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外国人労働者の増加が実質賃金低下を招いた
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/245.html
投稿者 中川隆 日時 2020 年 7 月 24 日 17:46:17: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 日本の出生率はアジアの中でトップクラスの高さを誇る出産大国になっていた 投稿者 中川隆 日時 2020 年 5 月 22 日 09:35:59)


2020年07月24日
外国人労働者の増加が実質賃金低下を招いた


人手不足と言いながら外国人が確保できるから企業は給料を上げなかった
php
引用:http://txbiz.tv-tokyo.co.jp/getchapter_ajax.php?chapter_id=66696

外国人労働者の増加が招くもの

コロナ以前は東京や大阪はどこを見ても外国人観光客で溢れていたが、外国人労働者も多かった。

観光客はすぐ帰国するが労働者はずっと居住するので、一時点に滞在する人数としては労働者のほうが多い。

コンビニ店員が外国人は普通だったし、牛丼屋では客と店員全員が外国人という場合もあった。


建設現場や内装工事なんかでも、よく見るとアジア系の人達という事が多い。

外国人労働者は2016年10月に初めて100万人を超えて108万人になり、2019年まで増加していた。

国別では中国が約34万人、ベトナム約17万人、フィリピン約12万人と3カ国で6割超を占めた。


数値は事業主から届け出のあったものだけで、届出が無いものや不法就労は含まれていない。

体感的にはこの数倍も居るような気がするがかなりの地域差があり、首都圏や近畿、中部、九州北部などの都市部で非常に多い。

2013年から2019年頃まで人手不足が続き、企業は外国人労働者で足りない人手を補っていた。

アベノミクスで株価とGDPが上昇したのに給料は増えず物価も上がらなかったが、外国人労働者が一役買っていました。

安倍首相夫婦の残念な考え方

一体どうして景気が良いのに(彼らはそう言っている)賃金と物価が上がらなかったのか、官僚たちは頭を抱えた。

一般人から眺めると賃金が上がらない理由は明白で「外国人労働者が労働力を供給しているから」です。

資本主義の労働市場では労働者が不足すると、企業は賃金を上げて労働力を確保しようとするので賃金が上昇します。


ところがここに外国人労働者100万人が現われて「テイチンギンデモ、イイデス」と働き出したら、企業は賃金を上げるのを辞めてしまいます。


さらに悪いのは安倍政権が進めた「女性が輝く社会」という意味不明の計画で、女性労働者を増やし続けています。

この政策は80年も続いていて、今や日本女性の就労率はアメリカや欧州平均より高くなっています。


政府は高齢者の就労も促進していて、毎年何十万人も新たな就労者が増えています。

女性が働く事はもう一つの社会問題である少子化の原因にもなっていて、安倍首相は女性全員が働くべきだという奇妙な考えを持っている。

女性全員が就労したら誰が子供を生んで育てるのか?試験管で培養して水槽や動物園で育てるのか?実に奇妙です。


安倍首相夫婦には子供が居ないからか、誰が子供を生んでどうやって育てるのかというのが、この夫婦には分かっていない気がします。


「保育園落ちた日本しね」というのがありましたが、もともと保育園の数は釣り合っていたのに「女性が輝く政策」のせいで短期間に不足しました。

出産や育児を放棄するとどうして女性が輝くのか、さっぱり理解できません。

不要になった外国人労働者は逮捕するのか

外国人労働者についても「移民政策はとらない」と言いながら外国人労働者をどんどん増やしました。

だがコロナショックで外国人労働者が用済みになったら、一転して追い出したり入国規制しています。

それも人権無視の酷い話であり、外国人労働者が必要な時は受け入れて、不要になった時に追い出した。


労働者が不足していた時は「外国人労働者を増やそう」という議論ばかりしたが、不況になったら一転して「出て行け」となる。

実はこのパターンは1990年ごろのバブル期に外国人労働者を大量に受け入れて、バブル崩壊で追い出した再現です。


外国人留学生は本来、日本で就学する人が学費を得るために労働を許可しているが、現実は100%労働目的で就学は隠れ蓑です。


企業は中国やベトナム、フィリピンで労働者を募集し、適当な日本語学校や専門学校に入学させて来日させた。

するとそれを仲介する労働ブローカーも現われ、闇世界で外国人労働者を斡旋し日本に連れてくる。

これもバブル期に一度起きていた事で、タコ部屋で働かせた末に、バブル崩壊後は犯罪者として追い返しました。


酷いのはこうした外国人労働者の「輸入」が日本経済に役立つどころか、賃金上昇を妨げてデフレの元凶になっている。

外国人労働者が輸入できるので、企業は口では人手不足と言いながらブラック労働を続けさせ給料は上げず、余剰金を数百兆円もプールしている。

労働生産性の向上やIT化もさっぱり進まず、いかにして外国人や女性を低賃金で働かせるかに知恵を絞っている。
http://www.thutmosev.com/archives/71489950.html  

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コメント
1. 2020年8月07日 17:26:07 : hHZB9i4vVw : MUkzQ2pkOWZvWkU=[22] 報告

2020年08月07日
日本の女性就業率が限界に達する

女性を経済兵士にするため「働かない女性は地位が低い」と決めつけた。
その結果出生率が大きく落ち込んだ


女性の労働は地位向上の為ではなかった

意外な事だが女性の就労は女性の地位向上で始まったのでも、民主化によって起きたものでもなかった。

欧米では第一次大戦で男性が戦場に出かけたため、婦人の労働が推奨されたり、義務化されたりした。

日本では日中戦争から第二次大戦にかけて、やはり男性が戦場に出かけたので、女性の労働が義務化されました。

つまり戦争で勝つために生産力を上げるため女性を労働させたので。地位向上どころか戦争の道具でした。

戦争が終結しても女性の労働は奨励されたが、今度の理由は経済競争つまりソ連との冷戦に勝つためで、やはり女性の地位向上のためでは無かった。

冷戦は終わったがGDPを増やすためには、女性が家で家事をするより工場で働かせたほうが有利なので、やはり女性の労働が奨励された。

いずれの場合にも女性達を「その気」にさせるために、「労働をする事が女性の地位向上だ」という宣伝が行われた。

逆に言えば労働しない女性の地位は低いと決め付けられ、出産や子育てをする女性は国家によって底辺扱いされるようになった。

こうして戦後各国で女性の就業率は増え続けたが、7割前後で頭打ちになりつつある。


「働かない女性は地位が低い」と言ってきたが、それでも働かない女性が世の中に3割存在するという事です。

2015年の資料では25歳から54歳の日本女性の就業率は71.8%になっています。(全年齢ではもっと低い)

1位のスウェーデンが82.8%、アメリカ74.3%、フランス85%などは日本より高い。


女性労働者はもう増えない

だがEUの平均値はちょうど日本くらいであり、日本の就業率は限界に近づいているとする見方が多い。

なお女性の就業率は統計の取り方で大きく違うので、もっと多いという調査や、もっと少ない調査結果もある。

戦後ずっと上昇してきた日本の女性就業率も、アメリカ程度で頭打ちなのは異論がないと思うので、あと3%くらいで限界になる。


一般的に女性の就業率が非常に高い国では男性の就業率が低く、だれかが家事や育児をやるので自然にそうなる。


すると例えば日本女性の就業率を80%に上げても、その分男性の終業率が下がるので、労働者の人数はもう増えない。

就業率を上げることで日本の総生産(GDP)を拡大させようとする政策は、完全に終焉を迎えた。


日本政府は「働かない女は地位が低いんだぞ、さあ働け」と女性達を働かせてきたわけだが、GDPが増えたという話は聞かない。

女性労働者が増えた分、企業は男性の給料を下げたので、全体として日本人の総所得は増えず、消費も増えなかった。

不況(デフレ)時にこうした労働者増加政策を行ったら、却ってデフレが悪化するのだが、財務省と政府は理解していなかった。


不況で仕事がないのに労働者だけ増やしたら、さらに不況になるのは当たり前で、政府が土木工事でもやったほうがマシだった。
http://www.thutmosev.com/archives/71746724.html

2. 中川隆[-11379] koaQ7Jey 2020年9月13日 04:01:13 : ZWCOH21deo : YnNhVzlqWlpEZ28=[4] 報告
移民受け入れ日本の若者が不幸に?ドイツ、マレーシアの悲劇


3. 中川隆[-11043] koaQ7Jey 2020年10月04日 06:38:11 : 5azcZIYMDs : MmNSbGlKNzQyRS4=[3] 報告
2020年10月2日
開国政権7年間で100万人増加した外国人労働者
「開国政権」が開いた「移民国家」への扉(1)
出井康博 (ジャーナリスト)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/20887


 憲政史上最長の7年8カ月に及んだ第2次安倍晋三政権が9月16日、内閣総辞職によって幕を閉じた。東日本大震災の翌2012年に誕生し、「アベノミクス」で経済復興を目指した政権は、日本をどう変えたのか。

 安倍政権の下で急速に進んだのが、外国人労働者の受け入れだった。12年以降、日本で働く外国人の数は約100万人増加し、19年10月時点で約166万人まで膨らんでいる。肉体労働で顕著となった未曾有の人手不足を補うため、外国人労働者の受け入れが拡大されたからだ。

 増えた外国人は「労働者」だけではない。日本での「永住」の在留資格を持つ外国人も、12年末時点の約62万人から昨年末までに約79万人へと増加した。

 永住資格を得た「移民」に加え、「移民予備軍」の伸びも著しい。在留資格「技術・人文知識・国際業務」(通称:技人国ビザ)を有する外国人が増え続けているのだ。

 技人国ビザは、ホワイトカラーの仕事に就く外国人を対象に発給される。日本で就職する留学生の9割以上が取得するビザでもある。在留期限は1年から5年まで幅があるが、ひとたび取得すれば、失業しない限り更新は難しくない。つまり、日本で移民となる権利を得るに等しい。そのビザの取得者数は、12年末からの7年間で11万1994人から27万1999人と約2.4倍になった。


イメージ写真(yuriz/gettyimages)
史上類を見ない「開国政権」
 これらのデータからも、安倍政権は史上類を見ない「開国政権」だったと言える。そして「移民国家」への扉を開いたことでも、歴史に名を刻むかもしれない。

 外国人の受け入れは、日本という国のかたちを変えかねない重要なテーマである。しかし、安倍政権で起きた変化ついて、十分に理解している国民は多くない。本稿では、同政権が取った外国人労働者の受け入れ政策の実態について書いていく。その功罪を検証するとともに、安倍政権を引き継いだ菅義偉政権が取るべき政策についても考えていきたいと思う。

 外国人労働者を在留資格別に見ると、とりわけ「実習生」と「留学生」の急増ぶりが際立つ。実習生は12年末の15万1477人から19年末には41万972人、留学生も18万919人から34万5791人へと増えた。

 厚生労働省がまとめた2019年10月末時点の「外国人雇用状況」では、約32万人の留学生が「労働者」に含まれている。実習生と合わせると、外国人労働者全体の4割以上にも上るほどだ。

 留学生には「週28時間以内」でアルバイトが認められ、人手不足解消の貴重な戦力となっている。だが、留学生は本来、「労働者」とは呼べないはずだ。

 実習生の急増も人手不足の影響である。しかし、実習生受け入れの趣旨は、途上国への「技能移転」や「人材育成」だ。そもそも政府は、実習生を「人手不足解消の手段」とは認めていない。

 そんな留学生や実習生が急増し、さすがに政府も対応を迫られた。そこで安倍政権は、外国人労働者受け入れのため新たな在留資格を創設することになった。そして18年12月の国会で入管法を改正し、「特定技能」という資格がつくられた。

 この資格のもと、政府が「人手不足」を認めた介護や建設、農業など14業種で外国人労働者の受け入れが可能となった。いずれも実習生や留学生の労働力で、人手不足を凌いでいる業種である。

 業種ごとの受け入れ数に加え、当初の5年間で最大34万5000人という受け入れ数も決まった。日本人の労働市場に影響が及ばないよう配慮してのことだ。また、外国人の賃金は「日本人と同等以上」という条件に加え、「悪質ブローカーの排除」が趣旨に掲げられた。

 実習生の受け入れでは、送り出し国側における「悪質ブローカー」の存在が指摘されてきた。ブローカーが多額の手数料を徴収するため、実習生は多額の借金を背負い来日することになってしまう。

 実習生たちは日本で働いて借金を返済しようとするが、得られる賃金は手取りで月10万円少々に過ぎない。最低賃金レベルで雇用され、アパート代などが給与から引かれるからだ。そのため高い賃金を求め、職場から失踪して不法就労に走る者が後を絶たない。そんな問題を解決するため、特定技能では「悪質ブローカーの排除」や、「日本人と同等以上」の賃金の支払いが求められることになった。

 特定技能で定められた趣旨は素晴らしい。また、人手不足を公に認め、現実に即した制度をつくろうとしたのも安倍政権の功績と言える。

進まない特定技能の受け入れ
 だが、特定技能による外国人労働者の受け入れは、現在まで空振りに終わっている。制度開始から丸1年が経った今年3月末時点で、資格を得た外国人は3987人に過ぎない。初年度で見込んでいた4万5000人の受け入れの10分の1以下である。

 せっかく新在留資格をつくったというのに、なぜ受け入れは進まないのか。

 外国人が特定技能の資格を取得するには、日本語試験に加え、業種ごとに決められた技能試験に合格する必要がある。試験は日本国内と海外の両方で実施され、語学力では、日本語能力試験「N4」相当が求められる。

 N4は同試験の下から2ランク目で、初歩的な日本語レベルである。とはいえ、日本に全く馴染みのない外国人にとっては低いハードルではない。もちろん、賃金次第では外国人が日本語を勉強し、特定技能を取得するインセンティブにもなるだろう。だが、実習生と比べ、賃金が大きく上がる保証はない。実習生の賃金も「日本人と同等以上」と定められながら、実際には「最低賃金」が適用されているからだ。

 一方、日本で3年間働いた実習生に限っては、日本語と技能試験免除で特定技能の資格が取得できる。これまで資格を取得した3987人も、9割以上が実習生からの移行組だった。

 つまり、特定技能は、実習生が日本での就労を延長するための手段になっている。これでは政府が新規の外国人受け入れより、実習生を日本に引き留めるため、特定技能をつくったとも見られても仕方ない。

 実習生が特定技能に移行すれば、さらに5年の就労が認められる。また、日本での永住の道も開かれる可能性がある。優秀な人材が日本へ留まるのは、雇用する企業にとっては望ましい。しかし、実習生は日本で技能を習得し、母国へ戻って活躍してもらうべき存在だ。それを日本へ引き留めれば、実習制度の趣旨に反してしまう。

 いっそのこと実習制度を廃止し、外国人労働者の受け入れを一本化すればスッキリした。そもそも同制度には「悪質ブローカー」や「低賃金」以外にも、多くの問題が指摘されている。

実習生の斡旋に絡む「利権」
 「人材育成」といった趣旨は形骸化し、実際には人手不足解消の手段となって久しい。しかも実習生には、職場を変わる自由すら認められない。何から何まで、日本側に都合のよい仕組みなのだ。新聞やテレビでは実習生への人権侵害が頻繁に報じられ、米国務省に至っては「現代の奴隷制度」と批判する有り様である。にもかかわらず、制度は見直される気配はない。それは、なぜなのか。

 大きな原因が、実習生の斡旋に絡む「利権」である。中小企業や農家などが実習生を受け入れる場合、「監理団体」と呼ばれる仲介組織を通す必要がある。名前には公的なイメージがあるが、実態は人材斡旋業者と変わらない。しかも監理団体は、実習生1人の仲介につき、月3〜5万円程度の「監理費」を受け入れ先の企業などから徴収できる。ひとたび仲介してしまえば仕事は乏しく、実に旨味の大きなビジネスだ。実習生の賃金が安いのも、監理団体による「中抜き」が影響している。

 その監理団体の運営に、政界を引退したり、選挙に落選した政治家が関わるケースが目立つのだ。実習生の受け入れでは、ビザ関連のトラブルがつきまとう。その際、入管当局とのやりとりに「元政治家」の肩書きが威力を発揮する。

 もちろん、政治家が監理団体の運営に関与しても違法なことではない。だが、そうした政治の利権によって、実習制度は国内外から批判されながらも拡大を続けている。

 その問題に対し、安倍政権はメスを入れられなかった。結果、実習制度は温存され、特定技能による受け入れも増えない。

 さらにもう1つ、特定技能が盛り上げらない根本的な原因がある。外国人の出稼ぎ先としての日本の魅力が、急速に低下しているのだ。

4. 2020年10月04日 06:41:41 : 5azcZIYMDs : MmNSbGlKNzQyRS4=[4] 報告
2020年10月3日
「特定技能」外国人はなぜ増えないのか?
「開国政権」が開いた「移民国家」への扉(2)
出井康博 (ジャーナリスト)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/20888

 安倍政権は外国人労働者の受け入れ拡大のため、新たな在留資格「特定技能」を創設した。この資格を通じ、5年間で最大34万5000人の受け入れが見込まれていたが、導入から丸1年が経った今年3月時点で、資格を得た外国人は3987人に過ぎない。

 日本としては、人手不足解消のために外国人労働者を確保したい。一方、労働者を送り出す国、また人材にも、それぞれの事情や希望がある。そのギャップも、特定技能の受け入れが停滞する原因となっている。

 特定技能の送り出し国として最も期待されたのが「ベトナム」だった。ベトナムは、実習生全体の半数以上に相当する約22万人を送り出している。


イメージ写真(Tony Studio/gettyimages)
 そのベトナムでは、特定技能の資格取得のための試験が、いまだ実施されていない。「悪質ブローカーの排除」を求める日本側に、ベトナム政府がへそを曲げているからだ。

 実習生の送り出しに関し、「悪質ブローカー」が最も問題となってきたのもベトナムである。ベトナム政府は送り出し機関に対し、実習希望者から受け取る手数料の上限を「3600ドル」(約38万円)以下と定めている。しかし規定は全く守られておらず、日本円で100万円程度の手数料を取るような機関も少なくない。

 ベトナムの物価は日本の10分の1程度だ。ベトナム国民の過半数を占める農家の収入も、日本円でせいぜい月2万〜3万円に過ぎない。しかも日本での実習希望者は、ベトナムでも学歴がなく、貧しい層の若者が多い。結果、送り出し機関に支払う手数料は借金に頼ることになる。年収の数倍もの借金をしても、日本で働けば簡単に返済できると考えるのだ。

 この借金が、来日後の実習生たちの生活に大きく影響する。彼らが受け取る手取り賃金は月10万円少々で、しかも仕事は重労働である。手っ取り早く稼いで借金を返済しようと、職場から失踪し、不法就労に走る者が後を経たない。

 ベトナム政府が悪質ブローカーをしっかり取り締まれば、実習生が必要以上の借金を背負うこともなくなる。だが、取り締まりが厳しくなる気配はない。

 実習生の送り出しビジネスには、ベトナム政府の認可が必要だ。その認可を得た業者を日本側は「送り出し機関」と呼んでいるが、実際には人材派遣業者に他ならない。そうした送り出し機関の運営には、直接もしくは背後でベトナムの政府関係者が関わるケースがよくある。日本側で実習生を斡旋する「監理団体」の場合、政治家による関与が目立つ。それと似た状況と言える。

 しかもベトナムは、賄賂と汚職の蔓延る国だ。社会主義国であるため、とりわけ政府関係者の権限も強い。そのため関係者への賄賂が横行する。

 実習生から違法な手数料を徴収するような機関でも、政府関係者に金を渡せば、簡単に取り締まりを逃れられる。つまり、ベトナムのような新興国では、政府自体が「悪質ブローカー」の一部と化しているわけだ。

 実習生と同様、特定技能の送り出しも政府関係者には大きな利権となる。だから日本側が「悪質ブローカーの排除」を求めても、簡単には応じるわけにはいかない。

 特定技能の資格試験を実施されず、人材の送り出しが滞れば、困るのは日本側だ。そう足元を見透かし、日本に対して譲歩を迫ろうとしている。

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、特定技能や実習生など外国人労働者の受け入れは実質停止中だ。しかし、感染が収束して受け入れが再開すれば、ベトナムなどは送り出し利権の確保に努めるだろう。そこで日本が妥協してしまえば、せっかく安倍政権が掲げた「悪徳ブローカーの排除」という趣旨が反故にされ、実習制度の二の舞となりかねない。

 では、資格取得のための試験がベトナムで始まれば、来日する人材は増えるのか。

 特定技能での受け入れターゲットは、主に実習生や留学生として来日経験のある若者たちだ。筆者はかつての取材先で、現在はベトナムに帰国している数人に対し、再び日本で働く気があるかどうか尋ねてみた。だが、日本で再び出稼ぎを望む者は1人もいなかった。

 元実習生のベトナム人女性(20代)は、こんな本音を語ってくれた。

 「また、日本で働きたい気持ちはあります。でも、(特定技能で認められる5年間の就労期間を終えて)ベトナムに戻った後、何をするんですか?」

実習生のときと同じ
 「特定技能」という名前こそついているが、受け入れ対象となる仕事では、大した「技能」は求められない。また、長く働いたところで、母国に戻って活かせるスキルも身につかない。しかも日本にいる間に、外国人たちは年を重ねる。結婚年齢が日本人よりも総じて早いベトナム人には、日本で婚期を逃すことも不安なのである。

 特定技能の資格を得れば、日本で永住する道も開かれる。だが、筆者が取材してきたベトナム人たちには、日本での永住を望んでいる者はほとんどいなかった。

 ベトナムには賄賂と汚職が蔓延っていて、努力と実力次第で成功できるような環境はない。そんな社会や政府にうんざりしながらも、ベトナム人たちの祖国愛、そして何より家族の絆は強い。たとえ日本ほどには稼げなくても、母国で家族と一緒に暮らすことを望む者が多いのだ。それはベトナム人に限らず、アジア新興国出身者たちに共通して言える。

 元実習生の女性は、こうも話していた。

 「特定技能で日本へ行っても、実習生のときと同じような仕事しかできません。そんなことはもう嫌ですから」

 日本側の狙いが、底辺労働者の確保であることは外国人たちにバレている。だから日本へ再び出稼ぎに行くことに躊躇する。母国に戻って生活基盤を築けた者ほどそうである。

 2000年代まで、外国人労働者の最大の供給源は中国だった。しかし経済成長によって、日本への出稼ぎを希望する中国人は大幅に減った。

 同じことが、ベトナムなどの新興国でも起き始めている。もはやハノイやホーチミンのような大都市では、実習生や留学生として日本へ渡ろうとする者は多くない。経済成長によって現地の賃金が急上昇しているからだ。出稼ぎの希望者は、貧しい地方の若者たちが中心を占める。

急速に低下する日本の魅力
 アジア新興国の人々にとって、出稼ぎ先としての日本の魅力は急速に低下しつつある。そのことは「特定技能」と並んでもう1つ、安倍政権が創設した在留資格「介護」の現状を見ても明らかだ。

 介護は、人手不足が最も著しい職種での1つだ。実習や経済連携協定(EPA)など、複数のルートで外国人介護士の受け入れが試みられている。そこに2018年、安倍政権は新たに在留資格まで創設した。主に介護士養成校を卒業し、日本で働こうとする留学生を対象にした資格である。ただし、この資格を取得した外国人も昨年末時点でわずか592人と、特定技能と同じく増えていない。

 「介護」の在留資格を得れば、日本で期限なく働くことができる。言い換えれば、移民となる権利も得られるわけだ。それでも関心を示す外国人は多くない。特定技能の受け入れが進まない背景には、「日本の魅力低下」」という根本的な原因も存在している。

5. 2020年10月04日 06:42:59 : 5azcZIYMDs : MmNSbGlKNzQyRS4=[5] 報告
2020年10月4日
留学生30万人計画と成長戦略
「開国政権」が開いた「移民国家」への扉(3)
出井康博 (ジャーナリスト)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/20889


 安倍政権がアベノミクス「成長戦略」に掲げた「留学生30万人計画」は、不足する底辺労働者の受け入れ増加をもたらした。その経緯と手法について少し説明してみよう。


イメージ写真(Daviles/gettyimages)
 「30万人計画」は2008年、福田康夫政権によって策定された。当時、約12万人だった留学生の数を。20年までに2.5倍に増やそうという計画である。

 ちなみに、「30万人」という数字に大した根拠はない。参考にされたのが、同じ非英語圏の先進国、フランスだった。フランスでは当時、高等教育機関で学ぶ学生のうち留学生が12パーセントを占めていた。ならば日本も約300万人の学生の1割程度は留学生にしてはどうかと、「30万人」という数字がはじき出された。つまり、ほとんど思いつき程度なのである。

 しかし、「30万人計画」は思うように進まなかった。11年に福島第一原発事故が起きた頃から、留学生の数が減少に転じたのだ。留学生全体の6割を占めた中国人が、日本から去り始めたからである。単に原発事故による放射能の影響を恐れたからではない。この頃の中国人留学生には、「留学」を出稼ぎに利用していた者が多かった。そんな留学生たちが、中国経済の発展によって、日本へと出稼ぎにくる必要がなくなったのだ。

 そこに誕生したのが安倍政権だった。「30万人計画」は、13年に閣議決定されたアベノミクス「成長戦略」の1つに掲げられた。すると留学生の数も一気に増え始める。12年末には18万919人だった留学は、7年後の19年末までに34万5791人へと2倍近くにもなった。ベトナムなどアジア新興国から大量に留学生が受け入れられた結果である。そして「30万人計画」も、20年を待たずに達成された。

 いったいどうやって留学生を増やしたのか。

 留学ビザは本来、日本でアルバイトなしに留学生活を送れる経済力のある外国人にしか発給されない。ただし、この原則を守っていれば、アジア新興国の留学生は増えない。そのため政府は、原則を無視して留学ビザの大盤振る舞いを始めた。そのカラクリはこうだ。

 留学希望者はビザ申請時、親の年収や預金残高の記された証明書の提出が求められる。ビザの発給基準となる金額は明らかになっていないが、年収と預金残高それぞれ日本円で最低200万円は必要だ。新興国では、かなりの富裕層でなければクリアは難しい。そこで留学希望者は、留学斡旋業者経由で行政機関や銀行の担当者に賄賂を渡し、証明書を捏造する。捏造といっても、行政機関などが正式に発行した“本物”の証明書である。ただ、金額だけが、ビザを得られるようでっち上げられている。

 たとえば、ベトナムの貧しい田舎に暮らす農民の年収が「300万円」といった具合に、あり得ない額の数字が証明書に記されているのだ。日本側で証明書を審査する法務省入管当局や在外公館にすれば、捏造は簡単に見破れる。だが、いちいち問題にすれば、留学生は増やせず、「30万人計画」も達成できない。そのため捏造に目をつむり、留学ビザを発給し続けた。

 政治が数値目標を打ち出すと、現場の官僚たちが必死で達成に努める。その過程では、辻褄合わせのインチキも起きがちだ。「30万人計画」の達成過程では、まさにそんなことが現実となった。

 安倍政権誕生からの7年間で、ベトナム人留学生は9倍の約8万人、ネパール人も5倍の約3万人へと急増した。証明書の捏造が黙認された結果である。

 こうしたアジア新興国出身者には、かつての中国人留学生たちがそうだったように、出稼ぎ目的の留学生が数多く含まれる。留学生には「週28時間以内」でアルバイトが認められる。そこに目をつけ、留学を出稼ぎに利用するのだ。

 ただし、留学には費用がかかる。留学先となる日本語学校に支払う初年度の学費や留学斡旋業者への手数料などで、軽く100万円以上が必要だ。新興国の庶民には、自ら工面できる金額ではない。そこで留学希望者たちは費用を借金に頼る。日本で働けば、短期間で返済できると甘く考えるのだ。

 証明書を捏造してビザを取得し、出稼ぎ目的で多額の借金を背負い来日する留学生を、筆者は“偽装留学生”と呼んでいる。その数を特定するのは難しいが、安倍政権で増加した留学生の大部分は“偽装”である可能性が高い。

日本語学校も急増
 偽装留学生の恩恵を最も受けたのが日本語学校業界である。「30万人計画」のもと日本語学校の数は急増し、大学をも上回る800校近くにも膨らんでいる。

 人手不足の職種にも、低賃金の労働力が供給された。留学生のアルバイトといえば、コンビニや飲食チェーンの店頭で働く外国人を思い浮かべがちだ。しかし、それよりずっと多くの留学生たちは、私たちが普通に暮らしていれば気づかない場所で働いている。コンビニやスーパーで売られる弁当や惣菜の製造工場、宅配便の仕分け、ホテルの掃除などである。いずれも重労働で、日本語ができなくてもこなせる仕事ばかりだ。そして留学生たちは、日本人の嫌がる夜勤に就くケースが多い。

 「週28時間以内」の法定上限を守って働いていれば、月に得られるアルバイト代は10万円少々に過ぎない。それでも生活はできるが、偽装留学生たちは母国で背負った借金を返済し、さらに翌年分の学費を貯めなければならない。そのためアルバイトをかけ持ちして、法定上限を超えて働くことになる。

 夜勤の肉体労働は過酷だ。連日仕事に明け暮れていれば、日本語の勉強が捗るはずもない。だが、生活が嫌になっても、母国へ帰るわけにはいかない。借金を残して帰国すれば、一家丸ごと破産してしまうかららだ。自ら望んで偽装留学したとはいえ、そんな奴隷同然の暮らしを彼らは強いられる。

 留学生が日本語学校に在籍できるのは最長2年だ。その間に借金を返済できない留学生は多く、出稼ぎの目的も果たせない。そこで彼らは専門学校や大学に進学し、出稼ぎを続けようとする。

 日本語能力を問われず、学費さえ払えば入学できる学校は簡単に見つかる。日本人の少子化で、学生不足に陥った専門学校や大学が、偽装留学生の受け入れで生き残りを図っているからだ。そうした学校に留学生たちは進学し、学費と引き換えにビザを更新する。そして日本語学校当時と同様、日本人の嫌がる底辺労働に明け暮れる。

都合がいい偽装留学生
 偽装留学生の存在は、日本にとっては極めて都合がよい。底辺労働者として人手不足を補い、しかも稼いだ金を学費として日本語学校や専門学校などに還元してくれる。また、不当な扱いを受けることがあっても、不満の声すら上げない。「週28時間以内」を超える違法就労への後ろめたさがあるからだ。

 その陰では。数多くの悲劇が生まれ続けている。一例を挙げれば、筆者が2018年から取材を続けているブータン人留学生をめぐる問題である。

 17年からの約1年間で、ブータンから700人以上の留学生が日本語学校へ入学した。ブータン政府が現地の留学斡旋業者と組んで進めた、日本への留学制度を通してのことである。

 ブータンは「幸せの国」として知られるが、現地では若者の失業が社会問題となっている。そこでブータン政府は失業対策として、「学び・稼ぐプログラム」と名づけた留学制度を始めた。日本へ行けば「学びながら、稼げる」との宣伝を信じ、多くの若者が来日することになる。

 日本円で約120万円に上る留学費用は、ブータン政府系の金融機関が貸し付けた。また、親の年収や銀行預金残高に関する証明書は、業者が捏造した。ただし、ブータン人たちは「偽装留学生」とは呼べない。母国のエリート大学を出て、日本での大学院進学を目指していた者も多かった。そんな彼らをブータン政府と業者が騙し、日本へと「売った」のである。

 ブータン人留学生たちは、他国の偽装留学生たちに混じり、弁当工場や宅配便の仕分け現場などで夜勤の仕事に就くことになった。借金返済に追われる過酷な生活で心身を病み、ブータンへ帰国していく者が相次いだ。過労で倒れ、1年半以上も昏睡状態に陥った後、寂しく日本で亡くなった女子留学生もいる。また、将来を悲観し、自ら命を絶った青年もいた。

 その後、ブータンでは、「学び・稼ぐプログラム」は国家ぐるみの詐欺事件として大問題となった。斡旋業者の経営者は逮捕され、政府で中心になってプログラムを進めた高官も起訴された。しかし、プログラムにお墨付きを与え、留学ビザを発給した入管当局、また在ブータン日本大使館など日本側の責任は全く問われていない。

 「留学生30万人計画」の醜悪な実態については、世にほとんど知られていない。新聞など大手メディアが全く報道しようとしないからである。それは、なぜか。

 東京など都市部の新聞配達は、留学生頼みが最も著しい職種の1つなっている。しかも「週28時間以内」を超える違法就労が横行し、留学生たちには残業代すら支払われない。残業代を払えば、留学生を雇う販売店側が、違法就労を認めたことになってしまうからだ。この問題を筆者は数年前から取材し、何度も記事にしているが、現在に至るまで状況は改善されていない。

 こうした新聞配達現場の状況があるため、大手紙は偽装留学生問題に知らんぷりを決め込んでいる。紙面で取り上げれば、自らの配達現場に火の粉が及ぶと恐れているのだ。

 つまり、日本語学校や人手不足の企業と並び、大手新聞社もまた「30万人計画」のステークホルダーなのである。メディアが沈黙すれば、同計画に対する批判はどこからも出ない。結果、安倍政権も成長戦略として推進し続けることができた。

 安倍政権誕生以降に急増した偽装留学生は、日本語学校から専門学校などを経て、やがて就職時期へと差し掛かる。すると同政権は2016年、その時期に合わせるようにある政策を打ち出した。今度は「留学生の就職促進」を成長戦略に掲げたのだ。そして偽装留学生たちは、続々と日本で「移民」となり始めていく。

  

6. 中川隆[-11026] koaQ7Jey 2020年10月05日 08:48:21 : mJtLk2X8mM : bWVXVm1qTDl1QVE=[10] 報告
2020年10月5日
留学生が卒業後に単純労働に就く偽装就職
「開国政権」が開いた「移民国家」への扉(4)
出井康博 (ジャーナリスト)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/20890

 政治家にとって「移民問題」を口にすることはタブーに近い。国民の間に「移民アレルギー」が強いとみなしてのことだ。

 安倍晋三前首相も外国人労働者の受け入れを拡大する一方で、「移民政策は取らない」と強調し、移民問題への深入りを避けた。ただし、安倍政権下で、実質「移民」と呼べる外国人は増え続けていた。

 「永住」の在留資格を持つ外国人は、同政権が誕生した2012年末からの7年間で約62万人から約79万人とへ増えた。さらに注目すべきなのが、「技術・人文知識・国際業務」(通称:技人国ビザ)の資格を有する外国人の増加である。

 技人国ビザは、ホワイトカラーの仕事の就く外国人に対して発給される。在留期限は1年から5年まで幅があるが、ひとたび取得すれば、失業しない限り更新は簡単にできる。つまり、移民となる権利を手にしたも同然だ。その技人国ビザを有する外国人は、安倍政権下で11万1991人から27万1994人と2.5倍近くになった。

 日本で就職する留学生は、9割以上が技人国ビザを取得する。同ビザを持つ外国人が増えているのも、留学生の就職増が大きく影響した。日本で就職した留学生は、12年には1万969人だったが、18年になると2万5942人まで増え、6年連続で過去最高を更新し続けている。「移民政策」のない日本で、移民や、その予備軍が増えているのである。

 留学生の就職増は、安倍政権による方針を受けてのことだ。独立行政法人「日本学生支援機構」が2015年度に行った調査によれば、日本の大学もしくは大学院を卒業した留学生の就職率は35.2パーセントだった。その割合を「5割」まで引き上げようと、安倍政権は16年に「留学生の就職支援」を成長戦略に掲げた。結果、留学生の就職が一段と増えていく。

 興味深いのは、安倍政権が「留学生の就職支援」を打ち出したタイミングである。留学生は同政権が誕生した12年末以降、右肩上がりに増えていた。出稼ぎ目的で、多額の借金を背負い来日するアジア新興国出身の“偽装留学生”が急増したからだ。

 そうした偽装留学生たちは日本語学校での2年間、さらに専門学校などを経て、やがて就職時期に差し掛かる。そのタイミングに合わせるように、安倍政権は「就職支援」を打ち出した。就職を通じ、彼らを日本へ引き留めようとしたのである。

 この政策を同政権は、「優秀な外国人材の確保」が目的だとして進めた。留学生は「優秀」との前提に立ってのことだ。しかし、近年急増した留学生には、語学力や学力の面でとても「優秀」とは呼べない偽装留学生が大量に含まれる。

 そもそも、留学生の就職を増やすといっても、技人国ビザの対象となるホワイトカラーの仕事では、人手不足は起きていない。一方、偽装留学生たちは大学や専門学校を卒業しても、専門職で使える日本語能力や専門知識を身につけていない。だが、政権が政策の数値目標を打ち出せば、現場の官僚たちは成果を出す必要に迫られる。そのため技人国ビザが大盤振る舞いされていく。

 偽装留学生たちには、就職活動できる語学力すらない者が多い。そんな彼らを狙い、「就職サポート業者」が暗躍し始めた。就職先を斡旋し、技人国ビザまで取得する代わりに、留学生から数十万円の手数料を巻き上げるのだ。

 求職者から手数料を取るのは、相手が外国人であれ日本人であれ違法である。だが、業者は日本の事情に疎い留学生につけ込む。日本への留学時、多額の手数料を留学斡旋業者に支払い来日した偽装留学生たちは、今度は就職で、日本の業者の餌食となる。

“偽装就職”が横行
 業者が用いる典型的なやり方を紹介しておこう。まず、人材派遣会社などに「通訳」として就職すると申請し、ビザを取得する。そして就職希望者のビザが取れると、派遣会社の取引先である弁当工場などで、留学生アルバイトと一緒にラインに立って働かせる。こうして技人国ビザで認められた仕事をせず、実際には単純労働に就く“偽装就職”が横行している。安倍政権の掲げた「留学生の就職支援」が影響してのことだ。

 偽装留学生たちは日本で就職できても、キャリアアップは見込めない。底辺労働に固定され、低賃金の仕事をやり続けることになる。企業にとっては人手不足が解消され、しかも低賃金の労働力が確保できるとあってメリットは大きい。だが、それはあくまで「人手不足」を前提にした話である。

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、労働市場に変化が起き始めている。完全失業者数は今年7月時点で前年同月比41万人増の197万人に達し、6カ月連続で増加が続く。一方、昨年12月には1.68倍を記録した有効求人倍率は、1.08倍まで低下した。

「人が余る時代」
 人手不足が深刻な飲食業界の大手「吉野家ホールディングス」の河村泰貴社長は、今年5月22日に『日経ビジネスオンライン』に掲載されたインタビューでこう語っている。

 「確かに今は未曾有の人手不足です。しかしあと数年で逆に人が余る時代になるとみています。コロナ・ショックでこの動きはむしろ加速するでしょうね」

 新型コロナがきっかけとなって、人手不足にコペルニクス的転回が起きかねない。河村氏の予言どおり、「人が余る時代」が到来すれば、いったい何が起きるのか。

 実は、日本も過去に「人が余る時代」を経験している。2008年秋に起きた「リーマンショック」後がそうだった。

 リーマンショックでは、ブラジルなど南米諸国から受け入れられていた日系人たちの失業が社会問題となった。東海地方を中心に、製造業の下請け現場で働いていた人たちが「派遣切り」されたのだ。

 日系人たちは日本での定住、永住が認められていた。また、実習生などとは異なり、職業選択の自由もあった。しかし、彼らは10年以上にわたって日本で暮らしていても、ほとんど日本語ができないような人も多かった。日系人たちが働く製造業の現場では、日本語能力が求められなかったからだ。

 語学教育は自治体やボランティア任せで、政府による支援はなかった。そのため、製造業で派遣切りに遭った日系人たちは、転職先を見つけることができなかった。「移民政策」なく、移民を受け入れた末の悲劇である。

 日系人の失業が増えると、政府は「帰国支援金」の制度を設けた。1人につき30万円(扶養家族は20万円)を渡し、母国への帰国を促した。失業者の増加によって、治安が悪化することを恐れたのだ。

 結局、ブラジル人を中心に2万人以上の日系人が支援金を得て、日本から去っていく。そして「帰国支援金」の制度は、海外メディアから「日本政府は日系人に手切れ金を渡し、日本から追い出した」と批判されることになる。

 新型コロナの収束はまだまだ見通せない。景気の悪化が続けば、リーマンショック時の日系人たちのように、日本で就職した元偽装留学生たちの失業が問題となるかもしれない。そのとき政府は「帰国支援金」のような制度を再び設け、移民となった外国人たちを日本から追い出すつもりなのだろうか。

 「人が余る時代」になれば、外国人と日本人が仕事を求めて競合する状況も生まれる。リーマンショックでは日系人が先に職を失ったが、職種によっては日本人より外国人を好んで雇う企業も現れるだろう。日本語能力を必要とされず、体力を重視する肉体労働では特にそうだ。外国人労働者たちは若く、低賃金の重労働を厭わない。

 また、外国人頼みが進んだ職種では、賃金上昇が確実に抑えられる。それは当然、一緒に働く日本人の賃金にも跳ね返る。

 そんなことが現実になったとき、日本人の不満や怒りが外国人に向かい、彼らの排斥を求める声が強まる危険はないのかどうか。数十年前の欧州諸国で、移民政策なく移民を受け入れた末に起きたことである。

 1990年代初めから受け入れの始まった日系人たちは、日本にとって「移民」の先行ケースだった。その総括を、政府は全くしていない。また、近年の人手不足に対する分析、そして外国人労働者の受け入れ拡大に伴う負の側面についても、検証はなされていない。

 どの職種に、どういった資格で、どこの国から、どれだけの数の外国人を受け入れるのか。そうした根本的な議論を、これまでの政権は避け続けているのだ。

 安倍政権でも、留学生や実習生という「裏ルート」を使い、底辺労働者の受け入れが増やされるばかりだった。そして今度は、留学生たちを就職によって日本に引き留め、移民化しようとしている。すべては目先の人手不足対策が優先されてのことである。

 人手不足に直面した業界が、低賃金の労働者を求める気持ちはわかる。しかし政治には、国民全体に及ぼす影響まで考慮し、政策を立案する立場にあるはずだ。その役割を、安倍政権が十分に果たしたとは思えない。

 では、安倍政権を引き継いだ菅義偉政権のもと、外国人労働者の受け入れはどうなっていくのか。

7. 2020年10月06日 18:04:28 : lVzxSy1pmI : SkFCTkE0dnA2elU=[20] 報告
外国人労働者受け入れのグランドデザインを描く
「開国政権」が開いた「移民国家」への扉(5)
出井康博 (ジャーナリスト)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/20928


 第2次安倍政権が誕生した2012年以降の7年間で、外国人労働者は約100万人増え、19年末時点で約166万人を数えるまでになった。また、日本に永住する資格を得る外国人も増えている。安倍政権は史上類を見ない「開国政権」だったと言える。

 その安倍政権を引き継いだ菅義偉新首相のもと、外国人の受け入れ政策はどう変わるのか。


(Kavuto/gettyimages)
 安倍政権で外国人労働者の受け入れ拡大を主導し、メディアで最も積極的に発言を続けていたのが、官房長官当時の菅氏だった。外国人労働者のための新在留資格「特定技能」創設が話題となっていた2018年10月、菅氏は『毎日新聞』の取材に応じ、こう述べている。

 「人手不足のため廃業するところまで出ている。放置していると社会問題になる。そこで現在の制度は『そろそろ限界だ』と判断して、新たな在留資格を創設しようと作業しているところです」(18年10月25日『毎日』朝刊)

 菅氏の言う「現在の制度」とは、人手不足解消のため、「実習生」や「留学生」として外国人労働者を受け入れる状況を指していると思われる。外国人労働者の急増は、実習生と留学生の増加によって起きた。だが、本来の意味で「労働者」と呼べない実習生や留学生を、人手不足解消に利用しているのはおかしい。その状況を改めるため特定技能の創設に尽力したのは、菅氏の功績と言えるだろう。

 インタビューを読む限り、菅氏は「人手不足のため廃業」の危機にある企業を救いたかったようだ。そうした思いは、『毎日』記事の約2カ月前に『西日本新聞』の取材を受け、こう語っていることからも窺える。

 「外国人材の働きなくして日本経済は回らないところまで来ている。高齢者施設をつくった私の知人も、施設で働く介護人材が集まらないと言っていた」(18年8月23日『西日本』電子版)

 菅氏は「外国人材の働きなくして日本経済は回らない」と当たり前のように述べている。確かに、菅氏の知人が経営する介護施設のような職場は、外国人労働者なしには成り立たないのかもしれない。だが、「日本経済は回らない」とまで言えるだろうか。

 外国人頼みが進んだ職種とは、日本人の働き手に敬遠され、人手不足に陥ったものばかりだ。たとえば、外国人労働者全体の約2割を占める留学生の場合、その多くが夜勤の肉体労働に就いている。典型的なアルバイト先は、スーパーやコンビニで売られる弁当や惣菜の製造工場、宅配便の仕分け、ホテルの掃除などである。いずれの仕事も、体力さえあれば日本語ができなくてもこなせる。

 留学生アルバイトがいなくなれば、コンビニなどで売られる格安弁当は確実に値上がりするだろう。宅配便の「翌日配達」「送料無料」といったサービスにも支障が出るに違いない。だからといって、「日本経済は回らない」わけではない。私たち日本人が特権的に享受している、世界で最高レベルの「便利で安価な暮らし」が成り立たなくなるだけだ。

 筆者は何も、外国人労働者や移民の受け入れを頭ごなしに否定しているわけではない。留学生たちの状況が象徴するように、日本人が嫌がる仕事を外国人に担わせ、「便利で安価な暮らし」を維持することの是非を問うている。

 もしも菅氏が、貧しい国の若者であれば、金さえ払えば喜んで日本人が嫌がる仕事もやってくれると考えているなら大間違いだ。彼らも同じ人間である。日本人がやりたくない仕事は、できれば彼らもやりたくない。

 留学生の就職問題について、菅氏はこう述べている。

 「現在、卒業後に日本で就職できる留学生は全体の36%に過ぎない。失意の思いで帰国し、日本に不信感を持つ事態は避けなければならない。(中略)日本企業への就職支援にも力を入れる」(前述・『西日本新聞』インタビュー)

 この「36%」という数字は、独立行政法人「日本学生支援機構」が2015年度、日本の大学もしくは大学院を卒業した留学生を対象に行った調査結果の引用だと思われる。同調査では、留学生の64%が日本での就職を望みながら、実際に就職したのは「35.2%」との結果が明らかになった。その割合を「5割」まで増やすことを、安倍政権は「留学生の就職支援」策に掲げていた。

 確かに、「失意の思いで帰国し、日本に不信感を持つ」ようになる留学生は多い。だが、それは就職の成否とは関係ない。

 留学生たちに多額の借金を背負わせて受け入れ、法律で認められた「週28時間以内」のアルバイトでは生活できない状況に追い込む。そして底辺労働者として利用した揚げ句、留学ビザと引き換えにアルバイト代を学費として吸い上げる。そうやって彼らを利用している人手不足の企業や日本語学校、また就職斡旋ブローカーなどの存在によって、留学生たちは日本への「不信感」を募らせる。そんな事態を招いたのが、安倍政権が進めた「留学生30万人計画」だったのだ。

 前述『西日本新聞』記事で、「外国人を獲得するため、どのような環境整備をしていくか」と問われた菅氏は、開口一番こう答えている。

 「日本語学校の質を高め、日本語教育を充実させる」

 筆者も大賛成である。ただし、「日本語学校の質」を高めるためにも、まず「数」の淘汰を図ってもらいたい。

 全国の日本語学校の数は安倍政権下で2倍近くに増え、2019年末時点で774校にまで膨らんでいる。この数は大学よりも多い。「留学生30万人計画」によって流入した偽装留学生の受け皿となってのことである。

 大学などとは異なり、日本語学校は簡単に設立できる。そのため人手不足の企業や人材派遣業者などが、学校をつくるようなケースも目立つ。営利のみを優先し、「教育機関」とは到底呼べない学校もあまりに多い。

 筆者は過去5−6年間、日本語学校に通う留学生たちを取材しているが、彼らの置かれた状況は実にひどい。学費の滞納を防ぐため、留学生からパスポートや在留カードを取り上げるような学校がある。気に入らない留学生を拘束し、空港へと連行して母国へ強制送還してしまうことも、多くの日本語学校で日常茶飯時となっている。しかも留学生には、悪質な日本語学校に入学しても、転校する自由すらない。実習生が職場を変われないのと同様、極めて日本側に都合のよいシステムなのだ。

 最近も私の取材を通じ、北関東のある大手日本語学校で、留学生が進学や就職をする際に必要となる証明書の発行を拒み、同じ経営者が運営する系列の専門学校への内部進学を強要していた問題が発覚した。こうした人権侵害行為は、日本人の学生相手には絶対に起こり得ない。しかし、留学生のみ在籍する日本語学校では、現実に起き続けている。

 しかも留学生たちは、人権侵害の犠牲になっても声を上げることをためらう。留学生に認められる「週28樹間以内」を超える違法就労への後ろめたさがあるからだ。そんな彼らにつけ込み、日本語学校のやりたい放題がまかり通っている。

 本来であれば、行政が監督すべきことである。だが、日本語学校の実質的な監督官庁と言える法務省出入国在留管理庁、教育の中身をチェックする立場にある文部科学省も、現状を放置し続けていると言われても仕方ないだろう。

人手不足の正体を詳細に分析してもらいたい
 最後に菅首相に対し、筆者からいくつか提案をしておきたい。

 まず、「30万人計画」は即刻廃止すべきである。同計画が達成されたのは、アジア新興国出身の偽装留学生の存在があってのことだ。偽装留学生は、日本にとっては極めて都合のよい存在である。とはいえ、彼らは日本側の思惑についてお見通しだ。長く日本で暮らしていても、この国を好きになるはずもない。新興国との将来の関係、国益という観点からも、同計画を続けてはならない。

 次に、日本語教育の推進は、国内ではなく海外で図ってもらいたい。新興国出身者を日本国内の日本語学校で受け入れ、底辺労働者として利用した揚げ句、学費を吸い上げるというシステムはあまりに醜悪だ。労働者が必要ならば労働者として受け入れ、留学生とは区別すべきものである。

 そして実習生や特定技能の受け入れでは、人材が金銭的な負担なく来日できる仕組みが必要だ。留学生にも言えることだが、「借金漬けでの来日」によって様々な問題が起きてしまう。実習生や留学生による不法就労、またベトナム人犯罪が増加しているのも、「借金」が影響してのことなのだ。留学費用を借金に頼る外国人には留学ビザは発給しない。実習生や特定技能に関しては、「悪質ブローカー」を排除し、手数料は人材を受け入れる企業側が全額負担するよう制度に定めてもらいたい。

 安倍政権では、「移民政策は取らない」と言いながら、実質的な移民の受け入れが加速した。「優秀な外国人材の確保」策だと称し、留学生の就職を増やす政策が取られてのことだ。だが、その狙いは、人手不足の底辺労働を外国人に担わせることだったのではないか。

 菅政権には、人手不足の正体を詳細に分析してもらいたい。そのうえで、どの業種で、どれだけの外国人を、どんな資格で受け入れ、いかなる役割を担ってもらうのかを決めていく。長期的な視点で、外国人労働者受け入れのグランドデザインを描くのだ。

 外国人労働者や移民の受け入れは、将来の国のかたちにも影響する重要なテーマである。新型コロナが景気に与える影響次第で、今後は人手不足にも大きな変化が生じるかもしれない。菅首相には、詭弁を弄すことなく、国民に対し、不都合な真実までも正直に語ってもらいたい。

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