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田中宇の国際ニュース解説 無料版 2026年2月24日 https://tanakanews.com/
■要約
トランプは「関税」を武器に、戦後の国是であった自由貿易体制を完膚なきまでに破壊している。かつての米国は、世界から旺盛に輸入して他国を富ませる代わりに、覇権国としての地位とドルの基軸性を維持してきた。私の見立てでは、この自由貿易とは、帝国を維持したい**「英国系」と、世界を多極化させたい「多極派」**が戦後に結んだ談合の産物である。
しかし、トランプの黒幕である**リクード系(多極派)**は、911以降の長年の乱闘を経て英国系を追い詰め、今やその談合を一方的に破棄している。彼らの真の目的は、世界に対して対米輸出で儲けることを諦めさせ、米国の覇権そのものを内側から自壊させることにある。
エリート層は高関税を「違法」と叩くが、トランプは法的根拠を次々と切り替え、むしろ税率を引き上げて喧嘩を売っている。既存の体制が消滅すれば、次の多極型体制は自然に立ち現れる。マスコミが理解できないまま、世界の大転換は加速していく。ざまあみろだ。
■本文
トランプ米大統領は、世界から米国への輸出品に対して各種のいちゃもんをつけて制裁的な高関税を課してきた。
米国は、英国からの独立が「ボストン茶会事件」(英国による輸入茶への高関税に反対する運動)に始まったことに象徴されるように、これまで「自由貿易」が国是だった。
戦後、覇権国になってからは、世界から米国への輸入品の関税撤廃に努力し続け、旺盛な輸入と消費によって世界経済(日独韓中ASEANなど)を富ませた。
米国は、世界のために消費する代わりに覇権国であり続けた。自由貿易からの逸脱は、米政界のタブーだった。だがトランプは、史上初めて堂々とタブーを犯し、自由貿易を破壊する高関税策を大っぴらにやっている。
トランプは、昨年初めに米大統領に返り咲いたころから、関税が好きだとか、辞書に載っている言葉の中で一番好きなのは「関税」だと何度も言っている。
今回も、ひとつのやり方が最高裁に禁じられると、すぐに別の方法を使って高関税策を維持し、しかも反抗的に税率を引き上げている。ふてぶてしい。
トランプは世界体制をぶち壊す。エリートたちが激怒驚愕震撼絶望している。ざまあみろだ。
https://tass.com/society/2056203
Trump reveals his favorite word
トランプの高関税のおかげで、米政府の関税収入は過去最高だ。年間で歳入総額の1 割ぐらいを占める4000億ドルの関税収入が見込まれる。高関税は、米政府の財政赤字を減らしている。
トランプが「関税が好きだ」と言い続けるのは、自分の米政府の収入を増やすからだ。トランプは、関税策に成果があったことを宣伝するため、米国民への現金のバラマキや、所得減税を試みている。
https://www.zerohedge.com/political/tariff-revenue-surges-record-high-314-billion-october
Tariff Revenue Surges To Record High Of $31.4 Billion In October
トランプの高関税策は、既存のいくつもの法律に依拠して発せられている。2月20日に米最高裁が、その中の一つであるIEEPA(国際緊急経済権限法。1977年施行)に依拠したトランプの高関税策(昨年8月、69か国からの輸入品に10%関税をかけた策)を違法だ(同法は大統領に関税を課す権限を与えていない)と判決した。
トランプ政権は判決を受け、同じ高関税策が依拠する法律を、1974年通商法の122条に切り替えて継続(とりあえず150日間)することにした。
しかもトランプはその翌日、高関税策の税率をそれまでの10%から15%に引き上げ、政策に反対する世界や米国内の勢力に改めて喧嘩を売る姿勢を見せた。
https://www.zerohedge.com/political/trump-hike-global-tariffs-15-blasts-ridiculous-anti-american-scotus-ruling
Trump Hikes Global Tariffs To 15%, Blasts "Ridiculous, Anti-American" SCOTUS Ruling
トランプは、自分の政策に反対する諸国には容赦なく高関税を課す半面、従順に従う諸国には関税率を少し引き下げたりして、世界を手玉に取っている。世界は、トランプに振り回されて一喜一憂し続けている。
世界各国は、米国に輸出して儲け続けたいので、何とかしてトランプに関税を下げてもらい、米国中心の自由貿易体制を復活したい。だが、トランプの最終目的は、世界に対して対米輸出で儲けることをあきらめさせることだ。
世界は一喜一憂し、振り回され続けて、いずれ米国市場で儲けることをあきらめる。それまでトランプ(や後継大統領のJDバンス)は、手段を選ばず高関税策を維持する。
トランプと黒幕のリクード系は、違法移民の投票禁止(投票時のID確認。違法移民の多くは民主党支持)、エプスタイン事件による民主党系の凋落、民主党の極左暴力化などをやり、自由貿易を信奉する民主党を再起不能にしている。
https://tass.com/world/2083691
Starmer may resign next week
新たな法律を作るのは議会審議など大変なので、トランプは昔の法律に依拠している。かつて米国は、輸入しすぎてドルの過剰発行から1971年にニクソンショック(金本位制廃止)のドル崩壊になった。
だが、その後もドルの基軸性を守るためドル安がゆっくりとしか進まず、その間に日本(やドイツ)などからの対米輸出の増加による貿易不均衡の金額が急増し、米政界が日米貿易摩擦を起こした。
その前後を含め、貿易や経済制裁に関する法律がいくつも作られており、トランプはそれらの法律の中から自分の高関税策に使えそうな条項を探して法的根拠にしている。裁判所に禁じられたら別の条項に依拠すれば良いだけの、モグラ叩きになっている。
トランプはしつこく高関税策を続けることで、米国が「世界の消費役」だった自由貿易体制を破壊している。なぜ破壊するのか。それを考えるには、そもそも自由貿易体制とは何だったのかを見る必要がある。
私の見立てだと、自由貿易体制は「帝国と資本」「英国系と多極派」との対立を止揚する戦後の談合の産物である。
第二次大戦で覇権が英国から米国に移るに際し、多極派(ロックフェラーなど、資本の側)は、英国が持っていた単独覇権を解体して国連P5など多極型に分散するとともに、世界経済の中心も、英国系(列強)が世界(植民地)を搾取する形から、植民地から独立して発展する諸国(今で言う非米側、グローバルサウス)に移そうとした。
英国系は米国に諜報界を新設して乗っ取り、冷戦を起こして多極型を破壊したが、同時に多極派への配慮として、新たな覇権国の米国が、自由貿易と無関税を強調して世界から旺盛に輸入し続けることで世界経済を発展させ、経済面だけ多極派の希望をかなえてやった。
それで多極派はとりあえず引き下がり、自由貿易体制は英国系の米覇権に必須な一部となった。だが、対米輸出で最初に儲けたのは、多極派が発展させたい中国印度など途上諸国でなく、元列強(戦後は英国系傀儡)の日独だった。
そして、米国が旺盛に輸入するほど代金のドルが米国以外の世界に貯まり、ドルが過剰発行になってニクソンショックのドル崩壊が起きた。これは、過激にやって覇権を自滅させる多極派の謀略にも思える。
英国系は新たな対策として、対米輸出で儲けた日独に米覇権とドルの延命策を担当させた。日独は、円高やマルク高による日独の儲けの縮小を我慢しつつ為替をドル安を誘導し、米国債を買って米国の金利上昇を防いだ。
自由貿易体制とドル基軸、米覇権が維持された。これがプラザ合意やG7の意味だった。為替変動を避けるため、日独などの製造業は米国に生産拠点を移し、米国の雇用拡大に寄与した。
その後は、米民主党政権(英国系のクリントンとオバマ)が、米国と世界の儲けの比率の再配分であるNAFTAを作って多極派の取り込みを画策したりした。
(世界から米国に進出していた大手メーカーが、人件費の安いメキシコに移った。米国は雇用が減るが、世界を儲けさせて覇権を維持した)
多極派は、英国系より強い諜報勢力であるリクード系に米諜報界を乗っ取らせるために2001年の911事件を起こし、その後四半世紀続いた乱闘で、政治安保面から英国系が破綻した。
英国系の凋落で、多極派との談合や相克の時代が終わった。その後、仕上げとして多極派とリクード系がトランプに政権を取らせ、自由貿易体制を小気味良く破壊している。
トランプは高関税策で、世界が米国に輸出して儲ける代わりに米国が覇権を維持する自由貿易体制を破壊している。
トランプは、替わりの体制を提示せず、ただ既存体制を破壊するだけだ。これは無責任なように見えるが、今の世界体制が消滅したら、次の(多極型)体制は自然に立ち現れる。
米欧日のマスコミやエリートやリベラル派は英国系なので、世界体制の転換(多極化)やトランプの策略の本質について無理解だ。
世界の多くが理解しないまま、今後も世界の大転換が続く。
この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/260224tariff.htm
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