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※紙面抜粋
※2025年7月10日 日刊ゲンダイ2面
トランプ関税交渉が暗礁に…石破の無策も酷いが、自民から上がる「安倍だったら」も幻想だ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/374572
2025/07/10 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
交渉中に“居眠り”(トランプ米大統領)、「なめられてたまるか!」とブチ上げ(石破首相)/(C)日刊ゲンダイ
赤沢関税交渉の舞台裏を見ていくと、完全にすれ違いだったことがよくわかる。参院選の最中の「振り出し通告」に自民党内からもさまざまな雑音、悲鳴が聞こえてくるが、安倍なら国を売っただけ。もはや右往左往するしかない場当たり政権の限界と今後。
◇ ◇ ◇
トランプ関税25%──。
4月に米国から相互関税24%を突きつけられ、90日間の停止期間中、日本は引き下げ交渉を繰り返したが、結果は「+1%」。最大の懸案である自動車関税25%についても、トランプ大統領はビタ一文まけることはなく、交渉は完全に暗礁に乗り上げた。「わずか25%の関税を課します」などと記された書簡を一方的に送りつけた“トランプ流”に石破政権はどう対応するのか。先は見えない。
気になるのは、この間、7回も訪米した交渉担当の赤沢経済再生相は一体何をしていたのか、ということだ。その舞台裏を、9日の毎日新聞朝刊が詳報していた。
記事によれば、6月中旬、カナダであったG7首脳会議の会場内で開かれた日米首脳会談で、同席したグリア米通商代表部(USTR)代表が突如、こんな批判を展開したという。
「なぜ日本は農産品の関税を下げず、米国の関税を下げろと言ってくるのか」
これに、石破首相に同行していた赤沢は「日本では農業がセンシティブで難しい」などと反論。双方の応酬が続き、結局、肝心の自動車関税見直しの議論が十分にできないまま30分の会談が終了してしまったという。このやりとりの間、トランプ本人は目をつぶり、ほとんど口を開かずじまいだったそうだ。日本政府関係者は「眠そうに見えた」と毎日新聞に証言。この時点で、早くもトランプは“日本とは話してもムダだ”と、聞く耳を持っていなかったのかもしれない。
G7首脳と連携すべきだった
さらに、記事を読んでいると、日米双方の思惑が完全にすれ違っていたことがよく分かる。
日本側は、相互関税24%の引き下げは比較的実現しやすい「安牌」と判断。懸案の自動車への追加関税25%を中心に「一連の関税措置を全て見直してほしい。そこの部分がパッケージの中に入らないと、我々は合意ができない」(赤沢)という強気な姿勢で臨んだ。自動車関税の「撤廃」要求取り下げなど、あの手この手で交渉を展開したそうだ。
一方の米国も当初、日本を「くみしやすい」相手と甘く見ていた可能性がある。一方的に書簡を送りつけ、早々に日米の合意内容を示すことで、他国から妥協を引き出せると見ていたフシがあるという。
要するに、日本側は相互関税と自動車関税をパッケージにした上で、譲歩に譲歩を重ねれば合意できると楽観し、米国側も日本を甘く見過ぎたということだ。
それにしても、石破政権の無策には呆れるしかない。この間、石破本人は「(合意の)95%まで来ている」なんて周囲に語っていたそうだが、見当外れもいいところだ。対米投資の増加、米国産液化天然ガスの購入拡大といった譲歩策でなく、他に効果的な策があったのではないか。
赤沢は過去7回の訪米について、多くはアポなしだったと明かし、「押しかけ成功率100%」「押しかけてカウンターパートの閣僚と会えなかったことはない」と“ドヤ顔”を浮かべていたが、会いに行くだけで交渉が進展するとでも考えていたのだろうか。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「何度も現地に足を運び、電話でのやりとりも欠かさない赤沢さんの動きは、まるで米国に『熱心さ』をアピールしているかのようでした。汗をかいて足しげく通う姿勢を見せれば、トランプ大統領も少しずつ態度を軟化させると踏んだのかもしれません。しかし、ビジネスライクなトランプ氏に通じるわけがない。本来、石破首相は2国間交渉を持ちかけられた時点で突っぱね、G7首脳らと連携してトランプ氏と対峙すべきでした。なぜなら、トランプ氏が最も嫌がるのは、交渉相手が一致結束することだからです。自由貿易のルールを重視し、頑として譲らない姿勢を示せば、トランプ氏も強硬な態度はとれなかった可能性がある。石破首相はハナから戦略を間違えていたと思います」
安倍元首相なら防衛費「GDP比3.5%」を即決
“武器爆買い”までも受け入れた(C)日刊ゲンダイ
石破の無策に国民は絶望するしかないが、より落胆しているのは自民党の面々ではないか。何しろ、目下、参院選の真っ最中。そこへ、関税交渉の「振り出し通告」を受けてしまったのだから大打撃だ。自民党内からは、さまざまな雑音、悲鳴が聞こえてくる。「安倍元首相だったらもっとうまくやれたはずだ」という声が上がっている。
露骨なのは、安倍シンパの青山繁晴参院議員だ。自らの動画チャンネルで、赤沢の最初の訪米交渉時にトランプ本人が突然参加した一件に言及。石破が「話が違う。トランプ大統領が出るなら自分が行っていた」と周囲にこぼしたことについて「安倍総理みたいにトランプさんの本質を見抜いていたら『話が違う』とは絶対、言わないと思う」と言っていた。石破をサラッとディスり、安倍元首相を礼賛した格好だ。
「『安倍さんだったら』という言葉は、石破総理と関係が悪い旧安倍派議員がよく口にします。石破総理を批判するために、というより、本気で『安倍さんならうまくやったはず』と思っているようです」(官邸事情通)
安倍を持ち上げる根拠は、第1次トランプ政権時の“成功体験”だ。2019年9月、安倍とトランプは日米貿易協定締結で最終合意。日本側は米国産牛・豚肉への関税を環太平洋パートナーシップ協定(TPP)並みの水準に引き下げ、譲歩した代わりに、自動車関税引き上げを免れた。
これを“成功”と評価しているのだが、当時と今では状況が全く違っている。第1次政権時にトランプはTPPを「ヒドイ協定だ」とクサして離脱。おかげで、日本では、米国産牛はTPP加盟国のオーストラリアやカナダ産牛肉に価格競争で勝てない状況になっていた。
そもそも、協定は“”不平等条約
そこで協定締結で関税を引き下げることで米国に譲歩。トランプに手を差し伸べてやったわけだが、今の日本に譲れるようなカードはない。安倍だったら――、など何の根拠もない話である。
そもそも、協定には自動車関税の「撤廃」が盛り込まれておらず、当時から「不平等条約」と批判されていた。結局、第2次トランプ政権でシレッと自動車関税を引き上げられているのだから、“成功体験”どころか“トラウマ”ではないか。「安倍だったら」なんて、幻想に他ならない。
慶大名誉教授の金子勝氏(財政学)はこう言う。
「安倍首相だったらどうなっていたか--、その答えは明白です。彼ならトランプ政権が求める防衛費のGDP比3.5%への増額や、米国産米の輸入拡大をサッサと受け入れたでしょう。自民党議員の一部は、6年前の日米貿易協定締結に至る交渉を評価しているようですが、安倍首相は豚・牛肉の関税引き下げに至っただけでなく、最終的には米国の“武器爆買い”まで受け入れました。米国の言いなりで防衛費を拡大すれば、日本の財政は破綻に追い込まれかねません。また、コメの輸入まで米国に頼れば食料自給率も上がらない。仮に安倍首相に任せたとしたら、国を売って終わりだったと思います」
石破は9日、千葉県内の街頭演説で「(米国に)なめられてたまるか」とブチ上げていたが、トランプ本人に言えるのか。
選挙対策で口にしただけなら、今後の交渉も期待薄だ。有権者はよく考えた方がいいだろう。
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