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ALS患者を殺害した元厚労省医系技官らの優生思想
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/244.html
投稿者 中川隆 日時 2020 年 7 月 24 日 15:26:11: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 高齢者は死んでいいのか _ 大西つねき「命、選別しないと駄目だと思いますよ」 投稿者 中川隆 日時 2020 年 7 月 09 日 05:02:56)

「安楽死」の名を借りてALS患者を殺害した元厚労省医系技官らのグロテスクな優生思想! 麻生財務相や古市憲寿も同類(リテラ)
http://www.asyura2.com/20/senkyo274/msg/448.html

 
2020.07.24 ALS患者を殺害した元厚労省医系技官らの優生思想! 麻生や古市と同類 リテラ

    
    大久保愉一容疑者(自身のブログより)

 全身の筋肉が徐々に動かなくなっていく神経難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症した京都市の女性に薬物を投与して殺害したとして、2人の医師、大久保愉一容疑者と山本直樹容疑者が京都府警に逮捕された。

 大久保容疑者は厚労省で医系技官を約7年半務めており、妻は2012年の総選挙で自民党から出馬し当選(比例復活)、衆院議員を1期務めた元“安倍チルドレン”議員だった。一体こんなエリート医師がなぜ?……。いや、問題はそれ以前だろう。

 メディアではこの事件を「安楽死」と報じているが、そもそもこれは「安楽死」と呼べるようなものなのか。彼らは殺害したALSの女性とSNSで知り合った関係で、担当医師でもなんでもなかった。被害者本人の明確な意思表示に基づき他にとれる手段がなく安楽死に協力したのではなく、むしろ自分たちの殺人欲求が先にあり、安楽死をのぞむ人間を積極的に探していた可能性も考えられる。

 しかも、2人は高齢者や障害者は死んだほうがいいと主張する典型的な優生思想の持ち主だった。

 それがよくわかるのが、2人が『扱いに困った高齢者を「枯らす」技術:誰も教えなかった、病院での枯らし方』なるとんでもないタイトルの電子書籍を共著で出版していたことだ。Amazonには同書のこんな紹介文が掲載されていた。

〈認知症で家族を長年泣かせてきた老人、ギャンブルで借金を重ねて妻や子供を不幸に陥れた老人。そんな「今すぐ死んでほしい」といわれる老人を、証拠を残さず、共犯者もいらず、スコップや大掛かりな設備もなしに消せる方法がある。医療に紛れて人を死なせることだ。病室に普通にあるものを使えば、急変とか病気の自然経過に見せかけて患者を死なせることができてしまう。違和感のない病死を演出できれば警察の出る幕はないし、臨場した検視官ですら犯罪かどうかを見抜けないこともある。荼毘に付されれば完全犯罪だ。〉

 さらに、大久保容疑者のものとされる厚労省の英語の略称である「mhlw」をもじったアカウント名のツイッターにも、グロテスクな思想が露骨に表れていた。

 大久保容疑者のツイッターをめぐっては、「ドクター・キリコになりたい」と投稿していたことが話題になっているが、他のツイートを読むと、大久保容疑者が安楽死にこだわる理由が、患者を苦しみから解放するという目的ではないことがよくわかる。

■ツイッターで老人を「ゾンビ」と表現し、財政のために切り捨てを主張していた大久保容疑者

〈つぶれそうな会社に税金突っ込んで延命を図ってもなんにもなってないわけでしょ。もう市場から消えたらいい会社もゴロゴロある。おんなじで、老人に公費つっこんでゾンビにして、事業者におもねて、吸血鬼よろしく国民から吸い取ってますます国を貧しくしてな〉(2019年12月22日)

〈議員定数を若干減らすよりも、尊厳死法とか安楽死法を通した方が財政は持ち直すと思うけど。〉(2016年2月21日)

〈医療って贅沢品だと思うんですよね。なんでも「国の責任ガー」って云ってたら国も落ち目で財政赤字でハイパーインフレ待ったなしなので、支払い能力に応じたサービスでしかたないのかなと。〉(2019年5月3日)

〈第XX回24時間テレビ「愛は財政を救う」 @国に頼らない老々介護、A決して入所者を病院に連れて行かない特養、B高い抗がん剤を使う治療を拒否した90歳をジャニーズで再現ドラマ、Cヘイトスピーチと村八分で生活保護者ゼロを実現した村、D救急車有料化で保険料爆安の町ほか〉(2014年3月1日)

〈アベノミクスで、食えない老人への食事介助やら経腸栄養、高カロリー輸液などへの公費支出を止めてくれんかな。老人介護や医療費が減って消費税上げなくて済むかもよ。「最後は金目」なんで石原大臣よろしく。〉(2016年1月30日)

〈高度医療に当たる人よりも、適当なタイミングで死なせる医者が求められてるんだよ。自治体なんて後期高齢だの介護や障害福祉でまじカネないからね。〉(2019年9月26日)

〈納税者的には、老人に掛け金以上の年金をくれてやるのも費用対効果的にムダでしょうし、排泄物と汚れたリネンしか生産しない生き物は簿価1円でしょうし、まあ人権で味付けすればプライスレスなんで〉(2020年6月3日)

〈コロナで介護が滅んで老人の死屍累々になっても、別に驚かない。若い人の負担が減ればよいではないか〉(2020年4月2日)


〈老人が自粛せずに徘徊してて、てめえらが延命するために社会で犠牲をかぶってんだクソが。〉(2020年4月25日)

 ようするに、大久保容疑者は、高齢者や障害者、生活困窮者にかかる医療や福祉の費用は社会資源の無駄であり、日本国の財政を逼迫させるだけ、早く殺してしまったほうがいいと主張しているのだ。

 つまり、大久保容疑者らによるALSの女性殺害は、安楽死への協力などではなく、命を選別し、高齢者や障害者、病人は殺しても構わないという優生思想にもとづいたものであり、そのグロテスクさは相模原障害者殺傷事件の植松聖死刑囚と同レベルといっていいだろう。

■大久保容疑者の優生思想は、麻生財務相、古市憲寿、長谷川豊らにも共通

 しかも、恐ろしいのは、いまの日本社会にはその犯罪者たちとそっくりな主張をしている連中がほかにも多数いることだ。ネトウヨだけでなく、政治家や学者、メディア関係者までが平気で「老人は安楽死させたほうがいい」「障害者を生かしておくのは無駄だ」「税金を使っているのを申し訳なく思え」などといった暴論を叫んでいる。

 2013年には麻生太郎財務相が政府の社会保障制度改革国民会議で、余命わずかな高齢者の終末期の医療費について「死にたいと思っても生きられる。政府の金で(高額医療を)やっていると思うと寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらうなど、いろいろと考えないと解決しない」などと発言した。

 2016年には、元フジテレビアナウンサーの長谷川豊が〈「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ! 無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」〉と透析患者の殺害まで持ち出した。

 2019年には、人気若手論客の古市憲寿と落合陽一が文芸誌の対談で、高齢者の終末期医療は金の無駄、社会保障費削減のために即刻やめるべきだと主張し、猛烈な批判を浴びた。ちなみに、古市はこの終末期治療打ち切り論について〈財務省の友だちと、社会保障費について細かく検討した〉ときに教えられたと語っており、実際、財務省は過去にそのもととなるような「一年間にかかる終末期医療費=約9000億円」なる資料を公表したこともある。

 そういう意味では、今回の事件を起こした大久保容疑者が厚労省の医系技官だったというのも偶然ではない。実際に犯行に及ぶかどうかは別にして、「高齢者や障害者なんて殺してしまえ」というのは、この国の官僚と安倍政権の政治家たちの本音でもあるのだ。

 相模原事件が起きたとき、本サイトは事件が2000年代から始まった、弱肉強食の新自由主義政策と安倍政権下でエスカレートする差別主義が合体した結果、起きたと評した。この厚労省元医系技官らによる「安楽死」の名を借りた殺人事件も、まさに同根と考えるべきだろう。
 

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コメント
1. 2020年7月26日 08:15:45 : TLuHlrtDlY : RUNZN0x0eDhsV00=[1] 報告

「ドクター・キリコになりたい」 京都ALS女性嘱託殺人 逮捕の医師、ツイッターに繰り返し投稿か 
2020/7/26 ©株式会社京都新聞社

大久保容疑者とみられる人物のツイッター上での投稿。医学部卒業時から「ドクターキリコ」に関心があったことを紹介していた(画像の一部を加工しています)
 神経難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性に対する嘱託殺人容疑で医師2人が逮捕された事件で、大久保愉一(よしかず)容疑者(42)=仙台市=が発信したとみられるツイッターに2013年以降、「ドクター・キリコになりたい」との内容を繰り返し投稿していたことが25日、分かった。ドクター・キリコは手塚治虫の医療漫画「ブラック・ジャック」の登場人物で患者を安楽死させる医師。京都府警は、投稿内容を分析するとともに事件との関連を調べている。

 ツイッター上で大久保容疑者のものとみられるアカウントから、ドクター・キリコに言及した投稿が少なくとも17件発信されていた。13年1月に「医学部を卒業する時から、老人医療のやるせなさは身にしみていたので、卒アル(卒業アルバム)に将来の夢『ドクター・キリコ』って書いた」と発信。同年4月には「世の中のニーズってそっち(ドクター・キリコ)なんじゃないのか。病院に行けば治療されちゃう」と記していた。

 中には、患者を死亡させる行為を医業として捉えるような内容も投稿。「俺が開業するなら、キリコしかない。立件されないだけの無駄な知恵はある」「ハコ(医療施設)を持たずにキリコ的に流浪の殺し屋をやるのが最適解。ただ、営業をどうやってやるのかが問題」と書き込んでいた。

 捜査関係者によると、山本直樹容疑者(43)の口座には事件直前の昨年11月20日ごろ、亡くなった京都市中京区のALS患者林優里(ゆり)さん=当時(51)=から2日に分けて50万円と80万円が振り込まれていた。府警は、両容疑者が計130万円を殺害の報酬として受け取ったとみるとともに、報酬を得て安楽死を請け負うドクター・キリコを描いた漫画が、大久保容疑者に与えた影響なども調べる。

 京都地裁は25日、大久保容疑者と山本容疑者について10日間の勾留を認める決定をした。期限は8月3日。

 逮捕容疑は共謀して、林さんから自身を殺害するよう頼まれて昨年11月30日、林さんの自宅マンションを訪れて致死量の薬物を投与し、急性薬物中毒で死亡させた疑い。

 ドクター・キリコを巡っては、1998年にインターネットの掲示板でドクター・キリコを名乗る元薬剤師の男が自殺を望む人たちに毒物を送り、自身も自殺した事件があった。

 ■ドクター・キリコ 手塚治虫の医療漫画「ブラック・ジャック」の中で、安楽死の必要性と正しさを信念とする医師。呼吸中枢を麻痺(まひ)させる超音波装置や薬物などを用いて法律に触れないよう安楽死を請け負う。患者の命を救う主人公の外科医ブラック・ジャックとは相反するキャラクターとして、「死神の化身」の異名を持つ。

https://www.47news.jp/localnews/5057233.html

2. 2020年7月28日 11:02:37 : qvCpCPFxe6 : SXdLWFhadjI5eHM=[18] 報告
ALS嘱託殺人で医師2人逮捕、「安楽死」の議論や法整備はなぜ進まないのか
戸田一法 2020/07/28
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/als%e5%98%b1%e8%a8%97%e6%ae%ba%e4%ba%ba%e3%81%a7%e5%8c%bb%e5%b8%ab2%e4%ba%ba%e9%80%ae%e6%8d%95-%e5%ae%89%e6%a5%bd%e6%ad%bb-%e3%81%ae%e8%ad%b0%e8%ab%96%e3%82%84%e6%b3%95%e6%95%b4%e5%82%99%e3%81%af%e3%81%aa%e3%81%9c%e9%80%b2%e3%81%be%e3%81%aa%e3%81%84%e3%81%ae%e3%81%8b/ar-BB17fKt4?ocid=ientp


年配の読者なら、故・手塚治虫氏の代表的作品「ブラック・ジャック」に登場するドクター・キリコを思い浮かべた方も多いのではないだろうか。京都府警捜査1課は23日、難病に指定されている筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者に薬物を投与して死亡させたとして、医師2人を嘱託殺人の疑いで逮捕した。この事件は、医師が依頼されて報酬を受け取り、苦痛を伴わずに患者を死に至らしめる「安楽死」だったとされる。過去にも終末期医療などを巡る同様の事件が明るみになり、そのたびに「治療か尊厳死か」が取り沙汰されるが、ほとんど議論されることはなく、法整備も進まないのが現状だ。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

安楽死の報酬は130万円
 逮捕・送検されたのは、ともに医師でクリニックを経営する仙台市泉区の大久保愉一容疑者(42)と、東京都港区の山本直樹容疑者(43)。

 逮捕容疑は共謀して昨年11月30日午後5時半ごろ、ALS患者の林優里さん(当時51)に依頼され、京都市中京区にある林さんの自宅マンションで致死量の薬物を投与して殺害した疑い。

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 全国紙社会部デスクによると、林さんは2011年、ALSを発症。18年4月にツイッターアカウントを開設し、同年12月ごろに大久保容疑者とやりとりが始まった。

 19年1月に安楽死を希望する林さんのツイートに、大久保容疑者が「訴追されないならお手伝いしたい」と返信していた。

 同年11月30日、両容疑者が別々の新幹線で京都市に到着し、市内のホテルで合流。午後5時20分ごろ、林さんのマンションを訪れてヘルパーと対面し、知人を名乗って訪問記録に偽名を記載したという。

 両容疑者がマンションに滞在したのは約10分。別室にいたヘルパーが部屋に戻ると林さんは意識不明の状態で、午後8時19分、搬送先の病院で死亡が宣告された。

 林さんの遺体からは司法解剖の結果、鎮静作用がある「バルビツール酸系」の薬物が検出された。この薬物は脳の興奮を抑える作用があり、睡眠薬や抗てんかん薬、麻酔薬などに使用される。

 即効性が高く、大量に投与すれば呼吸を抑制し死に至る。欧米では合法的な安楽死や死刑執行に使われている。

 林さんはチューブを通して胃に直接栄養を送る「胃ろう」で生命を維持。遺体に注射痕などはなかったことから、胃ろうから致死量の薬物を投与されたとみられる。

 両容疑者は当日、そのまま京都市を離れた。安楽死の報酬は130万円。林さんから山本容疑者の口座に振り込まれていた。

被害者と容疑者の接点
 ALSは全身の筋肉が萎縮し徐々に衰える神経変性疾患の難病で、有効な治療法は確立されていない。日本では1974年に特定疾患に認定された。

 れいわ新選組の舩後靖彦参院議員、元衆院議員で医療法人徳洲会を設立した徳田虎雄氏もALSで、国内の患者数は約1万人といわれる。

 林さんは東京で建築関係の仕事をしていた11年にALSと告知され、京都市の実家に戻った。その後、マンションを借りて一人で暮らしていたが、発声できなくなり、食事も困難に。

 障害福祉サービスの「重度訪問介護」を利用し、京都市から派遣されるヘルパーが24時間態勢で胃ろうでの栄養摂取や排せつなどのケアをしてきた。

 一方で、事件当時も瞳の動きで操作できるパソコンでSNSに投稿するなど、コミュニケーションは可能だった。

 そこでは「本人の意識がはっきりしていて意思を明確に示せるなら、安楽死を認めるべきだ」「日々の苦痛を考えると窒息死を待つだけなんてナンセンスです」などと綴っていた。

 一方の大久保容疑者は医系技官として厚生労働省に7年半勤務。現在は宮城県名取市で心療内科や呼吸器内科などのクリニックを経営していた。

 大久保容疑者のものとみられる「高齢者を『枯らす』技術」というタイトルのブログなどには、安楽死に関わる投稿が数多くあった。

 ALS患者の主治医を経験したため「彼らが『生き地獄』というのは少しわかる」とし、こうも投稿していた。

「神経難病などで『日々生きていることすら苦痛だ』という方には、一服盛るなり、注射一発してあげて、楽になってもらったらいい」

 そして犯行を示唆するかのような、こんな投稿もあった。「バレると医師免許がなくなる。リスクを背負うのにボランティアではやってられない」

 大久保容疑者とみられる医師と林さんの公開されている投稿には訪問日時などに関する記載はなく、第三者の目に触れない「ダイレクトメッセージ」を使ったとみられる。

 一方の山本容疑者は、大久保容疑者と大学時代からの友人で、東京都品川区に男性の機能不全(ED)治療の専門クリニックを開設。ツイッターなどには特に安楽死に関わる投稿をしていた形跡はない。

安楽死が許容される4要件
 今回、両容疑者の容疑となった嘱託殺人罪とは、被害者の依頼で当人を死に至らしめた場合に適用される。自殺教唆や自殺ほう助、承諾殺人罪と同様に刑法202条で規定している。

 被害者の意思に反して殺害する通常の殺人罪は最高刑が死刑なのに対し、6月以上7年以下の懲役または禁錮と量刑は軽い。

 国内では安楽死を巡り、過去に殺人罪で医師が有罪となったケースがある一方、延命治療を中止した例などでは刑事事件として罪に問われなかったこともある。

 これまで医師が送検されたのは(1)91年の東海大病院、(2)96年の国保京北病院、(3)02年の川崎協同病院、(4)03年の関西電力病院、(5)04年の羽幌病院、(6)06年の射水市民病院、(7)07年の和歌山県立医大病院――がある。

 うち、2件が起訴され有罪に、5件は嫌疑不十分で不起訴処分になっている。

 東海大病院事件では、末期がん患者に塩化カリウムを注射して死亡させたとして、医師が殺人罪で起訴され、横浜地裁は懲役2年、執行猶予2年を言い渡した。

 判決は、安楽死が許容される要件として、(1)患者に耐え難い肉体的苦痛がある、(2)死が不可避の末期状態、(3)苦痛緩和の方法を尽くし代替手段がない、(4)患者本人の意思表示がある――の4要件を示した。

 東海大病院の医師が有罪となったのは、この4要件を満たしていないと認定されたためだが、他の事件でこの4要件について医師の刑事責任が判断された例はない。

 川崎協同病院事件では、こん睡状態だった患者の気管内チューブを抜き、筋弛緩(しかん)剤を投与した医師が殺人罪に問われ、懲役1年6月、執行猶予3年が確定した。

法を逸脱、言語道断の犯行
 日本では安楽死を法的に認めていないが、厚労省の終末期医療の指針では「痛みや不快な症状を緩和し、精神的・社会的な援助も含めた総合的な医療・ケアを行うこと」などを条件に、医療行為の中止を認めている。

 一方、海外ではスイス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、カナダ、韓国のほか、米国と豪州の一部州で法的に認められている。

 昨年10月、車いす陸上の選手で、パラリンピック2大会でメダルを獲得したベルギーのマリーケ・フェルフールトさん(当時40)が医師の投薬を受けて亡くなったのは記憶に新しい。

 今回の事件を受けてインターネットでは「患者に選択肢を認めるべき」「生きる権利があるなら死ぬ権利があってしかるべき」「自分がその立場だったら認めてほしい」などと賛同する投稿も散見される。

 では、安楽死についてなぜ日本では議論が進まないのか。閣僚経験もある元衆議院議員の元政策秘書に聞いてみた。

「まずは医師会で議論するのが先だろう」と前置きしつつ「頑張るのが好きな日本人の感覚に合わないからじゃないか。一つ間違えば高齢者や難病患者を死に追いやるような圧力になりかねないからイメージが悪いし、票にならないからだと思う」

 前述の舩後参院議員のように前向きな姿勢が評価され、生きることに後ろ向きだと周囲に冷たい目で見られる。

 そして、安楽死について議論しようと声をあげても、当然に批判される懸念はあるし、その取り組みは議員としてプラスにはならない――というのだ。

 いわれてみれば「なるほど」と思わないでもない。

 冒頭、ドクター・キリコについて言及した。漫画ブラック・ジャックで人気があり「Dr.キリコ 白い死神」としてスピンオフ作品も発表されている。

 キリコはかつて戦場の最前線で軍医として従事し、瀕死の重症を負った兵士を苦痛から解放して感謝された経験から、安楽死専門の医師になったという設定だ。

 また高額な報酬で安楽死を請け負うが、その条件として、(1)回復の見込みがない、(2)生きているのが苦痛、(3)本人が死を望んでいる――の3つを設定。一方で高度な技術を持ち「治せる患者は治す」と明言している。

 漫画が73年〜78年の連載だったにもかかわらず、キリコは東海大病院事件の判決で示された4要件を先取りしたような信念を持っていた。

 しかし、これは漫画の話だ。

 大久保容疑者のブログなどを見ると、「安楽死をなぜ認めるべきか」という理由についての主張もなければ、崇高な理念も感じられない。

 主治医でもないのに法を逸脱し、報酬を受領して見ず知らずの他人を安楽死させただけというなら、言語道断なのは言うまでもない。

3. 2020年7月28日 21:15:21 : qvCpCPFxe6 : SXdLWFhadjI5eHM=[37] 報告
病気装い高齢者死亡させる方法、電子出版 ALS嘱託殺人容疑者ら?共著
2020/7/28 ©株式会社京都新聞社

 神経難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性に対する嘱託殺人容疑で医師2人が逮捕された事件で、大久保愉一(よしかず)容疑者(42)=仙台市=と山本直樹容疑者(43)=東京都港区=とみられる人物が、高齢患者を病気の急変に見せかけて死亡させる方法をテーマにした電子書籍を2015年に共著で出版していたことが28日、分かった。

 電子書籍は「扱いに困った高齢者を『枯らす』技術」。15年6月に通販大手アマゾンの電子書籍端末「キンドル」で出版された。現在は購入することはできない。内容紹介欄では、認知症などで家族の介護を受ける高齢者を引き合いに出し、「『今すぐ死んでほしい』といわれる老人を証拠を残さず消せる方法がある。医療に紛れて人を死なせることだ」と主張。「違和感のない病死を演出できれば警察の出る幕はない。荼毘(だび)に付されれば完全犯罪だ」と記していた。

 捜査関係者によると、2人は大学時代からの知り合いだったといい、京都府警が関係性を調べている。
https://www.47news.jp/localnews/5067226.html

4. 中川隆[-11997] koaQ7Jey 2020年7月29日 01:16:17 : SgTUxXFqow : QlM3L21tTE9wdHM=[2] 報告
「安楽死」の名を借りてALS患者を殺害した元厚労省医系技官らのグロテスクな優生思想! 麻生財務相や古市憲寿も同類
2020.07.24


 全身の筋肉が徐々に動かなくなっていく神経難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症した京都市の女性に薬物を投与して殺害したとして、2人の医師、大久保愉一容疑者と山本直樹容疑者が京都府警に逮捕された。

 大久保容疑者は厚労省で医系技官を約7年半務めており、妻は2012年の総選挙で自民党から出馬し当選(比例復活)、衆院議員を1期務めた元“安倍チルドレン”議員だった。一体こんなエリート医師がなぜ?……。いや、問題はそれ以前だろう。

 メディアではこの事件を「安楽死」と報じているが、そもそもこれは「安楽死」と呼べるようなものなのか。彼らは殺害したALSの女性とSNSで知り合った関係で、担当医師でもなんでもなかった。被害者本人の明確な意思表示に基づき他にとれる手段がなく安楽死に協力したのではなく、むしろ自分たちの殺人欲求が先にあり、安楽死をのぞむ人間を積極的に探していた可能性も考えられる。

 しかも、2人は高齢者や障害者は死んだほうがいいと主張する典型的な優生思想の持ち主だった。

 それがよくわかるのが、2人が『扱いに困った高齢者を「枯らす」技術:誰も教えなかった、病院での枯らし方』なるとんでもないタイトルの電子書籍を共著で出版していたことだ。Amazonには同書のこんな紹介文が掲載されていた。

〈認知症で家族を長年泣かせてきた老人、ギャンブルで借金を重ねて妻や子供を不幸に陥れた老人。そんな「今すぐ死んでほしい」といわれる老人を、証拠を残さず、共犯者もいらず、スコップや大掛かりな設備もなしに消せる方法がある。医療に紛れて人を死なせることだ。病室に普通にあるものを使えば、急変とか病気の自然経過に見せかけて患者を死なせることができてしまう。違和感のない病死を演出できれば警察の出る幕はないし、臨場した検視官ですら犯罪かどうかを見抜けないこともある。荼毘に付されれば完全犯罪だ。〉

 さらに、大久保容疑者のものとされる厚労省の英語の略称である「mhlw」をもじったアカウント名のツイッターにも、グロテスクな思想が露骨に表れていた。

 大久保容疑者のツイッターをめぐっては、「ドクター・キリコになりたい」と投稿していたことが話題になっているが、他のツイートを読むと、大久保容疑者が安楽死にこだわる理由が、患者を苦しみから解放するという目的ではないことがよくわかる。
https://lite-ra.com/2020/07/post-5538.html

5. 中川隆[-11996] koaQ7Jey 2020年7月29日 01:18:23 : SgTUxXFqow : QlM3L21tTE9wdHM=[3] 報告
ALS 患者殺害の容疑者を石原慎太郎が差別丸出しで擁護! 松井市長ら維新も優生思想を批判せず“医療費削減の安楽死”推進に利用(リテラ)
http://www.asyura2.com/20/senkyo274/msg/548.html

2020.07.28 松井市長ら維新がALS 患者殺害の優生思想を批判せず安楽死推進に利用 リテラ    

 元厚労省医系技官である大久保愉一容疑者と山本直樹容疑者の2名の医師が、ALS患者の女性に薬物を投与し殺害した事件。容疑者らは殺害した女性とSNSを通じて知り合っただけで担当医でもなく、さらにツイッターや電子書籍で「高齢者や障害者は死んだほうがいい」という主張を繰り返す典型的な優生思想の持ち主だった(詳しくは既報参照→https://lite-ra.com/2020/07/post-5538.html)。

 メディアではこの事件を当初「安楽死」などと報じているが、「安楽死」や「尊厳死」と呼べるようなものではなく、容疑者たちのグロテスクな優生思想に基づいた命の選別にほかならない。

 いまの日本社会にはこうした容疑者たちとそっくりな主張をしている連中がほかにも多数いる。ネトウヨだけでなく、政治家や学者、メディア関係者までが平気で「老人は安楽死させたほうがいい」「障害者を生かしておくのは無駄だ」「税金を使っているのを申し訳なく思え」などといった暴論を叫んでいる──。

 そう危惧していたら、案の定、石原慎太郎が27日、ツイッターで容疑者たちをこう擁護した。

〈業病のALSに侵され自殺のための身動きも出来ぬ女性が尊厳死を願って相談した二人の医師が薬を与え手助けした事で「殺害」容疑で起訴された。武士道の切腹の際の苦しみを救うための介錯の美徳も知らぬ検察の愚かしさに腹が立つ。裁判の折り私は是非とも医師たちの弁護人として法廷に立ちたい。〉

 石原慎太郎といえば、都知事に就任したばかりの1999年9月に障害者施設を訪れ、「ああいう人ってのは人格があるのかね」「ああいう問題って安楽死なんかにつながるんじゃないかという気がする」と発言したり、相模原障害者殺傷事件についも「この間の、障害者を十九人殺した相模原の事件。あれは僕、ある意味で分かるんですよ」と理解を示すなど(詳しくは既報参照→https://lite-ra.com/2016/09/post-2583.html)、これまで日本社会に広がる“障害者排斥論”をさんざん煽ってきた。

 今回も、ALSを前世の悪行の報いでかかる病気という意味で、ハンセン病差別などにも使われてきた「業病」と表現し、殺人を「介錯の美徳」などと持ち上げるなど、差別性を全開したわけだ。

 しかし、今回の事件では、石原のような差別主義者の暴論よりもっと深刻な状況が起きている。それは、現役の政治家たちが今回の事件に乗じて、「尊厳死の議論をしよう」などと言い出していることだ。

 ほかでもない、「維新」の連中である。はじまりは、日本維新の会代表である松井一郎・大阪市長が、24日正午すぎ、「ALS患者を安楽死か 医師逮捕」というこの事件の一報をリツイートしたうえで、こうツイートしたことだった。

〈維新の会国会議員のみなさんへ、非常に難しい問題ですが、尊厳死について真正面から受け止め国会で議論しましょう。〉(7月23日 午後0時50分)

 この時点では容疑者が優生思想の持ち主であることがわかっていなかったとはいえ、すでに「主治医ではなくSNSで知り合った」ことは報じられており、多くの人が疑問を抱いていた。詳細もわかってないのに、こんな事件に乗じて前のめりで「議論しましょう」というのはあまりに軽率だろう。

■容疑者が優生思想ゆえの犯行だったことを知っても松井市長や維新議員は開き直り

 いや、松井市長にとっては、この容疑者たちが優生思想をもっていることを知っていても、同じだったのかもしれない。

 実際、容疑者の優生思想が発覚した後、批判を受けても、松井市長はツイートを訂正も撤回もしていない。それどころか、共産党の山本のりこ・大阪市議が〈今回の事件で殺害を犯した医師は優生思想を主張する人物で、そこに人間の命に対しての尊厳はありません。この事件を受けて尊厳死の議論を喚起するというのは優生思想、安楽死、尊厳死などの区別もついておらず、非常に危険であり首長の発言として問題だと思います〉と批判したことに対し、こう開き直ったのだ。

〈結局、共産党は難しい問題からは逃げる政党です。現実に難病患者の方が他人の手で命を絶ったのです。この様な悲惨な事案はこれまでもありましたが、国会でまともな議論がなされていません。政治家が難題課題を議論する当然の事です。〉

 維新のほかの国会議員たちも、同じような言動をしている。れいわ新選組の舩後靖彦参院議員がコロナ感染防止のため国会を欠席したことに対して歳費返納を要求したことで、障害者差別思想を露呈した音喜多駿参院議員がすぐに〈まさに避けて通れない問題です。まず議論を重ね、方向性と提言を出したいと存じます〉と松井市長に賛同。ネトウヨ・足立康史衆院議員は、松井市長の発言を批判した津田大介氏に対して、こうかみついた。

〈実際、今回の事件を契機に生きる権利/死ぬ権利、安楽死/尊厳死についての議論が活発になっています。私は良いことだと思いますよ。にもかかわらず津田さんは「今回の事件を機に」議論を深めようとする政治の取り組みを不適切不適格と断じる。津田さんのレッドラインを教えていただけると有難いです。〉

 いずれにしても、彼らの発言をみていると、今回の事件をとにかく安楽死正当化に利用したい気持ちだけがダダ漏れで、事件を生み出した優生思想そのものをまったく批判していない。

 あらためて説明しておくが、今回の事件は、ALS患者の生に寄り添い真剣に考えた上で止むに止まれず本人の意思を尊重したようなものではなく、優生思想の持ち主が「安楽死」の名を借りて殺人を犯しただけの可能性が高い。

「安楽死」「自己決定」の名のもとに、障害者や難病患者、高齢者が犠牲となってきた例は歴史上いくつもある。あのナチスが障害者を虐殺した「T4作戦」も、「安楽死」「自己決定」の名のもとに行われた。今回の事件はそうした危険な排外思想の延長線上にあるのだ。

■健常者の立場の「安楽死」の価値観を押し付け、障害者に延命を拒否させる維新の姿勢

 しかも、維新の連中が恐ろしいのは、ALS患者をはじめとする難病患者や障害者が置かれている状況への想像力をまったく欠いていることだ。

 自身もALS患者であるれいわ新選組の舩後議員が事件を受け、オフィシャルサイトにこう声明を出していた。

〈報道を受け、インターネット上などで、「自分だったら同じように考える」「安楽死を法的に認めて欲しい」「苦しみながら生かされるのは本当につらいと思う」というような反応が出ていますが、人工呼吸器をつけ、ALSという進行性難病とともに生きている当事者の立場から、強い懸念を抱いております。なぜなら、こうした考え方が、難病患者や重度障害者に「生きたい」と言いにくくさせ、当事者を生きづらくさせる社会的圧力を形成していくことを危惧するからです。〉

〈私も、ALSを宣告された当初は、出来ないことが段々と増えていき、全介助で生きるということがどうしても受け入れられず、「死にたい、死にたい」と2年もの間、思っていました。しかし、患者同士が支えあうピアサポートなどを通じ、自分の経験が他の患者さんたちの役に立つことを知りました。死に直面して自分の使命を知り、人工呼吸器をつけて生きることを決心したのです。その時、呼吸器装着を選ばなければ、今の私はなかったのです。〉

〈「死ぬ権利」よりも、「生きる権利」を守る社会にしていくことが、何よりも大切です。どんなに障害が重くても、重篤な病でも、自らの人生を生きたいと思える社会をつくることが、ALSの国会議員としての私の使命と確信しています。〉

 また、自身もALS患者である日本ALS協会副会長・近畿ブロック会長の増田英明氏も、患者の「死にたい」を鵜呑みにしないでとこう訴える。

「私たちの団体には、彼女のように生きることに迷う人たちがたくさんいます。そういう人を前にして苦悩する家族や支援者もいます。生きることよりもそうじゃない方が楽なのかもしれないと傾きそうになりながら、必死に生きています。彼女を死に追いやった医師を私は許せません。私たちが生きることや私たちが直面している問題や苦悩を、尊厳死や安楽死という形では解決できません。生きてほしい、生きようと当たり前に言い合える社会が必要」(京都新聞24日付)

 舩後議員や増田副会長も語っているように、仮に患者が「死にたい」と口にしたからといって、「死にたい」というのが本当に患者の希望と言えるのかどうか、それが時間や環境の変化で変わらないものなのかどうか、簡単に判別できるものではない。

 仮にその時点で「死にたい」というのが本心であったとしても、友人や家族に「死にたい」と相談されて、じゃあ死ぬ方法を一緒に考えよう・手伝おうなどという人はほとんどいないだろう。なぜ死にたいと感じているのか、その苦しみを取り除くにはどうすればいいか、考えるだろう。

 だが、維新の連中には、そういう視点はまったくない。まさに健常者が想像上で考えているだけの「苦しみながら生かされるのは本当につらい」という価値観を押し付けて、障害者や高齢者に死を選ぶよう圧力をかけているのだ。

■「透析患者は殺せ」の長谷川豊を公認し、大阪万博にも「医療費削減」思想

 しかし、考えてみれば、維新がこんな事件に乗じて「尊厳死の議論を」などというのは、ある意味、当然なのかもしれない。

 維新は、橋下徹・元大阪市長の時代から財政健全化のための福祉切り捨てを推し進めてきたが、その底流には、人間を経済効率でしかみない、新自由主義的な弱肉強食思想がある。

 実際、2017年の衆院選では、元フジテレビアナウンサーの長谷川豊氏を党の候補として公認。長谷川氏はその少し前に、〈「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ! 無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」〉と透析患者の殺害まで口にし、批判を浴びていたが、維新はまったく問題にしなかったのである。

 それどころか、2017年当時、長谷川氏の擁立を決めたことについて、維新の幹部は「維新の政策と長谷川氏の主張は近い」(産経ニュースより)などと語っていた。ようするに、長谷川氏の「透析患者は殺せ」発言が、維新の思想と大差ないということだ。

 たとえば、維新が推進する大阪万博にもその思想はあらわれている。大阪万博では「いのち輝く未来社会のデザイン」をキャッチコピーに、当初「健康」や「長寿」をテーマとし、「健康寿命の延伸」を訴えていたが、大阪府の基本構想では開催効果のひとつとして〈寿命の延伸による健康・長寿社会の実現、その結果として社会保障費の増加抑制〉をあげていた。また同万博について経産省が取りまとめた資料でも、健康寿命について〈我が国の医療費は、高齢者向けが約半分であり、入院関係が多くを占めている〉〈健康寿命が伸びれば、高齢者向け医療費が節約できる可能性〉などと書かれている。健康寿命が伸びることで、個々人がどのような豊かな生活を送ることができるかということではなく、医療費削減のことしか考えていないのだ。

 厚労省医系技官だった大久保容疑者は、ツイッターなどで、高齢者や障害者、生活困窮者にかかる医療や福祉の費用は社会資源の無駄であり、日本国の財政を逼迫させるだけ、早く殺してしまったほうがいいという主張を繰り返していた。

■コロナ禍で広がる「老人より若者の命を優先せよ」の命の選別論との合体

 本サイトは先日の記事で、大久保容疑者たちが語っていた高齢者排斥の優生思想は、この国の官僚と安倍政権の政治家たちの本音でもあると指摘したが、維新の政治家たちもまさに同じなのである。

 しかし、維新のこうした姿勢は批判されるどころか、今後、さらに勢いを増していくだろう。

 コロナ感染が拡大して以降、日本社会では、ICU病床や人工呼吸器、人工肺(ECMO)などの医療資源が限られた場合、高齢者より若者を優先すべき、高齢者は若者に譲るべきなどという意見が平気で語られるようになっているからだ。

 また、「高齢者しか死なない病気のために、若者の経済活動が制限されなくてはいけないのか」という意見も、ネットだけでなくワイドショーなどでもかなり普通に語られている。

 これらの議論について、災害現場などで行われる医療トリアージと同じようなものと勘違いしている向きも多いが、トリアージは、重症度や治癒の可能性に基づいて医療的に客観的に判断されるものであり、命の価値をはかるものではない。「高齢者より若者を優先すべき」などというのは、明らかに「命の選別」「優生思想」につながるものだ。

 今回の非道な事件をきっかけに、「尊厳死の議論をしよう」などと発言している維新政治家が次に叫び始めるのはおそらく、この「若者の命を優先しろ」という「命の選別」政策だろう。こんなファシストたちをこれ以上のさばらしてはならない。

6. 2020年7月29日 10:05:29 : t3EWg6GvGE : dUlkYS82WGlCcm8=[9] 報告
「私がどれほどつらいか」ALS女性つづった苦悩 難病患者とSNS交信
2020/7/29 西日本新聞


「話したいことはたくさんあるのに」。思いが伝えられないもどかしさがにじむ


 ≪私がどれほどつらくて悔しいかを聞いてほしいの! でもやっぱり患者にしか分からない。みんな自分のことで忙しいし≫−。


 自ら依頼し、医師2人に薬物を投与され亡くなったとされる筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の林優里さん=当時(51)。北部九州に住む神経難病のマイさん(29)=仮名=は林さんとみられる女性と会員制交流サイト(SNS)上でメッセージのやりとりを重ねていた。つづられた言葉からは、孤独や病のつらさを周囲に理解してもらえない苦しみが浮かび上がる。

 マイさん自身も難病により不自由な体で、医師が処方した致死薬を患者が自ら使う「自殺ほう助」が認められるスイスでの安楽死を望んでいる。交流のきっかけは、死のあり方を自ら選択する権利に関して書き込んだ林さんのものとみられるツイート。これを読んだマイさんが2019年5月、第三者から見えないダイレクトメッセージを送った。

 それ以来、メッセージを通じて思いを語り合ってきた。マイさんが孤独を打ち明けると≪根底にあるものは同じ孤独です≫と返信があり、こう続いた。≪「なんであんたたちそんな楽しそうなの!? 人がこんなにつらいのに!」。ほとんどの人は諦めてますが、友人たちにはしつこく訴えてしまいます≫

 林さんは、センサーが目の動きを感知する「視線入力」を使っていたとされる。具合が悪い中、苦労しながらメッセージを送っていたようだ。≪耳が痛くてかけません。話したいことはたくさんあるのに≫。思いを伝えられないもどかしさがにじんでいた。

 お互いに自分自身の安楽死を望みながらも、相手には生きていてほしいと願うような複雑な感情も吐露した。マイさんが「自分のことは棚に上げて 生きていてほしいとつらさを強要するように願ってしまう自分が憎いです」と送ると≪(マイさんの)スイス行きの準備が整うのを複雑に思ってしまいます≫と返ってきた。

 林さんが亡くなったのは11月。その前に、スイスの自殺ほう助団体を利用する場合にかかる費用について尋ねられたという。マイさんは「約110万円」と回答。それが、林さんが自ら金額を提示して振り込んだとされる130万円の根拠になったのではないかと推測している。

 父親らに遺言書を残すことについても相談を受けていた。≪文頭には私がどれほど死を望んでいるかが書かれていて、まずそれを理解してほしいと書いています≫。海での散骨を望む彼女のため、マイさんは業者を探す手伝いをした。11月中旬、感謝のメッセージを最後に連絡は途絶えた。

 マイさんは「SNSで知り合った私に頼らなければならないほど、周囲に相談できる人がいなかったのかもしれない」と語り、自身が抱える思いと重ねるように言葉を継いだ。「日常的にすごく孤独や疎外感を感じていたのだろう」 (斉藤幸奈)

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/630342/

7. 2020年7月30日 07:15:17 : Ngvb4PuuiA : ajRmYkhUeG9nQm8=[6] 報告
京都・安楽死殺人 灘高出身と厚労省出身のエリート医師たちの接点は勉強会「日本の医療に貢献したい」
2020/07/29

 全身の筋力が衰えていく難病「筋萎縮性側索硬化症」(ALS)を発症していた京都市の林優里さん(51)から依頼を受け、2人の医師が嘱託殺人容疑で京都府警から逮捕された事件で謎とされているのは、医師たちの接点だ。その真相が本誌の取材で明らかになった。

 
 逮捕された1人は、弘前大学医学部から厚生労働省の医系技官として勤務後、宮城県で開業した大久保愉一容疑者(42)だ。元自民党国会議員の妻が記者会見を開くなどし、その経歴、「安楽死」にのめり込んだ心情の一部が明らかになった。

 一方、もう一人の医師は山本直樹容疑者(43)。山本容疑者は関西出身で屈指の進学校、灘中学校から灘高校、そして東京医科歯科大学で学んだ後、千葉県救急医療センターに医師として勤務したという。

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「6年間、一緒に学びましたが、目立つこともなく、おとなしいヤツだった。覚えているのは、中学1年生の時に年齢がなぜか1つ上の13歳で不思議だなと思っていた」(灘中学、高校時代の同級生)

 
 同じ医師を目指すも青森県と東京都という別々の大学だった2人を結びつけたのは、医学の歩き方「Med−Pearls Sharing Project」という勉強会だった。当時のホームページを見ると、大久保容疑者は弘前大学6年生で副総括というナンバー2。山本容疑者は、ホームページのWEB MASTERと記されている。

 ホームページには<講義でもチュートリアルでもない、新しい形の学び方「学生発信型学習」により、学年の壁、大学の壁を超えてさまざまな医学のPearlsを共有 Share していくために作られました>と紹介されている。

 山本容疑者が感染症の専門家にインタビューしている記事も掲載されている。

<感染症とその魅力や今抱えている問題点と、国の医療について聞きたい>とインタビューした動機を記している。

 当時、学生として勉強会に参加していた、医師はこう話す。

「全国の医療系大学に在籍する、熱心で問題意識を持った学生が有志の集まりでした。基本的にホームページやネットを通した勉強会です。たまに、勉強会などで集まることもありました。けど、大久保容疑者と山本容疑者が特別に親しいと感じたことはありません。大久保容疑者は厚労省の技官となり、山本容疑者は千葉で救急救命をやっているということで、みんなそれぞれの道で頑張っているだと思っていた」

 山本容疑者は勤務していた千葉救急救命センター時代、アメリカへ研修にも行っている。その時の様子を山本容疑者がリポートしたものが今もネット上に残っている。

<この経験を活かして広い視点で日本の医療を見つめ、日本の医療の発展に救急診療の現場から貢献していきたいと思います>と意欲的な感想を記している。

 アメリカの研修で白衣を着ている姿を撮影した写真を自身のED治療のSNSに使っている。どこからも、今回の犯行をうかがわせるような気配はない。

「当時、2人から安楽死などについての論議などはまったくありませんでした。それどころか、立派な医師として活躍しているんだなと思っていた。今回の事件を知って、ビックリするばかりです」(前出・医師)

 その後、大久保容疑者と山本容疑者のつながりは、『扱いに困った高齢者を「枯らす」技術:誰も教えなかった、病院での枯らし方』という共著を電子書籍で出版していることだった。事件発覚後、電子書籍は買えない状態となっているが、紹介文にはこう記されていた。

<「今すぐ死んでほしい」といわれる老人を、証拠を残さず、共犯者もいらず、スコップや大掛かりな設備もなしに消せる方法がある。医療に紛れて人を死なせることだ。病室に普通にあるものを使えば、急変とか病気の自然経過に見せかけて患者を死なせることができてしまう。違和感のない病死を演出できれば警察の出る幕はないし、臨場した検視官ですら犯罪かどうかを見抜けないこともある。荼毘に付されれば完全犯罪だ>

 安楽死を思わせるような内容が列挙されていた。 事件の数か月前、大久保容疑者は「安楽死研究会」という掲示板をネット上に開設。

<(安楽死が)バレないための方法、についてのアドバイス>などと記し、<嘱託殺人、自殺幇助など、法にダイレクトに触れることが書かれると運営に削除されるおそれがあります>と違法性に言及するような記述もあった。

 かつては医師として理想を追っていた2人がなぜ、こんな事件を起こしてしまったのだろうか?

https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e4%ba%ac%e9%83%bd-%e5%ae%89%e6%a5%bd%e6%ad%bb%e6%ae%ba%e4%ba%ba-%e7%81%98%e9%ab%98%e5%87%ba%e8%ba%ab%e3%81%a8%e5%8e%9a%e5%8a%b4%e7%9c%81%e5%87%ba%e8%ba%ab%e3%81%ae%e3%82%a8%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%88%e5%8c%bb%e5%b8%ab%e3%81%9f%e3%81%a1%e3%81%ae%e6%8e%a5%e7%82%b9%e3%81%af%e5%8b%89%e5%bc%b7%e4%bc%9a-%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e5%8c%bb%e7%99%82%e3%81%ab%e8%b2%a2%e7%8c%ae%e3%81%97%e3%81%9f%e3%81%84/ar-BB17k6Bj?ocid=ientp

8. 中川隆[-11972] koaQ7Jey 2020年8月02日 06:30:46 : yVlHteqe6U : WlZyQ3E0R0lkTG8=[1] 報告
嘱託殺人 女性が「安楽死」依頼したのは1人だけ?
2020/08/01

 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の女性への嘱託殺人容疑で医師2人が逮捕された事件。出身大学や居住地が異なる2容疑者の接点は少なく、関係には謎も多い。捜査関係者によると、匿名のブログなどで「安楽死」を肯定し、女性とツイッターでやりとりしていたのは大久保愉一容疑者(42)だが、女性が対価とみられる現金を振り込んだのは山本直樹容疑者(43)名義の口座だ。大久保容疑者は山本容疑者の名前をかたっていたとみられる。

嘱託殺人 女性が「安楽死」依頼したのは1人だけ?© 産経新聞社 嘱託殺人 女性が「安楽死」依頼したのは1人だけ?
 昨年11月30日の事件当日。2人は京都市内の女性宅を偽名で訪れた。ヘルパーに席を外させると、わずか10〜15分で犯行を終え、逃走したとされる。

 捜査関係者によると、「安楽死」を望む女性と平成30年末ごろからツイッターでやりとりをしていたのは、大久保容疑者。だが、1年近いやりとりの中に、山本容疑者らしき人物は登場していない。

 一方、女性は主治医に対し、ALSの治療では専門外での山本容疑者を名指しして、紹介状を書いてほしいと依頼。また、犯行への対価とみられる現金130万円も、事件直前に山本容疑者名義の口座に振り込まれていた。女性は山本容疑者に「安楽死」を依頼したつもりだった可能性もある。

嘱託殺人 女性が「安楽死」依頼したのは1人だけ?© 産経新聞社 嘱託殺人 女性が「安楽死」依頼したのは1人だけ?
■同じサークルに

大久保、山本両容疑者の接点は少ないが、大学時代の約20年前には、同じサークルに所属していた。

 平成12年ごろ、全国の医科大の学生やOBらにより、学年や大学の壁を超えて医学知識を共有しようと設立された研究サークル。当時のホームページには1期生のナンバー2の「副総括」に大久保容疑者、2期生の役員に山本容疑者の名前が掲載されている。

 当時を知る医師の一人は、サークルを「インターネットを通じた勉強会」と説明。「大久保容疑者が通っていた弘前大から表彰された、と聞いたことがある」と振り返るが、「2人がそれほど親しかったという印象はない」と話す。

 北海道釧路市出身の大久保容疑者は弘前大医学部を卒業後、厚生労働省の技官を経て、宮城県内で呼吸器内科とメンタルクリニックを経営していた。一方、関西出身の山本容疑者は東京都内の医科大に在籍したが中退、海外の大学を卒業したとされ、千葉県救急医療センターなどで勤務。東京都内に勃起不全(ED)治療の専門医院を開いた。サークルでの接点以降、2人がどのような交流を続けていたのかは、よく分かっていない。

■共著で電子書籍

元同僚らが「おとなしい」「真面目で勤務態度は普通」と口をそろえる大久保容疑者と、知人らから「医師というよりビジネスマンのようだった」「金への執着がすごかった」と評される山本容疑者。大久保容疑者は匿名でのブログやツイッターで安楽死を肯定する意見を表明していたが、山本容疑者による同様の発信は確認されていない。

 だが5年前、2人の接点は再び表面化する。大久保容疑者は27年4月30日のブログで、山本容疑者と共著の電子書籍を出版すると紹介。書籍のタイトルは、「扱いに困った高齢者を『枯らす』技術」。現在は購入できないが、紹介文には「老人を、証拠を残さず消せる方法がある。医療に紛れて人を死なせることだ」などと、今回の犯行につながるような表現が散見される。

 京都府警幹部は「2人の役割分担や動機などを解明していく」としている。

https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e5%98%b1%e8%a8%97%e6%ae%ba%e4%ba%ba-%e5%a5%b3%e6%80%a7%e3%81%8c-%e5%ae%89%e6%a5%bd%e6%ad%bb-%e4%be%9d%e9%a0%bc%e3%81%97%e3%81%9f%e3%81%ae%e3%81%af%ef%bc%91%e4%ba%ba%e3%81%a0%e3%81%91/ar-BB17s3Mw?ocid=ientp

9. 2020年8月05日 13:15:59 : pBXIVseBbg : VG00b2F4R3R0eUk=[34] 報告
嘱託殺人被害者の知人女性が独白する「生き地獄」 安楽死はどう議論すべきか
週刊新潮 2020年8月6日号掲載
https://www.dailyshincho.jp/article/2020/08050557/?all=1


「私は林さんとも、“先生”ともツイッターのダイレクトメッセージでやり取りしていました。いま思えば、今回の事件に繋がる内容もありましたね……」

 複雑な胸中を明かすのは、“くらんけ”というユーザー名で、ツイッターでの発信を続ける20代の女性だ。

速報コロナ禍の「菅」vs.「小池」バトル 背景にある「湘南美容」利権

 彼女の語る“先生”とは、7月23日に京都府警が嘱託殺人容疑で逮捕した大久保愉一(よしかず)容疑者(42)。共犯の山本直樹容疑者(43)を伴って、ALS患者の林優里さん(51)を殺害したとされる。

 昨年10月末、大久保容疑者はくらんけさんにこんなメッセージを送っていた。

〈〇〇氏(林さんのユーザーネーム)はご存じですか?〉〈以下極秘でお願いします〉〈わたしのツイをみて、人生に終止符を打ってほしいと〉〈近々〇〇氏の家にいくことになりました〉

 そして、

〈とにかく魂だけでも救ってきますわ〉

 林さんが実際に命を落としたのは、それから1カ月後のことだった――。

 社会部記者によれば、

「大久保と山本のふたりが京都市内にある林さんのマンションを訪れたのは、昨年11月30日の午後5時半頃です。彼女は2011年にALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断され、当時は寝たきり状態。24時間態勢で介護を受けていました」

 事件当日、林さんはヘルパーに“知り合いが来る”と伝え、面識のない大久保容疑者と山本容疑者を自宅に招き入れた。ふたりは10分ほどで彼女の部屋を後にしている。

「その直後に林さんの容態が急変し、主治医が駆けつけるも119番通報した時には林さんは呼吸停止状態。その日の夜に死亡が確認されました。死因は急性薬物中毒。京都府警が捜査に乗り出し、マンションの防犯カメラ映像をもとにふたりを割り出したのです」(同)

 京都出身の林さんは、同志社大学を卒業後、アメリカ留学して建築を学び、帰国後は都内の設計事務所に勤務。ALS発症以降は実家のある京都に戻り、現場となったマンションでひとり暮らしをしていた。

 他方、容疑者のひとり、山本容疑者の口座には犯行の前に彼女から約130万円の現金が振り込まれていた。

 山本容疑者は都内のED(勃起不全)治療専門クリニックで院長を務めており、彼を知る人物によれば、

「港区のタワマン住まいで、ビジネスに明るいドクターという印象。ED治療のクリニック以外に、ヨウ素を原料にしたがん治療薬を製造する会社を立ち上げ、海外からの投資も募っていた。そのビジネスはマユツバでしたが、彼自身は温厚で、押しに弱い性格。安楽死に強い思い入れがあったとも聞かない。共犯者に引っ張られて犯行に加担してしまったんじゃないか」

 その“共犯者”こそが、宮城県名取市で呼吸器内科や精神科のクリニックを営む大久保容疑者だった。彼はブログやツイッターでたびたび、あるキャラクターへの憧れを綴っている。

〈やっぱりオレはドクターキリコになりたい〉〈もうじきニッチな商売を始める。合法的ドクターキリコとでもいうべきか〉

 手塚治虫の代表作『ブラック・ジャック』に登場するドクターキリコは、元軍医で、苦痛に苛まれる患者にカネで安楽死を施し、“死神”と呼ばれる異端の医師だ。安楽死に強いこだわりを持つ大久保容疑者が、自身を重ね合わせたとしても不思議はない。

 先のくらんけさんはこう語る。

「確かに、先生の行為は現行法上、許されることではないのかもしれません。しかし、林さんはまだ治療法が確立されていないALSを患って苦しみ、“死にたい”と強く願っていました。そこに現れたのが先生だった。振り返ってみると、この“事件”が起きたのは当然の流れだったように思えるのです」

林さんのメッセージ(くらんけさん(@IrreKranke)提供)
亡くなった林さんは苦境を訴え続けた(くらんけさん(@IrreKranke)提供)(他の写真を見る)

「こんなに辛いのに!!」
 林さんが自ら死を望むほど闘病生活に苦悩していたことは、彼女のブログからも明らかだ。

〈普通にしてるのに眉間にしわの辛そうな顔。唾液が垂れないようにペーパーと持続吸引のカテーテルもくわえ、操り人形のように介助者に動かされる手足。惨めだ。こんな姿で生きたくないよ〉〈自分では何ひとつ自分のこともできず、私はいったい何をもって自分という人間の個を守っているんだろう?〉

 くらんけさんが続ける。

「林さんは私が安楽死関連のツイートをしているのを見てフォローしてくれました。彼女はとても我慢強い性格で、いつも“しっかりせなアカン!”と自身を鼓舞していた。それなのに、昨年の夏頃から落ち込んだ様子のツイートが増え、1週間ほど更新が止まることも。亡くなる直前には“いますぐ死にたい”と頻繁に書き込むなど、心身ともに参っているようでした」

 林さんがくらんけさんへのメッセージで心情を吐露することもあった。

〈「なんであんたたちそんな楽しそうなの?! 人がこんなに辛いのに!!」ほとんどの人は諦めてますが友人たちにはしつこく訴えてしまいます。「そうじゃないの、私がどれほど辛くて悔しいかを聞いて欲しいの!!」でもやっぱり患者にしかわからない〉

 日本ALS協会の会長で、患者でもある嶋守恵之氏は、本誌(「週刊新潮」)に寄せたコメントで彼女への理解を示す。

「気持ちはよくわかります。身体が動かないのは自分だけで、この苦しみは自由に動ける人には決してわからないと思うこともある。声も出せないので、時には大声で泣く赤ちゃんさえ羨ましくなります。動けないし飲食もできず、いったん落ち込むと気分転換することも難しいです。家族の笑顔に恵まれている私は幸運だと思います」

 林さんが病苦と孤独に苛まれる日々を“生き地獄”と捉えたとしても、それを責めることはできまい。

 そんな彼女が、くらんけさんと親交を深めていったのには理由がある。

 実は、くらんけさんも6歳で神経系の難病を発症し、20年以上にわたって闘病生活を送ってきた。病状が進行した現在は、両足や手首から先はほとんど動かせない。そして、彼女はある選択肢に行き着く。それがスイスでの安楽死だった。

 スイスでは医師が自殺を幇助する行為が容認されており、彼女は昨年“ライフサークル”という自殺幇助団体に入会し、安楽死に向けた手続きを進めた。

 申請には本人の希望を記した嘆願書や、医師による診断書などが必要となる。しかし、彼女が治療を受けている病院は診断書を書くこと自体が“自殺幇助”に当たるとして拒否。結局、知り合いの医師に依頼して診断書を書いてもらい、昨年10月、ついに団体から“幇助可能”とされたのだ。いわば“安楽死の権利”である。

「両親はいまだに葛藤しているものの、私がスイスに渡航することは了承してもらいました。コロナの影響でまだスケジュールは未定ですが、年内には渡航する予定です。ただ、現地に渡っても医師の診断を受けている期間はキャンセルが可能なんですね。私もそれまでに生きる理由が見つかれば安楽死をしないかもしれません」(くらんけさん)


生きることに絶望
 くらんけさんは林さんだけでなく、大久保容疑者ともメッセージの交換を重ねた。

「スイスのライフサークルから幇助可能とされた私のことを、先生は“師匠”と呼んでいました。彼は呼吸器内科医として肺疾患で苦しみながら亡くなっていく高齢者をたくさん看取ってきたそうです。そして、患者から“死なせてくれ”と言われても何もできない自分を歯がゆく感じていた。とはいえ、林さんの自宅を訪れると知らされた時も、まさか嘱託殺人を計画しているとは思いませんでした。“うちで引き取る”という言葉もあったので、林さんを転院させて緩和ケアを行うのだと思っていました。ただ、去年の11月13日に彼女から“ライフサークルに支払った費用を教えてほしい”と尋ねられたんです。ほぼ同額なので、いまにして思えば、先生たちに渡す金額の参考にしたのかもしれません」

 その後、林さんと連絡が取れなくなったが、

「てっきり病気が原因で亡くなったのかと……。先生とのやり取りは続けていましたが、逮捕の1〜2週間前に彼のアカウントが削除されたんです。復活したと思ったら“警察が来てお縄になったらどうしよう”“こんな妄想をするようになったら終わりだな”といったツイートが投稿されては削除される。その頃には、私のメッセージへの返信もなくなりました」

 まもなく逮捕された“容疑者”と、息を引き取った“被害者”の双方を知るくらんけさんは、

「先生が100%悪いとは思いません。もちろん、罪の意識もあったでしょう。いままで何もできないまま多くの患者さんを看取ってきたことへの罪滅ぼしという意味合いもあったはずです。しかも、林さんは生きることに絶望していた。ふたりの気持ちを考えたら、先生を有罪にしてしまって本当にいいのでしょうか」

 実は、林さんは、ジャーナリスト・宮下洋一氏のツイッターアカウントにも、18年4月にメッセージを送っている。

〈ALS患者です。発症して7年になります。体は動きません。食べることも話すこともできないけど、人工呼吸器は着けていません。視線入力のPCで書いてます。ディグニタスでの安楽死を受けたいと考えていますが、付添い人が必要です。付添い人が自殺幇助罪に問われるか?という問題にぶち当たっています。どうすればそれを判明できるか、何か助言を頂けますか?裁判を起こすしかないのでしょうか?〉

 宮下氏は17年12月に、世界6カ国の安楽死事情を詳細に取材したルポ作品『安楽死を遂げるまで』を上梓しており、林さんも読者のひとりだった。メッセージにある“ディグニタス”は、この本に登場するスイスの自殺幇助団体である。

「林さんに限らず、私のところには難病の患者さんから多くのメッセージが届きますが、返信は一切していません。私は医師でも弁護士でもなくジャーナリストなので、彼らに助言をする立場にないからです。一方で、たとえ医師であっても、安楽死が認められていない日本で今回のような事件を起こせば罪に問われる。それは当然のことですし、これまで安楽死を取材してきた私としても、酷い事件だと感じています」(宮下氏)

 安楽死を容認するオランダには“かかりつけ医制度”があるという。

「つまり、長らく患者を診てきた医師が、患者の容態を考慮して、また、その価値観や死生観までも理解した上で最期を看取るわけです。そうすることで残された家族も納得する。今回の事件では、逮捕されたふたりの医師がどこまで林さんのことを理解していたのか疑問が残ります。少なくとも、彼女のご遺族は彼女の死を悔やんでいる。安楽死は本来、家族が同意し、誰も傷つかない状況が理想です。その意味でも、今回の事件は安楽死と呼ぶに相応しくありません」

 実際、林さんの父親も容疑者への憤りを隠さない。

「ALSと診断された時、優里はただただショックを受けていました。ベッドから転げ落ちて、自分で起き上がれなかった時など私に抱きついて号泣していた。それでも、優里から弱音を聞いたことはありませんでした。安楽死については全く聞かされてないし、相談を受けていたら思い留まるように説得した。犯人のことは……、許せないです」

一人称の視点
 京都府警は犯人逮捕に際し、東海大学医学部付属病院で起きた安楽死事件に対する1995年の横浜地裁判決を考慮している。この地裁判決は、〈耐えがたい肉体的苦痛がある〉〈死期が迫っている〉〈他に苦痛を緩和する方法がない〉〈患者の明らかな意思表示がある〉の4要件を満たせば、日本では基本的に認められない“積極的安楽死”が例外的に許容されるとした。

 だが、法律でも厚労省のガイドラインでも最高裁判例でもない、四半世紀前の地裁判決だけが安楽死の“基準”となっている点には、やはり疑問が残る。

「日本では安楽死どころか、尊厳死すら認められていません。ガラパゴス化した終末期議論を打開しないと同様の事件が繰り返されてしまう」

 危機感を募らせるのは、日本尊厳死協会の長尾和宏副理事長である。

 ここで言う安楽死とは医師が致死薬を患者に投与する“積極的安楽死”のことで、患者の意思に基づいて延命治療を控える“消極的安楽死”、いわゆる尊厳死とは全く別物である。

「今回の事件は嘱託殺人であり、言語道断です。しかし、いまの私たちに必要なのは被害女性の“一人称”の視点に立つこと。林さんには親も主治医もケアマネジャーもいましたが、それでも死を望んで外部に助けを求めました。どうか彼女と同じ立場で考えてほしい。そうすることでしか、この問題に関する議論を成熟させることはできません」(同)

『安楽死で死なせてください』の著者である、脚本家の橋田壽賀子氏も、

「国が法整備をせず、曖昧にしてきたせいで今回のような事件が起きてしまった。たとえば本人と家族の意思を確認し、医者や弁護士などの審査を経て許可が下りれば安楽死が認められる。そうした選択肢も考慮すべきじゃないでしょうか」

 他方、先の嶋守氏はこう指摘する。

「難病患者の死ぬ権利についての議論には不安を覚えます。生きるための励ましや社会支援がおろそかにならないか心配だからです。難病患者でも生きられる環境を整えることが大切だと思います」

 無論、命という究極のテーマについて誰もが納得する答えを見出すのは難しい。ましてや現実の法整備となれば、困難を極めるだろう。しかし、安楽死をタブー視して議論すら封じる社会では、いずれまた悲惨な事件が繰り返されかねない。問題への理解を深め、血の通った議論を進める努力は必要だろう。第二、第三のドクターキリコを出さないためにも。

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