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追い込まれた末の日銀「利上げ」に効果は見込めない 金子勝の「天下の逆襲」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/358712
2024/08/06 日刊ゲンダイ
にっちもさっちもで後がなくなり、計画性もないままに…(日銀追加利上げについて記者団に応じる岸田首相)/(C)共同通信社
日銀が先月末の金融政策決定会合で、政策金利の0.25%の引き上げと、国債買い入れ額を縮小する方針を示した。いよいよ金融が正常化するかのような報道が繰り返されているが、ちょっと待て。今回の決定は、アベノミクスをズルズル続けてどうしようもなくなり、追い込まれた結果ではないか。
岸田政権はアベノミクス礼賛の安倍派に配慮し、植田総裁も金融緩和に拘泥し続けた結果、ついに1ドル=160円を突破して円安物価高が止まらなくなった。そのため、政府は為替介入に、日銀は利上げに追い込まれたというのが事態の経緯である。
追い詰められた当事者の1人は、財務省の神田真人前財務官だ。3年前の財務官就任時は1ドル=110円だったが、無策の末に160円を突破。今年7月末の退任を前に、円安を食い止めるために慌てて動いたわけだ。
もう1人、後がなかった人物が岸田首相である。安倍派を配慮して裏金事件でマトモな対応をしなかったが故に支持率が低迷。9月の総裁選で再選が見込めない状況に追い込まれた。挽回を狙った円安解消のため、4〜5月と6〜7月に計15兆円規模の為替介入に踏み切ったのだ。原資である外貨準備は24兆円といわれているが、既に15兆円を使ったとすれば、あと1回でも大規模介入すれば、金庫の底をつく状態である。
2人とも後がなく、計画性もないまま介入に踏み切った。だが、円安インフレは明らかにアベノミクスの失敗のツケなのであって、アベノミクスを根本的に転換しない限り解決は無理だ。
第一に、今回の利上げで円安の原因である日米金利差は縮まったと言えるのか。米FRBは年内1度だけ、今年9月、政策金利を5.25〜5.50%から0.25ポイントの利下げを実施すると予想される。日銀の利上げ分0.25%と合わせれば、双方で0.5%分縮まることになるが、結局、金利差は4.75〜5%に変わるだけで、大幅な金利差は残ったままだ。さらに、2024年上半期の貿易赤字は3.2兆円で、これは産業衰退が原因とみられており、円の需要が大きく伸びる状況でもない。根本的な事態の転換が起きているわけではないのだ。
何よりも問題なのは、政府が大規模予算を組んで物価高を助長し、それによって財政赤字を目減りさせ税収を増やす「インフレ課税路線」を取る限り、日銀は金融緩和で国債を買い支えざるを得ない--こうした矛盾を抱えていることだ。
防衛費倍増政策を含めたインフレ課税路線を転換し、消費税増税分を法人税減税に充てた分を元に戻していくような大きな政策変更がない限り、経済が安定化することはないだろう。
金子勝 淑徳大客員教授
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現職。慶応義塾大学名誉教授。文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。近著「平成経済 衰退の本質」など著書多数。新聞、雑誌、ネットメディアにも多数寄稿している。
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