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※紙面抜粋
※2025年7月23日 日刊ゲンダイ2面
関税交渉を政治利用 束の間の石破続投で失う国益
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/375133
2025/07/23 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
延命のために政治利用…(C)J MPA
民意の後ろ盾を失った政権がトランプ交渉を理由に続投宣言したが、足元を見られるのは明らかだ。交渉継続を政治利用する危うさと損失。赤沢訪米を誰も止めない自民党の劣化。石破政権がつづけば続くほど、国民は大損だ。
◇ ◇ ◇
20日投開票された参院選は自民、公明両党の歴史的敗北で幕を閉じた。
今後、予想されるのは、内政や外交で、良くも悪くもさまざまな影響が出てくることだろう。
「深くおわびする。結果を謙虚に受け止めなければいけない」。惨敗から一夜明けた21日、党本部で記者会見に臨んだ石破首相(自民党総裁)。まずはこう陳謝しつつ、「比較第1党の責任を果たさなければならない」と続投の意志を強く示した。
「比較第1党」とは過半数には達しないものの、議席数を最も多く持つ政党のことだ。参院選では自公が議席を大幅に減らす一方で、国民民主党などの野党が議席を増やした。
多極化した与野党の中で、石破は「それでも自民の優位性が揺るがない」と強調したかったのだろう。参院選公示前に自身で掲げた「非改選を含めた与党で過半数」という目標に届かなかったにもかかわらず、この開き直りとも言える姿勢。
負け惜しみというのか、強がりというのか、いずれにしても厚顔無恥という言葉がぴったりではないか。
昨秋の衆院選に続き、民意の後ろ盾を失った石破政権。自民党内からは公然と「石破おろし」の声が上がる中で、渦中の石破は辞任を否定。続投の理由として挙げたのが米トランプ政権が日本に突きつけた高関税措置の発動に対する交渉継続だった。
石破はすでに「レームダック」状態
トランプ大統領は日本に対し、8月1日から新たな「相互関税」として25%を課すと書簡で通告。
「我が国の国益を守り抜くことを大原則に8月1日という新たな節目も念頭に、関税ではなく投資という考え方を基盤に日米双方にとって利益となる合意を実現してまいります」
「関税期限がくる。それまでに全身全霊で立ち向かっていかなければならない」
「できる限り早期にトランプ大統領と直接話をし、目に見える成果を出したい」
参院選の惨敗など、どこ吹く風。まるで、自身が関税交渉に乗り出せば進展するかのような物言いだったが、ディール(取引)が得意のトランプが、もはや「レームダック」(死に体)状態に追い込まれた石破をマトモに相手にするとは思えない。
元外務省国際情報局長の孫崎享氏がこう言う。
「米財務省の試算によると、トランプ政権が発足した1月から6月までで、関税収入が計872億ドル(約13兆円)に達した、と報じられており、トランプ大統領が今、日本との相互関税の条件を見直す必然性は何もありません。さらにトランプ政権は、石破首相が選挙期間中に語った『これは国益をかけた戦い。なめられてたまるか』という発言を受け、これが日本側の強い意志と捉えている。ならば米国は相互関税を課すだけだ、ということ。そのうえ、民意を失った石破政権ですから、今後の交渉で足元を見られるのも容易に想像がつきます」
衆参両選挙で敗北の石破政権に残る関税交渉カードは何もなし
暴君(C)ロイター
トランプ政権が今月に合意したインドネシアとの貿易協定では、米国が輸入品に19%の関税を課す一方で、米国製品の関税はゼロ。さらにエネルギー関連や米ボーイング製の航空機などの購入を拡大することなど、米国にとっては極めて有利と言える内容だった。
ベッセント米財務長官は21日、CNBCテレビで、このインドネシアとの協定合意を引き合いに出し、「最初の提案が非常に良く、どんどん良くなっていった」と指摘。「良い貿易協定とはこういうものだ」と言っていた。
そして対日貿易交渉については「我々が優先するのは日本政府の内部事情ではなく、米国民にとって最良な合意を得ることだ」と言い、自動車関税の見直しなどを求める日本を強く牽制していたから、参院選の結果を受けて日本との交渉のハードルを緩める気も、引き延ばす気もないのは明々白々だろう。
日米関税交渉はタダでさえ防戦一方だったとはいえ、それでも国内基盤の強い政権であれば状況は違った。農産物の市場開放など、日本にとって痛みを伴う条件をチラつかせながら交渉することも可能だったからだ。
しかし、衆参両院の選挙で敗北した石破政権はその国内の支持を失ったわけで、交渉カードはすでに何もなくなったと言っていいだろう。にもかかわらず、石破政権が交渉役の赤沢経済再生担当相を米国に派遣した目的は一体何なのか。
赤沢派遣は石破政権延命のためのアリバイづくり
前出の孫崎享氏は「政権延命のためのアリバイづくり」と断じ、こう続ける。
「これまで7回にわたる交渉で進展しなかったのは、日本側がよほどの譲歩をしない限り、合意は不可能ということです。それでも赤沢大臣を派遣したのは、期限が迫る8月1日までギリギリの交渉を続けたという姿勢を示すことに加え、さすがに米国と交渉中であれば、党内で噴出している『石破おろし』も難しいと考えたからではないか」
22日付の朝日新聞の記事によると、赤沢の訪米が確定したのは<投開票日の深夜、閣議了解は出発直前だった>というから、これが事実であれば、石破は選挙で負けることが分かり、あえてこのタイミングで赤沢の派遣を決めたということ。つまり、「関税交渉を政治利用」した疑いが強くなるわけだ。
21日に米国入りした赤沢はワシントン近郊のダレス国際空港に到着後、記者団の取材に「日米間で合意できるような着地点を見つけるため精力的に協議を続けていく」と説明していたが、この時点ではベッセントやラトニック商務長官との直接協議は決定しておらず、22日以降の実施を目指して調整を続けたというから前代未聞だろう。
重大交渉で相手国の閣僚が出向いてきているのに直接協議が実現せず、日程調整なんて聞いたことがない。おそらく米国側は赤沢がロクな取引材料を持っていないと見透かしているわけで、そんな赤沢訪米を誰も止めない自民党もまた劣化が酷いと指摘せざるを得ない。
戦時中の日本軍はレイテ島沖の海戦の際、何の見通しもないまま突入作戦を展開して失敗したが、関税交渉に臨む石破自民も同じ。うまくいかないとうすうす分かっていながら突入し、やっているフリで国民をごまかしている。
関税交渉で日本はどれだけの国益を失うのか。石破政権が続けば続くほど、「国益を守り抜く」どころか、国民は大損だ。
経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
「厳しい関税交渉の展開が予想されますが、一方で、米国にとって石破自民が潰れては困るでしょう。新たな自民党のタカ派が首相になれば交渉はやり直しになるし、仮に極右政権が誕生するのは論外だからです。石破政権の支持基盤が弱くなったことで、それを逆手に譲歩を迫り、その代わりに日本側が納得できる条件を与えて合意する可能性はあります。しかし、日本側が今のようにゼロ回答を続けていれば決裂。日本も米国も相当な損害を被るのは避けられません」
交渉合意か決裂か。残された時間は約1週間だ。
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