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米金利上昇でドル高・円安というのは市場の投機的な動きであり、長期的なトレンドを形成するものではない
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1239.html
投稿者 中川隆 日時 2021 年 10 月 31 日 11:16:33: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 橋洋一 金融業界の話に要注意!実は簡単な為替の話 投稿者 中川隆 日時 2021 年 3 月 29 日 20:53:54)

米金利上昇でドル高・円安というのは市場の投機的な動きであり、長期的なトレンドを形成するものではない

今の円安は危険、日本円からの逃避で国力低下?1970年代の貧しさに逆戻り
https://biz-journal.jp/2021/10/post_259823.html
2021.10.30 05:50 文=加谷珪一/経済評論家 Business Journal


 為替市場で円安が進んでいる。米国の金利上昇やインフレ懸念を背景とした動きであり、本来なら円高になってもおかしくない。一般的に円安は日本経済にとってプラスとされるが、今回の円安が日本円からの逃避の始まりだとすると、話は単純ではない。

■米国の金利上昇でドル高という違和感

 このところ外国為替市場で円安ドル高が進んでいる。9月まで1ドル=110円前後だったドル円相場は、あっという間に値を上げ、10月に入って1ドル=114円を突破した。米国で金利上昇が進んだことからドルが買われたとの解釈が一般的だが、「どうも釈然としない」という感想を持った人は多いだろう。

 日本では、米国の金利が上昇すると米ドルでの運用が有利になるので、ドルが買われ円が売られるという説明をよく耳にする。だが名目金利の差で為替が動くというのはごく限られた条件下における現象でしかなく、一般論とまではいえない。むしろ過去の値動きを長期的に分析すれば、基本的に為替レートというのは購買力平価に沿って動くので、金利の上昇やそれに伴うインフレはむしろ通貨価値を毀損する(つまり米国の金利が上昇すればドル安になる)。ニクソンショック以降の現実のドル円相場についても、米国の金利上昇とインフレによるドルの下落でほとんどすべての説明が付く。

 ある国の名目金利が上昇することで通貨高になるというのは、両国のファンダメンタルズがほぼ同じ状態で、何らかの理由で金利に差が付いた時などに発生しやすい。ただファンダメンタルがほぼ同じであれば、原理的に金利に大きな差が付くことはないので、ある程度時間が経過すると元の状態に戻る。米金利上昇で円安というのは、こうした動きを見越した市場の投機的な動きであり、長期的なトレンドを形成するものではないと考えたほうがよい。

 セオリーに沿って考えた場合、米国で金利が上がりインフレ懸念が台頭している場合、ドルの価値は下がる可能性が高く、逆に景気が順調に拡大して物価と金利が上がるならドルは買われる。

 現時点ではインフレが何をもたらすのか完全に予想できない状況にある。米バイデン政権はコロナ対策とAI(人工知能)や再生可能エネルギーなど次世代投資を兼ねた巨額財政出動を計画しており、米国経済の成長加速を期待する声がある。

 米国経済が順調に成長すれば当然、金利も上昇し、物価も順当に上がるので、インフレは進むものの、経済に悪い影響は与えない。これは良いインフレであり、むしろドルの評価につながるだろう。米国での投資機会を求めて多くの資金が集まるのでドル高になっても何ら不思議はない。

■コストプッシュ・インフレがスタグフレーションを誘発?

 一方で、現在進行中のインフレは資源価格・資材価格の高騰によるコストプッシュ・インフレなので、経済に対して逆効果という見方もある。昨年10月時点で1バレル=40ドル前後だった原油価格は80ドルを突破しており、1年で約2倍になった。このほか金属類や半導体など、あらゆる資源や原材料が値上がりしており、各国企業はコスト対策に苦慮している。

 資源価格が急騰しているのは、コロナ後の景気回復期待が高まり、企業の先行投資が増えたことが原因だが、背景にはもっと複雑な事情がある。

 これまでの世界経済はグローバル化によるビジネス市場の統合が進み、各企業は全世界を網羅する広範囲なサプライチェーンを構築していた。だが、こうした巨大なサプライチェーンは新型コロナウイルスなど感染症に対して脆弱であり、コロナ危機発生から2年が経過した今でも物流の混乱が続いている。

 各企業は巨大過ぎるサプライチェーンをリスク要因と見なし始めたことに加え、米中対立の激化で世界経済のブロック化が急激に進み始めた。今後は近隣エリアからの調達が増えるのは確実であり、こうした動きは全世界的な供給制限につながる。つまり、各国で資材の争奪戦が始まっており、この動きは今後の長期的なトレンドになる可能性が高まっているのだ。

 もしこの動きが本物であれば、典型的なコストプッシュ・インフレになるため、景気にはむしろ逆効果となり、場合によってはスタグフレーション(不景気下のインフレ)に陥る可能性もある。もし市場が世界経済のブロック化を予想しているのであれば、世界中に拡散していたドル資金は米国に戻ってくるだろう。インフレによる通貨価値の毀損リスクがあっても、ポジションの縮小を優先するため、やはりドル高が進むというシナリオも考えられる。

 今回のドル高(円安)がこうした動きを背景としたものだった場合、世界的な為替市場における円の役割は大きく後退せざるを得ない。ドル資金の一時的な受け皿という役割を失えば、円の需要は大きく減少するため、円安が進むことになる。

 日本の経常収支の変化もこの動きを後押ししている。戦後の日本経済は輸出による貿易黒字が経常収支の源泉となっており、資本蓄積が進んだ後は、投資の運用益(所得収支)もこれに加わる形になった。特に貿易黒字の場合、外貨を受け取った日本企業はドルを日本円に変える必要があるため、恒常的にドル売り円買いの実需が存在した。ところが近年は輸出競争力の低下で貿易黒字が減少している。しかも、投資収益の場合、獲得した利益を日本には戻さず再投資するケースが多いため、円買いの需要が発生しないのだ。

■日本はすでに1970年代の貧しさ

 日本円は国際金融システムの中で相応の地位を保ってきたが、それは日本が世界第2位の経済大国だった時代が長く続き、しかも米国への輸出によって大量のドルを受け取るという特殊な地位がそうさせてきた面が大きい。世界経済のブロック化が進み、米国、欧州、中国という経済圏に集約された場合、日本は望むと望まざるとにかかわらず、アジア地域の周辺国にならざるを得ない。

 そうなれば、従来、日本円が国際金融市場で持っていたプレゼンスは維持されなくなるだろう。

 為替というのは、完全に市場メカニズムで動いておりメジャーな通貨であるほど、取引条件は有利になる。マイナーな通貨に転落した場合、売り買いの価格差(スプレッド)が大きくなってコストが増えることに加え、取引量も減るので、ちょっとした要因で為替レートが動いてしまう。

 これまではドルが売られた場合、日本円には受け皿としての役割があったが、こうしたニーズがなくなれば、単純に日本経済の実状に合わせて円が売り買いされる。そうなると現時点での為替レートが今後も維持される保証はまったくない。

 日本円の為替レートはしばらく安定的な状態が続いていた。だが為替レートが変化しなくても、海外の物価が上昇すれば、それは円安になったことと同じ効果をもたらす。日本経済は過去30年間でほとんど成長できず、物価や賃金も横ばいだったが、諸外国は同じ期間で経済規模を1.5倍から2倍に拡大させ、賃金や物価も上昇が続いてきた。

 海外の物価が上がれば、為替が変わらなくても日本が輸入する商品の価格は値上がりする。製品価格に転嫁できないメーカーは、内容量を減らして価格を維持するという、いわゆるステルス値上げを実施してきたものの、それも限界に達しつつある。ここで日本の国力低下に伴う円安が本格化した場合、ただでさえ上昇していた輸入物価がさらに上がり、日本人の実質的な購買力が一気に低下してしまう。

 諸外国との賃金差などから計算すると、現時点において日本はすでに1970年代の水準に逆戻りしており、もう一段の円安が進めば、さらに昔の貧しい時代に近づくことになる。


●加谷珪一/経済評論家

1969年宮城県仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。著書に著書に『貧乏国ニッポン』(幻冬舎新書)、『億万長者への道は経済学に書いてある』(クロスメディア・パブリッシング)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)、『ポスト新産業革命』(CCCメディアハウス)、『教養として身につけたい戦争と経済の本質』(総合法令出版)、『中国経済の属国ニッポン、マスコミが言わない隣国の支配戦略』(幻冬舎新書)などがある。  

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コメント
1. 中川隆[-13823] koaQ7Jey 2022年2月07日 10:20:04 : oCqatUkqPM : VzByNlhuRTcyRkE=[32] 報告
長期金利とテーパリングの関係
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1097.html
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1127.html

単なる景気後退なら長短金利差はゼロになるが、スタグフレーションなら長短金利差はマイナスとなる
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1484.html

金利上昇で下落するハイテク株、上昇する金融株
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1237.html

金利が上昇すると特に成長株の株価が下がる
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1451.html

米金利上昇でドル高・円安というのは市場の投機的な動きであり、長期的なトレンドを形成するものではない
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1239.html

2. 中川隆[-13699] koaQ7Jey 2022年2月15日 06:52:50 : fvnlMKxPsg : WVlkWEV0U2ZXYi4=[1] 報告
2022年ドル円の推移予想: インフレによるドル高は持続せずドル円暴落へ
2022年2月14日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/19896


アメリカの物価高騰で中央銀行は利上げと量的引き締めに動いており、株式市場が荒れており、一方で金属や農作物などのコモディティはむしろ好調だということを報じてきた。

世界同時株安でもコモディティが下落していない理由

ここでは債券市場についても書いている。しかし長らく語っていないもう1つの市場がある。為替市場である。

株安でもドル高

アメリカでは物価が高騰している。日本の3倍以上の規模で行われた現金給付と、原油や天然ガスへの資金供給を強制的に停止する脱炭素政策のためである。

1969年の米国で6%のインフレを抑えるためにどれだけの利上げが必要だったか
サマーズ氏: エネルギー価格を高騰させる脱炭素政策は健全ではない


結果、Fed(連邦準備制度)のパウエル議長がインフレ退治のために利上げと量的引き締めに動くことを余儀なくされている。

アメリカ、2018年の株価暴落を引き起こした量的引き締めを発表


これはこれまで低金利で上がってきた株式市場には大きな逆風であり、米国の主要株価指数であるS&P 500は辛うじて踏み止まっているものの、米国の小型株指数Russell 2000や日本株などは先に下落を始めている。ここではRussell 2000のチャートを挙げておこう。


この動きは2018年の世界同時株安の時と同じ下落順序で、今回もそうなるだろうということを事前に書いておいた。

2018年の世界同時株安では何から順番に暴落したかを振り返る


しかし株価が下落する中でドル円が下落していないということに気付いた読者も居るのではないか? ドル円は以下のように推移している。


ドルは下落しないのか

株安にもかかわらずドルが下落しないかむしろ上がっている短期的な理由は米国の金融引き締めである。ドルの金利が上がればドルを保有したい人が増えるので、アメリカが金融引き締めをする限りドルには上昇圧力になるのである。

だが考えてほしいのだが、アメリカが利上げをしなければならない理由はアメリカ自身のインフレである。そしてインフレとはものの値段がドル建てで上がることであり、逆に言えばドルの価値がものに対して下がることである。

アメリカは現在年間7.5%のインフレとなっている。逆に言えばその分ドル紙幣の価値が下がったということである。そして円はと言えば、以下の記事で書いた理由により欧米よりもインフレは緩やかである。つまり、円の減価はドルの減価より少ない。

世界最大のヘッジファンド: 何故日本円は暴落しないのか?


仮に、インフレでも金融引き締めをする限りはドルが上がり続けると仮定すると、国内でどれだけドルが紙切れになっても為替相場だけはドル安にならないという奇妙な結論に行き着く。

これは起こり得ない。アメリカ人は最終的には国内で紙切れになったドルを他の通貨に両替しようとし、それが為替相場でドルの売り圧力になるからである。

だから奇妙なことだが、インフレは利上げを通して短期的にはドルの上昇要因になり、しかし長期的には間違いなく下落要因になる。この短期トレンドと長期トレンドのねじれが今の状況を生んでいる。そしてこのトレンドは必ず反転する。

ドル下落のタイミングはいつか

株安が始まっているがドルが下落しない。この状況は、以前からの読者であれば覚えがあるはずである。前回の金融引き締めで株価が暴落した2018年の世界同時株安である。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)
当時の米国株のチャートをまず掲載しよう。


下落が開始したのは10月である。そしてドル円はどうなっているか?


ドル円の下落は株価の下落より遅れているのである。

何故か? 当時の記事を思い出してもらいたい。ドル円の下落開始は12月20日(米国時間)である。そして12月20日(日本時間)の記事に筆者は次のように書いている。

12月FOMC会合結果は空売り派への満額回答
株の空売りは十分に成功しており、筆者は次のシナリオに注目している。

株価の暴落を止める手段がアメリカの金融引き締めの停止および金融緩和だけであるとすれば、ドルが下落するのは必然であると言える。

つまり、ドルの下落するタイミングは、金融引き締めによる市場経済へのダメージが大きくなり、中央銀行に引き締めの手を緩めさせるところまで達したタイミングだったということである。

結論

2018年の状況については説明した。一方で、今の状況はもう少し複雑である。

まず金融引き締めによる株価暴落は既定路線だが、今回は物価が高騰しているため、株価が暴落してもインフレが止まらなければ中央銀行は引き締めを止められない。これはドル安のタイミングを遅れさせる可能性がある。

一方でインフレ自体は2018年にはなかったドル安要因である。しかしどちらにしても、ドル下落のタイミングは株価暴落が本格化してから中央銀行が引き締めを撤回せざるを得なくなるまでの何処かで起こることになるだろう。

2022年の株式市場はインフレと金融引き締めで暴落する

そしてドルの売り方にとっての朗報は、それまでドルが上がることがあっても、2018年にそうであったように上値は限られているということである。

いずれにしても株価もドルも暴落する。一番ダメージを食らうのは、為替ヘッジなしで米国株を買っている日本の投資家である。株安とドル安を両方食らってしまう。筆者は米国株の下落幅を1970年代のインフレ期と同じ60%にもなりうると考えているから、それにドル安まで加われば米国株は本当に紙切れになる。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/19896

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