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※紙面抜粋
※2025年6月12日 日刊ゲンダイ2面
小泉劇場の実況ばかり…日本学術会議潰しに加担した大手メディアの大罪
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/373183
2025/06/12 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
稀代の悪法に反対の声を上げた(武器取引反対ネットワーク、提供=杉原浩司代表)
雨の中、日本を代表する学者たちが老骨に鞭打って、国会前で座り込みを続けているが、この異常さをてんで報じない大マスコミ。改悪法案の成立だけを“後出しジャンケン”で報じるのであれば、石破政権の思うツボ。この暴挙こそ、政治の在り方を問う参院選の重大な争点だ。
◇ ◇ ◇
希代の悪法が成立してしまった。
日本学術会議を「国の特別な機関」から特殊法人に改編する新しい日本学術会議法が11日、参院本会議で自民、公明、日本維新の会の賛成多数により可決、成立した。2026年10月から施行される。
そもそも、学術会議は科学者が戦争に動員され、言論弾圧された反省から1949年に設置された。以後、一貫して「軍事研究を行わない」との声明を出し続けている。
現行法は、前文で「わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献する」とうたい、条文は「独立して職務を行う」と規定。ところが、新法では「平和的」「独立して」という文言が削除されている。さらに、選定助言委員会や運営助言委員会など4つの外部機関が新設され、政府が人事や運営、財政などに介入できる仕組みが幾重にも盛り込まれた内容だ。
学術会議の会員の解任に関する規定も新設された。所管の坂井学・内閣府特命担当相は、国会で「特定のイデオロギーや党派的主張を繰り返す会員は解任できる」と答弁していたが、要するに政府の意に沿わない学者を排除しようというわけ。
独立した立場から権力のチェック機能を果たす学術会議を、完全に骨抜きにしてしまった格好だ。
見過ごせないのは、石破政権によるこうした学術会議潰しを、大マスコミが容認してきたことだ。この間、日本を代表する学者たちが老骨に鞭打って国会前で座り込みを続けてきた。11日も雨が降りしきる中、学者や市民ら計約150人が国会前に集まり「学術会議法案廃案!」などと反対の声を上げていた。それなのに、大マスコミはこの異常さをほとんど報じていないのだ。
激ヤバだった坂井大臣の発言
11日の参院本会議で新法が可決、成立した直後、大マスコミは早速、「日本学術会議を法人にするための法律が成立」「日本学術会議“国から独立した法人に” 法律が成立」「学術会議の改革法が成立、26年から特殊法人に移行」などと、無味乾燥な見出しを掲げ、続々と速報を打っていた。
悪法の中身そのものや、学者、市民の声をロクに伝えず、新法成立だけを“後出しジャンケン”のように報じるありさまである。なぜ、学者たちが雨の中、抗議活動を行ってきたことを報じなかったのか。これでは、学術会議潰しに加担したも同然だろう。
一方、力を入れるのは備蓄米放出で連日、スーパーや町のコメ屋、コンビニなどを視察して回る小泉進次郎農相の実況ばかり。“小泉劇場”の演出役を担った結果、内閣支持率は微増しているのだから、石破首相はニンマリだろう。政権の思うツボだ。
11日、国会前で反対スピーチを行った栗田禎子・千葉大学教授(歴史学)はこう言った。
「小泉農相が注目されるきっかけになったのは、江藤拓前農相が『私はコメを買ったことがない』と失言し、辞任したことでした。確かに江藤前農相の発言は不適切だと思います。しかし、学術会議法案を巡る坂井大臣の国会答弁の方が断然問題が大きい。坂井大臣の『特定のイデオロギーや党派的主張を繰り返す会員は解任できる』という発言は、思想信条で人を差別しており、憲法違反の恐れがあります。本来、内閣が吹っ飛ぶほどの問題発言だったはずです。それを、積極的に報じてこなかった大手マスコミの責任は重いでしょう」
学術会議潰しに加担した大マスコミは、いずれ、自らのクビを絞めることになりかねない。栗田禎子教授はこう続ける。
「学術会議が重要視する『学問の自由』というのは、言論や表現、集会や政治活動など、憲法が保障するあらゆる『自由』の基礎を成すものです。そこを掘り崩してしまったことは、民主主義全体にとって大変な脅威になったと思います。今回、大手マスコミが成立を許してしまったことで、今度は報道の自由が脅かされる恐れがある。政府が『特定の思想信条に偏った報道は許さない』と圧力を加えてくることも考えられます」
かつては説明を求めたのにダンマリの石破首相
内閣が吹っ飛ぶほどの暴言(坂井学国家公安委員長)/(C)日刊ゲンダイ
恐ろしい話だが、アベ政治以降の自民党政権ならマスコミへの圧力行使だってやりかねない。実際、安倍政権時には放送局の「電波停止」に言及した大臣がいたし、テレビ局へのドーカツは何度も物議を醸した。石破も少数与党で野党の声に耳を傾けているように見えるが、根っこの部分はアベ政治と一緒だ。
そもそも、この学術会議問題は、2020年当時の菅首相が、学術会議推薦の会員候補6人の任命を拒否したことに端を発している。当時、「党内野党」だった石破は政権の対応をチクリと批判していた。
20年10月2日のブログで、学術会議の推薦が初めて拒否されたことに触れ〈従来の内閣との関係(推薦された候補者全員をそのまま任命する)がなぜ変わったのか、ということについては、政府側が十分な説明を尽くす必要がある〉と書いている。さらに、〈今回どういう手続きを踏まれたのかも明確にしておいた方がいいのではないでしょうか〉とも記しているのだ。
そんなエラソーなことを言っていたのだから、自らが政権トップになったいま、菅元首相による任命拒否のプロセスを解明すればいいはずだ。ところが、野党の追及に対し「終了した手続き」であることを盾に説明を拒んでいる。5年前の勇ましい発言は一体何だったのか。フザケた話である。
真の狙いは兵器開発か
こんな連中にこれ以上、この国を任せていていいのか。国民はもっと怒った方がいい。コメ高騰に物価高、少子高齢化や、今なおくすぶる自民の「政治とカネ」と問題は山積だが、学術会議を破壊する暴挙こそが、夏の参院選の重大争点ではないか。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「新法の条文を読みましたが、学術会議を完全に総理大臣の監督下に置くような中身になっています。政府の意に沿う発言ばかりをさせるつもりでしょう。政府にとって最大のネックは、学術会議が『軍事研究を行わない』との声明を出し続けていることです。今後は財界の影響力を増大させてこの声明を取り下げさせ、軍事と民間の両方で利用可能な技術を扱う『デュアルユース』研究を後押しさせる狙いがあるのでしょう。将来的には、兵器の開発と輸出につなげる絵を描いている可能性もあります。政財界にとって兵器の開発と輸出は悲願だからです。学術会議のタガを外して、武器開発に邁進してしまえば、国際的な緊張を招きかねません。国民は、そうした思惑にキチンと目を向けて参院選の投票に臨むべきでしょう」
テレビメディアは視聴率ありきで“小泉劇場”ばっかり追いかけているのだろうが、それでいいのか。
それこそ、学術会議を見習って権力の監視役に徹するべきだ。
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