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【世界経済のゆくえ】米国経済のゆくえ 《現在の「ドル安」傾向の意味》 投稿者 あっしら 日時 2002 年 6 月 28 日 20:58:05:


第二次世界大戦後の世界経済が、米国経済及び米国通貨ドルを基軸として動いてきたことは言うまでもないだろう。

米国の経済力を基礎とし、米国政権の意向を反映した国際機関であるIMFと世界銀行を調整機能とした「ブレトンウッズ体制」と呼ばれるこの世界経済構造は、米国が望まずとも経済覇権を手にすることになるものである。

米国は、紆余曲折はあったとはいえ、55年以上経った今なお経済覇権を維持している。
米国が経済覇権を維持する条件は、米国経済がその国際的機能を果たし続け、米ドルの信認性を保持することである。

戦後のある時期から、米国の経済覇権維持条件は、上記のような並列的なものではなく、米国経済がその国際的機能を果たすことで米ドルの信認性を維持するという直列的なものに変容したと考えている。


■ 米国経済の国際的機能

米国は、食糧・原材料・工業製品・労働力がバランスよく確保されており、近代世界で最高度の“自給自足”が実現できる国家である。
米国に次ぐ条件を有していた国家は旧ソ連であるが、「戦時共産主義国家」として歩み続けるなかで崩壊してしまった。(ロシアも潜在的には第2位だと考えているが、この10年間でさらに経済条件を悪化させてしまった)

「自給自足国家」が、世界経済の覇権を握ることはできない。

米国は、覇権国家としての国際的役割を、180度異なる二つの立場でこなしてきた。

一つは世界最大の「債権国家」として、もう一つは世界最大の「債務国家」としてである。

「債権国家」としての米国は、資金貸し付け機能を果たしながら産業再建のための生産財や農産物を輸出し、貸し付けの返済を実現するために諸外国が生産した製品を輸入し続けた。
この過程の米国は、貿易収支も経常収支も黒字を計上し続けた。
期間的には、65年までと言うこともできるし、70年までと言うこともできる。
65年から本格化した「ベトナム戦争」は政府勘定でのドル流出を増加させてゆき、68年頃からは貿易収支も赤字に転じたため、“ドル不安”が急速に広がった。
この時期の“ドル不安”は、金1オンス=35ドルというドル為替金本位制であったため、外貨準備に余裕がある国家に兌換を促すものだった。
68年からは外交的に兌換を止めようとしたが、71年8月には、公式に兌換を停止した。

そして、戦後世界経済そして「近代経済システム」の一大転換期と考える70年代を経て、米国の経済的役割は明確に変わった。

米国は「プラザ合意」が行われた85年を境に「債務国家」に転じた。

「債務国家」としての米国の国際的経済機能は、高率関税や輸入割当などの輸入制限を伴いながらの輸入拡大と輸入をファイナンスするための対外債務の拡大である。

日本をはじめとするアジア諸国は、経済発展の推進力を米国向け輸出拡大に求めた。
米国向け輸出を拡大し、経常収支が黒字であれば、外貨準備の多くを米国政府証券(国債)に代えていった。さらに、余剰資金を保有する経済主体は、世界で最強最大の国家である米国の国債の購入や米国株式への投資という対米証券投資を行った。

(“貿易摩擦”を避けるために、米国本土に製造拠点も投資した。これが、経済合理性ではなく“貿易摩擦”という政治的配慮で行われたものであるのなら、論理的なものではあるが、自社が生産するものを買ってもらうための人をわざわざ雇用したとも言えるだろう)

お金がないお客にお金を貸して、自分のところの商品を買ってもらうという構造である。(歴史的現実としては、自分のところの商品を買ってもらったためにお金を減らしてしまったお客にお金を貸して、以降も、商品を買い続けているもらうようにした構造)

冷静に考えれば実に危険な構造が長年に渡って維持されてきたのは、経済発展への希求だけでは説明できるものではなく、米国が債務を順次返済し続けるいう認識と米ドルが持っている国際的通用性(原油でも何でもどこからでも米ドルで買える)に支えられていたからである。

外貨準備の多くを占める米ドルは、71年を境に、金資産と同等の価値があるものから、「借用証書」に変わった。

アジア諸国を取り立てて語ったのは、アジア諸国が世界のなかでも際だった経済成長を続けて輸出を拡大してきたからである。
その象徴とも言える貨準備は、日本がトップだが、

 1位:    日本:3,951億ドル
 2位:ユーロ圏諸国:2,529億ドル
 3位:    中国:2,276億ドル
 4位:    台湾:1,286億ドル
 5位:    香港:1,115億ドル
 6位:    韓国:1,060億ドル
 7位:シンガポール:  747億ドル
 8位:    米国:  679億ドル
 9位:   インド:  521億ドル
10位:  メキシコ:  462億ドル


と、中国だけでユーロ圏諸国全体の外貨準備高に迫る勢いである。

経常収支が黒字基調であれば、「借用証書」として外貨準備を積み上げ続ける意味はそれほどないが、外貨不足に苦しんだ歴史的経緯もあり豊かさの象徴と考えられたり、金に組み替えるという動きの“危険性”を察知しているからであろう。
(米国の外貨準備のほとんどは8,000トンにも上る金である)

国民経済的視点から見れば、戦後世界経済構造で積み上げられた外貨準備は、基本的に、それに対応する自国通貨が供給されているのでチャラである。

日本は、外貨準備高にとどまらず「借用証書」としての外貨準備高でも世界トップである。

米国は世界最大の「債務国家」として、商品を持ち込む商人に笑顔を振る舞い、その商人の国家(中央銀行)からお金を借りて支払いにあてているのである。(もちろん、全額ではなくごく一部だが)

現在の米国は、このような国際的経済機能を果たすことで、経済的覇権を維持していると言える。

しかし、「債務国家」だからと言って、すべての経済主体が債務を背負っているわけではない。経済主体も様々な債権と債務を抱えているが、ドルの信認性に関わる債務問題は、米国連邦政府が抱えている対外債務であり、政府債務の全体である。

米国が経済覇権を維持する条件は、このような「債務過剰国家」状態を続けていくか、諸外国から輸入を続けながら「債務過剰国家」から脱却するかという二者択一である。

ドルの還流が停滞し「債務過剰国家」を続けられなれば経済覇権を失う。
「債務過剰国家」から脱却するために輸入を大幅に制限してしまうことでも、経済覇権を失う可能性が高い。


■ 米国経済にとっての「ドル安」の意義

このところ「ドル安」の動きが強まっている。
「ドル安」は、一般的に、米国の国際競争力を高め、貿易収支の赤字減少をもたらし、それを通じて経常収支の赤字を減少させると考えられている。

ブッシュ政権も、「ドル安」傾向を放置し、米国の産業基盤を強化するものと歓迎の姿勢を示している。

大きな国際的経済変動がないなかで起きている今回の「ドル安」傾向が、何らかの目的で進んでいることは間違いないが、米国企業の国際競争力を高め米国の産業基盤を強化する目的で進められているとは考えられない。

71年の兌換停止を契機にした「ドル安」傾向でも、政治的な力まで行使して進められた85年の「プラザ合意」後の「ドル安」傾向でも、米国企業の国際競争力が高まることはなかったし、米国の産業基盤も強化されなかったからである。


71年の「ドル安」は、米国の国際競争力を高める意図として進められたと考えている。
しかし、日本及び西ドイツとの国際競争力格差は縮まるどころか広がっていった。

85年の「ドル安」は、ドル資産ベース経済主体の対外投資効率を高めるとともに、米国(政府及び経済主体)の対外債務を軽減するために実施されたと考えている。

米ドルが日本円に対して40%減価すれば、日本に対するドル建て債務を40%切り捨てたのと同じ効果が得られる。
1億ドルの対米債権を保有している経済主体は、1ドル=100円であれば、日本円評価で100億円の債権を持っていることになるが、40%の「ドル安」である1ドル=60円になれば、60億円の債権価値しかないことになる。

しかし、この「作戦」は、既存債務に対しては効果があるが、新規債務や債務の減少にはつながらないものである。
なぜなら、産業基盤そのものが空洞化している米国が国際競争力を回復する度合いは低い一方で、輸入物価が上昇する影響度のほうが高く、貿易収支の赤字も拡大し、財政赤字も増大するからである。(米国市場をあてにしている企業は、「ドル安」になったからといっても販売量を減らしたくないので、ドル安比率と同じ比率でドル建て価格を上げないので、インフレと貿易赤字拡大はそこそこ抑制される)

これは、「プラザ合意」後の貿易収支の赤字拡大と財政赤字の増大で実証されている。

今回の「ドル安」がどのような意図で進められているか今のところ不明だが、米国経済主体の対外投資効率のサポートや“既存債務の切り捨て”の可能性があると考えている。

6兆ドル(720兆円)の政府債務のうち50%の3兆ドル(360兆円)が対外債務だとして、20%の「ドル安」になれば、6千億ドル(72兆円)の債務切り捨てになる。
「プラザ合意」後の推移で、「ドル安」効果が過去の債務に対してしか働かず、さらに債務が拡大していった歴史的現実を知っているはずだから、“債務切り捨て”が目的だとすれば、政府債務の上限に到達しながら上限の引き上げが議会に承認されないという状況で採った窮余の策なのかもしれない。


米国政権は、ある時期から、「債務国家」としての道を邁進する決意を固めたと思っている。

81年に誕生したレーガン政権が採った“ドル高政策”は、金融資本的収穫をサポートし、米国が「債務国家」として生きていく決意の現れだと考えている。
ペーパーマネーでしかないドルの価値をできるだけ高くすることで、金融資本を中心とした米国経済主体の対外投資を有利にすると共に、輸入物価を低く抑える条件を手に入れた。

「ドル高」とレーガン政権が採った経済政策がシンクロして進むことで、対外直接投資(製造拠点の外国への移転を含む)や対外証券投資が膨らみ、貿易収支赤字も増大していった。(それまで米国内で生産されていたものがメキシコなどで生産されるようになれば、その分だけでも輸入が増加する)

個別産業資本の論理として、土地も労働力も安い国に製造拠点を移し、輸入条件が良くなった自国市場に輸出するというのは理に叶っている。
ドルベース経済主体は、欧州やアジアの企業を相対的に少ない金額で買収することができる。株式などの証券投資も世界各地で有利に行える。


そして、85年に「プラザ合意」が実施された。(各国が「ドル売り自国通貨買い」の介入を行った)

「ドル安」になることで、外国で所有している資産評価はドル建てで上昇することになる。
40%の「ドル安」であれば、100億円=1億ドルの資産が、100億円=1億4千万ドルとして評価されるようになる。
そこで生産される製品も、100万円=1万ドルの手取りであったものが、100万円=1万4千ドルの手取りになる。(無競争に近いことで値上げしても確実に同じ量を米国に輸出できるという条件だが)

株式投資の場合は、100億円で買った株が120億円に値を上げていれば、1億ドルの投資が2億ドルになって戻ってくることになる。(日本円ベースでは20%の利益だが、ドルベースでは100%の利益になる)

為替投機であれば、1日で大きな利益を手に入れることができる。
一日で為替レートが5%変動すれば、年率1,825%の利益を上げることができる。


このように、「ドル高」と「ドル安」が予めわかっていれば、その変動を利用するだけで、ドルベースの資産を大きくできるのである。

「バブル崩壊過程」の93年から95年にかけて起きた「超円高・ドル安」の背景も窺い知ることができるだろう。


今回の「ドル安」の動きは、果たして何が目的なのであろうか。


■ 米国の国際収支と政府債務

米国の経済覇権が維持されるためには、経常赤字を増大させても輸入を継続し、なおかつ、米ドルの信認性を保持しなければならない。(財政赤字も輸入下支え効果がある)


2000年ベースの米国の国際収支は以下の通りである。


     経常収支    経常収支内訳     資本収支
           貿易サービス  所得
====================================================================
米国 −4,446  −3,757  −147  4,442
日本  1,168     690   576   −313


この年の米国経済の貿易依存度は、輸出依存度が10.5%で、輸入依存度が12.7%である。(日本は、輸出依存度:10.1%、輸入依存度:8.0%)

経常収支赤字の85%は貿易サービス収支の赤字で占められている。
所得収支の赤字は、米国債の対外利息支払い額(推定1,500億ドル)未満だから、民間経済主体は1,000億ドル(約12兆円)を超える黒字であると推測できる。

際だっているのは、経常収支の赤字額に匹敵する資本収支の圧倒的な黒字額である。
経常収支の赤字額と資本収支の黒字額がほぼ同額であるということは、米国国民経済の貯蓄率がほぼ0%であることを意味する。

このような国際収支状況から、米国は、資本収支の黒字額である4,400億ドル(約52兆円)のドル還流が維持されなければ、財政のみならず国民経済そのものが維持できないことがわかる。

米国債購入に向けられる還流資金は1,500億ドル(約18兆円)未満と推定されるので、3,000億ドル相当は、株式投資・債券投資・直接投資などのかたちで民間経済活動に流れ込んだはずである。

米国が基本的に「ドル高・高金利政策」を採る背景は、このような国際収支状況である。
「ドル安傾向」が続けば、対米金融投資はドル建てで少々の利回りがあっても、円ベースでは損失になる。(10%の利回りでも、10%超の「円高」になれば、損をする)
他の先進諸国よりも金利が低ければ、国際資金はより金利が高い国に向け流れる。

もう一つ重要な問題は、株式市場の動向である。

対米株式投資は、外国経済主体が、米国経済主体と株式を媒介とした経済取引を行うことである。外国経済主体が株式を買えば、ドルが米国経済主体に移転し、外国経済主体が株式を売れば、ドルが外国経済主体に移転する。
株式は株式市場では価値があるが、株式そのもので経済活動を行うことはできない。株式を売却したり、株式を担保に借り入れを行ったり、配当金を受け取ることで、経済活動にはじめて充当することができる。

93年から米国株式市場は値上がりを続け、ピークの99年には93年の3倍に達した。
この間に、「米国の繁栄」に乗っかって株式値上がり益を狙う外国経済主体の資金が大量に流入した。これは、その過程で、米国経済主体が、株式をドルに転換したことを意味する。

「株価の値上がり状況」は、それが顕著であればあるほど、現金を株式に転換して将来の売却益を狙う行動を加速する。

そして、2000年3月にナスダックの「ITバブル」が崩壊し、2001年4月にはNY株式市場が値下げ基調に転じた。
米国の株式市場は値下げ基調に転じたというより、ナスダックでは崩壊(1/6以下)の様相を見せた。

「株価の値下がり状況」は、それが顕著であればあるほど、株式をできるだけ早く現金に転換して損失を少なくしようとする行動を促進する。
「株安」に「ドル安」に加われば、その行動に拍車をかけることになる。


最近の「株安」・「ドル安」・「低金利」という動きは、そろいも揃って、ドルが他の通貨に向けられる要因である。そして、「株安」と「ドル安」は、相互連関的にその動きを加速する。

米国当局がこの動きを押しとどめて他の通貨資産をドルに向けさせたいと考えるのなら、「高金利」と「ドル高」の政策を採ることはできる。

FRBが政策金利を引き上げれば、株式にではなくとも債券に向けてドルがより還流するようになる。
ブッシュ政権が「ドル高」追求姿勢を見せれば、日本当局の口先介入とは違って、「ドル安」の流れは反転する可能性が高い。
貿易に伴う決済や証券投資の決済に伴うドル為替の売買額とは比較できないほどの資金が外国為替市場に注ぎ込まれているのだから、投機資金の思惑が短期的な為替レートの動向を左右する。(長期的には、それぞれの通貨の国際的裏付けである国際商品の労働価値(生産性)の比較にふさわしいものに収斂する)


米国の政府債務は、6兆ドル(約720兆円)にまで積み上がっている。今年度の財政赤字は1,500億ドル(約18兆円)と予測されている。
6兆ドルという政府債務は、利払いだけで最低でも3,000億ドル(約36兆円)に達する。そして、その半分である1,500億ドル(約18兆円)以上は外国経済主体に流出する。「ドル安ユーロ高」傾向のなかで、それらが、ユーロよりも金利が低いドル金融商品にとどまる割合は極端に低いはずである。
これは、財政赤字を埋めるための新規発行国債や借換国債に向けられる資金が減少することを意味する。

ドルが還流するルートは、経常収支黒字国の中央銀行が新たに積み上げる外貨準備に絞り込まれていくことになる。それが、米国債の支えになる。


現在進んでいる経済事象は、93年から99年まで続いた経済事象の裏返しである。


■ W.ブッシュ政権の“覚悟”

81年に誕生したレーガン政権は、「債務国家」として歩む道を選択した。
01年に誕生したW.ブッシュ政権は、どういう道を選択したのだろう。

当然、迷っているのではなく、選択は終わっている。
W.ブッシュ政権というとW.ブッシュ大統領を買い被りすぎになるので、米国政権を政策表明と政策実現(軍事力)の重要な代理人にしている世界経済支配層は、選択を終わっている。

だからこそ、米国経済と米国財政を揺るがすことになる「ドル安」と「低金利」を放置しているのである。

「ドル安」ということは、ドルというババを他の通貨を保有する人に押しつけたがる人が増えているということである。
わかりやすく言えば、経済支配層が、ドルではなく他の通貨(現金ということではなく、通貨で手に入れられる証券や実物資産を含む)を選好しているということである。

93年から7年かけてたっぷり膨らませたドル資産を、他の通貨資産に組み替えているというのが現在進行している「ドル安」の内実である。

もちろん、米国株式市場の株価下落過程にもドル資金は投入されている。空売りと精算の買いのためにも厖大なドル資金が注ぎ込まれている。
これは、世界経済支配層と米国経済主体を含むその他経済主体とのあいだで繰り広げられる金融資産争奪戦である。
そして、その勝利は予め決まっている。経済政策の制御力に勝り資金量にも優れている支配層が勝利することになる。

現在他の通貨資産になっている資金も、米国株式市場が終末的崩壊を迎えれば、米国株式市場に向けて流れ込むことになる。優良資産を保有していたり、収益力に優れている企業の株式を超破格値で買い占めるためにである。

その結果起きるのは、高値の時に株式に資金を投入し、安値になったときに株式を売却することになる一般経済主体から経済支配層への“通貨の移転”である。

うんと捨象として言えば、「経済支配層が保有していた株式をその他経済主体が高値で買い取り、株価がパニック的に崩壊したときに、経済支配層が底値で株式を買い戻す」という構図である。

もっと単純化すれば、「50億ドルを投じている企業オーナーが株式時価総額が100億ドルになったときに保有株式を売却し、数年後に、株式時価総額が30億ドルになったときに買い戻す」というものである。
この企業オーナーは、いったん手放した企業のオーナーに戻るだけではなく、加えて現金70億ドルを手に入れたことになる。企業に投じた50億ドルを差し引くと20億ドルの丸儲けである。
(買い戻し価格をよりいっそう低くするために、実体のない損失や不正経理を活用したりもする)

このような“ドル資産の移転”は、米国国民経済の失速をもたらす。

“ドル資産の移転”を受けた経済主体(支配層)は、機が訪れるまで資金を使おうとしない一方で、“ドル資産の移転”で支払った経済主体は、債務を支払えなくなったり、お金不足で日常の生活に支障をきたしたりするようになるからである。

こうしてアメリカ経済は、深刻な「デフレ不況」に陥る。

世界最大の輸出市場である米国の「デフレ不況」は、主要国に輸出不振を招来する。
それを通じて、米国の「デフレ不況」が世界に輸出されることになる。

資金を厖大に膨らませた経済支配層は、それを機に、各国の株式市場を操作し、「デフレ不況」に喘ぐ諸国の優良企業株式や優良資産を超破格値で買い漁る。

W.ブッシュ政権は、このような状況に米国経済や世界経済が陥ることを覚悟したと考えている。
これは同時に、米国政府債務の「デフォルト」を意味する。
経済支配層は、米国債から手を引いているはずである。そうであるならば、外国経済主体であろうが、米国経済主体であろうが、米国債というババでどういう災厄を被ろうが知ったことではない。

貯蓄率が0%という米国国民経済では、日本のように自国の預貯金で国債を消化することはできない。

厖大な資産を抱えている経済支配層は、米国政府がきちんと債務を履行するために、増税というかたちで自分たちの資産が流出することを認めない。

民間銀行であるFRBも、経済支配層の資産価値が目減りしてしまう「米国債の直接引き受け」は行わない。(ドル紙幣を印刷して供給量を増やすことが利益に適うときはそうしてきたが、利益に反するときは行わない)

議会が政府債務の上限引き上げを承認しようが、そのために発行される国債を引き受けてくれる経済主体がいなければ画餅に終わってしまう。

米国債のデフォルトで、利払いだけで3,000億ドル(約36兆円)以上浮くことになる。
これは、4,400億ドル(約53兆円)という経常収支赤字=資本収支黒字には達しないが、5%の利率で計算したものだから、平均国債利子率が7%であれば、4,200億ドル(約50兆円)と経常収支赤字にほぼ匹敵する金額になる。


預言者ではないので、このようなことがいつ目に見えるかたちになるかはわからない。
しかし、既にその方向に進んでおり、目に見えるようになるのもそう遠い先ではないだろう。たぶん、今年から来年にかけて明白になるのではないかと推測している。

W.ブッシュ政権を中心とする先進諸国は、そういう経済状況下で、「対テロ世界戦争」を戦わなければならないことになる。
それは、世界経済の構造を緊急に再構築しなければならないことを意味する。その予測については別の機会に行うが、現在とは大きく違うものになるだろう。

少し気になるのは、1ドル=1ユーロに収斂させようという気配が感じられることである。これをベースに英国がユーロ通貨同盟に加われば、日本を除く主要先進国に、通貨統一を進めやすい条件が生まれることになる。


W.ブッシュ政権が決意したのは、最強軍事国家として世界覇権の道を歩むことである。

今回書いてきた予測を裏切ることができるのは米国民だけである。
米国民の多数がW.ブッシュ政権が吹く笛の音に付き従うのなら、この予測は避けられないと思っている。

W.ブッシュ政権は、国内の“反乱”を抑え込むために、テロ対策に名を借りた未曾有の「治安強化態勢」を敷いている。


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