あるのかなぁ。

モーツァルトだって、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」から入って少しも悪いことは無いと思うのですよ。
投稿: ハルくん | 2012年10月25日 (木) 22時02分



>「交響的舞曲集」って、そんなに凄い曲でしたっけ?

おおお〜、さすがハルくん様! 『交響的舞曲集』をご存知だとは! (^o^)
嬉しいですね〜。ご存知ない方が沢山いらっしゃるんですよ。(と言うか、よほどのマニアでなければ知らないと思います)
ですから、
morokomanが「グリーグの最高傑作は『交響的舞曲集』である!」と心の底から確信に満ち溢れてキリッと断言しても、
ほとんどの方は、「は? なにそれ?」
……ということの繰り返しで、会話にすらなりません(涙)。ハルくん様のように「そんなに凄い曲でしたっけ?」という反応があるだけでもありがたいです。
今ハルくん様が特集を組んでおられるブラームスとはちがい、とにかく知られていません。「は? なにそれ?」の多さには「マイナーの悲哀」を感じてしまいますね。
『交響的舞曲集』だけではありません。グリーグも、知られざる傑作はかなり多いです。ご存知のものもあるでしょうが、例えば弦楽四重奏曲やヴァイオリン・ソナタ、チェロ・ソナタ、ピアノ・ソナタと言った室内楽や器楽曲などなど。
音楽メディアには「もっともっとこうした作品に光をあててくれよ〜」と願っているのです。
>それほど真面目に聴いていませんでしたので、今度聴き直してみます。
ええ、ぜひぜひ。ハルくん様の気がむいた、お暇な時にでも(^^)
でも、受け止める感想は人それぞれですから、ハルくん様が例えば
「聴いてみたけど、やっぱり大したことのない凡作だった」
という感想を仮りにもたれたとしても、それはそれで立派なご意見です。morokomanは尊重いたします。

>宇野功芳先生は実際に2、3度お話をしましたし、非常に影響を受けた評論家です。
そうですか〜。それは羨ましいですね。(^^)

>「シベ2を聴くくらいならシベ1を聴くべきだ」という評論ですね。正直、これには余り賛同していません。
申し訳ありません。この評論ではありません。どうも誤解をさせてしまったようで……。これは私の書き方が悪かったです。言葉が足りず、私の不徳と致すところです。(^_^;A
もっと詳しく書きたいのですが、そうするとえらく長くなりますし、グリーグの記事とも離れますので、後日場を改め、整理した上で書きたいと思います。
ちなみに、ハルくん様の
>でも2番もやはり良い曲ですし、1番がそれよりも格段に上だとも思っていません。
は、morokomanも「おっしゃるとおりです」と賛同いたします。
>有名で親しみ易い2番から入門して徐々に後期の曲の深みにはまってゆくのが問題あるのかなぁ。
についても、「全く問題ありません」というのが私の意見です。あとの「アイネ・クライネ……」で例えたことについても全く同じ気持ちなのです。
では、なんだ? ということでしょうが、この場はまず、言葉が足りずに誤解をさせてしまったことを、深くお詫び申し上げます。
話は違いますが、今取り組んでおられるブラームスの特集、とても楽しみにしております。(^^)
投稿: morokoman | 2012年10月26日 (金) 21時23分



グリーグが好きな方は恐らくどの曲を聴いても受け入れられると思いますね。
シベリウスの場合も同じです。
その点で、実際はmorokomanも同じご意見のようでしたので安心しました。
ありがとうございます。今年はブラームスの余りポピュラーでない曲も取り上げたいと思っています。
投稿: ハルくん | 2012年10月26日 (金) 23時00分


「ペールギュント組曲第一番」は小学校の鑑賞の時間に聴いた覚えがあります。子供の時はお友達のいる中で聴くので知る程度でしたが、大人になってから改めて聴いてみると味わい深いものです。「オーゼの死」の曲は、楽譜は見ていませんが、四分音符、四分音符、二分音符というの単純なリズムなのに、音型の変化で、ペールが母親を亡くした深い悲しみ、(さめざめと泣く、慟哭など)そして死に接した厳粛な空気までも感じられて何てすごい作品なんだろう!と思っています。弦楽器の表現力のなせる技なのでしょうか。
ハルくんさんのようにいろいろな方の演奏を聴いて、心の動きや場の雰囲気を更に深く聴き取っていけたらいいなと思いました。
投稿: オンディーヌ | 2013年3月 9日 (土) 21時53分


オンディーヌさん、こんばんは。
今日は本当に暖かかったですね。正に春たけなわという気分です。
「オーゼの死」いいですよね。弦楽合奏の表現力の凄さをつくづく感じますね。バッハの「G線上のアリア」も凄いですが。
ペールギュントは「朝」も「ソルヴェイグの歌」もみな大好きなんです。聴き易くて飽きが来ないというのは本当の名曲ですね。
投稿: ハルくん | 2013年3月 9日 (土) 22時27分
http://harucla.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-f58b.html
2. 中川隆[-13615] koaQ7Jey 2020年2月22日 16:46:07 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-133] 報告

ネーメ・ヤルヴィ

Neeme Jarvi Grieg - Peer Gynt (1987) Gothenburg SO


Edvard Grieg (1843-1907)
Peer Gynt op. 23
(Auszüge · Excerpts Extraits · Brani scelti)

(00:00:00) 1. At The Wedding
(00:05:02) 2. The Abduction Of The Bride, Ingrid's Lament
(00:08:52) 3. Peer Gynt & The Herd-Girls
(00:12:52) 4. Peer Gynt & The Woman In Green
(00:14:46) 5. In The Hall Of The Mountain King
(00:17:40) 6. Dance Of The Mountain King's Daughter
(00:19:29) 7. Peer Gynt Hunted By The Trolls
(00:22:52) 8. Åse's Death
(00:26:42) 9. Morning Mood
(00:30:56) 10. The Thief & The Receiver
(00:32:16) 11. Arabian Dance
(00:37:09) 12. Anitra's Dance
(00:40:50) 13. Peer Gynt's Serenade
(00:44:00) 14. Solveig's Song
(00:49:01) 15. Peer Gynt At The Statue Of Memnon
(00:51:08) 16. Peer Gynt's Homecoming
(00:53:27) 17. Shipwreck
(00:55:08) 18. Solveig Sings In The Hut
(00:56:53) 19. Night Scene
(01:03:44) 20. Whitsun Hymn- Blessed Morn
(01:04:58) 21. Solveig's Cradle Song

Barbara Bonney, soprano
Marianne Eklöf, mezzosoprano
Urban Malmberg, bariton
Gösta Ohlin's Vocal Ensemble
Pro Musica Chamber Choir

Neeme Järvi
Gothenburg Symphony Orchestra
June, 1987


グリーグ 劇付随音楽「ペール・ギュント」全曲 ネーメ・ヤルヴィ/エーテボリ交響楽団:
ハルくんの音楽日記 2013年2月23日
http://harucla.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-9e14.html

フィンランドのシベリウスと並んで北欧を代表する作曲家といえば、ノルウェーのグリーグですね。シベリウスの音楽が「春が近づいてきた冬の終わり」だとすれば、グリーグの音楽は「冬の寒さが遠ざかってゆく早春」というイメージです。その温度感の差は、両国の気候そのものの違いでもあります。

そのグリーグの代表作の一つ、劇音楽「ペール・ギュント」については、以前「ペール・ギュント第1&第2組曲」の記事にしました。広く親しまれている組曲版で、ラシライネンとノルウェー放送響の素晴らしい演奏をご紹介しました。

ラシライネンの演奏が余りに素晴らしいので、これまで特に全曲盤を聴こうとも思わなかったのですが、ブログお友達のmorokomanさんから、全曲盤の素晴らしさを教えて頂いたこともあり、演奏の期待できそうなCDを入手しました。

ネーメ・ヤルヴィとエーテボリ交響楽団の演奏です。
この演奏は完全原典版として、グリーグが書いた全ての曲を網羅しています。

ネーメ・ヤルヴィ指揮エーテボリ交響楽団(1987年録音/グラモフォン盤)

この演奏には当然のことながら、オーケストラ以外に歌手や語り手、コーラスが大勢参加しています。

  バーバラ・ボニー(ソプラノ)
  ウルバン・マルムベルイ(バリトン)
  シェル・マグヌス・サンヴェー(テノール)
  ルート・テレフセン(語り)
  エスター・オーリン・ヴォーカル・アンサンブル
  プロ・ムジカ合唱団、といった面々です。
 
参考までに各曲のタイトルを記しておきます。

劇付随音楽「ペール・ギュント」全曲

1.婚礼の場にて(第1幕前奏曲)
2.ハリング(第2場と第3場)
3.スプリンガル(第3場)
4.花嫁略奪:イングリの愁訴(第2幕前奏曲)
5.ペール・ギュントと山羊追いの女達(第3場)
6.ペール・ギュントと緑衣の女(第5場への導入)
7.ペール「育ちの良さは馬具見りゃわかる」(第5場の結び)
8.ドヴレ山の魔王の宮殿にて(第6場の開始)
9.ドヴレ山の魔王の娘の踊り)(第6場)
10.ペールはトロルに追い回される(第6場)
11.ペール・ギュントとベイグ(第7場)
12.オーゼの死(第3幕前奏曲)
13.朝(第4幕前奏曲)
14.泥棒と盗品買い(第5場)
15.アラビアの踊り(第6場)
16.アニトラの踊り(第6場)
17.ペールのセレナーデ(第7場)
18.ペール・ギュントとアニトラ(第8場)
19.ソルヴェイグの歌(第10場)
20.ノムノン像の前のペール・ギュント(第11場への導入)
21.ペール・ギュントの帰郷:夕方の嵐の海(第5幕前奏曲)
22.難破(第1場と第2場の間)
23.小屋でソルヴェイグが歌っている(第5場)
24.夜の情景(第6場)
25.ペンテコステ讃美歌「祝福の朝なり」(第10場)
26.ソルヴェイグの子守歌(第10場)

通常演奏される組曲版では、当然ストーリーの展開とは無関係に曲が入れ替わっています。コンサートで演奏される場合には何ら問題は有りません。但し、少しでもストーリーの展開を意識して聴こうとすれば、どうしても全曲版となります。

全曲版は、CD2枚分のおよそ85分にも及ぶ、短いオペラ並みの規模になります。全ての曲が格別の名曲だとは言えないかもしれませんが、それは大抵のオペラ作品の場合に当てはまることです。それよりも、歌が加わることにより、歌無しの組曲版とは大きく印象が異なってきます。歌やコーラスの役割がとても重要となります。たとえば、第8曲「山の魔王の宮殿にて」では、トロル(怪物)たちがペールを「殺せ!殺せ!」と荒々しく叫びながら歌うのが、管弦楽だけのときよりも遥かに不気味な雰囲気になっています。第16曲「アニトラの踊り」も歌とコーラスが入ったおかげで非常に魅惑的な曲に成りました。それ以外にも有名な「ソルヴェイグの歌」や終曲の「ソルヴェイグの子守歌」など美しい歌曲が多く含まれています。

それと、楽器で面白いのは第2曲「ハリング」ではノルウェーの民族楽器ハーディング・フェーレ(またはハリング・フェーレ)というヴァイオリンの仲間が使用されていることです。アイリッシュ・フィドルによく似た音で、北欧を感じさせてくれて楽しいです。

この演奏では、セリフ部分を歌手とは別の専門の語り手が担当しています。それほど違和感は有りませんし、むしろ迫真のセリフのやりとりが演劇性を高めていて良いです。

この全曲版を聴いていると、まるでオペラを聴いているように思えてきます。それに、ストーリー自体が元々破天荒ですので、ファンタジー冒険映画を見ているような気にもなります。この「ペール・ギュント」が舞台化や映画化されたら絶対に面白いと思うのですがね。

指揮者のネーメ・ヤルヴィは、シベリウスなどの北欧ものが大の得意ですし、グリーグの音楽への共感が強く感じられます。程よくドラマティックでありながらも決して大げさにはならず、「オーゼの死」などでは、静寂の中から哀しみを滲み出させていて感動的です。

確かに全曲版をこのような素晴らしい演奏で聴いてしまうと、管弦楽版には物足りなさを感じてしまい、中々後戻りできないかもしれません。


コメント

今回は「冷水」のグリーグですね。(笑)
確かに 雪溶け水が流れ出しているような 爽やかな音がぴったりくるように思います。
「ペール・ギュント」全曲板、私も このN・ヤルヴィ盤を聴いてきました。ヤルヴィの共感に満ちた演奏も素晴らしいですが、ソプラノのボニーの可憐な歌声がまた 良いですね。「ソルヴェイグの歌」から 讃美歌をへて 「子守歌」を歌う、最後のシーンは感動的です。
このCDだけで十分 満足ですが、 私は もう一組、ルード/ベルゲン・フィル という 真正ノルウェーの演奏のCDを聴いています。これは SACDなので オススメはできませんが ヤルヴィ盤より味わいが濃く、これも素晴らしい演奏です。ソプラノの ソルベルグの歌はボニーの"可憐さ"に対して より"母性"を感じさせ、最後の場面も より味わい深いです。
投稿: ヨシツグカ | 2013年2月23日 (土) 15時02分



こうしたジャンルは付帯音楽というのでしょうか、現代ではゲームの音楽なんかも強いて言えばそういう分野になるのかなと思います。最近はポップでも電子音楽でも非常に優秀な人がいますね。
私は全曲を通して聴いたことがありませんが、「朝」は小学校の朝礼でかかってました。「オーゼの死」はブラームスのラプソディ1番に似てますね。そういう妙なところだけはしっかり覚えているのですが。。。。しょうもないことですみません。
投稿: NY | 2013年2月23日 (土) 19時22分


ペールは全曲盤は聴いた事ないけど、この記事を読んだら聴かなきゃ損々…って気になりましたね。ペールのハチャメチャぶりに男性は呆れるのか憧れるのか?
今日はチェリストの新倉瞳ちゃんのコンサートに行ったんです。 スッゴク可愛い〜!写真より実物の方がもっとずっと可愛い〜♪ それに控えめな性格らしく、今まだまだ勉強の途中の身なのに、こうしてソロコンサートに呼んで頂いて嬉しい有難いとお話されてました。声がまた可愛い〜の。丸顔だけど身体つきは華奢で守ってあげたくなっちゃうだろうな、男性なら。
桐朋を主席卒業した実力派で若手注目株だし、才色兼備ってやつですね。今日の演奏でシューベルトのアルペジョーネ・ソナタが特に良かったです。これからどんどん経験を積んで、もっともっと良い演奏家になって欲しいですね。いや〜、それにしても可愛いかった☆☆☆
投稿: from Seiko | 2013年2月23日 (土) 19時50分



ヨシツグカさん、こんばんは。
何と言ってもベルゲンはグリーグの住んでいた街ですし、ベルゲンフィルは良い音を出しますよね。ルードも管弦楽曲全集を出しているぐらいですから、きっと良いでしょうね。
ありがとうございます。とても参考になりました、
投稿: ハルくん | 2013年2月24日 (日) 00時07分


NYさん、こんばんは。
正確には劇付帯音楽とか劇付随音楽でしょうかね。せっかくですので訂正しておきます。ありがとうございました。
でも「オーゼの死」はブラームスのラプソディ1番に似ているところ有りましたっけ?
投稿: ハルくん | 2013年2月24日 (日) 00時12分


Seikoさん、こんばんは。
さすがにペールのハチャメチャぶりに憧れるということは有りませんね。呆れるほうだなぁ。
やっぱり女性を悲しませてはいけませんよー。
新倉瞳ちゃんのコンサート良かったですね!
それほど可愛いとあっては是非とも実物を見てみたいものです。日本ではコンサートをよく開いているのでしょうか?
投稿: ハルくん | 2013年2月24日 (日) 00時28分


morokomanです。(^^)
おおっ今回はペール・ギュント全曲版ですね。(^o^)

>シベリウスの音楽が「春が近づいてきた冬の終わり」だとすれば、グリーグの音楽は「冬の寒さが遠ざかってゆく早春」というイメージです。

言い得て妙ですね。シベリウスの方が気温が低い感じがしますし。また、グリーグの音楽の方が爽やかさがありますしね。澄みきってはいるけれども、ぬくもりが感じられる優しい風がふいているのがグリーグですね。

>morokomanさんから、全曲盤の素晴らしさを教えて頂いたこともあり、

いえいえ、お言葉はありがたいのですが……(冷や汗)、自分が聴いたのはバルビローリ盤、ビーチャム盤、ノイマン盤です。ハルくん様ご紹介のヤルヴィ盤のように、劇全体を再現したような盤ではありません。「音楽だけ」を取り出した盤を三種類聴いた、というわけですね。
まだヤルヴィ盤は持っていないのです。お金が欲しいよう……(嘆き)。ヤルヴィ/イェーテボリ響は北欧音楽の定番とも言える名コンビ。一定の水準は確実にキープしていますから、とても期待できそうですね。

>それと、楽器で面白いのは第2曲「ハリング」ではノルウェーの民族楽器ハーディング・フェーレ(またはハリング・フェーレ)というヴァイオリンの仲間が使用されていることです。アイリッシュ・フィドルによく似た音で、北欧を感じさせてくれて楽しいです。

グリーグの作品にはこの「ハーディング・フェーレ」を思わせる奏法が、ヴァイオリンないしヴィオラで「ここぞ!!!」という時に、ほぼ確実に出てきます。それがものすごく効果的で、私などいつもここで感激してしまいます。弦楽四重奏曲などその最たるものですね。
あれ? 曲目を見ると、バルビローリ盤ではあった「序曲」がありませんね。もしかすると第1曲目の「婚礼の場にて」がそれにあたるのでしょうか? バルビ盤「序曲」では中間部でヴィオラの独奏が出てきて、私はものすごく感激したものですが。もしそうだったら嬉しいのですが、違っていたとしたら、あれはバルビローリ盤にしかない、貴重な音楽なのかもしれません。なんとなく「婚礼の場」=他盤の「ノルウェーの結婚行進曲」のような雰囲気が漂い、不安なのですが……。あの「序曲」が聴きたいです。
いまバルビローリ盤も、ビーチャム盤も、私の「大災難」の時に失われ、持っていないのです。バルビローリ盤はなんとか取り戻したいものです。(大泣き)
あと、ヤルヴィ盤も聴いてみたいなぁ。お金に都合がつけばの話なのですが……。図書館の係りの方が、購入してくれないかなぁ。(涙)
投稿: morokoman | 2013年2月24日 (日) 21時56分



morokomanさん、こんばんは。
先の「組曲」へのコメントを頂いたおかげで全曲版の購入を決心しましたので、とても感謝しています。
ヤルヴィ盤での第1曲は「婚礼の場にて」と記載がありますが、おっしゃられる「序曲」と同じ曲でしょうね。中間でヴィオラ独奏も有りますよ。
投稿: ハルくん | 2013年2月24日 (日) 22時17分


>ヤルヴィ盤での第1曲は「婚礼の場にて」と記載がありますが、おっしゃられる「序曲」と同じ曲でしょうね。中間でヴィオラ独奏も有りますよ。

おおっそうなのですか〜。(^O^)
なぜかバルビローリ盤にしかありませんでしたからね。ビーチャム盤にもノイマン盤にもなかったので「なんで?」と思っておりました。ヤルヴィ盤にあったのは嬉しい限りです。
バルビ盤で初めて「序曲」を聴いた時には、中間のヴィオラ独奏が、まるでノルウェーのフィヨルドや嶮峻な山岳にこだまするかのように聴こえたのです。「おおっ。これぞノルウェーの音!」などと感激したものです。
また、ヴィオラの独奏を聴いたのは、これが初めてでしたので、その時はとても新鮮でした。
呼吸が深く、心が休まる、どこか安心&安定した音がヴィオラの魅力ですね。
そうそう、ヴィオラと言えばプリムローズの『ブラームス ヴィオラ・ソナタ』を入手しました。時々聴いております。いずれ感想を書きにお邪魔いたします。(^_^)
投稿: morokoman | 2013年2月25日 (月) 21時25分



プリムローズのブラームス/ヴィオラ・ソナタを入手されたのですね。何と言っても名曲中の名曲です。
ご感想を楽しみにお待ちしております。
投稿: ハルくん | 2013年2月26日 (火) 00時06分



オーゼの死は最初の主題がブラームスのラプソディー1番のニ短調の部分に似てるかなと。。。空耳?
最近ご紹介のヴァイオリンソナタも私は知りませんでした。今度ぜひ聴いてみます。グリーグはピアノ曲がいまひとつもの足りない感じがしますが、抒情小曲集は日本人にも人気が高いですね。
投稿: NY | 2013年3月 1日 (金) 19時38分


NYさん、こんにちは。
ニ短調の部分ですか?うーん僕の耳が節穴なのかも・・・。よく聴き直してみますね。
グリーグのピアノ小品はどれも物足りない感じがしますが、そこがまた良さなのでしょうね。リラックスして聴いていられます。
ヴァイオリン・ソナタのほうは音に変化が感じられるので面白いと思っています。
投稿: ハルくん | 2013年3月 2日 (土) 09時09分


この盤、噂だけで実際に聴いてないんですよ〜、やっぱり入手したいな。
つまらないことを書きます。今回の病気で最初に受診したのはお盆明けでした。職場に戻れたのが3月。「夏は過ぎて秋過ぎて、冬も過ぎて春来たる♪」ペールを待つソルヴェイグの歌のような気分です。グリークいいなあ。
投稿: かげっち | 2013年3月 4日 (月) 12時36分


かげっちさん、こちらへもコメントありがとうございます。
ヤルヴィの全曲盤イイですよ。是非入手されてください。
ボニーの歌う「ソルヴェイグの歌」がまた素晴らしいです。
投稿: ハルくん | 2013年3月 4日 (月) 22時51分


「ペール・ギュント」全曲はブロムシュテット指揮サンフランシスコ響のCD(デッカ盤)を持っていますが、やはり北欧のオケで聴いてみたいと常に思っています。
ネーメ・ヤルヴィ指揮エーテボリ交響楽団には「ペール・ギュント」全曲も収録されているグリーグの管弦楽曲集のアルバムがあるので、今、狙っています。
投稿: オペラファン | 2013年3月 5日 (火) 14時43分


オペラファンさん、こんばんは。
ブロムシュテットとサンフランシスコ響のコンビはシベリウスを聴きましたが、これがアメリカの西海岸のオケかと驚くほどに北欧的な音を出していました。
ヤルヴィのグリーグも素晴らしいので、管弦楽曲集のアルバムを求めるのは良い選択かもしれませんね。
投稿: ハルくん | 2013年3月 5日 (火) 23時39分
http://harucla.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-9e14.html
3. 中川隆[-13005] koaQ7Jey 2020年3月06日 08:50:59 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[529] 報告

メンゲルベルク

Grieg “Peer Gynt Suite No 1” Willem Mengelberg, 1943





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