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米SVB経営破綻がユニコーン企業を直撃…それでも日本への影響は少ない残念な理由 経済ニュースの核心
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/320475
2023/03/24 日刊ゲンダイ
米シリコンバレー銀行が経営破たん、日本への影響は…（Ｃ）ロイター
3月10日、全米16位のシリコンバレー銀行（SVB）が破綻した。SVBは、カリフォルニア州シリコンバレーにある中堅銀行。ハイテクのスタートアップ企業の預金や融資が非常に多い銀行で、中国、デンマーク、ドイツ、インド、イスラエル、スウェーデンにも支店があった。
英国のハント財務相は11日、イングランド銀行総裁と協議。財務省は、スタートアップ企業を対象に預金量やSVB、その他銀行へのアクセスなどを詳しく調査し始めたもようで、SVB・UK部門は、破産手続きが申請される見込みという。スタートアップ企業の創業者たちは、資金調達や従業員への支払いを巡り動揺し、不安はカナダやインド、中国にも波及しているという。
日本では、鈴木金融担当大臣が14日に、「現時点では、今回の破綻が日本の金融システムの安定に重大な影響を及ぼす可能性は低い」との認識を示した。裏を返せば、日本に支店がない=有望なスタートアップ企業がないからSVBとは無縁ということか。調査会社CBインサイツによれば、ユニコーン（企業価値10億ドル以上の未公開ベンチャー企業）は、米国に600社、中国に150社だが、日本は6社に過ぎない。
16日には、SVBとは無関係と思えるクレディ・スイス・グループの経営不安が広がり、同じスイスの金融大手UBSによる買収が決まった。鈴木金融相は、この買収に関し、「日本に与える影響を注意深く見極める」とした。
日本の金融システムは本当に安心なのかを株価に問うと、三菱UFJFGの株価（終値）は9日の993円から15日に861円へ、三井住友FGは6245円から5400円、みずほFGは2224円から1904円へそれぞれ下落していた。
メガバンクの2022年3月期の有価証券報告書で、普通株式の所有者別株主数の「国内個人その他」を見ると、三菱UFJFGが約80万人、三井住友FGが約37万人、みずほFGが約68万人とメガバンクだけで約185万人の個人投資家の資産に影響を与えたことになる。
国内販売されている投資信託には、クレディ・スイスの社債などを運用対象にしているものがあるかもしれない。投信の運用企業は、外債などの値洗いを急いでいよう。
例年同様に3月は、新規公開企業（IPO）が多い。1月、2月はそれぞれ1社で、いずれも初値は公開価格を大きく上回った。3月は22日1社、23日3社、27日1社、28日3社、29日3社、30日2社、31日3社と、ゆうちょ銀行の受け渡し日の3月20日を見計らい年度末を意識したようなIPOラッシュである。世界的に少ない日本のスタートアップ企業、国際金融市場は混迷模様だが、国内投資家の株式投資への熱量を公開初値で確認できよう。
中西文行 「ロータス投資研究所」代表
法政大学卒業後、岡三証券入社。システム開発部などを経て、岡三経済研究所チャーチスト、企業アナリスト業務に従事。岡三インターナショナル出向。東京大学先端技術研究所社会人聴講生、インド政府ITプロジェクト委員。ＳＭＢＣフレンド証券投資情報部長を経て１３年に独立。現在は「ロータス投資研究所」代表。
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