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※紙面抜粋
※2025年8月26日 日刊ゲンダイ2面
一番困惑しているのは石破茂本人だろう…こんな首相が支持率激増の世も末
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/376676
2025/08/26 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
判官びいきに助けられ(C)日刊ゲンダイ
石破内閣の支持率が大幅に上がっているが、一体、何が評価されているのか。トランプ関税と減反見直しなどという解説もあるが、いずれも本当の評価はこれからだ。石破おろしのメンメンの素行の悪さが、逆に首相の追い風になる皮肉。いわば敵失の支持率アップは政治の惨状の裏返し。
◇ ◇ ◇
日本人のメンタリティーを表す言葉に「判官びいき」があるが、さすがに「ひいき」の度が過ぎやしないか。主要メディアが8月に実施した世論調査の結果が出そろったが、石破内閣の支持率は軒並み上昇に転じている。
先週末実施の調査だと、毎日新聞の支持率は33%で前回7月調査の29%から4ポイントアップ。共同通信は35.4%で前回7月から12.5ポイント上昇した。実施済みの調査も同様で、2割台に沈んでいた支持率はおしなべて3割台に戻した。
特に驚かされたのは、読売新聞の調査だ。支持率は39%で、自公与党が惨敗した参院選直後の前回7月緊急調査から実に17ポイントも上昇。上げ幅(首相交代のタイミングを除く)は2008年の電話調査開始以降で最大となり、面接調査時代を含めても、小泉純一郎元首相が北朝鮮を訪問した後の02年9月調査での20ポイントに次ぐ2番目の数字というのだ。
一体、石破首相の何が評価されているのか。読売は〈米国との関税交渉の合意や、コメの増産方針表明が評価されたとみられる〉(25日付)と解説したが、どちらも本当の評価はこれからだ。
関税交渉の合意後も実施時期など、トランプ米政権との認識の食い違いが目立つ。減反政策から増産にカジを切っても、農家の生産体制はすぐには整わず、いきなりコメの量は増えやしない。記録的な猛暑の影響でコメ不足が懸念される今秋には間に合わないのだ。
02年の小泉訪朝では、当時の金正日総書記に長年否定してきた日本人拉致の事実を認めさせ、拉致被害者の帰国につながった。日本政治史にレガシーを残したわけで、その直後に匹敵する石破の支持率V字回復は、「関税とコメ」だけでは到底、説明がつかない。
上昇要素は皆無なのに爆上がりのミステリー
もっと言えば参院選の自民大敗から1カ月余り、石破は国民のために何もしていない。
特に庶民を苦しめる物価高は放置したまま。関税とコメを除けば、ほぼ何の実績も上げられず、支持率激増の材料は皆無だ。
衆参両院とも少数与党に転落し、政権維持の展望は乏しい。野党との政策協議の動きは鈍く、政権安定のための連立拡大交渉は不可能に近い。そりゃそうだ。自民党内には「石破おろし」が渦巻き、いつまで首相の座にいられるのかすら予測不能。あすをも知れない首相に手を差しのべた時点で、どの野党も存在理由を疑われるだけである。
8月に入り広島、長崎の原爆慰霊のあいさつや、15日の全国戦没者追悼式の式辞で13年ぶりに「反省」の言葉を使った石破らしさを評価する向きもあるが、時代を動かす名演説とは言いがたい。
まさに今の石破は八方ふさがり。その座にとどまる日が延びるほど「政治空白」は長引くのに、この間、内閣支持率は大幅に上がるという真夏のミステリー。爆上がりの謎を解くカギも、読売調査が参考となる。
参院選の結果、自公与党が衆参両院で過半数を下回ったことについて、自民党総裁である石破の責任は大きいと「思う」との回答は50%。一方、「政治とカネ」の問題を抱えた自民党議員の責任は大きいと「思う」は81%に上り、石破の責任よりも厳しい目が向けられていることが、改めて浮き彫りとなった。
裏金の責任棚上げで辞任迫る厚かましい人々
石破おろしの中心を担う“すこぶる厚かましいメンメン”(左から麻生、茂木、世耕3氏)/(C)日刊ゲンダイ
石破おろしの中心を担うのは、旧安倍派や麻生派、旧茂木派だ。各派閥を率いるメンメンの顔つきを思い起こして欲しい。「人は見た目が9割」とも言うが、麻生・党最高顧問はマフィアのボス然とし、茂木前幹事長はインテリヤクザみたいなツラ構えだ。石破の方がまだ“常識人”っぽく映る。
とりわけ旧安倍派の幹部たちは見た目もヤバいが、党勢衰退を招いた派閥パーティー裏金事件の「震源地」である。国政選挙2連敗の責任を取り、おとなしく蟄居すべき立場だ。ところが、旧安倍派5人衆の1人で裏金事件を受けて離党した世耕衆院議員は、参院選直後にテレビ朝日の情報番組に生出演。世間に顔向けできないはずの人物が、堂々と顔をさらしていた。
しかも出演数日前に同じ5人衆の萩生田元政調会長、松野前官房長官、西村元経産相と会食した際、石破について「選挙結果を見れば交代しなければいけない」との認識で一致したと打ち明け、堂々の石破おろし宣言。自身を含む4人について「政治的経験が豊富だ。経験を次の政権で生かしてもらえれば、政治の安定に寄与できる」と強調する厚かましさだった。
「政治とカネ」のド真ん中にいた連中が、選挙の洗礼を受けて「みそぎは済んだ」とばかりに、自分たちの責任は棚上げし、石破おろしを仕かける。その理由も復権狙いだと半ば認めているのだから「どのツラ下げて」としか言いようがない。
〈裏金問題や旧統一教会との関係について問題視されている議員が、「辞めろ!」と迫っているのは大きな矛盾を感じます。一体、誰のせいで自民党が国民から白い目でみられているのか、分かっていない〉
そう吠えたのは田中真紀子元外相で、「引退した一主婦」として「AERA」最新号のインタビューに答えていた。彼女が単なる主婦かはともかく、裏金議員の主導する石破おろしへの世間の反感を言い当てているのは間違いないだろう。
「何もしなければ」に味を占めても困る
ポスト石破の最右翼とも目される高市前経済安保相からして、参院選の終盤に自公過半数割れの見方が強まると、選挙のさなかに「私なりに腹をくくった」と総裁選出馬に意欲を示す始末だった。まだ、当落線上の仲間たちが選挙戦で汗を流す中、自分の都合だけで次のトップに色気を見せる素行の悪さ。石破おろしのメンメンに石破自身がとことん救われている。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「世論調査で何もしていない内閣の支持率が激増し、『石破首相は辞める必要がない』の意見が過半数を占めるのは、他国にはない日本固有の『判官びいき』のなせるワザ。安倍元首相以降の自民党政治がヒドかったと感じる人々には、石破首相が平常運転でも普通の優等生、『文人宰相』のように映ってしまう。国民の多くは、裏金議員こそが悪しき自民の体質の象徴、本来なら出しきるべきウミだととらえています。彼らが生き残りのため、優等生に抵抗する姿は異常で反発を覚えるのは当然。いわば政敵のオウンゴールによる支持率アップでしかなく、いかに過去と現在の自民党政治がヒドいか。その惨状を表しています」
9月10日には裏金約5100万円で在宅起訴された旧安倍派の元参院議員・大野泰正被告の初公判が開かれ、今後は裏金約4800万円で逮捕・起訴された旧安倍派の元衆院議員・池田佳隆被告の刑事裁判も控える。
そのつど裏金事件が報じられ、旧安倍派の悪行が蒸し返されると逆に石破には追い風となる。このままだと石破おろしは雲散霧消となりかねず、党の汚点が続投の決め手となれば皮肉な話だ。
「判官びいきと言っても、判官の地位を追われた源義経と違って、石破首相はまだ権力の中心にいます。“身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ”で、支持率が反転上昇の今こそ、政治資金パーティーも企業団体献金もストップ。狂乱物価のインフレ退治で日銀に利上げをうながせばいいのですが、石破首相にそんな覚悟は感じられません。やはり『やりたい』ことよりも一日でも長く首相で『いたい』だけの人。何もしなければ支持率は上がると味を占められても、国民が不幸になるだけです」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
こんな首相が支持率激増とは世も末だが、一番困惑しているのは石破本人かもしれない。
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