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落ちるところまで落ちた政治体制で日本は激動の世界を航行する
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2025.10.22 櫻井ジャーナル
自民党の高市早苗が日本維新の会の支援を受け、衆参両院の首相指名選挙で内閣総理大臣に選ばれた。高市に限らず、日本の政治体制は落ちるところまで落ちたと言われても仕方がないだろう。維新は閣僚は出さず、政策協定に基づいて政権運営に協力するのだというが、与党になっても高市政権とは距離を置いた方が得策だと考えたのかもしれない。
高市政権が乗り出そうとしている世界は現在、激動の時代を迎えている。アメリカやイギリスの巨大金融資本を中心とする世界秩序が揺らいでいるのだ。ネオコンは軍事力や経済力を利用してその揺らぎを抑え込もうとしたが、ロシアや中国をはじめとする国々の逆襲にあい、西側諸国の状況は悪化している。アメリカの植民地と化している日本は、その揺らいでいる西側のシステムから抜け出せない。
アメリカが日本に対して要求していることのひとつは中国やロシアと戦争する準備をすることであり、もうひとつはロシアからのエネルギー資源輸入を停止することだ。アメリカのスコット・ベッセント財務長官10月15日、日本がロシアからのエネルギー輸入を停止することを期待すると加藤勝信財務大臣に伝えたという。今月下旬に東京を訪問するドナルド・トランプ大統領に「良い返事」をしろということだろう。
ロナルド・レーガン大統領が1984年にNSDD133(ユーゴスラビアに対する米国の政策)に署名したときからアメリカの対ロシア/ソ連戦争は始まっている。この政策はユーゴスラビアを含む東ヨーロッパ諸国を「静かな革命」で倒そうというものだった。
ユーゴスラビアはIMFの要求に従って国有企業の私有化を進めたが、その結果、ユーゴスラビアのGDP(国内総生産)は1990年に7.5%、91年には15%それぞれ低下、工業生産高は21%落ち込んだ。必然的に企業は倒産し、失業者が街にあふれる。そこでアメリカはローマ教皇ヨハネ・パウロ2世や配下のネオ・ナチを利用して反乱を演出した。その際に西側はネオ・ナチに「民主勢力」というタグを、またセルビア人に「新たなナチ」というタグをつけてイメージ戦争を展開、ユーゴスラビアの解体に取り掛かった。
1991年6月にスロベニアとクロアチアが独立を宣言、同じ年の9月にはマケドニアが、翌年の3月にはボスニア・ヘルツェゴビナが続き、4月になるとセルビア・モンテネグロがユーゴスラビア連邦共和国を結成、社会主義連邦人民共和国は解体された。
さらにコソボのアルバニア系住民も連邦共和国から分離してアルバニアと合体しようと計画、それをNATOが支援する。この間、西側の有力メディアはセルビア人による「人権侵害」という偽情報を広め、それを口実にしてユーゴスラビアを攻撃するよう求めている。
1992年2月にはフランスのランブイエで和平交渉が始まるが、91年12月にはソ連が消滅している。ランブイエでの交渉セルビア側はコソボの自治権を認め、弾圧もやめることで合意、交渉はまとまりかけた。
しかし、それを嫌ったNATOは相手が受け入れられない条件、つまり車両、艦船、航空機、そして装備を伴ってNATOの人員がセルビアを自由に移動できるという項目が付け加えた。事実上、NATOがセルビアを占領するということだ。(David N. Gibbs, “First Do No Harm”, Vanderbilt University Press, 2009)
1991年12月にソ連が消滅した直後の92年2月、アメリカの国防総省は新たな軍事戦略DPG(国防計画指針)の草案を作成した。作成の中心は国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツだったことから、この文書は「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。
ソ連の消滅でアメリカは唯一の超大国になったとネオコンは確信、世界制覇戦争を始めようというわけだが、そのドクトリンにはドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設すると書かれている。要するに、ドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということだ。
また、旧ソ連の領土内であろうとなかろうと、かつてソ連がもたらした脅威と同程度の脅威をもたらす新たなライバルが再び出現するのを防ぐことが彼らの目的だともしている。西ヨーロッパ、東アジア、そしてエネルギー資源のある西南アジアが成長することを許さないということだが、東アジアには中国だけでなく日本も含まれている。
ソ連が消滅した直後から西側の有力メディアはユーゴスラビアを攻撃するように求めるが、ビル・クリントン政権は自重。クリストファー・ウォーレン国務長官が戦争に消極的だったからだと言われている。その当時、クリントン大統領はスキャンダル攻勢に苦しんでいた。
そして1997年1月、国務長官はウォーレンから反ロシア感情の強いマデリーン・オルブライトに交代、状況は一変した。ちなみに、オルブライトはコロンビア大学でズビグネフ・ブレジンスキーから学んでいる。オルブライトはビル・クリントンの妻、ヒラリーと親しい。ヒラリーは夫のビルに対し、オルブライトを国務長官にするように働きかけたと言われている。そのオルブライトは1998年秋、ユーゴスラビア空爆を支持すると表明した。
アメリカ政府は1999年3月から6月にかけ、NATO軍を使ってベルグラードを空爆。「気高い鉄床作戦」だ。4月にはスロボダン・ミロシェビッチの自宅が、また5月には中国大使館も爆撃されている。この空爆を司令部はアメリカ大使館にあり、指揮していたのはブルガリア駐在大使だったリチャード・マイルズだ。
2000年にはアメリカ大統領選挙が実施された。1999年の段階で最も人気があった候補者は共和党のジョージ・W・ブッシュでも民主党のアル・ゴアでもなく、立候補を否定していたジョン・F・ケネディ・ジュニア、つまりジョン・F・ケネディ大統領の息子。1999年前半に行われた世論調査ではブッシュとゴアが30%程度で拮抗していたのに対し、ケネディ・ジュニアは約35%だったのだ。
しかし、ケネディが大統領選挙に参加することはなかった。1999年7月、ケネディ・ジュニアを乗せ、マサチューセッツ州マーサズ・ビンヤード島へ向かっていたパイパー・サラトガが目的地へあと約12キロメートルの地点で墜落、ケネディ本人だけでなく、同乗していた妻のキャロラインとその姉、ローレン・ベッセッテも死亡している。
そして2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎が攻撃された。いわゆる「9/11」だ。ジョージ・W・ブッシュ政権は即座にアル・カイダが実行したと断定、イラクをアメリカ主導軍で攻撃、アル・カイダ系武装集団を弾圧していたサダム・フセイン体制を破壊した。
ウェズリー・クラーク欧州連合軍(NATO作戦連合軍)の元最高司令官によると、9/11から10日ほど後、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺はイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、イラン、スーダンを攻撃対象国リストに載せていたという。(3月、10月)
このプラン通りにアメリカは戦争を進め、そして2014年2月にウクライナでネオ・ナチを利用したクーデターを実行、ロシアとの戦争を始めた。この戦争に日本も巻き込まれている。
専守防衛の建前と憲法第9条の制約がある日本の場合、ASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたとされていたが、すでにそうした配慮は放棄されている。
2022年10月になると、「日本政府が、米国製の巡航ミサイル『トマホーク』の購入を米政府に打診している」とする報道があった。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。
トマホークは核弾頭を搭載でる亜音速ミサイルで、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートル。中国の内陸部にある軍事基地や生産拠点を先制攻撃できる。「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約は無視されていると言えるだろう。
そして2023年2月、浜田靖一防衛大臣は亜音速巡航ミサイル「トマホーク」を一括購入する契約を締結する方針だと語ったが、10月になると木原稔防衛相(当時)はアメリカ国防総省でロイド・オースチン国防長官と会談した際、「トマホーク」の購入時期を1年前倒しすることで合意したという。2025年度から27年度にかけて順次納入されることになっている。
こうした時期、思慮深いとは言えない高市早苗が首相に就任することをアメリカは歓迎しているだろう。
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