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LIXIL内紛、大波乱の瀬戸氏勝利の舞台裏…「株主総会=会社側有利」の崩壊(Business Journal)
http://www.asyura2.com/19/hasan132/msg/683.html
投稿者 赤かぶ 日時 2019 年 6 月 29 日 00:52:30: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

LIXIL内紛、大波乱の瀬戸氏勝利の舞台裏…「株主総会=会社側有利」の崩壊
https://biz-journal.jp/2019/06/post_106446.html
2019.06.28 文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント Business Journal


LIXIL前CEOの瀬戸欣哉氏(写真:日刊現代/アフロ)


 注目されていたLIXILグループ(以下、LIXIL)の株主総会が6月25日に行われた。復帰なるか、世間の耳目を集めていた瀬戸欣哉前CEO(最高経営責任者)は取締役に選任されただけでなく、総会後の取締役会でCEOに選任され、同社経営のトップに返り咲いた。

 私は本連載記事などで、「創業家で元CEOの潮田洋一郎氏による瀬戸氏のCEO解任が不当だったところにコトの発端があるのだから、瀬戸氏のCEO復帰が正道だ」と主張してきた(『LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない』)。

 瀬戸氏復帰までの紆余曲折を振り返ると、大企業における株主総会での機関投資家といわれる大株主たちの意思決定に、大きな変化があったことが観察される。そして今回のこの変化は、機関投資家の投票行動が今後変わっていくきっかけとなる可能性がある。

■異例のマークシート方式個別選出

 今回の株主総会には、会社側から提案されていた取締役候補8名(以下、「会社側」)と、瀬戸氏を盟主とした株主提案による取締役候補の8名(以下、「瀬戸氏側」)の計16名が、候補として挙げられていた。LIXILの取締役の定員は16名だったので、両陣営の全員が選出される可能性もあった。

 総会後の取締役会で選出されるCEO候補として、会社側は三浦善司リコー元社長、瀬戸氏側は同氏を提示していた。

 取締役選出の総会議案としては、LIXILは16名の候補を3つの議案に分けて決議事項としていた。第1号議案には8名の会社側候補、第2号議案には会社側と瀬戸氏側両方から候補とされた2名、そして第3号議案には瀬戸氏側の6名である。第2号議案の2名の方たちは瀬戸氏側候補との認識を示していたので、第1号議案候補8名が会社側、第2号議案の2名と第3号議案の6名の計8名が瀬戸氏側8名と、拮抗していた状況だったのである。

 株主総会では、議案ごとに採決が取られるのが通常だ。よって、上記3つの議案は個別に採決が取られるものと思われていた。つまり8名、2名、6名がそれぞれグループとしてまとまって採決されると見られていた。

 ところが今回の株主総会では、前代未聞のマークシート方式による選任投票が採用された。すなわち、16名の候補に対して、株主は一名ずつ賛否のチェックをすることとなったのである。

 その結果、第1号議案に含まれていた2人の候補、福原賢一氏(前ベネッセホールディングスCEO)と竹内洋氏(前日本政策投資銀行常務)が落選したのである。会社側の候補で当選したのが6名、瀬戸氏側候補は第2号議案の2名も含めて8名全員が当選して6対8となり、雌雄が決せられた。

■皮肉な役回り、投資助言会社

 大手企業の株主総会で取締役選出を個別投票のマークシート方式で行うなど、およそ聞いたことがない。16名候補全員への持ち株数当たりの投票数を個別に集計するために休憩時間が取られ、それがさらに延長されるなど、今回の総会は5時間近くにわたる長時間となった。

 このような異例な方式の採用に至った経緯として、議決権行使助言会社の存在があった。世界で2大議決権行使助言会社として知られているのが、米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)と米グラス・ルイスである。取締役選出で2陣営が対決する構図となった今回の株主総会での投票について、どのような助言が出るか、総会の前に注目を集めていた。

 世間の耳目を集めていた案件だけに2大助言会社も慎重になったのか、予定より遅く6月12日になって「推奨リポート」をそれぞれが発表した。それによると、2社とも瀬戸氏側候補の第3号議案へは反対を推奨した(グラス・ルイスは濱口大輔氏<前企業年金連合会運用執行理事>だけには賛成投票を勧めた)。

 第2号議案(会社側、瀬戸氏側が共に候補とした2名)については両社とも賛成投票を勧めた。会社側提案の第1号議案については、両社とも賛成投票を勧めたのだが、ISSはこの中で前出の福原氏と竹内氏だけには反対投票を勧めた。両氏は結果として選出されなかった。

 2大助言会社の推奨リポートは概ねでは共通していた。それは、「会社側候補を推奨、瀬戸氏側候補に反対」というものである。本記事では両リポートが掲げていた理由は省略する。今となっては「詮無いこと」だからだ。

 ただ、第1号議案と第3号議案で個別の候補について上述した異なった見解を示した。このような推奨に対応した投票をするとしたら、3議案を分割して、個人投票にまで降りていくしかないのだ。

 今回の総会には特に世間の注目が集まっていたので、LIXILとしても透明性のある投票方法を考えるしかなかったのだろう。総会が近くなり、瀬戸氏側が東京証券取引所に総会での投票立会を求めたことも、うまい圧力となったと思う。

 議決権行使助言会社が行った助言には、株主たちの投票に反映された部分とそうでない部分が出た。

 個別投票となり、最も得票率が高かったのが第2号議案の2名で、それぞれ94%強を獲得した。この2名は瀬戸氏側候補と自認していたが会社側も候補としていたので、両方から支持が集まった。

 それ以外の全候補のなかで最も得票率が高かったのが濱口大輔氏で、64%強を獲得した。これは、グラス・ルイスが「瀬戸氏側候補のなかで唯一、濱口氏を推奨する」としたことの影響とみられる。ちなみに、当選した他の全候補とも得票率は50%前半で、全員が辛うじての当選となっていた。

 落選した2候補はISSが「反対投票」を推奨した結果だ。2社が推奨した「瀬戸氏側候補への全体としての反対投票」は効を奏さなかった、ということが重要だ。

 結果として、瀬戸氏側候補の選出数が会社側候補の数を上回り、瀬戸氏側に勝利をもたらしたことになる。2大助言会社の推奨は「骨」のところで反対の結果となったことになる。

 繰り返すが、3つの議案ごとだけでの投票だったとしたら、会社側2人の落選はなかったと思われる。そうすると、瀬戸氏側が全員当選したとしても、8対8の同数となり、総会後の取締役会でCEO選出をめぐり大いにもめることとなっただろう。

■会社提案が精査選別される時代の幕開けか

 LIXILの株式で、機関投資家の持ち分は約30%弱だ。機関投資家は基本的にスチュワードシップにより、議決権行使助言会社の意見を参考にしなければならないとされている。そして、個別の議決案件への投票について開示しなければならない。

 このような縛りのなかで、米インダス・キャピタル・パートナーズや英マラソン・アセット・マネジメントなどの機関投資家は総会の事前に瀬戸氏側への支持と投票を明らかにしていた。さらに、助言会社が推奨しなかった瀬戸氏側候補が全員選出されたということは、LIXIL全株式の約40%を占める海外株主を含めて、個人株主などが雪崩を打って瀬戸氏のカムバックに票を投じたということだ。

 株主総会で会社側提案が実質的に否決されることは珍しいことだし、LIXILのような大会社では稀有の出来事となった。

 私は、今回の事例によって議決権行使助言会社からの助言の関与度が下がってくるとは見ていない。むしろ、助言会社の助言がこれほどまでに注目されたことはなかったし、これを機会に機関投資家はいっそう慎重に助言会社の推奨リポートを参照する度合いが高まっていくと見ている。

 その上で、機関投資家も個人投資家も、これからは会社側提案を簡単に鵜呑みにして白紙委任状を出す率が下がっていく方向に進んでいくのではないか。

 いわゆる「シャンシャン総会」の比率が下がっていき、総会で議決議題について会社側と株主側の真剣な討議を交わしていく傾向となる。その結果、株主総会の開催時間は長くなるだろう。特に総会の前年度で大きな経営課題をさらけ出した会社ほど、厳しい株主総会に直面することを覚悟しなければならない。

 考えてみれば、その方向は健全な株主資本主義の現出ともいえる。後世になって、今年のLIXIL株主総会は「株主総会のあり方」の大きなターニングポイントだったと振り返られるかもしれない。

(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)




 

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コメント
1. 2019年6月29日 00:55:11 : vnUxfbHXEY : eU9GNkMwZXpEdDI=[224] 報告
株価が急騰したが。
2. 2019年6月29日 17:44:44 : lSEfXrG9vc : a1U4YXBaNDNxS28=[86] 報告

なかなか複雑な会社のようですな。

オーナー企業のようだが、会社はM&Aで大きくなったような特徴も見られる。

「プロ経営者」という言い回しは耳障りだが、多分M&Aを指しているのだろう。

しかも結構目まぐるしいので商社/証券/銀行出身でないと無理ということか。

生え抜きが社長に成るのは難しそうだが、皮肉なことに潮田洋一郎が生え抜き社長で

ある。

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