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露国を簡単に打ち負かせると信じたEUの好戦派は欧州を破滅させようとしている
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202507300000/
2025.07.30 櫻井ジャーナル
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は7月27日にスコットランドでアメリカのドナルド・トランプ大統領と会談、アメリカに輸入される大半の欧州製品に15%の関税を課し、EU内で販売されるアメリカ製品に報復関税は課されないことで合意した。トランプによると、EUはアメリカへの総投資額を6000億ドル増加させ、軍事装備品を大量に発注し、さらに約7500億ドル相当のアメリカ産エネルギーを購入することも約束したという。
この合意に関し、トランプは「双方にとって素晴らしいものになる」と発言、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相も歓迎しているものの、関税ゼロを望んでいたEU内部の人びとからは屈辱的だとの声も上がっている。フランソワ・バイルー仏首相は7月27日を「暗黒の日」と呼んだ。ハンガリーのオルバーン・ビクトル首相はこの合意について、「誰の名において結ばれたのか?」と問いかけている。またロシアのセルゲイ・ラブロフ外相はこの合意について、ヨーロッパのさらなる産業空洞化と資本逃避につながると評価した。
ヨーロッパや日本では付加価値税(消費税)という仕組みを利用し、還付金という名目で大手輸出企業へ事実上の補助金を渡していることに対するアメリカ側の回答だという指摘もある。日本の場合、還付金(補助金)の原資は下請け企業の払った付加価値税(消費税)。この仕組みで利益を得るのは大手の輸出業者、例えば自動車会社で、税率が上がるほど還付金は大きくなる。そうした仕組みのないアメリカが報復しているというわけだ。こうした問題は元静岡大学教授の湖東京至や参議院議員の安藤裕らが取り上げ、広く知られるようになってきた。
アメリカ政府はロシアや中国に対しても高率の間接税を課そうとしているが、これまでの経緯を見ると、効果はない。この2カ国が本気になれば、アメリカが崩壊してしまう。そうした経済構造が生み出された原因は、西側で推進された1970年代からの政策にある。この頃から製造業から金融へシフト、実態経済が衰えていった。
金融のベースは通貨で、それは数字で表現される。その数字が大きくなると裕福になったように見えるが、それだけでは意味がない。それでも人びとはその数字を崇める。そこで、カール・マルクスは『資本論』において通貨を呪物に準えた。資本主義は通貨という呪物を崇めるカルトだというわけだ。
西側の「先進国」は呪物を集めてきたが、生活に必要な物がない状況になっている。食糧やエネルギーの生産能力、生活に必要な様々なものを作る能力、教育する力などが西側諸国は衰えてきた。
そこでネオコンはソ連が消滅した直後の1992年2月、アメリカ国防総省のDPG(国防計画指針)草案という形で世界制覇計画を作成した。作成の中心は国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツだったことから、このDPG草案は「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。
その段階で彼らはロシアを属国化したと確信、世界制覇に乗り出したのだ。第1のターゲットは潜在的ライバルの中国だが、西ヨーロッパやエネルギー資源のある西南アジア、穀倉地帯が広がり、資源も豊かな旧ソ連圏を支配しようとする。
こうした計画は簡単に達成できるとネオコンは考えていたようだが、ロシアは再独立に成功、しかもそのロシアは中国との関係を強化、影響力を「南」へ拡大させている。ネオコン、そしてネオコンに従属していたフォン・デア・ライエンのような人びともは窮地に陥った。
ウクライナをクーデターで制圧した段階でロシアを壊滅させるのは時間の問題だと信じたのかもしれないが、それによってロシア産の安い天然ガスが入手できずにヨーロッパの経済は崩壊、人びとの生活は厳しい状況だ。崩壊するはずだったロシアは経済力を向上させて中国という新たなマーケットを手に入れ、中国はロシアの安いエネルギーを入手できるようになった。
欧米諸国はウクライナでの戦争でロシアに敗北、中東では「無敵」のはずだったイスラエルがイランのミサイル攻撃で重要施設が破壊され、危機的な状況だ。現在、アゼルバイジャンをロシアやイランを攻撃する拠点にし、さらに中央アジアを制圧しよとしているが、ロシア、中国、イランなどが何もしないということはない。
ロシアを簡単に倒せると思い込み、戦争を始めたヨーロッパの好戦派はヨーロッパ全体を破壊しつつある。
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