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※紙面抜粋

※2025年12月5日 日刊ゲンダイ2面
こんな暴挙、暴政を許すのか…議員定数削減「爆弾条項」の前代未聞
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/381217
2025/12/05 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

理念とは全く無縁、世論もない、それなのに勝手に選挙制度を変えようと(C)日刊ゲンダイ
政権維持のために勝手に高市総裁が約束した維新との連立合意。のけぞるような中身だったが、自民党は連立維持のために抵抗するでもなく、次々と受け入れている。なかでも議員定数作戦法案の時限爆弾には唖然だ。この国の形も民主主義も壊されていく恐怖。
◇ ◇ ◇
身もフタもない「絶対になってやる」宣言から1カ月半あまり。高市首相が「ガラスの天井」を破り、権力オバケの自民党が政権を維持するために日本維新の会と手を組んだ結果、この国の民主主義はアッという間に風前のともしびだ。怖すぎる。高市自民は、維新の藤田執行部とモメて除名された無所属のトンデモ3人組を衆院会派に引き入れ、衆院過半数(233)を確保。強気に拍車がかかっている。
後半に入った臨時国会で焦点となっているのが、自維与党が5日にも衆院に提出する定数削減法案。連立政権合意書をまとめるにあたり、金権腐敗の温床である企業・団体献金の禁止を維新が引っ込める代わりに、大阪府知事の吉村代表が「政治改革のセンターピン」とか言って持ち出してきたカムフラージュだ。合意書に「衆院議員定数(465)の1割削減」を書き込ませた吉村は当初、対象を「比例区50」と主張したが、暴論過ぎて相手にされず、1日の高市との党首会談で「小選挙区25、比例区20」に後退させた。理念とは全く無縁。維新の決まり文句「身を切る改革」を言いたいがための代物である。
唖然とする展開は続く。維新は「1割を目標として、削減する」と記した法案に時限爆弾を仕込んだ。具体的な削減内容は衆院議長のもとに設置される与野党参加の協議会で検討するとしたものの、1年以内に結論を見いだせない場合は公職選挙法を一部改正し、自動的に「小選挙区25、比例区20」を削減する規定もねじ込んだのだ。人口あたりの議員数はOECD(経済協力開発機構)加盟38カ国中36番目。決して多くはない。定数削減を求める目立った世論もない。にもかかわらず、勝手におしりを切って民主主義の土台である選挙制度を変えようなんて前代未聞だ。
「身を切る改革」で国民負担は減らない
法大大学院教授の白鳥浩氏(現代政治分析)はこう指摘する。
「『政治とカネ』をめぐる議論から逃げるための目くらましとして、定数削減案を言い出したのは明々白々です。30年来、世論が求め続けている『政治改革』とも筋が違う。『平成の政治改革』の積み残しである金権腐敗を一掃せず、『身を切る改革』への覚悟を見せたところで、3年以上もインフレに苦しむ国民の負担が軽減されるわけでもない。子ども・子育て支援金制度の開始などに伴って来年の社会保険料は引き上げられますし、防衛費倍増の裏付けとなる所得税の増税は再来年実施が検討されている。連立崩壊を何としても防ぎたい高市自民、改革アピールで浮揚したい維新。そんな与党の利害一致で選挙制度に手を入れようなんて言語道断です」
自民は3日の総務部会・政治制度改革本部合同会議で加藤勝信本部長への一任を決めたが、さすがにスンナリとはいかなかった。岩屋前外相は「拙速で乱暴なやり方だ。『問答無用条項』のようなものを付けるのは与党の姿勢としていかがなものか」と批判。「法律を通すことで削減は担保されるのではないか」「1年後の措置を具体的にここまで決める必要があるのか」などの異論が相次いだという。もっとも、自民はぐだぐだやったものの、結局は連立維持を優先。一事が万事この調子だ。
吉村が連立の「絶対条件」に挙げたのは論点ずらしの衆院定数削減、住民に2度もノーを突きつけられた大阪都構想を焼き直した副首都構想、社会保障改革。市販薬(OTC)と成分や効能が似た「OTC類似薬」をめぐり、患者の負担増を無視した保険適用除外を強硬に要求している。
権力オバケ+弱肉強食+排外主義で過半数

数の力にモノ言わせる(C)共同通信社
これらに限らず、そもそも連立合意はのけぞるような中身だ。
防衛費のさらなる増加に向けた安保関連3文書の1年前倒し改定。輸出できる防衛装備品を「救難・輸送・警戒・監視・掃海」に限定した「5類型」を撤廃する「防衛装備移転三原則」の骨抜き、そして原子力潜水艦保有。国是の「非核三原則」も捨てやりそうな気配が漂う。
憲法9条改正、緊急事態条項の創設も盛り込まれている。旧姓の通称使用法制化によって、選択的夫婦別姓制度を潰そうともしている。世論の多数が支持するとは考えにくいものばかりだ。
初っぱなで「政治改革のセンターピン」が頓挫すれば、総崩れもあり得る。それで維新の藤田共同代表は4日、参政党の神谷代表と会談。定数削減法案の成立に向けた賛同を求めた。神谷は自維連立合意にも盛り込まれたスパイ防止法案、日本国旗損壊行為を処罰する「日本国国章損壊罪」を新たに盛り込んだ刑法改正案などへの協力を要請し、連携をにおわせたという。与党は参院で過半数まで6足りないが、参院議員15人の参政が加わればクリアできる。権力オバケの自民が弱肉強食の新自由主義を是とする維新と組み、ポンコツ維新を追い出された連中を抱き込み、果ては排外主義全開の参政とも握る--。ゾッとせずにはいられない組み合わせである。
ジャーナリストの山田厚俊氏はこう言う。
「『政治とカネ』の問題をめぐり、維新は自民とは水と油のスタンスだったのだから、尻を叩かなければおかしい。定数削減案をめぐる動きは、トチ狂っているとしか言いようがありません。サッカーをやろうとメンバーを集めてグラウンドも押さえたのに、野球をやると言い出したようなもの。権力にすり寄るためにつじつまを合わせ、イニシアチブを握っていると見せるためのアイテムに過ぎないということです。小選挙区の定数削減は人口が少ない地方ほどしわ寄せが大きい。選挙区が拡大し、活動量も資金もますます必要になる。自民がさして抵抗しないのは、常套句の『政治にはカネがかかる』を正当化する腹なのかと勘繰りたくもなります。もっとも、ムダ削減を言うのなら、問題議員ばかりの維新が国政から身を引けばいいんじゃないか」
「先入れ先出し」の原則を無視か
こんな党利党略の暴挙、暴政を止められるのは、さしあたって野党だけだ。
国会は先に審議入りした法案が優先される「先入れ先出し」が原則。衆院政治改革特別委員会は3日、与野党が提出した企業献金に関する3法案の審議に入った。寄付の「受け皿」を政党本部と都道府県組織に限定することを柱とした国民民主党と公明党の「規制強化」法案。寄付を受ける政党支部に政治資金収支報告書のオンライン提出を義務付ける自民の「公開強化」法案。企業・団体献金のあり方などを議論する第三者機関を国会に設置する自維の法案だ。
4日は各党派の意見表明を実施。自民は「禁止より公開」で譲らず、維新も同調。会期末が17日に迫り、審議日程が窮屈な中、与党が原則を覆して定数削減審議を先行させるのではないか。そんな警戒感が広がっている。党首討論で企業献金規制強化法成立を呼びかけられた高市が、「そんなことよりも、ぜひ定数削減をやりましょう」とやり返したのだから当然だ。政治の師と仰ぐ安倍元首相の「こんな人たちに負けるわけにはいかない」を彷彿とさせるほど強烈だった。分断の加速はごめんだ。
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