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尾高忠明さん、初期の前立腺がん 7月中旬に復帰予定 放射線治療に専念 がんの放射線治療──その3 放射性ヨウ素内用療法 
http://www.asyura2.com/19/genpatu51/msg/345.html
投稿者 うまき 日時 2019 年 4 月 10 日 17:33:19: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

尾高忠明さん、初期の前立腺がん 7月中旬に復帰予定 放射線治療に専念
社会
2019/4/10 17:04
保存 共有 印刷 その他
指揮者の尾高忠明さん(71)が初期の前立腺がんと診断され、治療のため活動を休止すると、所属事務所が10日までに発表した。7月中旬以降に復帰する予定という。

事務所によると、尾高さんは5月中旬から7月中旬まで休み、放射線治療に専念する。

尾高さんは、大阪フィルハーモニー交響楽団音楽監督や札幌交響楽団名誉音楽監督、NHK交響楽団正指揮者などを務めている。〔共同〕
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43569260Q9A410C1CR8000/


がんの放射線治療──その3 放射性ヨウ素内用療法

福島第一原発の事故により、野菜や水道水に放射性ヨウ素(I-131)が検出され、大きな話題となりました。原発から大気中に放出されたI-131が、風に乗って各地に運ばれ、さらに雨と一緒に、畑や河川に降ったことが原因です。

I-131による「内部被ばく」で、がん、とくに甲状腺のがんが増えるのではないかという無用の懸念も広がりました。

たしかに、チェルノブイリでは、住民の避難や食品規制の乱れなど、不適切な対応があり、小児の甲状腺がんが増加しました。これまでの原発事故で、がんの増加が認められた唯一の例が、この甲状腺がんです。(放射性ヨウ素について4/8まとめも参照ください)

しかし、逆に、同じI-131が甲状腺がんの治療に利用されることもあります。私たちのチームでも、I-131を使った甲状腺がんの治療を年間、60-70名ほどの患者さんに行っています。

私たちのカラダは、おもに、水素、炭素、窒素、酸素といった“軽め”の元素からできています。原子番号で言えば、水素=1、炭素=6、窒素=7、酸素=8といった具合です。この点、ヨウ素は例外で、原子番号=53と、“重い”元素です。そして、体内にはほとんど存在しません(成人でわずか15-20mg)。

人間のカラダのほとんどの細胞は、ヨウ素を利用することはありませんが、甲状腺の細胞だけは、甲状腺ホルモンの合成のためにヨウ素を必要とします。

この甲状腺ホルモンは、細胞の代謝を促進します。車にたとえると、アクセルの役割を果たすホルモンで、進化的にみても、魚類以降のすべての脊椎動物に欠かせないものです。ちなみに、オタマジャクシからカエルへの“変態”を起こさせるのも、甲状腺ホルモンです。

甲状腺ホルモンの分子を1つ作るのに、3個もしくは4個のヨード原子が必要です。甲状腺の細胞は、ヨウ素を取り込み・貯蔵する機能を持っているのです。甲状腺の細胞だけがヨウ素を細胞内に取り入れるという性質を、がん治療に応用したものが「放射性ヨウ素内用療法」です。

なにやら、難しそうな治療ですが、実は非常に単純で、I-131を小さなカプセルに入れて、患者さんに口から飲んでもらうというものです。

元素は、“放射性”であろうとなかろうと、生体内の振る舞いなど、物質としての性質は変わりません。甲状腺細胞にとっては、I-131と通常のヨウ素(I-127)を区別はできないため、I-131を投与すると、通常のヨウ素と同じように、甲状腺細胞に取り込まれることになります。

どの臓器のがんでも言えることですが、がん細胞は、自分が生まれた臓器の細胞としての性質を受け継いでいます。甲状腺がんの細胞は、正常の甲状腺細胞から発生しますから、もともとの性質、つまり、ヨウ素を細胞内に取り込むという性質を持っています。投与されたI-131は、甲状腺のがん細胞内にも蓄積されることになります。

しかし、“甲状腺出身”だといっても、甲状腺がんの細胞は、甲状腺の正常細胞ほど、“本来の”機能を保持してはいません。日本生まれでも、長く海外で暮らすと日本語が下手になるようなものです。

甲状腺がんの他に、正常な甲状腺の組織が残っていると、投与されたI-131の大半が、甲状腺細胞に取り込まれてしまい、がん細胞への蓄積が見られず、“抗がん効果”も期待できません。このため、放射性ヨウ素内用療法は、手術で甲状腺を“全摘”した患者さんが対象となります。また、I-131のカプセルを飲む前に、海藻などの摂取をひかえる「ヨウ素制限」を行います。甲状腺がんの細胞が、ヨウ素に“飢えた“状態にしておくためです。

この3月後半に、メディアなどで、「安定化ヨウ素」が話題になりましたが、これは、放射線を出さないヨウ素(I-127)を製剤化したもので、甲状腺細胞を“満腹”にしておき、I-131を取り込まないようにする「被ばく予防法」です。

I-131は、主に、飛程(注1)が数ミリの「ベータ線」(ウィキペディアリンク)を放出します。I-131が、甲状腺がんの細胞に取り込まれれば、がん細胞だけが、“選択的に”、かつ、“内部から”攻撃を受けることになります。甲状腺がんだけを“ピンポイント”に照射できるのです。
注1: 飛程とは、ベータ線が物質(ここでは甲状腺)にぶつかってから、完全に停止するまでの距離のことです。I-131(放射性ヨウ素131)から出るベータ線の場合、その飛程は約2mmです。

I-131によって、小児の甲状腺がんが増え、同じI-131でその甲状腺がんを治療することもあるわけです。なんだか、考えさせられます。

また、I-131内用療法は甲状腺がんの他に、バセドウ病(甲状腺機能亢進症〔こうじょうせん・きのう・こうしんしょう〕)の治療にも使用されます。バセドウ病は、甲状腺細胞の働きが活発になりすぎて、甲状腺ホルモンが必要以上に産生されておこる病気です。

バセドウ病では、内科的治療(注2)が、まず行われますが、うまくいかない場合、I-131を甲状腺細胞に取り込ませて適度のダメージをあたえ、作られるホルモンの量を調整するか、手術で甲状腺を切除します。日本では、手術されるケースの方が多いのですが、海外では、I-131内用療法の方が一般的です。
注2: 内科的治療では、メルカゾールなどの抗甲状腺剤を併用します。1か月くらいで自覚症状は良くなりますが、長期間継続して服用する必要があります。白血球の数が低下するなどの副作用で服用を続けられない場合もあります。

なお、I-131内用療法で使われる放射線の量ですが、甲状腺がんの治療では、3.7〜7.4 GBq(1 GBq=1,000,000,000 Bq=10億Bq)を投与しています。これは、福島第一原発で問題となっている、I-131の飲料水1kgの暫定規制値300 Bqと比べて1千万~2千万倍に相当します。(水の量で言えば、1万~2万トン!)バセドウ病でも、甲状腺がんの10分の1くらいの放射線量を使います。

ちなみに、甲状腺がんやバセドウ病のI-131内用療法による長期的な副作用を心配される方もいるかもしれません。がんの治療では、まずは、“今そこにある病気”の治療が最優先されます。しかし、バセドウ病は、“良性疾患”で、治療後も、長生きされる患者さんが多いため、I-131による“2次発がん”の危険性が危惧(きぐ)されてきました。

しかし、これまでのデータでは、I-131内用療法後の追跡調査で、奇形児が生まれる頻度は一般人と同じであることが確認されています。また、各種発がんの頻度もほとんど増加しない(増加したとしてごくわずか)と報告されています。(注3)
注3: JAMA. 1998 Jul 22-29;280(4):347-55.
https://tnakagawa.exblog.jp/15314393/

 


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放射線治療の種類と方法
更新・確認日:2018年07月10日 [ 履歴 ]
1.放射線治療の種類  2.放射線治療で使われる放射線  3.治療の方法:外部照射  4.治療の方法:内部照射  5.先進医療などの研究段階の医療として行われている放射線治療 

1.放射線治療の種類
放射線治療は、体の外から放射線をあてる「外部照射」と、体の内側から、がんやその周辺に放射線をあてる「内部照射」に分けられます。外部照射と内部照射を組み合わせて行うこともあります。

実際にどのような治療を行うかは、患者さんの状況に応じて、担当医や放射線腫瘍医が判断します。治療の目的や実際に行われる方法、予想される副作用などもさまざまです。どのような治療法があるか、治療の目的や方法、副作用への対処法などについて、担当医や放射線腫瘍医によく聞いておきましょう。

放射線治療は、原則的に、標準治療として公的保険の範囲内で行われます。標準治療とは、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示されたものです。

以下に代表的な照射方法と、公的保険の可能性のあるがんについて示します。
これらは、個別の状況に関する医学的判断を目的としたものではありません。ご自身の治療方法については、担当の医師や放射線技師にお尋ねください。
表1 放射線の種類と公的医療保険の適用がなされる照射方法(2018年4月現在)
放射線の種類 照射方法の名 公的医療保険が適用されるがん種※1



射 電子線 一般的な高エネルギー放射線治療 限定なし※2
X線
三次元原体照射 限定なし※2
強度変調放射線治療(IMRT) 【保険適用の可能性あり】※3
固形がん
画像誘導放射線治療(IGRT) 限定なし※2
定位放射線治療(SRT)
定位手術的照射(SRS) リニアックによるもの:限定なし※2
サイバーナイフ:限定なし※2
γ(ガンマ)線 ガンマナイフ:
【保険適用の可能性あり】 ※3
脳腫瘍、脳転移のあるがん
動静脈奇形や三叉神経痛のなどの良性疾患も保険適応あり
陽子線 重粒子線 粒子線治療 陽子線治療 【保険適用の可能性あり】※3
小児の限局性の固形悪性腫瘍、骨軟部腫瘍、頭頚部悪性腫瘍(口腔・咽喉頭の扁平上皮がんを除く)、前立腺がん
重粒子線治療 【保険適用の可能性あり】※3
骨軟部腫瘍、頭頚部悪性腫瘍(口腔・咽喉頭の扁平上皮がんを除く)、前立腺がん



射 密封小線源治療 X線、
β(ベータ)線、
γ(ガンマ)線 など 組織内照射 【保険適用の可能性あり】※3
前立腺がん、舌その他の口腔がん、皮膚がん、乳がんなど
γ(ガンマ)線 腔内照射 【保険適用の可能性あり】※3
子宮腔、腟腔、口腔、食道、気管支、直腸などのがん
非密封放射性
同位元素
による治療 α(アルファ)線、
β(ベータ)線、
γ(ガンマ)線 など 内用療法 【保険適用の可能性あり】※3
甲状腺がん、悪性リンパ腫、骨転移を伴うがん
※1 診療報酬早見表 2018年4月版 [医科] 医学通信社 より作成
※2 条件によっては適用の例外となることがあります。
※3 【保険適用の可能性あり】とは、当該がん種のうち、特定の医学的状況において、公的医療保険適用の可能性があるものをあらわします。当該がん種であっても、適用にならない場合があります。
それぞれの照射方法については「3.治療の方法:外部照射」「4.治療の方法:内部照射」をご参照ください。

先進医療などの研究段階の放射線治療については、「5.先進医療などの研究段階の医療として行われている放射線治療」をご参照ください。
2.放射線治療で使われる放射線
1)放射線の種類
放射線とは、空間や物質中を波の形や粒子でエネルギーを伝播(でんぱ)するものを総称する言葉です。放射線は、電磁波と粒子線の2種類に大きく分けられます。電磁波には、X線、γ(ガンマ)線などが含まれます。粒子線は、原子を構成する粒子がいろいろな速度で飛んでくるものです。α(アルファ)線、電子線、陽子線、炭素を代表とする粒子線、中性子線などがあります。
図5 放射線の種類

2)放射線治療で用いられる単位
放射線治療を受ける際の説明で、Gy(グレイ)という言葉が出てくるかもしれません。このGy(グレイ)という単位は、吸収線量といわれ、放射線が物質(人体も含む)にあたったときにどれくらいのエネルギーが吸収されたかを表す単位です。

また、Sv(シーベルト)という単位もあります。こちらは実効線量といわれ、放射線防護や被曝などを検討する際に使われます。放射線が人間にあたったときにどれだけ健康被害があるかを評価するために使う単位です。放射線の種類や人体の部位によって、計算式から求められます。

X線、γ(ガンマ)線、電子線では、おおむねGy(グレイ)=Sv(シーベルト)です。
Bq(ベクレル)という単位は、放射能(放射線を発する能力)の量を表します。
表2 放射線治療で用いられる単位
単位 説明
Gy(グレイ) 放射線が物質(人体も含む)にあたったときにどれくらいのエネルギーが吸収されたかを表す単位。
Sv(シーベルト) 放射線が人間にあたったときにどれだけ健康被害があるかを評価するために使う単位。
Bq(ベクレル) 放射能(放射線を発する能力)の量を表す単位。
3.治療の方法:外部照射
現在がんの治療でもっとも多く使われている放射線治療は、外部照射です。外部照射では、がんの病巣に対して、体の外から皮膚を通して放射線を照射します。表1にあるように、使用する放射線、装置、方法によりいくつかの種類があります。中でも高エネルギーのX線を照射する方法がもっとも多く行われています。

放射線をどのように照射するかは、放射線治療計画装置(専用コンピュータ)を使って、綿密に計画されます。がんを有効に治療しながら、一方では周辺の正常組織にできるだけ影響を及ぼさないように配慮がされます。治療装置の進歩により、今日では、さまざまな方向から高速に照射することが可能になってきました。
1)一般的な高エネルギー放射線治療
高エネルギーのX線を発生させる装置を、リニアック(直線加速器)といいます。別名、高エネルギー放射線治療装置ともいいます。この装置から発生する電子線やX線を、多方向から正確に照射します。病状や治療目的により、放射線腫瘍医が治療方法や回数を決めます。治療は通常、月曜日から金曜日までの週5日間、数週間かけて実施します。このようにすることで、がん細胞を死滅させるのに十分な放射線量を照射し、一方で正常な細胞には、回復するための時間を毎日与えることができます。
2)三次元原体照射(3D-CRT:Three Dimensional Conformal Radiation Therapy)
三次元原体照射(3D-CRT)は、最初に、コンピュータとCT、MRI、PETなどの画像を使って、がんの大きさや形、部位を特定し、がんと周囲組織を立体的に再現します。その上で、治療装置を回転させながら、がんの大きさと形状に合わせて正確に放射線を照射します。正常組織への影響がなるべく少なくなるように工夫されており、現在、多くの病院でこの方法が用いられています。
3)強度変調放射線治療(IMRT:Intensity Modulated Radiation Therapy)
IMRTとは、放射線治療計画装置(専用コンピュータ)による最適化計算により、がん組織には高い放射線量を与え、さらに隣接する正常組織には放射線量を低く抑えることを可能にした治療方法です。マルチリーフコリメータ(MLC: Multi Leaf Collimator)と呼ばれる照射する範囲を調整する装置を用いて(図6)、がんに対して理想的な放射線量で多方向から放射線を照射することにより、がんの形状に一致した部分へ集中性の高い線量を照射します(図7)。
このIMRTを、回転させながら行う強度変調回転放射線治療(VMAT:Volumetric Modulated Arc Therapy)という方法もあります。
また、IMRTに特化した専用の放射線治療装置として、トモセラピー(Tomo Therapy)があります。
図6 マルチリーフコリメータ(MLC)

図7 強度変調放射線治療(IMRT)の照射イメージ

【強度変調回転放射線治療(VMAT)について、さらに詳しく】
【トモセラピー(Tomo Therapy)について、さらに詳しく】
4)定位放射線治療(SRT: Stereotactic Radiation Therapy)
定位放射線治療(SRT)とは、病巣に対し多方向から放射線を集中させる方法です。定位照射、ピンポイント照射とも呼ばれます。通常の放射線治療と比較し、周囲の正常組織にあたる線量を極力減少させることが可能です。1回照射で終わる場合を特別に定位放射線手術(SRS: Stereotactic Radiosurgery)といい、小さな病巣に有効な治療法です。

定位放射線治療で用いられる装置の1つとして、ガンマナイフがあります。ガンマナイフとは、多数のコバルト線源をヘルメット状の照射ヘッドに対して半球状に配置した放射線照射装置で、ピンポイント照射の一種です。各コバルト線源から放出されるγ(ガンマ)線がヘルメット内の小さな穴を通過することでペンシル状のビームとなり、小さな領域に集まるように設計されています。このようにして、多方向から一点に高線量の放射線を集中させることができます(図8)。
図8 ガンマナイフにおける照射の仕組み

ガンマナイフは、主に、動静脈奇形、聴神経鞘腫(ちょうしんけいしょうしゅ)をはじめとする脳内の小さな良性病変の治療において、優れた成績をあげています。また、転移性脳腫瘍に対しても利用されます。必要に応じて、リニアックによる全脳照射との組み合わせが検討されます。
また、リニアックを用いても、架台や治療ベッドの回転を組み合わせて放射線を照射することにより、ガンマナイフと同等の放射線集中効果を得ることができます。リニアックを用いた定位的放射線治療がガンマナイフと異なる点は、分割照射が容易に行える点にあります。最近では、小型のリニアックを搭載した定位照射に特化した装置も普及し始めました。その1つが、サイバーナイフ(Cyber Knife)です。
【サイバーナイフについて、さらに詳しく】
5)粒子線治療(陽子線治療・重粒子線治療)
粒子線治療とは、陽子や重粒子(炭素イオン)などの粒子放射線のビームを病巣に照射する放射線治療法の総称です。X線による一般的な治療に比して、よりがん病巣に合わせて放射線を照射できる利点があります。現在医療で実施されているのは、陽子線治療、重粒子線治療(炭素線)のみとなります。

通常の放射線治療で用いられるX線の外照射では、体の表面近くで線量が最大となり、それ以降は体内に入るに従って吸収される放射線量が徐々に減少します。このことから、一方向からの照射では、深いところにあるがん病巣に十分なダメージを与えようとすると、がん病巣より浅いところにある正常細胞により大きなダメージを与えることになります。これを避けるために、多方向から弱い線量をがん病巣にあて、周囲の正常な細胞にあたる量を減らし、がん病巣の線量が高くなるように照射する技術が開発されています。

これに対して、陽子線は、体内に入っても表面近くではエネルギーを放出せず、停止する直前にエネルギーを放出して大きな線量を組織に与える性質があります。これを発見者の名をとって「ブラッグ・ピーク」と呼びます。病巣の深さや大きさに合わせて、このピークの深さや幅を調整することで、病巣のみに効率よく線量を集中し、正常組織への線量を少なくします。
なお、実際のがん病巣は深さ方向に厚みがあります。そのため、粒子線をがん病巣に一様に照射するために、ブラッグ・ピークを重ね合わせて深さ方向の線量分布が一様な領域を形成するように照射します。このように、一様に広げられたビームの形を拡大ブラッグ・ピーク(SOBP: Spread-Out Bragg Peak)と呼びます(図11)。
図11 拡大ブラッグ・ピーク(SOBP)

陽子線治療では、陽子(水素原子の原子核であり、正の電荷を持つもの)を体内に照射します。これらはX線やγ(ガンマ)線と比べて、放射線をあてるところ、あてないところが正確に区分けできるため、副作用が少ない特徴があります。

陽子線・重粒子線治療のうち、保険が適用される可能性があるものを、「表1 放射線の種類と公的医療保険の適用がなされる照射方法(2018年4月現在)」に示しました。

それ以外に、陽子線・重粒子線治療は、先進医療として行われているものもあります。一般に、保険が適用される医療以外の陽子線・重粒子線治療の部分は自己負担が必要です。

陽子線・重粒子線治療については、「5.先進医療などの研究段階の医療として行われている放射線治療」もご参照ください。
6)画像誘導放射線治療(IGRT: Image-Guided Radiotherapy)
IGRTとは、治療の方法そのものではなく、放射線をより正確に照射するための補助技術です。
【IGRTについて、さらに詳しく】
4.治療の方法:内部照射
内部照射として分類されるものには、一般的に、密封小線源治療、非密封の放射線同位元素を用いた治療があります。
1)密封小線源治療(組織内照射、腔内照射)
密封小線源治療には、組織内照射、腔内照射があります。組織内照射では、放射性同位元素(コバルト60、セシウム137、イリジウム192、金198など)を管、針、ワイヤー、粒状などの形状となった容器に密封して、がん組織やその周囲組織に直接挿入します。
腔内照射では、小線源治療装置(RALS)を利用します。子宮などの腔内にあらかじめ細い管(カテーテル)を配置し、その管を通して放射線源を送り込むことで治療します。
【密封小線源治療について、さらに詳しく】
2)非密封の放射線同位元素を用いた治療(内用療法)
非密封の放射性同位元素(アイソトープ)を経口薬や静脈注射によって体内に取り込む内用療法もあります。
【内用療法について、さらに詳しく】
5.先進医療などの研究段階の医療として行われている放射線治療
陽子線治療、重粒子線治療などの粒子線治療は、公的保険適用となるがん以外でも、先進医療として検討が進められています。現在開発中であり、臨床試験として実施されている放射線治療について以下に記載します。

●研究段階の放射線治療(代表的なもの)
• 陽子線治療※
• 重粒子線治療※
• ホウ素中性子捕獲療法 (BNCT: Boron Neutron Capture Therapy):中性子線治療は、外部放射線治療の特殊なものです。従来のX線による放射線治療では治療効果が期待されない種類のがん治療に使われます。中性子線は他の放射線と比較して細胞に対する生物学的作用が強く、注意して使えば大きな利点となります。一方で、中性子は正常組織への影響も強いため、治療には注意が求められます。現在、中性子の効果を増大させる作用のある薬剤との組み合わせを利用して、一部の施設において、脳腫瘍、皮膚がんなどに対するホウ素中性子捕獲療法の研究が進められています。
※ 一部のがん種については保険が適用されます。詳しくは、「表1 放射線の種類と公的医療保険の適用がなされる照射方法(2018年4月現在)」をご参照ください。

先進医療は、新しい医療を評価するために、厚生労働大臣が特別に定めた公的医療保険が適用されない医療で、先進医療制度として、保険診療との併用が認められています。この場合、保険が適用される医療以外は、自己負担が必要です。
状況によって異なりますが、一般的には、治療費全体で300万円前後となります。先進医療は、国が定めた一定の条件を備えた医療機関でのみ実施が認められています。すべてのがんに適応できるものではなく、患者さん個別の状況に合わせて、医師の判断が必要になります。
現在行われている先進医療については、「がんの臨床試験を探す 先進医療A,B」をご参照ください。

また、臨床研究として、新しい治療法の有効性を調べる目的で行われている治療もあります。
臨床試験について詳しくは、「研究段階の医療(臨床試験、治験など) 基礎知識」をご参照ください。

これらについてもっと知りたいときは、担当医もしくはがん相談支援センターにご相談ください。

がん相談支援センターについては、「がんの相談窓口『がん相談支援センター』」をご参照ください。

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コメント
1. 2019年4月11日 00:29:09 : qW5770aSac : ZHBpTDdEcXlON1U=[216] 報告
治療に利用されているからヨウ素131は恐がることはないと言いたいのだろうが、
投与後は数日間、鉛で遮蔽した隔離室に患者を閉じ込めなければならないほど
強い放射線を放つことを説明しなければ片手落ちだ。

唾液腺、消化管障害、骨髄障害、不妊、肺線維症、そして膀胱がんなどの
二次発がんの危険性もある。

他に選択肢がないからこの療法が行われるわけで、健常者がこの療法を受けたら
まちがいなく甲状腺がんになるだろう。

安全だというのなら、自分でもヨウ素131のカプセルを飲んでみたらよろしい。

「甲状腺がんの放射性ヨウ素内用療法が恐ろしい 
数千メガベクレルのヨウ素131を投与 放射線を発する患者を数日間隔離」
http://www.asyura2.com/17/genpatu49/msg/449.html

2. 2019年4月11日 13:16:59 : YvHedX7u92 : TG9LWWUyYUs5ams=[1] 報告
前立腺癌も膀胱癌も、チェルノブイリ原発事故では、増加した。

>  2011年 03月 29日 ブログ team_nakagawa 誕生!

2011.3.29@team_nakagawa / 東大病院放射線治療チーム(中川恵一)

https://tnakagawa.exblog.jp/15106466/

> ついにあの中川恵一准教授も膀胱がんに 原因は内部被ばくだろう 

http://www.asyura2.com/18/genpatu50/msg/737.html

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