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米国の核攻撃計画を隠す「核の傘」という御札
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2025.08.04 櫻井ジャーナル
中谷元防衛大臣はイギリスのジョン・ヒーリー国防大臣やイタリアのグイド・クロゼット国防大臣とオンライン会議を開き、次世代戦闘機プロジェクトのGCAP(グローバル戦闘航空計画)において機体設計や開発を担当するエッジウィングの設立を歓迎すると表明。エッジウィングの設立は今年6月20日に発表された。石破茂首相も「日英伊の防衛協力の中核であるGCAPを力強く推進していく」と発言している。
GCAPはイギリス、イタリア、日本3カ国のプロジェクトで、本社はイギリスに置かれ、エッジウィングはイギリスのBAEシステムズ、イタリアのレオナルド、そして日本の日本航空機産業振興(JAIEC)のジョイントベンチャー。3カ国はそれぞれ国内に拠点と共同チームを設けるという。なお、JAIECは日本航空宇宙工業会と三菱重工業が共同出資で設立した会社で、昨年7月10日に事業を開始した。
プレジェクトで想定されている相手は中国だろうが、戦闘機を含む兵器の性能でアメリカをはじめとする西側諸国はロシアに水をあけられ、最近は中国にも遅れをとっている。インドとパキスタンの軍事衝突でパキスタンの中国製戦闘機がインドのフランス製ラファール戦闘機を少なくとも1機撃墜したとされているが、これもそうした実態を示していると言えるだろう。そのインドへ日本政府はGCAPへの参加を提案したと4月30日に報道されている。
このプロジェクトの目的は次世代戦闘の開発とされているが、一種の軍事同盟とも言える。そうした意味でアメリカの意向にも沿っている。
アメリカはアングロ・サクソン系国のオーストラリア(A)、イギリス(UK)、アメリカ(US)で構成されるAUKUSを創設、またオーストラリア、インド、日本とクワドなるグループを編成した。AUKUSは「アジア版NATO」ともみなされている。
日本とアメリカは「有事」の際にアメリカ軍が核兵器を使用するシナリオについて協議しているとする「両国関係筋」の話を共同通信は伝えた。アメリカは第2次世界大戦の直後から核兵器を使用するシナリオを考えてきたわけで、沖縄の軍事基地化はその計画と無縁ではない。このリークは中国やロシアに対する脅しのつもりだろう。
アメリカやイギリスは核兵器の開発が始まった段階からソ連への使用を考えていたことを本ブログでも繰り返し書いてきた。「マンハッタン計画」を統括していたアメリカ陸軍のレスニー・グルーブス少将は1944年、同計画に参加していたポーランドの物理学者ジョセフ・ロートブラットに対し、その計画は最初からソ連との対決が意図されていると語ったとダニエル・エルズバーグは書いている。(Daniel Ellsberg, “The Doomsday Machine,” Bloomsbury, 2017)
沖縄では1950年代に「銃剣とブルドーザー」で土地が強制接収されて軍事基地化が推し進められた。1953年4月に公布/施行された布令109号「土地収用令」に基づき、武装米兵が動員された暴力的な土地接収で、55年の段階で沖縄本島の面積の約13%が軍用地になっている。
1955年頃になるとアメリカが保有していた核兵器は2280発に膨らみ(Annie Jacobsen, “Area 51”, Little, Brown, 2011)、57年になるとアメリカ軍の内部でソ連に対する先制核攻撃を準備しはじめている。(James K. Galbraith, “Did the U.S. Military Plan a Nuclear First Strike for 1963?”, The American Prospect, September 21, 1994)
そして1957年の初頭、アメリカ軍はソ連への核攻撃を想定したドロップショット作戦を作成した。それによると300発の核爆弾をソ連の100都市で使い、工業生産能力の85%を破壊する予定になっていたという。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012)
そのころからアレゲーニー山脈の中、ウエストバージニア州のグリーンブライア・ホテルの地下に「地下司令部」が建設されている。いわゆるグリーンブライア・バンカーだ。1959年に国防総省が中心になって着工、62年に完成している。
テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授によると、統合参謀本部のライマン・レムニッツァー議長やSACの司令官だったルメイなど好戦派は、1963年の後半にソ連を奇襲攻撃る予定だったという。その頃になればアメリカはICBMを配備でき、しかもソ連は配備が間に合わないと見ていた。ソ連が反撃するためにはアメリカの近くから中距離ミサイルを発射するしかない。そこでソ連はキューバへ中距離ミサイルを運び込み、キューバ危機になる。1962年10月のことだ。この危機を回避することに成功したジョン・F・ケネディ大統領は1963年11月22日に暗殺された。現在の世界情勢は当時より危険だと考えられている。
外交問題評議会(CFR)が発行している定期刊行物「フォーリン・アフェアーズ」の2006年3/4月号に掲載されたキール・リーバーとダリル・プレスの論文には、ロシアと中国の長距離核兵器をアメリカ軍の先制第1撃で破壊できるようになる日は近いと書かれている。これは執筆者だけの考えではなく、ネオコンのような西側の好戦派は全面核戦争で自分たちが完勝すると信じていたようだ。
ネオコンのようなアメリカの好戦派は一貫して先制核攻撃を計画しているのであり、「核の傘」という表現は欺瞞的だ。「アメリカの核の傘に依存する」ということは、アメリカの先制核攻撃計画に協力することを意味している。
アメリカ政府は核兵器を恫喝の手段としても利用したことがある。例えば、ドワイト・アイゼンハワーは大統領に就任してまもない時期にハリー・トルーマン政権が始めた朝鮮戦争を休戦させようと考えた。そこで、中国に対して休戦に応じなければ核兵器を使うと脅したとされている。休戦は同年7月に実現した。アイゼンハワー政権で副大統領を務めていたリチャード・ニクソンはベトナム戦争から抜け出すため、アイゼンハワーを真似している。カンボジアに対する秘密爆撃を実行しながら核兵器で北ベトナムを恫喝したのだ。(Daniel Ellsberg, “The Doomsday Machine,” Bloomsbury, 2017)
日本はすでに核ミサイルを発射できる態勢を準備しつつある。国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書によると、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画を彼らは持っていて、自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。アメリカはオーストラリア、インド、日本とクワドの復活を協議したのは、南西諸島にミサイル発射基地が建設されつつあった2017年11月のことだ。こうした計画は、おそらく、21世紀に入って間もない頃には出来上がっているのだろう。
2022年10月になると、「日本政府が、米国製の巡航ミサイル『トマホーク』の購入を米政府に打診している」とする報道があった。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。
旧式ではあるが、トマホークは核弾頭を搭載でる亜音速ミサイルで、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートルという。中国の内陸部にある軍事基地や生産拠点を先制攻撃できる。「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約は無視されていると言えるだろう。
そして2023年2月、浜田靖一防衛大臣は亜音速巡航ミサイル「トマホーク」を一括購入する契約を締結する方針だと語ったが、10月になると木原稔防衛相(当時)はアメリカ国防総省でロイド・オースチン国防長官と会談した際、「トマホーク」の購入時期を1年前倒しすることを決めたという。当初、2026年度から最新型を400機を購入するという計画だったが、25年度から旧来型を最大200機に変更するとされている。
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