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※紙面抜粋
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翼賛戦争体制になる懸念 どうにもならない野党の腰抜け
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/386984
2026/04/25 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

野党の存在意義が問われる(C)日刊ゲンダイ
国家情報会議設置法案があろうことか、共産党以外は賛成していたが、あり得ないような腑抜けぶりだ。市民監視に対する曖昧な高市答弁につっこまず、役立たずの付帯決議で了解の裏切り。この調子だと比例議席も削られ、野党は壊滅、高市戦争独裁政権となっていく。
◇ ◇ ◇
紛糾すると思われた「法案」が、あっさり衆院を通過してしまった。
高市首相が「国論を二分する政策」として推し進めている「国家情報会議」設置法案が、23日、野党も賛成して衆院を通過した。国論を二分するどころか、ほぼ満場一致での衆院通過である。
しかし、この法案の正体をわかっている国民は、あっけなく衆院を通過したことに驚いているのではないか。これは、かなりヤバイ法案だからだ。
法案は、首相をトップとする「国家情報会議」を新設し、実務を担う組織として「内閣情報調査室」を「国家情報局」に格上げするというもの。
国民監視を強化するのが目的だ。高市政権が掲げる「インテリジェンス機能強化」の第1弾である。
信じられないのは、人権やプライバシーの侵害を防ぐ条文が法案にはないことだ。これでは、情報収集活動の対象は広範な市民に及び、新設される「国家情報局」のやりたい放題になる恐れがある。
実際、政府に反対する市民デモは監視対象になるか、国会で聞かれた高市は「一般的に想定しがたい」とは答えたが、明確には否定しなかった。
敵対する野党幹部の動向を探るなど、政権維持のために情報収集が行われる懸念も強い。
野党側が「個人情報保護に配慮することや、政権を利する目的で活動しないことを規定すべきだ」と訴えても、担当閣僚の木原官房長官は「必要な情報収集をためらうことがあれば、国益に重大な影響を与えかねない」と拒否し、歯牙にもかけなかった。
いまでも警察は、集会やデモの参加者を違法に撮影し、自衛隊もかつて、自衛隊のイラク派遣に反対する住民の個人情報を勝手に集めていた。
権限が強化されれば、国民の監視強化につながるのは間違いない。
「付帯決議」でOKする大甘
それにしても、なぜ野党は、こんな法案に賛成したのか。反対したのは共産党だけだ。
中道は、人権を無視するような情報収集や、プライバシーの侵害を懸念していたはずである。
なのに、プライバシー保護や組織の政治的中立性の確保などが「付帯決議」に盛り込まれたことを理由に賛成しているのだから、どうかしている。「付帯決議」には、法的拘束力がないのに、どういうつもりなのか。
「秘密のファイル CIAの対日工作」などの著書があるインテリジェンスの第一人者、国際ジャーナリストの春名幹男氏はこう言う。
「衆院を通過した『国家情報会議設置法案』は問題が多い。まず、現役の政治家が会議のメンバーになることです。それでは政治的な偏りは避けられないでしょう。アメリカの国家情報会議やイギリスの合同情報委員会は、現役閣僚ではなく、学者や専門家が中心となって構成されています。しかも、法案には、情報機関の活動を第三者機関がチェックする制度も盛り込まれていない。アメリカでは、議会が情報機関をチェックする『ギャング・オブ・エイト』(共和党、民主党の議員それぞれ4人ずつで監視する)という仕組みがあります。はたして野党は、この法案についてどこまで理解しているのでしょうか。情報機関の監視体制についての質問や提案も少なく、プライバシー侵害の懸念についても、具体的な情報収集のケースを踏まえた質問はほとんどありませんでした」
戦前の特高警察や憲兵を考えれば分かるように、情報機関が肥大化したら、ロクなことにならない。
戦争準備に手を貸すのか

デモも監視対象になるのか…(C)日刊ゲンダイ
「国家情報会議」の創設を第1弾に位置づけている高市政権は、この先「スパイ防止法」の成立や、「日本版CIA」設立と、国論を二分する政策を次々に実現させていくつもりだ。
スパイ防止法は、かつて自民党政権が法案を提出したが、言論の自由や思想信条の自由を侵害するものだと国民から強い批判が巻き起こり、廃案になったシロモノである。本来、そう簡単には成立しない法案である。
しかし、「付帯決議」に要求が盛り込まれたことを理由に「国家情報会議」設置法案に賛成するような腰抜けの野党では、スパイ防止法も、あっさり成立しかねない。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「国家主義者の高市首相は、日本を『普通の国』イコール戦争のできる国に作り替えるつもりなのだと思う。“武器輸出の5類型撤廃”も“国旗損壊罪”も、すべて戦争をする国に変えるための体制づくりでしょう。戦争をする国に変えるためには、戦争に反対する者を黙らせる必要がある。そのために、まず『国家情報会議』を創設して反対者を監視して萎縮させ、さらに『スパイ防止法』を設立させて反対者を拘束できるようにする算段なのでしょう。戦争をする国への第一歩が、『国家情報会議』の設立だということです。なのに、どうして野党は簡単に賛成してしまったのでしょうか。“付帯決議”に効力がないことくらい分かるはずです」
自民にスリ寄っても先はない
いったい野党は、なにをやっているのか。
巨大与党が誕生した時こそ、政権が暴走しないように、厳しく対峙するのが野党の役割なのに、自ら翼賛体制のようになっているのだから話にならない。
国論を二分させる法案が、いとも簡単に衆院を通過するなど、本来あり得ないことだ。
どうせ、国民人気の高い高市政権を批判したら、SNSで叩かれるとおじけづいているのだろうが、闘う姿勢を見せなければ、いずれ衆議院の「比例定数」を大幅に削られ、野党は壊滅的な打撃を受けるだけだ。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「野党は気づいていないのかも知れませんが、自民党が衆院選で圧勝した頃とは、国民の意識も変わりはじめています。たとえば、毎日新聞の世論調査を見ると、4月の支持率は内閣発足以来最低の53%となっています。まだ高水準とも言えますが、3月、4月とつづけて下落し、不支持率も急増している。地方の首長選挙も自民党は負けつづけている。驚くのは、国会前のデモです。多くの人が『戦争反対』『憲法さわるな』と訴えている。最初は3000人程度だったそうですが、回を重ねるごとに参加者が増え、4回目の4月8日は約3万人に膨らんでいる。しかも、20代、30代が圧倒的に多く、動員ではなくSNSでデモを知って、ひとりでも自主的に参加している。これほど多くの人が集まっているのは、日本が戦争に突入してしまうリスクを、リアリティーをもって感じているからでしょう。いまこそ野党は、彼らの声を聴いて、彼らの受け皿になるべきです。衆院選での負け方が酷すぎたため、自信を失い、どうしたらいいのか、分からなくなっているのでしょうが、自民党にスリ寄っても、先はありませんよ」
このまま「国家情報会議」や「スパイ防止法」を成立させたら、もう野党は終わりだ。
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