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佐川氏のメールが残っていない重大事実…片山財務相まるで他人事「こういうことが起きると誰も思ってなかった」 森友遺族・夫の死を巡る闘争記
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/381257
2025/12/06 日刊ゲンダイ

まるで他人事(撮影)相澤冬樹
改ざんの中心人物のメールが残っていない。この重大な事実を財務大臣はどう認識しているのか?
森友事件で改ざんを決定づけた佐川宣寿元財務省理財局長。そのメールは真相解明に極めて重要だ。事件で夫を亡くした赤木雅子さんは一刻も早い開示を求めていたが、財務省の担当者は3日、佐川氏のメールはないと述べた。本紙(4日発売)既報の通りだ。
5日、片山さつき財務大臣の会見でその点を質問した。他の担当者のメールはあるのに佐川氏だけないのはあまりにも不自然だ。大臣としてどう受け止めるのか? すると片山大臣は、
「電子データの検索を行った結果、佐川元理財局長が取りまとめて保存していた電子メールというものが確認されませんでした。ということは、なかったってことですね」
佐川氏のメールがないことを大臣も確認した。そして森友事件が発覚した2017年当時、国会でもこの議論があったとして、
「当時の財務省のメールサーバーは容量が限られていたことから2カ月程度(60日)で自動消去の仕組みが取られておりましたので、個人が別途他に持っていない限り全部削除されているものと想定されます」
大臣は(60日)の部分を「カッコ60日」と述べた。事務方が用意した文書通りに読んだのだろう。それにしても、その削除ルール自体おかしなことだとは思わなかったのか?
「その時はこういうことが起きるということは誰も夢にも思ってないわけですから」
自分も財務官僚だったのに…
片山大臣はかつて財務官僚としての経験がある。削除2カ月ルールも当然知っていたはずだが、まるで他人事のような発言だ。
もう一つ、佐川氏のメールがない理由として財務省の担当者は「幹部にあまりメールをする文化がなかった」と説明した。本当にそんな文化だったのか?
「その文化についてはちょっとわからないし、個人個人で差もあると思います」
幹部にメールをする“文化がない”なら片山大臣も官僚時代の経験で知っているはずだ。しかしこの日は元財務官僚の経歴に一切触れず、最後は「想像しか私にはわかりません」と述べて会見を終えた。
一連の開示文書は、捜査で財務省が検察に任意提出したものだ。そこに佐川氏のメールがないということは、財務省は検察にも佐川氏のメールを出さず、検察もそれを承知で不起訴にしたことになる。その深刻さを財務省が踏まえているようには見えない。

相澤冬樹 ジャーナリスト・元NHK記者
1962年宮崎県生まれ。東京大学法学部卒業。1987年NHKに記者職で入局。東京社会部、大阪府警キャップ・ニュースデスクなどを歴任。著書『安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』(文藝春秋)がベストセラーとなった。
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