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※2025年11月15日 日刊ゲンダイ2面 紙面クリック拡大

※紙面抜粋
庶民の苦境を弄ぶな 何が物価高対策だ? 高市経済対策の肝は軍拡の戦争補正
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/380352
2025/11/15 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

欲しいのは「票とカネ」(C)日刊ゲンダイ
高市内閣の経済対策が出てきたが、円安を止めないまま、おこめ券などでごまかす国民愚弄。物価高対策と称し、中身は戦争予算の大拡大。これで誰が喜ぶのか。この政権の正体が見えた。
◇ ◇ ◇
この政権の正体見たりだ。石破前政権が掲げた「2020年代に時給1500円」とする最低賃金引き上げの政府目標が、あっさり消滅した。14日の参院予算委員会で、高市首相が「今の段階で明確に目標を示すのは非常に難しい」「『ここで何円まで』と示す政府として統一したものはない」と明言。目標を事実上、撤回したのだ。立憲民主党の古賀之士議員の質問に答えた。
石破前首相は就任直後の所信表明演説で「20年代に全国平均1500円という目標に向かって努力を続ける」とブチ上げ、従来「30年代半ばまで」としていた引き上げ時期を前倒しした。今年6月に閣議決定した「骨太の方針」にも、この目標は盛り込まれたが、高市は軽々と投げ捨てたのだ。
確かに「20年代に時給1500円」は一見すると、高い目標に映る。29年度に達成させるにしても、今年度からの5年間で42.2%の賃上げが必要となる計算だ。年平均7.3%。24年度までの10年間の年平均上昇率3.1%を大幅に上回る。当初からペースが急激すぎると人件費コストの負担が増し、中小企業の経営を圧迫するという専門家らの懸念もあった。
しかし今年度の最低賃金は、厚労省の審議会から全国加重平均で63円(6%)増の1118円との答申が出た。上げ幅は過去最高を更新し、全ての都道府県で初めて時給1000円を超える見込みだ。
石破の「掛け声」が奏功し、最低賃金大幅アップを勝ち得たと言えるのだが、問題はこの流れに「待った」をかけた高市が持ち出す理屈である。
ニューヨーク市長の公約は「時給4500円」
この日の予算委で、高市は「1500円、これが出た時、地方の事業者から相当な不満の声が上がりました。政府は数字だけ出して、丸投げかと。自分たちが賃金を支払うんで、国が支払ってくれるわけじゃない」と答弁。政府が具体的な賃金の目標値を掲げるのは、経営者らに対し「とても無責任」とまで言い切った。
経営者目線か、労働者目線か。要はどっちを向いた政治かという話で、高市はキッパリと前者を選んだ。なるほど。昨年10月、石破が打ち出した「20年代に1500円」に対し、「達成不可能な目標を掲げれば混乱を招く」と強く非難したのは、経団連の十倉会長(当時)だった。
分かりやすい構図ではないか。
「米ニューヨーク市長選で当選したマムダニ氏が公約に掲げたのは『時給4500円』ですよ。いくら物価の違いはあれど、日本の最低賃金は世界と比べて安すぎます」とは、労働法制に詳しい法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)だ。こう続けた。
「この国の最低賃金は『パート労働者』を念頭に極めて低く設定されてきました。最低賃金は、そもそも憲法25条の生存権に基づき、本来なら『健康で文化的な最低限度の生活』を保障する金額が求められます。物価上昇に賃上げが追いつかず、実質賃金はマイナス続きの現状を直視し、実際に最低限の生活を維持できる費用を調べ、必要な目標値を掲げるのが政府の仕事です。経営者に文句をつけられたからといって、具体的な政府目標を引っ込めるのは筋が通らない。それこそ高市首相は無責任すぎます」
賃金アップの目標を捨て、防衛費増額は前倒し

コメ大臣の次はおこめ券大臣(鈴木農相)/(C)日刊ゲンダイ
強き経営者を助け、弱き庶民をくじく──。高市内閣の総合経済対策が出てきたが、この視点で眺めれば、ますます正体がクッキリと見えてくる。1ドル=155円まで進んだ円安を止めないまま、おこめ券バラマキでごまかす国民愚弄も、その象徴のひとつ。鈴木憲和農相の肝いり策だ。
鈴木は、事実上の減反政策からコメ増産に転換させた石破前政権の一大方針を、ちゃぶ台返し。来年度産米は一転して減産の見通しを示し、時計の針を巻き戻した。コメ政策の原則に「需要に応じた生産」を掲げるが、供給を引き締めれば価格は高止まりしやすい。新米価格の高騰に喘ぐ庶民の立場に立ち、コメの値段を下げる気など、さらさらない。石破が掲げた「5キロ=3000円台」の価格目標も捨てた。最低賃金の目標と酷似した構図である。
おかげで新米価格は高騰の一途だ。14日農水省は9日までの1週間に全国のスーパーで販売されたコメの平均価格を発表。前週より81円上昇し、5キロ=4316円となった。5月中旬に記録した4285円を上回り、半年ぶりに過去最高値を更新してしまった。
米価高騰の中、おこめ券配布は庶民への“施し”程度に過ぎず、金券バラマキには直接、物価を抑える効果はない。いわばコメの高値維持策で、喜ぶのは自民の大票田である農家やJA農協である。しかも「重点支援地方交付金」を拡充する立てつけで、配布対象の線引きなどは各自治体任せ。高市が嫌いなはずの「丸投げ」そのものだ。
物議を醸した「シカを蹴る外国人」発言ですら、もともと根拠は伝聞情報だったのに、いつの間にか「英語圏の方だが、行為に及んだ方に注意したことがある」と自身の経験談にスリ替わってしまうような人だ。高市に一貫性を求めるだけムダかもしれないが、唯一あるとすれば「票とカネ」欲しさ。大票田と献金企業への優遇策である。
この政権を語るのに高尚な解説は不要
改めて高市内閣の総合経済対策を見て欲しい。庶民が喫緊に求める物価高対策は「高市オリジナル」と言える政策はゼロ。「冬季の電気・ガス料金の補助」「ガソリン税の暫定税率廃止までの補助金」など、焼き直しと野党の借り物のオンパレードである。
物価高対策はソコソコに、経済対策の柱に掲げるのは「防衛力の強化」だ。最低賃金1500円の目標達成時期は撤廃したクセに、防衛費のGDP比2%への増額目標達成は2年も前倒し。軍拡路線を経済の推進役に位置づけ、財源の裏付けとなる補正予算案の中身は“戦争予算”の大拡大となるのは間違いない。
異次元の大軍拡で誰が喜ぶのかといえば、自民に献金を積む大手スポンサー企業だ。昨年公表された23年分の政治資金収支報告書を確認すると、23年度の防衛省本省の契約上位20社のうち12社が関連企業を含め、自民党の政治資金団体「国民政治協会」に献金を送っていた。その総額は約2億5000万円に上る。
防衛省との契約額1兆6803億円と断トツの三菱重工は、例年3300万円を自民に献上。他の契約企業の献金額も、安倍政権以降に増え続けた防衛予算に比例して、上昇傾向にある。
岸田政権が「専守防衛」に反し、敵基地攻撃能力の保有を容認すると、長射程の精密誘導ミサイルの開発など、その整備を一手に担っているのは三菱重工だ。高市政権は非戦闘目的の「5類型」に限る武器輸出ルールを撤廃し、殺傷能力の高い護衛艦などの輸出解禁をもくろんでいるが、その開発を主導するのもまた三菱重工である。
「企業献金温存の利権政治こそが自民党の生命線です。平和憲法の縛りを捨て、軍事産業を大きくすれば献金額も自然と増える。高市政権の軍産複合体に向けた国づくりには、自民の『わが身を肥やす』狙いもあるのでしょう。だからGDP比3.5〜5%と際限なく防衛費を増やしてもお構いなしです。その代替財源が社会保障の切り捨てで、『OTC類似薬』の保険適用見直しや高齢者の医療費『3割負担』拡大は手始めに過ぎません」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
高市政権を語るのに、イデオロギーや政治理念といった高尚な解説はいらない。庶民の苦境を弄び、ひたすら「票とカネ」を求める欲望に突き動かされているだけだ。前出の五十嵐仁氏は「この国は外から攻められる前に、内側から崩れかねない」と警鐘を鳴らした。有権者の多くも、この政権の正体にそろそろ気づいた方がいい。
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