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デフレについて 投稿者 匿名希望 日時 2002 年 7 月 30 日 06:25:01:

(回答先: Re: 「勝者の蹉跌」を「第2の敗戦」にしないために 投稿者 あっしら 日時 2002 年 7 月 29 日 17:32:04)

貴殿から戴いた激励のお言葉、痛み入ります。
貴殿の最新の書き込みである「世界経済を認識する基礎(その12)」も拝読致しました。
実に鋭い観点だと思います。大袈裟に言うのではありませんが、このような論考が広くネットを通じて共有されることに現代社会の希望を感じました。
私自身も、色々と制約があると思いますが、時間を見つけながら少しづつ書き込みを継続できればと考えております。

貴殿のご議論の中にマス・メディアの論調に対するご批判がありました。全くもって仰る通りなのですが、この問題を洞察するカギは、俗に言えば「彼らも商売でやっている。」ということになろうと思います。

あるイッシューで、あるメディアが特定の立場に強力にコミットしたとします。万一、それが誤りであった場合、そのメディアの立場はなくなります。それが何度も続くと読者や視聴者が離れ、商売として成り立たなくなるでしょう。それゆえ、社説などに典型的に見られる玉虫色の建前論になったり、様々な立場の総花的開陳の場と堕したり、断りもなく突然論調を変更したりするのでしょう。

私としては、メディアに成熟を求めるのではなく、その受け手である国民がまず成熟すべきだと考えます。その成熟度に呼応してメディアの方も変わってくるでしょう。そうでない者は淘汰されてゆきます。基本的には、現状の問題点も良く分かっている優秀な方達がメディアを担っているので私は今後を楽観視しています。

今回の貴殿のご投稿には多様な論点が含まれており、そのひとつひとつが大変興味深いものです。ただ、そのひとつを取り上げただけでも相当量のやりとりになると思われますので、今日はデフレに関するコメントをしたいと思います。

貴殿の仰る通り、デフレは大変深刻な問題で、我々内部でもいまだに大激論が続いており、正直なところまだ最終結論に至っておりません。ただ、ようやくコンセンサスとして得られつつあるのは、今次のデフレは根の深い構造的な(もっと言うと全世界的な)ものであり、従来型の財政・金融政策は効果を持たないのではないか、という点です。

中央公論の7月号に榊原慶大教授の論文が掲載されておりますが、そこに述べられている現状認識が我々内部でもほぼ固まりつつあります。問題は、デフレ時代に即応した体制整備を行うに当たり、通常型の構造改革路線で行くのか、榊原教授の主張のような非常的政策手段を用いるのか、という点です。

(榊原氏は我が組織からするとトリックスター的存在ですが、我々の誰もが敬遠したがるあのような議論を率先して自ら世に問う姿勢を示します。余人をもって替え難い、我々からすると有り難い存在です)。

私の立場は、申すまでもなく通常型です。国民に相当の苦しみを強いる事になりますが、日本経済と日本国民の底力を信じているためです。過去の恐慌事例の研究やそれなりのシミュレーションも進めていますが、正直なところ、100%デフレ・スパイラルはあり得ないと確信することはできません。過去の事例と諸条件は異なりますし、シミュレーションにも自ずと多くの限界があるためです。

従って、本当に万策尽きたら榊原教授の言われるような方法を取るしかないでしょう(この方法そのものではなくともバリエーションは幾つか有ります)。政府紙幣の利用というアイデアは問題を一気呵成に解決してしまう可能性もあり、手を出したくなる誘惑に駆られます。しかし、このような前人未踏の非常手段には予期できないリスクが多分に含まれています。万一、失敗した時には、「ゆるやかなデフレと構造改革の推進による痛み」などとは比較にならない急激かつ広範囲に渡る激痛をもたらす恐れがあります。

機会があったら、上記論文を読んでみてください。

尚、今回のご投稿の最後に貴殿が仰られた法人減税の無効性については、我々の99.9%が認識していることです。百害あって一利なしです。しかし、首相の指示ですから、無碍にゴミ箱に捨てるわけにも行かず、難しいところです。

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