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※2025年10月24日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大

※紙面抜粋

※2025年10月24日 日刊ゲンダイ2面
この国はどこに向うのか…高市新首相を熱狂支持する世論の怖さ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/379362
2025/10/24 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

タカ派色全面打ち出し、この政策の前提で正しいのか(C)日刊ゲンダイ
高市新政権に目を剥くような高支持率。積極財政で株価が上がり、「強い日本」で防衛費拡大。外国人への規制強化が当たり前のように支持される世論にはちょっと背筋が寒くなる。タカ派首相の政策の前提は正しいのか。冷静な検証と監視が必要だ。
◇ ◇ ◇
さすがに、あの高い支持率には多くの国民が驚いたのではないか。
読売新聞の世論調査によると、高市内閣の支持率は71%だった。内閣発足直後の調査としては、第1次安倍内閣の70%を超えて歴代5位の高さだという。18〜39歳に限ると、80%という驚異的な高い支持率だった。
株式市場も高市政権の誕生を歓迎し、自民党の総裁に選ばれた後、日経平均株価は3000円も上昇している。
まだなにもしていないのに、世論もマーケットも高市新首相を熱狂的に支持している。自民党関係者がこう言う。
「支持されている理由は、いくつかあるようです。初の女性首相ということで無条件に支持している人。株価上昇に期待している人。連立を組んだことで維新支援者も支持しているようです。読売新聞の調査では、近畿圏での支持が上昇しています」
しかし「女性首相だから」「株価が上がりそうだから」と、無邪気に支持していて大丈夫なのだろうか。
ヤバイのは、予想通り、政権発足直後から「タカ派色」を前面に打ち出していることだ。自民と維新との「連立政権合意書」にも、タカ派色の強い政策がズラリと並んでいる。
「防衛費増額」「スパイ防止法の成立」「日本国国章損壊罪の制定」「日本版CIAの創設」──。しかも、“〇年に成立”などと期日まで書き込んでいる。
もし、合意した項目が次々に成立したら、日本社会が大きく変わるのは間違いない。どれもこれも、自民党がやろうとしても国民の反発が強くて断念したシロモノばかりだからだ。
たとえば「スパイ防止法」は、個人の思想信条の自由を侵害する恐れが強いとして、以前、廃案になっている。最高刑は死刑だった。
「平和」を掲げる公明党が連立から抜け、「右翼」の維新が連立入りしたことで、高市政権にブレーキをかけるものはなく、アクセル全開という状況だ。
高市は「決断と前進」を掲げている。いったい、この国はどこに向かうのか。
軍事大国・中国と戦争するつもりなのか

高市政権もアメリカのいいなり。言われるがままの軍拡路線ひとすじ(C)ロイター
さっそく高市は、24日行われる初の所信表明で「防衛費の大幅増額」をブチ上げる方針だ。
2027年度までに防衛費をGDP比2%に引き上げる目標について、2年も前倒しして、25年度中に実現させると表明。25年度補正予算を組み、今年度中に達成させると表明する予定だ。今年度の当初予算の防衛費はGDP比1.8%だった。
さらに、27年度に改定する予定だった「安保関連3文書」についても、改定時期を26年末に1年、前倒しすると表明する。「3文書」の前倒し改定は、維新との「合意書」にも明記された。改定時期を前倒しし、27〜31年度分の防衛費を大幅に増額するつもりらしい。
とにかく防衛費の増額、軍拡に前のめりなのだ。
それもこれも、トランプ米大統領が27日に来日するためだ。米側は、日本に対して、防衛費をGDP比3.5%にまで増額するよう要求している。
日米首脳会談で高市は、防衛費の増額をトランプに約束するつもりなのだろう。実際「日本の防衛力はしっかりと充実させていくと、トランプ大統領にお話ししたい」と会見で強調していた。
しかし、ガソリンの暫定税率を廃止するための財源(1兆5000億円)さえ見つからないのに、防衛費をGDP比3.5%にまで引き上げる財源が、どこにあるのか。GDPの1%は、約6兆円だ。3.5%だと、約21兆円である。いずれ「大増税」を迫られるのではないか。
ブレーキを失った高市政権が危ういのは、このまま日本を「戦争のできる国」にしかねないことだ。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「防衛力の強化を訴える政治家は『台湾有事』や『中国の脅威』を理由にすることが多い。高市政権も、中国の軍事的動向を深刻な懸念としています。しかし、日本が軍拡に走るほど、中国との緊張が高まるのは明らかです。もし、本当に台湾有事が起きたらどうなるか。最悪、アメリカは参戦せず、日本だけが中国に向き合うことになる恐れがあります。アメリカは台湾のために血を流さない可能性があるからです。すでにアメリカのヘグセス国防長官は、『西太平洋の有事に直面した場合、日本は最前線に立つことになる』と通告している。軍事大国の中国とコトを構えることがどういうことか、高市首相は理解しているのでしょうか。いま必要なことは、戦争が起きないようにするための『外交』でしょう。アメリカの要求に従って防衛費の増額に走ることがどういうことか、いかに外交が重要か、高市首相は分かっているのでしょうか。非常に心配です」
排外主義が国益につながるのか
高市政権が掲げるもう一つの目玉政策が、外国人への規制強化だ。
所信表明演説でも、「一部の外国人による違法行為やルールからの逸脱に対し、不安や不公平を感じる状況が生じている」「こうした行為に毅然と対応する」と、訴える方針だ。
総裁選の時も「奈良の鹿を足で蹴り上げる、とんでもない人がいます」などと、証拠も示さず、平気で外国人を蔑視する発言をしていた。露骨なまでの「排外主義」である。
しかし、「排外主義」が国益にとってマイナスなのは明らかなはずだ。
経済学の実証研究では、外国人労働者が自国の労働者の雇用や賃金に深刻な悪影響を与えることはないという。
移民流入が賃金や雇用に与える影響は小さく、長い目でみると、消費拡大や補完効果、イノベーション促進を通じて経済成長に寄与するそうだ。しかも、移民は若年層が多く、労働力人口の確保と、社会保障制度の持続可能性を高める上で重要な存在なのだという。
米ハーバード大のアルベルト・アレジーナ教授とマルコ・タベリーニ助教授の分析を、大阪大特任教授の大竹文雄氏が、読売新聞(9月28日付)で分かりやすく紹介していた。
人手不足に苦しむ日本だって、外国人労働者なしでは社会が成り立たないことは、ハッキリしている。コンビニ、介護、宿泊、飲食、物流……と、もし外国人の働き手を失ったら、現場は回らなくなってしまうだろう。
インバウンドの消費額も、いまや年間10兆円近くに達している。自動車の輸出額、約21兆円に次ぐほど外貨を稼ぐ産業になっている。
なのに、高市は「排外主義」を煽っているのだから、どうかしているのではないか。
「人口が減り、国際競争力も落ち始めた日本にとって、労働力にしろ、インバウンドにしろ、外国人が大きな存在になっているのは間違いない。心配なのは、この先、日本が外国人から選ばれるのか、ということです。このまま円安が進めば、日本で働いても稼げないから外国人は働きに来てくれないかもしれない。本来、高市首相は、どうすれば外国人と共生をはかれるか、政策を掲げるべきなのに、排外主義と受け取られかねない言動を取っているのだから、どうかしています。国益をどう考えているのでしょうか」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
読売新聞の世論調査では、高市を支持する理由で一番多かったのは「政策に期待できる」(41%)だった。
タカ派首相の政策は、本当に正しいのか、国益にかなうのか。もう少し冷静な検証が必要なのではないか。
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