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ベネズエラ支配 成功への道(田中宇)マドゥロ拉致と米州主義:トランプが描くベネズエラ再建と多極化への「偽悪戦略」
http://www.asyura2.com/25/kokusai36/msg/233.html
投稿者 てんさい(い) 日時 2026 年 1 月 08 日 21:07:08: KqrEdYmDwf7cM gsSC8YKzgqKBaYKigWo
 

田中宇の国際ニュース解説 無料版 2026年1月8日 https://tanakanews.com/

■要約
トランプ政権はマドゥロ大統領を拉致し、ベネズエラの直接統治を開始した。これは旧来の英国系エリートが好んだ「民主化」という名の傀儡化ではなく、経済実務に長けたロドリゲスを暫定大統領に据え、石油利権を還流させて破綻した経済を立て直す現実主義的な「米州主義」の発露である。この動きは、米諜報界で主導権を握るリクード系が、英国系覇権を解体し、世界を多極型へ移行させる戦略の一環だ。

トランプはあえて「悪役」を演じる偽悪戦略をとり、リベラルな英国系を排除しつつ、中南米を自らの「極」に組み込もうとしている。ロシアや中国は表面上は批判するが、多極化の進展を歓迎して米国の行動を事実上黙認している。対照的に、旧来の覇権に固執する英欧はトランプと対立して自滅的な状況にある。世界はもはや自由貿易や国家主権という建前が通用しない、実利に基づいた多極的な弱肉強食の時代へと決定的に転換したのである。

■本文

トランプ政権の米軍が1月3日にベネズエラを襲撃してマドゥロ大統領夫妻を米国に拉致(麻薬取引の容疑で逮捕・送致)し「ベネズエラが安定して発展し始めるまで米国が統治する」とトランプが宣言してから5日が過ぎた。
大統領不在時の憲法規定にのっとり、1月5日にロドリゲス副大統領が暫定大統領に昇格した。憲法規定では、30日以内に選挙を行って正式な大統領を決め、暫定大統領と交代することになっている。
だが「統治者」になったトランプは、30日以内の選挙はやらない、と言っている。

https://tass.com/world/2068831
US is not at war with Venezuela, Trump says

トランプ政権は昨秋、欧州のノーベル委員会を加圧して、ベネズエラの親米右派の野党指導者マチャドにノーベル平和賞をとらせている。トランプは、30日後に大統領選挙をしてマチャドを(不正に)勝たせ、左派のロドリゲスとすげ替える策謀をやっても不思議でない。
しかし、それは行わない。トランプは「マチャドは不人気なので政権をとれない」とも言っている。マチャドへのノーベル授賞の強制は、ノーベル委員会など欧州を支配するリベラル派エリートに嫌な思いをさせつつ、目くらましとして機能するトランプの策略だったようだ。
トランプは、旧来の米共和党エリート(中道右派、リベラル派と並ぶ英国系)が好んだ「民主化」と言いつつ反米左翼を外して右翼の米傀儡政権にすげ替える策略を、やるかのように見せてやらない。トランプは、2大政党のエリートが動かしていた英国系の米覇権体制を壊すために大統領になった。

https://tanakanews.com/250105venezuela.htm
トランプのベネズエラ攻略

トランプは、経済政策を担当して割とうまくいっていたロドリゲスを評価し、しばらく(2年ぐらい?)やらせることにしたようだ。
トランプのベネズエラ統治策は18か月の計画で、安定、治安維持、(米企業を入れて儲けさせつつ)経済発展を重視している。旧来の英国系が重視した「民主化」は含まれていない。
トランプは表向き好戦的だが、実際は現実主義だ(契約を経た経済搾取はやりうる)。「米国はベネズエラと戦争してない」とも言っており、イラク戦争みたいに軍事力でベネズエラを政権転覆することもやらない。

https://www.rt.com/news/630565-trump-venezuela-order-oil/
Trump explains how he wants to ‘run’ Venezuela

https://sputnikglobe.com/20260107/rubio-outlines-us-three-step-plan-on-venezuela-1123436786.html
Rubio Outlines US' Three-Step Plan on Venezuela

左翼や権威筋の分析者は「トランプはロドリゲスを加圧して、石油などベネズエラの利権をひとしきり奪ったら辞めせる」と予測しているが(今回も)たぶん外れる。
トランプは、ロドリゲスと米石油産業を協力させ、ベネズエラを産油国として立て直していく。米政府は、ベネズエラに進出する米石油業界に資金援助する。
米企業は儲けるが、同時に、破綻していたベネズエラ経済が少しずつ改善し、人々の困窮が減っていく。

https://www.rt.com/news/630662-trump-venezuela-leader-short-leash/
Trump putting Venezuela’s interim leader on ‘short leash’

https://www.zerohedge.com/markets/us-may-subsidize-oil-giants-rebuild-venezuelas-energy-sector-trump-says
US May Subsidize Oil Giants To Rebuild Venezuela’s Energy Sector, Trump Says

トランプは、ベネズエラが備蓄していた5000万バレルの良質な原油を米国に輸出させることにした。ほらみろ、やっぱりトランプはベネズエラの石油利権の収奪が目当てだ !、という声が聞こえる。
私から見ると、こうした声の主は(意図的に)話の半分しか見ていない。ベネズエラが米国に輸出した原油の代金は、ロドリゲスが手掛けるベネズエラ経済の再建に使われる。
米欧に経済制裁されてきたベネズエラは、これまで大っぴらに石油を輸出できなかった。ベネズエラの石油の大半は、制裁にとらわれない非米的な中国が買っていた。米欧に売れないベネズエラを買い叩き、安値で売らせていた可能性が高い。

https://www.rt.com/news/630696-venezuela-give-oil-us/
Venezuela to ‘turn over’ sanctioned oil to US - Trump

トランプだってベネズエラを脅して安値で買い叩くはずだ !、という声が聞こえる。そうだろうか。トランプは、米国傀儡にしたベネズエラの経済立て直しを成功させたい。
そうすれば、今は反米でトランプを非難しているコロンビアやメキシコなど他の中南米諸国が、トランプと仲良くすると意外に良いかもと考え始め、トランプの米州主義や中南米傀儡化がうまくいく。
中国人は生来の悪質な商売人なので非道に買い叩くが、トランプは米州主義の成功という別の主目的があるので、合理的な価格で買う。

https://tass.com/world/2068979
US demands from Venezuela to severe economic ties with Iran, Cuba, China, Russia

トランプの米国の傘下に入ることで、ベネズエラは経済制裁を受けなくなった。トランプはベネズエラに、中国への石油輸出を止めろと加圧している。
これは自由貿易の原則を踏みにじっているぞ !、という声が聞こえる。確かに踏みにじっている。だが、これまでの英米単独覇権体制(グローバリズム)の終了(覇権の多極化)とともに、世界的な一枚岩の自由貿易体制も終わっている。
多極化とともに、すべての国家が対等で国家主権を持っているという建前も消失している。中南米(やカナダやグリーンランド)は、極の一つである米国の傘下に入った。だからトランプはベネズエラの国家主権を踏みにじってマドゥロを拉致し、ベネズエラを米傀儡化し、中国など他の極との経済関係を縮小させた。
傀儡は「悪」なのか?。そうでもない。日本も欧州も、戦後ずっと英米の傀儡だったが楽しくやってきた。善悪観自体が、覇権勢力による作り物だ。

米国側のマスコミは英国系覇権の終了と多極化を報じないので、人々は世界の転換に気づいておらず、すでに存在しない自由貿易体制や国家主権をトランプが踏みにじったと騒いでいる。
勝手に多極化しても認めないぞ !。という声が聞こえる。人々が認めなくても、世界の流れは変わらない。覇権体制は民主的に決まるものでない(昔から宮廷ユダヤ人とかが決めている)。
日本の高市政権は、トランプに勧められて多極化対応し始めている(日本が中国の傘下に入らず独自の極になるための日中対立とか、核保有の準備とか)。そんなの許さないと叫ぶ人々の政治力の方がどんどん落ちている。

https://tanakanews.com/251223nuke.htm
日本も韓国も核武装しそう

これまでの英国系覇権は、自分たちを善玉、政敵を悪玉に仕立てる善悪の歪曲策に長けていた。覇権運営を担当する米諜報界は911以来の暗闘の結果、主導権をリクード系が握っているが、まだ英国系の要員が存在し、相互に馬鹿し合い、誰がどっちかわからない。
だから、トランプは意図的に「悪い奴」を演じ、イスラエルはガザなどで意図的に極悪な人道犯罪を続けている。こうすることで、自分たちを善玉にしておきたい英国系が入り込めないようにしている。
トランプとイスラエルは、偽悪戦略によって「極悪」になることに成功し、英国系を諜報界から追い出している。だから、米民主党や英国やEU独仏など英国系の勢力は諜報力が大幅に低下し、各方面で超愚策を重ねて自滅している。
トランプは、マドゥロ拉致など、米州主義の戦略もわざと帝国主義的に極悪に進めている。だから、人々はトランプを非難する。
しかし実際は、これまでの英国系覇権も、中南米など世界中の途上諸国を借金漬けにして、借金の見返りに利権収奪の民営化を強要する「ワシントン・コンセンサス」などをやっていた。

https://tanakanews.com/251230trump.htm
トランプ化で激動した2025年

トランプやイスラエルは軍事偏重だという批判もある。軍事偏重なのは、覇権運営を担当する諜報界が軍事部門の一部だからだ。同じ理由から、英国系覇権の時代(戦後ずっと)も、世界は戦争や内戦が常に誘発されていた。
リーマン危機の再来みたいなドル崩壊(金融バブル崩壊)によって英国系覇権が諜報界ごと自滅して世界が多極型になっていたら、世界的に戦争が大幅に減っていたはずだ(かつてはそういうシナリオだった)。
だが実際は、英国系を追い出したリクード系が、そのまま諜報界を牛耳って居座り、QE再開などでドルのバブルを延命しているので、諜報界は今後も残り、人類の戦争体質がしばらく続く。

https://www.thebureau.news/p/cubas-security-state-colonization
Cuba's Security-State Colonization In Americas, Proven By Delta Force Killing 32 Intel Agents Surrounding Maduro

ベネズエラの話に戻る。これまでベネズエラの左翼政権は、キューバやイラン(レバノンの武装組織ヒズボラ)と協力していたので、ベネズエラの軍部にはキューバやヒズボラの要員が多数入り込んでいた。そこにトランプの米軍がやってきてマドゥロを拉致し、後継のロドリゲスは米国の傀儡になる代わりにベネズエラの国体を守ることにした。
ロドリゲス政権は今後、米国の命令で国内に残存するキューバやヒズボラの要員を逮捕もしくは追放していく。ベネズエラ軍部で、米傀儡になりたくない勢力も取り締まられる。
それは嫌なので、今回の流れに反対する軍部の諸勢力が、ロドリゲスの暫定大統領への就任直後に決起してクーデターを起こそうとしたが、鎮圧された。ベネズエラの内戦化は防がれたと思われる。

https://www.rt.com/news/630652-venezuela-coup-attempt-reported/
Heavy gunfire erupts near presidential palace in Caracas

1月8日には、ベネズエラ沖の公海上で、米国の沿岸警備隊がロシア船籍のタンカー「マリネラ号」を襲撃して拿捕する事件が起きた。近くにはロシア軍の潜水艦が護衛のために来ており、米露が大西洋で交戦して核戦争になりかねない一触即発になった。
マリネラ号は、イランの革命防衛隊の系列のトルコの会社が保有する船で、イラン傘下のヒズボラとベネズエラが協力して軍事力や資金を増やすためにタンカーで石油を運んでいた。ヒズボラをテロ組織に指定する米当局は、2024年からこの船を制裁対象として追尾してきた。

https://www.jpost.com/international/article-882619
US, with help of UK, seizes Venezuela-linked oil tanker sailing under Russian flag

昨年末、マリネラ号はベネズエラに近づいたところを米当局に発見され、米側の拿捕の試みを振り切って逃げていた。イランは、米国のベネズエラ攻撃を批判するロシアに助けを求め、露当局は助け舟を出す目的で、逃げ続けるマリネラ号をそれまでのギアナ船籍からロシア船籍にしてやった。
ロシアの船なら、米国も拿捕しないだろうという読みだった。しかし、米国は露船籍への転換を配慮せず、マリネラ号を襲って拿捕した。露政府は、マリネラ号を拿捕した米政府を非難しているが、軍事行動を起こしていない。

https://www.rt.com/russia/630677-russia-reaffirms-solidarity-venezuela-us-aggression/
Russia declares solidarity with Venezuela

ロシアや中国は、トランプのベネズエラ攻略を国家主権の侵害として非難しているが、口だけであり、軍事的な動きをしていない。
ロシアも中国も、世界の多極化によって得をしている。だから露中は、ベネズエラ攻略など米州主義の発露と、ウクライナ戦争などによる英欧自滅を引き起こして世界を多極化してくれるトランプを口で批判するだけで、実はこっそり賛同している。
イランは、米イスラエルに政権転覆を誘発され、追い詰められてロシアにすがっている。拉致される前のマドゥロもロシアや中国ににすがっていた。
ロシアや中国は、イランやマドゥロに対して付き合い程度に助けたが、同時に、中南米の覇権国が米国になり、中東の覇権国がイスラエルになることを非公式に認めている。露中は、トランプのベネズエラ支配を妨害しないし、イスラエル(とその傀儡のトランプ)がイランの力を削いでいくことを妨害しない。

https://tanakanews.com/260102likd.htm
リクード系の覇権拡大

https://www.rt.com/news/630698-russia-middle-east-2025/
In 2025, Russia emerged as more than just an ‘alternative for the West’

露中が多極化に協力しているのと対照的に、英国系の英欧EUは、英国系の覇権が失われてしまう多極化に反対している。EUは、トランプの多極化(米州主義)の果実であるベネズエラの新政権の正当性を認めていない。

https://tass.com/world/2068911
EU doesn’t recognize legitimacy of Venezuelan interim president

トランプは米州主義の発露として、EU加盟のデンマークからグリーンランドを剥奪もしくは買収しようとしており、これも欧米間の対立になっている。
欧州がグリーンランド問題でトランプと対立しすぎると、トランプは報復としてNATOやウクライナへの協力を渋り、欧州の軍事力が低下してロシアへの降伏を余儀なくされる。だから、欧州はトランプに譲歩してグリーンランドを渡さざるを得ない。
欧州は、多極化の流れに気づくのが遅すぎた。というか、いまだにちゃんと気づいていないふしもある。自業自得だ。

https://www.rt.com/news/630686-rubio-greenland-us-plans/
US planning to buy Greenland

https://www.rt.com/news/630669-us-threats-greenland-nato/
US threats over Greenland make NATO pointless

https://www.zerohedge.com/geopolitical/trump-warns-nato-without-america-there-no-alliance
Trump Warns NATO: Without America There Is No Alliance

今回の記事はトランプをほめすぎだ !。そういう声が聞こえる。実は、私もそう思う。しかし、世の中(とくにリベラル左翼マスコミなどの英傀儡)はトランプを誹謗中傷しすぎだ。みんなトランプの偽悪戦略を真に受けている。だから多分、ほめすぎぐらいの方がちょうど良い。
私は長年の分析執筆から、世界に関する自分と世の中の見方が対立した時は自分の方が結果的に正しい時が多いと感じている。



この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/260108Laam.htm
 

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コメント
1. [6502] iKQ 2026年1月08日 22:25:07 : GLljvRlV6c : My9Fck1VWGwzYkk=[504] 報告

 愛は 「田中さん 何かいてるだか わかんない」

 

2. てんさい(い)[1630] gsSC8YKzgqKBaYKigWo 2026年1月08日 23:15:35 : 0kUGInjLpY : ZUJoU1c2MzFGUzY=[650] 報告

NotebookLMで自動生成した動画解説と音声解説
3. 阿部史郎[2350] iKKVlI5qmFk 2026年1月09日 05:51:18 : cYRAeWjdps : aURIWUFBRGptV1E=[1413] 報告
今回のトランプによるベネズエラ軍事攻撃は、ロスチャイルドの意向も働いてるようだ。
rapt-plusalpha.com/133800/

この世の権力者は、本音と建前があり、今回の本音はこれかと。

コロンビアのペトロ大統領、米によるベネズエラ軍事攻撃は「エプスタインの顧客リストが公表されるのを阻止することが目的だ」と発言「自国の問題を議論させないために私たちを利用している
rapt-plusalpha.com/133735/

[18初期非表示理由]:担当:宗教関連と思われるコメント多数のためアラシ認定により全部処理

4. evilspys[2134] goWCloKJgoyCk4KQgpmCkw 2026年1月09日 11:56:43 : LY52bYZiZQ : aXZHNXJYTVV4YVE=[19113] 報告
トランプのアメリカ、孤立主義へ 〜気候変動枠組条約から脱退へ
環境哲学ちゃんねる〖大島堅一〗
2026/01/09
https://www.youtube.com/watch?v=lcaEf65i6NE
5. ___[15] gVGBUYFR 2026年1月09日 22:14:46 : KCfsrXMZPE : SXZQL1lRdjRWSWc=[2] 報告
<■268行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
副島隆彦

トランプはこの軍事行動で直接、ベネズエラの石油を実力で奪い取りに行った。このことは、トランプは、もうニューヨークの金融(紙切れの証券)経済 を信じていなくて、直接、実物資産(タンジブル・アセット tangible asset) である石油と天然ガスというエネルギーと、鉱物資源(ミネラルズ)の鉱山会社を取りにいった。このことが重要だ。

考えたら、トランプは就任直後から、カナダを「併合する」と言った。その大きな理由は、カナダの天然ガスから作られる電力が、ニューヨークなど東部大都市に供給されている。だからカナダやグリーンランド(氷の広大な大地)を取りに行くという動きも見せている。 今、カナダ政府は、「アメリカ合衆国 the USが、失礼にも自分たちを合併しようとする本当の理由であるエネルギーを、ベネズエラから取ることで、カナダとの取引材料(カード)を無くそうとしている」と考えるだろう。

私は昨年末、12月24日からの銀(ぎん)のNYの先物(さきもの)市場の大きな変動を報告した。アメリカのコモディティ(基本物資、商品)の実物資産の市場のペイパー・マネーの市場が壊れつつある。銀の実需、すなわち工業製品としての、太陽光パネルや半導体やEVのための銀の実需(じつじゅ)の7割は中国が押さえてしまっている。これら貴金属類のことも関係している。


ウーゴ・チャベス前大統領(1954−2013)

ベネズエラは反米国家として、とくに1999年からのウーゴ・チャベス大統領(1954−2013)の登場で、前述したPDVSA(ペデヴェーサ)の国有化が断行された。このことで、アメリカの石油大資本が怒り狂っていた。

今回、それをロドリゲス女大統領に圧力をかけることでアメリカへの原油の輸出をただちに再開するはずである。現在でも、シェブロンは、ロドリゲスが外相(2013年)のときに交渉してアメリカに原油を輸出している。同じロックフェラー系なのだが、最大石油資本のエクソン・モービルが怒っていて、今回もトランプを唆(そそのか)したはずである。

現在、ベネズエラは日量(1日あたり)90万バーレルを出油しているが、そのうち70万バーレルは中国へ、らしい。パナマ運河を使って10万トン級のタンカーで輸出している。

ベネズエラは世界最大級の石油埋蔵量3000億バーレルを持つ。だから、日量で500万バーレルでも輸出できる。これをトランプが狙っている。

マラカイボ湖という大きな湖と、オリノコ川があって、その一帯で川岸にベチャベチャと重質油油が地表にまで溢(あふ)れ出しているそうだ。そういう石油大国なのだ。これらを採集して精製しさえすれば、アメリカ合衆国のエネルギー事情は大きく好転する。この重質油は精製(レファイン refine )が以前は困難だと言われていた。簡単に言えば、硫黄(いおう、sulfur )をたくさん含んでいるらしい。

だから、それを精製する設備は、最新式の精製設備が必要だ。どう中国に輸出されてきたベネズエラ原油は、数年前まで日本の和歌山にある旧ロックフェラー系の東燃ゼネラル石油(今はエネオス)製油所で精製されて中国に行っていた。秋田県の小坂(こさか)製錬所でもこの重質油が精製(リファイン)されていたようだ。現在は中国の山東半島に巨大な高性能の精製所質と精油所を作っている。

日本側は親中派の政治家の二階俊博氏(にかいとしひろ)が、和歌山が地盤でもあり、その仲立ちをしていた。だから、今回の動きで中国が打撃を受けたという見方がある。すなわち、アメリカと中国の資源戦争が起きている。だが、中国は中長期でものを見ているから、目先でベネズエラの利権を失ったとしても、着々とやるだろう。

私は自分の中国本(これまで17冊出した)でずっと、「ニカラグア運河ができれば、中国が中南米諸国(ラテン・アメリカ)を助けに行ける」と書いてきた。ニカラグア運河の話は地図ぐらいしか貼れないが、今のパナマ運河の5倍ぐらいの大きさで、もっと大きなタンカーやコンテナ船が入れるだろう。これが開通すれば、中国の船がメキシコ湾とカリブ諸国に大量に入り、ベネズエラやブラジルそしてアルゼンチンにまで、ぐるっと回って南米と物流の輸送網を作れる。


ニカラグアは中米のほぼ中央に位置する(出所:日本経済新聞 2017年10月24日)

ニカラグア運河の地図

ところが、調べてみたら、このニカラグア運河の建設は2019年で止まっている。アメリカ合衆国が必死で妨害したのだ。パナマ運河は、最近、ようやく映像で映るようになったが、日本人にこれまで絶対に運河の運営の様子は見せなかった。


パナマ運河のカリブ海側に接するガトゥン閘門(こうもん)と、通航する船舶=2024年7月10日(出所:2025年2月12日 朝日新聞)

ここは、本当は1941年12月の真珠湾攻撃の直後に、日本軍は、すぐに爆撃すべきところだったのだ。この運河を使って西大西洋にいたアメリカの空母艦隊(タスク・フォース)が太平洋側に出て来られなければ、日本海軍はハワイ島を取ったあと、サンフランシスコまで上陸ができた。

ところが、日本海軍のトップ3人(米内光政(よないみつまさ)海軍大臣、井上成美(いのうえしげよし)次官、山本五十六(やまもといそろく)連合艦隊司令長官)がアメリカの手先だったから、日本軍は、ニューギニアや、インドネシアの南の方へ向かって行った。あのとき日本は大きく騙されている。

パナマ運河については、半年ぐらい前、香港の最大の財閥であった李嘉誠(りかせい、リカシン 97歳)の長江(ちょうこう)実業が、香港を脱出して、資産を世界中に移していた。彼がパナマ運河の両方の出口の港の経営利権(ポート・オーソリティー)を買っていた。これを無理やりアメリカに30億ドル(5000億円)ぐらいで売り渡させられた。このことも着々と準備されていたのだ。

パナマ運河を通れる船の大きさは、私の古くからの知識で、長さ333メートル、幅60メートルのアメリカの空母(エアクラフト・キャリアー)が通れる桝(ます)に乗せることができる。

今は3段階でエレベーターのようにして、大きな船を乗せたまま移動させる。このために、大量の水を両岸から取っている。海水ではダメなようだ。この熱帯雨林地帯の雨水がかなり減っていて、パナマ運河を通行する船は、1か月待ちさえあるようだ。トランプ政権は、このパナマ運河利権をしっかり握りしめた。中国からの船が入るのを邪魔しているようだ。

ここからAのモンロー主義について教える。 この言葉が急に最近出てきた。「ドンロー主義」と言って、「ドナルド・トランプによるモンロー主義」の意味で世界で使われ出した。日本人には、まだピンと来ないことだ。知識層はすぐに勉強して知ったかぶりをして、「ああモンロー主義ね」というが、その本当に意味を分かっていない。

それを私がたった1行で教える。第5代アメリカ大統領のジェームズ・モンロー(1758−1831)が、まだ独立して数十年の1823年に宣言した。「南米地域(リージョン)は、アメリカの権益である。ヨーロッパ列強(パウアス)は南米に手を出すな」という宣言である。

だから今度のマドゥロの拘束もトランプは、イギリスに一切、事前連絡していない。しかも、マリア・コリーナ・マチャドというベネズエラの野党の女をトランプは認めない。「この女は国民に人気がない」と言って切り捨てた。マチャドは作年末にノーベル平和賞をもらった。この女はヨーロッパ人たちが選んだベネズエラの大統領候補者だ。その前には、エドムンド・ゴンザレスという男の大統領候補者がいたが、マドゥロたちが大統領選挙を力で抑え込んだ。

トランプは今、ヨーロッパ各国首脳たちを大嫌いだ。ウクライナ問題でもプーチンと直接話して決めたがっている。ゼレンスキーをあまりに固くヨーロッパ(EU、NATO)首脳たちが支えるものだから、トランプは不愉快だ。

モンロー主義は、たった1行で「ヨーロッパよ、中南米諸国に手を出すな」である。そしてこれを、コロラトリー(拡張)したのは、第26代セオドラ・ローズベルト大統領(1858−1919)だ。彼は「中南米諸国への軍事介入は、アメリカが先にやる」という政策である。トランプはこれを実行した。「中南米は、USAのバックヤード(裏庭)だ。手を出すな」という言葉もある。

ベネズエラ国民の側からは、ヨーロッパ植民地主義(コロニアリズム)とアメリカ帝国主義(インペリアリズム)によって、再び独立国ではない、惨(みじ)めな国になるのは嫌だと言っている。ロドリゲス女大統領も、元々、左翼活動家であるから、1月3日には反米演説をして、「私たちのマドゥロを返せ」と言った。ところがトランプが「そんな態度だと、ロドリゲスよ、お前は、もっとヒドいことになるぞ」と脅したら、5日には態度を変えて、「アメリカと正しく交渉する、仲良くする」と言い出した。

ベネズエラの実情から言えば、国民は、アメリカの制裁もあって、「もうこんな貧乏な状態はやめてくれ」ということだ。すでに国民の4分1の700万人が国外に逃亡、流れ出している。あまりにも貧乏だから、我慢できない、ということだ。だからこれからアメリカの企業がたくさん入ってきて、経済を復興させれば、いい国なる、という理屈が片方にある。おそらくこの方向で、ずりずりと過ぎていくだろう。

隣のコロンビア国のロペス?首相もトランプに脅されて、「お前も反対ばっかりしていると潰すぞ」と。ついでに、キューバも、メキシコも脅された。

コロンビアは麻薬製造の大拠点で、メディシン・カルテルと呼ばれる巨大犯罪組織が、今も有って、アメリカ合衆国にたくさんのコカインを密輸している。メディシンという大都市がある。コロンビアは、ずっと40年間ぐらい内戦(ないせん)をやって、それを終結させた左翼ゲリラたちが平和な国にした。

キューバは1960年のカストロとゲバラの独立革命の成功以来、反米(はんべい)の社会主義国だ。今度のマドゥロの護衛隊もキューバ兵たちだったようで、数十人が死んだ。キューバにベネズエラから安くで石油が売られていた。キューバは他の汚れた中南米諸国よりは、暴力団もいなくて、いい国なのだが、とにかく貧しい。民衆は飢えてはいないが、貧乏である。だから、汚れた資本主義的発展を取るか、貧しい社会主義で生きるか、が人類にとっての目の前の大きな課題である。

元に戻す。アイソレーショニズム(孤立主義)は、アメリカ・ファースト! と同じ意味だ。この言葉を、「アメリカ国内優先こくないゆうせん)主義と訳せ」と、副島がずっと力説してきた。この国内優先とは、なるべく外国に関わらない、ということだ。

とりわけ外国での戦争をしない、ということだ。アメリカの若者を外国で兵隊で死なせるな、という主義である。だから、今回トランプは、このアメリカ・ファースト! を踏みにじった。

日本の保守派の有識者たちまでも、今度のトランプの行動は、「国際法に違反して、国連憲章にも違反する、他国への侵略、侵害行動だ」と言っている。まあ彼らは、ぶつぶつ言っているだけで、すぐに論調はひっくりかえる。高市政権としては、アメリカ批判の声明は出せない。

他国の大統領を襲撃して拘束( capture  キャプチュア、拉致 abduction アブダクションと同じ)した、トランプのやったことは、明らかに他国の国家主権(sovreinty ソブリーンティ)の侵害である。だが世界中がほとんど黙っている。

さらに話が広がって、「アメリカがこんなことをするなら、中国が台湾の頼清徳(らいせいとく)総統を襲撃して、拘束して連行(テイクアウェイ)してもいい、ということになる」という議論が起きている。

ここで、説明すべきは、トランプ自身の最終判断としては米軍のトップに「この作戦を実行したら、米兵が何人死ぬのか」と聞いたはずである。そして「ほとんど死にません」という答えを得たのだろう。だから実行した。「米兵が500人ぐらい死ぬ」という回答が軍のトップからあったらトランプは「それなら私はやらない」と決断したはずなのだ。

トランプを支えているMAGA(マガ)派は、とにかくアメリカ・ファースト! であって、外国への軍事行動を嫌う。だから、去年の10月のイランの核施設3か所への爆撃でもそうだったが、急襲が大成功して、作戦がうまくいって米兵が死ななかった。それならば、アメリカ国民の支持も続く、とトランプは踏んだのである。

この他に、トランプは、軍事行動が、泥沼に嵌(は)まるのを一番、嫌う。ベトナム戦争のように、10年もアメリカが戦争を外国ですることを政治家として嫌う。泥沼にならないこと、が、大事なのだ。だから、トランプは、脅しはするが、駆け引きと、脅しで、このあとも ベネズエラに言うことを聞かせる。

あとはエプスタイン・ファイルの公開問題で、自分の名前が騒ぎ続けられるのがイヤだから、軍事作戦を実行したのである。私が去年の7月から書き始めたとおり、トランプは自分の支持基盤のMAGA派(1億2千万人)を裏切って、ディープステイトの家来、子分たちである5千万人の白人中流層の、豊かで保守的なアメリカ人の支持を取り付ける動きに出ている。だから、米兵がほとんど死ななかったから、トランプの勝利である。

トランプが北朝鮮爆撃をするか、しないかのとき(2018年)も最終的に、米軍のトップに聞いたら「大統領、失敗したら2千人ぐらいの米兵が死にます」と言われた。それでトランプは、「それなら、やーめた」となったのである。このようにして、中南米諸国の政治情勢も動いていく。

ここでもう一つ西半球(にしはんきゅう)という言葉が使われている。アメリカの南北の大陸の事を指す。ヘミスフィア hemi−shere という言葉で、これは地球儀を縦(たて)に半分に割ったときのアメリカ側のことを指す。だから、ここにヨーロッパが手を出すなと言う、モンロー主義と同じ文脈である。

中南米諸国の歴史を大きく言うと、コロンブスの1492年の西インド諸島発見以来、スペイン人が大量に入り込んでいった。早くも1530,40年代にはペルーのクスコ銀山、そしてさらに南の方のボリビアのトポシ銀山の発見と開発が始まった。これで大量の銀(ぎん)が出たので、スペイン帝国が世界覇権国になった。ちょうど日本の戦国時代である。

それでもわずか、40年後の1588年には、エリザベス1世女王のイギリスが、スペイン「無敵(むてき)艦隊(インヴィンシブル・アルマダ)」をテムズ川の河口で打ち破った。それでもイギリスが大英帝国になるのは、200年後の1815年、フランスのナポレオンを打ち破った後である。

このようにして、中南米はスペイン人との混血が進んだ。中南米の原住民をインディオというが、白人と混血した国民が7割ぐらいいる。メスチーゾという。さらにその上にクリオールという白人たちがいる。クリオール(クリオーリョ)は、植民地で生まれ育った白人たちのことである。

このクリオールが今もベネズエラ国の上の1割ぐらいいるようだ。簡単にいえば、きれいな白人たちだ。これが前述した石油公社のペデベーサを運営していて、どうしてもベネズエラの原油をアメリカに輸出したい、と強く思っている。

中南米全体の歴史的な宗主国(そうしゅこく、コロニアル・マスター)はスペイン帝国である。ずっとスペインが支配した地域だからスペインに頭が上がらないはずだ。ところが今のスペインは力がなくなっている。1898年に米西(べいせい)戦争でスペインがボロ負けに負けた。このとき、キューバとフィリピンをアメリカにとられた。

一番わかりやすく言えば、フィリピンもスペインが400年間支配した植民地だ。だが、この100年はアメリカの従属国(属国)である。一応、日本と同じで独立している。フィリピン国内に自分たちはアメリカ合衆国の51番目の州になってもいい、という動きがあったのだが、USA側が要らない、と言った。

今でもフィリピンには、スペイン貴族の10家族がいる。若い花嫁はスペインからきれいな白人をもらってくる。それでも今のフィリピンの支配国はアメリカ合衆国である。

それと全く同じで、中南米諸国はUSAの実質的支配下にある。使われているお金は、米ドルである。自分の国の通貨は信用がない。このようにして、西洋白人との混血問題が世界中に厳然としてある。私は「褐色の人々」と呼んでいるが、中東アラブ世界でも、北アフリカ諸国でも、アジア諸国でも、中南米諸国でも、彼らは、長い歴史で、どうも白人と混ざっている人々が多い。

彼らがいわゆる新興国となって貧乏大国同盟で、落ちぶれつつあるヨーロッパと、崩れ始めているアメリカから世界支配力を奪い取って、これから世界の中心の勢力になりつつある。一言でいえば、BRICS諸国である。

ただし日本人、朝鮮人、中国人は鎖国をしたので、白人とほとんど混血しなかった。人類学ではモンゴロイードMongloid という。白人と混血しなかったせいで、英語やヨーロッパ語ができない。それよりは世界中にいる、白人と混血した「褐色の人々」の方が、世界性があって、欧米ともつながっている人が多くて、次の世界でどんどん成長している。

話をベネズエラに戻す。このようにして、ベネズエラはだから、上の1割はきれいな白人(クリオール)である。この者たちがベネズエラで威張り出すはずだ。なぜなら中南米の開発は、このベネズエラから始まったからだ。スペイン人たちがたくさんやってきて、南米諸国に広がった。遅れてドイツ人とかがアルゼンチンに入っている。

ここで、それでは、ブラジルとは何かを説明する。大きな面積のブラジルだけは、ポルトガルが植民地(コロニー)にした。だから、ブラジル人はポルトガル語を話している。ポルトガル語とスペイン語が、どれぐらい違うのか、私には判断できない。互いにゆっくりと話せば、通じるのではないかと思う。

例えば、2000年さかのぼると、朝鮮語と日本語は話し言葉(spoken lannguege スポークン・ランゲッジ)ほとんど同じだった。互いに通じた。江戸時代でも貿易商人たちは、話ができたようだ。ところが中国人となると紙に漢文を書いて意思伝達をした。

ベネズエラの名家に生まれた、Bのシモン・ボリバル が重要である。彼はクリオール(クレオ)の名家の出だからスペインに戻って教育を受けたりして、ナポレオンの軍隊にも入ったこともある。帰ってきて、ベネズエラを独立させた(1811年)。それからさらに、コロンビア、ペルーやチリまでずっと遠征して独立させた。今のボリビアもこのシモン・ボリバル から取られた国名である。だから、南米諸国ではシモン・ボリバルが最大級の英雄であり、どこの国に行っても彼の銅像がある。だから「アメリカズAmerica’s ストリート」という言葉に意味があって、これは、南米諸国を意味する。「アメリカカン・ストリート」ではない。

ベネズエラに初めてやってきたアメリゴ・ヴェスプッチ(1454−1512)という名前から、アメリカができた。コロンブスのあと10年後ぐらいに探検して来たのである。今のところ、ベネズエラ問題で私が緊急に教えられることは、皆さんにこれぐらいである。   副島隆彦 拝

副島隆彦学問道場の「重たい掲示板」より一部抜粋
https://snsi.jp/bbs/page-1/


6. evilspys[2136] goWCloKJgoyCk4KQgpmCkw 2026年1月10日 00:59:19 : LY52bYZiZQ : aXZHNXJYTVV4YVE=[19115] 報告
トランプ大統領「地上攻撃を開始する」メキシコの麻薬カルテルを念頭に〖報道ステーション〗(2026年1月9日)
ANNnewsCH
2026/01/10
https://www.youtube.com/watch?v=U4-d1XZRpqU
7. ___[17] gVGBUYFR 2026年1月10日 13:04:17 : KCfsrXMZPE : SXZQL1lRdjRWSWc=[4] 報告
>1

田中氏が発信されている文章は、一番最後の段落から読んでいくと分かり易いです。
順番はどこからでもいいのです。
自分なりに最終的に組み立てればいいのです。

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