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貧富のある共産主義について 投稿者 匿名希望 日時 2002 年 9 月 28 日 09:17:35:

(回答先: 「共産主義国家」の破綻原因 − 所有形態や計画経済にあらず − 投稿者 あっしら 日時 2002 年 9 月 28 日 00:02:53)

貴殿の展開される「余剰通貨諸悪の根源説」を出発点とすると、「貧富の差を認める共産主義」が終着駅のひとつになりうることは意外な結末ではありません。貴殿と似た問題意識を持つ我々も、レッセ・フェ-ルで万事片付くなどとは思っておらず、むしろ市場至上主義をその根本原理として貫く分野(経済A)の環境整備と利潤を最終動機としない公共的部門分野(経済B)の効率化を伴う再構築が国家再生プランの中でも最重要項目のひとつになっています。即ち、非資本主義的要素をどうハンドルするかを考えることなく国家運営をうまく進めることはできないとの認識があるということです。

貴殿の理論を突き詰めると、(個人経営を含む)あらゆる事業体の私的所有は禁止され、国家ないし集団所有のみが認められる(これにより余剰通貨が企業段階でもし発生したら国家がすべて吸い上げる)、能力に応じた報酬の差はあるが、他人より多くの報酬を得たからと言ってそれを増殖させる行為は禁じられる(全て消費に回す以外に使い道はない)、そういう社会でしょう。

貴殿の掲げられた『「共産主義国家」が破綻した要因』についても幾つか言いたいことがありますが、ここでは上記に対する原理批判のみにとどめたいと思います。

仮に明日世界の全ての国が貴殿の言われる「ネオ・コミュニズム」にガラッと変わったと空想してみます。まず認めなければならないのは、そういう世界はそれなりの安定性を持って続いて行くということです。別の経済原理を信奉する国家群がなければ、また、法制度上そのような経済形態を転覆することが不可能であれば、当然とも言えます(今より生産手段や技術の整わなかった中世や古代の社会もそれぞれに継続したわけですから)。問題は、現実にそんな社会の実現が可能か、ということよりも、そうした世界が果たして「今よりマシ」な世界か、という点に(少なくとも原理批判の段階では)議論は絞られるべきでしょう。

私は、資本主義と共産主義とを分かつ根本的なキーワードは「競争原理」だと思っています。競争による優勝劣敗を通じてマクロで見た果実を競争のない世界(共産主義)よりは大きく得られる、これが資本主義の本質だと考えます。貴殿のネオ・コミュニズムは能力に応じた報酬の差別はつけても、多分、事業体の優勝劣敗(企業の倒産)は認めないのだと思います。そうするとこれは必然的に計画経済になります。つまり、財貨Aを産出する企業数と従業員数はこれこれ、サービスBを産出する企業数と従業員数はこれこれ、とかつてのゴスプランがやっていたのと同じ事をやることになってしまうのです。「こんなアイデアがあるが、社会が受け入れるかどうか分からん。とにかくやってみよう。」という一番ムキ出しの形での起業家精神も、こういうシステム下では実質的には入りこむ余地がないでしょう。つまりは、貴殿は「所有形態以外は」あまり資本主義社会とは変わらないと考えておられるネオ・コミュニズムも、やっぱり資本主義とは大違いで、待っているのは「退出と参入の進まない」計画経済でした、ということになるのではないでしょうか。

社会の原動力としての役割を「報酬の差別化」に期待しておられるのだと思いますが、資本化して増やして行く事を禁じられた貨幣にどれだけの魅力を民衆が感じるのか疑問があります。最低報酬と最高報酬を何倍まで認めるのか、残された貨幣は死後相続が認められるのか、などの問題も重要です。どうも行きつく先はかつての社会主義諸国とさほど変わらないような経済社会にしかならないのではないか、という危惧を禁じ得ません。

他への優越の願望、それを実現するための競争の展開、これを下支えする私的財産所有制度への固執は人間の本能に近いと言えるほどに根深いものだと感じます。それゆえに(ネオ)コミュニズムの実現性は薄いということのみならず、その私的所有を全否定した社会に活力が生まれうるか、という点は多いに疑問があります。

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