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てんさい(い) gsSC8YKzgqKBaYKigWo コメント履歴 No: 100009
http://www.asyura2.com/acpn/g/gs/gss/gsSC8YKzgqKBaYKigWo/100009.html
[国際33] 多極化と米覇権低下を示した印G20サミット(田中宇)政治的にも経済的にも、米覇権の傘下にいることの馬鹿馬鹿しさが露呈した
9月9-10日に印度(バーラト)のニューデリーで開かれたG20サミットは、ウクライナ戦争を議題にするかどうか、ロシアを非難するかどうかで紛糾したが、議長の印モディ首相は初日のうちに、ウクライナ戦争のことを全く盛り込まない共同声明(首脳宣言)を出して採択・決定してしまった。

https://sputnikglobe.com/20230909/g20-split-over-ukraine-sign-of-battle-between-us-unipolarity-rising-multipolar-world-order-1113241211.html
G20 Split Over Ukraine Sign of Battle Between US Unipolarity, Rising Multipolar World Order

G20サミットは、正式名称が「金融と世界経済に関する首脳会合」であり、ウクライナ戦争や露敵視など国際政治は本来議題になり得ない。
だが、米国とその傀儡諸国(G7)は、昨年11月にインドネシアのバリ島で開いたG20サミットでも、今回のニューデリーでも、ウクライナ戦争が食糧や資源の国際流通に影響を与えているので経済問題だと言って、ロシア非難を共同声明に盛り込もうとした。

https://www.rt.com/news/582647-g20-declaration-ukraine-modi/
G20 final declaration acknowledges differences on Ukraine

昨年のバリ島では、中露などが反対したものの米国側に押し切られ、国際社会でロシアが非難されているという状況紹介の一文が共同声明に盛り込まれた。
昨年の段階で、すでに非米諸国のほとんどはウクライナ戦争に対して中立な立場をとっていた。米国側は「国際社会でロシアが非難されているという状況は事実だ」と中立諸国を加圧し、中立諸国も「状況を描くだけなら良いか」ということでロシア非難めいた文言が盛り込まれた。
だが、米国側のやり方への非米諸国の不満も強く、バリサミットは紛糾したまま怒りの中で最後の写真撮影会も行われずに終わった。

https://sputnikglobe.com/20230909/is-the-g20-obsolete-in-an-increasingly-multipolar-world-1113206820.html
Is the G20 Obsolete in an Increasingly Multipolar World?

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100422034.pdf
2022 G20バリ首脳宣言

それから9か月。ウクライナは欧米からの軍事と経済の支援を食い尽くすばかりで勝てず、むしろウク高官たちが支援を横領する不正が露呈した。米傀儡のウクライナ政府は、国民を何十万人も徴兵して前線に送り込んで簡単に戦死させる人道犯罪をやりつつ負け続けている。
そもそもウクライナ戦争は米国の戦争犯罪だ。ウクライナは35年前の冷戦終結までソ連の一部であり、その後もロシア人(ロシア系)が多く住み、ロシアにとって準国内だ。そこを2014年に米国が政権転覆して傀儡化し、米傀儡国から分離独立したがるロシア系を殺し続けた。

2021年秋から米国側による露系殺戮が激化したので、ロシアは邦人保護のためウクライナに進軍した。非難されるべき戦争犯罪者は米国(とその傀儡)だ。ロシアとウクライナは被害者だ。「露軍による虐殺」も無根拠だらけだ。米国側の政府やマスコミ権威筋左翼は、善悪を歪曲して戦争犯罪を重ねている。
米国側がG20など国際社会でロシア非難決議をゴリ押しすること自体が不正行為だ。ロシアが戦犯だと言う人自身が戦犯だ。非米諸国はこの9か月で、そうした事態の本質を把握するようになった。

https://responsiblestatecraft.org/g20-summit-2023/
G20 summit sets up Western clash with a rising Global South

この9か月間で経済面も大きく変わった。米国側に経済制裁されて破綻するはずだったロシアは、むしろ非米諸国への輸出増加で成長した。破綻したのはロシアから資源を得られなくなった欧州の方だった。
中露の主導で、米国側の金融・決済システムに頼らない非米的な貿易システムが開発され、そっちを使う方が米国側にピンはねや差損生成されないこともわかってきた。露サウジなど産油国は、米欧のシステムを使わずに直接非米側どうしで貿易し始めた。

戦後の米覇権システムは、米欧以外の国々(新興諸国、途上諸国、日韓など)から富を巻き上げる詐欺構造だったことが、ウクライナ開戦後の経済断絶によって露呈した。非米側は、バーター貿易に毛の生えた程度でしかないものの稼働する独自の決済システムを作って使い出した。

https://tanakanews.com/230819brics.htm
新しい世界体制の立ち上がり

この9か月間で、政治的にも経済的にも、米覇権の傘下にいることの馬鹿馬鹿しさが露呈した。欧州や日本が、米国が発する大間違いな話を強制的に鵜呑みにさせられている「裸の王様の家来」みたいな拘束された阿呆であることも表出した。
非米諸国は、貧しいけど対米自立できる自由を持っていた。日欧は(国が)豊かだが不自由で洗脳された哀れな傀儡だった。G7は米洗脳マシンの監獄だ。非米諸国はそれらの状況を把握した。

ウクライナ開戦まで、米覇権傘下の端の方にいた新興諸国や途上諸国は、今や離脱し、中露やBRICSの提案で非米側としてのまとまりを強め、非米・非ドル的な決済システムを作り、米国側に洗脳されない国際政治力をつけた。

https://tanakanews.com/230501G7.htm
同盟諸国を自滅させる米国

8月末には南アフリカでBRICSサミットが開かれ、非米側の結束を確認した。その2週間後、印度で今回のG20サミットが開催され、米国側は昨年同様、ウクライナ戦争を議題にしてロシア非難を共同声明に載せようとゴリ押ししてきた。
だが非米諸国は、すでに昨年と違っていた。議長国の印度は以前、米傀儡的な中国包囲網の「インド太平洋クワッド」の仲間になるなど親米的だったが、今回はゼレンスキーをG20サミットに呼ぶことも拒否した。

モディ首相は米国側の加圧を無視し、初日にウクライナ戦争に言及しない声明文案を発表し、他の非米諸国がすぐにそれに賛同して、米国側の反対を押し切って採択・可決してしまった。
これは米覇権に対する非米側の外交勝利だった。以前は米国側の外交力に太刀打ちできなかった非米側は、この1年で結束してかなり外交力をつけた。

https://tass.com/world/1627077
BRICS no longer ‘alternative,' but mainstay in global politics - India’s top diplomat

しかも今回は、非米側の主導者である中国の習近平が欠席した(プーチンは昨年も今年も来ていない)。米国側マスコミは、習近平の欠席について「中国経済の悪化でそれどころでなくなった」とか「印度との対立が原因。中印対立で非米側はボロボロだ」と喧伝しているが、それらは間違いだ。
習近平は、ウクライナ戦争の善悪について歪曲し続ける米国側と議論するのが不毛で馬鹿馬鹿しいので来なかった。それ以外の議題も、地球温暖化対策など、今さら話しても無意味なものばかりだ。

温暖化対策は不必要だ。人為説や気候危機は大間違いな詐欺であり、非米側はやるふりだけしてやらず、米国側が厳しい対策をやらされて自滅する隠れ多極派の謀略である。習近平ら非米諸国は、温暖化対策が米国側を自滅させる策だと知っているので、温暖化問題を議題や声明にすること自体は賛成だ。

https://www.rt.com/news/582661-g20-summit-declaration-summary/
What’s in the G20 leaders’ declaration?

モディは、習近平とプーチンが来なくてもG20の議長として非米側をとりまとめ、米国側からの加圧を潰し、ウクライナの話を声明文から排除し続けた。
単極な米国側と異なり、非米側の国際政治体制は多極型で、中国やロシアがいなくても、印度やその他の大国もしくは小国群が主導して話を進められる。今回のG20では、そうした非米側の多極型の国際政治体制がうまく機能していることが確認された。

印度と中国は対立していない。モディは、習近平がいないからといって米国側に譲歩したりせず、非米側の正義を実現した。印中は、ヒマラヤの国境紛争をわざと解決し切らないことで、米国側が「印中対立があるから非米側はまとまらない」と高をくくるように仕向けている。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/xi-skip-g20-summit-unprecedented-snub-just-after-dominance-brics
Xi To Skip G20 Delhi Summit In Unprecedented Snub At India, Just After 'Dominance' At BRICS

G20は1997年のアジア通貨危機後、国際経済の議論にG7だけでなく新興市場諸国を含む必要があるので作られた。2008年のリーマン危機で、米国(G7)の巨大な金融バブルが崩壊期に入った(QEで延命してるだけ)ことが確認され、金融からの米覇権消失に備え、世界経済について議論する最高位の国際機関がG7からG20に移管された。

だがその後、米国(G7)は、マスコミ権威筋を動員して金融バブルの存在や覇権消失の可能性を否定する洗脳策を強行し、同時に中国やロシアなど、米覇権消失後の世界を握りそうな諸大国を敵視して潰したがる策を強めた。その一環で米国はウクライナ戦争を起こした。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/biden-disappointed-xi-skip-g20-summit-beijing-calls-out-us-zero-sum-cold-war-mindset
Biden "Disappointed" Xi To Skip G20 Summit As Beijing Calls Out US "Zero-Sum Cold War Mindset"

G20は、米国(G7)が中国やロシアを攻撃する場に変質し、経済議論だけのはずなのに政治議論と対立が持ち込まれた。中露はG20に頼れなくなり、自分たちを不当に敵視する米国側を除外して非米側だけで構成するBRICSや上海協力機構を重視するようになった。
BRICSや上海機構がうまく機能しているので、中露はもうG20が不要になり、G20は何も決められない荒れ放題な対立の場になっている。

しかし今回のように、米国側と非米側のどちらの外交力が強いかを知るためには、G20が興味深い碁盤だ。
いずれ米金融バブルが崩壊した後、大幅に小さくなった米国や欧州や日本は、敵対でなく友好的に非米側と経済の話をする国際機関としてG20が再び必要になる。米国が崩壊して小さくなると多極化が完成する。

https://www.rt.com/news/582578-india-g20-putin-xi/
The glory years of the G20 are over

G20は来年ブラジル、再来年2025には南アフリカで開かれる。いずれもBRICS加盟の非米大国であり、米国側の喧嘩腰の議論は拒否され続ける。ウクライナ戦争の終わりは来年なのか再来年なのか。まだ見えない。
米バブル崩壊がいつなのかも見えない。2026年は米国の開催だ。そのとき米国はまだ覇権国なのか。崩壊後なのか。米大統領はトランプなのか。不正選挙を繰り返してバイデンが続投しているのか。

いろんな不確定要素がある。3年後も米側マスコミは依然として間違いな妄想ばかり喧伝しているはずだから頼れない。私は延々と独自の考察を続けることになる。妄想だろと言う人はどうぞ。確たる情報が全くない中で、妄想呼ばわりする人の考察は、私以上の妄想であるに違いないからだ。


この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/230910G20.htm
http://www.asyura2.com/23/kokusai33/msg/452.html
[戦争b24] ロシアの戦略とプリゴジンの死(田中宇有料版)露政府は予定通りワグネルを軍の傘下に組み込んだ
https://tanakanews.com/ 【2023年9月13日】
ロシア政府の上層部がワグネルを露軍の傘下に組み込もうとしたのに対し、プリゴジンがそれを拒否し続けたため殺し、露政府は予定通りワグネルを軍の傘下に組み込んだ。私は従来、プリゴジンはプーチンに対して強い忠誠心を持っているはずだから、プーチンがワグネルを露軍の傘下に組み込むならプリゴジンはそれに従うと考えていたが、実際はそうでなかった。
http://www.asyura2.com/22/warb24/msg/820.html
[戦争b24] ロシアの戦略とプリゴジンの死(田中宇有料版)露政府は予定通りワグネルを軍の傘下に組み込んだ てんさい(い)
1. てんさい(い)[1488] gsSC8YKzgqKBaYKigWo 2023年9月13日 17:48:19 : 0kUGInjLpY : ZUJoU1c2MzFGUzY=[508]
この解説を読んで、少し安心した気持ちがある。

http://www.asyura2.com/22/warb24/msg/820.html#c1
[国際33] 中露と米国の対立を長期化する/田中宇 仁王像
1. てんさい(い)[1489] gsSC8YKzgqKBaYKigWo 2023年9月17日 06:42:08 : 0kUGInjLpY : ZUJoU1c2MzFGUzY=[509]
<■205行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
てんさい(い)抜粋

米国は、中枢に巣食った隠れ多極派の意図に沿って自滅している。今回の、中露を倒そうとする米国の新戦略は自滅を加速する。

米政府が、バブル延命策を持たずに中露との長期対立を予定するとは考えにくい。あと2-3年ぐらいはバブルを延命させてドル崩壊を先延ばしし、中露など非米側との対立を続け、非米側が米国に全く頼らずに世界経済と国際社会(多極型覇権)を運営していけるようにするのでないか。

「一つの時代」というなら10年ぐらいは続く必要がある。予測が難しい。


全文 全文 全文 全文 全文 全文 全文 

米国のブリンケン国務長官が4月13日の講演で、世界は米国主導で比較的安定していた「冷戦後の時代」が終わり、米国が中露と対立し続ける時代(対立的な新世界秩序)に入ったと、時代の転換を宣言した。
この宣言は、先日のBRICS拡大など非米側の台頭を受け、米国自身が単独覇権体制の終わりを認めたことを意味する。同時に、米国が今後かなり長い期間にわたって中露(など非米側)と対立していくという表明でもある。

https://countercurrents.org/2023/09/blinken-calls-for-new-world-order-to-counter-russia-and-china/
Blinken Calls for New World Order to Counter Russia And China

ブリンケンは、米国が主導していた冷戦後の世界体制が普遍的な価値観(人権、民主)と国際法を尊重する良いものだったと自賛した上で、中露は従来の世界体制を「米国による強圧的な支配だ」と批判つつ破壊し、替わりに中露など全体主義(非米側)諸大国による新たな支配体制を作ろうとしており、米国はNATOや日韓豪との同盟を率いて中露に勝たねばならない、と主張した。

https://www.state.gov/secretary-antony-j-blinken-remarks-to-the-johns-hopkins-school-of-advanced-international-studies-sais-the-power-and-purpose-of-american-diplomacy-in-a-new-era/
Blinken Remarks “The Power and Purpose of American Diplomacy in a New Era”

https://www.rt.com/news/582934-blinken-post-cold-war-order/
The Old World Order is over - Blinken

ブリンケンは、国際秩序を壊したロシアを勝たせぬよう、ウクライナを支援してロシアを打ち負かさねばならないとか、中国は経済や軍事外交やハイテクの力を使って国際秩序を作り変えようとしているので長期的に最大の脅威だとも述べた。
ブリンケンは「時代の転換」という長期の話をしており、米国がこれからもずっと中露を敵視し続ける方針を打ち出している。ウクライナ戦争は、少なくとも今後2-3年は続くとロシアの議員も言っている。
またプーチン大統領は最近のウラジオ演説で「(来年の米大統領選挙で)トランプが返り咲いても、ロシア敵視やウクライナ戦争を終わらせることはない。トランプは対露制裁を続けると言っている」と述べ、米国は次期大統領が誰になろうがロシア敵視をやめないと予測している。

https://www.rt.com/russia/582833-ukraine-conflict-last-several-years/
Ukraine operation will last for a ‘few years’ - top Russian MP

https://www.zerohedge.com/geopolitical/putin-says-trump-wont-change-us-foreign-policy
Putin Says Trump Won't Change US Foreign Policy

ブリンケンの必勝論と裏腹に、ウクライナの戦場ではロシアの勝利が確定しており、米NATOがいくらウクライナを支援しても挽回できなくなっている。
ウクライナを戦わせる代理戦争でなく、米NATOが直接ロシアと戦争するなら勝てるかもしれないが、それは米露核戦争になって人類を滅ぼし、ブリンケンが描く「米国が中露と対立し続けて勝つ」シナリオにならない。米政府は今後もロシアとの直接の戦争は考えておらず、代理戦争しかやらないことがうかがえる。

https://www.moonofalabama.org/2023/09/russia-is-winning-in-arms-production.html
Russia Is Winning The Industrial Warfare Race

米国は従来方式のウクライナ国内での代理戦争で勝てないため、ウクライナが米NATOからもらったミサイルや無人機を散発的にロシア国内の奥深くまで撃ち込み、露軍が迎撃しきれなかった分がロシアの軍民の施設を破壊する新戦法を2-3か月前から採っている。
これまでは、ウクライナが米国の許可無く勝手に米国製兵器を露本土に撃ち込んでいることになっていたが、最近ブリンケンがこの撃ち込みについて、推奨しないが反対せず容認すると述べた。米国はウクライナに失地回復戦をやらせる代理戦争から、ロシアを戦場にする直接戦争に微妙に近づいている。
露政界では強硬派がプーチン大統領に「これまでのようにウクライナだけを相手にするのでなく、米国も敵とみなす戦争に入るべきだ」とせっついている。プーチンはまだ動いていない。のらりくらり。こちらも微妙だ。

https://responsiblestatecraft.org/atacms-ukraine-russia-putin/
Russian hawks push Putin to escalate as US crosses more ‘red lines’

この米露双方の微妙な動きは、すでに決着がついているウクライナ戦争を長期化していく。開戦当初から、プーチンと米政府中枢(ブリンケンやサリバンなど隠れ多極主義者たち)の両方が、超厳しい対露経済制裁によって米国側と非米側に世界経済を分断し、非米側が発展して米国側が自滅する世界体制の長期化・固定化を模索し続けてきた。
今回ブリンケンが発表した中露敵視の米長期戦略は、中露やBRICSなど非米側を結束させ、非米側の発展と米国側の自滅を引き起こす隠れ多極主義の戦略だ。プーチンは、怒ったふりをして実は大喜びでこの戦略に呼応する。

https://tanakanews.com/230710europ.htm
ロシアでなく欧州を潰してる

https://tanakanews.com/220624russia.htm
プーチンの偽悪戦略に乗せられた人類

プーチンは先日のウラジオ演説で「非米側が台頭して世界を席巻したのに、米国側はうっかりそれを無視して自滅している」と述べた。米国は、2000年以来の中露の結束推進などによる多極化を無視・放置した。私が見るところ、この無視は「うっかり」でなく昔からの意図的なものだが。
米国は、中枢に巣食った隠れ多極派の意図に沿って自滅している。今回の、中露を倒そうとする米国の新戦略は自滅を加速する。

https://www.rt.com/russia/582834-putin-eastern-forum-panel/
US decline, Kiev’s warmongering, Russian economic successes: Key takeaways from Putin’s panel in Vladivostok

米中枢のブリンケンやサリバンら(隠れ多極派)は最近、沿ドニエストル、シリア、アフリカのサヘル、ベネズエラなど、以前からロシアと対立していた地域での露敵視を強化することで、米露対立を世界的な規模で維持する策をとり始めている。
ウクライナの戦闘に決着がつき、米露対立を維持するには領域の拡大が必要だからだ。しかし、シリアでもサヘルでも、ロシアの優勢と米国側の不利が増すばかりで、米国の挽回はない。

https://responsiblestatecraft.org/biden-russia-wagner/
Hawks want Biden to take the fight with Russia global

https://tanakanews.com/230813afric.htm
アフリカの非米化とロシア

ブリンケンは、今回の方針提起で中国と対立すると言いつつ、台湾に全く言及していない。米国が台湾独立を正式に支持すると、米中は核戦争を含む本格戦争になりうるし、台湾が戦場になって破滅する。
米国は、そこまでのやる気がなく、米中の経済関係を断絶して米国側の経済を自滅させていくだけの策だ。ブリンケンは就任直後から、その手の中国敵視を続けてきた。

https://tanakanews.com/230822japan.htm
日米韓豪の中国敵視は茶番から自滅に

中国は、米国側と経済を断絶しても、発展が続く非米側で食っていける。対照的に米国側は、中国や非米側との経済関係を断絶したら衰退するばかりだ。米側マスコミは中国経済が破綻しつつあると喧伝するが、経済の悪化は中国より米欧の方がひどい。
米欧は実体経済が悪化しているのに金融相場が粉飾によってバブルが維持されており、米国経済は良いという大ウソが喧伝されている。中国は金融が悪化しても覇権崩壊しないが、米国は金融が悪化すると覇権崩壊する。

https://www.moonofalabama.org/2023/09/kasandras-beware-china-will-not-hit-the-wall.html
Kasandras Beware - China's Economy Will Not Hit A Wall

米国が金融崩壊して覇権が大幅低下したら、今回ブリンケンが宣言した中露との対立も継続できなくなる。米国が中露と長期対立するには、米国が金融崩壊・ドル崩壊しないことが必要だ。
米国は今後もインフレが悪化し続けることがほぼ確実だ。インフレが悪化し続けると米連銀FRBが利上げし、長期金利が上がって金融バブルが崩壊する。それを引き起こさずバブルを延命させることが必要だ。
インフレがさらに悪化すると、すでに不況になっている米実体経済がもっと悪化するが、米側マスコミは歪曲的な経済報道を続け、金融相場の高値が維持され、人々がそれを軽信する状況が続く。

https://www.zerohedge.com/personal-finance/middle-class-increasingly-becoming-impoverished-class-and-poor-are-increasingly
The Middle Class Is Increasingly Becoming "The Impoverished Class", And The Poor Are Increasingly Being Pushed Into The Streets

米政府が、バブル延命策を持たずに中露との長期対立を予定するとは考えにくい。あと2-3年ぐらいはバブルを延命させてドル崩壊を先延ばしし、中露など非米側との対立を続け、非米側が米国に全く頼らずに世界経済と国際社会(多極型覇権)を運営していけるようにするのでないか。
もしくはその前に、米国が威勢よく中露との対立を煽っているうちに、突然バブル崩壊して覇権が衰退し、非米側が世界を主導する状態へと転換するのか。

https://tanakanews.com/230713dollar.php
ドル崩壊しそうでしないのはなぜ?

https://tanakanews.com/230724eurasia.php
米覇権ゾンビの裏で非米側が新世界を構築

米国の中露敵視は、それ自体を見ると不必要で不合理な策だ。米国側が中露を敵視する必要は全くない。中国もロシアも、米国側に何の脅威も与えていない。ウクライナ戦争は、米国がウクライナを傀儡化してロシア系住民を殺させたことが悪の根源であり、ロシアは被害者だ。

https://archive.vn/S0BsT
The Russian invasion was a rational act

中露は、米国側を敵視していない。米国側が中露を敵視するから、中露は対応を余儀なくされている。米国が中露敵視をやめれば世界は平和になる。
中露が全体主義だと言うなら、バイデン政権の米国の方が全体主義だ。米民主党は、選挙不正を連発し、多くの愚劣なリベラル策で米国を自滅させている。独仏はポピュリストを不当に抑圧するエリート独裁だし、日本は官僚独裁体制だ。中国は1党独裁だが、ロシアは民主主義国だ。

https://tass.com/politics/1671659
Russia 'doesn’t need' Western-promoted pride agenda, says Lavrov

https://tass.com/russia/1672205
Russian election official reveals number of online votes cast so far

米国の中露敵視は、敵対構造を長期化し、中露が非米諸国を率いて米国抜きの世界体制を作るように仕向け、世界を多極型の覇権構造に転換させるための隠れ多極派の策である。
強くて善良な米国が覇権を持っている限り、中露など全世界が米覇権体制に満足している。だが、それでは米欧が新興諸国や途上諸国からピンはねして世界経済の成長を抑圧する体制が続いてしまう。
もともとの米国は善良だが、米国の覇権を裏で牛耳っている英国はピンはねで生きており、米国の軍産などを巻き込んで世界を搾取してきた。

https://tanakanews.com/230910G20.htm
多極化と米覇権低下を示した印G20サミット

この隷属状態を覆すため、米国は911以降、過激で稚拙で理不尽な政権転覆策や中露敵視策を20年以上も続け、中露が米国を無視して新たな多極型の世界を作るように仕向けている。
この偽悪的な米国の隠れ多極主義の戦略があと何年続くと、世界の転換が完了するのか。あと3-5年ぐらいかとも思うが、「一つの時代」というなら10年ぐらいは続く必要がある。予測が難しい。


この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/230916order.htm

http://www.asyura2.com/23/kokusai33/msg/478.html#c1

[国際33] 知らないのは日本人だけ。欧米はビジネスの道具として「憎しみ」を操っている(鈴木傾城)ロシアとウクライナの戦争は、軍事国家であるアメリアが仕掛けた戦争である
知らないのは日本人だけ。欧米はビジネスの道具として「憎しみ」を操っている=鈴木傾城
2023年7月17日
https://www.mag2.com/p/money/1337107


世界史は意図的に仕掛けた「憎しみ」によって起こっているというのは、小学校の頃から教えておいた方がいい。知らなければ何度でもワナにハマってしまう。戦争の裏側にいる「黒幕」は、今も昔もこの「憎しみ」という強い感情を操り、世界中で金儲けの機会を生み出している。(『 鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編 』)

【関連】小池都知事の暴走「太陽光パネル設置義務化」を都議会議員が猛批判。上田令子議員に聞く問題点と撤廃させる方法=鈴木傾城

プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。

■欧米は「憎しみ」を煽り立てて何をしているのか?

現代の世界が憎しみに溢れているのはなぜか。それは、人間がもともと「憎しみ」という感情を心に持っているからだ。この「憎しみ」に着目した国々があった。広大な植民地を持っていた欧米諸国だ。

全世界を統治した欧米諸国は、支配下においた国が自分たちに刃向かわないように、恐ろしい「仕掛け」を用意した。それが「分割統治」である。

1. ある国を力で征服する
2. 国民を宗教や人種で2つのグループに分ける
3. 互いに相手を憎み合わせて消耗させる
4. そして、統治者に刃向かわないようにする

これはイギリスが得意とした統治である。イギリスが植民地を放棄したあとも、対立と憎悪は消えるわけではないので、それがそのまま現代の紛争となって爆発している。

インド国内のヒンドゥー教徒とイスラム教徒。中東のイスラム教徒とユダヤ教徒。スリランカのタミル人とシンハラ人。香港の中国人とインド人。イギリスの支配下にあった国々は、ほとんどがこの分割統治時代の憎しみに今も揺れ動いている。

これを、そのまま受け継いだのはアメリカだが、アメリカは軍事国家なので「憎しみ」の使い方が違い、自分が邪魔だと思っている国の周辺国に対して「憎しみ」を煽り立て、戦争を起こして軍事に介入して破壊と復興で儲ける仕組みを取っている。

「憎しみ」を煽り立てるのはアメリカだが、アメリカに刃向かって来ないように双方が永遠にいがみ合うようにして互いに消耗させる。

ロシアとウクライナはもともと犬猿の仲だが、その「憎しみ」を煽り立て戦争をさせて、アメリカの敵であるロシアを徹底的に疲弊させているのはアメリカだ。

■互いに憎しみ合わせ、そして争わせた

世界史は欧米が仕掛けている「憎しみ」による分断によって起こっていたというのは、小学校の頃から教えておいた方がいいように思う。知らなければ何度でもワナにハマってしまうからだ。

たとえば、インドを見てほしい。

インド人はよく自分たちの国を「バーラト・マーター(Bharat Mata)」と言う。「母なるインド」という意味だが、その巨大な国土はしばしば女神に見立てられる。そのために、イギリスが去った後のインド・パキスタンの「分離独立」は、女神の身体を切断するイメージとして捉えられた。

東西パキスタンはインドの腕と見られていたから、分離独立が決まった1947年には、ネルー首相がバーラト・マーターの腕をナイフで切断しようとする風刺画が描かれていた。パキスタンとバングラデシュは、切断された女神の「片腕」だったのだ。

インドがイスラム教徒を取り込めなかったのはなぜか。1877年にインドがイギリスの植民地になってから、統治者イギリスはインドのヒンドゥー教徒とイスラム教徒の対立を、実に巧みに煽って利用していたからだ。

互いに憎しみ合わせ、そして争わせた。

イギリスは、ヒンドゥー教徒を結束させて反英闘争を行ったガンジーに対抗させるために、イスラム教徒やシーク教徒を支援してヒンドゥー教徒と対立させた。

イスラム教徒やシーク教徒は、インドでは少数派だ。だから、強大なイギリス政府のうしろ盾を得てヒンドゥー教徒と対抗するのは合理的な選択だった。

しかし、精神的指導者であったガンジーの融和をことごとくはねつけるイスラム教徒は、イギリスの思惑通りヒンドゥー教徒の激しい憎しみを買った。それが、ガンジーの推進する非暴力主義とは別に、過激なヒンドゥー至上主義者を生み出す元になった。

Next: 分割統治の憎悪がガンジーを抹殺した?そしてルワンダ大虐殺も…

■分割統治の憎悪がガンジーを抹殺した?

ガンジーはイスラム教徒の敵ではない。実際にパキスタンの分離独立が決まると、インド国内のイスラム教徒がヒンドゥー教徒の猛烈な暴力や差別にさらされた。するとガンジーは、逆にヒンドゥー教徒の狭量さを批判して、さらに融和を推し進めようとした。この政治家は、それほど懐の深さと慈愛心に富んでいた。

しかし、国民の間には憎悪が渦巻いていた。

イスラム教徒の頑なな姿勢がインドに混乱を招き寄せ、破滅的な状況にしてしまったと、ほとんどのインド人は考えていた。義憤に駆られるヒンドゥー至上主義者には、ガンジーの慈愛は、まったく理解できないばかりか、激しい怒りさえ覚えるものだったようだ。

「国を混乱させたのはイスラム教徒ではないか。なぜヒンドゥー教徒の精神的指導者であるガンジーが、そんなイスラム教徒を擁護するのか……」

やり場のないヒンドゥー至上主義者の爆発的な怒りが、やがてガンジー暗殺へとつながっていった。ガンジー暗殺は、まさに彼の慈愛心が生み出した悲劇だった。

イギリスはインドという植民地をマハトマ・ガンジーのせいで失ってしまった。しかし、イギリスが行ったヒンドゥー教徒とイスラム教徒の「分割統治」によって生み出された「憎しみ」が、最後にはガンジーを抹殺した。

ガンジーの暗殺はイギリスがコントロールしたのではない。イギリスが植え付けた「憎しみ」が、あたかもイギリスの意思に沿うように、自動的にガンジーを葬り去ったのである。

イギリスがしたことは簡単だ。

国民を2つに分け、憎悪を作り出し、憎悪の矛先を互いに向けさせたのだ。

■ルワンダで起きた大虐殺も分割統治が遠因だった

ルワンダの大虐殺は、フツ族とツチ族との憎悪が生み出した最悪の虐殺だった。実は、この憎悪もまた欧米の植民地統治から生み出されている。ここを統治していたのはドイツだ。イギリスではない。

しかし、植民地統治とは「分割統治」がうまくいくことは知られていたから、ドイツもその手法を使った。ドイツはルワンダの中でも少数派のツチ族に目を付けて、ツチ族を支配者にしてフツ族を統治させたのだ。

少数派が多数派を統治する。

そうすると、憎悪の目は少数派のくせに威張っている少数派に向かって行くのである。猫がねこじゃらしの穂先と戦っているのを見て、人間は笑う。ねこじゃらしの穂先は人間が操っているのに猫はそれに気がついていない。

しかし、分割統治で「憎しみ」が作り出されると、人間もまたそうなるのである。少数派による統治が長らく続くと、憎悪が決定的に固定化していく。操っている黒幕が見えなくなってしまって、当事者同士の憎しみだけがクローズアップされていくのだ。

「憎しみ」がどんどん育って、黒幕のことを考える余裕がなくなる。

そして、その国を収奪し終わった欧州諸国が引き上げた時、いずれ悲劇が訪れるのだ。権力の後ろ盾を失った少数民族は多数派の中にぽつりと取り残され、迫害の対象になり、場合によっては惨殺されていくのである。

それが悲劇的な形で起こったのがルワンダの大虐殺であった。たった100日の間に100万人近くが虐殺されたのだから凄まじい。フツ族過激派によるツチ族大虐殺であった。この虐殺に反対する常識のあるフツ族もまた一緒に虐殺された。


■「憎しみ」に着目して統治する恐ろしい仕掛け

少数派は今までちやほやされてきた。我が物顔でそこに君臨していた。税金を取り立て、自分たちは豪勢な生活をしていたのだ。憎悪は充分にある。実は、それが分割統治の神髄だったのだ。

国民の憎しみをすべて、この少数民族に集中させるのである。

だから、虐げられていた多数派は、その少数派の「猫じゃらしの穂先」を目がけて襲いかかる。今まで威張っていた少数派に対して、情けをかける者などいない。そうやって、少数民族は、捨てられたときに皆殺しにされていく。

ルワンダで起きた史上最悪の大虐殺の裏側には、そういった欧米諸国の仕掛けが過剰なまでに効いたのが遠因があった。

「憎しみ」に着目して統治する。恐ろしい仕掛けだ。

憎しみが生まれ、憎しみが育つと、それを仕掛けた「黒幕」は、双方を操ることによって利益が得られる。たとえば、今まさに目の前で起きているロシアとウクライナの戦争は、軍事国家であるアメリアが仕掛けた戦争である。

ロシアはアメリカの敵であり、打倒すべき存在である。そのため、アメリカはウクライナ人とロシア人の元々あった「隣国憎悪」を利用して、双方の憎悪を煽り立てた。欧米をバックにして挑発するウクライナがロシアに侵攻されると、これを機にアメリカはウクライナ側について戦争を勃発させた。

そして、ウクライナを軍事支援して、ウクライナが使うアメリカの兵器の代金は同盟国から徴収して儲ける。この場合、アメリカから見ると、戦争が長引けば長引くほど武器弾薬が売れるので都合がいい。

一方が大勝利を収めてしまえば儲けの機会が減るので、争いは絶妙に膠着するようにできている。そして、膠着すればするほど双方の憎しみが自動的に倍加されて、解決不能になる。

すると、ますます事態は膠着して無限に武器弾薬が売れ続けることになる。欧米諸国は「憎しみ」の扱いに慣れている。しかし、戦争はいずれ終わる。終わったら、負けた国家の権益を奪い取って儲け、双方の復興を引き受けて儲ける。

戦争の裏側にいる「黒幕」は、今も昔もこの「憎しみ」という強い感情を操り、世界中で金儲けの機会を生み出している。「憎しみ」というのは、実は壮大なビジネスの道具だったのである。

お人好しな日本人は気づくこともないだろうが……。


http://www.asyura2.com/23/kokusai33/msg/544.html
[国際33] プーチン大統領のヴァルダイディスカッションでのスピーチ(In Deep)RT 2023/10/06
https://indeep.jp/putin-s-valdai-club-speech/
投稿日:2023年10月7日

ロシアのソチで、「ヴァルダイ・クラブ」というものでプーチン大統領がスピーチをしました。

ヴァルダイ・クラブというのは、以下のようなものです。

ヴァルダイ・クラブ

ヴァルダイ国際討論クラブは、専門家の分析センターで、2004年にロシアの大ノヴゴロドで設立された。同クラブの名称は最初の会議が行われた場所を讃える形で名付けられており、最初の会議がヴァルダイ湖の近くで開催されたことにちなむ。

ヴァルダイ・クラブの主な目的は、国際的な知的プラットフォームとして、専門家、政治家、公人やジャーナリストなどの間で開かれた意見交換を促進することであり、国際関係、政治、経済、安全保障、エネルギーあるいは他の分野における現在の地球規模の問題について先入観のない議論を行うことで、21世紀の世界秩序における主要な趨勢や推移を予測している。

長年にわたって、同クラブの会議には、世界62ヶ国から成る国際科学コミュニティーから900人以上の代表が出席している。

Wikipedia

ここでのプーチン大統領のスピーチを、ロシア RT が「全文」文字におこしていました。

私は特にどちらに肩入れするわけでもないですが、読むと、なかなか趣深いものでもありましたので、日本語で全文掲載したいと思いました。

昨年、部分動員の時のプーチン大統領のスピーチを以下で載せたことがありましたが、今回の話は、すでに戦争そのものを離れた内容です。

(記事)「私たちは西側の軍事機構全体と戦っています」 : ロシア連邦政府ウェブサイトに掲載されたプーチン大統領による部分的動員に関しての国民への演説:全文
https://indeep.jp/address-by-the-president-putin/ 
In Deep 2022年9月25日

プーチン大統領って人は、もともと世界経済フォーラムの人なんで、そういう方面の人たちのことを、よく知っているということもあるのかもしれないですが、「西側のエリート層」という言葉が何度も出てきます。

(参考記事)「戦争」を仕掛けているのはプーチン氏かもしれない。そしてそれは世界経済フォーラムの崩壊まで続く最終戦争になるかも
https://indeep.jp/time-for-war-against-wef/
 In Deep 2022年3月2日

いろいろと思う部分もないではないのですが、とにかく、今回のスピーチは「ものすごく長い」ものですので、早速入りたいと思います。

歴代の In Deep の翻訳文の中で最も長いと思います。

あまりにも長いため、抜粋とかにしようとも思ったのですが、「どこを抜粋していいのか、どこを省いていいのかよくわからない」ということで、全文となりました。

太字の強調等もしていません。これも、どこを強調していいのかがわからないからです。

ともかく長いですので始めます。ここからです。






プーチン大統領のヴァルダイディスカッションでのスピーチ
Putin’s Valdai Discussion Club speech
https://www.rt.com/russia/584154-putin-valdai-club-speech/
RT 2023/10/06

本会議出席者の皆様、同志の皆様、ご列席の皆様、ソチのヴァルダイ国際ディスカッションクラブの記念集会に皆さんをお迎えできることをうれしく思います。今回が 20回目の開催となることを司会者はが語ってくれました。

その伝統を守りながら、私たちのフォーラム、あるいは皆様方のフォーラムと言うべきかもしれませんが、このフォーラムには世界中の多くの国から政治指導者、研究者、専門家、市民社会の活動家たちが集まり、関連する知的プラットフォームとしての高い地位を再確認しています。

ヴァルダイの議論は常に、21世紀における最も重要な世界的な政治プロセスをその全体性と複雑性において反映したものです。

皆さんが以前に議論したときもそうだったように、今日の議論もきっとそうなると思います。私たちの目的は基本的に新しい世界を構築することですので、今後もこのままです。

そして、このような決定的な段階において、私の同志である皆様方は極めて重要な役割を担い、知識人として特別な責任を負っています。

クラブの活動の長年にわたって、ロシアと世界は劇的な、そして、さらに劇的な巨大な変化を経験してきました。20年という期間は、歴史的な基準からすれば決して長くはありませんが、世界秩序全体が崩壊しつつある時代には、時間が縮小しているように感じられます。

過去の歴史的時期の数十年間よりも過去 20年間に多くの出来事が起こりました。それは国際関係の原則そのものの根本的な変革を示す上での大きな変化であったことには同意していただけると思います。

21世紀の初頭、誰もが国家と国民が前世紀の高価で破壊的な軍事的・イデオロギー的対立の教訓を学び、その有害性と地球の脆弱性と相互関連性を理解し、人類の地球規模の問題を理解していることを望んでいました。

共同行動や集団的解決策の模索が求められる一方、利己主義、傲慢、現実の課題への無視は、より強力な国家が自国の意見や利益を他国に押し付けようとする試みと同様に、必然的に行き詰まりに陥ると思われます。これは誰の目にも明らかだったはずです。

本来そうあるべきだったですが、しかし、そうはなってはいません。

約 20年前、私たちがこのクラブの会合で初めて会ったとき、私たちの国は発展の新たな段階に入っていました。

ロシアはソ連崩壊後の極めて困難な回復期から抜け出しつつありました。私たちは、精力的かつ善意を持って、より公正な新しい世界秩序を構築するプロセスを開始しました。私たちの国は、友人、パートナー、そして世界全体に提供できるものを持ちますので、多大な貢献ができることは恩恵でした。

残念なことに、建設的相互作用に対する私たちの関心は誤解され、服従とみなされ、冷戦の勝者であると宣言した人々によって新しい世界秩序が構築されるという合意として見られました。

これは、ロシアが他国の後を追う用意があり、自国の国益ではなく他の誰かの利益に導かれる用意があることを認めたとみなされたのです。

ここ何年にもわたって、私たちはこのアプローチが行き詰まりを招くだけでなく、軍事紛争の増大する脅威を伴うことを何度も警告してきました。

しかし、誰も私たちの意見に耳を傾けなかった。聞きたがらなかった。

西側諸国のいわゆるパートナーたちの傲慢さは天井知らずでした。これが私が言える部分としての唯一の表現です。

米国とその衛星諸国は、軍事、政治、経済、文化、さらには道徳や価値観においても覇権に向けて着実な歩みを進めてきました。独占を確立する試みは失敗する運命にあることは、最初から明らかでした。

たとえ何世紀にもわたる植民地政策で蓄積された西側諸国の巨大な力に支えられていたとしても、世界はあまりにも複雑かつ多様であり、単一のシステムに服従させることはできません。

あなたの同志たちも同様です。今日はその多くが欠席していますが、彼らは、西側諸国の繁栄が数世紀にわたって植民地を強奪することによってかなりの程度達成されてきたことを否定しません。これは事実です。本質的に、このレベルの発展は地球全体から略奪することによって達成されました。

西洋の歴史は本質的には終わりのない拡大の記録です。

世界における西側の影響力は、巨大な軍事的および財政的ねずみ講であり、他者に属する天然資源、技術資源、人的資源を利用して、自らを支えるためにより多くの「燃料」を常に必要としています。

これが、西側諸国が単に止めることができず、止めるつもりもない理由です。私たちの議論、推論、常識や提案の要求は単に無視されました。

私はこれを同盟国とパートナーの両方に公に述べ、私たちが単純に提案した瞬間がありました。

たとえば、おそらく私たちも NATO に参加すべきではないでしょうか? など。しかし、NATO は我が国のような国を必要としません。知りたいのですが、他に何が必要ですか? 私たちは群衆の一員になり、ドアに足を踏み入れたと思っていました。他に何をすべきだったのでしょうか?イデオロギー的な対立はもうありませんでした。

なにが問題だったのでしょうか? 問題は彼らの地政学的な利益と他者に対する傲慢さだったと思います。彼らの自己主張は、昔も今も問題です。

私たちは、ますます増大する軍事的および政治的圧力に対応することを余儀なくされています。

私は何度も言ってきましたが、いわゆる「ウクライナ戦争」を始めたのは私たちではありません。それどころか、私たちはそれを終わらせようとしています。

2014年にキエフで流血かつ反憲法的なクーデターを画策したのは私たちではありませんでした。同様の出来事が他の場所で起こると、私たちはすぐにすべての国際メディア、主にアングロサクソン世界に従属しているメディアは「これは受け入れられない」、「これは反民主的だ」と声を上げます。

しかし、国際メディアはキエフのクーデターを容認しました。

突然何でも受け入れられるようになったのです。

当時、ロシアはクリミアとセヴァストポリの人々を支援するために最善を尽くしました。私たちは政府を転覆させようとしたり、クリミアやセヴァストポリの人々をナチスの精神に基づく民族浄化で脅迫したりしようとはしませんでした。

砲撃や爆撃によってドンバスを従わせようとしたのは私たちではありません。私たちは母国語を話したい人を殺すと脅したわけではありません。

メディアを通じて現実を認識する何百万人もの人々を洗脳することは可能かもしれません。しかし、実際に何が起こっていたのかを知らなければなりません。彼らは 9年間もその場所を爆撃し、銃撃し、戦車を使用し続けてきました。

それは戦争であり、ドンバスに対して引き起こされた本当の戦争でした。そしてドンバスでは亡くなった子供たちの数を誰も数えなかった。他の国、特に西洋では誰も死者を悼んで泣きませんでした。

この戦争は、キエフに座する政権が西側諸国からの精力的かつ直接的な支援を受けて始めたもので、9年以上続いており、ロシアの特別軍事作戦はそれを阻止することを目的としています。

そして、それは、誰が行ったとしても、一方的な措置は必然的に報復を引き起こします。私たちが知っているように、あらゆる行動には同様に反対の反応があります。それは、責任ある国家、すべての主権、独立、自尊心のある国が行うことです。

恣意性が支配し、すべての意思決定が自分たちは例外的で、罪がなく、正しいと考える人々に委ねられている(現在の)国際システムでは、いかなる国家も、覇権国に嫌われているというだけの理由で攻撃される可能性があることを誰もが認識してします。比例性 – そして私が付け加えたいのは、あらゆる現実感覚です。

残念ながら、西側が現実感覚を失い、あらゆる一線を越えてしまったことを認めざるを得ません。

彼らは本当にこんなことをすべきではなかった。

ウクライナ危機は領土紛争ではないことを明確にしておきたいと思います。ロシアは国土面積において世界最大の国であり、我々はこれ以上の領土を征服することに興味はありません。シベリア、東シベリア、ロシア極東を適切に発展させるために、私たちはまだやるべきことがたくさんあります。

これは領土紛争ではなく、地域の地政学的バランスを確立しようとする試みでもありません。この問題はより広範かつ根本的なものであり、新しい国際秩序の基礎となる原則に関わるものです。

永続的な平和は、誰もが安全で安心していると感じ、自分たちの意見が尊重されていることを理解し、たとえそれが矛盾しているとしても、覇権国の意のままに生きることや行動することを一方的に他者に強制したり強要したりすることができない世界のバランスが保たれている場合にのみ可能となるでしょう。人々や国の主権、真の利益、伝統、習慣などです。

このような取り決めでは、主権という概念自体が単純に否定され、それはゴミ箱に捨てられることになります。

明らかに、ブロックベースのアプローチへのコミットメントと、世界を「私たち対彼ら」の対立の継続的な状況に追い込む推進は、20世紀の悪い遺産です。それは西洋の政治文化の産物であり、少なくともその最も攻撃的な現れです。

繰り返しになりますが、西側諸国、少なくとも西側の一部のエリート層には、常に敵が必要です。

軍事行動と軍事拡大の必要性を正当化するには敵が必要です。しかし、彼らはまた、まさにこの覇権国の特定のシステム内、および NATO やその他の軍事政治ブロックのようなブロック内で内部統制を維持するための敵も必要とします。全員が「リーダー」の周りに結集するには、敵が存在する必要があるのです。

他の国がどのように生活を営むかは私たちには関係ありません。しかし、多くの国々の支配層エリートたちが、国民、あるいは少なくとも、かなりの数の人々、一部の国では大多数が受け入れたがらない規範や規則を受け入れることを社会に強制している様子が私たちには目に見えています。

しかし、当局は絶えず自らの行動の正当化をでっち上げ、増大する内部問題を外部原因に帰し、存在しない脅威をでっち上げたり誇張したりする。

ロシアはこうした西側エリートの政治家たちにとってお気に入りのテーマです。

もちろん、私たちは歴史の過程でこれに慣れてきました。しかし彼らは、こうした西側​​エリート集団に盲目的に従うことを望まない人々を敵として描こうとしします。

彼らは中華人民共和国を含むさまざまな国に対してこのアプローチを使用しており、特定の状況ではインドに対してもこれを行おうとしました。

私たちは、彼らがアジアで利用しているシナリオを認識し、見ています。こうした試みは無意味だと思いながらも続けられています。

また、彼らはアラブ世界を敵として描こうとしている。彼らは選択的に行動し、正確に行動しようとしますが、結局のところ、これ(現在の状態)が結果です。彼らはイスラム教徒を敵対的な環境として見せようとさえします。

実際、独立して自分の利益のために行動する人は誰でも、すぐに西側のエリートたちから排除されるべき障害者とみなされます。

人為的な地政学的な関連付けが世界に強制され、立ち入りが制限されたブロックが作られています。私たちはこれが、何十年にもわたって積極的な NATO 拡大政策が追求されてきたヨーロッパ、アジア太平洋地域、そしてオープンで包括的な協力体制を破壊しようとしている南アジアで起こっているのを目の当たりにしています。

ブロックベースのアプローチは、スペードをスペードと呼ぶなら、個々の国の権利を制限し、独自の道に沿って発展する自由を制限し、義務の「檻」に追い込もうとします。

ある意味、これは明らかに主権の一部の剥奪に相当し、多くの場合その後、安全保障分野だけでなく他の分野、主に経済分野でも独自の解決策を強制することになりますが、これが現在、米国とヨーロッパの両国の関係で起こっている。

これについては今さら説明する必要はありません。

これらの目標を達成するために、彼らは国際法を、それが何を意味するにせよ「規則に基づく秩序」に置き換えようとしている。これらがどのようなルールなのか、誰が考案したのかは明らかではありません。それはただのくだらないことですが、彼らはこの考えを何百万もの人々の心に植え付けようとしています。

「ルールに従って生きなければなりません」と。

それはどのようなルールなのですか?

そして実際、私に言わせれば、私たちの西側の「同志」、特に米国出身の人々は、これらのルールを恣意的に設定するだけでなく、ルールに従う方法や全体的に他の人がどのように行動するべきかを他の人に教えています。

これらはすべて、あからさまにマナーが悪く、強引な方法で行われ、表現されています。これも植民地精神の現れです。私たちはいつも、「しなければならない」、「義務がある」、「私たちはあなたに真剣に警告している」という言葉を聞きます。

そんなことするその人々は何なのですか?

その人々には他人に警告する権利があるのでしょうか?

これは本当にすごいことです。おそらく、これらすべてを言う人々は、傲慢さを取り除き、その目的と利益を完全に理解している国際社会に対してそのような振る舞いをやめ、この植民地時代の考え方を捨てるべきなのではないでしょうか?

私は時々彼らにこう言いたいです。「目覚めなさい、この時代はとうの昔に過ぎ去り、二度と戻ることはないのです」と。

もっと言いますが、何世紀にもわたって、そのような行為は、大規模な戦争という一つのことの再現につながり、これらの戦争を正当化するためにでっち上げられたさまざまなイデオロギー的および準道徳的な正当化が行われました。

今日、これは特に危険です。ご存知のとおり、人類は地球全体を簡単に破壊する手段を持っており、信じられない規模で継続的な精神操作が現実感覚の喪失につながっています。この悪循環から抜け出す方法を模索する必要があるのは明らかです。

友人や同志の皆さん、これが、皆さんがヴァルダイ・クラブの会場でこれらの重要な問題に対処するためにここに来た理由です。

ロシアの外交政策概念では、我が国は独自の文明国家として特徴付けられています。この文言は、私たちが自国の発展だけでなく、国際秩序の主要原則をどのように理解しているかを明確かつ簡潔に反映しており、それが普及することを望んでいます。

私たちの観点からすると、文明はさまざまな解釈が可能な多面的な概念です。かつては、「文明化された世界」が他の世界のモデルとして機能し、誰もがその基準に従うべきであるという、表面上は植民地時代の解釈がありました。

同意しない人々は、「啓発された」主人の警棒によってこの「文明」に強制的に参加させられることになっていました。先ほども言ったように、こうした時代は今や過去となり、文明に対する私たちの理解はまったく異なります。

まず、多くの文明があり、どれが他の文明より優れているか劣っているということはありません。

各文明は、それぞれの文化、伝統、人々の願望を独自に表現しているため、それらは平等です。たとえば、私の場合、それは私の部下の願望を体現しており、幸運なことに私もその一員であることができています。

文明に基づくアプローチの概念を支持する世界中の優れた思想家たちは、概念としての「文明」の意味について深く熟考してきました。それは多くの要素から構成される複雑な現象です。ここでは適切ではないかもしれませんが、哲学をあまり深く掘り下げることなく、現在の発展に当てはまるように実践的に説明してみましょう。

文明国家の本質的な特徴には多様性と自給自足が含まれており、これらは 2つの重要な要素であると私は確信しています。

今日の世界は画一性を拒否し、各国家と社会は文化と伝統に根ざし、古代と現代の地理と歴史的経験、そして人々が持つ価値観に根ざした独自の発展の道を発展させようと努めています。これは、独特の文明共同体を生み出す複雑な総合です。その強さと進歩は、その多様性と多面性にかかっています。

ロシアは何世紀にもわたって、多様な文化、宗教、民族の国として形作られてきました。ロシア文明は単一の共通点に還元することはできませんが、精神的にも文化的にも豊かな単一の存在として繁栄しているため、分割することもできません。このような国家の団結を維持することは、非常に困難な課題です。

私たちは何世紀にもわたって厳しい課題に直面してきました。私たちは常に、時には多大な犠牲を払いながらもやり遂げてきましたが、そのたびに私たちは将来への教訓を学び、国民の団結とロシア国家の一体性を強化してきました。

私たちが得たこの経験は、今日では本当に貴重なものです。世界はますます多様化しており、その複雑なプロセスはもはや単純な統治方法では処理できないのですが、私たちが言うように、「すべての人を同じ筆で描く」ということを特定の国家が依然としてやろうとしているのです。

これに付け加えなければならない重要なことがあります。

真に効果的で強力な国家システムは、外部から押しつけられるものではありません。それは国や民族の文明的ルーツから自然に成長しており、この点において、ロシアはそれが実際に生活の中で実際にどのように起こるかを示す一例です。

文明に依存することは、現代世界で成功するための必要条件です。残念ながら、今は、その方向性を失った無秩序で危険な世界ですが、ますます多くの国がこの結論に達し、自国の利益とニーズ、機会と限界、自国のアイデンティティと周囲の世界との相互つながりの程度を認識するようになってきています。

私は、人類が、対立するセグメントへの断片化、動機が何であれ新たなブロック間の対立、あるいは新たなグローバリゼーションの魂のない普遍主義に向かっては進んでいないと確信しています。

それどころか、世界は文明国家、大空間、それを認識するコミュニティの相乗効果に向かって進んでいます。

同時に、文明は普遍的な構造ではなく、1つですべてに対応するものではありません。そのようなものは存在しません。

それぞれの文明は異なり、文化的に自給自足しており、イデオロギーの原則や価値観は独自の歴史と伝統に基づいています。自分自身を尊重するということは、当然、他者を尊重することから生まれますが、同時に他者からの尊敬も意味します。

だからこそ、文明は誰にも何も押し付けないが、自分自身に何かを押し付けることも許さないのです。誰もがこのルールに従って生きれば、私たちは国際関係において調和のとれた共存と、誰もが創造的な交流の中で生きていくことができます。

もちろん、文明的な選択を守ることは大きな責任です。それは外部からの侵害への対応であり、他の文明との緊密で建設的な関係の発展であり、そして最も重要なこととして、国内の安定と調和の維持です。私が指摘したように、残念ながら今日の国際環境は不安定で、非常に攻撃的であることは誰でもわかります。

もう 1つ重要なことがあります。誰も自分たちの文明を裏切ってはなりません。これは普遍的な混沌への道です。それは不自然であり、うんざりしたことと言えます。

私たちとしては、あらゆる側面の利益を考慮したソリューションを提供するために常に努力し、努力し続けています。しかし、西側諸国は、合理的な自制、妥協、そしてすべての側に都合のよい結果を達成するという名目で譲歩する意欲などの概念を忘れているようです。

いや、そうではない。彼らは文字通りただ 1つの目標に執着しています。それは、今ここで自分の利益を押し進め、どんな犠牲を払ってでもそれを実行することです。これが彼らの選択であれば、それがどのような結果をもたらすかがわかります。

逆説のように聞こえますが、明日には状況が変わる可能性があり、それが問題です。たとえば、定期的な選挙が国内政治の舞台に変化をもたらす可能性があります。

今日、国はどんな犠牲を払ってでも何かをすることを主張できますが、明日には国内の政治状況が変わる可能性があり、異なる考え、時には反対の考えを押し進めるようになるかもしれません。

顕著な例はイランの核開発です。米国政権は解決策を推し進めたが、後継政権は問題をひっくり返しました。このような状況でどうやって働くことができるのでしょうか?

ガイドラインとは何でしょうか?  私たちは何を信頼できるのでしょうか? 保証はどこにありますか? これは彼らが私たちに伝えている「ルール」なのでしょうか? これはナンセンスで不合理です。

なぜこのようなことが起こっているのでしょうか?

また、なぜ誰もがそれに満足しているように見えるのでしょうか? その答えは、戦略的思考が、国や国家でさえも、後続の影響力のあるグループの短期的な利益に取って代わられたということです。これは、冷戦時代の観点から判断すれば、恐怖と恥をすべて捨て、自分たちは無罪であると考えている政治的エリート集団の信じられないほどの無責任を説明するものです。

文明的アプローチは、国家と国民の基本的で長期的な利益、つまり現在のイデオロギー状況によってではなく、そのアイデアの基礎となる過去の歴史的経験と遺産全体によって決定される利益に基づいているため、これらの傾向に立ち向かうことができます。それにより調和のとれた未来が残ります。

もし誰もがこれに導かれたら、世界の紛争ははるかに少なくなり、紛争を解決するアプローチはより合理的になるだろうと私は確信しています。

なぜなら、私が言ったように、(現在は)すべての文明がお互いを尊重していないことを変えようとしないからです。誰でも自分の概念に基づいています。

今日の会合のためにヴァルダイ・クラブが作成した報告書を興味深く読みました。現在、誰もが未来のビジョンを理解し、想像しようと努力していると書かれています。これは自然であり、特に知識層にとっては理解できることです。

私たちが慣れ親しんだ世界が崩壊しつつある急激な変化の時代において、私たちがどこに向かっているのか、どこに行きたいのかを理解することは非常に重要です。そしてもちろん、未来は今、私たちの目の前だけでなく、私たち自身の手によって創造されています。

当然のことながら、このような大規模で非常に複雑なプロセスが進行中の場合、結果を予測することは困難、または不可能ですらあります。

私たちが何をするにしても、人生は調整を加えます。しかし、いずれにせよ、私たちは自分が何を目指しているのか、何を達成したいのかを実現する必要があります。ロシアではそのような理解があります。

第一に、私たちは、人々のコミュニケーション、創造性の充実、繁栄に人工的な障壁を置こうとする人が誰もいない、オープンで相互につながりのある世界に住みたいと考えています。私たちは障害物のない環境を作り出すよう努める必要があります。

第二に、私たちは世界の多様性が維持され、普遍的な発展の基盤となることを望んでいます。いかなる国や国民に対しても、どのように生きるべきか、どのように感じるべきかを押し付けることは禁止されるべきなのです。真の文化的および文明的多様性だけが、人々の幸福と利益のバランスを保証します。

第三に、ロシアは最大の代表を表します。誰も、他人のために、他人に代わって世界を統治する権利や能力を持っていません。未来の世界は、最も効果的なレベルで、特定の問題の解決に大きく貢献できる真の能力を持つ人々によって集団的な意思決定が行われる世界です。

一人の人間が全員のために決定するわけではありませんし、全員がすべてを決定するわけでもありませんが、この問題またはその問題によって直接影響を受ける人々は、何をすべきか、そしてそれをどのように行うべきかについて合意する必要があります。

第四に、ロシアは、大国から小国に至るまで、あらゆる者の利益の尊重に基づいて築かれた普遍的な安全保障と恒久的な平和を擁護します。重要なことは、国際関係をブロックアプローチや植民地時代と冷戦の遺産から解放することです。

私たちは何十年もの間、安全保障は不可分であり、他の者の安全を犠牲にして一部の者の安全を確保することは不可能であると主張してきました。確かに、この分野での調和は実現可能です。

傲慢さを脇に置き、他人を二流のパートナー、のけ者、野蛮人として見るのをやめる必要があるだけです。

第五に、私たちはすべての人のための正義を支持します。二度言いましたが、搾取の時代は過去になりました。国や人々は自らの利益と能力を明確に認識しており、自らを信頼する用意ができています。そしてこれにより彼らの強さが増します。誰もが今日の世界の恩恵にアクセスできるようにすべきであり、いかなる国や国民に対してもそれを制限しようとする試みは侵略行為とみなされるべきです。

第六に、私たちは平等とすべての国の多様な可能性を支持します。これは完全に客観的な要素です。しかし、同様に客観的な事実は、誰ももう命令を受け入れたり、自分の利益やニーズを誰かに、とりわけ富裕層やより権力のある人に依存させたりすることはないという事実です。

これは国際社会の自然な状態であるだけでなく、人類の歴史的経験全体の真髄でもあります。

これらは私たちが守りたい原則であり、友人や同志全員に参加を呼びかけます。

同志たち!

ロシアは、これまでも、現在も、そしてこれからもこの新しい世界システムの基礎の一つであり、平和と繁栄を求めるあらゆる人々と建設的な交流を行う準備ができていますが、同時に、独裁と暴力の原則を公言する人々に対しては厳しい抵抗をする準備ができています。

私たちは、現実主義と常識が普及し、多極化された世界が確立されると確信しています。

最後に、いつものように基礎的かつ適格な準備をしていただいたフォーラムの主催者に感謝するとともに、この記念会議にご参加いただいた皆様にご注目いただきましたことにも感謝いたします。

どうもありがとうございます。
http://www.asyura2.com/23/kokusai33/msg/551.html
[国際33] イスラエルとハマス戦争の裏読み/田中宇 仁王像
1. てんさい(い)[1490] gsSC8YKzgqKBaYKigWo 2023年10月11日 18:42:47 : 0kUGInjLpY : ZUJoU1c2MzFGUzY=[510]
<■234行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
警告を意図的に無視した、真珠湾攻撃状態か?

>イスラエルは、国家滅亡のハルマゲドンを避けてうまく非米化していけるのでないかと私は期待している。
>ユダヤ人は世界運営にとって重要なので、プーチンや習近平もイスラエル存続を望んでいるはずだ。

全文:

10月7日、ガザのハマスが、数百人の特殊部隊をイスラエルに侵入させ、ロケット砲などで2年ぶりの大規模攻撃を仕掛けた。イスラエルは攻撃を全く予期しておらず、完璧に作ったはずのガザ包囲の防護壁が簡単に破られた。警戒システムも作動しない部分があった。
イスラエルに侵入したハマスの軍勢は600人を殺し、ちょうど砂漠で開かれていた音楽イベントの参加者など約200人のイスラエル人と外国人を人質としてガザに拉致した。ハマスは無人機(ドローン)を飛ばしてイスラエルの戦車を撃破するなど新戦術を展開した。

https://korybko.substack.com/p/the-top-ten-takeaways-from-hamas
Top 10 Takeaways From Hamas' Sneak Attack On Israel

https://www.zerohedge.com/geopolitical/watch-palestinians-use-drones-attack-and-cripple-israeli-tanks
Watch: Palestinians Use Drones To Attack And Cripple Israeli Tanks

イスラエル軍は報復としてガザを空爆した。ハマスは「イスラエルが空爆を続けるなら、拉致した人質を公開処刑していく」と警告した。
イスラエル政府は、今回の件を正式に基本法に基づく「戦争」と位置づけた。イスラエルが「戦争」をするのは1973年の第四次中東戦争以来ちょうど50年ぶりだ。今回の戦争は、前回の50周年(10月6日)に合わせるかのようなタイミングで開始された。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/means-war
This Means War

https://www.zerohedge.com/geopolitical/several-americans-confirmed-killed-israel-orders-complete-siege-gaza-barbarians
Hamas Threatens To Begin Publicly Executing Hostages If Israel Doesn't Halt Unrelenting Gaza Strikes

この2年間、ハマスはイスラエルと戦争せず比較的良い関係を保っていた。ガザ市民がイスラエルに出稼ぎに行くことが許され、その経済効果を重視してハマスはイスラエルとの対立を避け、もう攻めてこないんだと直前まで解説されていた。
実際はこの2年間、ハマスは用意周到に戦争の準備を進めていた。劇的に開始された今回の戦争は、イスラエルにとっての「真珠湾攻撃」や「911」にたとえられている。

https://www.reuters.com/world/middle-east/how-israel-was-duped-hamas-planned-devastating-assault-2023-10-08/
Hamas ‘duped’ Israel before devastating attack

https://www.tabletmag.com/sections/israel-middle-east/articles/israel-intelligence-failure-hamas-edward-luttwak
Israel’s Intelligence Failure

イスラエルは最近、サウジアラビアと和解する話を進めてきた。ハマスはイランと親しく、イランはサウジとイスラエルの和解を好まないので、和解交渉を頓挫させるためにハマスがイスラエルとの戦争を始めたんだとも言われている。
ハマスの攻撃を予期できなかったネタニヤフ首相はこれから激しく責任追求され、辞任に追い込まれるとも予測されている。

https://www.al-monitor.com/originals/2023/10/israel-saudi-normalization-falls-casualty-hamas-attack
Israel-Saudi normalization falls casualty of Hamas attack

イスラエルは南隣のガザのハマスだけでなく、北隣りのレバノンのヒズボラとも鋭く対立してきた。ヒズボラもハマスと同様、イランの傘下にある。
イスラエルがハマスとの戦争で弱っているのを見て、ヒズボラも戦争を仕掛けてくる可能性が高まっている。すでに戦闘が始まっているという報道もある。

https://www.rt.com/news/584298-israel-shells-lebanon-artillery/
Israel fires artillery at Lebanon

https://new.thecradle.co/articles/the-flood-from-gaza
The Flood from Gaza

ヒズボラはシリア内戦で鍛えられ、政治的にもレバノンの与党になっている。ハマスとヒズボラの両方との戦争に陥ると、イスラエルは対抗できず負ける可能性がある。とくに戦闘が長引くと危険だ。
イスラエルの唯一最大の後ろ盾である米国は、ウクライナ戦争で兵器や予算を使いすぎて足りない。米国は、今回のようないざという時に役に立たない(日本は知っておくべき)。

https://tanakanews.com/g0906mideast.htm
イランとイスラエルを戦争させる

https://tanakanews.com/g0822israel.htm
ヒズボラの勝利

イスラエルは窮地に陥っているが、この状況はネタニヤフ自身が誘発した意図的な策略でないかと私は考えている。ネタニヤフは、ハマスが攻めてくるのを知りながら放置した疑いがある。
ネタニヤフは、ハマスに侵攻させ、人質を取られることで、わざとイスラエルを弱い立場に追い込み、アラブ諸国や中露の仲裁で、ハマスやヒズボラ、イランと和解せざるを得ない状況を作っているのでないか。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/israelis-question-catastrophic-intel-failure-after-unthinkable-hamas-assault
Israelis Question "Catastrophic" Intelligence Failure

https://www.zerohedge.com/geopolitical/hezbollah-next-attack-war-could-spiral-biggest-decades
Hezbollah Next To Attack? War Could Spiral Into Biggest In Decades

世界は米覇権が急速に低下し、中露など非米側が台頭して多極化が進んでいる。イスラエルはこれまで米国を牛耳り、米国にイランやアラブを弱体化させる策をやらせてきた。
今後はもうそれが効かない。米国はすでに中東覇権をほぼ喪失している。イランやアラブは中露と結託して台頭している。

https://new.thecradle.co/articles/the-war-has-started
The war has started

https://tass.com/world/1686557
US in talks with Israel about its defense needs, has nothing to announce so far

イスラエルは、米国を見限って中露と親しくしてイランやアラブと和解したい。だが、イスラエルは米国と一心同体になっており、米国から足抜けできない。
イスラエルのヨルダン川西岸(パレスチナ占領地)には、米諜報界の傘下にいるシオニスト右派が大挙して移住して入植し、入植者たちはイスラエル政界を支配している。ネタニヤフは入植者に頼って政権を維持してきた。

https://tanakanews.com/f0705israel.htm
世界を揺るがすイスラエル入植者

https://tanakanews.com/200111israel.htm
イスラエルが対立構造から解放される日

イスラエルは米国(入植者)に牛耳られている。西岸入植者の在米の仲間たちは、ネオコンなど好戦派で、彼らは米国のマスコミや政界で強い力を持ち、米イスラエルをイランと戦争させようとし続けてきた。
今回も、WSJなどは早速「今こそイランと戦争すべきだ」と主張している。だが、すでにイラクは強く、米軍はイランと戦争しても快勝できないのでやらない。イスラエルだけがイランと戦争させられる。入植者やネオコンはユダヤ人だが、ロスチャイルド系(親イスラエルのふりをした反イスラエル)である。

https://tanakanews.com/f0622israel.htm
イスラエルとロスチャイルドの百年戦争

https://www.moonofalabama.org/2023/10/wsj-joins-neocons-to-instigate-war-on-iran.html
WSJ Joins Neocons To Instigate War On Iran

ウクライナの厭戦機運が米国でも強まり、米国の世論は新たにイランと戦争することなどまっぴらだ。バイデン政権に巣食う民主党の左翼は、イスラエルでなくパレスチナを支援しているし、イスラエル政界では右派のネタニヤフでなく野党の左派連合を支持している。
バイデン政権は、以前からネタニヤフを嫌っている。米国はイスラエル沖に空母を派遣するぐらいしかやってくれない。

https://www.rt.com/russia/584428-lavrov-israel-hamas-violence/
Moscow blasts US approach to Israel-Palestine violence

https://summit.news/2023/10/09/warmongers-start-push-for-u-s-involvement-in-iran-following-hamas-attack/
Warmongers Start Push For US Involvement In Iran Following Hamas Attack

ネタニヤフは、入植者に依存して政権を維持しているものの、入植者が猛反対するイランとの和解を進めないとイスラエルを潰してしまう。この難問を解くための妙案として、ハマスとヒズボラとの戦争誘発を考えたのでないか。
ハマスはイスラエル人や外国人の200人の人質をとっており、イスラエルがガザを空爆し続けるのは逆効果だ。交渉で解決するしかない。入植者たちは交渉に反対できない。

https://news.antiwar.com/2023/10/08/biden-tells-netanyahu-more-military-aid-is-on-its-way/
Biden Tells Netanyahu More Military Aid Is on Its Way

https://www.zerohedge.com/political/far-left-democratic-socialists-america-plans-nyc-times-square-celebration-israels-911
'The Squad'-Backed Democratic Socialists Of America Hold Times Square Protest 'In Solidarity' With Palestine
../2310/1009f4.txt

アラブの盟主であるサウジは、すでに非公式にイスラエルと仲が良い。アラブが仲裁し、ハマスとその背後にいるイランも間接的に入ってイスラエルと交渉し、イスラエルが拘束しているハマスの捕虜と交換に、ハマスが捕まえた人質を釈放するとか、ガザの諸問題の解決などを開始すれば、緊張を緩和できる。

https://tanakanews.com/180218israel.htm
米国に頼れずロシアと組むイスラエル

https://tanakanews.com/221221Saudi.htm
中露が誘う中東の非米化

イスラエルは今回の交渉の構図を使って、アラブだけでなくイランとも和解していける。入植者たちは反対しにくい。
米国は何もやってくれない。今回の仲裁役になれそうなアラブ連盟の代表が真っ先に訪問したのはモスクワだった。イスラエルがアラブ、イランと和解していけるとしたら、それはロシアや中国が作った非米側の枠組みの中でだ。
この和解がうまくいくと、米国の中東覇権はさらに失われ、中東はイスラエルを含む形で非米側の一員になっていく。

https://tass.com/politics/1686685
Lavrov to hold talks with Arab League Secretary General in Moscow on Monday - MFA

https://tanakanews.com/220406iran.php
非米化する中東

今回の戦争の数週間前、ハマスはガザにイスラエルの町並みを模した場所を作り、そこで特殊部隊を訓練した。これは今回の攻撃の準備だった。イスラエル当局は、この動きに気づいていたが、何も対応しなかった。
エジプト当局も、ハマスの動きに気づき、イスラエルに報告・警告した。だが、イスラエル当局はほとんど反応しなかったという。これらはイスラエル当局の失態として報じられているが、本当に失態だったのか?。私は、意図的に無視したのでないかと勘ぐっている。

https://www.moonofalabama.org/2023/10/egypt-claims-it-warned-israel-of-upcoming-attack.html
Egypt Claims It Warned Israel Of Upcoming Attack

50年前の第四次中東戦争でも、当時のゴルダ・メイア政権が、アラブ連合軍の侵攻の動きを意図的に事前に察知せずに大敗を演じ、国内の拡張主義者(今の入植者につながる勢力)たちの動きを阻止し、エジプトとの和解・国交正常化につなげた。
今回のネタニヤフの動きは、ゴルダメイアからの伝統を受け継ぐものに見える。

https://tanakanews.com/080909israel.htm
イスラエルの戦争と和平

今回の戦争開始は、911や真珠湾攻撃にたとえられるが、911も真珠湾攻撃も、米国が自国の体制や状況を転換させる目的で、敵方の動きを事前に知りながら(911では敵を育て)、意図的に敗北状況を作った観がある。
意図的な敗北戦略という意味で、今回の戦争開始と911や真珠湾攻撃、第四次中東戦争が同じだという、裏の関係性がある。
最近の記事で書いたように、アルメニアのパシニャン首相も、アゼルバイジャンとの戦争にわざと負け続け、ナゴルノカラバフの占領地を失うことで、自国を安定に導いている。

https://tanakanews.com/231001armenia.htm
ナゴルノカラバフ紛争の終わり

ゴルダ・メイアは、第四次中東戦争の敗北を誘発した後、しばらくして引責辞任させられた。ネタニヤフも辞めさせられるのか。
ネタニヤフが辞めると、その後は中道左派などの連立政権になり、イランやアラブとの和解やイスラエルの非米化を引き継げる。またネタニヤフが辞めずに、入植者を切り捨てて中道系の勢力を政権内に引き入れて連立を組み替えて政権を維持する可能性もある。
イスラエルは、国家滅亡のハルマゲドンを避けてうまく非米化していけるのでないかと私は期待している。ユダヤ人は世界運営にとって重要なので、プーチンや習近平もイスラエル存続を望んでいるはずだ。

https://tanakanews.com/210524israel.htm
ネタニヤフが延命のためガザで戦争


この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/231010israel.htm

http://www.asyura2.com/23/kokusai33/msg/559.html#c1

[国際33] ガザ地上戦の瀬戸際で/田中宇 仁王像
2. てんさい(い)[1491] gsSC8YKzgqKBaYKigWo 2023年10月23日 19:40:53 : 0kUGInjLpY : ZUJoU1c2MzFGUzY=[511]
<■173行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
全文:イスラエルは、今回の窮地を逆に活かし、自国を米国側から非米側に付け替えていくのでないか。

イスラエルが地上軍をガザに侵攻するかどうか瀬戸際の状態が続いている。イスラエルは、地上侵攻すると言ってから2週間近く挙行していない。数日前に戦車部隊をガザの近くに結集したが、そこで止まっている。
ガザ停戦を求める声が世界的に強まっている。寸止め状態で時間が経つほど、政治状況が米イスラエルに不利になる。病院空爆も、犯人はイスラエルなのに隠蔽工作を試みて失敗していく。
当初は地上侵攻を支持すると言っていた米バイデン政権はその後、侵攻するなと公言し始めている。地上侵攻しない可能性が増している。

https://www.rt.com/news/585457-us-pressure-israel-gaza/
US pressuring Israel to delay Gaza invasion

https://www.zerohedge.com/geopolitical/israel-amassing-fleets-tanks-northern-border-gaza-ground-invasion-appears-imminent
Israel Amassing Fleets Of Tanks On Northern Border Of Gaza - Ground Invasion Appears Imminent

世界に散らばる米外交官を統括する米国務省では、イスラエルのガザ侵攻を支援・扇動する上司のバイデン陣営への反逆が強まっている。外交官たちは、世界が米国を支持しなくなったことを強く感じている。
イスラエル自身、ガザに地上軍侵攻したくない感じが強い。ガザに地上侵攻したら、それに合わせてイスラエルの北にあるレバノンのヒズボラが侵攻してきて、イスラエルはいきなり南北2つの戦争を抱えて破綻に瀕するからだ。

https://www.huffpost.com/entry/state-department-gaza_n_6531a23ae4b0da897ab75ce4
‘Mutiny Brewing’ Inside State Department Over Israel-Palestine Policy

シリア政府軍もヒズボラに加担してイスラエルと戦争になるだろう。ヒズボラとシリア政府はイランの傘下にある。イスラエルがハマスと本格戦争すると、連動してイランとシリアとヒズボラという3つの敵がイスラエルとの戦争に入る。
これは、私が以前から書いていた(ずっと外れていた)中東大戦争の構図だ。近年、イランやヒズボラが強くなる半面、イスラエルの唯一の後ろ盾である米国は弱くなっている。
10年前なら米イスラエルがイラクに対してやったようにイランを完全破壊できたかもしれないが、今は無理だ。中東大戦争になったらイスラエルは米国に見捨てられ破滅だ。イスラエルはガザに地上侵攻できない。

https://tanakanews.com/080301gaza.htm
中東大戦争の開戦前夜

イスラエルがガザに地上侵攻しなければ中東大戦争は起きない。だからイスラエルは米国に扇動されたものの躊躇し、寸止め状態で侵攻を延期している。ハマスやヒズボラとの小競り合いはできるが、本格戦争に突入できない。
イスラエル政府は最近、ガザに地上侵攻してハマスと長い戦争に入ったら、いずれハマスを潰して別のイスラエル傀儡政権をガザに置くが、その後もイスラエルはガザ市民の人権や生活をもう守ってやらないと宣言した。

https://www.rt.com/news/585466-israel-outlines-gaza-future/
Israel outlines future plans for Gaza

イスラエルはこれまで、ガザへの支援物資の搬入を許し、ガザ市民がイスラエルに出稼ぎして収入を得ることも認めていた。今後はそれらをやめるという。
イスラエルはこのようなとんでもない宣言を発することで、米欧がガザ地上侵攻に反対するように仕向けているのでないか。米欧に反対されれば、それを口実にイスラエルは自滅的な中東大戦争誘発のガザ侵攻をせずにすむ。

https://www.rt.com/news/585439-israel-hamas-middle-east-agendas/
Every Middle East agenda derailed by the Israel-Hamas conflict, explained

欧米の政府はイスラエルの言いなりだからガザ侵攻を支持してきたが、ガザ市民の人権を今後ずっと侵害し続けて何も対策しないとイスラエルが言っているのに、欧米が侵攻を支持し続けるのは難しい。
欧米は、イスラエルを支持し続けるほど、信用失墜と国際政治力が低下する。特に米国は、国連安保理でガザ停戦決議案に拒否権を発動したり、イスラエルへの軍事供給を増やしたり、空母を2隻も地中海に派遣したりして好戦性を扇動し、トンデモな感じを増大している。米側マスコミは何も報じないが、今回の件は米国の覇権低下に拍車をかけている。

https://sputnikglobe.com/20231021/pm-justin-trudeau-exits-canada-mosque-to-shouts-of-shame--booing-1114384845.html
PM Justin Trudeau Exits Canada Mosque to Shouts of 'Shame!' & Booing

ハマスは、ガザ北部から数10万人の市民を南部に緊急避難させて「戦場」を用意して、イスラエルを地上侵攻に誘った。市民を避難させたのは、イスラエルをはめる落とし穴作りだった。
これまでイスラエルが、ガザ市民を南隣のエジプトに追い出して空っぽにする策略として、ガザ北部に侵攻するから南部に避難しろと市民に要求しても、市民の親分であるハマスは人間の盾を維持するため避難を許さなかった。
だが、今回ハマスは市民を南部に避難させた。私は最近の有料記事でこの理由について分析したが、今回は追加の理由として、イスラエルをガザ地上侵攻に引き入れて中東大戦争を引き起して自滅させる、もしくは自滅的な中東大戦争になるのでイスラエルがガザ侵攻できない状況に陥れる、というのを考えた。

https://sputnikglobe.com/20231019/hamas-labyrinth-idfs-nightmare-what-is-known-about-vast-tunnel-network-beneath-gaza-1114332904.html
What is Known About Vast Tunnel Network Beneath Gaza

ハマスはイランの傘下におり、これはイランの戦略だろう。イランが、傘下のハマスとヒズボラとシリアを連動させ、イスラエルを自滅的なガザ地上侵攻の直前まで追い込んだ。
隠れ多極主義者に動かされているバイデンの米国も、イスラエルに好戦策を勧めることでハマスやイランと連動している。イラン系と米国によって、イスラエルは窮地に陥っている。

https://www.rt.com/news/585337-conflict-hamas-israel-last-months/
War will 'last a long time' - Israeli minister

イスラエルはこれまで覇権国である米国を牛耳って強くなり、アラブやイランなど敵方に対して圧倒的な優勢を堅持してきた。だが米国は覇権低下したので頼れない。しかも、米国は「支援するので思い切り戦争をやってください」としか言わず、イスラエルを自滅させようとしている。
ウクライナ開戦後、世界は米国側と非米側に強く分裂し、米国側が自滅して非米側が席巻している。サウジやイランは非米側の主要国として認められBRICS加盟する。落ち目の米国にしか頼れないイスラエルは、以前の優勢を失っている。何もしなければヒズボラやハマスとの戦争で破綻していく。

https://tass.com/politics/1693589
Russia ready to discuss Turkey’s idea about guarantors for Israel, Palestine

ユダヤ人は世界的な諜報界の元祖であり、多極化の動きをよく知っている。多極化を誘発した張本人(=資本家)ともいえる。イスラエルはむざむざと破綻せず、今回の窮地を逆に活かし、自国を米国側から非米側に付け替えていくのでないか。
イスラエルの付け替え策に協力して準備しているのがプーチンのロシアだ。プーチンは、イスラエルやアラブやイランやトルコの首脳たちと個別に話し合いを進めている。ガザ停戦を皮切りに、パレスチナ問題の解決策を検討している。

https://tass.com/politics/1694825
Measures resolving Israeli-Palestinian conflict should be agreed without delay

イスラエルとアラブだけでなく、イランが入っているのが重要だ。パレスチナ問題と同時に、シリア(ゴラン高原)やレバノン(ヒズボラ)とイスラエルの対立も同時に解決しようとしている。(トルコはムスリム同胞団のまとめ役)
イランを敵視するばかりの米国では、この和平仲介をやれない。安保面でイランやシリアを助けてきたロシアにしかやれない役目だ。ユダヤ人はプーチンに感謝し、恩返しにロシアは繁栄を手にしていく。

https://tass.com/politics/1694815
Russia initiates UNSC meeting on Israeli-Palestinian conflict

ガザの停戦とパレスチナ問題の解決を求める声が世界的に強まっている。市民運動や「アラブの街頭」だけでなく、各国政府がもう戦争をやめるべきだと言い出している。好戦策ばかりの米国への反感や不信が強まっている。非米側だけでなく、ウクライナ戦争で疲弊した欧州G7諸国もそうだ。
イスラエルは、この声に押されて嫌々ながら、という姿勢をとりつつ、実はとてもやりたいガザの停戦やパレスチナ問題の解決、イランとの和解などを了承していく。
これらの策をこれまで妨害してきた入植者集団(多くが米国「帰り」)はかつてネタニヤフのリクードを支配していたが、ガザ開戦後、ネタニヤフは中道野党連合と挙国一致内閣を作り、入植者集団を無力化している。

https://www.moonofalabama.org/2023/10/netanyahoos-strategic-dilema.html
Netanyahoo's Strategic Dilemma

国連などの場でこの問題解決を主導していくのはロシア(と中国)で、そこにサウジやイランが新加盟するBRICS、中露と親しくなったアフリカ諸国、中国主導のG77などが協力する。
バイデンは完全にお門違いになっており、米国は今後の問題解決から(隠然と)外される。米側マスコミは米国主導での解決だとまたぞろ大ウソを喧伝し、みんなそれを軽信するのだろうが、米国はもう主導役をやれない。

https://responsiblestatecraft.org/us-russia-china-israel/
How China and Russia can help us avoid escalation in the Middle East

バイデンは先日の演説で「今の世界システムは力尽きており、新しいシステムが必要だ。米国がそれを作る」と述べた。この発言の前半だけ見ると、バイデンもようやく米国の覇権喪失を認めたなと意外な感じだ。
だが、後半の「新たな世界システムも米国が作る」という部分は、やっぱり彼が全然わかっておらず間抜けなことが露呈している。
新しい世界システムは米国でなく、中露BRICS・非米側によって着々と構築されている。イスラエルだけでなく、日本も近いうちに非米側への乗り換えが必要になる。あっさり無条件降伏的な中国擦り寄りになりそうでげんなりだが。

https://www.rt.com/news/585492-biden-new-world-order/
US will build ‘new world order’ - Biden


この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/231022gaza.htm
http://www.asyura2.com/23/kokusai33/msg/606.html#c2

[戦争b25] イスラエルの戦争犯罪(田中宇)稚拙な戦争犯罪をわざとやりまくって最終的な和平につなげる
11月13日から15日にかけて、イスラエル軍がガザ最大の「シファ病院」などいくつかの病院に突入し占拠した。10月7日にハマスがイスラエルを攻撃してガザ戦争が始まった直後から、イスラエル軍(IDF)は、ガザのいくつかの病院がハマスの軍事拠点として使われているとして、シファなど病院群に対して空爆や射撃を繰り返してきた。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/netanyahu-tells-americans-youre-next-if-idf-doesnt-defeat-hamas-barbarism
Israeli Troops Storm Gaza's Largest Hospital After Doctors Warn Of 'Catastrophic Consequences'

病院は戦争時に攻撃してはならない施設として国際法で守られている。だがハマスはそれを逆手に取って病院群の地下や建物内に軍事拠点を作る「人間の盾」作戦をやっており、病院を攻撃するのは国際法違反でないとイスラエルは言っている。

11月13日にIDFがランティシ小児科病院に突入した際は広報担当者(軍人)も同行し、ハマスが武器庫や人質監禁所として使っていた物的証拠(武器の束など)を動画に撮って世界に配信した。だがハマスの要員は病院におらず、物的証拠もIDFが捏造用に持ち込んだものかもしれず、説得力が今ひとつだ。

https://www.al-monitor.com/originals/2023/11/hamas-buys-time-hostage-talks-it-ups-psychological-war-against-israel
Hamas buys time in hostage talks as it ups psychological war against Israel

IDFは、ハマスが意思決定を行う議事堂として使っていたガザ市内の建物も占領して破壊した。イスラエル政府は、ハマスが司令部として使っていたシファ病院を占拠し、議事堂も破壊したので、これでハマスは組織運営の機能の大半を失って潰れたと宣言した。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/rain-bombs-fears-flooding-adds-gazans-misery-infectious-diseases-soar
Watch: Israel Demolishes Hamas Parliament Building

これらの動きに対し、ハマスやパレスチナを支援する、米欧の左翼リベラルやイスラム世界の市民らは、イスラエルの病院攻撃や市民殺害は明らかに戦争犯罪・人道犯罪であり、国際刑事裁判所などで捜査してイスラエルを懲罰・制裁すべきだと言っている。

https://sputnikglobe.com/20231115/live-updates-idf-carrying-out-precise-and-targeted-operation-on-al-shifa-hospital-1114965522.html
UN Deputy Chief Says Appalled by Israel's Operation in Shifa Hospital in Gaza

左翼リベラルなカナダの首相トルドーは、イスラエルが子供たちを殺していると非難し、イスラエルのネタニヤフと喧嘩になっている。ガザの病院群を支援してきたWHOも、イスラエルが戦争犯罪を犯したと非難している。

https://www.rt.com/news/587330-netanyahu-angry-trudeau-children-claims/
Netanyahu rejects Trudeau’s claim that Israel ‘kills children’

米政府で外交を担当する国務省では、百人の(リベラル派の)要員たちが、イスラエルの戦争犯罪を黙認するバイデン政権は戦争犯罪に加担していると内乱的に非難する書簡をマスコミに流している。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/diplomats-warn-white-house-gaza-crisis-destroying-us-image-middle-east
100 State Dept Officials Sign Dissent Memo Saying Biden "Complicit In Genocide" In Gaza

米国が覇権を行使して人類の善悪観を支配していた以前なら、米国を裏から牛耳るイスラエルがいくら悪いことをしても、それに戦争犯罪のレッテルが貼られることはなかった(極左やイスラム過激派の偏向した指摘として扱われてきた)。
だが米国覇権が低下している今は、イスラエルの戦争犯罪がしだいに公式に問題にされていく。エスタブやマスコミ、国連などの権威筋がイスラエルの戦争犯罪を問題にしていく。イスラエルはハマスに対し、軍事的に勝っても、倫理的に惨敗している。これまでハマスはテロリスト扱いされてきただけに、これは画期的なことだ。

https://sputnikglobe.com/20231114/israeli-strikes-on-gaza-hospitals-should-be-investigated-as-war-crimes---hrw-1114941950.html
Israeli Strikes on Gaza Hospitals Should be Investigated as 'War Crimes' - HRW

表向きの報道では、ハマスがこっそりシファ病院などの地下に司令部を作って運営してきたことを今回初めてイスラエルが探り出して攻撃・突入して潰した感じになっている。だが、実際は全くそうでない。
シファ病院の敷地の地下に広大な地下室群を作ったのは、オスロ合意前の1980年代にガザを直接支配していたイスラエルだった。イスラエルは1983年にパレスチナ人への融和策としてシファ病院を改築し、その時に地下室群も作った。

https://www.wnd.com/2014/07/hamas-leaders-believed-hunkered-underneath-gaza-hospital/
Hamas leaders believed hunkered under Gaza hospital

(病院の敷地は1940年代にパレスチナを支配していた英国軍の宿舎として創設され、英国が撤兵する過程で病院に作り替えられ、1950年代からエジプトに移管されていた)
オスロ合意後、ガザの統治はパレスチナ自治政府(PA)に移譲され、2007??年にPAが西岸のファタハ(アッバース政権)とガザのハマスに分裂した後、ハマスの支配下になった。

https://tanakanews.com/g0202hamas.htm
ハマスを勝たせたアメリカの「故意の失策」

イスラエルは時折ハマスやガザ市街を攻撃し続けたので、ハマスは早い時期から人間の盾作戦を採り、イスラエルが作ったシファ病院の地下室群を利用し、そこからトンネル網を経由してガザ市内の他の施設などに行けるように拡充した。
シファ病院には、イスラエルの攻撃で負傷した市民が運ばれてくるので、世界からガザに来ている記者たちが病院に取材に訪れるが、ハマスの幹部らは自分たちを撮影しないこと、ハマスが病院を拠点にしていると報道しないことを条件に、記者たちの取材に応じていた。
ハマスは記者の病院訪問を歓迎し、イスラエルの攻撃で負傷した入院患者たちをどんどん撮影して報道してくれ、俺達を撮らず、患者を撮れとけしかけていた。

https://www.tabletmag.com/sections/news/articles/top-secret-hamas-command-bunker-in-gaza-revealed
Top Secret Hamas Command Bunker in Gaza Revealed July 29, 2014

ハマスがシファ病院を拠点にしていることは公然の秘密だった。記者たちの中にはユダヤ人も多く、ハマスの病院利用は報道されなくてもイスラエル側に筒抜けだった。イスラエルは、自分たちが作った地下室などシファ病院をハマスが使っていることを知りつつ黙認していた。ハマスもイスラエルの黙認を知っていた。
今回の戦争でIDFの地上軍がガザ市街に入り始めた時点で、IDFがシファ病院に突入してくることをハマスは予測し、ハマスが病院を使っていた痕跡を消してトンネル網経由で退避していたはずだ。イスラエルも、ハマスが逃げたことを十分予測できたはすだ。

https://www.moonofalabama.org/2023/11/how-would-they-know.html
Shifa Hospital Bunker - How Would They Know?

それなのに、イスラエルは開戦直後からシファなどの病院群を空爆・射撃し続け、入院患者や避難民をたくさん殺す戦争犯罪をわざわざやらかした。
それでハマスが掃討できたのなら少しは合理的だが、ハマスは事前にやすやすと逃げ出しており、ハマスを標的にしたとイスラエルが豪語する病院攻撃は全くの誤爆だった。
イスラエルは、少し考えれば人道犯罪の誤爆を回避できたのにそうせず、おまけにハマスを逃して掃討できていないのにハマスを掃討したと宣言している。超間抜けだ。

シファ病院への攻撃だけでなく、議事堂の破壊も同様だ。病院も議事堂も、開戦前の平時(準平時)にハマスが使っていた公式的な施設であり、開戦後の有事に漫然とハマスが居続けるわけがない。病院攻撃や議事堂破壊は、世界人々のイスラエル非難に拍車をかけるだけの間抜けな自滅行為だ。
ハマスはまだ勢力の大半を温存している。イスラエルがハマス掃討に成功したと宣言した後、ハマスは再びイスラエルに攻撃を仕掛けてくる。ガザ戦争は長期化する。イスラエルは軍事・倫理の両面で苦戦し続ける。

イスラエルは今回の戦争の開戦時にも、ハマスが攻撃してくることを事前に知り得たはずなのに攻撃を予測しておらず、240人の人質をとられるなど大きな被害を出している。
常時ガザを監視しているイスラエルは、ハマスが攻撃の準備や訓練を重ねているのを察知できる技能を持ちながら見逃し、エジプトの諜報機関がネタニヤフに警告したのに聞き流して無視した。

https://tanakanews.com/231010israel.htm
イスラエルとハマス戦争の裏読み

これらの超愚策の連続は、意図的なものなのか??。意図した超愚策なら、何のためなのか??。
意図した超愚策として、米国の覇権自滅策である隠れ多極主義がある。米国は、自らの覇権を消失させたいが英国など同盟諸国によってがんじがらめにされているので、ベトナム戦争やイラク戦争、ウクライナ戦争など、米国側を弱体化させ、露中など非米側を強化する自滅的な隠れ多極主義の策を断続的にやってきた。

ガザ戦争がこの策に関係しているとしたら、米国を牛耳ってきたイスラエルに間違った諜報を注入して自滅に追い込み、イスラエルが米国を見限って露中など非米側に頼る転換をやるよう誘導し、非米側を強化するシナリオが考えられる。
ウクライナ開戦後、米国はロシアが惨敗しているという事実と正反対の諜報を欧州に注入して信じ込むよう強要し、欧州の自滅と露中・非米側の台頭を引き起こす多極化策をやった。米国はガザに関して同種のウソ注入をイスラエルにやったのか??。
このシナリオの難点は、イスラエルはガザなど自国周辺の状況について独自の諜報網を持っており、米国からの間違った諜報を信じ込む状況にないことだ。
米国発の諜報でなく、イスラエル諜報界の内部にいる入植者勢力(米国からイスラエルに移住した、親イスラエルのふりをした反イスラエルの勢力)がウソ注入をやったのなら、可能性はある。この場合、イスラエル中枢はネタニヤフvs入植者勢力の激しい暗闘になっている。

もしくは、イスラエルが騙されたのでなく、イスラエル(ネタニヤフ)自身が自国をわざと負けさせる、わざと窮地に追い込む策をやって、自国を米国側から非米側に転換させようとしている可能性。
これは、アルメニアのパシニャン首相がやった策だ。アルメニアはイスラエル同様、米国から移住(帰還)してきた入植者勢力がナゴルノカラバフをアゼルバイジャンから奪って戦争し続ける好戦的な拡張主義をやってアルメニア政界を牛耳ってきた。
だが、近年の米覇権の低下によって好戦策の維持が困難になったので、首相になったパシニャンはアゼルバイジャンとの戦争にわざと負け続け、ナゴルノカラバフを放棄してアゼリに返還して和解し、米国からの帰国組の政治力を削いで自国を安定させた。

https://tanakanews.com/231001armenia.htm
ナゴルノカラバフ紛争の終わり

アルメニア人は、ユダヤ人と似た境遇を持つ中東発祥の離散民族だ。在米アルメニア人は1990年代、在米ユダヤ人に入れ知恵されてナゴルノカラバフ占領の好戦策をやり出した。今回は逆に、ユダヤ人(ネタニヤフ)がアルメニア人(パシニャン)の手口を見習って、ハマスにわざと負け続ける策をやっているのかもしれない。

もっと歴史を見ると、イスラエルでもゴルダ・メイア首相が第4次中東戦争でエジプト軍にわざと負け、その後のエジプトとの和解につなげ、自国周辺の状況を安定させている。
今回のガザ戦争の開戦日は、第4次中東戦争の開戦日からちょうど50周年の記念日だった。開戦日を設定したのはハマスだ。ハマスとネタニヤフが密通し、最終的な和平につなげる今回のイスラエルの意図的な敗北策を50周年の記念日にやり出したともいえる。

稚拙な戦争犯罪をわざとやりまくって最終的な和平につなげる、などという策があり得るはずがない、と思う人が多そうだ。戦争犯罪の濡れ衣を丸呑みして本気で信じ込むことしかできない日本人(やドイツ人の、とくに左翼)の頭では、想像もつかないことだろう。
戦争犯罪のイメージを自由に操って敵性諸国に次々と濡れ衣をかけた挙げ句、最後は自国を戦争犯罪の構図にはめ込んで和平策として使う。ユダヤ人はすごい。こっそりネタニヤフを応援したい。皆さんは私を妄想屋として扱うぐらいが良いです。(笑)



この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/231116israel.htm


http://www.asyura2.com/23/warb25/msg/159.html
[環境・自然・天文板6] 温暖化?ここ数年夏が暑いと思ったら、2021年から太陽活動が活発になっていた。
総太陽放射量プロット
https://lasp.colorado.edu/tsis/data/tsi-data/tsis-total-solar-irradiance-plots/

ここ数年、夏が暑くて、今までとは違うな、と皆様も思っている事でしょう。

マスメディアでは二酸化炭素がどうのこうの、という話は出しますが、太陽からの放射量が結構増えてる、という話は、私はマスメディアからは聞いたことがありませんでした。

本日掲載の https://earthreview.net/something-is-about-to-explode/  の記事をヒントに元データをみますと、

明らかに,2018-2020年までと、その後とは違う太陽の放射量。これなら夏が暑いのも納得です。

http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/850.html
[戦争b25] ずっと続くガザ戦争(田中宇)中露BRICSがイスラエルをどうするか?今後の多極型世界を象徴する事項
ガザの戦争は、ハマスが数十人の人質を釈放する見返りに、イスラエルが11月24日から4日間の停戦に入った。11月29日に停戦期間が終わった後、戦争が再開されるのか、それとも停戦状態が維持されて何らかの和平につながっていくのか。
パレスチナを支持する人々は、イスラエルが追い詰められて停戦せざるを得なくなったんだと言っている。イスラエルはガザをいくら攻撃しても人質を救出できず、市民を殺戮して戦争犯罪を重ねるばかりなので、もう戦争を続けられない、これはハマスの勝ちなんだ、とイランなどが言っている。

https://www.al-monitor.com/originals/2023/11/iran-claims-israeli-surrender-gaza-hostage-deal
Iran claims Israeli 'surrender' in Gaza hostage deal

https://sputnikglobe.com/20231123/scott-ritter-hamas-winning-battle-for-gaza-1115160045.html
Scott Ritter: Hamas Winning Battle for Gaza

私はそう見ない。今回のガザ戦争のイスラエルの目標は、ガザ市民を全員エジプトに追い出すことだ。ここまでの1か月半の戦争で、イスラエルはガザ北部の市街地を完全に破壊して住めないようにした。北部の市民の大半が南部に避難し、南部は過密になって住環境がとても悪い。
イスラエルは、外部からガザへの物資供給を妨害し、ガザ南部は水や食料や燃料などが不足している。この状態が長引くほどガザ市民の生活が悪化し、パレスチナの大義を超えた現実的な救済が必要になる。
パレスチナの大義とは、ガザ(西岸)市民をエジプト(ヨルダン)に移住させず、パレスチナ国家ができるまでガザ(西岸)に押し込め続けることだ。
言語や習慣から見るとパレスチナ人がヨルダンやエジプトに移ってもそのまま住めるが、パレスチナ建国の大義があるのでパレスチナ人は移住を禁じられ、イスラエルからの攻撃に耐えて西岸やガザに住まねばならない。

https://news.antiwar.com/2023/11/23/us-doesnt-think-israel-can-make-good-on-hostage-deal-promise-to-increase-aid/
US Doesn’t Think Israel Can Make Good on Hostage Deal Promise to Increase Aid

エジプト政府は、ガザ市民がエジプトに来ることを昔から強く拒否してきた。だが、このままガザ市民をガザに押し込め続けていると、飢餓など人道危機がひどくなる。あと1-2か月もしたら、国際社会やアラブ諸国がイスラエルを非難しつつも、人道的な理由からガザ市民をガザから出し、エジプトのシナイ半島に難民キャンプを作って移住させることが必要になる。
イスラエルは、その時までガザを攻撃し続ける。イスラエル国防相は、4日間の停戦が終わったら攻撃を再開し、少なくとも2か月は続けると言っている。最短で2か月後に、世界からの道義的な加圧により、エジプト政府がラファ検問所を開けてガザ市民をシナイ半島に受け入れざるを得なくなるとイスラエルは予測しているのだろう。

https://www.rt.com/news/587943-israel-vows-long-war-with-hamas-after-ceasefire/
Short ceasefire, long fight Israel

イスラエルは昔から、パレスチナ人をエジプトやヨルダンに強制移住させ、跡地をイスラエルの領土にすることを画策してきた。イスラエルはパレスチナ人を撃ち殺したり家や畑を焼いたりして、パレスチナ人を絶望させてエジプトやヨルダンに移住させたい。
ヨルダン国民の大半は、これまでの中東戦争でイスラエルに追い出されたパレスチナ人だ。エジプト人とガザ市民は言葉(エジプト方言)や生活習慣がほぼ同じだ。パレスチナ人は、ヨルダンやエジプトで難民(外国人)としてでなく市民として生きていけるのだから強制移住で問題ない、というのがイスラエルの言い分だ。

https://www.newarab.com/news/egypt-could-use-law-against-israel-gaza-expulsion-plan
Egypt threatens legal action against Israel for plan to push Gaza Palestinians to Sinai

歴史的にも、イスラエルはもともとバルフォア宣言(1917年)でイスラエル全域(ヨルダン川の東岸と西岸)をユダヤ人国家にすることを英国から認められていた。それなのに英国は、イスラエルが中東の大国になって英国の脅威になることを恐れ、ヨルダン川東岸をハーシム家に与えてトランスヨルダンを建国させ(1923年)、さらに西岸の半分もパレスチナ国家にする国連分割案まで決めて(1947年)、イスラエルに与える領土を4分の1にしてしまった。
イスラエルは、英国の建国妨害策に屈せず、英傀儡のジャーナリストやアラブ諸国から人道犯罪のレッテルを貼られても無視して、パレスチナ人を殺したり脅したりして強制移住させる策をやってきた。
イスラエルは、ホロコーストを誇張して自分たちを人道犯罪の加害者でなく被害者に仕立て、2度とホロコーストの被害者にならないようイスラエル建国を完遂せねばならないのだと言って、大量殺戮の強硬策を正当化してきた。

https://tanakanews.com/f1220holocaust.htm
ホロコーストをめぐる戦い

ラビン首相は1993年、イスラエルを人道犯罪のくびきから救おうと、米国提案のオスロ合意に乗ってパレスチナ国家の創設に合意した。だが、パレスチナ人に国家主権や発言権を認めると、次は過去の中東戦争でのイスラエルによるパレスチナ人追放(ナクバ)が戦争犯罪に問われ出す。
イスラエル国籍のアラブ人も権利主張を拡大し、イスラエルをユダヤ人だけの民主主義国にするシオニズムの達成も困難になる。これらの懸念や不満が増大してラビン暗殺が起こり、パレスチナ国家を否定するリクードが与党になり、イスラエルは人道犯罪も辞さない強硬策でパレスチナの大義を潰してシオニズムを完遂する戦略に戻った。その延長に、今回のガザ戦争がある。

https://www.newarab.com/news/unrwa-says-gaza-operations-being-deliberately-strangled
UNRWA says Gaza operations being deliberately strangled

アラブ諸国は、パレスチナの大義を理由を理由にパレスチナ人を西岸とガザに押し込め続ける。悪いのはイスラエルだ。文句はイスラエルに言ってくれ。イスラエルはパレスチナ人を追い出そうと、攻撃や嫌がらせ、殺傷や焼き討ちを過激化する。
イスラエルは、しだいにひどい人道犯罪を常態化し、アラブ諸国や欧米の人権重視なリベラル派が「人道犯罪国家イスラエル」「アパルトヘイト国家イスラエル」への非難や敵視を強める。アラブ諸国はパレスチナ人を閉じ込めることで、イスラエルの人道犯罪をよりひどいものに仕立てることに成功してきた。
これに対してイスラエルは、米諜報界により深く入り込み、米国の政界やマスコミ権威筋をイスラエルの傀儡にする策略を強めて、イスラエルがパレスチナ人に対していくら人道犯罪をやっても「悪いのはハマスなどアラブやイランのテロリストだ」という話になるよう歪曲を強化した。

https://www.rt.com/news/587753-iran-brics-israel-terrorist-summit/
BRICS asked to label Israel ‘terrorist’ state

以前のイスラエルは、覇権国だった米国から加圧され、ガザや西岸のパレスチナ人に水や食料、燃料など最低限の生活保障をしてきた。パレスチナ人はイスラエルに出稼ぎにいくことを許されていた。パレスチナ人はイスラエル社会で最下層に押し込められつつ、収入を得ることを許された。
イスラエルは、ガザの面倒をエジプトに見させたいと考えたが、エジプトは拒否し続けた。それに、エジプトがガザの面倒を見ると、ガザへの兵器流入も容認されてイスラエルが攻撃される。

https://news.antiwar.com/2023/11/23/settler-violence-dispossession-and-displacement-accelerate-in-hebron-amid-gaza-war/
Settler Violence, Dispossession, and Displacement Accelerate in Hebron, Amid Gaza War

以前のイスラエルは、パレスチナ人の人権を最低限認めてきた。だが最近のイスラエルはパレスチナ人の人権を認めなくなり、むしろ虐殺など明らかな戦争犯罪を積極的に展開し、それによってパレスチナ人を恐怖のどん底に陥れ、殺されぬようエジプトやヨルダンに出ていかざるを得ないように仕向けている。
イスラエルは今回のガザ戦争で、わざと戦争犯罪を重ねている観がある。イスラエルはガザ北部のシファ病院を、ハマスの司令部として使われていると言って攻撃・破壊し、重大な戦争犯罪を犯したと世界的に非難されている。

https://tanakanews.com/231116israel.htm
イスラエルの戦争犯罪

イスラエル軍(IDF)はシファ病院を占領したが、ハマスがそこを司令部に使っていた証拠をほとんど示せていない。IDF自身が持ち込んだとおぼしき兵器類を撮影して「ハマスの武器だ」と言ったりしている。前回の記事に書いたように、シファ病院の地下室群は以前にイスラエル自身が建設したもので、そこをハマスが司令部として使うはずがない。
その後、IDFはガザを掃討中にシファ病院から8キロ離れた地点で本物のハマスの司令部を見つけたという指摘が出てきた。イスラエルは、本物のハマスの司令部を見つけたので、そこでなく、間違いだと最初からわかっていたシファ病院に司令部があると言い募り、世界が注目する中で、病院を攻撃する戦争犯罪を大胆に展開した。

https://original.antiwar.com/porter/2023/11/23/idf-knew-real-hamas-hq-while-lying-about-al-shifa/
IDF Knew Real Hamas HQ While Lying About al-Shifa

そしてイスラエルは、シファ病院の攻撃と占領が完了した直後、次はガザ南部を攻撃するから市民は避難しろと言い出した。イスラエルは、病院を攻撃して無数の乳幼児を殺戮することだって平気でやるんだ。ガザ南部の150万人が避難しないなら皆殺しだ、と言っているかのようだ。
今のガザ市民は、避難しろと言われても、逃げる先がない。いやいや、エジプトに頼んでラファ検問所を開けてもらってシナイ半島に行けよ。イスラエルはそう示唆している。
イスラエルはわざとひどい戦争犯罪を犯し、世界から戦争犯罪を非難されても屁とも思わずガザ市民を虐殺できるぞと示唆し、ビビった世界とパレスチナ人たちがエジプトを加圧してラファの国境を開けさせるように仕向けている。

https://new.thecradle.co/articles/gaza-a-pause-before-the-storm
Gaza: a pause before the storm

今回のガザ戦争の隠れた本質のもう一つは、以前から書いている「ガザ市民がエジプトに追い出されると、エジプトでハマス=ムスリム同胞団が活発化し、米傀儡の軍事政権を再び倒すアラブの春が再演される」ことだ。
ハマス(同胞団ガザ支部)がイスラエルによってガザから追い出されることで、同胞団はガザよりはるかに大きなエジプトの政権を得る。イスラエルはガザの土地を接収し、パレスチナ問題のくびきの半分から解放される。ハマスはエジプトを得る。
表向き仇敵どうしのハマスとイスラエルは、この「ウィンウィン」のシナリオで事前にひそかに合意したうえで今回のガザ戦争を展開している可能性がある。

https://www.rt.com/news/587919-israeli-intelligence-hamas-attack/
Israeli intelligence was warned about Hamas attack

エジプトが転覆したら、それはヨルダンにも波及する。ヨルダン国民の大半はナクバで追い出されたパレスチナ人で、ヨルダン議会の最大政党はハマスだ。ハマス(同胞団)はいずれ、エジプトとヨルダンの権力を得る。同胞団の最大の目標はパレスチナ国家の建設でなく、イスラム主義の共和国を作ることだ。
エジプトとヨルダンを得た同胞団が自分の国の安定と発展を望むなら、イスラエルと戦争して西岸とガザを取って自国の領土を拡大する「パレスチナの大義」よりも、大義を(こっそり)棚上げしてイスラエルとの関係を維持するのでないか(イスラエルが弱体化したら潰したがるかもしれない)。
エジプトとヨルダンの現政権はイスラエルと国交を持っている。以前モルシーの同胞団がアラブの春でムバラクを追い出して1年間だけエジプトの政権をとった時、イスラエルとの国交を断絶しなかった。

今回のガザ戦争でエジプトとヨルダンがムスリム同胞団の国に転換していくなら、エルドアンのトルコも悪い気はしない。エルドアンの与党AKPは実のところムスリム同胞団である。エルドアンは表向きイスラエルを非難しているが、イスラエルへの石油輸出を止めていない。
イスラエルが消費する石油の4割は、アゼルバイジャンの油田からトルコにパイプラインで運ばれ、そこからタンカーでイスラエルに運ばれている。イスラエルは、アゼルバイジャンがアルメニアとの戦争に勝つための兵器を送った見返りに石油を得ている。
トルコ系民族の国であるアゼルバイジャンは、トルコとも仲が良い。エルドアンが決断すれば、イスラエルへの石油輸送を止められる。だがエルドアンはそうしない。イスラエルがガザ市民をエジプトに追い出し、エジプトが同胞団の政権になることを妨害したくないからだ。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/turkiyes-middle-ground-position-becomes-untenable-us-intensifies-conflicts
Turkiye's Middle Ground Position Becomes Untenable As US Intensifies Conflicts

トルコが石油を止めないことをイランが批判した。しかし実のところ、イランもハマス(同胞団)の仲間だ。トルコもイランも、エジプトが米傀儡の軍事政権から同胞団政権に転換したらうれしい(エジプトの軍事政権自身、以前は米傀儡だったが今はロシアやサウジと親しく、イランとも敵でない非米側だが)。
イランに忠誠を誓うレバノンのヒズボラ(レバノン国軍より強い民兵団で、最有力政党でもある)は、いつイスラエルと開戦してもおかしくない一触即発の敵対状態と言われている。イランが支援するハマスがイスラエルと戦争しているので、同じくイラン系のヒズボラも参戦しそうだという話だ。
だが、ヒズボラの指導者ナスララは常にイスラエルを非難しているものの、参戦していない。この事態も、エジプトをハマス(同胞団)の国に転換するイスラエルの策略をイランも歓迎していることを踏まえると納得できる。

https://tass.com/world/1710115
War between Israel, Lebanon unlikely, analyst says

ところでハマスは、エジプトを得られるなら配下の何万人もの親愛なガザ市民が殺されても良いのか??。人権重視の現代人はそう考えるだろう。私なりに分析すると、ハマスはイスラエルとの戦争に備えるために、兵士や人間の盾を増やすため、ガザ市民に多産を奨励し、人々も喜んでそれに呼応して人口を急増した。戦前の「産めよ増やせよ」である。

パレスチナ国家は、西岸とガザでなく、エジプトとヨルダンを転換して作られる。それはまさに昔からイスラエルが言ってきた「詭弁」でもある。
だが、すでに述べたように、ヨルダン川の東岸がパレスチナで西岸がイスラエルになるはずが、詐欺師な英国が東岸をハーシム家に与えてしまったという歴史が語られないことの方がインチキだも言える。2国式は、英国の詐欺に立脚している。

https://news.antiwar.com/2023/11/20/israels-intelligence-minister-proposes-the-resettlement-of-palestinians-outside-gaza/
Israel’s Intelligence Minister Proposes the ‘Resettlement’ of Palestinians Outside Gaza

イスラエルは戦争犯罪を犯した。今後、ナチスドイツみたいに戦争犯罪国として裁かれるのか??。イランは、そうすべきだと言っている。
米国の覇権が残っている間は、そうならない。米民主党の左派はイスラエル敵視を強めており、そのせいでバイデン再選の可能性がさらに減った。バイデンが負けるなら、トランプが勝つ。そして、トランプは名うての親イスラエルだ。共和党候補は親イスラエルだらけだ。

これから米国の覇権低下が加速して、中露BRICSの非米側が世界の運営を握るようになる。BRICSには来年からイラン、サウジアラビア、エジプト、UAEの中東勢も加盟する。中東勢はイスラエルを非難する傾向が強い。非米側はイスラエルを潰す気か、と思いきや、そうでもない。
アラブやイスラム諸国は、ガザ戦争への対策会議を連続して開催している。だが、絶対にイスラエルを潰してやるぞといった感じの共同声明を出していない。停戦して2国式のパレスチナ国家建設の交渉に入るべきだと言うばかりだ。
戦争での問題解決(ガザ市民のエジプト追放)しかやっていない今のイスラエルに、2国式の交渉に入れと頼むのは空論でしかない。

https://sputnikglobe.com/20231121/putins-address-at-brics-summit-on-gaza-aligned-with-arab-muslim-vision--mideast-experts-1115108406.html
Putin's Address at BRICS Summit on Gaza Aligned With Arab-Muslim Vision

BRICSを主導する中国もロシアも、2国式の実現が目標だとか、平和的な外交解決が必要だとか言っている。戦争や経済制裁でイスラエルを潰すのでなく、平和的な外交解決をやっている限り、2国式は実現しない。
いや正確には「西岸に2国を作る」のでなく「西岸はイスラエル、東岸とエジプトはパレスチナ」の拡大2国式に事態は向かう。プーチンや習近平が言っている「2国式」は、この拡大2国式のことなのか??。違うだろう。だが、現実は拡大2国式に向かう。

https://sputnikglobe.com/20231121/pepe-escobar-will-russia-china-strategic-patience-extinguish-the-fire-in-west-asia-1115110062.html
Will Russia-China Strategic Patience Extinguish the Fire in West Asia?

私はこれまで「イスラエルが2国式に沿ってパレスチナ国家の運営を許さないと、米覇権衰退後の非米化・多極化した世界でイスラエルが受け入れられず、国家存続を許されない」と考え、イスラエルは最小限の2国式(オルメルト案=トランプ案)を受け入れるのでないかと予測してきた。
だが、その予測は外れた。イスラエルは、パレスチナ国家の存在を全く許さず、ガザと西岸からパレスチナ人を追放する策をやり続ける。ハマスにエジプトとヨルダンを与え、それらをパレスチナ国家に仕立てようとしている。

パレスチナの大義にこだわらなければ、ガザ市民がエジプト人になり、西岸市民がヨルダン人になっても生活的には問題ない。(英国の詐欺に騙されたままの)思想信条に拘泥しなければ、西岸パレスチナ国家は要らない。(あえてはっきり書いてみた)

イスラエルが2国式を全く拒否しても、中国やロシアは「平和的な外交解決」を言うばかりで、イスラエルを経済制裁する動きも拡大せず、イスラエルのやりたい放題が黙認されている。非米側がイスラエルを経済制裁していくシナリオは、トルコがエジプトの同胞団化をこっそり歓迎しているので具現化しない。

今後の世界は多極型であり、これまでの米英覇権体制に比べ、覇権国から他の国々に対する強制力が少ない。イスラエルはそれを踏まえた上で、これみよがしに戦争犯罪を重ねている。
「イラクの大量破壊兵器」「イランの核兵器開発」など、米英覇権は気に入らない国に戦争犯罪の濡れ衣を着せて潰す策をやってきた。イスラエルもその策に加担してきた。中露BRICSは、そのような米英覇権の世界を是正するために非米的な多極型体制を形成している。

そのような中露BRICSが、これからイスラエルをどう扱っていくのか。英米が遺した難問をどう解決するのか。拡大2国式の具現化を容認し、旧来2国式(西岸2国式、パレスチナの大義)にこだわる勢力をなだめて安定化するのか。それともイスラエルの戦争犯罪を裁くことにこだわるか。これは、今後の多極型世界がどういうものになるのかを象徴する事項になる。



この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/231125gaza.htm
http://www.asyura2.com/23/warb25/msg/174.html
[国際33] ずっと続くガザ戦争(田中宇)中露BRICSがイスラエルをどうするか?今後の多極型世界を象徴する事項 戦争板リンク
ずっと続くガザ戦争(田中宇)中露BRICSがイスラエルをどうするか?今後の多極型世界を象徴する事項
http://www.asyura2.com/23/warb25/msg/174.html
http://www.asyura2.com/23/kokusai33/msg/722.html
[国際33] 多極型世界システムを考案するロシア(田中宇)がロシアの大学主催国際会議に呼ばれて7分間話す。会議メモ公開
田中宇の国際ニュース解説 無料版 2023年12月4日 https://tanakanews.com/

米国がマイダン革命以来ウクライナにロシア敵視・国内露系住民殺しをやらせ、それが昨年2月末のロシアの正当防衛的なウクライナ開戦につながった。
開戦後、世界は、ロシアを敵視する米国側(G7やNATOなど)と、米国側のロシア敵視に追随せず対米自立の傾向を強める非米側とに、決定的(おそらく不可逆的)に分裂した。

非米側は、米国が単独覇権主義・文明の衝突戦略(中露イスラム潰し策)を強めて911テロ事件を(自作自演的に)起こした2000年前後に、中国とロシアが結束する上海協力機構(上海ファイブ)を作った。非米側は、米国がリーマンショックでドル崩壊した直後の2008年にはBRICSを立ち上げた。
非米側はこれまでも四半世紀かけて、米国覇権から自立した自前の世界体制の構築を試みてきた(米国側はこれを軽視・無視して報じていない)。非米側が独自の世界体制を構築する動きは、ウクライナ開戦による画期的な世界二分化後、大幅に強まった。

中国はそれまで国家戦略として、トウ小平以来の米国側との協調と、習近平が開始した非米側の強化(一帯一路など)との両方をバランスして続けてきた。だがウクライナ開戦後、中共は米国側を見限り、ロシアと相談して非米側の世界体制を強化する策を重視するようになった。
中国は非米側の主導役の一つだ。だが、中国は国家戦略の詳細や決定過程を外部に見せず、機密にしている。中共が多極型世界や非米側のまとめ方についてどう考えているか、全く漏れてこない。
対照的にロシアは、ウクライナ開戦前から、多極化に対する分析や、非米側をどうまとめるべきかについての提案や考察を割と発表してきた。開戦後、分析や提案の度合いが急拡大し、ロシアは非米側の世界システム構築の提案者・指南役になった。ドルを代替するBRICS共通通貨を作れないかずっと試行錯誤しているのはロシアだ。
露政府(プーチン)は、国内の大学やシンクタンクに分析や提案を出させ、世界戦略の立案に使っている。

世界の分析や露政府の戦略の提案を行ってきた大学の一つに「HSE大学」(国立研究大学経済高等学院)がある。HSEはウクライナ開戦後、何度も分析書・提案書をまとめて政府に提出・公開してきた。
HSEは、さる11月30日と12月1日に、世界の多極化や非米側のあり方に関する5回目の国際会議を開いた。議題は「新たな現実下での世界多数派: 地域研究の視点から」。
私流に言い換えると「多極型世界における非米側の各地域の状況」。会議の内容(予定表や出席者一覧など)は、英文でネットに公開されている。

https://we.hse.ru/en/irs/globasia/2023/
V International Conference 'The World Majority in New Realities: the Regional Dimension''The World Majority in New Realities: the Regional Dimension'

私はこの会議に呼ばれて出席し、米国の隠れ多極主義の傾向について英語で7分間話した(グーグル翻訳を多用して文を作って朗読した)。朗読した文書を公開しておく。

https://tanakanews.com/231201multipol.htm
From US-centered World Order to Multipolarity

分科会形式の2日間の会議で50人以上(プログラム上は100人近く)の研究者や外交官らが発表した。ロシア人を中心に、非米諸国の研究者や外交官が参加した。米国側諸国からの発表者は、日本からの私と及川幸久さんの2人だけだった。発表者一覧を見ると、私が聞かなかった分科会に討論参加者としてスペインから1人来たことになっている。
米国側から日本人が2人参加したのは、HSE大学のガリーナ・タキガワ教授の尽力によるものだ。タキガワ教授とご主人の瀧川敬司・東京貿易ロシア法人代表が日本からの会議参加者を探したが、日本の学術界やマスコミなど権威筋の人々は世界やロシアに対する見方が頓珍漢でダメで、私のような肩書なしの市井人に声がかかった。

私は2日間で20人ほどの発表を聞いたが、従来型の地域研究者による漫談発表も多かった。世界の転換に対応できていない研究者も多いようだ。
私から見て重要だったのは、研究者らの発表よりも、冒頭の全体会合で配布された、HSE大学が露政府に提出した世界分析と外交政策提案の英文冊子「世界多数派に向けたロシアの政策」だった(Russia's Policy Towards World Majority)。

この冊子に書かれていることは、プーチンら露政府高官の演説や、ネット公開されている露政府系の他の文書にも載っていそうだが、私にとっては目新しい考え方や示唆がこの文書に多かった。
この文書はまだネットにないが、私のような敵性外国人にも配ったものなので、グーグルレンズで電子文書化して公開することにした。

https://tanakanews.com/231201majority1.htm
Russia's Policy Towards World Majority

この英文冊子の中で、私が重要だと思った点だけ日本語に意訳し、さらに★を記した私のコメントもつけた文書を作成した。原文だけ見たい人は
https://tanakanews.com/231201majority2.htm

この冊子の論文は8章から成るが、全文についてコメントすると膨大になるので、とりあえず今回は導入(イントロ)と1章と2章だけコメントした。
私の興味は露政府の政策でなく、出現しつつある非米的な世界システムがどういうものであるかを知ることだ。新世界システムに対する見立ては、露政府の政策決定の基礎にある。
新システムについて国を挙げて分析・立案しているのは多分世界中でロシアだけだ。中国は、すでに書いたように分析を機密にしている。他の非米諸国は露中よりも受け身だ。米欧日は無視もしくは頓珍漢だ。
私はずっと多極化や非米化について分析し続けてきたが、情報量がとても少ない。そんな中で、HSE大学のこの冊子(や、この分野のロシアの演説や論文)は重要だ。

「多極化」「多極型」は一般的な言葉になったが「非米側」「非米化」は私の造語だ。「非米側」についてロシアではこれまで「グローバルサウス」という言葉が使われてきた。今回のHSEの会議も、当初の題名は「新たな地政学的状況下におけるグローバルサウス」だった。
私はこの議題に関する考え方(会議発表のたたき台)を11月初めに書いて瀧川夫妻に送り、それを有料配信の記事にもした。

https://tanakanews.com/231110south.php
非米側が作る新世界秩序

だが、グローバルサウスは発展途上国と同義で、ロシアを含んでいない。発展途上国は中国が主導してきた。ロシアとしては、自国が中国と並ぶ主導役になれるように命名したい。それで新世界システムの呼び名を「世界多数派」「ワールドマジョリティ」に変え、HSE会合の議題も変わった。
この新名称も暫定だ。下に書いたが、この名称には「世界には統一的なあり方が必要で、それを多数決で決めるのが良い」という考え方が潜んでおり、その考え方をすると米単独覇権と同質なものができてしまう。それはダメだとロシアの学者たちが言っている。彼らはとても根本的に世界を考えている。面白い。

などなど、前書きのつもりでうんちくを書いていくと、それだけで終わってしまう。2005年ごろから多極化を論じてきた私は、ずっと妄想屋扱いされてきた(今も?)。
だが日本など米国側が無視しているうちに、すでに世界は多極化し、ロシアでは権威筋が国を挙げて多極型世界について考察・立案している。米国側がいつまで無視するのかわからないが、多極型世界はどんどん確定していく。私でなく米国側全体が妄想屋になっている。私は至福を感じている。

以下、HSE大学の冊子の論文についての紹介。各項目の前にある数字は、原文の項目番号と連携し、どの文からの意訳・コメントなのかを示している。英語の原文は婉曲表現が多く、一文が長くて難解で、直訳だと意味がとれない。

https://tanakanews.com/231201majority1.htm
英文と一緒に読みたい方はこちら。


◆導入章

Intro・この論文で使われている「世界多数派」とは、米国との間で拘束的な関係を持っていない国々と、その傘下の組織が集まる共同体を指す。
この定義はもっと明確にする必要があるが、本論文で暫定利用する。「世界多数派」は(世界を多数決によって一つの意志にまとめねばならないと考える)リベラル派による時代遅れなグローバル化の概念なので、できれば使わない方が良い。

★世界多数派は、米国の傀儡でない諸国のこと。日本を筆頭に、G7とNATO諸国、EU、豪NZ(アングロサクソン)、韓国は、米国から拘束されている諸国・米傀儡諸国なので、それ以外の諸国が世界多数派。NATO内でもトルコやハンガリーは、法的に米国に縛られているが、指導者(エルドアンやオルバン)が米国の縛りを拒否しており、多数派に入る。NATO内では、米国の縛りを拒否する国が増えている。
イスラエルは本論文で多数派に属する(属しうる)と定義されている。米国がイスラエルを拘束する度合いより、イスラエルが米国を拘束する度合いの方が大きいので米国の傀儡でない。米国がイスラエルの傀儡。
イスラエルやトルコは、世界多数派(非米側)と米国側の両方から良いとこどりする世界戦略をとっている。日本やドイツは逆に、非米側がもう一つの世界システムを作りつつあることを無視し、世界に米国側しか存在しないかのようなふりをして、米傀儡であり続けている。
本書の「世界多数派は(世界を多数決によって一つの意志にまとめねばならないと考える)リベラル派による時代遅れなグローバル化の概念なので、できれば使わない方が良い」という表明からは、ロシアの外交政策立案者(学者など)が、既存の米英製の体制と根本的に違う世界システムを作ろうとしていることがうかがえる。

Intro・世界多数派は欧米敵視でない。欧米が追求するものと別のものを求めているだけ。多数派はウクライナ開戦後、ロシアに対して寛容で建設的な姿勢をとっている。開戦後のロシアの外交政策は、米国側からの敵対への対応と、非米側との協調という、二面を持つことになった。

Intro ・いま形成されつつある多極型・他中心型の世界体制は、小さな諸国を含めたすべての国々に対して平等なものでなければならず、(極となる地域大国がその地域を率いる大国中心主義になりうる)多極性と、平等性が矛盾・衝突してしまう。
この問題を解決できるよう、今後の国際政治は、中心的な動きが地域的・域内諸国間の活動になる。

★多極型世界の国際政治が極ごと、地域ごとになるとの予測は、数年以上前から、多極化を指摘する米国側の言説の中でも出ていた。ウクライナ開戦後、多極化の主導役が露中BRICSになったことを感じる。
日本は、韓国や北朝鮮(やモンゴル?)と一緒に、中国が極・主導役になる東アジアの中に入る。ロシアも関与し「準極」になる。日本も大国なので東アジアの準極になるうるが、今の米傀儡を続けて非米側に関与するのが遅くなるほど、東アジアでの中露の主導性が確立し、日本は影響力がなくなる。
西太平洋の、日本から台湾、フィリピン、ベトナム、インドネシア(など東南アジア全体)、豪NZなどに続く海洋アジアがどのような位置づけになるか不透明。
本書では、多極型世界において文明ごとに極を構成する考え方があり、中南米や中東が一つの文明としてくくられている。だが、文明のくくりだと、日本と韓国と中国が別々の文明になるのでないか。それとも「漢字圏」「儒教圏」など(強引な)くくりで一つにされるのか??。
ロシア極東は正教徒だけど。海洋アジアは文明圏なのか??。などなど、不明な点が満載だ。米英流の厳密から解放されるのが多極型世界の良さでもあるが。

Intro ・米主導の欧米は500年間の覇権を守ろうとして、世界の資産を自分らの好きなように采配し、欧米流の文化や政治理念を世界に押しつけてくる。繁栄しつつある非米側の諸国は、その押しつけを跳ね返し、米側の独断理念から解放された完全な国家主権の獲得を目指している。

★いま起きている多極化は、戦後の米覇権の終わりだけでなく、コロンブス以来の欧米の世界支配の終わりにもなる。

Intro・「世界多数派」は、未来の世界についての試論・試作品・予想図であり、定義によって一般化すべきものでない。

Intro・非米諸国間の関係は、どこかの国が支配的な力(覇権)を持つべきものでない。世界に関する概念は(露中などが勝手に決めるのでなく)参加諸国の自主的な合意に基づいて決めねばならない。

★非米側は今後の世界体制について理想主義で考えている。第2次大戦終結時に国連を作った時に米国が掲げたのと同じ理想主義だ。やはり今の非米化・多極化は、米国の隠れ多極主義者たちが米覇権を自滅させつつ非米側を誘導してやらせた感じだ。

Intro・世界多数派(特に中国印度などアジア諸国)との関係強化のため、ロシアの経済的・文化的な発展の中心地を(モスクワから)ウラルやシベリアに移さねばならない。

★だからロシアはBRICSや上海機構の会合を自国でやる際、カザンやエカテリンブルクで開催するんだ。


◆第1章、ロシア外交政策の2つの側面

1.3 ・ロシアと米国側の対立は、文明的・価値観的・地政学的・地理経済的な深いものなので、この対立はずっと続く。15-20年は続く。対立はウクライナ戦争だけの話でない。ロシアは世界体制の転換に伴って世界の構造転換(非米化)を進める必要があるが、米国側と和解・関係正常化は、不可能だし、構造転換を阻害するので望ましくない。

★ウクライナ戦争など決定的な米露対立が長引くほど、米国側と非米側の分断が続き、ロシア(中国BRICS)などが非米側を率いて非米的な新世界システムを作り、非米側が米国側をしのいで米覇権が終わり、世界が多極型に転換していく。
非米化(新世界システムの構築)には時間がかかる。15-20年かかると露政府の立案者たちは考えている。その間、米国側と非米側の徹底対立が続いていることが望ましい。非米側は多様で、まだ結束が弱い。今後短期間で徹底対立が解消されてしまうと、非米側の結束が崩れて個別に米国側と再和解し、米覇権体制が蘇生し、新世界システムの構築が頓挫してしまう。
世界を非米化するために、ロシアがウクライナ戦争をとろ火で長引かせたがっていることは、戦争の早い段階から感じられ、私はそれを繰り返し指摘してきた。

1.4.1 ・非米諸国のエリートの中には、欧米システムの中で生きてきた人が多く、非米化に対して明確な意思決定ができなかったりする(中国のトウ小平派とか??)。非米諸国の国民は非米化を望んでもエリートは違ったりする。

★これは、親米的なエリートが支配する非米諸国の政権転覆を、ロシアなど諸大国がこっそり支援する意志があると示唆しているのか??。

1.4.2 ・非米諸国の多くは、ウクライナ戦争が生んだ米露対立が、非米諸国の対米自立と国家主権の強化をやりやすくしていると考えている。だから非米諸国はロシアの側に寄ってくる。

1.6 ・世界多数派(非米側)は、NATOなど米側の国際支配機構と異なり、一枚岩の組織でなく政治ブロックでない。
非米側には、中国や印度のように一カ国で一つの文明を構成する国のほか、アラブ・イスラム教世界、アフリカ、ASEAN、中南米、カリブ海諸国など、複数諸国による文明圏もある。文明ごとの多中心型(多極型)の世界を作っていく。

★中国が一カ国で一つの文明を構成しているのなら、日本も一カ国で一つの文明だ。米国側の「文明の衝突」戦略でも、日本は1国1文明の「孤立文明」とされていた。韓国と北朝鮮は2カ国で一つの文明。
今後の多極型世界において中東は、サウジ(GCC、アラブ)、イラン、トルコ、イスラエルの4極下部構造を持つように、東アジアも中国、日本、南北朝鮮、モンゴル(、ロシア)という多極な下部構造を持つようになる。

1.6 ・ロシアは開放的な文化なので「文明の中の文明」であり、世界を統合する役目を果たす。★すごい自負だね。驚いた。日本も、もともとかなりの文明力があるので、文明力の点だけで見ると、ロシアがやれるなら日本も世界を統合をやれるはず。

1.6.2 ・非米側は、正常な人間の価値を共有する国々・人々であり、いわゆる「保守」だ。非米側は、この保守の価値観を掲げて団結することで、欧米で(リベラル派の)エリートが自国社会や全世界に強要している非人間的・反人間的な価値観の強要(伝統的なジェンダー観を攻撃・否定し、改革と称して社会を混乱させる左派の覚醒運動など)に対抗できる。

★この分野では、米国側が(過激で自滅的な)リベラル派で、非米側が(極右とレッテル貼りされて攻撃誹謗される)保守派である。欧州で政権をとりつつある「極右」など、米国側の保守派は、非米側と同じ立場にいる。露中を敵視する日本の保守派は、単に米国側の歪曲話を軽信する米傀儡であり、間違った命名をされている。

1.10 ・ソ連は1960年代まで(欧米・西側に十分対抗できる)独自の科学や工業の技術を持っていた。(それを使って東側全体が発展し、冷戦期の前半は東西が拮抗していた)。これからの多極型世界で、ロシアが再び非米側の科学技術の下支えになることが求められている。

1.12.1 ・アフリカは(これまで米欧によって貧困におとしめられ発展を阻害されていただけに)今後世界最大の経済発展の場になる。

1.13 ・世界の9つの核兵器保有国のうち、露中印パ北朝鮮イスラエルの6カ国が非米側にいる。

★シンポジウムの冒頭に講演したドミトリー・トレニンは、非米側の核兵器保有国が集まって核兵器(使用や拡散の抑止、保有削減など)について話すのも良いんじゃないか、と述べていた。


◆第2章、世界多数派の現象

2.1 ・ウクライナ開戦は、非米側が世界の諸問題を米国に頼らず自分たちで解決していこうとする新たな機運を産んだ。

2.1.1 ・崩壊しつつある米国は覇権を維持しようと無茶苦茶な攻撃を仕掛けてくる。中国など非米諸国の多くは、米国と争って破壊されたくない。いずれ米覇権が崩壊して非米側が世界の中心になるのだから、中国などはそこへの転換を円滑にやりたい。そういう非米側の心情を理解しているので、ロシアも非米側を誘って米国側と戦うのだと言わないようにしている。

2.6・非米側(世界多数派)を構成する国々や人々は、同質でなく多様だ。中印、印パ、サウジとイランなど、いくつかの諸国は相互に対立している。そんな非米側で外交するためにロシアは、複数の原則に基づきつつも、個別のケースで良い結果を出すために、現実を考慮した対応をしている。シリア内戦終結のアスタナ会合や、アフガニスタンに関するモスクワ会合、ペルシャ湾岸諸国が地域安保システムを作る提案など。

2.6.1 ・世界には多様な文化や文明がある。世界は本来一枚岩でなく多様なものだ。多様性を反映した方針をとる非米側(世界多数派)は、人類の自然なあり方に沿っている。対照的に米国側は、一枚岩の体制や、他者を拒否するブロック政策をとり続けている。

2.6.4 ・イデオロギーという概念そのものが、欧米文明の産物だ。欧米は20世紀から、イデオロギーやその他の分野で世界を席巻支配してきたが、これは世界のあり方を歪曲してきた。

2.6.4 ・欧米は世界を支配してねじ曲げてきたが、最近はそれを(過激に稚拙に)やりすぎて、東欧など米国側を含む多くの国から拒否されるに至っている。欧米は、文明としても自滅的に孤立している。

2.7 ・非米側(世界多数派)は、冷戦期の非同盟運動のようなものでない。非同盟運動は、米ソ対立の枠外にいることを自分たちに課していた。

2.10 ・世界多数派(非米側)は反欧米の考え方でない。あらゆる覇権やグローバル化の概念・モデルから人々を解放する考え方である。米国だけでなく、中国の覇権もダメだと。

2.11 ・世界多数派(非米側)はイデオロギーを必要としている。だが、イデオロギーというもの自体が欧米文明の創造物だ。世界多数派は(教条的なイデオロギーでなく)各国の文化文明的な特性に合致した発展の必要性に誘導されていくべきだ。
自分らのイデオロギーを作る必要はないが、各国の文化や概念を包括した共通の言い方を作ることはできる。

★米国が言っていた「文明の衝突」と正反対の「文明の協調」をめざす非米側。

2.13 ・最近欧米で作られている過激に変異したリベラル思想(米国発の覚醒運動。人種や性差に関する対立や相互攻撃を誘発するばかりの超愚策・自滅策)は、リベラル派が主張するような世界普遍思想などでなく、欧米文明に特有のものだと認識されるべきだ。


とりあえず今回は2章まで。残りの章についても、希望が多ければ意訳とコメントを作って配信するつもり。
この論文にある諸概念から派生して、現実の国際情勢の動きと絡めて、いろんな面白い記事が書けそうな気もする。


この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/231204russia.htm


http://www.asyura2.com/23/kokusai33/msg/753.html
[国際33] 多極世界でロシアから中国を見る(田中宇)米経済覇権あと3年未満か?
この記事は「多極型世界システムを考案するロシア」の続きです。
https://tanakanews.com/231204russia.htm

前回に続き、ロシアでもらった論文「Russia's Policy Towards World Majority」を読み込んで分析する。私がこの論文を読んで感銘を受けた話の一つは、7.3.にある、中国に関するロシアの専門家たちの分析だ。露中は、きたるべき多極型世界の主導役なので、ロシアと中国が相互に相手をどう見ているかはとても重要だ。
中国は長期的に、米経済覇権の傘下から出て、ロシアと一緒に非米型経済システムの主役になる。だが、その転換を急いでやると経済が悪化して不安定化するので、中国は時間稼ぎしつつゆっくりやりたい。
ロシアが世界を早く多極化したいのと対照的だ。中国は米国から攻撃されても受け流してきたが、それは時間稼ぎのためだ。ロシアはそう見ている。

https://tanakanews.com/231201majority2.htm
Russia's Policy Towards World Majority

7.3.では「中国は内部的な再構築を現在進めており、これがしばらく続くので、中国はロシアと異なり米国との対立を激化しないようにしている」と書いてある。再構築とは、中国経済が米国の傘下を出て非米型に転換することを指す。
7.3.2.「中国は(1980年代以来、米国の)経済グローバル化の流れ(米経済覇権)の中に深く組み込まれ(米国の下請けにな)ることで繁栄してきた。だから中国は、今後も少なくとも中期的に、従来の経済構造を急いで(非米型と)入れ替えず、円滑に変換していきたい。中国製品の主な輸出先は米欧だ」。
「とはいえ、米国は中国への敵視を強めている。中国は、米国に敵視されるほどロシア(が提唱する非米型システム)の方に寄ってくる」。

本論文は、中国が中期的(3-5年?)もしくは長期的(5-10年?)に、経済構造を米国の下請けから非米型に円滑に転換していくと予測している。だが、それまで米国の金融バブルが崩壊せず延命するのかどうか。
3.5.2.では「(非米側が)既存の米覇権型でない非米的な経済政治システム(alternative platforms)を作らず、既存システムを使い続けていると、いずれ起きる米覇権の崩壊(coming collapse of Western hegemony)に巻き込まれ、非米側も大打撃を受ける」と書いている。
ノアの方舟として非米システムを作っておけという話だ。米覇権がいつ崩壊するのか、中国の準備ができるまで米金融が延命するのかどうか、本論文は予測してない。

HSEは経済大学院もあるはずなのに、今回の会議では通貨や金融のシステム分析が皆無だった。だから不肖ながら私自身が分析する。
最近、米銀行界からの預金流出が止まらず連銀資金注入の植物人間化がひどくなったり、ドルのライバルである金地金や仮想通貨の相場が高騰したりして、ドル(米経済覇権)の末法感が増している。あと3年ももつのか心もとない。ドルが崩壊したら中国も非米型経済に急いで転換せざるを得なくなる。
習近平の中共は、転換をゆっくり進めるかのように見せかけて、中国の従来型金融システムをバブル崩壊に誘導したり、救済するふりをして放置する策を続けている。中国をバブル崩壊させると、習近平は「崩壊したのだから仕方がない」と言って非米型に転換できる。私の見立てはHSEと異なり、意外と早く中国経済が非米型に転換する、というものだ。

同じ3.5.2.には「中国など多くの非米諸国のエリートが、いまだに、米国は単独覇権に固執せず、非米側の要求も受け入れる協調姿勢に転じるはずだと(楽観的に)考える傾向にあるが、それは間違っている。米欧エリートは、自分らの存在基盤である単独覇権を絶対手放さない」とも書いてある。
中国で、米国を軽信する楽観論を持ち続けてきたのは、昨年権力掌握を完了した習近平でなく、習近平に権力を奪われたトウ小平派(江沢民や胡錦涛の配下)である。

トウ小平派は、1978年の米中国交正常化後、中国が米経済の下請けとして機能することで、高度成長を実現した。だが、2008年のリーマン危機(ドル崩壊)後、米覇権は崩壊過程に入った。それで、2013年に一帯一路やBRICSなど非米型の経済戦略を持った習近平が出てきた。
30年間中国の主役だったトウ小平派は共産党の裾野まで存在し、習近平が最上層の権力を握った後も、抵抗し続けている。本論文は書いていないが、本論文が指摘する「中国が取り組んでいる再構築」とは、習近平(非米)がトウ小平派(親米)に完全に取って代わる政治転換でもある。
米覇権の永続を期待しているトウ小平派は、中国が、米国の仇敵であるロシアと組んで米覇権を壊す(というより見限る)ことを望んでいない。習近平は親露、トウ小平派は反露の傾向だ。

中共の上層部には、非米派と親米派の暗闘が残っている。そのため非米派は、主流を握った今も、世界の非米化についての議論を非米派の内部だけで行い、親米派に知られぬよう機密にしている。
私が参加したモスクワでのHSE大学の会議では、中国人が全く参加していなかった。習近平の非米化策はロシアにとって最重要だ。中国の協力なしには、ロシアの世界非米化構想も空論に終わる。それなのに国際会議で中国人がいない。これは、とてもおかしい。
中国人はいないのでなく、多分別のところでロシア側と2国間で会議している。私が参加したのは、世界中の非米諸国(や日本のような米国側)の分析者らを集めた「その他大勢」の会議だった。露中は、その他大勢を入れず、露中だけで会議している。
その他大勢を入れた会議に中国勢が参加すると、非米化に関する中国の戦略が世界(米国など)と国内親米派に伝わってしまい、妨害されやすくなる。だから中国の非米派は、個別に非公開でロシア側と話をしている。これは私の推測。

ロシアは、経済超大国である中国をとても重視している。だから本論文の7.3.4.では「いずれ(世界が十分に非米化したら、資源を非米側の各所から広範に得られるようになり)中国は戦略的に満足し、ロシアに興味を失うのでないか」と心配している。
恋人に飽きられるのを心配するロシア君。私から見ると、ここに日露関係を改善する糸口もある。中国ちゃんと付き合わないで私と付き合ってよ。ロシアくーん。

米国が過激に稚拙に覇権を振り回す昨今は、米国の無法な乱暴に対抗するため露中が結束している。ロシアは資源国、中国は製造業と消費市場の国なので、うまく経済補完もできる。
だが、米覇権の衰退が進んで露中の結束がさほど必要でなくなり、中国が他の非米諸国からも資源確保できるようになると、露中が疎遠になり、昔の相互警戒がぶり返しうる。
ロシアは近代初頭、古来の中華帝国の北側の人の少ない極寒地帯シベリアをぐるりと太平洋まで領土にした。中国はロシアの南下を恐れた。ロシアは中世にタタールのくびき(モンゴル支配)も経験した。歴史的な相互警戒が露中間にある。

7.3.4.「(中国が離反したときに備えて)ロシアは他の非米諸国とも親密にして関係を多様化し、いずれは米国側の諸国とも関係正常化していかねばならない」。個人関係なら浮気だが、国家間だから良いのね。ロシア君。
「しばらくはダメだが、米国とも(核兵器削減交渉をやり直したりして)関係改善するのが良い」(だから最近米露が核削減の枠組みをリセットしたんだ)。
7.4. 「(世界が非米化する)新たな条件下で、印度との戦略関係はロシアにとってとても重要だ。できれば、露印関係を、露中関係に近い高水準まで引き上げるべきだ」
「(印度は米国側とも親しくしており)難しさはある。印中の緊張緩和をロシアが助けるのが、露印関係改善の良い策だ」
7.4.1. 「(印度の立場を考えて)ロシアは、インド太平洋の共同体構想に強く反対しない方が良いという考えもある。インド太平洋はロシアの国益に反しない。ロシアがインド太平洋を悪く言うことを印度はとても嫌がる」

ロシアも中国も印度も米国も、多極型世界で「極」の諸国だ。多極型世界では、大国間の関係が重要だ。すべての大国が対立をやめて、ある程度の安定した良い関係を構築できた時点で、多極型世界が政治面で完成する。具体的には、米露が和解した時に多極化が完成する。米国は、覇権崩壊後までロシアと和解しない。
多極型世界において、中小の国々は、まず自分の地域の大国=極の国と話をせねばならない。日本は極=大国になるのか、それとも中国傘下の中規模国になるのか。日本は、国連安保理常任理事国になりたがるぐらいだから、極になりたいだろう。

日本は、早めに動き出せば極になれる。今のように多極化を無視して対米従属のみに固執し続け、極になる準備開始が遅れると、確定した体制下に入っていくのが難しく、日本は中国極の傘下(中国の属国)になる。
日本では、中国を嫌う人ほど多極化を無視して対米従属に固執する傾向だ。中国を嫌う人ほど、日本を中国の属国へと引きずり込んでいる。対中和解派を売国奴呼ばわるする人こそ、日本を中国の属国にする売国奴。無自覚は最大の失策だ。

日本が極になるなら、それは東アジアの海洋地域としての極だ。日本から米領グアム、フィリピン、東南アジア、インドネシア、豪州、NZへと続く西太平洋。それから、ロシア、北朝鮮、韓国、中国の環日本海圏。日本は、これらの地域と特に親しくして、経済や地域安定の策をいろいろ考えるようになると、極になる。
極の策は政治支配でなく、経済と安定化だ。「安保」が持つ意味も、今の米覇権下での「脅威誇張・戦争・敵視・制裁・不安定化」から、「現実直視・交渉・和解・相互繁栄・安定化」へと大転換していく。それが多極化の良いところだ。
東南アジアはASEANとして極だし、豪州NZも、米覇権崩壊後に南太平洋として極になる。
韓国も、日中に両属する中規模国でなく、日中露とは別の極になり、朝鮮半島を中心に環日本海(環東海)、ロシア極東、延辺など中国東北3省、モンゴル、朝鮮系住民もいるカザフスタンなどとつながりを深める極になりたいはず。まず最初に韓国と北朝鮮の和解が必須だが。

https://tanakanews.com/170731abe.htm
中国と和解して日豪亜を進める安倍の日本

極とは何か、多極型とは何か。これ自体、明確でなく、議論の途上だ。本論文やHSEの会議では、多極型(multipolarity/polycentricity)という言葉が多用されている。だが議論は不十分だ。
日本など米国側が無視しているだけで、世界が多極型になるのは確実だ。ロシア政府と田中宇が偶然同じ妄想をしているのではない。だが、議論がないので定義も不透明で、私としては洞察・想像するしかない(それが妄想扱いされている)。

強国が弱い国に対して一方的に影響力を持つのが覇権(隠然)や支配(顕然)だが、多極型世界の極の国の行動は、他の国々との合意に基づく相互のものなので覇権でない(傀儡政権を作って合意させることがあり得るので覇権の要素は残る)。支配でなく、他国に対して経済や安保での貢献をする国が極だ。
この定義で考えると、極になる国は世界に30ぐらいありそうだ。日本に国際貢献してもらったと思っている国はけっこうあり、この点で日本は極だ。

多極型世界において、敵視や経済制裁は禁止だ。しかし人間なのでときどき喧嘩する。国家間で敵視や戦争があり得る。その場合、他の国々が仲裁して喧嘩=戦闘をやめさせ、和解にもっていく。
仲裁者は、力がある方が頼りにされるので、地域の大国が仲裁者になる。それが極の国だ。多極型は、安全保障の概念である。経済は国家がなくても回るが、安保は国家の仕事だ。
戦後の米覇権体制は当初、米国が世界の紛争を仲裁して安定化する役目だった。だが、この四半世紀、米国は敵視や制裁や戦争を多発し、世界を不安定化するばかりだ。米国側のマスコミは善悪歪曲の意図的な誤報を流布し、米国側の人々に「米国は良いことをしている」という大間違いな妄想を軽信させている。

この事態は、放置すると永久に続く。それはまずいので、露中など米国に傀儡化されていない国々が集まって、別の国際安保システムを作ることにした。それが多極型世界だ。
私自身の見立てで言うと、(英国系に牛耳られているのを嫌がる)米国自身が単独覇権を壊して多極化したいので、わざと敵視制裁戦争を多発して露中に多極型世界を作らせた、という話だ。どちらにしても多極化は、世界の安全確保のための「世直し」である。

「独裁国の中国に、世界を良くする策ができるはずない」。民主主義国しか良いことをやれないと考えている日本など米国側の人々はそう考えがちだ。だが実のところ、極悪な戦争を繰り返しているのは民主主義の米国だ。欧日の民主諸国は、米国の極悪な戦争を支持し続けている。
国内体制の民主性と、その国の政府が国際的に何をするかという話は別物だ。中国人は資質的に政治絶倫(政治で儲けたがる天才)で、民主化すると混乱するので選挙をやれない(台湾は植民地時代に日本化されたから民主主義をやれている)。

冷戦後のロシアは立派な民主国だが、米国側から極悪視されている。ウクライナ戦争を誘発したのは米国で、ロシアは被害者だ。米国側の(というより、あらゆる)民主理論は詐欺・インチキである。理想主義者は騙されやすい。政治家や運動家は、理想主義をかたって人々を騙す。
米覇権に替わる世界体制を作れそうなのは中露BRICSなど非米的な諸大国の集合体だけだから、今の多極化になっている。独裁とか民主とか、どうでも良い。独裁vs民主にこだわる人の方が間違っている。
中共は、国内体制を強化して中国が世界を主導できるようにするために習近平の独裁体制を作った。中共内部には米国好きのトウ小平派がたくさん残っているが、トウ小平派の最重鎮である江沢民が習近平の独裁強化を支持したので、今の中国がある。中共は、世界をきちんと見ている(共産主義は詐欺なので嫌いだが)。

話がそれた。HSE論文の話に戻す。ロシアは、中国とだけ親密である状態が不安なので、印度など他の大国=極とも親密になりたい。イランやサウジやトルコとの関係も、親密化している。露中関係を皮切りに、そのあたりの話が7章に書いてある。

日本との関係についても、北東アジアについての 7.8. に少し書いてある。それは「残念ながら、日本のナショナリズムは、日本の対米従属を終わらせる試みにつながっていない」という一文だけだ。
ロシアは、欧州各国の反EUナショナリズム・いわゆる極右が、欧州を米傀儡から離脱させて非米側に入れてくれると期待している( 3.3. )。だが日本のナショナリズムは反米でなく、逆に米傀儡の中露敵視屋なので期待できない。この一文はそういう意味だ。(日本には真のナショナリストがほとんどいない。反米親露派も不必要に反中国)
日欧とも、世界を不安定化するばかりの米国に従属する傀儡である限り、世界を安全にするための非米側の動きに参加できない。

日本については、あらためて書きたい。今回の連続記事は、すべての人にとって重要と思われるので無料配信し続ける。
そのため、しばらく有料配信できないかもしれないが、有料記事読者の皆様お許しください。最近ずっと購読権残存日数を減らすのを奇数日だけにしているので、購読料が実質半額になっています。



この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/231208china.htm
http://www.asyura2.com/23/kokusai33/msg/776.html
[国際33] まだまだ続くウクライナ戦争/田中宇 仁王像
1. てんさい(い)[1492] gsSC8YKzgqKBaYKigWo 2024年1月03日 11:13:41 : 0kUGInjLpY : ZUJoU1c2MzFGUzY=[512]
<■187行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
一部抜粋

ウクライナ戦争の構図が続くほど、欧州は、ロシアから石油ガス資源類を輸入しない状態が長くなり、経済の悪化とインフレがひどくなって衰退が進む。

ロシアとしては、ウクライナの戦線を適当に膠着させつつ、ゼレンスキーを生かしておくだけで、欧州が反露から親露に転換していく。だから、ウクライナは停戦和平になりにくい。

エスタブ側が民主党と協力し、2020、24年に続いて再び猛烈な選挙不正をやってトランプの当選を阻止し、バイデンを(前回同様)不正に再選させる可能性も大きい。トランプは猛烈な人気、バイデンは猛烈な不人気なので、2人の得票差が選挙不正できる範囲を超えて大きくなるとも予測できる。だが民主党側は、そのような予測をさらに超えた猛烈な選挙不正をやってトランプの当選を阻止するかもしれない。

−−−−−−−−−
無料版なので全文引用

私は以前から、ウクライナ戦争が長期化すると指摘してきた。この戦争は、米国側と非米側の世界的な強い分裂状態を作って固定化するために米中枢(諜報界の隠れ多極派。バイデンの大統領府はその配下)がロシアを挑発して起こしたものだ。分裂状態が長引くほど、非米側は露中主導で米覇権に頼らない新世界秩序を完成し、世界が多極化・非米化していく。
米中枢がそんな自滅的なことをするはずない(米中枢に多極派なんかいない)と思う人でも、この戦争が米国側と非米側の強い分裂を引き起こし、長引くほど非米側が強くなることは認めざるを得ない。

https://tanakanews.com/230710europ.htm
ロシアでなく欧州を潰してる

そして、この戦争の構図が長引きそうなのも動かぬ事実だ。プーチンが昨春、習近平に「ロシアはこの戦争を5年間以上続ける」と伝えていた、と報じられている。マスコミでは「プーチンは、この戦争で劣勢だけど5年は戦える国力があるから見捨てないでくれと習近平に懇願する意味でこんなことを言った」と解釈されている。
私はそう見ない。プーチンは習近平に「非米側が米国側から隔絶された状態を維持するこの戦争をあと5年以上続けるから、世界を非米化する時間はたくさんある。中露主導で非米化・多極化を思う存分進めて米覇権を潰そう」と持ちかけたのだろう。

https://www.themoscowtimes.com/2023/12/28/putin-promised-xi-that-russia-will-fight-5-year-war-in-ukraine-nikkei-a83588
Putin Promised Xi That Russia Will Fight ‘5-Year War’ in Ukraine

マスコミはロシアが劣勢だと喧伝し続けているが、それ自体が(意図的な)大誤報だ。露軍は楽勝し続けている。米中枢は、傀儡であるウクライナの軍隊に稚拙な戦略をとらせ、米欧が支援した武器弾薬を全力で浪費している。
武器弾薬の在庫一掃は、軍事産業(複合体・覇権維持派)の支持を得るのに好都合だったが、隠れ多極派はそれを稚拙に過剰にやることで、米欧の兵器不足と、ウクライナ敗北と支援の行き詰まりという難局・米覇権低下を生じさせた。

ロシア軍は、ウクライナが米欧からもらって前線に送り込んだ兵器類を難なく破壊し続け、米欧の兵器庫は空っぽに近い。たとえばドイツには、数時間の戦闘で枯渇する量の武器弾薬しか残っていない。ウクライナ軍は30万人の戦死者を出し、うまく兵器を操れる兵士が急減した。ゼレンスキーは今年、激しい人権侵害の強制的な徴兵をやる気だが、この話も米国側では報じられない。

https://tass.com/world/1726607
Germany’s Bundeswehr not battleworthy beyond several hours’ fight - retired German officer

https://tanakanews.com/230330ukrain.php
ウクライナで兵器を浪費し尽くし和平を余儀なくされる米国側

米欧の政府や政界の覇権維持派(隠れ多極派の対極)は、ウクライナがもう勝てないこと、この戦争の構図が長引くと米覇権の衰退と非米化・多極化が加速することに気づいた。それで覇権維持派は、ゼレンスキーを加圧して停戦和平させようとしている。ゼレンスキーが停戦したがらない場合、ウクライナの政権再転覆も視野に入る。
だが、米中枢は隠れ多極派に握られている。ゼレンスキーは、停戦したくなった覇権維持派でなく、対立を恒久化したい多極派の傀儡だ。停戦和平するかも、ゼレンスキーが転覆されるかも、などと喧伝されつつ、それらは具現化しない。
覇権維持派は米国でも(民主党)、欧州でも(左右エリート)、すでに茶番しかやれない腑抜けだ。2024年末になっても、ウクライナ戦争は膠着状態で続いている可能性が高い。

https://tanakanews.com/230916order.htm
中露と米国の対立を長期化する

ウクライナ戦争の構図が続くほど、欧州は、ロシアから石油ガス資源類を輸入しない状態が長くなり、経済の悪化とインフレがひどくなって衰退が進む。
最近はガザ戦争の余波で、イエメンのフーシ派(イラン傘下)が沖合の紅海を航行する米欧系の貨物船を攻撃するようになり、世界的な物流網の要衝である紅海が通行困難になっている。この状況も長引きそうで、この流通の詰まりが世界的なインフレをさらに悪化させる。

https://www.rt.com/business/589448-red-sea-crisis-yemen-inflation/
Red Sea crisis runs risks of new inflation

中露など非米側は、紅海に替わる流通路として、一帯一路やシベリア鉄道。ロシア印度回廊などユーラシア内陸の経路を持つが、中露を敵視する米国側は内陸の貿易路を使えない。フーシ派が起こす紅海危機は、ウクライナ戦争や地球温暖化問題と同様、欧米経済を大打撃する半面、非米側はむしろ結束強化や独自発展につながる。
欧州は経済が悪化し続け、ウクライナの敗北や、移民問題の悪化と相まって人々の不満がつのり、左右エリート(米傀儡)のエスタブ諸政党の人気が急落し、選挙のたびに反移民・非米的・親露的なポピュリスト右派(極右)政党が勢力を強め、政権交代に近づいていく。

https://www.rt.com/news/589610-borrell-election-right-wing-wave/
The EU's top diplomat fears right-wing wave

ウクライナ戦争の構図が続くほど、欧州は反露・米傀儡なエリートの支配が弱まり、親露・非米的な右派の政権が増える。ロシアとしては、ウクライナの戦線を適当に膠着させつつ、ゼレンスキーを生かしておくだけで、欧州が反露から親露に転換していく。だから、ウクライナは停戦和平になりにくい。

北欧のフィンランドは、ロシアとの国境線に8つの出入国地点があるが、昨秋以降、ロシアからフィンランドに入国して亡命申請しようとする中東アフリカ諸国(ケニヤ、モロッコ、パキスタン、ソマリア、シリア、イエメンなど)からの(経済)難民(違法移民)が増え、昨年11月から国境を閉め始め、12月からすべて閉鎖した。

https://www.usnews.com/news/world/articles/2023-12-14/finland-will-again-shut-russian-border-over-asylum-seekers-minister-says
Finland Will Again Shut Russian Border Over Asylum Seekers

フィンランド政府によると、難民流入はロシア当局による謀略で、ロシアがフィンランドや欧州の難民危機を悪化させる目的で、自国にいる中東アフリカ系の経済(偽装)難民たちをフィンランド国境に誘導している。露政府は謀略を否定しているが、欧州の難民危機が悪化するとロシアに好都合なのは事実だ。
ロシアとフィンランドとの国境閉鎖は、ウクライナ戦争とは別の、米側と非米側の断絶長期化を象徴する出来事であり、プーチンが狙う非米側の結束や多極化に沿った展開になっている。ロシアの諜報機関が、中央アジアやコーカサス経由で南からロシアに入ってきた経済難民たちをフィンランド国境に誘導した可能性が高い。

https://tass.com/world/1721339
Finland to close all checkpoints along border with Russia Friday - interior minister

最近の欧州では、米諜報界やジョージ・ソロスに支援されたセルビアの反政府市民運動が、セルビアの親露なブチッチ政権を転覆しようとする騒動も起きている。セルビア人は、民族的にロシア人と近いスラブ系で、多くが親露派だ。セルビアの反政府運動は昔から米傀儡で、ウクライナやグルジアの露敵視・米傀儡の反政府運動とも連動してきた。

https://threadreaderapp.com/thread/1739018775955943631.html
Soros-style “color revolution” attempt in Belgrade falls flat…

セルビアの動きは一見、欧州でのロシアの影響力を削ごうとする米国側の「合理的」な策略に見える。だが、米欧が素晴らしいものに見えた冷戦直後と異なり、今やセルビア人のほとんどは米国やEUが大嫌いだ。米欧は、東欧やロシア周辺で政権転覆の試みを続け、セルビアに人権侵害の濡れ衣を着せて攻撃してきた。

セルビアの反政府運動は、1990年代にわりと支持されていたが、今ではほとんど支持されていない。活動家の多くは、米国側から資金援助されている「サクラ」だ。そんな状況なのに、米国側はセルビアで反政府運動を起こしている。これはセルビア人の反米親露感情を強めるだけの不合理策だ。ネオコンなど、米中枢の隠れ多極派が扇動している観が強い。ウクライナのマイダン革命もネオコン(ヌーランドら)の仕業だった。

https://tanakanews.com/230310georgia.php
グルジア(ジョージア)反政府暴動の背景

今年は米大統領選挙がある。米諜報界・エスタブにけんかを売った覇権放棄屋のトランプが当選し、来年大統領に返り咲いて、エスタブや民主党の覇権維持派との果たし合いを再開する可能性がある(隠れ多極派はトランプを稚拙に過激に敵視してこっそり強化)。
トランプは「大統領に再就任したら24時間以内にウクライナ戦争を終わらせる」と言っている。就任日にプーチンとゼレンスキーに電話し、ウクライナ停戦と和解を目標にした三者会談の枠組みを作る計画らしい。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/what-donald-trumps-ukraine-strategy-could-look
What Donald Trump's Ukraine Strategy Could Look Like

トランプ仲裁の枠組みが成立したら、ウクライナの停戦が実現するかもしれない。だが、そこから米側の対露制裁の解除や、米側と非米側の対立解消までは、さらに距離がある。
トランプがプーチンと和解するとともに、欧州を見捨ててNATOから脱退するなら、それは「米国の非米化」であり、世界は一気に多極型に転換し、米国が極の一つになる「上がり」になりうる。だが、たとえトランプがそれらを決定しても、米国内の覇権維持派はそれを無視した上でトランプに反撃するだろう。激しい政争が続く。

トランプは1期目、プーチンとの劇的な和解を狙ったが、米諜報界・エスタブ側にロシアゲートの濡れ衣を着せられて妨害された。2期目があるなら、再びエスタブ側との熾烈な戦いになる。

https://tanakanews.com/230715trump.htm
トランプ復権と多極化

https://tanakanews.com/230531uspol.htm
トランプの返り咲き

エスタブ側が民主党と協力し、2020、24年に続いて再び猛烈な選挙不正をやってトランプの当選を阻止し、バイデンを(前回同様)不正に再選させる可能性も大きい。トランプは猛烈な人気、バイデンは猛烈な不人気なので、2人の得票差が選挙不正できる範囲を超えて大きくなるとも予測できる。だが民主党側は、そのような予測をさらに超えた猛烈な選挙不正をやってトランプの当選を阻止するかもしれない。

これまでは、エスタブ側がトランプ阻止のために選挙不正を続発しても隠蔽され、米国を破壊するほどの混乱につながらなかった。だが今秋の選挙でさらに猛烈な選挙不正が行われ、不正が露呈して、米国を政治的社会的に破壊・分裂させる流れになるなら、米諜報界の隠れ多極派も不正に協力して米国の自滅を加速したがる。
トランプ当選を前提とした分析を広げるのは、トランプが無事に当選してからにした方が良さそうだ。


この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/240102ukrain.htm
http://www.asyura2.com/23/kokusai33/msg/841.html#c1

[戦争b25] 終末的動員…:ウクライナがついに「手足を失った人たちや片目の失明者などの重大な障害を持つ人たちを徴兵する」ために法案を改正
https://earthreview.net/ukraines-terminal-mobilization/
投稿日:2023年12月26日
2023年12月25日のウクライナの国内報道より

■もはや末期的…

普通の観念では少し信じがたいような、ウクライナ軍の動員に関する法案の改正に関する報道がなされていました。
それによると、新しく改正される「動員に関する大規模な法案」は、
「身体に障害を持つ人たちへの動員(徴兵)が含まれる」
というものでした。
報じていたのは、ロシアによるプロパガンダ報道等ではなく、「ウクライナ国内の報道」です。
報道によると、以下のような人たちも軍に動員される可能性が出てきたということです。

----------------------------------------------------------------
新しい法案で、軍への動員を「免除されなくなった」グループの一例
・片方の肺または、片方の眼球が欠如している人
・両側の難聴をもつ人
・手が欠損してているか麻痺している
・四肢(手足)が欠損、あるいは麻痺している人
・頭蓋骨の重大な欠陥、脳の拍動をもつ人
・手の4本の指のすべての指骨が欠損している人
・手に指がない人、大腿部または下肢の断端に指がない人
・先天性または後天性の股関節脱臼、または重大な機能障害のある片方の股関節をもつ人
・心臓に人工弁を持つ人
・片方の腎臓が欠如しており、もう一方の腎臓に病理がある人
enovosty.com
----------------------------------------------------------------

もはや終末の様相を呈していますが、ウクライナは、2023年 9月には、
「精神疾患、神経疾患、HIV患者等に動員命令」
を出しています。以下の記事にあります。

(記事)絶望の局面:ついにウクライナ軍は、従来兵役を免除されていた精神疾患、神経疾患、HIV患者等にも動員命令。そして「学徒動員」もほぼ確実に
https://earthreview.net/mobilization-for-students/
地球の記録 2023年9月4日

そして、今回ついに、「身体に重大な障害を持っている人たちも動員の対象にした」ということになります。
また、最近、NATOの元将校が「ウクライナは1日あたり800人の兵士を失っているという」と発言したことが伝えられています。

(記事)ウクライナは1日あたり800人の兵士を失っているという元NATO将校の主張
https://nofia.net/?p=16684
BDW 2023年12月22日

これは死者と、戦闘能力を失うほどの負傷をした兵士たちを含む死傷者の数です。もちろん実際の正確な数はわかりません(ロシア側の分析では、ウクライナは 1日 600人失っているとしています)。
いずれにしても、ウクライナの戦線状況は、過去のどんな戦争にもなかったような悲惨で終末的な展開を辿っています。
そろそろこの戦争を止めないと、世界の戦争史上でも類を見ない非人道的な災害に発展しかねません。
いずれにしても、戦争は最終段階に入ったようです。
ウクライナの報道をご紹介します。

新しい動員の方法。最初に軍隊に入隊するのは誰になるのか:役人、警察官、そして、障害者
Мобілізація по-новому. Хто першим потрапить до армії: чиновники, поліцейські чи люди з інвалідністю
https://enovosty.com/uk/news-ukr/news_society-ukr/full/2512-mobilizaciya-po-novomu-xto-pershim-potrapit-do-armii-chinovniki-policejski-chi-lyudi-z-invalidnistyu
enovosty.com 2023/12/25

動員に関する大規模な新たな法案は、第 1群と第 2群の障害がある場合にのみ、健康状態に基づいて兵役を免除するものとなっている。

この法案では、手足を切断した人たちも軍隊に加わることができる。

焦点は、なぜ軍の採用に対してこのような急進的なアプローチが必要になったのか、そしてそれがどのような影響を与えるのかを理解することにある。

準備中の動員に関する法律草案は、ウクライナ人に対する新たな任務を規定している。12月21日、ウクライナの国会議員マリアナ・ベズグラ氏はフェイスブック上で、今後提出される文書からの論文を公開し、その内容から、個人データを明らかにし、健康診断を受けるために全員が軍事委員会に出頭する義務があることを明らかにした。動員に対する「限定的適合性」のカテゴリーはなくなる。

第1障害グループと第2障害グループには、勤務の延期と動員免除の権利が与えられるが、第3障害グループは、草案文書に動員免除について記載されていないため、自動的に軍勤務に適切であるとみなされる。

現在のウクライナ法第23条「動員訓練と動員について」では、障害者は動員中に徴兵の対象にはならないと規定している 。

現在の法案では、障害者は、障害の程度によりグループ分けは特定されていない。

しかし、ウクライナ大統領が新しい法律に署名すれば、すべてが変わるだろう。

軍事専門家たちは、ウクライナの内務省組織だけで 最大 30万人がいると指摘した。この省からいくつかの軍事旅団が自由に編成される。

これほど膨大な数の治安部隊や職員がいる中で、なぜ障害のある人たちを軍に採用するのかという疑問が生じるが、まだ誰もこの問いには答えていない。

四肢切断、片目、難聴などの第3障害グループはどのようなものが含まれるか

新しい法案では、障害は、3つのグループにわけられる。そのうち、兵役の免除がなくなった第3障害グループは、以下のような状態の人たちとなる。

・片方の肺または、片方の眼球が欠如している人
・職業病、職業上の障害、または軍傷に起因する実質的な失明。家庭内での怪我や病気の後の片目を失明した人
・両側の難聴をもつ人
・手が欠損してているか麻痺している
・四肢(手足)が欠損、あるいは麻痺している人
・頭蓋骨の重大な欠陥、脳の拍動をもつ人
・手の4本の指のすべての指骨が欠損している人
・手に指がない人、大腿部または下肢の断端に指がない人
・先天性または後天性の股関節脱臼、または重大な機能障害のある片方の股関節をもつ人
・甲状腺の完全切除手術をした人
・心臓のに人工弁を持つ人
・片方の腎臓が欠如しており、もう一方の腎臓に病理がある人
・乳腺疾患により女性の両側の乳房を切除した人

この傾向から判断すると、ウクライナでは明らかな重度な障害を持つ人だけが軍への勤務に不適格と認められることになる。

軍事環境における第3グループの障害は「軽い」と考えられているが、彼らが前線に送られる可能性は低い。

戦線の後方でのみの任務となるだろうと、軍事法の分野の弁護士、エフヘン・ズルナジ氏は説明する。

「第3障害グループの人たちは、会計、事務員、または倉庫労働者などになると見られます。問題は、軍法と障害の概念をどのように整理するかです。このような人々の仕事量は、個別かつ具体的に規定されるべきです」と弁護士は注意を喚起する。

上記に加えて、 第3障害グループの人たちの場合は、弾薬を運んだり、塹壕を掘ったり、兵士のために食事を準備したりする任務につきことができる。

http://www.asyura2.com/23/warb25/msg/258.html

[国際33] まだまだ続くウクライナ戦争/田中宇 仁王像
2. てんさい(い)[1493] gsSC8YKzgqKBaYKigWo 2024年1月03日 11:34:26 : 0kUGInjLpY : ZUJoU1c2MzFGUzY=[513]
>ゼレンスキーは今年、激しい人権侵害の強制的な徴兵をやる気だが、この話も米国側では報じられない。

関連情報

終末的動員…:ウクライナがついに「手足を失った人たちや片目の失明者などの重大な障害を持つ人たちを徴兵する」ために法案を改正
http://www.asyura2.com/23/warb25/msg/258.html
http://www.asyura2.com/23/kokusai33/msg/841.html#c2

[戦争b25] 終末的動員…:ウクライナがついに「手足を失った人たちや片目の失明者などの重大な障害を持つ人たちを徴兵する」ために法案を… てんさい(い)
1. てんさい(い)[1494] gsSC8YKzgqKBaYKigWo 2024年1月03日 11:43:01 : 0kUGInjLpY : ZUJoU1c2MzFGUzY=[514]
国は『国民を守る』と国民としては喜ばしいのですが、ウクライナでは、国民をすりつぶして戦争を継続することを、(米国の介入で不正に選出された)大統領が決定して、続けています。

日本がこれととても似ているような気がしていますが、どうなんでしょうか?
アメリカの介入でコントロールされている日本のエリート層は、国民をすりつぶして国家運営をすることを選んでいるのではないのかなぁ、と。
http://www.asyura2.com/23/warb25/msg/258.html#c1

[政治・選挙・NHK292] <日航機と海保機 衝突炎上>事故原因と対応を改めて考える 本紙カメラマン「奇跡の脱出」一部始終とその教訓(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
21. てんさい(い)[1495] gsSC8YKzgqKBaYKigWo 2024年1月07日 09:53:44 : 0kUGInjLpY : ZUJoU1c2MzFGUzY=[515]
<▽36行くらい>
>>18

深田萌絵 が出てきたので、メモ

深田萌絵の「日本のIT産業が中国に盗まれている」
読んでみました。
いやーひどい状況になっている、という体験談が2/3。
その後は、「森友問題は空騒ぎ」(野党が空騒ぎで騒いでいるだけ。)
#MeeTooには問題あり。
蓮舫はスパイ
三浦瑠璃は良いこと言う。杉田水脈は良いこと言う。
などで、
要するに安倍首相は素晴らしい人で、それに文句を言う問題はすべてスパイがやっていることだから、やっぱり安倍首相はすばらしい。

頭良さそうな人でも、是々非々にはならず、安倍首相すばらしー、になっちゃったのか、
本を出すためには、まぁそういう事言う必要あるよね、なのか、
私は今後この道で生きる!と決めたのか、
まぁ、俺から見ると残念なことになっていた。

深田萌絵で再度検索してみたらこんなのありました。まぁ、タイトル見ただけで良さそうなもんですが。

■深田萌絵(浅田麻衣子)レバトロン関連訴訟の内容まとめ
https://www.jijitsu.net/entry/fukadamoe-saiban-matome
【最終通達】藤井一良から深田萌絵(本名:浅田麻衣子)への最後の警告
http://fujikazublog.blog.fc2.com/blog-entry-12.html
【驚愕の事実!!】深田萌絵(本名:浅田麻衣子)が必要以上に藤井一良を誹謗中傷し、悪質なデマを流す本当の理由とは?
http://fujikazublog.blog.fc2.com/blog-entry-11.html
【独占!!音声データ公開!!】ピンクスパイガー深田萌絵の「藤井一良事件」の本当の真実に迫る証拠を公開!!
https://www.xn--vcsu8by6vnib.com/1027/
【見逃厳禁】1000万円は借金なのか?!保証金なのか?!藤井一良氏の会社と深田萌絵(浅田麻衣子)氏の会社との業務提携に関する契約書を完全公開!!
https://www.xn--vcsu8by6vnib.com/988/
【踏み倒し計画倒産】藤井一良氏スパイ・背乗りデマの「ピンクスパイガー」深田萌絵(浅田麻衣子)氏の悪質なロンダリング術
https://www.xn--vcsu8by6vnib.com/907/

http://www.asyura2.com/23/senkyo292/msg/827.html#c21

[国際33] イスラエルの虐殺戦略(田中宇)イスラエル自身がこれから非米側に転換するに際しての「持参金」
田中宇の国際ニュース解説 無料版 2024年1月11日 https://tanakanews.com/

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★イスラエルの虐殺戦略
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イスラエルが、ガザ戦争の第3段階に入ろうとしている。第1段階は、ガザ北部(市街地)を激しく空爆して市街を壊滅させ、市民を無差別にどんどん虐殺して恐怖のどん底に陥れ、市民の8割以上(190万人)を北部から南部に避難させた。
イスラエルは、ハマスのトンネル網を水没させる口実でガザ市街地の地中に大量の海水を注入して地盤を軟弱にし、市街地の再建を困難にした。その一方でハマスは、戦略的に重要なトンネル網を潰されたのに大して弱体化せず勢力を保っている。

https://new.thecradle.co/articles/israels-gaza-withdrawal-a-prelude-to-full-out-war
Israel’s Gaza withdrawal, a prelude to full-out war

イスラエルは40年前からハマスを敵として育ててきた。イスラエルの目的は表向き、ハマスを完全に潰すことだが、実は違う。ガザを住めない場所にして、市民(パレスチナ人)をエジプトなど外部に追い出す民族浄化をやり、ガザを空き地にしてパレスチナ問題を終わりにするのがイスラエルの真の目的だ。
パレスチナ問題はもともと、建国後のイスラエルが大国化して英欧の言うことを聞かなくなることを懸念した英国による建国妨害・矮小化策だった。英国から覇権を譲渡された後に入り込まれて英傀儡にさせられた米国も、ずっとパレスチナ問題を重視しているので、イスラエルはガザ戦争の真の目的を公言・正式化していない。
ヘルツォグ大統領は、ガザ市民の追い出しがイスラエルの目的ではないと強く否定する演技をして見せている。だがその横で極右の閣僚たちは、追い出しが目的だと公言している。ガザ戦争は、シオニズムを道半ばで止められているイスラエルから英米への80年後の仕返しである。

https://www.politico.com/news/2024/01/07/israel-palestinians-expel-gaza-00134187
Israel’s president says expelling Palestinians not the plan

ガザ市街を消滅させる第1段階は完了した。第2段階は、北部から南部に逃げて避難民生活を始めたガザ市民をさらに空爆して虐殺した。ガザにいる限りイスラエルに殺されるから、何とかして外部(エジプト)に逃げるしかないと市民に思わせる策だ。
イスラエルは当初、ガザ南部を攻撃しないと言っていたので、ガザ市民の大半が、北部の市街地から南部のエジプト国境近くに避難した。だがその後、イスラエルは戦争の第2段階として南部を攻撃し始めた。
ガザ市民は、ガザ内部に逃げ場がなくなってしまった。南部には、ガザからエジプトに抜けるラファ国境検問所があるが、エジプト政府はガザ市民の入境を許可していない。エジプトは、ガザに支援物資を入れること(ガザに市民を閉じ込めたまま生かす策)に積極的だが、ガザ市民のエジプトへの入国は、第三国への移動が決まっている場合などを除き、以前から「パレスチナの大義が失われる」という理由で拒否してきた。

https://tanakanews.com/231125gaza.htm
ずっと続くガザ戦争

イスラエルは以前からガザ市民を抑圧し続けてきたから、エジプトが入国を許可したら、ガザ市民の多くがエジプトに移動(移住)したい(表向きは全員が「パレスチナ国家の実現が最重要だ」と言いつつも)。ガザとエジプトは言葉(アラビア語エジプト方言)がほぼ同じなので、ガザ市民はエジプトで不自由なく住める。
だが、エジプト移住を許したら、ガザ市民(パレスチナ人)はエジプト人になってしまい、パレスチナ建国の意欲が低下して大義がしぼむ。まともな生活をするために移住したがるパレスチナ人たちをガザに閉じ込めてイスラエルと戦わせ、(永遠に実現しない)パレスチナの建国まで頑張りを強制するのが、エジプトやヨルダンからサウジ、イランまでのイスラム諸国が掲げる「パレスチナの大義」だった。

https://tanakanews.com/231108gaza.htm
ガザ戦争の長期化

パレスチナ人の多くがエジプトやヨルダンに移住したら、彼らと一緒にハマスもエジプトとヨルダンで強くなり、エジプト軍政とヨルダンン王政という米傀儡の政権が倒れて反米・親イランなハマスの政権になる。それは困るので、エジプトとヨルダン(や米欧)のエスタブたちは、パレスチナの大義を叫び続けている(ハマス自身も大義を叫んでいるが)。
これに対してイスラエルの右派は昔から「パレスチナ人なんて、もともといないんだよ。いるのはアラブ人だけ(言葉も宗教も同じだから民族的に同じ)。パレスチナ国家なんて要らない。ヨルダンとエジプトに移ればいい」と言い続け、西岸のパレスチナ建国用地を侵食して入植地を広げてきた。
パレスチナの大義はもともと英国製のイスラエル抑止目的のイデオロギー(共同幻想)だから、ユダヤ右派の言い分も一理ある。ヨルダン人のほとんどは西岸からイスラエルに追い出された元パレスチナ人だ。

https://tanakanews.com/c0722jordan.htm
中東問題「最終解決」の深奥

イスラエルは今回の虐殺攻撃で、シオニズム(建国運動)を完遂するためにガザ市民をエジプトに強制移住させるか、移住しないなら皆殺しにして(ガザの次は西岸でも虐殺・移住強制して)パレスチナ問題を抹消するつもりだと、ガザ市民に強く思わせた。これが第2段階だ。
生きるためには、何とかしてエジプトに移らねばならない。だが、エジプトへの入国は拒否されている。この絶望的な状態で、100万人以上のガザ市民が、ラファ国境の近くで避難生活を続けている。悪いのはイスラエルである。しかしイスラエルは、善悪を無視してガザ市民を虐殺している。パレスチナの大義が、そんなに大事なものなのか?。永久に実現できない大義のために百万人以上がイスラエルに殺されかけているのに、ラファ国境を開けないのが「良いこと」なのか??。
そのような問いは、今のところマスコミ権威筋の言論の中に出てこない。ガザ市民の死者数も、おそらく過小に発表されている。米欧など世界的に、親イスラエルの勢力もけっこういて、彼らは「イスラエルが悪い」とすら言いたがらない。いまだに「悪いのはハマスだ」と言っている。ガザをめぐる認識は、少しずつしか変わっていかない。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/nikki-haley-gazans-should-be-resettled-pro-hamas-countries-qatar-iran-turkey
Nikki Haley Tries To Tie Putin To Israel Attackers, Says Gazans Should Be Resettled In 'Pro-Hamas Countries'

それでも、米民主党などのリベラル派がバイデン政権に要求した結果、米政府はイスラエルに対し、ガザをあまり攻撃するなと加圧する動きを強めている。それに呼応する形で、イスラエルは最近、ガザ戦争の第3段階として、市民への攻撃・虐殺を弱めながらずっと続け、ガザ南部にいる避難民たちが、エジプトに移動しないと殺されるという強い恐怖を持ち続けるように仕向ける心理戦を開始した。
いったん強い恐怖心を植え付けられ、最悪の住環境で避難生活を強要されている百万人以上のガザ市民は、イスラエルからの攻撃が低強度になっても、エジプトに移動するしか生きる道がないと思い続ける。今は無視している米欧のマスコミ権威筋が、ラファ国境を開けてガザ市民をエジプトに入れるしかないかもと言い出すようになる。これがイスラエルの目標だ。

https://tanakanews.com/080125Gaza.htm
「ガザの壁」の崩壊

イスラエルは小さな国だから、長期の全面戦争は危険だ。北方では、レバノンのヒズボラとの戦闘も激化していき、戦争は2正面になる。だが、低強度戦争ならイスラエル軍の疲弊が減り、ずっと続けられる。戦争が長引くほど、ガザ市民の悲惨さがひどくなり、ラファを開けるべきだという話になる。
イスラエルや米国では「戦後のガザをどう統治するか」が語られ、その話で米国とイスラエルが対立しているとも報じられているが、実のところガザ戦争に「戦後」はない。イスラエル上層部は、ガザの民族浄化を完遂せずに終わるつもりはない。停戦しても一時休止にすぎない。

https://news.antiwar.com/2024/01/07/officials-warn-biden-is-leading-the-us-into-a-major-middle-east-war/
Officials Warn Biden Is Leading the US Into a Major Middle East War

第1段階から、イスラエルは大っぴらに人道犯罪の市民虐殺を続けている。空爆だけでなく地上軍をガザ市街に侵攻させ、避難せず市街に残っていた市民を無差別に殺し続けてきた。イスラエルの政府と軍は、意図的に、虐殺の人道犯罪を展開している。それは事実だ。イスラエルを人道犯罪で国連の国際司法裁判所(ICJ)に提訴した南アフリカの訴状に、それが詳述してある。

https://www.icj-cij.org/sites/default/files/case-related/192/192-20231228-app-01-00-en.pdf
APPLICATION INSTITUTING PROCEEDINGS

虐殺、強制移住、民族浄化といった人道犯罪は永久の重罪だ。第二次大戦で負けて人道犯罪国になった(仕立てられた)日本やドイツは、永久に「反省・土下座・劣等国化」させられている。
(南京大虐殺は、戦時の米英側の誇張報道をそのまま事実・正史にして日本を人道有罪にしたものだ。ホロコーストは、強制収容策ではあるが、ガス室で虐殺はでっち上げの可能性が大)

https://tanakanews.com/150207israel.htm
イスラエルとの闘いの熾烈化

イスラエルは、ドイツを人道犯罪国に仕立てることに加担して自国を有利にしてきた勝ち組だ。人道犯罪をめぐる政治闘争で敗者になることが、いかに大きな不利であるか、イスラエルは熟知している。
それなのにイスラエルは今回、意図的に大っぴらに人道犯罪の虐殺と強制移住と民族浄化をやり続けている。一見とても不可解だ。イスラエルは今後、ICJの法定で敗訴して人道犯罪国に成り下がる可能性が大きい。イスラエル上層部は、それでかまわないと考えているふしがある。なぜか??

https://original.antiwar.com/john-mearsheimer/2024/01/07/the-case-for-genocide-in-gaza/
The Case for Genocide in Gaza

理由を考えた時に出てくる一つの構図は、米英覇権体制が組まれた第二次大戦以来、人道犯罪や「虐殺」という政治用語は、米英覇権が敵視した国にだけ適用される傾向だったことだ。日独戦犯を皮切りに、人道犯罪は米英覇権運営の道具であり続けた。
共産主義の当局が人々を殺すとすぐ虐殺のレッテルが貼られるが、米軍がベトナムやイラクやアフガニスタンで無差別に市民を虐殺しても罪に問われない。
ウクライナの激戦地でウクライナ当局が遺体を加工して米国側マスコミに撮らせ「ロシア軍が虐殺した」とウソを喧伝すると、米英G7はすぐロシアに人道犯罪のレッテルを貼った。ウクライナの軍や民兵団が国内のロシア系住民を虐殺してきたことは不問に付された。
コソボで米傀儡のアルバニア系軍勢によるセルビア系住民虐殺は無視されるが、米欧に敵視されたセルビア系が報復してアルバニア系を殺すと虐殺の人道犯罪と非難される。などなど。

https://tanakanews.com/070118UN.htm
人権外交の終わり

イスラエルは、米国の政府や議会を傀儡化しており、最強の国際政治力を持つ。米英覇権を乗っ取っているイスラエルが人道犯罪をおかしても、米国のエスタブやマスコミ権威筋は無視する傾向だ。米政府は「イスラエルは虐殺してない」と言い続けている。だからイスラエルは思いきり人道犯罪の虐殺をやってガザ市民を恐怖のどん底に陥れ、百万人がエジプトに移住させろと叫び続ける事態を作ったとか??。
だが、この仮説は現実と合わない。イスラエルをめぐる話には2つの位相がある。一つはイスラエルが米国を傀儡にしていること。2つめはパレスチナ問題(2国式の目標)がイスラエル抑止策として存在していることだ。
イスラエルが抑止を乗り越えようとして、パレスチナ問題を潰すためにパレスチナ人を殺害・脅迫して強制移住させようとすると、米欧のエスタブや右派は無視したがるが、リベラル左派はパレスチナ問題に固執してイスラエルへの批判を強める。
「ジャーナリズム」の多くも、イスラエルによるパレスチナ迫害を監視するための機能で、潜在的・顕在的に反イスラエル・(うっかり)英傀儡である。

https://tanakanews.com/210122biden.php
民主や人権の模範でなくなる米国の失墜

2つの逆方向の位相があるので、イスラエルはこれまで両方向のバランスをとり、パレスチナ人を強制移住させるために脅迫、虐待、個別の殺人はやっても、大量虐殺はなるべくやらないようにしてきた。露骨な虐殺、民族浄化策をやりたがる入植者・極右を、対米外交重視の上層部が抑える構図があった。
ガザ市民などパレスチナ人も、イスラエルは自分たちを虐待するが大量虐殺はしないと考えてきた。だが今回は違う。イスラエルは思い切りガザ市民を虐殺し、市街地を徹底破壊して帰宅不能にする民族浄化の人道犯罪を好き放題にやっている。イスラエルは今後、ガザの民族浄化・追い出しが進んだら、次は西岸の民族浄化策を強める。

https://tanakanews.com/d1020gaza1.htm
ガザ訪問記

イスラエル上層部のヘルツォグ大統領が「ガザ攻撃の目的は民族浄化でない」と力説しても茶番にしか見えない。「これは民族浄化だよ、人道犯罪なんてクソ喰らえ」と公言する極右の閣僚の方が強い。なぜこんな転換が起きたのか??
ガザでは、ジャーナリストも容赦なく殺されている。ジャーナリズムは英傀儡のイスラエル抑止機能であり、イスラエルは以前のような米覇権(米英)への配慮をやめるとともに、ジャーナリストへの配慮も捨て、ガザで好き放題に殺し始めた。

https://www.rt.com/news/589412-israel-lebanon-second-front/
Is Israel ready to start a second war?

パレスチナ抹消の民族浄化を続けるイスラエルは、ICJで有罪になる。ジャーナリズムもイスラエル敵視を強める。米民主党内では、イスラエルを放任するバイデン政権への批判がすでに強まっている。米欧やイスラム諸国で、イスラエルを経済制裁すべきだという声が強まる。米欧日の左翼リベラルはすでに、イスラエルと付き合う企業へのボイコット運動を始めている。
だがイスラエルは、米欧日の企業と取引できなくなったら、中露印度など非米側の企業と取引すれば良いだけだ。イスラエルとの経済的な縁を切る制裁をやることで困窮するのは米欧日の企業や経済の方だ。
こういう機会がなければ、これから米欧が覇権崩壊・経済衰退しても、もともと親米欧なイスラエルは、付き合う相手を米欧側から非米側の企業に変えられなかった。だが米欧から経済制裁されるほど、イスラエルはタイミング良く付き合う相手を替え、経済を非米化していける。むしろ好都合だ。

https://tanakanews.com/230518mideast.htm
中露が役割分担で中東安定化

安保面でも、米欧の外交力が落ち、中露など非米側の影響力や仲裁力が増していく。イスラエルはこれから、ガザと西岸のパレスチナ人の大半を強制移住(ナクバ)させ、パレスチナ人をアラブ人に戻す民族浄化にメドをつけてシオニズムを完遂した後、イスラム諸国と嫌悪し合う対立(冷たい和平)の時期を10-20年ぐらい経た後、人々の記憶が薄れるのを待ってイスラム世界と和解していくつもりでないか。
その時に(その前から)仲裁役をしてくれるのはロシアや中国(続投していたらプーチンや習近平)だ。印度とパキスタンが和解していたら、印パも模範や仲裁役になる。米欧が仲裁役でないのは確かだ。米欧はたぶん仲裁役をやれないぐらい衰退と信用低下(米国は孤立主義化)している。
だから、イスラエルはもう米欧を重視する必要がない。米英覇権の衰退とともに、覇権運営の道具だった人道犯罪の構図も重要でなくなる。

https://tanakanews.com/220525hybrid.htm
複合大戦で露中非米側が米国側に勝つ

世界の主導役になる中露BRICSなど非米側は、敵に人道犯罪のレッテルを貼って潰す策をとらない。非米側はこれまで、米英による人道犯罪レッテル貼り策の被害者だった。
BRICSの中で、イスラエル制裁を強硬に言っているのは南アフリカとイランぐらいだ。南アは、米英の人道犯罪策の構図を利用して黒人が白人政権を転覆し、現政体になった。イランは昔からイスラエルの仇敵だが、中東から米覇権がなくなったらイランはイスラエルと和解する用意がある。ペルシャ人はユダヤ人と同様に賢く、アラブ人を馬鹿にする傾向まで同じだ。

https://tanakanews.com/g0414iran.htm
イラン訪問記

https://tanakanews.com/140616iraq.htm
隠然と現れた新ペルシャ帝国

イスラエルを合法的に軍事攻撃できるのは国連安保理だけだが、常任理事国は英米も中露もイスラエルを敵視したがらない。イスラエルは、ICJで人道犯罪の有罪判決を受けても、実質的に困ることがない。
ガザ戦争の強烈な人道犯罪は、イスラエルでなく、米英覇権の一部だった人道犯罪の断罪システムを崩壊させていく。イスラエルが人道犯罪をおかしたのに、米国はイスラエル傀儡だからそれを指摘できない。これは米国の覇権低下に拍車をかける。

https://tanakanews.com/g0202hamas.htm
ハマスを勝たせたアメリカの「故意の失策」

このような新事態から逆に考察すると、イスラエルはすでに米覇権を見捨てていることになる。イスラエルはガザで大っぴらに虐殺と民族浄化をやることで、自国への拘束・くびきだったパレスチナ問題を抹消するだけでなく、米覇権の衰退に拍車をかけ、世界の多極化を推進している。
ガザ戦争を機に、イラクやシリアなど中東各地で、イラン系の民兵団などが駐留米軍を撤退に追い込む攻撃を強めている。イスラエルがガザで民族浄化を完遂するころには、中東の米軍はかなり縮小している。

https://www.rt.com/news/590208-iraq-expel-us-troops/
Iraq wants to kick out US troops

https://tanakanews.com/990921iran.htm
イスラム共和国の表と裏

ガザ開戦後、イエメンの親イラン民兵団フーシ派が、紅海を航行する米欧系の貨物船やタンカーを攻撃している。非米側の商船は攻撃されていない。米欧系の船だけが攻撃されて喜望峰回りなど迂回路をとらざるを得ず、欧米の貿易コストを引き上げ、欧米だけインフレや経済難が激化していく。
ガザ戦争は、多方面で米英覇権の崩壊を加速している。イスラエルが意図してこれを引き起こしたのなら、それはイスラエル自身がこれから非米側に転換するに際しての「持参金」なのかもしれない。もしくは「ライバル企業への転職が決まった幹部社員が、転職先への貢献策として、今までいた企業の収益構造を隠然と破壊してから転職する」みたいな話か。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/houthi-butterfly-flaps-its-wings
The Houthi Butterfly Flaps Its Wings

https://tanakanews.com/230108israel.htm
対米離反と対露接近を加速するイスラエル

人道犯罪に関しては、ロシア軍がブチャやクラマトルスクで、ウクライナ当局による虐殺でっち上げの被害にあっている。だがロシア政府はその後、根強く反論してでっち上げを潰すことをやっておらず、通りいっぺんの反論をしているだけだ。でっち上げられたのに放置している。
なぜだろう、と私はいぶかっていたが、今回「もしかすると」と思う構図を見つけた。もしかするとプーチンは、イスラエルがいずれガザ戦争を起こし、米英覇権の道具である人道犯罪の断罪システム自体を破壊することを事前に知っていたので、濡れ衣晴らしをせずに放置してきたのかもしれない。

https://tanakanews.com/220421kramatorsk.htm
濡れ衣をかけられ続けるロシア


この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/240111gaza.htm

http://www.asyura2.com/23/kokusai33/msg/886.html
[国際34] エスタブ自滅策全体主義の実験場NZ(田中宇)テロ戦争も、イラク侵攻も、リーマン危機も、新型コロナも、温暖化問題も、ウクライナ戦争も
田中宇の国際ニュース解説 無料版 2024年1月19日 https://tanakanews.com/

前からずっと紹介したいと思いつつ、他の事象にかまけてやれてなかったことに、ちょうど1年前にゼロヘッジが出した「ニュージーランドは、欧米諸国が庶民を細かく統制する(全体主義)体制作りの実験場なのか」と題する記事のことがある。以下は、要約というより、この記事をもとに私が考察したことだ。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/new-zeland-beta-test-western-governments-micromanaging-populace
Is New Zealand A Beta Test For Western Governments Micromanaging The Populace?

ニュージーランドは昨年10月の選挙で政権転換するまでリベラル派の労働党政権で、2017年から昨年始めまでジェシンダ・アーダンが首相をしていた。アーダンは就任後、他の欧米諸国のリベラル派の政権がやっている地球温暖化対策や新型コロナ対策、インターネット検閲強化など、リベラル主義のふりをした(実は頓珍漢・超愚策・トンデモな)全体主義の政策を、他の欧米諸国よりも強烈・過激に展開した。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/new-zealand-prime-minister-calls-global-censorship-system
New Zealand Prime Minister Calls For A Global Censorship System

新型コロナ対策では、効果がほとんどないし臨床試験もやってない副作用多発のmRNAワクチンの接種を国民に強要し、ワクチン接種しない人々を軍が管理する強制収容所に入れることをアーダン政権が検討した。このトンデモなワクチン接種を国民に強制した国は欧米に多いが、強制収容所を計画した国はNZ(と隣の豪州)ぐらいだ。
アーダンは2021年のダボス会議で、NZ社会を、接種者と非接種者の「2段階社会」にすることを宣言し、非接種者の人権を剥奪する策を用意した。より良い社会を自称するリベラルが、反対派を弾圧するため、北朝鮮や江戸幕府と変わらぬ被差別階級や村八分の制度を作ることにした。(もともとリベラルは、ウソが上手になった改訂版共産主義者=全体主義者、もしくは洗脳されてやってることの本質を理解してない軽信者だが)
NZ政府は、コロナワクチンが心筋症などの副作用を引き起こすことを知りながら、強権的な接種強要を公然と全力で展開した。しかしこれらの策は、国民からの反対が強くて限定的にしか行われず、都市閉鎖やマスク義務など他の超愚策も含め、2年後に撤回されていった。

アーダンは、無根拠な人為説に依拠した大間違いな地球温暖化対策も、2018年の海底油田開発禁止以来、他の欧米諸国より強烈に展開した。2022年末には、炭素排出が多い企業への投資・融資を規制する新法を作り、NZの基幹産業である牧畜業などに打撃を与える経済自滅策を展開した。
2000年からは、ネットコンテンツへの検閲を強化し、政府の策への反対論を「危険なコンテンツ」とレッテル貼りして禁止し始めた。これも国民の反対が多くて撤回したが、アーダン政権は、国民の間からどのくらいの反対が出るのか反応を見るために、意図的に人々の人権や自由言論を制限する全体主義的で露骨・強烈な統制策を連発してきた観がある。

一つの分野で超愚策な統制策を打ち出してみて、それが反対論に押し切られたり、超愚策性が露呈したら、次の分野で超愚策をやってみて、また様子を見るという感じだ。銃規制やタバコ禁止など、一部の人が猛烈に抵抗・反対する分野の禁止策を強烈にやって、反対論者をあぶり出して弾圧して全体主義っぽい体制を作ることも、アーダンのNZ政府は好んできた。

トンデモ全体主義は、全員を巻き込める分野の方が、反対論者を作り出して弾圧できるので好ましい。稚拙なインチキに依拠するほど、それに気づいた人が反発してくれるので好都合だ。
地球温暖化対策は、石油ガス田の開発禁止なら多くの人に遠い話だが、これが「石油ストーブの使用禁止。高くつく電気ストーブを使え」と言われると、全員を巻き込み、多くの人が反発し始める。
新型コロナは、無意味な外出禁止とか、ワクチン強要で人々の身体を壊そうとする策、マスク義務で子供の発育を破壊する策など、トンデモ策で全員の生活を抑圧し、気づいた人が激怒するとすかさず弾圧・人権剥奪される「インチキな理由に基づく実質的な全体主義策」の骨頂だった。
「鶏がかわいそうだから。または、鳥インフルエンザが怖いから。実のところ理由は何でも良いから」という養鶏禁止・鶏卵鶏肉高騰策なども、NZ(や他の欧米、最近は日本でも)が推進したインチキなトンデモ全体主義の一つだ。

この手のトンデモ全体主義は、コロナあたりから、米国側(欧米日)の全体で強化された。NZは、その過激版を試してみる、もしくは先駆的にやってみる実験場でないか、というのがゼロヘッジの記事の題名の意味だ。記事は、アーダンのNZが手を替え品を替えてトンデモ全体主義の実験をやり、何とかしてNZを全体主義の体制に転換させようとしているという解釈だ。
コロナや温暖化の対策が、科学的・合理的かどうかなどどうでも良く、がむしゃらに全体主義を目指さないと、欧米エスタブは自分たちの支配を維持できないので、その尖兵となる実験をアーダンのNZがやっている、というわけだ。

アーダンのNZがトンデモ全体主義の実験場をやってきた感じは強い。私は、この記事の題名を見た時に、そのとおりだと思った。
NZは(リベラル策を多用しマオリを騙って本性をごまかしつつ)アングロサクソンで、事実上英国の一部だから、実験の結論を欧米に適用できる(異質で独特な日本で実験しても欧米の参考にならないのと対照的)。しかも欧州から遠く離れているので、実験の影響が欧州に直結しない(豪州も欧米から遠いが国土の広さが異質)。

欧米の全体主義の実験場としてNZが好都合なのは確かだ。だが私からみると、トンデモな不合理に基づくものでかまわない何とかして全体主義に転換しないと欧米の支配体制が守れないという見方は、違うと思う。
近現代の200年間、欧米は、合理性を重視していたがゆえに発展し、世界を支配し続けてきた。合理性や科学的な正しさが欧米の強さであり、アジアなど他の地域は不合理で非科学的だから発展できず、欧米に支配される弱者に成り下がった。
事実を報じるマスコミと、言論の自由の保障も欧米の強さの原動力だった。実際は、往々にして欧米マスコミも支配と覇権の維持のためにウソや歪曲を報じるが、従来は、大半の内容が事実で、その中に時々ウソが混じるとか、事実性は保っているが解説が歪曲というぐらいだった。だからマスコミは、人々におおむね信用されてきた。

ところが911以降、マスコミは国際政治について歪曲がひどくなり、リーマン危機以降は経済についても歪曲が増し、コロナ以降はウソだらけになった。ウソや歪曲を察知する人が増え、ネット上などで言論の自由を許していたらインチキがバレてマスコミの信用が低下するので言論統制が必須になった。
こんな流れなのに、インチキを加速して不合理な根拠で欧米を全体主義に転換しようとしても、うまくいくはずがない。むしろ逆に、インチキに気がついた人々の怒りを扇動してしまい、欧米のエスタブ支配を自滅させる。
実際、アーダンが連発したインチキ全体主義化策は、NZ労働党政権に対する人々の信用を失墜させ、昨年10月の選挙で労働党は敗北して下野し、政権を保守党に奪われた。それより9か月前の昨年2月、アーダンは自分の政策の失敗に気づいたのか、突然に首相を辞任した。

欧米のエスタブ権威筋が自分たちの支配を維持したかったのなら、この四半世紀の諸策は大間違いだらけだった。
米当局は自作自演の911事件など起こすべきでなかったし、911後のテロ戦争も逆にテロを誘発する超愚策だった。米国はイラクに侵攻すべきでなく、逆にサダム・フセイン政権をイランのライバルと認めてゆっくり国際社会に戻すべきだった。
リーマン危機を起こしたくなかったのなら、2000年以降のバブル膨張を止める予防策をやるべきだった。新型コロナは、他のコロナウイルスと同様、人々の自然免疫で乗り越えればよかった(実際、採られた対策のほとんどは効かず、結局自然免疫と変異による脅威低下で終わった)。
気候変動は自然現象なので、地球温暖化への対策は何も採る必要がなかった。人為説は無根拠だと正しくレッテル貼りされるべきだった。
テロ戦争も、イラク侵攻も、リーマン危機も、新型コロナも、温暖化問題も、ウクライナ戦争も、欧米の世界支配を自滅させる方向に働いている。アーダンのNZ政府の諸策は、この自滅方向を加速する実験を重ねた。

アーダンやNZ労働党が、インチキ全体主義策を自分たちで考えて遂行したとは考えにくい。理性で考えれば、あれらの策が自らを自滅・下野に追い込む超愚策だとすぐわかる。
インチキ全体主義は、ダボス会議を主催するWEF(世界経済フォーラム)など、米欧エスタブ権威筋を統率する米覇権運営体(米諜報界、DS)が考案し、NZが実験場としてちょうど良いのでアーダンをたらし込んでやらせたのだろう。事実上英国の一部であるNZの政治家は、米覇権からの誘いに乗った方が栄達につながる。

覇権運営体は、イラク戦争あたりからネオコンなど隠れ多極派に乗っ取られていき、今ではほぼ完全に多極派に牛耳られている。彼らが、米覇権を自滅させる多極化策の一つとして、アーダンにインチキ全体主義の実験をやらせたと考えられる。
NZ労働党を含む欧米のエスタブ権威筋の中には、インチキ全体主義策が自滅策だと見破って反対する人々もいた。彼らの反対を乗り越えるため「これは実験であり、うまくいかなければすぐやめられる」という言い訳が作られた(最初は共産主義も全体主義も「実験」だった)。コロナの緊急性の扇動も人々を思考停止させ、どさくさ紛れに全体主義が推進された。

「実験」の手口は、かつて米政権中枢に入り込んだネオコンが、イラク侵攻の時に使った策だ。当時まだ多極派に乗っ取られていなかった米エスタブや諜報界に、イラク政権転覆後の用意を何もしないまま侵攻することに反対する声が強く、反論として「これは強制民主化の実験だからいつでもやめられる」という言い訳が用意された。
実のところ政権転覆は不可逆で、米国はイラク占領に大失敗して覇権を浪費した(しかし欧日など同盟国が米国の超愚策に見てみぬふりをしたので、覇権自滅目的のネオコン策は失敗した)。

「実験」のもう一つの側面は、コロナや温暖化など見え見えのインチキで、人々が嫌がる全体主義化の策をやっても、ほとんどの人々がインチキを深く軽信し続けてしまい、全体主義でもかまわないと思ってしまったことだ。これは、イラク侵攻の上記の「失敗」と同根だ。
こうした人々の極度な間抜けさを「意外」とみるか「当然」とみるか判断が分かれるが、グロテスクな策をどこまで強くやれば人々が気づくのか試してみる実験をやることで、後々の支配に役立つ情報が得られる。こうした「人体実験」の意味も、多極派がNZアーダンにインチキ策をやらせた背景にありそうだ。ガザ侵攻の虐殺も同じ趣旨の実験だ。

多極派は近年、NZだけでなく、米民主党左派など、欧米のリベラル派や左翼の全体に入り込んで各種の自滅策をやらせている。違法移民を積極流入させて自国を潰すのも、多極派が欧米リベラル派にやらせている得意策だ。化石燃料禁止と原発廃止を同時にやらせる超間抜けも。非米側は原発をがんがん増設し、石油ガス利権の大半も非米側に取られたのに。自然エネルギー発電のショボさが最近露呈した後も変わらぬ欧米日の大馬鹿。
日本の左翼も、温暖化やコロナなどの超愚策にどっぷりはまり込む大馬鹿をやっている。中露台頭の確定後に中露敵視に転じる愚策も。左翼に政権とらせたら日本もインチキ全体主義になるが、日本では「幸い」なことに左翼が不人気で政権をとれないので、彼ら自身の自滅加速にとどまっている。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/valorization-tyrants
The Valorization Of The Tyrants

NZのアーダンは首相を辞めた後、WEFや国連、米国側のマスコミや大学などで、インチキ全体主義に反対する人々をニセ情報発信の危険勢力と呼び「言論の自由を守るためニセ情報の発信者を処罰しよう」と呼びかけ、絶賛されている。
アーダンは、NZでの実験の功績を讃えられ、米側リベラル(インチキ)知性の大本営であるハーバード大のフェローシップを2つもらい、NZ政治家から、全盛期のグレタトゥンベリ級の国際権威・WEFの寵児に昇格した。

https://jonathanturley.org/2023/09/20/harvards-jacinda-ardean-calls-on-the-united-nations-to-crack-down-on-free-speech-as-a-weapon-of-war/
Former NZ PM Ardern Urges United Nations To 'Crack Down On Free Speech As A Weapon Of War'

インチキ全体主義は全盛期を迎えた。いまや米覇権の運営は、インチキ全体主義を強く信奉するリベラル権威筋のエスタブに委ねられている。NZアーダンはこの構図の象徴だが、この構図そのものが米覇権の自滅を加速している。米諜報界=DSが隠れ多極派に乗っ取られ、この構図を推進している。プーチンや習近平に漁夫の利を与えている。
先日開かれた今年のダボス会議でも、欧米各国のエリートたちが、各種のインチキ全体主義策をとうとうと語っている。しかしこの構図自体が、エリートたちを米覇権ごと自滅させていく。それについてはあらためて書く。


この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/240119NZ1984.htm
http://www.asyura2.com/24/kokusai34/msg/121.html
[国際34] 言論統制強まる欧米(田中宇)反転ニセ情報を使ったインチキ策を2年間の最上位課題に。EUの大統領的ヤツが。
田中宇の国際ニュース解説 無料版 2024年1月21日 https://tanakanews.com/

EUの大統領にあたる欧州委員長のフォンデアライエンが、先日行われたダボス会議の講演で「今後の2年間の最大の懸念事項は、戦争でも気候変動でもなく、ニセ情報(disinformation and misinformation)についてだ」と述べた。
私がこの発言に関して分析が必要だと思った点は、ウクライナ戦争や地球温暖化問題よりも「ニセ情報の取り締まり」が重要だと言っていることと、「今年」とか「いま」でなく「今後2年間」と言っていることだ。

https://modernity.news/2024/01/17/video-eu-president-calls-for-globalist-control-over-all-information/
Watch: EU President Demands Globalist Control Over All Information

近年のニセ情報をめぐる話は、正邪や善悪が逆転していて説明が複雑になる。EU政府が「ニセ情報」と呼んできたものの多くは、実のところニセ情報でなく、それと正反対の「正しい情報」だ。真のニセ情報は、EU政府や欧米のエスタブ権威筋マスコミ、ネット大企業・左翼リベラルなどが「正しい情報」として発表・喧伝してきた情報の方だ。
オルタナティブメディアや、保守派の政治運動家たちの中には、権威筋側の発表・喧伝がウソや歪曲であると正しく指摘する勢力がいて、それはしだいに増えている。
欧米の政府やエスタブ権威筋は、自分たちのウソ・ニセ情報発信がバレないよう、オルタメディアや保守派が発した正しい情報に「ニセ情報」のレッテルを貼り、SNS登録抹消や刑事罰などの取り締まりや非難・懲罰を強めている。欧米のエリートは「ニセ情報」の濡れ衣で言論統制し、自分たちの支配を延命させている。

https://mises.org/wire/establishment-unmasking-itself
The Establishment Is Unmasking Itself

正邪反転のニセ情報による言論統制は、地球温暖化問題、ウクライナ戦争(ロシア敵視)、新型コロナ関連(ワクチンや都市閉鎖、マスク義務など)、欧米の違法移民受け入れの是非、欧米の左派リベラルと保守派の政治対立、その一環としての今秋の米大統領選挙(民主党側が再び選挙不正をやる可能性)、中国敵視や多極化無視、ガザ戦争(イスラエルとハマスのどちらが悪いか)、DEI(米国のジェンダーや人種をめぐる差別問題解消のふりをした政争、共和党支持者への弾圧)などで行われている。

https://www.zerohedge.com/political/republicans-score-major-win-against-dei-purple-state
Republicans Score Major Win Against DEI In A 'Purple' State

これらの分野では往々にして、欧米のエスタブ権威筋が「ニセ情報」と呼んで非難懲罰している情報の方が実は正しくて、政府や権威筋が「正しい情報」として発している情報の方が間違っていてニセである。
人々に間違ったことを信じさせ、信じない人を懲罰するのは全体主義や共産主義の手法だ。正邪反転のニセ情報は、前回のNZの記事で紹介したインチキ全体主義の策でもある。反転ニセ情報の言論統制(情報全体主義)が席巻する分野はしだいに拡大している。

https://tanakanews.com/240119NZ1984.htm
エスタブ自滅策全体主義の実験場NZ

このほか、リーマン危機後の金融システムが崩壊したままで、米連銀がQEなどの資金を注入して金融が蘇生したかのように見せている件や、インフレと金利に関する話も、米国側の当局と金融界やマスコミが、統計や状況解説を歪曲するニセ情報を流布して崩壊を隠蔽している。だが金融の分野では、歪曲やニセ情報を指摘する勢力が少ない。

https://tanakanews.com/231004rate.php
米国債の金利上昇

多くの人は「政府・権威筋やネット大企業が間違ったことを言うはずがない」と思い込み、右派やオルタの方が間違っており、処罰されて当然だと軽信してきた。だが最近、ウクライナの敗北と腐敗、コロナワクチンの粗悪さ、温暖化人為説の無根拠さ、自然エネルギー依存策の破綻とインフレなどが露呈し、これらの分野の政策の失敗が確定し始めた。しだいに多くの人が、エスタブ権威筋に騙されてきたことに気づいている。

https://www.zerohedge.com/political/young-audiences-question-climate-alarmism-prompting-calls-censor-content
Young Audiences Question Climate Alarmism, Prompting Calls To Censor Content

エスタブ権威筋は政治的に、米民主党、独仏などの既存の二大政党、フォンデアライエンのEU当局など、リベラルと中道派のエリート諸政党に依拠している(米共和党も以前はエリート政党だったがトランプに乗っ取られた)。
エリート諸政党は、温暖化やコロナやウクライナや違法移民や経済インフレなどに関する政策が失敗し、人々の生活や社会の安定を破壊している。人々はエリートに失望して見切りをつけ、トランプ共和党やハンガリーのオルバン、独AfD、仏ルペンなど、エリート支配を批判する右派勢力に投票する傾向を強めた。

https://www.rt.com/news/590733-germany-protest-farmers-truckers-drivers/
‘Extremists stoking rage’: The German government seeks to downplay protesting workers' plight

トランプは今秋の大統領選で、バイデンより大幅に優勢だ。欧州ではAfDやルペンへの支持が増えている。エスタブ権威筋は、トランプやAfDやルペンなどの右派に「独裁者」「極右」など間違ったレッテルを中傷的に貼り、右派を支持する人々、エリート支配に反対する言論をニセ情報と決めつけて抹消・処罰し始めている。
だが、反対派の主張にニセ情報の濡れ衣を着せて弾圧するインチキ全体主義の策略自体が、すでに人々の知るところとなっている。エリートたちが自分たちの支配を延命するために、反対する言論を弾圧するほど、さらに多くの人がエリート支配に反対するようになり、トランプやAfDやルペンなど右派への支持が増す。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/western-world-danger-milei-warns-dei-doom-dimon-touts-trump-critical-issues
"The Western World Is In Danger": Milei Warns Of DEI Doom, As Dimon Touts Trump On 'Critical Issues'

米国では、今年11月の大統領選挙で不正がなければトランプが勝つ。だがトランプが勝って来年1月に大統領に返り咲くと、欧州との同盟関係の解消に動く。これは欧州でエリート支配の維持をさらに困難にする。独仏の政権が反エリートの右派に乗っ取られ、EUは内部がエリートと反エリートに分裂して意思決定できなくなり、崩壊感が増す。
欧州のエリートを率いるEUのフォンデアライエンとしては、欧州のエリート支配の崩壊を防いで延命させねばならない。支配延命策として、これからの2年間、反転ニセ情報策を使った言論統制を強化しますよ、とフォンデアライエンは講演で表明したことになる。

今秋の米大統領選でトランプが勝つと、米国と欧州の両方でエスタブ権威筋の支配が崩れる。民主党のバイデンは、全く無能で不人気なのに、再選出馬に固執している。オバマとか、民主党の重鎮たちがバイデンを説得しても全く聞き入れない。
このまま普通に公正な選挙をしたら、トランプの完勝になる。米民主党などエスタブ権威筋は、普通に公正な選挙をやるわけにいかない。自分たちの支配を維持するため、米選挙で思い切り不正をやり、トランプを不正に落選させ、バイデンを不正に続投させようとする。

https://modernity.news/2024/01/19/video-conservative-speaker-slams-davos-globalists-to-their-faces/
Watch: "You Are The Problem" - Conservative Speaker Slams Davos Globalists To Their Faces

米民主党はすでに2020年の大統領選と、2022年の中間選挙で、コロナ対策を口実に、不正の温床である郵送投票の制度を大胆に取り入れて、選挙不正をやっている。同じように策が今秋も採られそうだ。
私はこれまで、不正によって歪曲できる得票率には限度があり、トランプが大幅に優勢なので、不正できる限界を超えており、民主党側が不正をやってもトランプが勝ってしまうのでないかと考えてきた。だが、トランプを勝たせたら米欧全体のエスタブ支配が崩れる。延命のため、とんでもない不正をやってバイデンを勝たせるかもしれないと、私は考え始めている。

https://tanakanews.com/230715trump.htm
トランプ復権と多極化

フォンデアライエンなど欧州のエスタブは、米国のエスタブがとんでもない不正をやってトランプ再選を阻止することに大賛成だ。自分たちの延命には、それしかないからだ。
とんでもない不正をやると隠蔽しきれなくなり、これまで騙されてきた世界中の多くの人々が、米国の選挙不正に気づいてしまう。人々に感づかれると、米国の信用と覇権の失墜に拍車がかかる。しかし、大胆な不正をやらなければトランプが返り咲いてエスタブ支配が崩れ、米国の覇権が崩壊する。どちらにしても覇権崩壊だ。

ならば、欧米のエスタブが一丸となって米国の選挙不正を指摘する人々にニセ情報の濡れ衣をかけて徹底弾圧し、世界の人々が感づかないようにする策を最大限やりつつ、米選挙で大胆な不正をやるしかない。だから、これからはニセ情報の問題が何より大事だ、という話になる。
不正をやってもトランプが勝ってしまうかもしれない。その場合、欧米のエスタブは来年、大統領に返り咲いたトランプと共和党にニセ情報発信者の濡れ衣をかけ、トランプの政治力を最大限に削ぐ策を採る。その策をやる時間も含めて「2年間」なのでないか。

最近、プーチン露大統領が、自国の選挙の公正さを言う際に「米国では2020年の大統領選で、コロナ対策を口実に郵送投票を使った選挙不正をやってトランプを負けさせた。ロシアの選挙は郵送でなく直接投票なので不正がない」と述べている。
プーチンは、以前より明確に米国の選挙不正を指摘し始めた感じだ。プーチンは、今秋の米大統領選でさらに大胆な不正が行われ、世界の人々にバレていくことを予測して、米国の選挙不正を指摘し始めた可能性がある。
プーチンも、欧米エスタブによる反転ニセ情報策の標的にされている。米国側の人々の多くが、プーチンの言うことなんか信用できないという考えに洗脳されている。軽信者には何を言ってもムダ(むしろ逆効果)、ピンときてる人にだけビンビン響く状況になっている。多くの軽信者が騙しに気づいてピンとくるとしたら、それは今後の2年間ぐらいであり、だから今後の2年間が大事だともいえる。

https://www.rt.com/news/590761-us-election-russia/
US elections falsified - Putin

今後の2年間に、欧州でもいくつか選挙がある。それらの選挙で、AfDやルペンなどの右派に政権を奪われず、エリート支配を維持できれば、その後もエリートは欧州の支配を維持できる。欧州政界も、これからの2年間が正念場なのだろう。米国だけでなく欧州でも、右派の当選を阻止するための選挙不正が遂行・活発化するかもしれない。中露など非米側が、民主主義を誇らしげに語る米欧を嘲笑する傾向が強まる。多極化と非米化が進む。

https://sputnikglobe.com/20240117/brics-and-global-south-challenge-globalist-elites-with-multipolar-world---analyst-1116227253.html
BRICS and Global South Challenge ‘Globalist Elites’ With Multipolar World - Analyst

フォンデアライエンが、反転ニセ情報を使ったインチキな言論統制策を上位に置き、ウクライナ戦争や温暖化問題を下位に置いた理由はほかにもある。
ウクライナは敗北と腐敗が露呈し、欧州エスタブが対露戦争を全面支援し続けると、欧州人がエスタブを嫌悪し支持しなくなる傾向に拍車をかける。温暖化問題も、排出規制で欧州人の生活悪化やインフレと不況がひどくなっており、温暖化対策を減退しないとエスタブの支持が低下する。
フォンデアライエンら欧州エスタブは、支配力維持のため、ウクライナ支援や温暖化対策の優先度を下げ、失敗している政策を縮小せねばならない。縮小すれば、右からの反対論や、エスタブが作ったウソ構造を指摘する声も減り、強く言論統制しなくてもエスタブ支配を延命できる。これらの軟着陸も2年ぐらいかかりそうだ。

https://mishtalk.com/economics/seeking-green-utopia-the-us-and-eu-are-quietly-killing-vital-industries/
Seeking Green Utopia, The US And EU Are Quietly Killing Vital Industries

欧州エスタブは失策を縮小して軟着陸させたい。だが、それを阻止する勢力もいる。ウクライナではゼレンスキー大統領が必死の延命策をやっており、欧州の足抜けを妨害している。温暖化に関しても過激な運動家たちが欧州を徘徊し、これまたエスタブたちの足抜けを許さない姿勢を貫いている。
ゼレンスキーや温暖化問題の活動家の黒幕には、隠れ多極派に乗っ取られた米諜報界がいて、欧州の失策の縮小を阻止して自滅に引きずり込もうと策略を練っている。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/lavrov-says-west-aware-zelensky-getting-out-control
Lavrov Says West Is Aware Zelensky Getting 'Out Of Control'

エスタブ支配を維持するには、次のパンデミックを起こしてインチキ全体主義を一気に強化するのも手っ取り早い。次のパンデミが起きたら自動的に世界を全体主義の体制に転換するWHOのパンデミ条約も用意されている。
しかし、この策にも落とし穴がある。それは、WHOを支配してパンデミ全体主義を隠然と率いるのが中国共産党であることだ。欧米エスタブが、自分たちの支配を維持するために次のパンデミックの発動に賛成すると、それは中共の世界支配につながってしまい、欧米エスタブが中共に覇権を奪われる結果になる。
全体主義化した欧米エスタブは、すでに、中国共産党とさして変わらぬ独裁者ではあるのだが。

https://modernity.news/2024/01/17/world-health-organisation-head-global-compliance-needed-for-next-pandemic/
WHO Head: 'Global Compliance' Needed For Next Pandemic

さらに深く考えると、WHOのパンデミ条約に象徴される、出口のない暗澹とした構図(幻影?)を人々に見せるオーウェル1984の真似事も、米国側の人々を自暴自棄にして過激化して米欧覇権の自滅を加速させる隠れ多極派の策なのかもしれない。
暗澹とした構図を真に受けず、馬鹿野郎と一蹴し、思考を放り投げて飲みに行ってしまうのが良いともいえる(今の若い人は飲みに行かないんだっけ。暗澹。笑)。

https://sputnikglobe.com/20240118/how-the-west-was-defeated-1116245840.html
Escobar: How The West Was Defeated


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https://tanakanews.com/240121info.htm

http://www.asyura2.com/24/kokusai34/msg/131.html
[国際34] トランプ主義を機関化しリベラルエリート支配と戦う米共和党(田中宇)大リセットなどのインチキ全体主義は、エリート支配ごと大失敗する隠れ多極主義の策
田中宇の国際ニュース解説 無料版 2024年1月26日 https://tanakanews.com/

1月15-19日のダボス会議は、地球温暖化や次のパンデミックなどインチキを口実に反対派を潰す全体主義の世界支配を加速する欧米の(リベラル)国際エリートたちが、米欧の草の根右派や非米側によって退治されていく流れの始まりになった観がある。

https://dailycaller.com/2024/01/18/laughable-think-tank-leader-bashes-world-economic-forum-davos-event/
‘Laughable’: Heritage Foundation Leader Bashes World Economic Forum During Davos Event

ダボス会議を主催するWEF(世界経済フォーラム)は、もともと企業家たちの独創性を国際政治に活かすためにダボス会議を始めたが、途中から、ネオコン的な隠れ多極主義の実現に協力し始めた。
温暖化対策やコロナ超愚策や諸々の「大リセット」は、人類の大多数を占める草の根の人々を怒らせることが究極の目的だ。WEFは、ダボス会議に集めた国際エリートたちが全体主義的な世界支配の構造を作るよう誘導し、草の根がエリート支配を引き倒す劇を歴史にしようとしている。

https://www.heritage.org/conservatism/commentary/why-i-am-going-davos
Why I Am Going to Davos

世界的なエリート支配の強化を見て暗澹とした気持ちになっている人が多いかもしれないが、心配することはない。エリートたちは、当然の報いとして極悪のレッテルを貼られ、インチキ全体主義の体制もろとも、これから負けて潰れていく。こうしたエリートの今後の敗北を、うれしそうに予測した著名人の一人が、米ヘリテージ財団のケビン・ロバーツ会長だ。

ロバーツらは、共和党の好戦派エリートのシンクタンクだったヘリテージを、トランプ主義を機関化して草の根右派を代弁する組織に大転換し、ダボス会議に象徴されるエリート支配に宣戦布告して潰そうとしている。ロバーツは、そのためにダボス会議にやってきて、エリートたちに喧嘩を売って帰った。リベラルな米側マスコミは、この吉報(エリートにとって凶報)を無視した。

https://www.theamericanconservative.com/what-kevin-roberts-told-me-about-his-davos-experience/
Devlin: What Heritage President Roberts Told Me About Crashing Experience

ヘリテージ財団は、ソ連を「悪の帝国」と敵視しつつ冷戦終結に持ち込んだレーガン政権の世界戦略を立案して権威を得た。軍事強硬策で覇権を維持強化する30年間の米国の試みの源泉(の一つ)がヘリテージだった。
米諜報界の自作自演的な911テロ事件を機に、敵性諸国を次々と軍事的に政権転覆しようとしたブッシュ政権もこの系統だったが、過激に稚拙にやって未必の故意的に失敗させる隠れ多極派のネオコンに入り込まれて失敗した。

https://www.foxbusiness.com/media/heritage-foundation-head-defends-trump-scolds-elites-world-economic-forum-part-problem
Heritage Foundation head defends Trump, scolds 'elites' at World Economic Forum: 'You're part of the problem'

この失敗でヘタった共和党を乗っ取ったのが2016年に当選したトランプで、彼は、それまで共和党の中心にいた好戦派エリートを追い出し、孤立主義(覇権放棄)につながる草の根右派を党の中心に据えた。
好戦派は共和党を捨てて民主党に(再)鞍替えし、民主党は2020年の大統領選で郵送投票制を悪用して不正をやってトランプを負けさせ、バイデン政権を作った。米国のネオコン的な軍産好戦派の中心は民主党(リベラルエリート)に移り、バイデン政権下でウクライナ戦争、ガザ戦争など、米国の軍事戦略を過激に稚拙に歪曲的にやって覇権を自滅させる策をやりまくっている。

https://charleshughsmith.blogspot.com/2024/01/have-our-elites-lost-mandate-of-heaven.html
Have Our Elites Lost The Mandate Of Heaven?

共和党の元エリートたちは、好戦派に乗り移られた民主党がトランプを不正に負けさせて政権をとった後、稚拙な策を連発してリベラルエリート支配体制ごと自滅していくのを受け、下野させられたトランプを押し立てて復権する策を考えた。
これまでトランプ主義は、トランプ個人に依拠する部分が大きく、政策全体のまとまりに欠けていたが、ヘリテージ財団はトランプ主義を機関化して共和党の中心的な政策にしていく。

https://www.nytimes.com/2024/01/21/magazine/heritage-foundation-kevin-roberts.html
Inside the Heritage Foundation’s Plans for ‘Institutionalizing Trumpism’

このことを知った時、私はまず「今年の米大統領選挙では、民主党が不正をやって再度トランプを不正に負けさせることが難しくなった」と考えた。トランプ主義を機関化して共和党の中心に据えるには、まずトランプを不正に落選させる民主党の策を阻止する必要がある。
トランプが何をするかより、トランプの不正敗北を阻止することの方が重要だ。ヘリテージ財団は、トランプが再び不正に負けさせられることを防げると考えているはずだ。そうでなければロバーツは、トランプが草の根を率いてエリート支配を潰すぞ、と高笑いできない。

https://modernity.news/2024/01/19/video-conservative-speaker-slams-davos-globalists-to-their-faces/
Watch: "You Are The Problem" - Conservative Speaker Slams Davos Globalists To Their Faces

バイデンは全く人気がない。トランプは非常に人気がある。2020年をはるかにしのぐ大規模な選挙不正をやらない限り、バイデンは再戦できない。
民主党と欧米リベラルエリートは、全力で米国の不正選挙をやろうとする。だが、それが失敗してトランプが返り咲くと、ダボス会議に来ている国際リベラルエリートたちの世界支配も崩れる。連動して、米国側マスコミの権威失墜も加速する。
そういう新たな可能性が、ヘリテージ財団の動きから感じられる。具体的に何がどうなるかは、これから顕在化していく。

WEFの大リセットなどのインチキ全体主義は、エリート支配ごと大失敗するために用意されていた隠れ多極主義の策だったのだ。イラク侵攻からガザ戦争までの凄惨な大量殺戮や、コロナワクチンの副作用による世界での大量の死者も、いずれも現実ではあるが、政治的な茶番を作るための演出だった観がある。
新しい事象なので書き散らかしてしまった。さらに考える。

今回は本来、有料記事の番なのだが、こんな重要な話を皆さん全体に伝えないのは残念すぎる。こういうことになるので、今年から有料記事を半額化した。有料会員の皆さんごめんなさい。


この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/240126heritage.htm
http://www.asyura2.com/24/kokusai34/msg/144.html
[国際34] イスラエルでなく米覇権を潰すガザ戦争(田中宇)
田中宇の国際ニュース解説 無料版 2024年2月8日 https://tanakanews.com/

国連の国際司法裁判所(ICJ)が1月26日、イスラエルがガザ戦争で、人道犯罪を禁止したジェノサイド条約に違反する虐殺行為=人道犯罪を犯したと認定する判決を出した。ICJは、イスラエルに対してガザでの即時停戦を命じた。

https://www.icj-cij.org/case/192
Prevention and Punishment of the Crime of Genocide in the Gaza Strip

https://www.icj-cij.org/sites/default/files/case-related/192/192-20240126-sum-01-00-en.pdf
Summary of the Order of 26 January 2024 (判決要旨)

この判決により、イスラエルは正式に「人道犯罪国」になった。日独と同じ「極悪」な国になった。イスラエルは日独みたいに、世界に向かって永久に「土下座」と「反省」を強要される国になった、はずだ。パレスチナ人の大勝利、なはずだった。

https://www.moonofalabama.org/2024/01/international-court-says-israel-is-likely-committing-genocide.html
International Court Says Israel Has Likely Committed Genocide - Updated

https://responsiblestatecraft.org/is-israel-committing-genocide/
ICJ lands stunning blow on Israel over Gaza genocide charge

だが、その後の現実は全くそうでない。ネタニヤフ首相らイスラエル政府は、ICJの判決を全面拒否し、ハマスのテロを容認する全く間違った判決だと言って激怒してみせた。ネタニヤフは、判決を無視したまま、ハマスとの停戦(人質解放)交渉が破綻したのでハマスに完勝するまで戦争を拡大しつつ続けると宣言した。

https://www.rt.com/news/591343-israel-rejects-genocide-ruling/
Israel rejects ‘outrageous’ ICJ genocide ruling

https://www.zerohedge.com/geopolitical/hamas-responds-ceasefire-offer-135-day-truce-plan-israel-pessimistic
Israel-Hamas Deal Is Dead As Netanyahu Dismisses 'Delusional' Terms, War To 'Expand'

イスラエルだけでなく、米国とその傀儡のEUなども、ICJの判決を否定し、イスラエルへの支持をあらためて表明している。米国がイスラエルの傀儡であり、EUやドイツなど欧州が米国の傀儡である構図が再露呈した。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/israels-reputation-takes-hit-world-court-genocide-case
Israel's Reputation Takes A Hit In World Court Genocide Case

ICJの判決は拘束力がある。判決を受けて、国連安保理で、イスラエルに停戦を強いる決議案が出された。安保理は、世界の諸国に対し、強制力をともなう命令を合法的に下せる世界で唯一の機関だ(米国の軍事行動の大半は非合法な侵略行為)。
安保理がイスラエルに停戦を命じ、イスラエルが拒否して戦争を続けた場合、安保理は国連軍を組織して強制的にイスラエルを停戦させる(国連軍がイスラエル軍が交戦して潰す)ことができる。

https://thecradle.co/articles/vetoing-justice-in-gaza-the-collapse-of-the-un-security-council
Vetoing justice in Gaza: The collapse of the UN Security Council

そうなったらすごかったが、米国が安保理で拒否権を発動したので停戦案は否決された。ICJの判決を受け、国連事務総長がイスラエルによる市民殺戮(虐殺、人道犯罪)を非難しつつ停戦を求めたが、イスラエルに非難し返され、米国に無視されて終わった。
被告が有罪判決を無視しても何の報復も受けずに済んだ今回のような場合、それは裁判所(今回はICJ)の権威の低下になる。次に有罪判決を受けた者も、判決を無視するようになる。

https://libertarianinstitute.org/news/un-chief-blasts-israels-war-in-gaza-for-killing-civilians-on-unprecedented-scale/
UN Chief Blasts Israel’s War in Gaza for ‘Killing Civilians on Unprecedented Scale’

米欧は、ICJ判決に反対し、国連のイスラエル制裁案を潰しただけでなく、イスラエルを非難した国連への報復として、国連のパレスチナ支援機関(UNRWA)に対する資金供給も減らしてしまった。
UNRWAは、飢餓に陥っているガザ市民に食料などを支援している重要な機関だ。米欧は、イスラエルに極悪な人道犯罪を許しただけでなく、ガザ市民を餓死させることまでやっている。

https://www.moonofalabama.org/2024/01/war-on-un-west-retaliates-against-icj-order-by-defunding-humanitarian-mission-for-palestine.html
War On UN - West Retaliates Against ICJ Order By Defunding Humanitarian Mission For Palestine

国連は、戦後の米覇権体制の基盤である。イスラエルは(密通しているハマスを動かして)ガザ戦争を起こし、ガザ市民を大量殺戮する人道犯罪を犯すことで、米国に国連潰しをやらせている。イスラエルは全くひるんでいない。これは意図的な策だろう。
米国の後ろ盾は、イスラエルのちからの源泉だ。なぜイスラエルは、米国の覇権を支える国連を潰しているのか。一見不可解だが、実はそうでもない。

https://sputnikglobe.com/20240128/as-palestinians-in-gaza-face-mass-famine-us--allies-cut-funding-to-un-aid-agency-1116442762.html
As Palestinians in Gaza Face Mass Famine, US & Allies Cut Funding to UN Aid Agency

パレスチナ国家の創設は、米国が覇権国になった直後の1947年に国連が可決した分割決議に基づいている。あの決議がなければ、イスラエルは建国戦争(第一次中東戦争)で完勝して西岸とガザからもパレスチナ人(というよりアラブ人)をエジプトやヨルダンなどに完全に追放(ナクバ)し、シオニズムを完遂していた。
米英(というより前覇権国の英国)が、イスラエルの強国化を阻止するため、イスラエルの建国戦争を途中で止めさせ、イスラエル建国予定地内にアラブ人を残し、パレスチナ国家創設の決議を国連で通し、イスラエルの領土を半減させた。

https://tanakanews.com/240111gaza.htm
イスラエルの虐殺戦略

それから80年近く経ち、米英覇権は自滅しつつある。イスラエルが、自国を弱体化させるパレスチナ建国策を潰すなら今しかない。イスラエルは米国を傀儡化したまま、ガザ市民を大量虐殺して大胆露骨な人道犯罪を犯し、米国がイスラエルに味方してICJや国連の権威を失墜させるように仕向けた。
極悪な人道犯罪国家であるイスラエルを徹底擁護する米国は、覇権失墜に拍車がかかっている。イスラエルは、唯一の後ろ盾である米国のちからが失われても良いのか??。
米国の覇権は、イスラエルがどう動こうが、数年から10数年内に完全に失われる。ならば、米国に覇権が残っているうちに、シオニズムの完遂を阻止をしてきた国連ごとパレスチナ国家の枠組みを破壊するのが良い、ということなのだろう。

今回の人道犯罪は、米英が覇権維持策として続けてきた「人権外交」を根本から潰すものでもある。人権外交はイスラエルにとって、敵であるイスラム諸国に人権侵害のレッテルを貼れる便利なものだった。それを潰して良いのか??。
これについて考える際に重要なのは、イランやサウジ、トルコといった主要な中東イスラム諸国が今回、本質的にイスラエルを敵視していないことだ。

https://thecradle.co/articles/the-enemy-within-arab-states-that-trade-with-israel
The enemy within: Arab states that trade with Israel

イスラム諸国は表向きイスラエルを非難している。だが、トルコはアゼルバイジャンの石油が自国のパイプラインと積み出し港を経由してイスラエルに輸出されるのを止めていない。イランの大統領が最近トルコを訪問したが、2国間会談の中で強いイスラエル非難が出てこなかった。
サウジも、イスラエル非難を避けている。サウジは、イスラエルと国交を結んでいるUAEが、サウジと、サウジ傘下のヨルダンを経由してイスラエルに輸出商品を送るのを容認している。ヨルダンで、この輸出に反対するデモが起きたが、サウジとヨルダンの王政は反対運動を無視している。

https://www.middleeasteye.net/news/jordan-protests-helping-israel-break-red-sea-blockade
War on Gaza: Jordan in hot water after report it's helping Israel break Red Sea blockade

同胞のイスラム教徒・アラブ人が大量虐殺されているのに、なぜ中東イスラム諸国はイスラエルを本気で敵視しないのか。
トルコは、与党AKPがハマスと同じムスリム同胞団で、今回の戦争でハマスがガザから追い出される代わりにエジプトやヨルダンの政権を取って拡大しそうなので黙認している。イランも親ハマスなので同様かも。
だがサウジは、自国の傀儡であるエジプトやヨルダンがハマスに奪われるので嫌なはず。それとも、エジプトやヨルダンはサウジでなく米国の傀儡で、サウジは米傀儡への資金援助を肩代わりしてきただけだから、ハマスに交代していくのは許容範囲内(もしくは希望)なのか。
米英覇権体制が崩れて多極型の非米世界に転換した方が、サウジは石油でのピンはねが減って儲かるし、人権外交のくびきを解かれるなど、国際政治的にも自由になる。だからサウジは、イスラエルの行動を容認しているとか。

https://tass.com/world/1738809
Two mln people may die in Gaza without world's help - Turkish foreign minister

イスラエルを潰してパレスチナ国家を作るなら、イスラエルが極悪な人道犯罪国家に転落した今が好機なのに、イスラム諸国はどこもイスラエル潰しをやろうとしていない。
サウジは「パレスチナ建国が完了しない限りイスラエルと関係正常化しない」と宣言している。だからサウジはイスラエルを許していない、という見立てがある。この見立ては間違いだ。パレスチナ人はガザと西岸から追放され、パレスチナ国家は永久に失われる。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/blistering-saudi-statement-slams-door-normalization-israel
Blistering Saudi Statement Slams Door On Normalization With Israel

アラブ人は現実主義だから、いずれ、パレスチナ国家なしにイスラエルと和解するしかないなという話に転じる。イスラエルは、ヨルダンからエルサレム神殿の丘へのイスラム巡礼者の通行を保障すると言い、イスラム諸国はそれを受け入れる。
パレスチナ建国は、英国の中東支配の一環としてのイスラエル弱体化策だった。米英の中東覇権が永久に続くなら、イスラエルの弱体化が確定できるパレスチナ建国が、イスラム諸国にとっても好都合だった。だが、もう米英支配は終わる。イスラム諸国の姿勢も変わる。
米英は中東イスラム諸国を支配するのが目的だった。イスラエルの目的は、他国を支配することでなく、西岸ガザを含むイスラエル自身の国土確立と安全と発展だ。イスラエルは目的達成後、イスラム諸国と和解したい。
イスラム諸国を主導するサウジやイランやトルコにとっても、米英支配よりイスラエルとの共存の方がはるかに良い。米英支配の一環であるパレスチナ国家の概念自体が、イスラム諸国の政権にとって「用済み」になっている。

https://www.moonofalabama.org/2024/02/in-the-middle-east-the-us-has-reached-the-end-of-its-abilities.html
In The Middle East The U.S. Has Reached The End Of Its Abilities

ICJでイスラエルを提訴したのは、イスラム諸国でなく南アフリカだった。南アは、米英の人権外交策のおかげで、白人政権から黒人政権に転換した。黒人政権になった南アは、人権重視の一環として、イスラエルの人道犯罪を非難して提訴した。
南アは、イスラエルに人道犯罪をやめさせるため提訴したのだろう。だが実際は、敗訴したイスラエルとその傀儡の米欧がICJの判決を無視したため、人道犯罪を裁くICJや国連の構造の方が権威失墜し無効化されてしまった。南アはそれに気づいているのかどうか。

中国やロシアも、表向きイスラエルを批判しつつ、実質的に親イスラエルを続けている。サウジやイランがパレスチナ建国に拘泥せずイスラエルを放任しているのだから、中露が拘泥する理由はない。中共が繰り返している「パレスチナ建国が必須だ」という宣言は、サウジの宣言と同様、表向きだけの外交発言だ。
中露も、米英の人権外交の標的にされてきたので、イスラエルが人権外交の構図を破壊するのを黙認(ひそかに歓迎)している。

https://tanakanews.com/231116israel.htm
イスラエルの戦争犯罪

今回の流れの中で最も間抜けさを露呈したのはドイツだ。英国のライバルだったドイツは、第二次大戦の敗戦後(誇張捏造の疑いが濃いユダヤ人虐殺の)ホロコーストなどで極悪な人道犯罪国に仕立てられ、米英イスラエルに対して永久に土下座させられている。
戦後のドイツは、人道犯罪を強く非難する国だったはずだ。だが、今回のイスラエルの人道犯罪に際してドイツは、米イスラエルの言いなりになってICJの判決を非難し、ガザ停戦に反対した。米イスラエルの傀儡であるドイツには、自主的な決定権が何もない。

ドイツは、米英の言いなりになってロシア敵視もやってきた。人道犯罪を犯したイスラエルに対する支持表明を声高に言わされ続けているドイツを見て、ロシア政府は「やっぱりドイツは人道犯罪を好む国だったんだね」とやり返した。

https://www.rt.com/russia/591020-israel-germany-genocide-zakharova/
Russia reacts to Germany’s support for Israel in genocide case

実のところロシア自身も、諜報力抜群のイスラエルに非米型世界の今後の運営で協力してもらいたいので、イスラエルの人道犯罪を黙認している。
だがロシアは目立たないように親イスラエルをやっている。ドイツは傀儡国として、声高に親イスラエルを叫ばされて、ロシアに馬鹿にされている。ノルドストリームを米国に壊されたのに何も言えない。どこまでも哀れ。早くAfDに政権を取ってもらって米英から自立した方が良い。

https://www.rt.com/news/591146-attempts-prohibit-afd-germany/
The German establishment wants to ban a popular right-wing party. Here’s how it could backfire

日本も、ドイツに負けない永久土下座の米英傀儡だ。だが、日本はイスラエルから遠い。日本の外相が(米国の要請で)イスラエルを訪問して支持表明しつつも、早く停戦するのが良いと言わせてもらうことは許され、全体として目立たない状態を維持できている。

ガザとエジプトの境界線にあるラファの検問所は、まだ閉ざされている。エジプトは、政権をハマス=同胞団に乗っ取られたくないので、ガザ市民が自国に来るのを阻止している。だが、ガザ市民の飢餓はひどくなる一方だ。
イスラエルは、ラファの検問所を軍事力で乗っ取ってガザ市民をエジプトに放出する策を示唆し始めている。

https://news.antiwar.com/2024/02/02/israel-announces-it-will-attack-gaza-border-city-of-rafah/
Israel Announces It Will Attack Gaza Border City of Rafah

https://www.newarab.com/analysis/philadelphi-corridor-tipping-point-egypt-israel-ties
Philadelphi Corridor: How Gaza's border could be a tipping point in Egypt-Israel ties

イスラエルはハマスを潰すふりだけして温存している。ハマスとの戦争はまだまだ続く。ラファが開くのか開かないのか、それが最大の注目点だ。ガザ市民がラファを通ってエジプトに引っ越すと、パレスチナ人はアラブ人に戻り、パレスチナ問題が消えていく。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/hamas-already-coming-back-northern-gaza-reasserting-control-some-areas
Hamas Returning To Northern Gaza, Reasserting Control In Some Areas

今後の重要な人道問題は、パレスチナ問題を残すためにガザ市民を餓死させるのか、それともガザ市民の生命を優先してラファを開けるのか、という選択肢だ。「人権重視(笑)」の欧米リベラル派たちは、パレスチナ問題が重要だからラファを開けてはならない、と言っている。なるほど。正体見たり。


この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/240208israel.htm
http://www.asyura2.com/24/kokusai34/msg/190.html
[国際34] ナワリヌイ死去の裏読み(田中宇)ダボス会議やミュンヘン安保会議で、トランプ当選の可能性が議題にされているが…
田中宇の国際ニュース解説 無料版 2024年2月22日 https://tanakanews.com/

2月16日、ロシアの反体制・野党活動家のアレクセイ・ナワリヌイが、西シベリアの北極圏にある監獄で死亡した。ナワリヌイはもともと、リベラル派が極右とかネオナチと非難する民族主義者・ナショナリストで、2007年ごろから野党人士として有名になり、プーチン(メドベージェフ)政権を汚職理由で辞任要求する反政府運動を強めた。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/russian-opposition-leader-alexey-navalny-dies-jail
Russian Opposition Leader Alexei Navalny Dies In Jail

政府側から反撃的な汚職捜査を受けて有罪にされたものの、2013年のモスクワ市長選への出馬を許されて28%という意外に高い得票を得て、ロシアを代表するプーチン批判者として欧米で注目されだした(その後は露国内での人気が落ち続けた)。
2020年に露国内を飛行機で移動中に体調が悪化して瀕死になり、ドイツに移送されて治療したが、体調悪化は露当局から毒物(ノビチョク)を投与されたからだと欧米側が言い出し「プーチンが自分を鋭く非難する反体制派を殺そうとした事件」として欧米で喧伝され、それっぽい映画も作られた。

https://tanakanews.com/210319russia.php
ロシアを濡れ衣で敵視して強くする

ナワリヌイやその他のロシア反政府勢力への支持は落ちており、殺す必要などなかった。ノビチョク事件は米英諜報界のでっち上げ臭がある。だが、プーチンの露政府は、米欧が「プーチンと戦う男」と英雄視するナワリヌイとの喧嘩を積極的に買う挙に出た。
ノビチョク事件当時、ナワリヌイは汚職の有罪判決の執行猶予中だった。勝手にドイツに逃亡したとして、露政府はナワリヌイに命令して帰国させて監獄に入れ、収監中に新たな罪状をつけて刑期を伸ばした。その一方で露政府は、獄中のナワリヌイと国外の仲間たちがインターネットでプーチン非難の反政府運動を続けることを許し続けた。

プーチンとしては、国内的に反政府運動の強さを測るためにナワリヌイに反政府的な発言をさせ続けていたのでないか。
国際的には、米欧に露(中)敵視を強めさせ、露中やBRICS・非米側が結束を強めて米覇権を崩す動きを強化する流れを維持するため、米欧が支持するナワリヌイを投獄して、意見発信を許しつつ、いじめ続けた。その後のウクライナ開戦後の対応へと続く「偽悪戦略」の流れが見える。

https://tanakanews.com/220624russia.htm
プーチンの偽悪戦略に乗せられた人類

ナワリヌイは米欧風の政治を好むリベラル派でなく、その逆の右派民族主義者で、クリミアは(地元民の民意に沿って)ロシア領であるべきだと言っており、反ウクライナだ。彼の政治思想は、欧米リベラル派が極右とかネオナチと呼んで誹謗する種類のものだ。彼は、プーチンの汚職だけを非難(喧嘩売り)し、外交政策には賛成していた。
それなのに欧米リベラル派は、ナワリヌイがプーチンに喧嘩を売っていたのを好機として、ナワリヌイをリベラル派のように扱い、ロシアの反政府人士の代表として称賛し、支持してきた。
欧米の政府や権威筋は、何でも良いからロシアを敵視したい。その構図は、ロシアを敵視して強化する隠れ多極派の策略に乗せられており、プーチンも売られた喧嘩を喜んで買ってロシアを台頭させている。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/nato-chief-shocks-prediction-decades-long-confrontation-russia
NATO Chief Shocks With Prediction Of 'Decades-Long Confrontation' With Russia

そんなナワリヌイが2月16日に獄中で体調不良を訴え、間もなく死亡した。米当局は、露当局が殺したという確証がないと表明しているが、バイデン大統領は「プーチンに責任がある」と断言し、露政府がナワリヌイを殺した前提で追加の対露制裁を発表した。
米欧の権威筋やリベラル派は、ここぞとばかりにロシア敵視を強めている。

https://news.antiwar.com/2024/02/20/biden-says-hell-impose-major-sanctions-on-russia-over-navalnys-death/
Biden Says He’ll Impose ‘Major’ Sanctions on Russia Over Navalny’s Death

ロシアでは3月17日に大統領選挙が予定されており、支持率85%のプーチンが当選しそうだ。ナワリヌイは立候補もしておらず、世論調査で彼を支持する露国民は1%しかいないのでプーチンの脅威でない。
プーチンは、大した脅威でないナワリヌイを殺すほど神経質で性格的に問題がある極悪人だとする「解説」を米国側マスコミが流している。

https://original.antiwar.com/Ted_Snider/2024/02/20/biden-knows-putin-killed-alexei-navalny/
Biden Knows Putin Killed Alexei Navalny

ナワリヌイはなぜ死んだのか。私が注目したのは、ロシア政府がナワリヌイの死を発表した時、NATOなど米国側諸国がドイツに集まって対露関係などを話し合う年次のミュンヘンに安全保障会議がちょうど開かれており、会議にナワリヌイの妻ユリア(Yulia Navalnaya。夫を補佐する共闘者)が招待され、ロシアから来て出席していたことだ。
ミュンヘン会議の主催者は、露政府が発したナワリヌイ死去の発表を、すぐに議場で発表した。そして議事進行を変更し、ユリアを登壇させて演説をさせた(もともとこの日演説する予定だった)。ユリアはプーチン政権を強く非難し、議場の一同がロシア敵視を強め、プーチン打倒を誓った。

https://www.theguardian.com/world/2024/feb/16/yulia-navalnaya-munich-security-conference-navalny-putin
Yulia Navalnaya takes stage at Munich meeting after news of husband’s death

https://breakingdefense.com/2024/02/navalny-death-rocks-munich-security-conference-as-wife-says-putin-regime-will-be-punished/
Navalny death rocks Munich Security Conference, as wife says Putin regime ‘will be punished’

ロシアで最初にナワリヌイの死を発表したのは西シベリアの監獄当局だったが、その数分後には露大統領府(クレムリン)が記者発表し、話はすぐにミュンヘンの安保会議に伝わった。露政府は、ミュンヘンの議場にユリアがいる時間を狙ってナワリヌイの死を刑務所に発表させ、ユリアが情緒的な演説をするように仕向け、米国側が露敵視とウクライナ戦争支援を強めるように画策したのでないか。

https://www.moonofalabama.org/2024/02/they-finally-killed-navalny-.html
They Finally Killed Navalny ...

ウクライナ戦争は昨夏からロシアの勝ちが確定し、米欧がいくらウクライナを支援しても挽回不能になっている。米政府も、挽回困難と認めているが、同時に、負けるわけにいかないと言って露敵視とウクライナ支援を続け、NATO傘下の欧州諸国にもそれを強要している。
米国(諜報界と軍)は、開戦当初からウクライナ軍に稚拙な戦略をとらせて戦力を浪費してきた。稚拙な策ゆえに負けているのはウクライナなのに、露軍が稚拙なので負けていると正反対のウソを米欧政府内やマスコミ権威筋に流し、多くの「専門家」たちが「ロシアはもうすぐ負け、プーチンは追放される」と大間違いを言い続けた。

https://www.moonofalabama.org/2024/02/screw-the-facts-europe-commits-itself-to-further-escalation.html
Screw The Facts - Europe Commits Itself To Further Escalation

実際はウクライナ軍が負け続け、兵士30万人が戦死し、徴兵しても若者が残っておらず兵士が足りない。米国がやらせた稚拙な戦略のせいで、米欧がウクライナに送った武器弾薬も浪費(兵器庫の場所を露軍に知られて空爆されるなど)され、欧州諸国はもうウクライナに送れる兵器がない。
今年のミュンヘン安保会議は、ウクライナ軍の崩壊をどうやって防いで延命させるかが中心的な議題だった。ウクライナ軍の崩壊と敗北確定は時間の問題だ。プーチンを倒すまで戦うぞと誓うのは非現実的だ。
むしろ逆に、プーチンとどう和解して停戦するかを話した方が良い。米国でも欧州でも、そのような議論が水面下で出てきて、ミュンヘン会議でもその話が出そうだった。バイデンの米政府と諜報界は、そんな弱腰は認めないといって強硬姿勢なので、対露和解論はマスコミに出ず、私的な会話だけにとどまっていたが、いつまで続くのかおぼつかない。

https://tass.com/politics/1749799
Munich conference shows evaporating Western optimism on Ukraine

露政府は、米諜報界の隠れ多極派と同様、ウクライナ戦争と露敵視の長期化を望んでいる。欧米は、ウクライナ戦争と露敵視を続けるほど、露中や非米側の台頭を誘発して覇権を失い、経済政治の両面で自滅していく。
ウクライナ開戦後、ロシアは米欧から強烈に経済制裁されているのに経済成長している。米欧が中露を敵視するほど、中露と非米側が経済結束して米欧抜きの世界経済を作って発展していく。
プーチンの露政府は、この状態をもっともっと続かせたい。その方が発展できる。習近平も似たような戦略だ。

https://tanakanews.com/240102ukrain.htm
まだまだ続くウクライナ戦争

ロシアは、欧米が現実策に転換してロシアに和解を求めてくることを望んでいない。だから、ミュンヘン安保会議がユリア・ナワルナヤを呼んで演説させるタイミングに合わせて夫のナワリヌイを殺して発表し、ナワルナヤに情緒的なプーチン敵視の演説をさせ、会議の雰囲気をプーチン敵視で充満させ、会議で対露和解の話を出そうとしていた欧州の現実派を黙らせたのでないか。

https://www.reuters.com/world/wars-israel-ukraine-dominate-global-security-summit-munich-2024-02-16/
Navalny's wife calls for Putin to be punished at global security summit

そんな茶番劇のためにナワリヌイを殺してしまうとは考えにくい、と思う人がいるかもしれない。これに対する私の反論的な見立ては、すでにナワリヌイがプーチンにとって「用済み」になっていたのでないか、というものだ。
ウクライナ開戦前、プーチンの人気は今より不安定で、露国民の反政府感情も今より強かった。そのためプーチンは、ナワリヌイのような(欧米と本格的に組めるリベラルでなく、プーチンを誹謗する根拠の薄い汚職話を出してくるだけの)中途半端な反政府勢力がいて、不満な国民を吸収してくれることを望んでいた。

https://tass.com/world/1745753
Russia’s defeat in Ukraine impossible, Elon Musk says

ウクライナ開戦後、プーチンは米欧から猛烈に敵視されたが、敵視されるほどウクライナ戦争で勝ち、露経済も上向いて成長した。露国民はプーチン支持と米欧敵視を強め、米欧に支援されてプーチンを非難・誹謗するナワリヌイや、リベラル派の反政府勢力をむしろ売国奴として嫌う傾向を強めた。
ナワリヌイを支持するのは、ロシアの事情を知らず、米国側の報道を鵜呑みにする軽信的な欧米日のリベラル派などだけだ。プーチンは、ナワリヌイのような敵を必要としなくなった。ナワリヌイは「最期のご奉公」として、殺されることによって米国側の怒りと露敵視を扇動し、多極型世界におけるプーチンのロシアの台頭と経済発展を加速させる役割を課されることになった。

https://tass.com/politics/1747713
Europe is losing dignity by obediently submitting to US

ウクライナのゼレンスキーは、自分と自国の保身のため、中国の習近平に仲裁してもらってプーチンと停戦交渉したい。米国とその傀儡であるEUは、ゼレンスキーが対露交渉したいと言っても無視するか、叱りつけて拒絶する。
ゼレンスキーは米欧に頼れないので中国に頼るしかない。だが中共政府は「今は適切な時期でない」と言ってゼレンスキーとプーチンの話し合いの仲裁を断った。習近平はプーチンに打診したが、ウクライナ戦争が長引くほど露中が優勢になるのでプーチンは仲裁しないでくれと言ったのだろう。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/conditions-not-right-ukraine-russia-peace-talks-china-says-after-appeal-kiev
Conditions Not Right For Ukraine-Russia Peace Talks, China Says After Appeal From Kiev

ジョージソロス系のシンクタンク、クインシー研究所は最近「米欧はウクライナ戦争に勝てず、これからプーチンのロシアと交渉して戦争を終わらせていかねばならないのだから、ナワリヌイの死を理由に対露制裁を強めて対露対話の道を閉ざすのは得策でない。対露制裁は露経済を強化してしまう」という主張を出した。
同研究所はまた「ウクライナ戦争が続く限り、露国民は反米感情が強く、親米的なロシアのリベラル派は復活できない。ロシアをリベラル化したければ、まずウクライナ戦争を終わらせねばならない。それには対露対話が必要だ」とも言っている。

https://responsiblestatecraft.org/putin-navalny/
Navalny's death shouldn't close off talks with Putin

これらの主張は正しい。米覇権の維持には対露和解が必要だ。だが、米中枢(諜報界)は隠れ多極派に乗っ取られ、ソロスのようなエスタブは脇に追いやられている。間抜けなバイデンが、ウクライナを勝たせるまで露敵視を続けると叫び続けている。
プーチンは最近、今秋の米大統領選でバイデンが勝つことを望んでいると表明した。「ウクライナが勝つまで支援し、永遠に露敵視する」と非現実的なことを言い続けるバイデンが今秋の米大統領選で勝つことをプーチンは望んでいる。対露和解や、ロシアとウクライナの対話を仲裁しそうなトランプに当選してほしくない。

https://www.rt.com/news/592454-trump-biden-better-for-russia/
I want Biden to win - Putin

プーチン(や隠れ多極派)の希望と裏腹に、今秋の米大統領選挙ではバイデンが負け、トランプが勝ちそうだ。トランプは、大統領に返り咲いたらすぐにプーチンとゼレンスキーを仲裁してウクライを停戦させると豪語している。彼は実行力がある。
米民主党が再び選挙不正をやって、バイデンを不正に勝たせるシナリオがあり得たが、これだけバイデンがダメダメだと、全力で不正をやってもトランプが勝ちそうだ。そのため「B計画」と思われるものが欧州で出てきている。

https://www.usnews.com/news/world/articles/2024-01-18/estonia-tells-its-top-russian-orthodox-clergyman-to-leave-the-country
Estonia Tells Its Top Russian Orthodox Clergyman to Leave the Country

https://sputnikglobe.com/20231223/estonia-ready-to-extradite-draft-age-ukrainian-men---interior-minister-1115763822.html
Estonia Ready to Extradite Draft-Age Ukrainian Men エストニアは人道犯罪国

それは、NATO加盟国のエストニアあたりが国内のロシア系住民への弾圧を強め、ロシアが邦人保護策のためにエストニアに軍事進出(侵攻)せねばならない状況を作り、対立激化の中でエストニアあたりにいる米軍特殊部隊が匿名的にロシアを攻撃してロシアとNATOを開戦させるシナリオだ。
ウクライナはNATOでないので、戦争になってもNATO5条の参戦義務が米国やEUに生じなかった。だが、エストニアやポーランドやルーマニア(沿ドニエストル関係)はNATO加盟国で、これらがロシアと交戦すると5条が「自動発動」されて、米露が戦争に入ることになっている。

https://www.rt.com/russia/592860-estonia-russian-speakers-ukraine/
EU state’s leader sees elderly Russians as potential threat

私はこれまで、NATO加盟国とロシアが開戦すると、すぐに5条が発動されて米露が核戦争になるので、NATOはロシアと開戦せず、戦場は今後もずっと非加盟国のウクライナだけに限定されるだろうと思ってきた。
だが、NATO加盟国とロシアが開戦しても、米国がすぐに5条を全面発動せずぐずぐずしていたら、NATOとロシアが開戦しても米露の全面戦争や核戦争にならないシナリオがあり得ると思い直した。

https://tanakanews.com/220505russia.htm
同盟諸国とロシアを戦争させたい米国

このシナリオは、NATOとロシアの交戦状態・有事体制を生むため、トランプが返り咲いてもロシアと和解するわけにいかなくなり、トランプはNATOを棄てることもできなくなる。ロシアは、米国側と非米側の対立を維持して多極型世界で発展できる。
NATOがロシアと開戦しても5条が全面発動されないのはNATOの信用失墜になる。米露間の対立の度合いをうまく調整しないと本当の核戦争になる。だが、それらの問題を回避できれば、トランプに露敵視とNATO関与の維持を強要できる。

https://tanakanews.com/221119ukraine.htm
ウクライナ戦争を世界大戦に発展させる

最近、ダボス会議やミュンヘン安保会議で、トランプ当選の可能性が議題にされているが、それは要するにこの手のシナリオについて裏で検討しているのでないかと思った。
これについてはあらためて書きたい。

https://archive.vn/NDRYn
A Consensus Emerges at Davos: Trump Will Win Re-Election


この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/240222russia.htm
http://www.asyura2.com/24/kokusai34/msg/299.html
[国際34] 消されていくガザ(田中宇)巨大な殺戮と破壊を伴ってパレスチナはなくなっていく。誰も止められない。
田中宇の国際ニュース解説 無料版 2024年2月25日 https://tanakanews.com/

イスラエルが3月後半に、ガザ最南部のラファに対する本格的な空爆や地上侵攻を開始する見通しになってきた。イスラエルは、イスラム世界が断食月(ラマダン)入りする3月10日までにハマスが人質全員(150人ほど)を解放しない場合、ラファ攻撃を開始すると宣言している。
イスラエルはすでに散発的にラファ周辺を空爆している。ハマスは少しずつしか人質を解放しておらず、3月10日までの全員解放はなさそうなので、イスラエルは3月15-25日ぐらいにラファを本格侵攻する可能性が高い。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/israel-sets-timeline-start-rafah-offensive-issues-ultimatum
Israel Sets Timeline To Start Of Rafah Offensive, Issues Hamas An Ultimatum

最南部のエジプト国境に面するラファと、その隣のハンユニスには150万人以上の避難民を含め、200万人以上のガザ市民のほとんどがいる。超過密状態だ。
10月からイスラエルに攻撃され続けているガザは、廃墟にされた北部を中心に、大半の地域が破壊されて居住不能になり、ガザ市民の大半が避難民として最南部に逃げてきている。イスラエルは、超過密なラファを空爆するといっている。市民は逃げ場がなく、大量の死者が出る。

https://www.moroccoworldnews.com/2024/02/361015/israeli-airstrike-hits-rafah-claiming-lives-and-sparking-outrage
Israeli Airstrike Hits Rafah, Claiming Lives and Sparking Outrage

ラファは、すぐとなりがエジプトだ。エジプト政府がラファの国境検問所を開けてくれれば、ガザ市民はエジプトに避難して生き延びられる。ガザにはもう逃げ場がないので、エジプトが唯一の避難先だ。だが、エジプトはラファの開放を拒否している。
エジプトは、ガザに救援物資を入れることに積極的だが、ガザから市民が入国してくることは許さない。支援物資で食いつなげるようにしてやるからエジプトに入ってくるなという姿勢だ。
イスラエルは逆に、ガザ市民をエジプトに追い出すことに積極的なので、ガザに支援物資を入れたがるエジプトや欧米の動きを検問強化などで邪魔している。

https://libertarianinstitute.org/news/israel-further-limits-aid-into-gaza-leading-to-more-starving-children/
Israel Further Limits Aid Into Gaza, Leading to More Starving Children

ラファを開けると、ガザ市民の大半がエジプトに移動する。イスラエルは市民がガザに戻ることを拒否するので、ガザ市民は永久にエジプトに住むことになる。ガザはイスラエルに奪われたままになり、パレスチナ国家の建設が難しくなる。
エジプト政府は、ガザ市民の入国を許せばイスラエルの思う壺で、「アラブの大義」であるパレスチナ国家建設を何より(ガザ市民の命よりも)重要と考えてラファ開放を拒否している。悪いのはイスラエルだが、イスラエルを非難している間にガザ市民がどんどん殺されていく。
エジプトだけでなく、国連や国際社会も、パレスチナ国家建設を非常に重視してきた。イスラエルはずっと前からガザ市民をエジプトに(西岸市民をヨルダンに)追いやろうとしてきたが、国際社会はパレスチナ国家建設を理由にそれを許さず、パレスチナ人をガザと西岸に閉じ込めてきた。

https://tanakanews.com/240208israel.htm
イスラエルでなく米覇権を潰すガザ戦争

エジプト(やその背後の米サウジ)がラファを開放しない理由はもう一つある。それは、200万人のガザ市民がエジプトに引っ越すと、ガザ市民の多くは熱烈なハマス支持なので、エジプトでハマス=ムスリム同胞団の政治力が急増し、軍事政権が倒され、クーデター前にあったムスリム同胞団の政権が復活してしまう。アラブの春が再燃し、連動してヨルダンも王政が転覆されてハマス化していく。
同胞団は、アラブ諸国(イスラム世界)全体をイスラム主義の政権に転換して統合することを目標にしてきた。同胞団が武装し、米国に操られつつテロをやるとアルカイダになる。ハマスは同胞団のパレスチナ支部だ。

https://tanakanews.com/231125gaza.htm
ずっと続くガザ戦争

同胞団は、共産主義や民族主義の代わりにイスラム主義を使った反植民地・反支配運動の国際組織なので、米欧や、数年前まで米傀儡だったサウジ王政などは同胞団を敵視してきた。反米反サウジだったイランはハマスを支援し、米欧はハマスをテロ組織とみなしている。
イスラエルは、パレスチナ国家を作らせたくないので、米国の敵であるハマスをこっそり強化し、パレスチナ人がハマスを支持するように仕向け、テロリストであるハマスを支持しているパレスチナ人は全員テロリストだという理屈を使ってガザや西岸で弾圧を繰り返してきた。

https://tanakanews.com/240111gaza.htm
イスラエルの虐殺戦略

米国はそれを黙認してきた。そのイスラエルの策略を猛烈に強めたのが今回のガザ戦争だ。イスラエルは「ハマスを完全に潰すまでガザを攻撃する」と言いつつ、ハマスを弱めず市街の破壊だけ徹底にやる戦術をこっそり続けている。
ガザ市民を皆殺しにされたくなければ、エジプトがラファを開けて市民のエジプト流入を許すしかないぞ、とイスラエルは加圧し続けている。イスラエルはこの加圧が脅しでないことを示すため、ガザをどんどん破壊して市民を大量殺害している。

https://news.antiwar.com/2024/02/16/israeli-military-says-hamas-will-not-be-defeated-in-gaza-offensive/
Israeli Military Says Hamas Will Not Be Defeated in Gaza Offensive

ハマスはイスラエルと戦いつつ、自分たちがエジプトに追い出されてエジプトの政権を取っていく流れをイスラエルが作ってくれていることを自覚している。ハマス(同胞団)は、パレスチナを失うが、代わりにエジプトとヨルダンを得る。アラブの大義は失われるが、本音では不満でないだろう。
イスラエルは、ガザ開戦後、パレスチナ国家の創設を全否定し続けている。ネタニヤフ首相が提案したパレスチナ全否定を、議会は圧倒的多数で可決した(120定数のうち99賛成)。アラブ系と労働党だけが反対した。イスラエルは二度とパレスチナ国家を認めず、途中まで作られた国家体制を破壊し続ける。

https://news.antiwar.com/2024/02/21/israeli-knesset-overwhelmingly-backs-netanyahus-rejection-of-a-palestinian-state/
Israeli Knesset Overwhelmingly Backs Netanyahu’s Rejection of a Palestinian State

https://www.zerohedge.com/geopolitical/netanyahu-defiant-after-biden-phone-call-rejects-push-palestinian-state
Netanyahu Defiant After Biden Phone Call, Rejects Push For Palestinian State

以前(1995ラビン暗殺後)のイスラエルは、パレスチナ国家の建設をしぶしぶ認めていた。それは当時まだ強い覇権国だった米国が、パレスチナ国家建設を求めていたからだ。
米国はその後、911テロ事件以後の稚拙で過激なテロ戦争や中東政権転覆策などによって覇権を浪費していったが、それを推進した象徴的な勢力は、米中枢に巣食ったシオニスト(イスラエル建国運動家)のネオコンだった。
イスラエルにとって米覇権の強さが唯一の後ろ盾なのに、ネオコンは過激で稚拙な中東戦略を意図的にやって米覇権をわざと自滅させ、米覇権を弱めて露中イランなど非米側の勢力を強化して世界を多極化した。だから私は従来、彼らを「親イスラエルのふりをした反イスラエルの勢力」とか「隠れ多極主義者」と呼んできた。

https://tanakanews.com/180825israel.htm
ロシアの中東覇権を好むイスラエル

だがもしかすると、ネオコンは真のイスラエル支持者として、米国の覇権を自滅させ、世界を多極化したのかもしれない。なぜなら、ヨルダン川から地中海までのイスラエル建国予定地の中にパレスチナ国家を創設してイスラエルの弱体化を画策した張本人は、米国と、その黒幕(前覇権国)である英国だったからだ(米国は、英国の傀儡としてパレスチナ国家建設を求め続けた)。
米英覇権が20年かけて自滅したところで、イスラエルがハマスとこっそり組んでガザ戦争を起こし、パレスチナ国家の消滅に向けて全力で動き出した昨秋以来、パレスチナ国家建設を本気で守ろうとしている強い勢力は全くいない。

https://responsiblestatecraft.org/europe-houthis-red-sea/
The EU’s flagging credibility in the Middle East

米国はイスラエルの傀儡を演じ、安保理でのガザ停戦案に対して拒否権を発動し続けている。米国の傀儡であるEUも、米国の言いなりでイスラエルを非難しない。
イランとサウジは中国の仲裁で仲直りしたのだから、巨大産油国である両国が組んでOPEC+も巻き込み、イスラエルとその親密諸国に対する石油輸出を止めれば、1970年代の中東戦争時の石油危機の時のような政治力を発揮できる。
だが、イランもサウジもそんなことはせず、口で非難するだけで、イスラエルがガザ市民を殺し続けるのを黙認している。サウジは、ガザ戦争が終わったらイスラエルと国交正常化する構想を捨てずに表明し続けている。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/blistering-saudi-statement-slams-door-normalization-israel
Blistering Saudi Statement Slams Door On Normalization With Israel

サウジは、パレスチナ国家の確立をイスラエルと国交正常化する条件としている。確立できないならイスラエルと和解しないという意図にもとれるが、その場合、今後パレスチナ国家が確立する可能性はほぼゼロなのだから、和解構想自体を表明する必要がない。
和解構想を表明し続けていること自体、サウジが、パレスチナ国家が作られなくてもイスラエルと和解する可能性があることを示している。米国は覇権隆盛時にイスラエルを加圧してパレスチナ国家を認めさせたが、今後の多極型世界でそんな強力な国はない。今後の中東を率いるサウジ(やイランやトルコ)は、パレスチナ国家をあきらめてイスラエルと和解していくしかない。

https://www.al-monitor.com/originals/2024/01/hallucination-or-realpolitik-netanyahus-long-shot-israel-saudi-normalization
'Hallucination' or realpolitik? Netanyahu's long shot at Israel-Saudi normalization

イランは、イスラエル潰しよりも、自国傘下のハマスがエジプトやヨルダンの政権を取っていくことの方を重視しているようだ。イスラエルは、シリアなどでイラン系の勢力を空爆して殺害・攻撃しているが、イランは通りいっぺんの口頭非難をするだけだ。
トルコのエルドアンも、口ではイスラエルを強く非難するが、トルコからイスラエルへの石油供給を止めていない。トルコの与党(エルドアン政権)は(隠れ)ムスリム同胞団で、イスラエルがハマスにエジプトやヨルダンの政権を取らせてくれることの方を重視している観がある。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/chinas-shock-statement-palestinians-have-right-use-armed-force-against-israel
China's 'Shock' Statement: Palestinians Have Right To Use 'Armed Force' Against Israel

ロシアや中国は中立だ。ロシアは親イスラエル、中国は親アラブで役割分担している。印度は反イスラムの一環で親イスラエル。ブラジルや南アフリカはイスラエル敵視だが戦争を止める力がない(だから気楽に非難できる)。
BRICSは親イスラエルと反イスラエルで分裂してるから弱体化すると、米国側マスコミが書くが、非米側は米国側のように思想信条で敵味方を固定せず、もっと現実的で柔軟だ。むしろG7など米国側の方が、思想信条で敵味方を決めて自滅している。

https://responsiblestatecraft.org/brazil-israel-lula/
Weighing the political fallout from Lula's Nazi comment

米英が覇権喪失してみると、残りの諸国(非米側)は、イスラエルがパレスチナ問題を丸ごと軍事的に潰すことにあまり反対していない。こういう状況を事前に踏まえた上で、イスラエルはガザ戦争を始めたのだろう。
最近、トルコとカタール、UAEがイスラエルとハマスの仲裁に動き続けている。トルコとカタールはハマスと親しく、UAEはイスラエルと国交がある。仲裁内容は人質解放の話だけでない。エジプトにラファを開けさせることもおそらく議題になっている。

https://www.al-monitor.com/originals/2024/02/turkeys-erdogan-receives-red-carpet-reception-egypt-calls-sisi-brother
Turkey’s Erdogan receives red-carpet reception in Egypt, calls Sisi 'brother'

エジプトは最近、ラファに接するエジプト国内の土地を使って、5万人を収容できる難民キャンプを整地した。キャンプは逃亡防止の高い壁に囲まれている。イスラエルがラファ空爆を本格化し、ガザ市民をエジプトに避難させないと殺されてしまう事態になったら、エジプト政府はラファ国境を少し開けて5万人以内のガザ市民を受け入れる予定にしたのだろう。
キャンプ整地工事が発覚するのと同時期に、トルコのエルドアン大統領がエジプトを訪問し、シシ大統領と話をしている。

https://news.antiwar.com/2024/02/15/egypt-building-walled-camp-in-sinai-desert-to-take-palestinian-refugees-from-gaza/
Egypt Building Walled Camp in Sinai Desert to Absorb Palestinian Refugees from Gaza

問題は、ラファからエジプトに避難する人数が5万人をはるかに超えそうなことだ。イスラエルが本格空爆したら、ラファ周辺にいる150万人のほとんどが、エジプト側に逃げないと殺される状態になる。国際社会からエジプトに、ラファ国境を開けろという圧力・叫びが強まる。
エジプト当局がラファを少し開け始めたら、イスラエルはここぞとばかりに空爆を激化し、ラファを人道的なパニック状態に陥れ、できるだけ多くのガザ市民をエジプトに追い出そうとする。

https://www.rt.com/news/592569-egypt-builds-wall-near-gaza/
Egypt builds mysterious wall near Gaza ? media

5万人のエジプト側キャンプはすぐに満杯の超過密になり、数十万人が入りきれない状態になる。エジプト当局は、流入したガザ市民を難民キャンプに閉じ込めるのでなく、キャンプ外のエジプト(シナイ半島)での生活を許すしかなくなる。
イスラエルは、ラファ周辺も含めてガザ全域の市街を破壊し続け、市民がガザに戻ってこれないようにする。イスラエルは今後のラファ本格攻撃で市民を全員エジプトに追い出し、ガザを消してしまうことを目標にしている。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/egypt-erects-8-square-mile-walled-enclosure-sinai-desert-rafah-refugee-spillover
Egypt Erects 8-Square-Mile Walled Enclosure In Sinai Desert For Rafah Refugee Spillover

パレスチナ人だったガザ市民は、もうパレスチナ(ガザ)に戻れなくなり、パレスチナ人でなくエジプト人(アラブ人)になっていく。
パレスチナのもう一つの地域であるヨルダン川西岸でも、イスラエル入植者がパレスチナ人の村を焼き、抵抗する人々を殺しまくる極悪な民族浄化の殺戮が拡大している。この民族浄化も、誰も止めることができない。
イスラエルは、西岸のパレスチナ人をヨルダンに追い出し、ガザ消滅と合わせ、パレスチナの存在を消そうとしている。

https://new.thecradle.co/articles/starving-gaza-egypt-and-israels-rafah-weapon
Starving Gaza: Egypt and Israel's Rafah weapon

米国は、イスラエルの動きを傍観・擁護するだけだ。米政府の上層部はネオコン系に乗っ取られている。たとえばガザ仲裁に努力するふりをしつつ何の成果も生まないブリンケン国務長官は、ユダヤ人でシオニストのネオコン系だ。
彼らは、イスラエルがパレスチナを消していくことを許すだけでなく、イスラエルがパレスチナ人を大量虐殺しても米国や国連、国際社会が何も対応できない状況を作っている。その流れは、戦争を止める国連安保理の機能や、米英が覇権維持のためにやっていた人権外交の構図を破壊している。
国連安保理の機能は、破壊されることによって、中露など非米諸国が、国連改革という名の国連の非米化・欧米の政治力を縮小させることをやりやすくする。

https://www.moonofalabama.org/2024/01/war-on-un-west-retaliates-against-icj-order-by-defunding-humanitarian-mission-for-palestine.html
War On UN - West Retaliates Against ICJ Order By Defunding Humanitarian Mission For Palestine

巨大な殺戮と破壊を伴ってパレスチナはなくなっていく。誰も止められない。


この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/240225gaza.htm
http://www.asyura2.com/24/kokusai34/msg/311.html
[国際34] 中国に棚ボタな紅海危機(田中宇)世界は大きく転換し、もう戻らない
田中宇の国際ニュース解説 無料版 2024年3月3日 https://tanakanews.com/

「紅海危機」の長期化が必至になっている。この危機は、昨年10月から続くイスラエルによるガザの虐殺に対抗して、イエメンを統治するシーア派イスラム主義の武装政治組織であるフーシ派が11月以来、イエメン沖の紅海を航行するイスラエル友好諸国(英米欧)の船舶を無人機などで攻撃し続け、欧米のタンカーなど商船が紅海を通れなくなっている事態だ。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/reports-say-israeli-ship-galaxy-leader-hijacked-houthi-terrorists
Reports Say Israeli Ship "Galaxy Leader" Hijacked By Houthi Terrorists

https://www.presstv.ir/Detail/2024/02/29/721035/Houthi--Yemen-to-introduce-%E2%80%98military-surprises%E2%80%99-in-Red-Sea-operations
Houthi: Yemen to introduce ‘military surprises’ in Red Sea operations

米英軍が紅海に出向き、イエメンの海岸地帯のフーシ派拠点を攻撃しているが、ゲリラ出身のフーシ派の兵器の多くは可動式で逃げ足が早い。フーシ派の兵器は2-3割しか壊されていない。フーシ派は米軍の攻撃を乗り越え、昨年来50隻以上の紅海沖の欧米の商船を攻撃し続けている。

https://responsiblestatecraft.org/us-yemen-houthis-gaza/
US strikes on Yemen won't solve anything

https://news.antiwar.com/2024/01/14/houthis-offensive-capabilities-not-significantly-damaged-by-us-airstrikes/
Houthis’ Offensive Capabilities Not Significantly Damaged by US Airstrikes

フーシ派によると、紅海を通るイスラエル友好諸国の船のほとんどを攻撃している。紅海の奥にあるイスラエルのエイラト港の扱い高が85%減った。紅海は、欧州から地中海、スエズ運河を通ってインド洋、アジア方面に向かう世界最重要の航路にある。世界の商船の3割が紅海を通る。

https://www.rt.com/news/589534-us-israel-gaza-houthis/
The US and Israel face a powerful new enemy in the Middle East

フーシ派の攻撃で紅海危機が始まった後、紅海を通る欧米系の商船が激減した。欧米商船は紅海を回避し、アフリカの喜望峰回りを余儀なくされ、アジアへの航海にかかる日数が2週間ほど伸びている。
欧米系は、船の運賃や保険料が高騰し、商船の回転率が下がって船舶の確保が難しくなっている。年末年始には、欧亜間航路の運賃が3-4倍に値上がりした。運賃の高騰は、欧州のインフレに拍車をかけている。米国の貿易は紅海をあまり通らないので影響が少ない。

https://english.almayadeen.net/news/Economy/shipping-rates-via-red-sea-surge-by-310--amid-region-militar
Shipping rates via Red Sea surge by 310% amid region militarization

https://www.rt.com/business/589448-red-sea-crisis-yemen-inflation/
Red Sea crisis runs risks of new inflation

フーシ派は非米側の勢力だ。彼らが紅海で攻撃しているのは、欧米系の船だけだ。中国や印度、アラブ、ロシアなど、非米諸国の船は攻撃されていない。
フーシ派は、中国やロシアの船を攻撃しないと正式に宣言している。1月にフーシ派がロシアのタンカーを誤爆してしまう事件があり、フーシ派はこれを誤爆と認め、露中の船を攻撃するつもりがないと表明した。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/houthis-declare-safe-passage-russian-chinese-ships-red-sea
Houthis Declare Safe Passage For All Russian, Chinese Ships In Red Sea

https://www.reuters.com/world/middle-east/houthis-mistakenly-target-tanker-carrying-russian-oil-ambrey-report-2024-01-12/
Houthis mistakenly target tanker carrying Russian oil, security firm says

フーシ派は、2022年2月のウクライナ開戦で作られた米国側と非米側の決定的な対立構造の中で、非米側に味方し、米国側を潰そうとする動きをし続けている。そして、米軍はフーシ派の攻撃能力を潰せていない。
フーシ派は今後もずっと米国側の船を攻撃し続け、米国側の船は紅海やスエズ運河の欧亜航路を通れない状況が続き、船賃が高騰したまま、欧州のインフレがひどくなる。スエズ運河の欧亜航路は非米側のためだけのものになっている。
これは、ウクライナ戦争の長期化で欧米の経済と覇権が自滅し、非米側の相対的な繁栄が大きくなり、世界の多極化と非米化に拍車がかかる構図と同期している。
紅海危機は、ウクライナの戦争構造の一部になっている。米国中心の世界のグローバル経済体制は、フーシ派という一見ショボいゲリラ勢力によって壊されている。

https://new.thecradle.co/articles/how-yemen-changed-everything
How Yemen changed everything

フーシ派は、世界を多極化する作業に参加している。これは、偶然の結果なのか??。そうではない。フーシ派の後ろには、同じシーア派の大本山であるイランがいる。11月初めにイラン外相が「すべてのイラン系民兵団がイスラエルと戦う準備をしている」と表明した後、フーシ派が「イスラエルと戦う」と宣言して欧米船への攻撃を開始した。

https://www.presstv.ir/Detail/2023/11/03/713937/Iran-Syria-Qatar-Amir-Abdollahian-Faisal-Mekdad-Sheikh-Mohammed-bin-Abdulrahman-bin-Jassim-Al-Than-Palestine-Gaza-Israel-resistance-
Iran: Resistance groups fully prepared to counter any Israeli moves

イランは、1979年のイスラム革命以来、米国に敵視制裁されて戦ってきた筋金入りの反米勢力だ。2015年には、米国がサウジの権力を握ったばかりのMbS皇太子を陥れる目的でサウジとフーシ派を泥沼のイエメン戦争に陥れ、イランがフーシ派をこっそり支援する態勢が強まった。

https://tanakanews.com/150331yemen.php
米国に相談せずイエメンを空爆したサウジ

フーシ派を支援するイランの、さらに後ろには中露がいる。ウクライナ開戦後、中露は、それまでのゆるやかな非米傾向を劇的に強め、中露とイランが急接近し、一緒に米覇権潰しや世界の非米化(多極化)をやるようになった。
習近平やプーチンはサウジに接近し、米覇権を見限って非米側に転向した方が得だと説得し、同じことを考えていたMbSは中露の誘いに乗って非米側に転じた。習近平はサウジとイランの劇的な和解を仲裁し、サウジはフーシ派と停戦和解してイエメン戦争を終えた。米軍と米覇権の中東撤退が加速した。

https://tanakanews.com/230317saud.htm
サウジをイランと和解させ対米従属から解放した中国

この流れの先に、昨秋のイスラエルによるガザ虐殺・パレスチナ抹消策と、それに呼応したフーシ派による紅海危機が起きている。
パレスチナ問題は、英米がイスラエルの対アラブ協調を阻止して台頭を制限する「びんのふた」であり、米英覇権衰退とともにイスラエルはパレスチナ抹消の完遂を進めている。
イスラエルに牛耳られている米国は、ガザ虐殺という巨大な人道犯罪を積極的に支持支援させられ、国際信用を失って覇権衰退を加速している。イスラエルは、世界の非米化・多極化に貢献しており、中露もイラン・トルコ・サウジも、表向き虐殺に反対しつつ事実上黙認している。

https://tanakanews.com/240225gaza.htm
消されていくガザ

イスラエルのガザ虐殺は、中東諸国や非米側がイスラエルを制裁して潰すといった展開でなく、イスラエルを支持している米欧の国際信用と覇権を潰す展開になっている。
同様に、ガザ虐殺への反撃として始まったはずの中露イラン傘下のフーシ派による紅海危機も、イスラエルでなく米英覇権の経済体制に大打撃を与えている。イスラエルとフーシ派(イラン)は仇敵のはずだが、実際にやっていることは米英覇権の引き倒しと多極化推進という、同じ行為である。

https://tanakanews.com/240208israel.htm
イスラエルでなく米覇権を潰すガザ戦争

船舶業界は、紅海危機が今後も数か月かそれ以上続くと予測している。フーシ派は米軍の攻撃を乗り越えており、イランなどからこっそり兵器弾薬を支援され続けているので、紅海危機は今年中に終わらず、来年も再来年も続きそうだ。
その間、米国側の船は、紅海からスエズ運河の欧亜航路をほとんど通れず、米経済覇権に打撃を与え続ける。その陰で中国や印度などの非米諸国は、この航路を使い続けて発展する。中国から欧州への輸出品の大半がこの航路を通る。世界経済の非米化と多極化に拍車がかかる。

https://www.heritage.org/global-politics/commentary/china-winning-the-battle-the-red-sea-america-has-retired-world-policeman
China Is Winning the Battle for the Red Sea, America Has Retired as World Policeman

以前、この海域の船舶航行を妨害していたのは、米諜報界が裏から支援するアルカイダ系のソマリアの海賊など、米国側の武装組織だった。米国は、傘下の勢力に海賊をやらせ、それを退治するために米軍が出ていく体制を作ることで、世界を軍事的に支配していた。
この米覇権体制は、2011年から米国が起こしたシリア内戦で米国側が勝てず、米国から後始末を頼まれたロシアがイランと組んでシリアを再安定化させていくあたりから崩れた。ウクライナ戦争で露中など非米側の地政学的な優勢が加速すると、米国の中東覇権の崩壊も早まった。
そして今回、イラン中露が、傘下の武装勢力であるフーシ派に紅海危機を起こさせ、中東の航路から米国側を追い出して非米化した。世界は大きく転換し、もう戻らない。

https://tanakanews.com/151221syria.htm
シリアをロシアに任せる米国

米軍は紅海をウロウロしているがフーシ派を倒せない。それを尻目に、中国は、紅海のイエメン対岸にあるアフリカのジブチに軍港を作り、中国などの船の航行を守るために駐留兵力数を増やしている。中国軍は、2月にも新たな艦隊を紅海の入り口に増派した。

https://english.news.cn/20240221/9f1a0445f8e3467c936bd17a561a595a/c.html
China sends new naval fleet for escort mission in Gulf of Aden

中国はフーシ派をイエメンの政権としてまだ認知していない。表向き中立を保ちつつ、中国は非公式にフーシ派と協議を重ねている。タリバン政権のアフガニスタンと同様、フーシ政権のイエメンも、これから安定していくと中国が経済支援を増やして発展させていき、その過程で中国と正式な国交を結ぶ流れになる。

https://thecradle.co/articles/chinas-unexpected-gains-from-the-red-sea-crisis
China's unexpected gains from the Red Sea crisis

中国は、紅海に面したサウジやエジプトの港に工業団地を作って投資もしている。これらの拠点を含む貿易活動のために、中国の船会社は紅海と中国を往復する新たな商船団を作っている。中東では米欧が出ていき、中露が入ってきている。
日本の自衛隊も、ジブチの港を借りて紅海を通る日本などの船の安全を守っている。日本の軍勢は従来、米軍の傘下で動いてきたが、これから米国の中東覇権が失われていくと、日本は米国でなく中国と協働していくことになる。
日本にとって中国は、嫌いだが付き合い続けねばならない相手だ。フーシ派が起こしている紅海危機は、中東の非米化を加速しつつ、ずっと続いていく。


この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/240303houthi.htm
http://www.asyura2.com/24/kokusai34/msg/330.html
[原発・フッ素45] 発病、病死した有名人・芸能人の多くは高汚染地域を訪問していた 魑魅魍魎男
109. てんさい(い)[1496] gsSC8YKzgqKBaYKigWo 2024年3月03日 14:45:38 : 0kUGInjLpY : ZUJoU1c2MzFGUzY=[516]
>>108
そのZoomは見てないが、
深田もえ氏については、以前こんな記事を作った

文責者、深田萌絵について調べてみた 時の話題に巧妙に乗っかるが証拠無し 知恵足らず、高級娼婦、1000万円詐欺、判決逃れ、アベマンセー
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/615.html
投稿者 てんさい(い) 日時 2019 年 11 月 12 日
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/376.html#c109

[経世済民136] アメリカでEV販売失速、トヨタのHVがテスラのEVを逆転…値段手頃で燃費いいHVが見直される
https://news.yahoo.co.jp/articles/6cfa3886cdcd356aa8012e94ec64045fa5a9e6e7
3/4(月) 6:55配信 コメント1439件 読売新聞オンライン  【ニューヨーク=小林泰裕】

米市場で電気自動車(EV)の販売が失速している。インフレ(物価上昇)や金利上昇で高額なEVを購入する負担が増す中、値段が手頃で燃費のいいハイブリッド車(HV)が見直されており、メーカーの戦略にも影響を及ぼしている。

【グラフ】アメリカでの各社のHVとEVの販売推移

■「安心して遠出」
トヨタの販売店ではHVが人気を集めている(2月23日、米ニューヨーク市で)=小林泰裕撮影

 2月下旬、ニューヨーク・マンハッタンの自動車販売店を訪れたエベニザー・オーラさん(38)は「HVなら安心して遠出できるし、燃料代も節約できる。次に買うならHVだ」と展示車両に目をこらしていた。

 販売店のジョン・アイアコーノ社長によると、HVの販売は、この1年で約3割増えた。「近いうちに、販売台数のほとんどがHVになるだろう」と話す。

 英調査会社JATOによると、米国では2023年4〜6月期以降、3四半期連続でHVの販売台数がEVを上回った。23年10〜12月には、トヨタ自動車の米国でのHVの販売台数が前年同期比49%増の約18万台と過去最多となり、20%増の約17万台だった米テスラのEVを逆転している。ホンダのHVも約4倍の約8万台と急伸した。

■インフラ不安
 米メディアによると、米国でのEVの平均価格(23年)は約5万9000ドルなのに対し、HVは約4万2000ドルと3割ほど安い。米政府は23年、EV購入者に最大7500ドルの税額控除を導入したが、それでもEVの方が割高だ。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げで自動車ローンの金利も上昇している。

 内陸部などでは充電設備が少ないことも失速の要因とみられる。蓄電池は寒さに弱く、冬場に性能が低下しやすいことも消費者の不安につながっている。

 米調査会社アイシーカーズによると、米国でEV購入に関心を持つ層は7〜8%とされる。急速にEVの普及が進み、米国の新車販売に占める割合は23年に7%を超えた。同社は「充電設備や価格の問題を解消しない限り、米国でEV販売を伸ばすのは難しいだろう」と指摘する。

 テスラも、24年のEV販売の伸び率は23年(38%増)を大幅に下回るとの見通しを示している。

■計画修正

 市場の変化を受け、米ゼネラル・モーターズはEVの生産目標を撤回した。今後はプラグインハイブリッド車(PHV)の生産に注力する方針だ。米アップルも2月、10年がかりで進めてきたEVの開発を中止したと報じられた。

 独メルセデス・ベンツも、30年までに販売する新車をすべてEVにする計画を撤回した。韓国・現代自動車はHVの生産を強化し、高級車ブランドにHVを投入する方針と報じられている。計画修正
 市場の変化を受け、米ゼネラル・モーターズはEVの生産目標を撤回した。今後はプラグインハイブリッド車(PHV)の生産に注力する方針だ。米アップルも2月、10年がかりで進めてきたEVの開発を中止したと報じられた。

 独メルセデス・ベンツも、30年までに販売する新車をすべてEVにする計画を撤回した。韓国・現代自動車はHVの生産を強化し、高級車ブランドにHVを投入する方針と報じられている。
http://www.asyura2.com/23/hasan136/msg/323.html
[経世済民136] アメリカでEV販売失速、トヨタのHVがテスラのEVを逆転…値段手頃で燃費いいHVが見直される てんさい(い)
1. てんさい(い)[1497] gsSC8YKzgqKBaYKigWo 2024年3月06日 09:50:31 : 0kUGInjLpY : ZUJoU1c2MzFGUzY=[517]
<▽44行くらい>
ヤフコメ からてんさい(い)の考えと同じようなものを抜粋。
−−−
バッテリーのコスト、充電時間と製造・廃棄時のCO2排出量が現在の1/10程度になる様な技術革新がなければ、BEVは主流になれない。
−−−
寒い地域、時期において致命的なEVを一部の企業の商業戦略を信じ込みエコだと思い込んでいた人達がやっとその真実に気付きはじめたと言うことでは?
生産におけるトータルなエコと単純に稼働時のエコとの違い等人の思い込みや勘違いを利用した商業戦略に乗らずに頑張って来た日本企業の正しさがやっと世界で理解され始めたと考えると嬉しくなります。
日本企業に対する今迄の逆境からの好転、躍進に期待したいと思います
−−−
遂に観念して報道しだしたね。
しかし、EVは衰退しないとか往生際悪過ぎ。
シェア拡大が見込めない中でステーション維持なんて無理だし、向こう20年はかなりニッチに細々だよ。
−−−
桃田健史 自動車ジャーナリスト

見解市場が変化したとマスコミは騒ぎ過ぎ。
そもそも近年のアメリカ市場は、SUV市場が主流の中で乗用車市場で「テスラブーム」が起こっただけ。実質的なEVシフトではない。
経済全体として見れば、ESG投資(財務情報だけではなく環境・社会性(ソーシャル)・企業統治(ガバナンス)を重視した投資)のバブルが終焉し
国や地域での環境政策が見直しに向かい始めている。これを受けて、自動車メーカー各社はEVを主体とした将来事業戦略を見直しという流れ。
経済全体でも、またユーザーの立場としても、2010年代後半前の冷静に物事を判断できていた時期に一旦戻った印象。
アメリカでは2000年代から、ガソリン価格が上昇したり金利が上昇すると、生活の効率化を求める傾向が自動車消費に直接関係してきた。その結果、ハイブリッド車の需要が伸びた。
また「もしトラ(ンプ)」対応でEVを敬遠する流れも考えられる。
−−−
父がアメリカに住んでいてテスラに乗っているのですが、周りのテスラに乗っている人達も言う問題点がバッテリーが暑さ寒さに弱く可能走行距離がみるみる変わるので困る、充電施設がまだ少ない、車体が重くてタイヤが直ぐに減る、値段が無駄に高い
父も日本車のハイブリッドに乗り換える様ですし、周りも乗り換える人が多い様です
固体電池が出るまではev乗らないという考えが広がってきてる
−−−
よく遊ぶ友人がリーフ所有してて乗せてもらうけど、冬だけじゃなく夏も「ごめん、そろそろエアコン切っていい?」「オーディオも」とオフにされます。

高速移動中だと窓全開にもできないし、汗かきながら窓を数センチ開けて空気の入れ替えをしてる。
地元から関西までガソリン満タンで出発して高速使って往復したらエンプティランプ点く場所に住んでるけど、同じルートでも最低3回給電が必要。ハラハラしながら移動するのは結構ストレスです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/6cfa3886cdcd356aa8012e94ec64045fa5a9e6e7?page=1
http://www.asyura2.com/23/hasan136/msg/323.html#c1

[国際34] ちゃっかり繁栄する印度、しない日本(田中宇)先進諸国はテロ戦争や金融バブルやリベ全やコロナやウクライナ戦争で自滅
田中宇の国際ニュース解説 無料版 2024年3月6日 https://tanakanews.com/

印度は、2年前のウクライナ開戦以来、米国側と非米側の両方の利権や協力関係に乗っかり、良いとこ取りしてちゃっかり独自の繁栄と台頭を続けている。昨秋には年率8%以上の経済成長をした。

https://www.rt.com/india/593499-india-fastest-growing-economy/
India ‘easily’ world’s fastest-growing economy ? IMF

印度は、昔から中国と国境紛争で対立・戦争しており中国敵視だ。その点で米国やG7、AUKUSから仲間と見なされ、クワッド(米日豪印)など米国側の中国包囲網に参加し、経済的・軍事外交的な利得を得ている。
また印度は昔から、イスラム主義のパキスタンと対立・戦争してきた。近年はヒンドゥ第一主義を掲げるモディ首相らBJPが権力を握り、イスラム敵視を国是に定め、アヨドヤのモスクをヒンドゥ寺院に作り替える案件や、国内ムスリムへの弾圧を続けている。
印度は、パレスチナ問題においてもイスラム敵視で親イスラエルだ。この点で、印度は米欧覇権を牛耳るシオニスト・ユダヤ人に好まれている。911から米諜報界が採った、裏でイスラムテロを支援してムスリムを敵に仕立てる「テロ戦争」の構図は近年すたれているが、この構図の中で、イスラム敵視の印度は欧米の仲間だ。

https://www.aljazeera.com/news/2024/2/26/hamas-to-halal-how-anti-muslim-hate-speech-is-spreading-in-india
Hamas to halal: How anti-Muslim hate speech is spreading in India

https://archive.md/io2iQ
Modi Opens a Giant Temple, a Triumph Toward a Hindu-First India

印度は、反中国と反イスラムな点で米欧から支持支援されている。だがその一方で印度はBRICSの一員であり、世界の非米化・多極化の策では中国と一緒に動き、台頭する非米側の有力な一員として利得を得ている。新たにBRICSに入ってきたUAEやサウジ、イランなどと、印度は良い関係を結んでいる。
印度はUAE、イスラエル、EUと組んで「I2U2グループ」という、インフラ整備やエネルギー食料安保などを進める国際機関(政府間組織)に参加している。これは、欧米が中国の主導の一帯一路に対抗するために作った組織だ。
ガザ開戦でイスラエルが人道犯罪国家になった後、アラブのムスリム国であるUAEが離脱すると思いきやそうでなく、UAEは依然としてI2U2にいて、イスラエルとの国交も保持している。

https://www.orfonline.org/expert-speak/the-gaza-crisis-and-challenge-to-future-proof-i2u2
The Gaza crisis and challenge to future-proof I2U2

印度のモディは先日、UAEやカタールといったペルシャ湾岸アラブ諸国を回って投資契約などを結んだ。UAEは親イスラエル、カタールは親ハマスで、印度がラファ開放後のガザ戦争を仲介する構想すら感じられる。
イスラムのアラブの盟主であるサウジアラビアも、親イスラエルでイスラム敵視のモディの印度を嫌うと思いきや、全くそうでない。サウジの権力者MbSは昨秋モディと会い、石油や投資に関する協定を結んでいる。

https://www.thehindu.com/news/national/saudi-arabia-one-of-indias-most-important-strategic-partners-pm-modi/article67294457.ece
Saudi Arabia one of India's most important strategic partners: PM Modi

https://www.indiatoday.in/india/story/india-saudi-arabia-ink-8-pacts-pm-narendra-modi-says-ties-between-2-nations-crucial-2434422-2023-09-11
India, Saudi Arabia ink 8 pacts; PM Modi says ties between 2 nations crucial - India Today

印度とサウジは合同軍事演習や、印度人の観光客をサウジに大量流入させる策もやっており、良い関係だ。ガザ戦争や、印度国内のムスリム弾圧露骨化(アヨドヤ寺院開帳)後、印度とサウジの関係はむしろ強まっている。

https://www.hindustantimes.com/india-news/india-uae-ink-key-deals-to-strengthen-i2u2-bloc-101704824309178.html
India, UAE ink key deals to strengthen I2U2 bloc

https://www.usnews.com/news/world/articles/2024-01-17/modis-promised-ram-temple-is-set-to-open-and-resonate-with-hindus-ahead-of-indias-election
Modi's Promised Ram Temple Is Set to Open and Resonate With Hindus Ahead of India's Election

非米側では、敵対関係があっても具体的な敵対につながらず、柔軟な外交が展開されている。米国が同盟諸国に、敵性諸国に対する120%の敵視制裁を強制している(自滅的な)米国側とは全く違う。
印度は、I2U2やクワッドといった中国包囲網に参加する親米欧な国であると同時に、米国が強烈に敵視するロシアやイランと仲良くして旺盛に貿易し続けている。
米欧から批判されても無視して、印度は露イランと付き合い続けている。印度は、NATOや日米安保のような米国に縛られる同盟体に入っていないので、米国の脅しに屈する必要がない。だから米欧の無体な要求を無視して好きなようにやれる。

https://www.al-monitor.com/originals/2024/02/back-roots-india-arabian-gulf-and-reemergence-west-asia
Back to roots: India, the Arabian Gulf and the reemergence of West Asia

印度はウクライナ開戦後、ロシアが欧州に売らなくなった大量の原油を買い込み、印度で精製して欧州に転売してボロ儲けしている。米国が欧州に強要した対露制裁は、ロシアから直接の輸入を禁じているだけで、印度など他国を経由して精油された製品の輸入を禁じていない。印度経由の輸入は、欧州にとってありがたい抜け道だ。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/trilateral-threat-india-russia-and-china
The Trilateral Threat: India, Russia, And China

ウクライナ開戦後、ドルやユーロやSWIFT経由でロシアと取引決済できなくなった。だが印度はBRICS加盟国であり、BRICSが露中主導で決めた非ドル決済の仕組み(相互自国通貨決済やSWIFTの露代替であるSPFSなど)を使って非米諸国と貿易できる。
印露貿易は急増した。非米側の非ドル決済システムは、まだバーター貿易に毛の生えた程度で原始的で、改良に時間がかかりそうだが、それでも非米側の貿易は全体的に急増している。

https://www.zerohedge.com/economics/india-set-cement-role-new-gdp-growth-champion
India Set To Cement Role As New GDP Growth Champion

欧米日の先進諸国は、米国の左翼リベラルが(隠れ多極派に入り込まれて)推進する自滅的な「リベラル全体主義」の政策の拡大を強要されている。リベラル全体主義(略称・リベ全)は、不必要な地球温暖化対策や、誇張されたパンデミック対策、間違ったロシア敵視策による資源輸入の停止、社会を意図的に不安定にする違法移民の積極流入策、性別意識を意図的に混乱させて子供や若者の頭をおかしくするジェンダー政治運動、人種差別撤廃のふりをして人種対立を扇動するDEIなど覚醒運動、その他WEFの大リセットなど多岐にわたっている。

https://tanakanews.com/240119NZ1984.htm
エスタブ自滅策全体主義の実験場NZ

https://www.zerohedge.com/geopolitical/western-world-danger-milei-warns-dei-doom-dimon-touts-trump-critical-issues
"The Western World Is In Danger": Milei Warns Of DEI Doom, As Dimon Touts Trump On 'Critical Issues'

リベ全は、先進諸国や米覇権を自滅させる目的で、米諜報界を握る隠れ多極派が、米国側の権力・権威を持つ左翼リベラルにやらせている策だ。
印度やBRICSなどの非米諸国は、リベ全を拒否するか(覚醒運動)、やるふりをしてやらないか(温暖化対策)、非米諸国の独裁強化に都合の良いように使う(パンデミ策)といった「いいとこ取り」をやっている。米国側諸国が、リベ全の全てを延々と強要され、自滅的だとわかっても加速せざるをえないのと正反対だ。

https://www.rt.com/russia/592953-putin-traditional-values-foreigners/
Russia welcomes foreigners with ‘traditional views’: What we know so far

印度など非米諸国は、温暖化対策をやっているふりをしつつ、石炭の消費量を急増している。温暖化人為説は無根拠なので、近年技術改良された石炭は、実のところとても効率的なエネルギー源だ。世界中がもっと石炭を使うべきだが、米国側諸国は大間違いな温暖化対策に縛られているため石炭を使えない。

https://www.zerohedge.com/energy/coal-production-surges-83-indias-largest-power-firm
Coal Production Surges By 83% At India's Largest Power Firm

https://www.zerohedge.com/markets/worlds-coal-fired-power-generation-hit-record-high-2023
The World's Coal-Fired Power-Generation Hit A Record High In 2023

印度の政治権力は以前、左翼リベラルな国民会議派が持っていた。あのままだったら、印度は今ごろリベ全を積極導入して欧日みたいに自滅の道を歩んでいたかもしれない。だが、印度の権力は1990年代から、BJPなど保守的なヒンドゥ第一主義の側に移っていった。
印度は、左翼リベラルから保守派の国に大転換し、米欧系の覚醒運動を拒否する国になった。その結果、印度は自滅せずにすみ、世界的な非米化の流れにうまく乗って発展している。

https://www.rt.com/india/593265-india-rejects-imported-ideologies-jaishankar/
India rejects ‘imported ideologies’ - foreign minister

https://tanakanews.com/230501G7.htm
同盟諸国を自滅させる米国

印度の政権転換は、選挙によって民主的に行われた。米国の民主党やリベラルなエスタブが、自分たちの権力を守るために2020年と2022年の選挙で、郵送投票制を悪用して大規模な選挙不正をやってトランプ共和党の台頭を阻止したのと対照的だ。その結果、リベ全がゴリゴリ行われて自滅している。
米国はすでに民主主義でない。西欧もそのうちAfDやルペンへの政権移行を防ぐために大規模な選挙不正をやり、民主主義でなくなる。米欧のマスコミ権威筋はグルだから、選挙不正がないかのような大誤報を続け、人々に信用されなくなっていく。欧米と対照的に、印度(やロシア)は、立派な民主主義国だ。

https://tanakanews.com/221202election.htm
ずっと続く米国の選挙不正

https://tanakanews.com/230710europ.htm
ロシアでなく欧州を潰してる

印度はかつて英国の植民地だった。独立後も、英欧米の優位性を信奉するか、その逆に冷戦下でソ連を信奉して自滅策をやるかどちらかの左翼リベラルが印度の権力権威を握っていた。英国や欧州はずっと印度を見下していた。
だが今や、911以来の米国の隠れ多極派(ネオコンなど)のおかげで、米覇権や先進諸国はテロ戦争や金融バブルやリベ全やコロナやウクライナ戦争で自滅の道をたどり、世界は非米化と多極化が進んでいる。

https://sputnikglobe.com/20240117/brics-and-global-south-challenge-globalist-elites-with-multipolar-world---analyst-1116227253.html
BRICS and Global South Challenge ‘Globalist Elites’ With Multipolar World

印度は、中国やイスラムとの対立を利用して米国側から利得を得つつ、自国を非リベラル化させてリベ全の侵入を防ぎ、非米側を代表するBRICSの一員として経済発展と国際政治台頭を実現している。
中国とロシアはBRICS加盟国であると同時に国連安保理の常任理事国(P5)で、大国としての地位をすでに確保している。P5でない印度は、BRICSの国際政治面の恩恵を、中露よりも大きく受けている。

https://thecradle.co/articles/the-axis-of-asymmetry-takes-on-the-rules-based-order
The Axis of Asymmetry takes on the 'rules-based order'

https://www.rt.com/africa/593244-multipolarity-neocolonialism-africa-brics/
Multipolarity is a way out of the neocolonial system - African expert

英国は以前、米国の覇権運営を牛耳っていたが、911後は米覇権運営を隠れ多極派に乗っ取られ、多極派による覇権自滅・多極化策に有効な対抗策を打てないまま、英国自身の国力も大幅に低下した。
EU離脱は英国を自滅させた。英国の一部(植民地)だった北アイルランドは、英国から分離独立してアイルランドと統合する道を歩み始めている。スコットランドもいずれ分離独立する。
印度は、米国側と非米側の両方に属しつつ良いとこ取りする、ちゃっかりな繁栄策で成功している。対照的に、英国は、米国の覇権運営権を奪われて世界を非米化されてしまい、破綻させられている。印度と英国の対照性は、この四半世紀の世界を象徴している。
英米の覇権は世界を悪くした。それがなくなり、世界は好転している。悪い英米覇権の一部である米国側マスコミは、この好転を無視歪曲して誤報している。

https://archive.md/dRs45
Northern Ireland Has a Sinn Fein Leader. It’s a Landmark Moment

https://www.rt.com/news/589986-british-regret-brexit-poll-economy/
Most Brits regret Brexit - poll

印度は、イスラム圏(中東など)と中華圏(東南アジア)にはさまれた独自の孤立文明だ。孤立文明という点では、中国の影響を受けつつ独自性が高い日本と同じだ。
同じような孤立文明の国なのに、印度はそれを利用してうまく繁栄し始めている。日本は、孤立文明のくせに無理やり欧米側に入りたがり続け、911以来の四半世紀ずっと対米従属だけに固執した挙げ句、米国からリベ全を強要され、米国と一緒に自滅しつつある。
日本は、自滅した後は中国の言いなりになって「小琉球」的な対中隷属をやりかねない力量低下だ。日本ではすでに中国人が急増して我が物顔で闊歩し、日本人は追従笑いしながら小さくなっている。独自文明を放棄し、最終的に中華文明圏の弱小国になっていく間抜け。印度人は元気だが、日本人はどんどん弱くなる。

https://tanakanews.com/220702ukrain.htm
日米欧の負けが込むロシア敵視

ハンチントンが1990年代に「文明の衝突」で日本を欧米と異なる独自の孤立文明に区分したとき、日本の権威筋は、米国から独自文明と認められたことを喜ぶどころか逆に、戦後ずっと欧米の仲間入りしたくて頑張ってきたのに欧米に入れてくれず孤立を強要するのか、何とか欧米に入れてくれと、ハンチントンに懇願したが、苦笑され、なだめられつつ断られた。
日本の権威筋(だけでなく、国民のほとんど)は、今も当時と同様の気持ち・精神構造だ。日本は非米的な「グローバルイースト」になれるのに、自らその道を放棄している。

https://tass.com/politics/1751987
Russia builds equality-based cooperation with partners, unlike West

日本の左翼やリベラルは「対米自立」を掲げるが、その一方でリベ全に完全洗脳されて積極推進している。リベ全は新手の、より悪質で根深い対米従属の構図で、しかも経済と社会を自滅に向かわせる構造を内包している。
リベ全はこれまで米欧で洗脳を広げて自滅させてきたが、日本への影響は少なかった。だが最近はしだいに日本もリベ全に乗っ取られている。地球温暖化や外国人定住推奨、ジェンダーなどの分野でそれが感じられる。

https://tass.com/politics/1747713
Europe is losing dignity by obediently submitting to US

非米側は、各国の指導者どうしが集まってサミットや2国間会談で国際決定する態勢が強い。国家首脳が強い権力を持つ国ほど、非米世界の恩恵を受けやすい。印度も中国もロシアも、国家首脳が強い権力を持っている。エルドアンが強権を持つトルコも、NATOに加盟しつつ、非米側の国としてロシアやイランと仲良くする両属策でうまくやっている。
これらと反対に日本は、首相の力が大きくない。首相が独自に動こうとすると、すぐ官僚機構に情報が漏れ、官僚機構は対米従属だから米国に話が伝わり、妨害が入る。日本は、非米側と仲良くしていく道を塞がれている。

https://tanakanews.com/120229japan.htm
民主化するタイ、しない日本

印度は非米側だが親日だ。印度と日本はクワッドの仲間だ。しかし、クワッドは中国敵視網であり、BRICSが重要になるほど、印度の中国敵視は名目だけになり、クワッドは雲散霧消していく。
印度(やその他の非米諸国)が親日なのは、日本が欧米でないからだ。非米側は、日本が非欧米な独自の孤立文明だから、日本に期待している。だが、日本人自身がそれをわかっておらず、日本は独自文明じゃありません、欧米の一員ですと言い切ってしまう。自らをおとしめている。大馬鹿だ。
世界は、欧米化する前の日本人が好きなのに、日本人自身が、欧米(傀儡)化する前(戦前もしくは明治維新前)の自分たちの本質を忘れてしまっている。本質の蘇生はかなり難しい。

https://tanakanews.com/240213india.htm
印度は意外と居心地良い

日本では首相辞任後の安倍晋三が、自民党内で院政を敷くことで印度やエルドアンの方式をやろうとした。首相でなく院政なら、独自に動いても官僚に話が漏れにくい。だが、それをやりだした後、安倍は暗殺された。
真犯人が隠されたまま、マスコミはすぐに統一教会の話にすり替え、安倍派や自身党全体がスキャンダルで潰されていく流れが作られた。マスコミ権威筋と左翼リベラルが寄ってたかって日本にリベ全を注入して自滅させている。
みんな「自民党は最悪だ」と言う。だが、そうなのか。最悪なのは自民党よりも、マスコミ権威筋や日本外務省、リベ全に洗脳された左翼リベラル、黒幕の米諜報界の方でないか。

https://tanakanews.com/220808abe.htm
安倍元首相殺害の深層 その2

今秋の米選挙でトランプが選挙不正を乗り越えて勝って大統領に返り咲くと、米政府からリベ全を一掃してくれて、対米従属の日本はトランプに従属して難を逃れられるのか??。日本独自の転換でなくトランプに頼るのはとても他力本願だが、トランプが日本にとってのカミカゼになってくれる可能性がある。これについては、あらためて考える。


この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/240306india.htm
http://www.asyura2.com/24/kokusai34/msg/347.html
[原発・フッ素53] フィンランドの男性、テスラ車を爆破 修理に250万円かかると言われ (CNN)  魑魅魍魎男
31. てんさい(い)[1498] gsSC8YKzgqKBaYKigWo 2024年3月07日 18:56:27 : 0kUGInjLpY : ZUJoU1c2MzFGUzY=[518]
爆破近くにいたら、バッテリーを構成している汚染物質のエアロゾルが肺に入って健康に悪そうだが
http://www.asyura2.com/20/genpatu53/msg/752.html#c31
[国際34] ピエロにされていたヌーランドが辞任(田中宇)米国の外交政策を決める場には、ピエロやピエロ使いがたくさんいる
スプートニクに記事依頼された記事を書いていて考えたこと、という。

https://tanakanews.com/
◆ピエロにされていたヌーランドが辞任(有料記事のヘッドライン)
 【2024年3月8日】ヌーランドは、自分ではウクライナを動かしてプーチンを潰して米国を勝たせる主役のつもりだったのだろうが、実際は正反対の、米欧ウクライナを自滅させてプーチンを勝たせる米上層部の隠れ多極主義者に騙されて動かされ、最後は権威を失って笑いものになるピエロ役にされている。米国の外交政策を決める場には、ピエロやピエロ使いがたくさんいる。ネオコンの中にも、ピエロとピエロ使いが混じっている。ニセの諜報をつかませると、大間違いな戦略を立案実行してしまう。

スプートニク1
https://twitter.com/sputnik_jp/status/1765711736433254598
【視点】日本の国際情勢解説者、ヌーランド米国務次官退任を分析「ロシア敵視策は失敗確定、ウクライナ立て直し担当は無理だった」

🔷 5日、米国務省の #ヌーランド 次官(政治担当)が数週間以内に退任することが明らかになった。国際情勢解説者の田中宇(たなか・さかい)氏に、この退任劇について分析してもらった。以下、田中氏の見解をご紹介する。

💬 ヌーランドは、オバマ政権の米国務次官補だった2014年、中立だったウクライナをロシア敵視の米傀儡国に変えたマイダン革命の立役者。米国はその後、ウクライナに国内のロシア系住民を弾圧殺害させ続け、ロシアが同胞保護のためウクライナに進軍せざるを得ない今の事態を作った。

💬 ヌーランドは、ロシアを戦争に巻き込んで疲弊させて潰す構想だったが失敗し、今や疲弊して潰れかけているのは米欧ウクライナの側だ。米国(オバマやバイデン)のロシア敵視策は失敗が確定し、欧州や米共和党から批判が強まっている。バイデンはヌーランドを辞任させざるを得なかった。

💬 戦場でウクライナの対露敗北が確定したのは昨年5月で、バイデンがウクライナを立て直すためヌーランドを国務次官に起用したのは昨年7月だから、今回ヌーランドは最初から失敗する運命だった。しかもヌーランドは、好戦策を過激に稚拙にやって失敗させる策を意図的にやるネオコン系列の人で、立て直し担当は無理だった。

💬 #バイデン 側近にはブリンケン国務長官などネオコン系列が多い。彼らはウクライナ戦争の泥沼の長期化を画策している。そのために失敗を予測しつつ、立て直しの不能性を示すため、国務次官補の時に好戦性で有名になったヌーランドをピエロとして再起用したのでないか。共和党ではトランプ前大統領がネオコン系のジョン・ボルトンをピエロとして安保担当補佐官に据えていた。

スプートニク2
https://twitter.com/sputnik_jp/status/1765719437892637042

【視点】 国際情勢解説者の田中宇氏、ヌーランド退任に伴う米国からの「加圧低下」で日本は安堵しても、対露和解までは至らずと予想

🎙️国際情勢の専門家である田中氏は、米国務省のヌーランド次官(政治担当)退任を受け、日本への影響について次のように話している。

💬「ヌーランドは、日欧など同盟諸国にロシア敵視とウクライナ支援の強化を加圧していた。日本政府は資源大国であるロシアを敵視することに消極的で、ヌーランドの辞任で米国からの加圧が低下するのでやや安堵しているはず」

💬「だがバイデンは、選挙前なのでロシア敵視をゆるめず続ける。米露関係は少なくとも今年いっぱい悪いままで、日欧も対露和解させてもらえない。もしトランプが米大統領に返り咲くと、転換の可能性が出てくる」

🇯🇵2022年7月に日本を訪問したヌーランド氏は、NHKのインタビューに応じた中で、「サハリン2」をめぐり「エネルギーをプーチンが日本に対抗する武器にさせてはならない。時間をかけて依存を終わらせるため日本とエネルギー需要について協議している」と述べ、ロシアの天然ガスプロジェクトに日本が参画していることに対して不快感を示していた。
http://www.asyura2.com/24/kokusai34/msg/358.html
[国際34] ガザ虐殺からエジプト転覆へ(田中宇)中東が今まで以上の動乱期に入るなら金相場さらに高騰
田中宇の国際ニュース解説 無料版 2024年3月9日 https://tanakanews.com/

この記事は「消されていくガザ」の続きです。
消されていくガザ(田中宇)巨大な殺戮と破壊を伴ってパレスチナはなくなっていく。誰も止められない。
http://www.asyura2.com/24/kokusai34/msg/311.html
投稿者 てんさい(い) 日時 2024 年 2 月 26 日



3月6日、エジプト政府がIMFなどから追加支援を受けるために、それまで介入で高止まりさせていたエジプト・ポンドの対ドル為替を自由化して40%の暴落を容認した。資金逃避を止めるため、エジプト中銀が6%の利上げをした。
エジプトは2022年にIMFからの借金を増やしたが、IMFはエジプト政府が為替を人為的につり上げているのが不満で、融資の履行が滞っていた。エジプト政府は、国民の資産を目減りさせたくないので為替を操作してきたが、その結果ブラックマーケットが拡大して二重経済になっていた。

https://www.aljazeera.com/news/2024/3/6/egypt-strikes-expanded-8-billion-deal-with-the-imf
Egypt strikes expanded $8bn deal with the IMF

https://thefridaytimes.com/08-Mar-2024/egypt-s-economic-debacle-is-far-from-over
Egypt's Economic Debacle Is Far From Over

新型コロナによる経済閉鎖で、エジプト国民の貧困率は3割から6割に倍増した。昨年10月からのガザ戦争で、エジプト経済の大黒柱だった観光業が2-3割の減収になった。戦争を恐れて外国からの投資も来なくなった。イエメンのフーシ派が紅海の航路を止めたのでスエズ運河を通る船が減り、運河通行料の政府収入が4割減った。
エジプトは地中海岸有数の天然ガスの液化施設があり、イスラエル沖のガス田から送られてきたガスを液化して船で欧州に送り、加工賃の収入を得ていた。だがガザ開戦とともにガスの送付量が半減し、エジプトの収入が激減した。

https://www.reuters.com/world/africa/how-big-are-egypts-economic-challenges-2024-03-06/
How big are Egypt's economic challenges?

https://tanakanews.com/240303houthi.htm
中国に棚ボタな紅海危機

これらの要素が重なり、もともと脆弱だったエジプトの経済は危機が再発した。食糧などに関する世界的なインフレもエジプトのような新興諸国を直撃しており、国民生活は悪化するばかりだ。エジプト政府は資金難がひどくなり、為替市場を暴落させてもIMFなどからの支援の再開と追加が必要になった。
エジプト政府は支援金を得られるが、為替が崩壊して金利も上がり、インフレがひどくなって市民生活がさらに打撃を受ける。エジプトの対外債務率はアルゼンチンなどと並んで世界最悪級で、政府予算の45%が公債の利払いに消えている。

https://www.timesofisrael.com/cash-strapped-egypt-allows-currency-to-fall-against-dollar-hikes-interest-rates/
Cash-strapped Egypt allows currency to fall against dollar, hikes interest rates

https://www.aljazeera.com/news/2024/2/24/how-israels-war-on-gaza-is-bleeding-egypts-economy
How Israel’s war on Gaza is bleeding Egypt’s economy

インフレや経済悪化は、国民の反政府感情を高める。加えて人々は、ガザ市民が大量虐殺されているのに政府が何もできず、イスラエルと国交を保ったままであることにも腹を立てている。
ガザ戦争においてエジプト政府は被害者だし、エジプトがイスラエルと断交して参戦したらエジプト人自身が虐殺されるが、そんな道理は市民に通じず、怒りが充満している。
今後さらに状況が悪化すると、エジプトで暴動が起こる。事態が改善されないと、2011年の「アラブの春」の暴動の拡大から政権転覆への展開が再演される。アラブの春も、インフレによる食糧の高騰や不足が原因だった。今回は、それに加えてガザ戦争の怒りがある。

https://www.zerohedge.com/markets/egypt-implements-massive-devaluation-currency-sending-pound-tumbling-popular-unrest-could
As Egypt Implements Massive Devaluation Of Currency, Sending Pound Tumbling, Unrest & Instability On Horizon

イスラム世界は3月11日からラマダン(断食月)に入る。イスラエルは、ラマダンまでにハマスが人質(130人)を解放しない場合、ガザ市民の大半が追い詰められているエジプト国境のラファを大規模空爆・侵攻すると言っている。
エジプトやUAE、カタールなどが仲裁してイスラエルとハマスの交渉が行われてきたが、最近はイスラエルが先に生存人質リストを出せとハマスに要求するなど難癖をつけて欠席している。

https://news.antiwar.com/2024/03/01/netanyahu-breaks-off-hostage-talks-with-hamas/
Netanyahu Breaks Off Hostage Talks With Hamas

イスラエルの目的は、ラファを猛攻撃してエジプトが国境を開けてガザ市民を受け入れざるを得ないようにすることだ。ガザ市民を全員エジプトに強制移住させ、パレスチナの存在を消していくのがイスラエルの目標だ。
ハマスが人質を解放して停戦が実現し、市民がガザに残ったまま戦争が終わることをイスラエルは望んでいない。だから欠席して交渉を潰した。もう時間切れでラマダンに入る。数日内にイスラエルがラファへの猛攻撃を開始しそうだ。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/delegations-leave-cairo-no-gaza-ceasefire-progress-made
Delegations Leave Cairo With No Gaza Ceasefire Progress, 'No Solution' In Sight

そのような状況下で、ラマダン入り4日前の3月6日にエジプトがIMFの加圧に屈して為替を自由化してポンドが暴落、金利も急騰し、エジプトは金融経済の危機が再燃し始めた。これはタイミング的に重要だ。
ガザ市民の大半はハマスの支持者だ。ハマスはムスリム同胞団のパレスチナ支部であり、エジプトで軍事政権が倒れると同胞団の政権になる。2011年のアラブの春で、エジプトはムバラク(軍事)政権が倒れ、2012年の選挙で同胞団のモルシー政権ができた。モルシー政権はうまくいかず、混乱に乗じて2013年に軍がクーデターを起こし、今のシシ軍事政権になった。
今後、イスラエルのラファ攻撃によって国境が開き、ハマス支持の百万人以上のガザ市民が大挙してエジプトに移住すると、エジプトの同胞団は大きく加勢される。すでにあるエジプト人の反政府感情は同胞団支持へと転化し、反政府運動が広がってアラブの春が再燃し、シシ政権が倒されて再び同胞団(ハマス)の政権になる。

https://responsiblestatecraft.org/egypt-israel-gaza/
Why Egypt can't and won't open the floodgates from Gaza

こうした流れを引き起こすなら、今回の為替暴落・金利高騰によるインフレ激化が、エジプト人の反政府意識と同胞団支持を煽ることが重要だ。これは偶然のタイミングでなく、IMFなど国際金融行政界にたくさんいるイスラエル支持者(シオニスト、ユダヤ人)たちが意図的に起こしたことだと勘ぐれる。
イスラエルはパレスチナを分裂させるため、1980年代からハマスをこっそり支援してきた。今のガザ戦争は、イスラエルがパレスチナ人をエジプトやヨルダンに追い出してナクバ(民族浄化)を完成する見返りに、ハマス(同胞団)がエジプトやヨルダンの政権を奪取し、イスラエルの一部でなくエジプトやヨルダンをパレスチナにするために起こされた。
このシナリオの実現には、軍事力でガザと西岸の市民をエジプトやヨルダンに追い出すだけでなく、エジプトやヨルダンを経済難に追い込んで国民の反政府意識を激化させ、政権を同胞団の側に転覆させることが必要だ。

https://tanakanews.com/240111gaza.htm
イスラエルの虐殺戦略

エジプトでもヨルダンでも、すでに同胞団(ハマス)は最大野党だ。両国とも、現政権は米国とサウジの傀儡だ。米国の覇権が衰退し、サウジが両国の同胞団化(親イラン化)を容認すれば、両国は民主的に同胞団の政権になる。
サウジは、カネを貸すとか貸さないとかだけ決められるが、それ以上の力量がなく、エジプトなどの転換を容認せざるを得ない。
ヨルダンは、エジプトが同胞団の国へと転換した後、ヨルダンの同胞団化を望むエジプトと、西岸パレスチナ人の強制移住を望むイスラエルの両方から影響されて転換していく。王政が残ったまま転換に対応していく可能性もある。

https://tanakanews.com/231125gaza.htm
ずっと続くガザ戦争

IMFは米国の覇権機関の一つで、カネを貸した国の体制をねじ曲げる力を持った「ワシントン・コンセンサス」の国際機関だ。IMFなど米覇権運営体に巣食うユダヤ人・シオニストたちが、多重債務国のエジプトを追い込んで潰すのは難しくない。
(ユダヤ人の中には反シオニストもいる。シオニストは、ロスチャイルドなど大英帝国の資本家に対し、ユダヤ人なんだから協力するのが義務だと恫喝し、イスラエル建国を実現していった部分があり、資本家とシオニストは仲間というより騙し合い・心理戦の関係だ。すべてのユダヤ人は互いに騙し合っているとも言える。今回はこの件を突っ込まない)
これまでシオニストと米覇権の利害は一致していた。というか、シオニストは自分たちの利害に沿って米覇権を動かしていた。だがこの四半世紀、シオニストは米覇権を自滅させる隠れ多極派の役回りが増えた。その挙げ句の大胆な具現化が、今のガザ戦争だ。

https://tanakanews.com/f0622israel.htm
イスラエルとロスチャイルドの百年戦争

この戦争は、パレスチナ人を民族浄化することによって、イスラエルをパレスチナ問題から解放する。同時に、イスラエルは牛耳った米英欧を巻き込んで巨大な人道犯罪をおかすことで米英覇権体制を破壊し、世界を非米化・多極化する流れに貢献する。
イスラエルがおかした人道犯罪はあまりに巨大なので、イスラエルが裁かれ潰される前に、米英覇権の根幹をなす人権外交(詭弁的な人権擁護体制)の構造自体を破壊する。その結果、イスラエルは存続し、パレスチナ問題から開放されてむしろ強くなる。活動家の方々はお怒りだろうが、私は「あるべきだ論」でなく「現実」を書いている。

https://tanakanews.com/231224israel.php
パレスチナを人権外交ごと潰すイスラエル

この四半世紀、米覇権の中枢では軍産複合体と隠れ多極派が併存し、米国は過激で稚拙な戦争を次々とやって覇権を自滅させ世界を多極化してきた。今起きているガザ戦争とウクライナ戦争は、その集大成だ。
ウクライナ戦争は、米国がお膳立てし、プーチンがそれに乗って侵攻した。ガザ戦争はネタニヤフのイスラエルがお膳立てから侵攻までやりつつ米国を巻き込んだ。イスラエルはもう米国の言うことを聞かない。米国はすでに終わった旧覇権国だ。
ネタニヤフは本物のすごい人道犯罪をやっているが、プーチンの人道犯罪は米ウクライナが捏造した濡れ衣だ。そういう違いがあるが、2つの戦争の役割は、多極化と米覇権破壊の策として同一だ。

https://tanakanews.com/240208israel.htm
イスラエルでなく米覇権を潰すガザ戦争

ネタニヤフ政権は崩壊寸前と報じられているが、意図的な誤報だ。ネタニヤフは、イスラエルをパレスチナ問題から解放する歴史的な「偉業」をやっており、中枢の人々から支持されている。
連立政権内の中道派の閣僚であるベニー・ガンツが、ネタニヤフの禁止命令を無視して訪米し、ネタニヤフを嫌うバイデン政権と親密になったと報じられている。これはネタニヤフによる意図的な時間稼ぎ策、不満を強める米国のガス抜きをする策だろう。

https://www.aljazeera.com/news/2024/3/5/is-gantz-really-a-danger-to-netanyahus-power-in-israel
Is Gantz really a danger to Netanyahu’s power in Israel?

ガンツはネタニヤフのライバルを演じているが、途中まで進めたガザ戦争をやめることはガンツもできない。
ネタニヤフが大っぴらにガザ市民を虐殺する巨大な人道犯罪をやったのは、パレスチナ人やアラブ諸国に衝撃を与えて反撃できなくする策であるとともに、世界中のユダヤ人に対し「途中でやめたらユダヤ人が殺される。パレスチナ(ハマス)をイスラエルから追い出してエジプトとヨルダンに移転させるナクバ完遂を成功させるしかない」と思わせるためだろう。

https://www.zerohedge.com/political/watch-fuming-aoc-drops-f-bomb-activists-demanding-she-call-gaza-war-genocide
Watch: Fuming AOC Drops F-Bomb On Activists Demanding She Call Gaza War 'Genocide'

世界の主要な諸勢力は、イスラエルのナクバ完遂を妨害せず、批判しつつ黙認している。シオニストが牛耳るIMFでなく、サウジや中国がエジプトにカネを貸せば、エジプト経済は崩壊せず、シシ政権が延命でき、同胞団の返り咲きを防げたかもしれない。
だがサウジも中国もエジプトにカネを貸さず、エジプトの政権転覆への道を黙認している。アブダビはエジプトに貸したが、IMFによるエジプト破壊を防げていない。
米国では共和党のトランプも、イスラエルのガザ戦争への支持を表明した。トランプは徹頭徹尾イスラエル支持だ。民主党左派はイスラエル非難を強め、バイデン政権との党内対立が激化しているが、これは民主党を弱めるだけだ。同じ親イスラエル表明でも、トランプは有権者からの支持を減らさず、民主党にとってだけ不利になるのが興味深い。

https://news.antiwar.com/2024/03/06/trump-on-israels-gaza-slaughter-youve-got-to-finish-the-problem/
Trump Weighs In On Gaza Ahead Of November: "Firmly In Israel's Camp"

現実策として、ガザ市民の生命を救う早道は、ガザに閉じ込めたまま支援物資を入れることよりも、エジプトにラファを開けさせて移住させることだ。
ここ数日、金相場が高騰しているが、これは3月10日以降にイスラエルがラファを攻撃してガザ市民をエジプトに追い出し始め、中東が今まで以上の動乱期に入り、その中で米覇権の衰退が進むことを予測しての動きかもしれない。金相場が中東有事と連動しているなら、これからさらに高騰する。


この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/240309egypt.htm

http://www.asyura2.com/24/kokusai34/msg/361.html
[国際34] BRICS共通通貨の遅延(田中宇)米金融界のバブル崩壊後になりそう
田中宇の国際ニュース解説 無料版 2024年3月10日 https://tanakanews.com/

うまくいけば今年のBRICSサミットで創設される予定だったBRICS共通通貨の準備が遅れている。BRICSの中央銀行の役目を果たす新開発銀行(BRICS開発銀行)が共通通貨の創設に消極的なのが理由だという。深読みしていくと、技術的でなく、政治的な遅延だと勘ぐれる。
ロシアの世界戦略を調べ続けているオルトメディア系記者のぺぺ・エスコバルが、露政府でBRICS共通通貨の創設を担当するセルゲイ・グラジエフに取材して聞き出した。
BRICSは、共通通貨創設の前段階として、BRICS各国の通貨で相互貿易を決済する体制の確立をまず目指している。各国通貨での貿易はすでに行われ、拡大している。ロシアのカザンで10月に予定されている今年のBRICSサミットでは共通通貨について話さず、各国通貨決済体制の整備だけで終わりそうだ。

https://sputnikglobe.com/20240228/rocky-road-to-dedollarization-sergei-glazyev-interview--1117034183.html
Rocky Road to Dedollarization: Sergei Glazyev Interview

新開発銀行の要員は非米側の人々であり、ドルやIMFなど既存の米覇権システムに疑念や不信感を持つ人々だと思いきやそうでなく、米覇権下で教育・洗脳され、ドル覇権システムのままの方が便利で良いじゃないかと思っている。だから新開発銀行は、BRICS共通通貨を創設する基軸通貨の非ドル化に消極的で、創設が遅延しているとグラジエフは文句を言っている。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/rocky-road-de-dollarization-pepe-escobar-interviews-sergei-glazyev
'A Rocky Road To De-Dollarization' - Pepe Escobar Interviews Sergei Glazyev

グラジエフらロシア勢がBRICSに提案している共通通貨は、BRICS諸通貨を入れた(加重平均した)ものと、石油ガス石炭(や金地金)など資源類(コモディティ)を入れたものの2つのバスケット(指数)を作り、それを一つの数値にして、資源の価格や通貨の為替を決める。
紙幣など現金を発行するのでなく、デジタル通貨のかたちをとり、BRICS諸国の政府や機関がデジタル通貨の口座を持ち、決済に参加する(それによって紙幣発行・民間銀行利用の場合よりコストが10分の1になる)。
当初の参加者は、共通通貨の条約に署名したBRICS諸国に限定し、BRICS内部の貿易専用の通貨として始まる。当初のBRICS共通通貨は、一般市民が日々の買い物や貯蓄に使うものでなく、BRICS加盟諸国の国営石油会社など政府系機関が、他のBRICS諸国の政府系機関と貿易する際の専用システムとして発足するようだ。
そして、このような限定的な始まり方であっても、BRICSとしての決定がいつになるか不明な状態だ。

https://tanakanews.com/220728russia.php
資源の非米側が金融の米国側に勝つ

グラジエフはエリツィン時代からの経済閣僚経験者で、有力な議員でもあり、2009年のBRICSサミットの開始直後から、BRICS共通通貨を作ってドルに替わる国際基軸通貨にする案を練り続けてきた。彼はユーラシア統合策を考えるプーチンの知恵袋で、モスクワの大学院大学(HSE)の学長もつとめる権威筋だ(私が昨年末に参加したのはHSEのシンポジウム)。

https://tanakanews.com/231204russia.htm
多極型世界システムを考案するロシア

グラジエフは露中枢の権威筋なのに、彼の提案は、プーチンと習近平の首脳会談の議題にすらなっていない。
グラジエフは、中国の人民大学の専門家たちと会合を持ち、専門家どうしの間では、BRICS共通通貨が良い案だという話になった。だが、そこから習近平につながる中共中央の政治高官たちに対する提案はまだ行われていない。
どうも、BRICS共通通貨の創設を進めることに消極的なのは、新開発銀行の金融専門家たちでなく、中共の政治上層部であるようだ。新開発銀行は本部が上海にあり、BRICS全体よりも中共の意志を反映する傾向が強そうだ。米国に本部があるIMF世銀や国連は(もともと)米国の意志を反映する傾向が強かった(米国が国連を嫌ったので、国連は非米側に寄った)。

https://tanakanews.com/231208china.htm
多極世界でロシアから中国を見る

ウクライナ開戦直後から、ロシア(グラジエフら)は、非米側と米国側の決定的対立が長期化し、非米側が世界の資源利権を握るようになり、資源類の価値に依拠した非米側の「金資源本位制」が、米国側のドル基軸や金融覇権・債券金融システムに取って代わる流れを提案・希求するようになった。具体策の一つがBRICS共通通貨の創設だった。
開戦から2年が過ぎ、非米側と米国側の対立長期化が具現化している。ロシアのほか、サウジUAEイランといった石油ガス大国がBRICSに入り、OPECも非米側の組織になり、欧米は資源利権を放棄・喪失し続けている(無根拠な人為説に基づく超間抜けな温暖化対策も関係)。
BRICSは共通通貨こそ作っていないが、各国通貨での貿易を増やして非ドル化を進めている。ロシアが描いた金資源本位制は、ある程度現実になっている。

https://tanakanews.com/220630russia.php
制裁されるほど強くなるロシア非米側の金資源本位制

だが、どうやら習近平の中共は、ロシアの提案に対して部分的にしか賛成していないようだ。ロシアは石油ガス金地金などを豊富に埋蔵する資源保有大国であり、だからこそ資源類の価値を下支えにしたBRICS共通通貨を創設してドルに取って代わる案を進めたがっている。
しかし中国の状況はロシアと大きく違う。中国は、人口比で見て資源大国でない。世界的な製造業の能力と、巨大な人口に裏打ちされた成長する消費市場が中国の取り柄だ。ロシアは資源を売る側、中国は資源を買う側だ。

BRICS共通通貨が資源の価値に連動することになると、ロシアなど資源大国が埋蔵している未開発・未採掘の資源類も、潜在的にロシアなど資源保有国の国富に加算される。対照的に、地下資源は少ないけど製造業の開発・生産能力が高い(昔の日本や米欧や)今の中国のような国は、それも潜在的・未実現な国富なのに換算されず、不公平だ。
グラジエフのBRICS共通通貨案は、資源大国ロシアの野望の実現策でもある。だから、その部分になると中国が乗ってこない。残りの部分については中国も賛成して動いている。

https://tanakanews.com/221010opec.php
産油国の非米化

中共は昨年、資源大国であるサウジUAEイランのBRICS加盟に賛成した。中共はBRICSの外でも、インドネシアがニッケルの採掘だけでなく精製までの川下工程の利権を米国側から剥奪して自国のものにすることに協力するなど、非米側への資源利権の移転に積極的だ。
インドネシアは最近、国内の採掘を急増して安いニッケルを世界市場にあふれさせ、豪州など米国側諸国の割高なニッケル鉱山を潰しにかかるなど、世界非米化の面白い流れを作っている。こういう「商人」的な動きの裏にも中共がいそうだ(インドネシア人は昔から華人が嫌いだが頼らざるを得ない)。

https://www.zerohedge.com/commodities/seismic-shift-indonesia-floods-market-cheap-nickel-sparking-wave-unprofitable-mines
Seismic Shift: Indonesia Floods Market With Cheap Nickel, Sparking Wave Of Unprofitable Mines

中共は、世界の資源利権が米国側から非米側に移転することに賛成して積極的に進めている。その方が、中国や非米側への資源供給が安定するからだ。
習近平は、中国内の株価や不動産金融のバブル崩壊も誘発しており、米国型の金融システムを潰すことにも賛成のようだ。実体経済の何十倍もの資金(レバレッジのちから)を使って世界経済を不正に操作してきた米金融界が消滅すれば、世界経済は今よりずっと安定する。

グラジエフも言っているが、資源類の採掘時の売買価格は、最終的に消費者が払う価格の10分の1だ。残りの9割は中間差益であり、その多くが米欧に入る。この部分が、これまで非米側が米国側からピンはねされた分であり、独立後も続く事実上の植民地体制であり、米欧はこれで繁栄してきた。資源の利権が非米側に移ると、米国側はピンはねできなくなり、その分非米側が発展する(非米側内部での取り分の争奪戦はあるが)。だから中国も賛成する。

https://tanakanews.com/230819brics.htm
新しい世界体制の立ち上がり

もう一つグラジエフが言っていることは、従来の資源類の価格が、資源を売買する産出国と消費国の間の実際の売買価格でなく、ロンドンやNYシカゴなど金融市場での金融界・投機筋による信用取引や先物取引で決まっている点だ。
実際の資源の売買代金の何十倍もの資金が起債や造幣によって作られ、それを使って米英金融界のコモディティ市場の相場が動かされ、それが国際的な資源の価格にされている。

実際の資源の売買のほとんどは、20年とか30年の長期で契約され、契約価格が当事者間の秘密になっている。実際の資源の価格は、非公開なので国際価格に反映されにくい。国際価格は実際の取引と無関係に米英が自分たちの都合に合わせて決めている。

この価格決定システムは、資源の利権が非米側に移っても変わらない。価格決定を米国側に握られたままだと、物理的な資源利権が非米側に移ることの意味が半減する。米英の意志で非米側の資源価格が乱高下させられてしまう。
この事態を変えるには、米英の金融システムを破綻させるしかない。米英金融は実体経済と無関係に、金融界や当局が起債や造幣をするだけでバブルが膨張し続けている。米英金融は自転しており、非米側が策略しても潰せない。米英金融自身の自滅を待つしかない。
中共は、自国内の金融バブルを潰すことで、米国の金融崩壊時に連鎖破綻するのを防いでいるが、それだけだ。中共が米国の金融崩壊を誘発することはできない。

https://tanakanews.com/170531china.php
中国の意図的なバブル崩壊

非米側に資源類の価格決定権がないまま、資源価格をバスケットした共通通貨を作ってもダメだ。米英金融界が資源価格を乱高下させ、BRICS共通通貨を破壊する。その懸念はグラジエフも認めている。
加えて、非米側の資源保有国自身が、自国の資源を売る際の実勢価格を、買い手と二者間だけの秘密・非公開にしている。グラジエフは、非公開な価格を強制的に公開させる国際体制をBRICSが作らねばならないと言っている。
だが資源類の長期契約の価格は、売り手と買い手の2国間の政治関係も大きく影響し、需給に基づく市場価格とは別物だ。公開させることが良いのかどうか疑問だ。

プーチンと習近平は何度もやっている首脳会談で、今後の非米側の国際通貨体制についても話しているはずだ。そこでどんな話になっているのかわからないが、BRICS共通通貨を早く実現しようという話にはなっていない。
資源価格の決定が米英金融界に握られ、長期の実勢価格も非公開だし政治的産物であることを考えれば、遅延して当然といえる。
資源類のバスケットを加味せず、BRICS諸通貨のバスケットだけで共通通貨を構成する案も過去にあった。だがこれも、世界中の為替相場が米英金融界の投機筋によって簡単に乱高下させられる現実をみれば、すぐに実現すべきものでないとわかる。

中共がBRICS共通通貨に消極的なのは、共通通貨でなく人民元を、ドル崩壊後の世界の基軸通貨にしたいからでないか。ブレトンウッズ会議の時も、世界共通通貨(ケインズ案のバンコール)と米ドルのどちらを基軸通貨にするかという議論があった。歴史は繰り返すのか??。
私が見るところ、それはない。中共が人民元を基軸通貨にしたいのなら、中国の行政を透明化して、世界の人々が安心して人民元を備蓄できるようにせねばならない。現実の中共は逆方向で、習近平が秘密主義の独裁をどんどん強化している。

中共上層部での議論の内容は、胡錦涛までのトウ小平系列の時代にある程度公開されていたが、今は全く出てこない。習近平は、中国経済の現状や先行きについての指標などの発表も後退させている。
習近平は、人民元の国際化よりも自分の権力強化を優先している。中共は、人民監視強化のため、人民元のデジタル化や現金廃止にも積極的だ。世界の人々が人民元のデジタル口座を持つと、口座の残高を中共当局に書き換えられて減らされかねない。誰もこんな口座に自分のお金を入れたくない。
中国の最高額紙幣は2000円相当の百元札で、人民元は現金での備蓄に適さないように作られている。一万円札を出している日本の方が魅力的だ(円安だけど)。

BRICS共通通貨の遅延を尻目に、BRICS各国は、自国の通貨を使った貿易を増やすことに熱心だ。最近とくに目立つのは印度で、モディ首相が中東を歴訪し、中東からの原油の輸入をルピー建てで払わせてもらうことに躍起だ(今のところあまり成功していないが)。印度政府は14億人の国民に中東旅行を奨励し、中東の諸政府に対して「観光客を増やしてあげるから原油代金をルピーで受け取ってほしい」と言っている。

https://www.rt.com/india/574551-india-foreign-trade-dollar/
India’s new foreign trade policy aims to break dollar’s hegemony

印度は昨年末、輸入した原油を人民元で払ってくれとロシアから言われ、プライド高く「ルピーでないと払いません」と拒絶した。中印の対立があるからBRICS共通通貨が実現しないんだという見方も出ている。
この10年間、ルピーはドルなどに対して安くなる傾向で、ロシアなどは印度から買いたいものも少なく、手持ちのルピーを増やしたくない。グラジエフも、露中間の貿易はうまくいっているが、露印間のルピー建て貿易はうまくいってないと言っている。

https://www.zerohedge.com/energy/de-dollarization-delhi-india-urges-gulf-exporters-accept-rupees-crude
De-Dollarization In Delhi - India Urges Gulf Exporters To Accept Rupees For Crude

いろいろ問題はあるが、BRICSなど非米諸国が、既存のドルやユーロ建ての貿易決済を自国通貨建てに替えようと努力するほど、世界経済における米国覇権(ドル体制)の後退が加速する。
BRICS共通通貨の創設は、非米側で貿易決済の通貨がドルから非米側自身の諸通貨に置き換えられていき、いずれかの時点で米金融界が自滅的にバブル崩壊して力量を大幅に減らした後に実現しそうだ。



この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/240310brics.htm
http://www.asyura2.com/24/kokusai34/msg/366.html
[国際34] ロシア強化のため米国がやらせたモスクワのテロ(田中宇)これからの長い欧露の新冷戦は、欧州や米覇権体制を自滅させる
この記事は「欧露冷戦の再開」(田中宇プラス)の関連です。
https://tanakanews.com/240331europ.php

3月22日の午後8時、モスクワ郊外のクロックスシティホール(Крокус-Сити-холл、6600人収容)で、ロシアの人気ロックバンド「ピクニック」の満員コンサートの開始直前に、武装して迷彩服を着た4人のテロリスト(タジク人の男)たちが押し入って銃を乱射し、火をつけてホールを炎上させた。144人が死亡し、550人が負傷した。

https://news.antiwar.com/2024/03/26/russian-fsb-chief-says-us-uk-and-ukraine-could-have-been-involved-in-moscow-terror-attack/
Russian FSB Chief Says US, UK, and Ukraine Could Have Been Involved in Moscow Terror Attack

事件後、実行犯たちは自家用車で逃走した。露当局は早期(事前?)に犯人たちの車を割り出し、高速道路上の監視カメラでナンバープレートを判読するデータベースから車を追跡した。犯人たちの車は、モスクワからウクライナ国境に向かうM-3高速道路を走った。
途中の街ブリヤンスクでベラルーシに向かう高速道A-240が分岐するが、犯人たちがA-240に入らず、M-3でウクライナ国境に向かい続けることが確定した後、露当局は現地の部署に連絡して車を止め、犯人たちを逮捕した。逮捕の際、犯人たちはあまり抵抗しなかった。

https://www.rt.com/russia/595002-isis-ukraine-terrorist-attack-moscow-crocus/
Ukrainian ‘Caliphate’: What the West prefers not to notice when blaming ISIS for the terrorist attack in Moscow

事件後、パキスタンなどで活動するイスラム過激派テロ組織ISIS-Kが犯行声明を出した。米政府も事件発生の直後に、ISIS-Kが犯人だと発表した。プーチン大統領も、イスラム過激派の仕業だと表明した。
だがこのテロは、かつてロシアで起きたような「イスラム主義勢力が、正教会多数派の国ロシアから分離独立を目指して起こしたテロ」でない。プーチンは「誰が命じたのかが重要だ」と言っている。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/us-backed-itself-corner-blaming-isis-moscow-attack-just-hours-after-kremlin
US 'Backed Itself Into Corner' By Blaming ISIS For Moscow Attack As Fires Burned: Kremlin

https://www.rt.com/russia/594893-putin-terrorist-attack-meeting/
‘Radical Islamists’ carried out Moscow terror attack - Putin

実行犯たちがウクライナに逃げ込もうとしていたことから、ウクライナ当局がテロ事件の黒幕であることが見て取れる。好戦発言が多いゼレンスキー側近(Oleksiy Danilov)は事件後、テレビ出演した際に「われわれは今後もこういう事件をロシアで起こしてやるぞ」と発言してウクライナ黒幕説を肯定してしまい、ゼレンスキーに更迭されてしまった。

https://strategic-culture.su/news/2024/03/23/its-war-real-meat-grinder-starts-now/
Escobar: It's War - The Real Meat-Grinder Starts Now

https://sputnikglobe.com/20240326/why-does-zelenskys-cabinet-reshuffle-bring-focus-on-crocus-city-hall-attack-1117567990.html
Why Does Zelensky's Cabinet Reshuffle Bring Focus on Crocus City Hall Attack?

露当局によると、ウクライナの諜報機関が(米諜報界の助けを借りて、米諜報界の傀儡である)ISISの系統のSNSを使い、実行犯をやってくれそうな若者たちを集め、事前の手当てとして25万ルーブルを払った。
ウクライナ当局に命じられ、実行犯の主犯格(Shamsidin Fariduni)が事前にトルコのイスタンブールに行ってISIS系の人物(聖職者)と会い、テロのやり方などを教わった。
ISISやアルカイダがテロをやる時は、信心深い者に「聖戦(テロ)をやると天国に行ける」と思い込ませて実行犯に仕立て、無償で自爆テロをやらせる。実行犯は、死ぬ(天国に行く)のが目的なので、爆弾のついた自爆用ベルトを着用したり、射殺されるとわかっていて当局に向かっていき、犯行現場での即死(昇天)を目指す。

https://www.rt.com/russia/595136-moscow-terrorists-ukraine-link/
Terror mastermind told attack suspects to flee to Kiev - investigators

https://www.rt.com/russia/595075-moscow-crocus-attack-money-ukraine/
Investigators establish link between Moscow terrorist attack suspects and Ukrainian nationalists

だが今回の実行犯は違う。彼らの目的はカネだった。ウクライナ当局は、テロを成功させてウクライナに逃げ込んだら25万ルーブルの成功報酬を出すことを約束し、ロシアからウクライナに越境する方法も教えてあった。
実行犯は国境の100キロ手前で逮捕されたが、その時もISISテロリストのように死のうとせず、露当局に逮捕されて生き延びる道を選んだ。

https://www.rt.com/russia/595002-isis-ukraine-terrorist-attack-moscow-crocus/
Ukrainian ‘Caliphate’: What the West prefers not to notice when blaming ISIS for the terrorist attack in Moscow

米諜報界は1990年代後半から、アフガニスタンやサウジアラビアなどのイスラム主義者の反米感情を扇動しつつ、裏からテロの手法を伝授して世界各地で大きなテロをやらせて「敵」に仕立て、米国が同盟諸国を率いて長期にテロと戦う自作自演的な「テロ戦争」の世界戦略を展開した。その頂点として2001年に911テロ事件が起きた。
米諜報界はテロ戦争を、敵であるロシアを不安定にしておくための手法としても使った。米傘下のサウジの諜報界やアルカイダが、布教と称してロシア南部のチェチェンやダゲスタンなどイスラム地域に入り込み、ロシアから分離独立してイスラム主義の独立国を作ろうと扇動した。
分離独立のたに向けた武装蜂起が起こされ、ロシア国内でチェチェン人らが自爆テロを展開した。チェチェン人やサウジ王政(など、イスラム主義者の全体)は、米諜報界の「うっかり傀儡」にされていた。

https://tanakanews.com/a0113chechen.htm
真の囚人:負けないチェチェン人

チェチェン紛争は、当時のエリツィン政権の手に負えないものになり、エリツィンは諜報機関のプーチンを自分の後継者に据えて辞任した。プーチンは苦戦しつつ10年以上かけて、武装蜂起の徹底弾圧と、自治の付与・地域経済の成長支援というアメとムチの策で、チェチェンやダゲスタンの紛争を解決した。
チェチェンやダゲスタンは平和に発展する地域になったが、イスラム主義に洗脳された人々は「失業したテロリスト」になり、ISISやアルカイダ(同胞団)に誘われて、内線が始まったシリアに移動して武装活動を続けた。

https://tanakanews.com/200224syria.php
シリア内戦終結でISアルカイダの捨て場に困る

2014年に米国がウクライナを露敵視な傀儡政権へと転覆した。米傀儡として露敵視を強めたウクライナ当局は、米諜報界に紹介され、かつて露敵視のテロや武装蜂起をやった後にシリアに流れていったチェチェン人などのイスラム過激派(ISカイダ)を雇い、ロシアを不安定化するためのテロなどを画策するようになった。
シリアのISカイダは、米国に頼まれて北隣のトルコが面倒を見ていた。トルコはNATO加盟国であり、諜報的に米国とつながっている。トルコの諜報機関は、米国に頼まれてシリアのISカイダをウクライナの諜報機関に紹介するようになった。

https://tanakanews.com/151203turkey.php
露呈したトルコのテロ支援

だが、当時すでにシリア内戦には(米オバマから頼まれて)ロシアが参戦しており、露イランに助けられたアサド政権が、米トルコに支援されたISカイダより強くなり、アサドの延命でシリア内戦が終わる流れが見え始めていた。
負け組に入りたくないエルドアン大統領のトルコは、NATOの仲間としてISカイダの面倒を見つつ、ロシアにすり寄って親露に転換する二枚舌を開始した。ウクライナ当局は、その状況下で、トルコ当局の紹介を受けてISカイダに接近し、ロシアを不安定化する策を試み始めた。

https://tanakanews.com/151221syria.htm
シリアをロシアに任せる米国

ロシアにすり寄るトルコのエルドアンは、ウクライナ当局の動きを逐次プーチンに伝えた。ウクライナの露敵視策の手口は、2022年のウクライナ開戦のずっと前から、ロシアに筒抜けだった。ウクライナがロシアでテロをやる試みは、露当局に阻止され、ほとんど成功しなかった。米諜報界はこの事態を知っていたはずだが(隠れ多極主義なので)放置していた。

https://tanakanews.com/160704turkey.php
欧米からロシアに寝返るトルコ

ウクライナ開戦後、トルコは、ウクライナから頼まれて無人機など軍事物資を輸出し、どちらの味方かわからない状態になって露政府が抗議していたが、これも事前にプーチンの非公式な承認を得た上での演技だったのだろう。
今回のテロの実行犯は、ウクライナ当局に紹介されて事前にトルコを訪問し、ISカイダ関係者に会ってテロの手ほどきを受けた。ISカイダはトルコ当局の監視下にある。今回のテロの計画は事前にトルコ経由でロシアに知らされていたはずだ。
プーチンは、その気になれば今回のテロを事前に阻止できた。これまでウクライナ黒幕のテロは、ほとんど阻止されてきた。だが今回は、実際に大きなテロが起きてしまった。

https://www.rt.com/russia/595135-moscow-terror-attack-ukraine/
Moscow terror attack planned and paid for by Kiev - MEP

今回のテロはロシアを、米英ウクライナと闘う方向で結束させた。今回のテロは、ウクライナ戦争が、欧露間の長い低強度戦争(冷戦)に転換していくタイミングで起きている(昨日の有料記事で書いた)。露軍は間もなくオデッサなどに進軍すると米欧政府も予測している。

https://tanakanews.com/240331europ.php
欧露冷戦の再開

https://citizenwatchreport.com/western-nations-ask-citizens-to-leave-kharkiv-and-odesa/
Western Nations ask citizens to leave Kharkiv and Odesa!

これからの長い欧露の新冷戦は、欧州や米覇権体制を自滅させる。資源類の利権が米欧から非米側に移り、露中など非米側が世界の中心になって台頭・成長していく。世界の多極化が確定する。
ロシアは、その流れの誘導役になっている。ウクライナ戦争が終わるころ、ロシアは今よりかなり発展しているはずだ。それまでの間、ロシアが結束し、プーチンの人気が維持されている必要がある。今回のテロは、ロシアの結束とプーチン支持を強めるものになっている。だから発生が容認された。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/russia-announces-substantiated-evidence-ukraine-link-crocus-hall-terrorists
Russia Announces 'Substantiated Evidence' Of Ukraine Link To Crocus Hall Terrorists

https://tanakanews.com/231204russia.htm
多極型世界システムを考案するロシア

今回のテロは、ウクライナ当局(諜報機関)がタジク人たちを雇ってやらせた。露政府はウクライナ政府に対し、諜報長官をテロ容疑で逮捕してロシアに引き渡せと要求したが、その要求は正しい。
ウクライナの諜報・軍事活動は、すべて米国(諜報界)に監視・誘導されている。今回のテロも、米国が命令ないし考案したものだ。実行犯の後ろにウクライナ諜報機関がおり、そのまた後ろに米諜報界がいる。黒幕は米国だ。

https://sputnikglobe.com/20240331/russia-demands-that-ukraine-arrests-secret-service-head-for-terrorist-attacks-1117674713.html
Russia Demands That Ukraine Arrests Secret Service Head for Terrorist Attacks

米国(諜報界)は、ロシアを結束させプーチンを強化するテロをやった。なんて馬鹿なんだ。大失敗じゃないか・・・
いやいや実のところ、これは意図通りの成功である。米諜報界を牛耳るのは隠れ多極派であり、ロシアを強化して中国と結束させて、世界を多極化・非米化するのが彼らの目的だ。彼らは大成功している。

https://tanakanews.com/220919multipol.htm
世界を多極化したがる米国

米諜報界は、ウクライナ戦争を起こした黒幕でもある。米国は、ウクライナ政府を傀儡化して国内露系住民殺しをやらせ、ロシアが邦人保護のためにウクライナ侵攻せざるを得ないように仕向けた。プーチンは、米国の策略にまんまと乗って侵攻してしまった。ヌーランドは当時そう言って驚喜した。
実のところこの戦争は、見かけと正反対に、米欧ウクライナを自滅させ、ロシアを台頭発展させる構図になっていて、2年後の今、それが見事に具現化している。プーチンは2年前、ウクライナに進軍したら自国が台頭発展するとわかった上で進軍した。ヌーランドは黒幕でなくピエロだった。

https://tanakanews.com/240308nuland.php
ピエロにされていたヌーランドが辞任

ウクライナ戦争は、開戦時も、今回のテロでも、米国がロシアを強化する方向の謀略として行われている。米同盟諸国では「ロシアは打ち負かされねばならない」と叫ぶ勢力がいまだに多い。米国自身がロシアを強化し、同盟諸国を自滅させていることが見えていない彼らは大馬鹿である。

https://tass.com/politics/1767891
Russia’s massive night strike hammers Ukrainian energy, air defense sites

テロが起きる2週間前の3月7日に、米英カナダの政府が、モスクワに住んでいる自国民に対し「今後の2日間にモスクワでテロがあるかもしれないので、人混みに行かないようにしろ」と警告した。この警告は2週間早すぎたかに見える。
だが、露当局筋によると、3月9日にクロックスシティホールで愛国派の人気歌手「シャーマン」のコンサートが行われており、タジク人テロ実行犯たちがシャーマンのコンサートで乱射テロをやる可能性があった。

https://sputnikglobe.com/20240329/us-officials-trip-over-own-lies-about-warning-russia-ahead-of-concert-hall-attack-1117636571.html
US Officials Trip Over Own Lies About ‘Warning Russia’ Ahead of Concert Hall Attack

実行犯の主犯格(Shamsidin Fariduni)は3月4日にイスタンブールからモスクワに戻り、3月7日にクロックスシティホールを下見した。米英の当局は、この主犯格の動きを監視していた。
3月9日の愛国歌手シャーマンのコンサートに来ているロシアの愛国者たちを乱射して殺す。露敵視のテロとして最高だ。米英は、そう考えて(もしくは傘下のウクライナ当局にそう計画させて)警告を出したのだろう。米政府は、露政府にも警告を伝えたと言っている。

https://www.rt.com/russia/595002-isis-ukraine-terrorist-attack-moscow-crocus/
Ukrainian ‘Caliphate’: What the West prefers not to notice when blaming ISIS for the terrorist attack in Moscow

だが、3月9日は、3月17日のロシア大統領選挙よりも前だった。選挙直前に大きなテロが起きたら、プーチンの圧勝が揺らぐのでないか??。露当局内にそう考えた勢力がいたようで、3月9日のテロ発生は阻止された。代わりに、選挙後の3月22日の「ピクニック」のコンサートが選ばれた。
・・・この流れだと、米英もロシアも、ウクライナがタジク人たちにクロックスシティホールでテロをやらせようとしていたことを事前に詳細に把握していたことになる。本当にそうなのか??。わからない。しかし、23年前の911テロ事件以来、大きなテロは大体、事前に諜報界に把握されていたのに発生が容認されてきたのも事実だ。諜報界とテロの関係はそういうものだ。

https://tanakanews.com/s911index.html
仕組まれた9・11

https://tanakanews.com/200529corona911.htm
911とコロナは似ている



この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/240402crocus.htm

http://www.asyura2.com/24/kokusai34/msg/457.html
[医療崩壊12] エイプリル1日:小林社長激昂 我々は戦う!!と明言。私たちは、いかなる圧力・違法な権力・国中を包むおかしな空気には一切屈しません!
http://www.asyura2.com/23/iryo12/msg/393.html#c9
https://ameblo.jp/pippin-0327/entry-12846705721.html
https://www.instagram.com/p/C5N-XPDRW0b/

小林製薬は1日、健康被害が相次いでいる紅麹(べにこうじ)配合のサプリメントの問題で、これにより、同日午後、大阪市内で記者会見を開いた。
小林章浩社長らが被害状況などについて詳しく説明し、最後に力強い声でこう語った。

「最後に申し上げたい。
皆様、いい加減目を覚まされたらどうでしょうか。

コロナで騙され、ワクチンで騙され、ウクライナで騙され、イスラエルで騙され、今度は「紅麹」で騙されるのか。

そもそも、紅麹は我が国で数百年も昔から食されてきた日本の伝統食品です。
これを元にサプリメントとして商品化する過程において、なんらかの不具合があった可能性は無いとは言えません。
しかし、紅麹そのものにはそのような害も罪もありません。

それどころか、我が社の研究により、日本で古くから使われてきた紅麹菌には腎毒性の健康被害をもたらすカビ毒シトリニンが生成不能であることを世界に明らかにしました。

また、紅麹菌には高い抗がん作用もあり、日本の伝統的発酵食文化を繋いできた先人の智慧の素晴らしさに、感謝と敬意しか持ち合わす心がありません。

ですので、皆様。
今、起こっているこの現状の本質をしっかりと見ていただきたい。

はっきり申し上げます。
日本政府と厚労省は、マスコミを最大限に活用し、非常に恣意的に我が社と紅麹を槍玉にあげ、本質から目を背けようとしております。

今起こっている健康被害、亡くなった方のサプリメント接種状況も把握できておらず、サプリとの因果関係も根拠も何も出ていない現状において、今行われている報道の姿勢に異常性を感じない方が異常であると言わざるを得ません。

むしろ、コロナワクチン接種による死亡認定者は500名を超え、後遺症に悩む方々の数は6600件を超えている。
戦後最大のワクチン薬害であるにもかかわらず、ほとんど報道がされないのはなぜなのか?
この報道姿勢の差は一体なんなのか。

ここにこそ、大きな疑問と違和感があり、ある特定の意図的な圧力が働いていると思わざるを得ません。

さらにはっきり言います。
日本政府と厚労省は、ワクチン被害のスケープゴートとして、我が社を利用し、潰しにかかっています。

こんなことが許されていいのでしょうか。

私たちは、いかなる圧力・違法な権力・国中を包むおかしな空気には一切屈しません!

お天道様の元、堂々と戦います。
少しでも私の話に共鳴するところがあれば応援ください。

ありがとうございます。」
http://www.asyura2.com/23/iryo12/msg/395.html
[医療崩壊12] タッカー・カールソン「ワクチンについてまだ嘘をつき謝罪もしない医者は、不道徳で危険な人間だ」(Total News World) 赤かぶ
22. てんさい(い)[1499] gsSC8YKzgqKBaYKigWo 2024年4月03日 22:06:55 : 0kUGInjLpY : ZUJoU1c2MzFGUzY=[519]
>>9 >>17
エイプリル1日:小林社長激昂 我々は戦う!!と明言。私たちは、いかなる圧力・違法な権力・国中を包むおかしな空気には一切屈しません!
http://www.asyura2.com/23/iryo12/msg/395.html

こんなこと、日本の企業の社長が言うかなぁ?と思ってよく見たら元ネタは4月1日投稿だった。
http://www.asyura2.com/23/iryo12/msg/393.html#c22

[国際34] イスラエル窮地の裏側(田中宇)原油や金地金、穀物などの資源類(コモディティ)の相場が高騰
4月1日、イスラエル軍が、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館(の別館)を、戦闘機からのミサイル発射で破壊した。建物内で会議をしていたイラン軍(国軍より強い革命防衛隊)の最高幹部の一人、ムハンマド・ザヘディ(Mohammad Reza Zahedi)と、その部下たちが殺された。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/iranian-embassy-syria-targeted-large-israeli-airstrikes-major-escalation
Multiple IRGC Generals Reported Killed In Israeli Attack On Iranian Embassy In Syria

ザヘディは、シリアとレバノンに展開する民兵団ヒズボラに武器弾薬を供給する担当だった。ヒズボラはイランの多数派と同じシーア派イスラム教徒だ。イランは、ヒズボラに武器を供給してシリアの米傀儡勢力(ISアルカイダ)やイスラエルを攻撃させ、シリアのアサド政権を助けてきた。
イスラエルとヒズボラは昔から断続的に戦闘してきたが、昨年10月のガザ開戦後、南のガザで忙殺されているイスラエルを、ヒズボラが北から攻撃する形で戦闘が激しくなっている。

https://www.al-monitor.com/originals/2024/04/killing-irgc-commander-syria-clear-escalation-tacit-israel-iran-war
Killing of IRGC commander in Syria ‘clear escalation’ in tacit Israel-Iran war

大使館は国際法上、戦争相手国のものであっても攻撃してはならないことになっている(戦争を終わらせる手段として外交を残しておかねばならないので)。イスラエルは、それを無視してシリアのイラン大使館を攻撃した。
イスラエルは「あの建物は革命防衛隊が使っていた軍事施設であり、外交施設でないから攻撃は合法だ」と言っているが、親イスラエルなはずのロシアからも今回は批判されている。

https://sputnikglobe.com/20240402/israeli-attack-on-irans-consulate-in-syria-what-consequences-could-lie-on-the-horizon--1117698845.html
Israeli Attack on Iran’s Consulate in Syria: What Consequences Could Lie on the Horizon?

大使館への意図的な空爆は好戦的なイスラエルにとっても前代未聞な行為だ(と喧伝されている)。今回の攻撃は、イスラエルからイランに対する強い警告であると同時に、ガザ戦争の目的(ガザ市民をエジプトに追い出してガザを抹消すること)をなかなか達成できず危機に瀕しているイスラエルの焦りの発露だ(とされている)。

https://news.antiwar.com/2024/04/01/israeli-airstrike-hits-iranian-consulate-building-in-damascus-high-level-iranian-general-reported-killed/
Israeli Airstrike Hits Iranian Consulate Building in Damascus, High-Level Iranian General Reported Killed

https://responsiblestatecraft.org/iran-israel-war/
Is Israel's plan to draw the US into a war with Iran?

攻撃されたイランは激怒しており、イスラエル本土を報復攻撃するかもしれないと言われている。イスラエルは、本土を攻撃してきたら全面戦争になるぞとイランに脅し返している。イランが、イスラエルだけでなく中東の駐留米軍も標的にして、米国も巻き込んだ中東大戦争になるとか。
中東の軍事緊張が一気に高まり、原油や金地金、穀物などの資源類(コモディティ)の相場が高騰している。もう一段、緊張が高まったら、1970年代のような石油危機になるとも喧伝されている。

https://www.zerohedge.com/commodities/crude-food-prices-jump-looming-israel-iran-conflict-spark-1970s-oil-shock-fears
Crude, Food Prices Jump As Looming Israel-Iran Conflict Spark 1970s Oil Shock Fears

https://www.zerohedge.com/geopolitical/oil-pushes-higher-reports-uae-severing-aid-coordination-israel-bibi-puts-embassies
Israel Warns Iran Of Massive Regional War If Directly Attacked

3月初めまで、イスラエルが間もなくガザ最南部の国境の町ラファを大攻撃し、エジプトに国境開放を強制し、ラファに追い詰められている150万人のガザ市民をエジプトに追い出してガザ抹消を完遂すると予測されていた。
だがその後、1か月経ってもイスラエルはラファを大攻撃していない。ネタニヤフが大攻撃を軍に命じたという情報が流されて喧伝されたが、現実になっていない。

https://tanakanews.com/240309egypt.htm
ガザ虐殺からエジプト転覆へ

バイデンの米民主党では、パレスチナの大義に固執するリベラル(左派)が強まり、彼らがバイデン政権を動かしてラファ大攻撃に反対させ、ラファ国境を開けぬようエジプトの米傀儡軍事政権に命じていると推測される。
民主党の議会重鎮(チャック・シューマー。ユダヤ人)が、イスラエルは解散総選挙してネタニヤフを落とすべきだと演説し、それに対してバイデンがうわ言のように「良い演説だ」と褒めたりした。
バイデンは、親イスラエルを脱しないと秋の選挙で負けてしまうのでイスラエルを非難せざるを得ない、という話が流布している(実際はトランプの方が親イスラエルなのだが、コロナ以来、米欧では稚拙な多重インチキ解説が簡単にまかり通ってしまう)。

https://original.antiwar.com/rep-john-j-duncan-jr./2024/03/27/gaza-war-is-pushing-support-for-israel-to-historic-lows/
Gaza War Is Pushing Support for Israel to Historic Lows

米国に猛反対され、ネタニヤフはラファ大攻撃を延期している。この状態が長引くほど、150万人のガザ市民がラファに閉じ込められたまま、食糧支援も足りない状態で、ガザ市民の飢餓や窮乏がひどくなる。
ガザ市民がエジプトに追い出されてしまえば、現実的に問題が解決するが、そうならずに長引くと、米欧での非難が強まって、米国からイスラエルへの武器弾薬の輸出が減らされかねない。民主党左派議員たちが、イスラエルへの兵器輸出を止めるべきだと騒ぎ出している。

https://thehill.com/homenews/senate/4574559-warren-block-sale-f-15s-israel/
Warren says she would move to block sale of F-15s to Israel

米欧の手持ちの武器弾薬は、ウクライナ軍が米諜報界に教えられるまま無駄遣いし、戦場でロシア軍に効率よく破壊してもらっているので払底している。
米欧NATOは、今後さらにウクライナの負け戦に入り込むので、米欧の武器弾薬の余力はますます減る。イスラエルに送る分も減り、その口実として「イスラエルの戦争犯罪」が使われるようになる。
イスラエルの後ろ盾は、覇権国の米国だけだ。米国が軍事支援しなくなると、イスラエルは「終わり」になる。ラファ大攻撃の遅れは、ガザ市民の状況悪化、米欧のイスラエル非難の強まり、軍事支援の減少、これらの悪循環とイスラエルの弱体化になる。

https://news.antiwar.com/2024/04/01/us-increased-intelligence-sharing-with-israel-to-unprecedented-levels-after-october-7/
US Increased Intelligence Sharing With Israel to ‘Unprecedented’ Levels After October 7

イランは、イスラエル弱体化の可能性を横目で見ながら、傘下のヒズボラを、レバノンやシリアでイスラエルのすぐ近くに展開させている。イスラエルが大量の武器弾薬を持つ強い国だった従来、ヒズボラはイスラエルよりもかなり弱いのでゲリラ戦法を採っていた。
だがもし今後ガザ戦争が長引いて、米国からイスラエルへの軍事支援が減ると、両者の軍事力の差が小さくなり、準国家的な存在でしかないヒズボラに、イスラエルが負けるようになりかねない。

イスラエルは、イランとの戦争にならなくても、イラン傘下のヒズボラ(やハマス)との長期戦に追い込まれ、じわじわと「茹でガエル」みたいに潰れされていくシナリオも、反イスラエル・イスラム主義系のオルトメディアが「ざまあみろ」的に流している。

https://thecradle.co/articles/how-do-iranians-boil-a-frog-slowly-and-methodically
How do Iranians ‘Boil a Frog’? Slowly and methodically.

これらのシナリオを見る(鵜呑みにする)と、テルアビブがガザみたいな瓦礫の山の廃墟になっていく構図が浮かび上がる。
米国の覇権衰退・中東撤退により、唯一の後ろ盾失うイスラエルは、いずれ弱体化してイランやヒズボラ、ハマスなどイスラム側に勝てなくなり、潰れていく。
ガザ戦争が起きなかったとしても、イスラエルは潰れていく運命だった。イスラエルが「あがき」として起こしたガザ戦争は、イスラエルの滅亡を早めてしまった・・・。うんぬん。

ネットの情報を読み解くと、そんな感じになる。イスラエルは潰れていく。だが、本当にそうなのか??。実のところイスラエルはかなり余裕があり、隠れた別の意図を持って今の戦争状態を能動的に展開しているのでないかと思われる事象が散見される。

https://news.antiwar.com/2024/04/04/us-approves-transfer-of-thousands-of-more-bombs-for-israel/
US Approves Transfer of Thousands of More Bombs for Israel

たとえば4月2日に、ガザ市民に食糧を配っている国際支援団体「ワールドセントラルキッチン(WCK)」の自動車隊列をイスラエルがおそらく意図的に空爆し、乗っていた英米豪ポーランドなど欧米人の支援要員7人を殺した事件。
車には屋根などにWCKと大書してあり、車の通行ルートも事前にイスラエル軍に知らせてあった。なのにイスラエル軍は無人機で車を空爆して見事に命中させ、屋根に大穴を開けて7人を殺した。どうてみても意図的な殺害だ。
イスラエルは、ガザ市民が飢えてエジプトに出て行かざるを得ないようになることを望み、ガザで活動する国際支援団体に嫌がらせや攻撃をしてきた。

https://www.usnews.com/news/best-countries/articles/2024-04-04/israeli-strike-on-world-central-kitchen-aid-convoy-shows-growing-danger-of-humanitarian-work-in-conflict-zones
Israeli Strike on World Central Kitchen Convoy Shows Growing Danger of Humanitarian Work in Conflict Zones

自国民が殺された欧米諸政府がイスラエルを非難し、ネタニヤフは(一応)謝罪し、担当の軍幹部を更迭した。だがネタニヤフは同時に「戦争とは無実の人が死ぬものだ(だから仕方ない)」と発言し、豪州の首相らが「殺害に至った経緯の説明が不十分だ」と怒った。
ポーランドの大統領が「これは意図的にしか見えない」と言ったところ、駐ポーランドのイスラエル大使(Yacov Livne)が「その決めつけ発言はユダヤ人差別だ」と逆ギレして非難し返した。

ポーランドはかつてユダヤ人が多く住み、ユダヤ人差別が多かったので、この発言が出たのだろう。都合が悪くなると差別だと逆ギレを演じる。両国関係が劇的に悪化した。
ネタニヤフも駐ポーランド大使も超強気だ。まるで、わざと欧米と喧嘩しようとしているかのようだ。

https://www.aljazeera.com/news/2024/4/4/diplomatic-spat-erupts-between-poland-and-israel-after-wck-killings-in-gaza
Diplomatic spat erupts between Poland and Israel after WCK killings in Gaza

イスラエルはハマスやイランとの戦争で窮地に陥り、欧米やNATOからの軍事的・政治的な支援が非常に重要になっているのでなかったか。
ウクライナに隣接するポーランドは、NATOをウクライナ戦争に引きずり込んでおり、米国の兵器弾薬をポーランドとイスラエルで奪い合っている感じだ。イスラエルはポーランドを怒らせ、奪い合いを激化させている。

最近、ブリンケン米国務長官が訪欧して「いずれウクライナをNATO加盟させる」というのと「市民を殺し続けるとイスラエルはハマスと同じ(米国の敵)になる」という2つの爆弾発言を連続的に発した。米国は(発言上)イスラエルから離れてウクライナ(ポーランド)に寄っている。
(現実として、ウクライナがNATO加盟することはないし、選挙の年に再選を狙う米政権がイスラエルへの兵器支援を止めることもない)

https://tass.com/world/1771563
US, its allies understand Ukraine will never join NATO

https://news.antiwar.com/2024/04/05/blinken-israel-becoming-indistinguishable-from-hamas/
Blinken: Israel Becoming ‘Indistinguishable’ From Hamas

要点は、イスラエルがこの展開を意図的に引き起こしていることだ。イスラエルは今回の戦争で、パレスチナ問題(2国式)を、米欧覇権や、米欧覇権の戦略だった「人権外交」「人道外交」の構図もろとも破壊しようとしている。
「人道」の側面から見て、無数のガザ市民を虐殺したイスラエルは極悪だ。国家として潰れるのは当然の報いだ。

だが、そのイスラエルは、米上層部や諜報界にスパイ的なシオニスト人材を多数送り込み、米覇権運営の根幹を握っている。イスラエルに逆らう政治家は再選が難しくなる。
イスラエルは米中枢に深く刺さっており、抜けない。しかし今、イスラエル自身が、荒っぽく、それを引っこ抜こうとしている。自らすごい人道犯罪を起こすことで。ペンチで親知らずの歯を無理矢理に抜こうとしているみたいな。歯でなく、顔自体(つまり米覇権)が壊れてしまう。それを意図的にやっている。

https://www.al-monitor.com/originals/2024/04/biden-threatens-us-policy-shift-gaza-war-israel-braces-iranian-reprisal
Biden threatens US policy shift on Gaza war as Israel braces for Iranian reprisal

イスラエルは今回の行為によって米覇権を潰すことで、世界の多極化や非米化に貢献し、きたるべき多極型世界における自らの地位を確保しようとしているのでないか。それが昨秋来の私の推測だ。最近の状況を見て、私は自分の見立てが間違っていないと感じている。
そんなはずはない!!。非米側の一部であるアラブやイランやイスラム世界全体が、イスラエルによるパレスチナ人虐殺を永久に許さないぞ。許さないぞ。許さないぞ。そんな叫びや呪詛が、親イスラムやリベラル派やその他の人々から聞こえてくる。

https://tanakanews.com/240225gaza.htm
消されていくガザ

「あるべきだ論」でいうと、そのとおり。呪詛ごもっとも。しかしイスラム世界でもそれ以外でも、イスラエルを制裁して本気で困らせている国は一つもない。
エルドアンはネタニヤフに「死ね」と言ったが、口だけ。トルコは、イスラエルとの貿易をむしろ拡大している。イスラエルと国交を持っているUAEやエジプトは昨秋来「いずれ国交を切る」と(歪曲)喧伝されているが、いつまでも国交を切らない。早く切る「べき」だ。
イスラム世界は、メディアや市民運動、政府の宣伝部門だけがイスラエル敵視だ。それと、イスラエルと関係希薄な諸国。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/oil-pushes-higher-reports-uae-severing-aid-coordination-israel-bibi-puts-embassies
Oil Surges Over $90, Stocks Tumble After Israel Puts Embassies Around World On Maximum Alert

イランはどうだ。今にもイスラエルと戦争しそうな感じだぞ。しかし、たぶん両国が実際にやる戦争は今後も小競り合いの範囲を出ない。小競り合いでも戦争だと喧伝される。この喧伝は、石油ガスや穀物、金地金などの資源類の相場を高騰させる。そっちの方が目的だ。
すでに世界的に、資源類の利権の大半は非米側が持っている。資源高騰は、米欧覇権の低下を加速する。米経済覇権(ドル)の仇敵である金地金は最近、頻繁に史上最高値を更新しており、これからも上昇傾向だ。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/us-urged-tehran-not-target-american-bases-if-it-retaliates-against-israel
US Urges Tehran Not To Target American Bases If It Retaliates Against Israel

親イスラエルなプーチンのロシアが、イスラエルのイラン大使館空爆後、イスラエルを強く非難し始めた。シリア軍を長く支援してきたロシアは、レーダー網でイスラエル軍の動きを把握しているのに。
急にどうしたのかと思っていたら、同時に「ウクライナに無人機で破壊された巨大な製油所の修繕が、米欧による制裁で補修部品が足りないので進まない(だから石油価格がもっと高騰するよ)」とも言い出した。

要するにロシアは、イスラエルとイランの対立激化を使って石油相場を急騰させたい。急騰に拍車をかけるため「うちも製油所を修理できない」と騒いでいる。実際のロシアは、国内や非米諸国内で補修部品を調達できる。

https://oilprice.com/Latest-Energy-News/World-News/Russia-Is-Struggling-to-Repair-Refineries-Due-to-Sanctions.html
Russia Is Struggling To Repair Refineries Due To Sanctions

イスラエルとイランとの戦争状態(と喧伝される小競り合い)はずっと続き、石油ガスなど資源類が高騰したままになる。資源類の世界利権をすでに握っている非米側は、相互に資源を融通しあうので大して困らない。
対照的に、米国側(先進諸国)はインフレがひどくなり、経済難が加速する。インフレはもう3年ほど隠蔽されつつ続いているが、今後もずっと続き、米国債の金利上昇(国債価値の下落)になっていく。

https://oilprice.com/Latest-Energy-News/World-News/Saudi-Arabia-Hikes-Oil-Prices-in-Increasingly-Tight-Market.html
Saudi Arabia Hikes Oil Prices In Increasingly Tight Market

ガザは支援食糧が届かなくなり、飢餓がひどくなる。ガザが消失を目標にするイスラエルは、ガザ市民が全員餓死しても困らない。「それは極悪な人道犯罪だぞ」。そのとおり。イスラエルは以前から極悪な人道犯罪国家だった。これ以上失うものはない。

ガザ市民を餓死させるか、エジプトに逃がすか。それは米欧が決めることだ。真の人道重視者なら、エジプトに逃がすはず。だが米欧(英国系)は実のところ、ガザ市民の生命より、パレスチナの大義保持(によるイスラエル阻害)の方が重要だ。だから、まだラファ国境が開いてない。

https://www.dailymail.co.uk/wires/afp/article-13273419/Almost-impossible-deliver-aid-Gaza-say-charities.html
Almost impossible to deliver aid in Gaza, say top charities

しかし、これから時間が経つほど、ガザ市民がどんどん餓死していく。イスラエルは困らない。米欧はいずれ、ラファ国境を開けざるを得なくなる。イスラエル軍がラファを大攻撃しなくても、ラファは開く。
ガザ市民が大挙して移住すると、エジプトの政権が今の米傀儡軍事政権からムスリム同胞団=ハマスの政権になる転換が前倒しされる。ハマス自身(ガザ市民の多く)と、同胞団(AKP)が与党のトルコは、それを望んでいる。イスラエルもそれで良い。

https://mondoweiss.net/2024/03/un-expert-israel-is-engineering-famine-in-gaza/
UN expert: Israel is engineering famine in Gaza

極悪非道なイスラエルのこの策略は、意外に効果がある。レバノン南部では、住民15万人のうち10万人がすでに北上して避難した。みんなガザ市民のようになりたくない。イスラエルは、ヒズボラと小競り合いしかしていないのに、住民をどかすことができている。

イスラエルは、ヨルダン川西岸のパレスチナ人を弾圧して、東岸のヨルダンに追い出すことも画策している。西岸は、まだガザのような全破壊の事態になっていない。だがイスラエルは、ラファが開いてガザが「片付いた」あと、西岸で同様のことをやり出す。

https://news.antiwar.com/2024/04/04/as-strikes-escalate-100000-estimated-to-have-fled-from-south-lebanon/
As Strikes Escalate, 100,000 Estimated to Have Fled from South Lebanon

「人道」を捨てたイスラエルは、シオニズム完遂のために簡単に人を殺す。恐怖にかられた西岸の人々が、ヨルダンに移っていく。パレスチナ全体が消失(民族浄化)してイスラエルのものになり、虐殺の末にシオニズムが完成する。
EUではスペインが、西岸のパレスチナ自治政府(PA)を正式な国家として認めてテコ入れする反イスラエル策を採ろうとしている。しかし、EUを従属させている米国はイスラエルに牛耳られており、イスラエルによる虐殺を傍観する。
スペインのPA承認は無意味であり、人道擁護演技の自己満足にすぎない。やるならNATO(対米従属)を離脱してからに「すべき」だ。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/spain-recognize-palestinian-statehood-calls-western-allies-follow-suit
Spain To Recognize Palestinian Statehood, Calls On Western Allies To Follow Suit

人道重視の名目で世界の国々に介入して覇権を維持する策略(人道外交、人権外交)は、第2次大戦で英国が発明し、戦後の米英覇権の戦略の中心になった。米英は、言うことを聞かない国の野党を加勢して内紛や弾圧を誘発し、人道支援の名目でNGOなどをその国に入れてスパイ撹乱させ、政権交代に持ち込む策を好んだ。
米欧の人道重視は、非米側にとって「良い」ことでない。人権外交を好む米欧のリベラル派は、米英覇権の「うっかり傀儡」である。

https://tanakanews.com/070118UN.htm
人権外交の終わり

ロシアや中国の政権は、この米英の策で脅威を受け続けてきたので、この策が消失すれば良いと思っている。イスラエルは、そうした中露の願望に呼応している。
今の非米化や、コロナ以来の米欧リベラル派のトンデモ化の流れから見て、たぶんイスラエルよりも先に、米欧のリベラル運動の方が自滅していく。それは非米側にとって良いことだ。こんなふうに書くと、またもや呪詛を投げつけられるだろうけど。



この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/240407israel.htm
http://www.asyura2.com/24/kokusai34/msg/472.html
[戦争b25] 事態は瀬戸際に:「イスラエルがイランの核施設を攻撃する可能性がある」と国連核監視機関の長官が警告
https://earthreview.net/situation-is-on-the-brink/

4月15日のタイムズ・オブ・イスラエルのトップ記事
https://www.timesofisrael.com/liveblog-april-15-2024/
4月15日:イスラエルの報復がイランの核施設を標的とする可能性があると懸念する国連原子監視局長

■急速に重大な局面へと

先日、イランがイスラエルへの攻撃を実施しましたが、その後、イスラエル政府からは具体的な「報復」についての言及はなかなか出なかったのですが、「イランに報復攻撃をする」ということがイスラエルの戦時内閣が決定しました。

そして、さらに事態は、非常にやっかいなところにまで接近しているようです。

冒頭の記事は、少し前のタイムズ・オブ・イスラエルの表紙です。

「イスラエルがイランの核施設を攻撃する可能性」

について述べているものでした。

記事そのものは以下のようなものです。

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○IAEA長官はイスラエルがイランの核施設を攻撃する可能性があると懸念し、4月15日に査察官を自宅に留めた

国連核監視機関の長官は、イスラエルがイランの核施設を標的にする可能性を懸念しているが、国際原子力機関(IAEA)によるイラン施設への査察は、16日に再開されると述べた。

IAEAのラファエル・グロッシ事務局長は、イラン政府は 4月14日に「安全保障上の配慮」を理由に核施設を閉鎖したと述べた。

15日に再開したが、同氏は「状況が完全に落ち着くまで」IAEA査察官を遠ざけた。

「明日再開するつもりだ」とグロッシ氏はニューヨークで記者団に語った。

イスラエルがイランの核施設を攻撃する可能性について質問されると、グロッシ氏は「我々は常にこの可能性を懸念している」と述べた。同氏は「極度の自制」を求めている。

timesofisrael.com
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事態の極度の悪化の可能性について、米ゼロヘッジは、状況をリアルタイムで報じています。

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○4月16日のゼロヘッジ「イスラエル、イランへの差し迫った攻撃の準備を表明」より抜粋

イスラエルの戦争閣僚会議が早期に終了したことを受けて、イスラエルのテレビ局チャンネル12からは、物事は急速に進んでいるように見える

イスラエル空軍はイランに対する差し迫った攻撃への準備を完了した

タイムズ・オブ・イスラエル紙のトップ見出しは「戦時内閣、イランへの厳しい反撃を決定、地域戦争を引き起こさないことを望む」に切り替わった。

多くの航空会社がこの地域へのフライトをキャンセルした。

ドイツのルフトハンザ航空は、テルアビブ、アルビル、アンマン発着の定期便を 15日まで運休した。ベイルートとテヘラン行きの航空便は少なくとも 18日まで運航停止となる。

エールフランスのオランダ部門の広報担当者によると、KLMオランダ航空は 16日までテルアビブ発着の全便をキャンセルした。

英国のイージージェットは 14日、テルアビブ発着の運航を一時停止した。同航空会社はロイターへの電子メール声明で、テルアビブ発着の運航を4月21日まで一時的に停止すると発表した。

zerohedge.com
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非常に険しい状況にあるようにも見えます。

こればかりは何も先行きを予想できるものではありませんが、ただ、「イスラエルによるイランの核施設への攻撃」というキーワードから、15年くらい前のウェブボットの記述を思い出しました。ウェブボットは、米国の未来予測プロジェクトで、現実的には当たりませんが、その思想性がわりと好きなものでもありました。

思い出した部分の一部を抜粋させていただこうと思いますが、表現が強烈とはいえ、しかし、実際にはまったく科学的ではない概念で書かれていますので、あくまで「娯楽」とお考え下さい。



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2009年7月20日配信のウェブボット「来たるべき未来の形」より
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翻訳:高島康司

…イスラエルのシオニストによるイラン攻撃のシナリオが第1の可能性である。このシナリオは数年前からウェブボットには存在している。

イスラエルはイランを攻撃するが、それは予想を越えた反撃に合う。攻撃の最初の数分間でイスラエルは、 半分以上の兵力を失う。

だがイスラエルはこれで攻撃を停止しない。その後もイスラエルは、ミサイルや無人攻撃機などを使ってイランを攻撃する。

しかし、イスラエルはここで大きな間違いを犯す。攻撃の過程で第 3目標と呼ばれる重要度の低い目標まで攻撃してしまう。イスラエルは穀物の畑を攻撃する。だがその地下には貯蔵庫のようなものが存在しており、それが破壊されることで、火山灰のような灰が一週間にわたって撒き散らされることになる。

撒き散らされる灰は放射性である。その放射能はあまりに強力なので、動物や人間が微量を吸い込んだだけで臓器が内出血を起こし、死にいたってしまう。これを吸い込んだ動物や人間は、内蔵が壊死するような状態になるため、死の瞬間までもだえ苦しむ。そのため、その様子は「死のダンス」と呼ばれるようになる。

イスラエルが攻撃するイランの地下施設は何らかの液体を貯蔵するための施設である。この施設が攻撃されることで放射性物質が飛び散る。それはジェット気流に乗り全世界を駆けめぐることになる。それは世界を 9回駆けめぐり、約 2億人が死ぬことになる。

まず死者の増大はインドから始まる。その後、放射性物質は東南アジアから日本海、そしてシベリア東海岸へと移動する。さらにアラスカへと拡散し、そこからアメリカ西海岸へと移動する。最初の一撃でアメリカ西海岸では 2千200万人が死ぬ。それから南西部に移動してからアメリカ大陸を斜めに横切るようにして北東部に移動する。さらに放射性物質はカナダ北部に移動し、アメリカ大陸を抜ける。

だが放射性物質の移動はさらに続く。今度は、カナダ北部から北極圏の周辺を進み、そこからファロー諸島、グリーンランド、スコットランド、そしてヨーロッパへと入る。この時点で放射性の気流は二股に分岐し、一つの流れはフランスとスイスアルプスに移動した後、ロシアと中国に入る。また一方の流れは、 ヨーロッパを南下して北アフリカに入った後、中東を横切り、放射性物質の被害で廃墟と化したイランに 戻る。

ジェット気流に乗った放射性物質はこのように地球全域を移動するが、これを 9回繰り返すのである。多くの人間や動物が放射性物質の吸入で死ぬ。だが、これがもたらす被害はそれだけではない。放射性物質の拡散で、特に北半球の食料生産が完全にだめになってしまうのだ。放射性物質がある地域に入ると、その地域の食料生産は 3ヶ月で完全にだめになる。これは放射性物質に汚染された食肉用の家畜も含まれる。

放射性物質の灰によって食糧生産地がやられてしまうため、飢饉が大問題となる。そしてこれが原因で人口の大移動が始まる。

アメリカでは、難民となった約 2億人の人口が北を目指してカナダに移動する。しかし、この人口の大移動の理由は飢饉だけではない。戦争や自然災害も深く関与している。
http://www.asyura2.com/23/warb25/msg/475.html
[マスコミ・電通批評15]
4. てんさい(い)[1502] gsSC8YKzgqKBaYKigWo 2024年4月18日 20:34:42 : 0kUGInjLpY : ZUJoU1c2MzFGUzY=[522]
暇空茜本、『ネトゲ戦記』について弱小出版社の社長が解説します


↑この動画でだいたいのアウトラインがわかる。

暇空茜さん本人のyoutube
https://www.youtube.com/@himanakuuhaku

http://www.asyura2.com/16/hihyo15/msg/679.html#c4
[戦争b25] イスラエルの窮地(田中宇)4月19日にイスラエルがイランのイスファハンなどを空爆した件の分析
4月1日以来、イランとイスラエルが互いに攻撃し合っている。私は、この事態の意味を考えて書いてはボツにしているうちに無駄に時間が過ぎた。だから今回は、最初の4月1日の話から書かず、まずは4月19日にイスラエルがイランのイスファハンなどを空爆した件の分析をする。
この攻撃は、意外にショボいものだったようだ。イスラエルの過激な極右の閣僚ベン・グビール(Ben Gvir)は、この攻撃について「弱すぎだ」と不満を表明している。ネタニヤフ政権を握るリクード極右(入植者たち)は、もっと攻撃対象を増やすなど徹底的にイランを攻撃すべきだったと考えている。

https://www.bloomberg.com/news/live-blog/2024-04-19/middle-east-latest
Israel’s hawkish national security minister, Itamar Ben Gvir, just suggested he’s not happy with his country’s apparent response.

イランは4月14日の攻撃で、イラン本土からイスラエル本土を破壊できる攻撃力を持っていることを示した。この示威が攻撃の目的だった。イランは事前にアラブ諸国を通じて米イスラエルに攻撃の日程や対象を伝えて迎撃を許すなど手加減をしていた。
4月19日にイスラエルがイランを思い切り攻撃していたら、次回イランは間違いなく、4月14日よりはるかに強く広範に、事前通告なしにイスラエルを攻撃する。より大きな破壊を受けたイスラエルはあとに引けなくなり、自滅的なイランとの全面戦争に入っていかざるを得ない。

https://www.rt.com/news/596150-israel-response-iran-us-call/
US call delayed Israeli ‘response’ to Iran attack - media

それを防ぐためネタニヤフは、4月19日のイラン攻撃を、与党内の極右から批判されるぐらい弱く小規模な範囲で挙行した。米バイデン政権はネタニヤフに反撃するなと加圧していたが、これは無視した。「必要な攻撃は米国に反対されてもやる」という態度を見せる必要があった(イスラエルは米国を見下すことで強い政治力を持てている)。
だが、イランを本気で大規模に攻撃してしまうと、イランからの本気の反撃を誘発し、あとに引けない全面戦争とイスラエル亡国(とイランの大破壊)を引き起こす。国土が広いイランは大破壊、狭いイスラエルは国家滅亡になる。イスラエルがレバノンみたいになり、テルアビブがガザみたいになる。これはまずい。
だからネタニヤフは、イランに反撃したものの、イランが自重してくれてイスラエルを再反撃しない程度の限定的な攻撃にした。ということでないか。

https://www.zerohedge.com/markets/futures-tumble-oil-and-gold-soar-reports-huge-explosions-central-iran-israeli-airstrikes
Futures Tumble, Oil And Gold Soar On Reports Of "Huge Explosions" In Central Iran, Israeli Airstrikes In Iraq And Syria

イランが自重して再反撃を控えるかどうか、まだわからない。だが、もともと今回の相互攻撃で、悪いのはイスラエルの方だ。イランは悪くない。イスラエルは4月1日にダマスカスのイラン大使館の別館を空爆したが、戦時であっても大使館(外交施設)への攻撃は国際法違反だ。
イスラエルに対するイランの反撃は、国際法に沿った正当なものだった。ネタニヤフは、イランに正当性を与える失策をした(エジプトと和解するため中東戦争でわざと負けたゴルダ・メイア首相と同様の、意図的な失策だった可能性はある)。

https://www.rt.com/news/596091-irans-attack-victory-or-defeat/
Middle East redefined: Iran’s retaliatory attack on Israel signaled a major change in the region

イランは正しい。だから余裕がある。イランは、再度の反撃をせずに自重するのでないか(RTなどは、イランが再反撃しそうだと書いているが)。
イスラエルは米国の軍事力と諜報力を私物化して強かったので、これまでシリアやレバノンのイラン系の民兵団や軍事施設を好き放題に攻撃してきた。イラン側は、イスラエルに攻撃されっぱなしだった。
だが、今後は多分違う。4月14日のイランからイスラエルへの攻撃が、すべてを変えた。もうイスラエルは、簡単にイラン側を攻撃できない。したら亡国のリスクに直面する。
イランとしては、イスラエルをそのような状態に陥れたことで、とりあえずの目的を達成している(イスラエルの方からゴルダ・メイア方式でそれを誘発した可能性もある)。IAEAも急にイランの味方をしはじめた。プーチンが満足そうに含み笑いしている。

https://www.rt.com/news/596170-iran-israel-middle-east-war/
Is all-out war in the Middle East now inevitable?

https://www.rt.com/news/596071-iaea-iran-nuclear-weapons/
‘No evidence’ Iran developing nuclear weapons - IAEA

延々と書いて結論がうまくいかずボツにするのは馬鹿馬鹿しいので、とても短いけどここで配信してしまう。

https://libertarianinstitute.org/articles/this-weekend-iran-changed-everything/
Last Weekend, Iran Changed Everything



この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/240419israel.htm
http://www.asyura2.com/23/warb25/msg/482.html
[戦争b25] イランとイスラエルの冷たい和平(田中宇)昨日の続き:イスラエルは、イランに対してある種の安全を確保した。イランも、イスラエルを無茶しにくい状況に追い込めた。
この記事は昨日の続きです。
https://tanakanews.com/240419israel.htm

4月19日のイスラエルからの攻撃に対し、イランは「とりあえず、すぐには」反撃しないことにした。ゆくゆく反撃する可能性を残しているが、イスラエルがあらためてイラン本土に対してすごい攻撃をしてこない限り、イランはイスラエルを攻撃しないだろう。イランは「今朝イスラエルが攻撃してきたが、全部迎撃した。勝った」と豪語している。
イスラエルは依然として、シリアでイランが展開している軍事施設を攻撃している。今後もするだろう。昨日はレーダー網を空爆した。
イランは、シリア内戦でアサドを支援する名目で、イスラエルに隣接するシリアとレバノンに、傘下のシーア派民兵団の施設を展開し、イスラエルに脅威を与えている。

https://www.zerohedge.com/markets/futures-reverse-all-losses-oil-slides-after-iran-plays-down-israeli-attacks-signals-no
Futures Reverse All Losses, Oil Slides After Iran Plays Down Israeli Attacks, Signals No Retaliation

イスラエルは今後も、これらの施設を空爆する。ヒズボラなどイラン傘下の民兵団もイスラエルを攻撃し続ける。代理戦争は続く。だが、イランとイスラエルとの直接交戦はこれで一段落した。
イランとイスラエルは、代理戦争の部分を残しつつ、直接交戦の部分について「冷たい和平」の関係を構築した。
イスラエルが再び一線を越えてイランを大きく攻撃したら、イランは4月14日のようなイスラエル本土への報復攻撃を行い、イスラエルは滅亡しうる中東大戦争に再び直面する。だが、イスラエルが一線を超える無茶をしない限り、イランはイスラエルの動きを黙認する。
イスラエルは、イランに対してある種の安全を確保した。イランも、イスラエルを無茶しにくい状況に追い込めた。

https://news.antiwar.com/2024/04/19/israel-targets-syrian-air-defense-sites-causing-significant-damage/
Israel Targets Syrian Air Defense Sites, Causing Significant Damage

今後、米国の中東覇権が低下すると、これまで米国が中東で持っていた強力な諜報網や迎撃力が失われていく。米国の諜報・軍事力に依存するイスラエルは、今より弱くなっていく。
その場合、イスラエルはイランとの対立(冷たい和平)関係の内容や一線を見直す・再調整する必要が出てくる。
イスラエルは、これからガザのラファに大攻撃を仕掛けてラファの国境検問所を開けさせてガザ市民をエジプトに追い出す作業に入りそうだが、それでイスラエルと米欧の関係が悪化するかもしれない。
イスラエルによるガザ抹消は、アラブやイランの側からイスラエルへの敵視をさらに強めるかもしれない。それらの場合もイスラエルは、イランとの関係性の再調整が必要になる。

https://www.al-monitor.com/originals/2024/04/israel-iran-draw-after-isfahan-attack-ready-return-covert-war
Israel, Iran at a draw after Isfahan attack, ready to return to covert war

米国が圧倒的に強かったこれまでは、イスラエルはイランよりはるかに強く、対立関係の中に一線を設ける必要などなかった。イスラエルは好き放題に一方的に攻撃し、イランは一方的にやられたまま反撃できなかった(したら潰される)。
今後はそうでない。米国の中東覇権の衰退が加速し、イスラエルは、米国覇権がなくなってしまう前に、米国の力を私物化してガザやパレスチナを丸ごと抹消する動き(シオニズム完遂)の最終段階に入った。それが昨秋のガザ開戦だった。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/eye-eye-tooth-tooth-only-hamas-wants-bigger-war-iran-israel-signal-strikes-done
"Eye For An Eye, A Tooth For A Tooth": Only Hamas Wants Bigger War As Iran, Israel Signal Strikes 'Done'

そして今回、イスラエルがガザ市民をエジプトに追い出す作業を開始して中東の混乱を強める前に、イスラエルはイラン大使館の空爆に始まる軍事報復合戦を誘発し、イスラエルとイランとの冷たい和平・一線の設定をした。
これまで一線がなかった状態から、今後の状況変化に応じて関係性や一線を引き直していけば良い状態に変更した。これは偶然の産物でなく、ネタニヤフ政権による意図的な策だろう。
ネタニヤフは、イランからの史上初のイスラエル本土への報復攻撃を予測しつつ、ダマスカスのイラン大使館を空爆したことになる。
イスラエルはいったん窮地に陥ったが、これも予測の範囲だ。やはりネタニヤフは、わざと負ける「ゴルダ・メイア方式」をやったのだろう(昨日の記事を参照)。

https://www.zerohedge.com/markets/futures-tumble-oil-and-gold-soar-reports-huge-explosions-central-iran-israeli-airstrikes
Markets Dump Then Rebound As Israel Retaliates To Iran In Oddly Toothless, Performative Response

わざと負ける作戦は、イスラエル国内の好戦派・強硬派に自国の限界を提示して抑止する策でもある。イスラエルには1960年代末以来「我が国は世界最強の米国を牛耳っているのだから、どんどん好戦的にやって敵を潰せばいいだけだ」と考える強硬派(入植者たち。米国からの移住組)が中枢に巣食っている。
今の米覇権衰退時、彼らを野放しにすると、イスラエルは米覇権低下とともに、やり過ぎを修正できず自滅する。だからゴルダ・メイア方式が必要になっている。

昨日の記事に書いたが、昨日のイスラエルからイランへの攻撃について、好戦派の閣僚ベン・グビールが「弱すぎる」とツイッター( X )でコメントした。これはネタニヤフが、イランからの報復攻撃を誘発しない程度の小規模な攻撃しかやらないことで事態を収拾して「冷たい和平」につなげる策を採ったことに対し、和平が大嫌いなグビールが不満を表明したものだ。
ネタニヤフは、事態の収拾や冷たい和平の構築の謀略をこっそりやろうとしたのに、グビールの不満表明により、謀略がバレてしまった(私ですら記事にした)。イランやロシアのメディアが事態の構図を描いており、バレたことが露呈している。
グビールは、イスラエルの野党などから「イスラエルの国家安全を阻害した。利敵行為だ」と非難されている。

https://www.rt.com/news/596288-israeli-minister-lame-tweet-iran/
Israeli minister under fire for ‘lame’ Iran tweet

野党党首のヤイル・ラピドは少し前に「(ガザ虐殺やイランとの報復合戦をやる)ネタニヤフは、イスラエルの安全を阻害する国家の脅威だ」と非難したが、実のところ、最大の脅威はネタニヤフ自身でなく、彼を取り巻くグビールら好戦派・入植者たちだ。彼らは「親イスラエルのふりをした反イスラエル」でもある。
ネタニヤフは、好戦派の言いなりになっているとイスラエルを自滅させる。諜報界のOBたち(ヘルツェリア組)からの非公式な懸念表明も強まっていた。それでネタニヤフは、好戦策のふりをしてダマスカスのイラン大使館を空爆し、イランからの史上初の本格反撃を誘発して、冷たい和平の構築につなげるゴルダ・メイア方式をやったのだろう。

https://tass.com/world/1775555
Netanyahu a threat for Israel, opposition leader says

ネタニヤフは、イランとの新たな関係の構築により、北方(レバノン、シリア)からの脅威を減退させた。その上で今後、しばらく止めていたガザ抹消・ラファからの150万人追い出しを再開するのでないか。
ガザ抹消は、極悪な人道犯罪だ。しかし、イスラエル敵視のイランですら、ガザ抹消に関しては、イスラエルを口で非難するだけで、それを理由にイスラエルを軍事攻撃したいと考えていない。4月14日の史上初のイランからイスラエルへの軍事攻撃は、イスラエルがイランの大使館を破壊したことへの報復であり、ガザ侵攻への報復でない。

https://www.rt.com/news/596215-israels-next-step-still-mystery/
Israel’s next step still a mystery - media

イランは報復攻撃後に「イスラエルはいろいろ極悪なこともやっている(だから報復されて当然だ)」と表明した。この「いろいろ」の中にガザ侵攻も入っていると、イランは世界に思わせたいのだろう。
しかしこの表明は「ガザ市民を守るためにイランが立ち上がった」と思い(込み)たい世界のムスリムたちを失望させないために示唆したものでしかない。イランはガザを理由にイスラエルを攻撃したのではない。

イランやアラブ諸国は、ガザでムスリム(アラブ人)の同胞たちが殺されていることに怒っている。だが同時に、パレスチナ問題は、イスラエルの準国内問題でもある。イランやアラブや欧米は、イスラエルに「パレスチナ人を殺害・弾圧するのをやめて、パレスチナ人の面倒を見てやり、パレスチナの建国を支援しろ。われわれも支援するから」と言っているだけだ。
イスラエルは、そんなの嫌だ、全員追い出す、抹消する、と言って殺害弾圧を続けている。イスラエルを改悛させることはできない。パレスチナ国家は永遠に実現しない。イスラエルに殺害・餓死させられるパレスチナ人が増えるだけだ。
イスラエルは極悪だ。しかし、それを指摘しても、何も変わらない。

https://tanakanews.com/240225gaza.htm
消されていくガザ

そう言っている間に、パレスチナ人を追放して行かせる先の一つであるヨルダンで、王政が転覆されてハマスの政権になっていきそうな流れが始まっている。
イスラエルは、ガザと西岸から追い出すパレスチナ人(というかアラブ人)のために、エジプトとヨルダンを、米傀儡国からハマスの国に転換することを誘発する。パレスチナ人を率いるハマス(ムスリム同胞団パレスチナ支部)は、イスラエルから追い出される見返りに、エジプトとヨルダンを得る。ハマスは今後もずっと表向きイスラエルを敵視し続けるが、実際は満足してエジプトとヨルダンを統治する。
4月14日にイランが発射した無人機やミサイルは、ヨルダンの上空を通ってイスラエルに向かった。ヨルダン軍は、飛来物に対して迎撃を試み、一部を撃ち落とした。イスラエルは事後に、ご褒美としてヨルダンに1年間の水利権を与えることにした。

https://responsiblestatecraft.org/israel-jordan/
Is the Gaza war destabilizing Jordan?

https://www.informationliberation.com/?id=64390
Israel to Extend Water Agreement With Jordan 'For Helping Shoot Down Iranian Drones'

ヨルダンや他のアラブ諸国の民衆たちは、イスラエルを攻撃したイランに喝采すると同時に、イスラエルの傀儡となってイランのミサイルなどを迎撃しようとしたヨルダン王政を裏切り者として嫌悪するようになった。
今回の戦闘より前から、ヨルダンでは、ガザでがんばるハマスへの熱狂支持と、イスラエルの傀儡を続けるヨルダン国王への嫌悪感を強める人が多かった。ヨルダン国民の大半は、この70年間に西岸から移ってきたパレスチナ人であり、ハマスはすでにヨルダンの最大政党だ。
イスラエルがパレスチナ人を弾圧虐殺するほど、ヨルダンでは「ガザ支援」という名の「王政批判」が強まり、王政が転覆される事態に近づく。ヨルダン国王は最近、イスラエルに対して「これ以上やると朕がやばくなる」と警告する発言を繰り返している。

https://libertarianinstitute.org/articles/this-weekend-iran-changed-everything/
Last Weekend, Iran Changed Everything

ヨルダン王政はもともと1930年代に、英国が、強国になりそうなイスラエルの建国対象地域を半減させるために、サウド家にメッカを追い出されたハーシム家の兄弟の一人にヨルダン川東岸を与えて建国させたことに始まっている。
王政は、最初から最後まで英国(英米)の傀儡だ。正統性はない。米英の中東覇権の喪失とともに、ヨルダンが王政からハマスの政権に転換するのは、民主主義(笑)からみて自然なことだ。
すでに述べたように、イスラエルは、パレスチナ人を追い出す代わりにヨルダンとエジプトをパレスチナ人(ハマス)の国にする穴埋め策を考えており、ヨルダン王政が消えることを隠然と誘発している。
ヨルダンは予定通り、王政が転覆されてハマス(ムスリム同胞団)の国になる方向に進み出している。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/king-abdullah-warns-israel-he-wont-let-jordan-become-theater-regional-war
King Abdullah Warns Israel He Won't Let Jordan Become "The Theater Of A Regional War"

https://thecradle.co/articles/from-the-battle-of-dignity-to-the-shield-of-shame-how-jordan-has-fallen
From the ‘Battle of Dignity’ to the shield of shame: How Jordan has fallen



この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/240420israel.htm
http://www.asyura2.com/23/warb25/msg/484.html
[戦争b25] イスラエルの窮地(田中宇)4月19日にイスラエルがイランのイスファハンなどを空爆した件の分析 てんさい(い)
14. てんさい(い)[1503] gsSC8YKzgqKBaYKigWo 2024年4月20日 17:47:17 : 0kUGInjLpY : ZUJoU1c2MzFGUzY=[523]
このスレの続きの記事が出たのでスレ立てました。

イランとイスラエルの冷たい和平(田中宇)昨日の続き:イスラエルは、イランに対してある種の安全を確保した。イランも、イスラエルを無茶しにくい状況に追い込めた。
http://www.asyura2.com/23/warb25/msg/484.html

http://www.asyura2.com/23/warb25/msg/482.html#c14

[国際34] 気候危機の捏造(田中宇)欧米の自滅、米諜報界が台本を書いて操ってきたグレタ
田中宇の国際ニュース解説 無料版 2024年4月30日 https://tanakanews.com/

10年以上前から私にとって国際情勢は「自分の見立て・分析・理性が、世の中の常識・主流分析と正反対・大きく食い違っていても、間違っているのは自分でなく世の中の方である場合が意外と多い」というものになっている。
「常識と理性が対立したら、理性の方が正しい」という考え方は、子供や社員や国民に対する教育(洗脳)の観点からよろしくないが、事実である。「教育」自体が、理性を潰す洗脳行為である。

https://tanakanews.com/231025dollar.php
どっちが妄想なのか?

私にとって「世の中の方が間違っていた」最初の案件は、911やイラク戦争前後からの「テロ戦争」だった。アルカイダやISは米諜報界が育て、米国の敵を演じさせられてきたが、世の中の常識(正しい見方)は、ISカイダを本物の敵として心底恐れ、米国に頼って退治してもらうべき、というものだった。
ハマスはイスラエルが敵として育て、今ではパレスチナ問題を丸ごと潰してエジプトとヨルダンをハマスの国に転換するためにガザ戦争が行われている。エジプトの諜報長官がイスラエルと密談したので、間もなくラファ侵攻が行われるのでないか。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/idf-shelling-hammers-rafah-egypt-sends-top-intel-official-avert-ground-offensive
IDF Shelling Hammers Rafah As Egypt Sends Top Intel Official To Avert Ground Offensive

https://tanakanews.com/200529corona911.htm
911とコロナは似ている

今回の題材である地球温暖化問題・気候危機も、世の中の大間違い案件の一つだ。
世の中では四半世紀前から「人為排出のせいで、数年後には異常な温暖化で大惨事になる」と言われ続けてそうならず、気候変動は太古からの循環の範囲内で人為の影響はとても少ないのに、無根拠な人為説が「確定的な事実」としてまかり通り、反論が許されないままま、排出削減・化石燃料利用制限の強制が欧米中心に進んでいる。

https://tanakanews.com/191115warming.htm
歪曲が軽信され続ける地球温暖化人為説

非米側は表向き人為説を信奉しつつ化石燃料の制限はやらず、制限して経済を自滅させているのは欧米側だけだ(日本は米国側だが制限策に消極的)。石油ガス利権は世界的に、米国側から非米側に移転している。捏造された気候危機は、既存の米覇権体制を自滅させ、中露など非米側を台頭させて世界を多極化する効果をもたらしている。

https://www.rt.com/business/588426-no-science-fossil-fuels-reduction/
‘No science’ behind calls to phase out fossil fuels - COP28 President

https://tanakanews.com/211031climate.php
欧米の自滅と多極化を招く温暖化対策

近年では新型コロナ対策が大間違いだった。事前に効果がないとわかっていたのに都市閉鎖やワクチン強要が広範に行われた。PCR検査も、無用な混乱を起こすと指摘されたのに無視され濫用。武漢の研究所で開発中にウイルスが漏洩したのに、それも隠蔽。米欧日は中国の「敵」なはずなのに隠蔽に積極協力。
世界に超愚策を強要したWHO(中国主導)が、次のパンデミックでも超愚策をやれるよう国権剥奪のパンデミック条約を進めている。これらの意図的な超愚策を見ると、世の中は全く間違っていることがわかるが、それに気づくことは禁じられている。政府マスコミ権威筋、偉い人ほど大間違いの軽信を強要される1984的な「新常態」。

https://tanakanews.com/220804corona.htm
米諜報界の世界戦略としての新型コロナ

ウクライナ戦争の善悪も、米国側は逆転を強要。米国は2014年にウクライナを露系住民を殺す政権に転覆し、8年がかりでロシアを怒らせて侵攻させ、露軍が勝っているのに惨敗していると米国側が大誤報を続け、ウクライナ側が捏造した「露軍による虐殺」も鵜呑みに。
開戦後、露中印など非米側が結束し、世界の資源利権が非米側に取られ、世界の中心がNATOやG7からBRICSに移る非米化・多極化が進んでいるのに、米側は自分たちの自滅を無視。

https://tanakanews.com/240331europ.php
欧露冷戦の再開

欧米は無理してもウクライナを勝たせねばならない(欧米の自滅を加速せねばならない)という策が強要され、とくに西欧の衰退が加速している。米国の策が(わざと)超稚拙なので、欧米がいくら頑張ってもウクライナの敗北が進むだけ。
欧州のエリートたちはその構図を知っているはずなのに、米国から方向転換を禁じられている。米国の超稚拙策のせいで、ウクライナ人がどんどん徴兵され開戦以来50万人が戦死した。まだ生きている国民は徴兵を逃れたいが、厳しい新法が作られ忌避不能に。戦線に送られて殺される運命。
ウクライナを戦争させている欧米日の権威筋や常識人たちこそ極悪な人道犯罪者なのに気づいてない。今年ウクライナ軍の崩壊が進むが、戦争はまだ続く。

https://sputnikglobe.com/20240423/ukraine-has-lost-almost-half-million-soldiers-since-beginning-of-special-military-operation---1118071924.html
Ukraine Has Lost Almost Half Million Soldiers Since Beginning of Special Military Operation

米中心の金融システムや、米覇権の状況、非米側の動きなどについても、世の中の常識が大間違いしている。一つずつ説明していると、それだけで終わってしまうので今は書かない。
これらの案件に共通していることは、専門家の業界の中で「上から」の圧力や言論統制によって「(実は大間違いな)正しい見方・常識」が形成され、それに沿わない専門家は、権威を剥奪されたり、出世や論文発表を阻まれて敗北させられる。

https://tanakanews.com/240218money.php
金融システムの詐欺激化

(テロはそれ以下で、専門家の多くが米軍や諜報界の関係者であり、インチキなテロ戦争の遂行者の一味だった。圧力で専門家をねじ曲げたのでなく、専門家たち自身がもともとねじ曲がっていた)
専門家の業界で言論統制が確立した後、専門家以外の人が異論を主張しても「素人が間違いを言ってる」と却下無視攻撃されて負け、大間違いな常識が席巻していく。

https://tanakanews.com/211120science.htm
英米覇権の一部である科学の権威をコロナや温暖化で自滅させる

気候危機の場合、大間違いによって欧米が自滅させられていくのを看過できない気候科学の専門家たちの間から昨年来、「地球の気候は危機的状況でなく、平常の気候循環の範囲内。危機だと決めつけて化石燃料制限などの策をとるのは大間違いだ」という指摘が相次いでいる。

https://discernreport.com/climate-change-data-is-based-on-fraud-and-scientists-around-the-world-are-pushing-back-against-the-narrative/
Climate Change Data Is Based on Fraud, and Scientists Around the World Are Pushing Back Against the Narrative

地球の気候は太古から常に変動しており、長期や短期のいくつものサイクルで、温暖化と寒冷化、湿潤と乾燥などの循環を繰り返している。9世紀以降の千年間は大きな温暖化の傾向にある。もっと短期的には150年前ぐらいにやや寒冷な時期があり、それ以降ゆるやかに温暖化している。
今の温暖化の傾向は危機でなく、人為と無関係な、昔からの気候循環によるものだと専門家たちは指摘している。

https://www.zerohedge.com/political/climate-scientist-says-its-unreasonable-call-climate-change-existential-threat
Climate Scientist Says It's 'Unreasonable' To Call Climate Change An Existential Threat

米国のNOAA(海洋大気庁)など、各地の気温を測定発表する組織が、測定機(百葉箱)が置かれなくなった地点の気温を概算で発表する手法の中に意図的な歪曲があるのでないか、という指摘も出てきた。
都会にある測定地は、暖房や自動車などからの熱で気温が高めに出るので修正が必要だ。だが、数十年間の都市化による測定値の上昇に対する修正が世界的に不足しているとも指摘されている。
地球温暖化問題は1990年代から四半世紀にわたって政治的に誇張され続けてきたが、その間ずっと米欧などの政府が傘下の気象測定機関に、数式や係数をいじって温暖化傾向を不正に誇張させてきたとしても不思議でない。

https://www.zerohedge.com/weather/very-bizarre-scientists-expose-major-problems-climate-change-data
'Very Bizarre': Scientists Expose Major Problems With Climate Change Data

地球の気候については、3つの特性がわかっている。1つ目は、気候変動の理由は多様であり、測定も昔にさかのぼると年輪や地層など間接的な手法しかなく、気候変動の理由を確定的に言うことができないこと。
人為説は気候変動の仮説の一つであり、全否定できないが、人為の排出が今の気候変動の主な理由だと断言もできない。今の温暖化対策(石油ガス使用制限)や、気候危機の喧伝・政治運動は、人為説が気候変動の主因だと断定した上で成立している。断定は不可能なのだから、気候危機の喧伝や石油ガス制限は間違った政策だとわかる。
気候変動の原因は不確定性が大きい上に、人為説の根拠はインチキなコンピュータープログラム(気候モデル)だけだ。「温暖化の原因はすでに人為説で確定し、議論はもう終わっている」という主張も大間違いだ。

https://www.zerohedge.com/political/pure-junk-science-researchers-challenge-narrative-co2-and-warming-correlation
'Pure Junk Science': Researchers Challenge Narrative On CO2 And Warming Correlation

2つ目の特性は、地球の気候が常に変動しており、大きな動きはだいたい循環していること。何十年、何百年か温暖化しても、その後また寒冷化する循環を繰り返してきた。今回だけは温暖化一方向、という可能性も皆無ではないが、簡単に循環を否定している点で稚拙な考察である可能性の方が大きい。
3つ目の特性として、それらを勘案した上で、どうやら現状は既存の気候変動の範囲内だろうというのが、気候危機を疑問視する専門家たちの結論だ。

https://discernreport.com/imagine-that-global-warming-data-grossly-exaggerated-in-most-climate-models/
Imagine That: Global Warming Data Grossly Exaggerated in Most Climate Models

2009年に、人為説を主張する米英の権威ある(好戦的な)学者たちが、今後の気候変動を予測するコンピューターモデルの数式を操作して、人為説が正しいかのような結論を出す不正な歪曲をやっていたことが暴露される「クライメートゲート」が起きた。
だが、この事件はほとんど報道されず、その後簡単に忘れ去られた。今でも、人為説や気候危機の根拠はコンピューターモデルしかない。気候危機は捏造されたものだ。
それを知らない軽信者たちが、気候危機を本気にして騒ぎ、その歪曲構造に基づいて欧米が経済自滅的な化石燃料制限を進めている。

https://tanakanews.com/091202warming.htm
地球温暖化めぐる歪曲と暗闘

欧米の温暖化対策は、化石燃料の使用を制限する替わりに、風力や太陽光など自然エネルギーの発電を増やして穴埋めする。内燃車を減らして電気自動車に替えていく。ドイツのショルツ首相は先日「化石燃料の時代は間もなく終わる」と宣言した。
ドイツはウクライナ開戦前、ロシアから安い天然ガスを大量に輸入して使い、これがドイツ経済の強みの一つだった。開戦後、ドイツはロシアからのガス輸入の急減を決めた。温暖化対策として化石燃料の利用が減るとともに、ロシアのガスは不要になるはずだった。
米国(諜報界)が2022年秋に、ロシアの天然ガスをドイツに運ぶノルドストリームパイプラインを爆破して犯人不明のままにする完全犯罪(笑)を挙行したが、自然エネルギーで代替するのでノルドストリームなんて不要なはずだった。

https://www.rt.com/news/596395-germany-scholz-fossil-fuel-era-end/
Fossil fuel era ending - Scholz

https://tanakanews.com/220823europ.htm
潰されていくドイツ

だが、現実は違っている。自然エネルギーはコストが高いうえ、気象状況によって発電状態が変動する。高価で不安定で使い物にならない。そのことは業界関係者の間で以前から知られていたが、マスコミ権威筋はそれを無視し、報じないので市民も知らなかった。
ドイツなど欧州はウクライナ開戦後、ロシアからのガス輸入を減らそうとしたが、減らせなかった。
自然エネルギーで代替しきれず、ドイツなど欧州各国は、ロシアのガスを目立たないように輸入し続けている。欧州は石油も、ロシアからでなく印度などから買うようになったが、印度の石油はロシアから買って精油したものだった。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/macron-first-threatens-russia-troops-then-buys-eu600-million-gas-moscow-q1-2024
Macron First Threatens Russia With Troops, Then Buys 600 Million Euro Of Gas From Moscow In Q1 2024

「化石燃料の時代は間もなく終わる」というショルツの宣言は大ウソだ。化石燃料の時代は今後もずっと続く。自然エネルギーは大幅な効率改善が必要で、可能だとしても何十年もかかる。そもそも人為説は根拠薄弱だから、人類がずっと化石燃料を使っても問題ない。
プーチンは最近(含み笑いしつつ)「石油産業は今後(少なくとも)百年以上、繁栄し続ける」と指摘している。ここでも、プーチンが正しく、ショルツは間違っている。

https://www.rt.com/business/594193-putin-hydrocarbons-production/
Oil industry will be swamped with work ‘for another 100 years’ - Putin

ショルツ発言の少し前、ドイツの交通相が「(2030年までに二酸化炭素排出を65%減らす目標達成のために)ドイツ国内で週末の自家用車の使用を恒久禁止する必要があるかもしれない」と発言した。これは国内から猛反発を招き、他の官庁(環境省)が「実際の禁止は必要ない。(交通相は)国民に自家用車の使用を自粛してもらうために衝撃的な発言をしただけだ」と後退させた。

https://www.rt.com/news/595950-germany-climate-driving-ban/
German transport minister threatens public with ‘indefinite driving bans’

電気自動車はコストの多くがバッテリーで、電池交換は新車購入と大差ないカネがかかる。電気自動車は中古車がジャンクだ。それが(今ごろ)判明し、世界的に電気自動車が売れなくなった。電気自動車の人気も、情報歪曲に基づく詐欺だった。そもそも人為説は根拠薄弱なのだから、週末に内燃車を運転しても大丈夫だ。

https://citizenwatchreport.com/the-ev-graveyard-reckoning-hardly-anyone-wants-to-buy-a-used-one/
The EV Graveyard Reckoning, Hardly Anyone Wants to Buy a Used One

https://realclearwire.com/articles/2024/02/13/mr_bean_was_right__and_so_was_toyota_1011632.html
Mr. Bean Was Right - And So Was Toyota

屋根に太陽光パネルを取り付け、家で使い切らない発電分を電力会社に売る。その収入で、何年かすると太陽光パネルの取り付け費用を回収できて儲けが出る。夢のような話だ。しかし実のところ、これも現実にならない夢物語だった。
天気の良い日は、多くの家が使い切らない発電分を電力会社に売ろうとする。ブームが始まってしばらく経つと、電力会社は晴れた日に供給過剰になり、電力を買わなくなる。話が違う。ふつうに電力料金を払った方が安い。米カリフォルニア州では、太陽光パネルの売れ行きが90%減った。

https://mishtalk.com/economics/daytime-solar-power-glut-in-california-rooftop-sales-plunge-90-percent/
Daytime Solar Power Glut In California, Rooftop Sales Plunge 90%

温暖化問題の構図自体、開始以来の四半世紀で大きく転換した。京都議定書のころは、最初に先進諸国が排出削減して模範になり、その後中国印度などこれから発展排出する新興諸国に排出削減を義務付け、削減できない新興諸国に国際炭素税を支払わせ、先進諸国が新興諸国の今後の経済成長からピンハネする策略だった。
当初は、排出権取引などカネと経済の話が温暖化問題として注目されていた。

https://tanakanews.com/130530warming.php
地球温暖化は政治と投機の問題

https://tanakanews.com/111207COP17.php
失効に向かう地球温暖化対策

だがその後、国連などで政治力をつけた中国が途上諸国を引率して(中国+G77など)米欧に反論し、途上諸国の温暖化対策にかかる資金を先進諸国が支援する逆ピンハネの構図に転換しようとした。
先進国と途上国、米国側と非米側の紛糾になる中で、非米側をこっそり支援する隠れ多極主義の米諜報界が、うっかり傀儡な左翼リベラルを扇動して温暖化問題の国際政治運動を活発化し、欧米だけが温暖化対策を厳格に履行させられる新たな構図が定着した。

https://tanakanews.com/091031warming.php
新興諸国に乗っ取られた地球温暖化問題

https://tanakanews.com/191118warming2.htm
地球温暖化問題の裏の裏の裏

たとえば、米諜報界が台本を書いて操ってきたグレタ・トゥーンベリは、欧米諸国の温暖化対策の不足を常に非難する一方で、中国など非米側が排出を減らさないことを批判しない多極派傀儡である。
温暖化対策は、経済問題から政治問題に変質し、ピンハネによって欧米を繁栄させる米覇権策から、欧米を自滅させる多極化策に変わった。
同時に、ESGなどの枠組みを作って温暖化対策をしている企業の株価をつり上げつつ投資金を集める経済の策略も終息し、ESGは儲からない構図になって資金流出し、時代遅れになっている。

http://www.zerohedge.com/commodities/peak-coal-hmm-how-put-it-no
"Peak Coal? Hmm, How To Put It: No"

https://www.zerohedge.com/political/corporations-are-losing-esg-battle-forcing-them-hide-advocacy
Corporations Are Losing The ESG Battle, Forcing Them To Hide Advocacy

国際政治の主導役は、すでに米国でなく中露だ。プーチンのロシアは鉄砲玉で、習近平の中国が黒幕だ。中露主導の非米側は、温暖化問題を捏造と知っているから馬鹿にしつつ、欧米の自滅を進める策略として使っている。
産油国であるUAEのドバイで昨年末、温暖化対策の国連会議COP28が開かれ、UAE国営石油会社Adnocの会長スルタン・アルジャバーが議長をつとめた。
彼は石油会社の人にふさわしく「国連が出している、化石燃料の利用を減らすと地球の気温上昇を1.5度にとどめられるという話には科学的根拠がないし、人類が生活水準を大幅に落とす(石器時代に戻す)のでやるべきでない」と、正鵠を射る人為説否定の議長声明を出した。
COPには、欧米などから人為説軽信の国際運動家が出席しており、彼らや欧米マスコミが口々に非難し激論になったが、アルジャバーは主張を変えず、会議は紛糾のうちに終わった。

https://oilprice.com/Latest-Energy-News/World-News/COP28-President-There-Is-No-Science-Behind-Calls-for-Fossil-Fuel-Phase-Out.html
COP28 President: There Is "No Science" Behind Calls For Fossil-Fuel Phase-Out

非米側は、温暖化問題を潰す気はなく、気候危機を、事実としてでなく政治策略として肯定している。化石燃料制限などの温暖化対策が欧米を自滅させて非米側を優位にするからだ。非米側は化石燃料制限をやらない。すでに中国や印度が宣言している。制限をやるのは欧米だけだ(日韓などはいないふり)。
その構図を作るため、UAEのCOP28は有効だった。UAEなど非米諸国は、産油国のUAEで温暖化対策の会議をやり、その議長に地元石油会社の会長アルジャバーを据え、石油業界を代弁する形をとりつつ、温暖化問題の捏造性を暴露し、温暖化対策を推進する欧米側との無限の論争構造を作った。
非米側は、COP28での論争に依拠して今後も化石燃料制限をやらない。欧米だけが、化石燃料制限を過激化して自滅していく。それが温暖化問題の隠れた本質になっている。

https://thecradle.co/articles/us-eu-politicians-demand-withdrawal-of-cop28-chief
US, EU Politicians Demand Withdrawal Of COP28 Chief



この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/240430climate.htm
http://www.asyura2.com/24/kokusai34/msg/567.html
[国際34] 非米側の防人になった北朝鮮(田中宇)北は、孤立して国家崩壊していくショボい負け組から、いきなり勝ち組に転換した。
田中宇の国際ニュース解説 無料版 2024年5月2日 https://tanakanews.com/

国連安保理で3月28日、核兵器開発を続ける北朝鮮に対する経済制裁(国連決議1718)の延長案を、ロシアが拒否権を発動して潰した。国連の北朝鮮制裁は2006年から続いており、否決は初めてだ。
北制裁の体制は、昨年まで14年間、安保理の全会一致で延長され続けてきた。だが、今後はロシアが拒否権を発動し続けるだろうから、北制裁の体制はこのまま消失する可能性が高い。
米国側(米欧日韓)は今後も北を制裁し続けるが、国連北制裁の消失で、露中BRICSなど非米側は堂々と北と貿易できるようになる。北は非米側との経済関係を拡大でき、国家崩壊の可能性が大幅に減る。

https://original.antiwar.com/Joseph_Terwilliger/2024/04/03/russia-finally-says-nyet-to-continued-dprk-sanctions-enforcement/
Russia Finally Says 'Nyet' To Continued North Korea Sanctions Enforcement

非米側の諸国は、ウクライナ開戦前から北を制裁しない傾向だった。国連決議に沿って北への制裁を実施した国は、国連に報告することになっているが、世界の国々の3割は一度も報告を送っておらず、最初から北制裁に事実上参加していない。
北は、これらの国々と貿易し続けており、制裁は前から抜け穴だらけだった。
米国側は、北を核兵器や弾道ミサイルを開発して米国側を攻撃する危険な国だと非難してきたが、非米側は「米国側が北を敵視して政権転覆を試みているのだから、北が防衛のために兵器開発を加速するのは正当防衛であり当然だ。米国側が悪い」と思って北制裁に参加したがらない。
これまで米国が圧倒的に強く、北に味方する国は一蓮托生で制裁されかねないので、非米側は声高に米批判せず、目立たないように北制裁不参加を続けてきた。

https://tanakanews.com/231227nkorea.htm
北朝鮮とロシア

北の最大の貿易相手は圧倒的に中国だ。中国は、目立たないように制裁違反の貿易を北と続け、北の政権を延命させてきた。中国は今回、安保理決議を棄権した。
隠然な中国と対照的に、ロシアはウクライナ開戦後、大っぴらに北との関係を強めた。ロシアは、ウクライナの戦場で使う武器弾薬の一部を北朝鮮から輸入し、見返りに北に小麦粉や兵器開発の技術や部品などを輸出してきた。プーチンは金正恩にリムジンを寄贈した。
これらはいずれも国連制裁違反だ。米国側の諸国は、ロシアが戦争遂行に必要な北との関係強化策として国連の北制裁の体制を潰す身勝手をやっていると非難している。

https://www.zerohedge.com/technology/putin-gifts-kim-jong-un-luxury-russian-limo
Putin Gifts Kim Jong Un A Luxury Russian Limo

だが非米側から見ると、ウクライナ戦争自体、ロシアにとって「準国内」で露系住民が多く住むウクライナを米国が2014年にマイダン革命で政権転覆してロシア敵視・露系住民殺しの傀儡国に転換し、8年がかりでロシアを戦争に引っ張り込んだ。米国は、ロシアを潰すためにウクライナ戦争を起こした挙げ句に負けている。
非米側から見ると、北朝鮮もロシアも米国から潰されそうになったので正当防衛として武装反撃している。その点で北とロシアは共闘できるし、非米側はやんわりと朝露を支持している。

https://tanakanews.com/230909korea.php
ロシアと北朝鮮の接近

ロシアは、ウクライナ戦争で米国側の金融システム(米覇権体制、ドル米国債システム)から追放されたことを利用して、中国BRICSなど非米側全体を巻き込んで、米覇権体制の外側に、米ドルも米金融システムも使わない多極型の新たな非米経済システムを構築し始めた。ロシアが旗振り役、中国が黒幕だ。
この多極型システムは、金地金や人民元、ルーブル、ルピーなど非米諸国の通貨(間もなくCBDC化)を利用するもので、物々交換やバーター貿易に毛の生えた程度から始まり、未解決な問題も多いが、何とか機能して拡大し続けている。
非米側は世界が埋蔵する資源類の大半を持っており、資源貿易の多くが非米システムを経由する。非米側の取り柄は現物の資源類であり、米国側の取り柄は債券などペーパーマネー(金融商品、紙切れ)だ。

https://tanakanews.com/220728russia.php
資源の非米側が金融の米国側に勝つ

https://tanakanews.com/240310brics.htm
BRICS共通通貨の遅延

非米システムは「金資源本位制」だ。ロシアのほかイランやサウジUAEなど非米側の資源諸大国と、巨大人口を抱えて消費大国になっていく中国印度が非米システムに参加している。
米国のペーパーな債券金融システムは、米国債の過剰発行や高インフレで金利上昇して破綻していく運命にある。米覇権は終わる。今後中長期的に、世界の中心的な経済システムが米国側から非米側に移っていく。米国側のマスコミ権威筋は、この事実をほとんど無視している。だが、この転換はほぼ確定的だ。

https://tanakanews.com/240421economy.php
今後の世界経済

ロシアが面白い点は、単にウクライナ戦争に負けないための軍事戦略として北朝鮮から兵器を買うだけでなく、ロシアが発案して旗振り役をしている世界経済の非米システムに、北朝鮮も入りませんかと誘ったことだ。
北朝鮮は米国側に経済制裁され、米国のドルや金融システムの利用を禁止されて締め出され、孤立して潰されかけていた。だが、同様に米金融システムから締め出されたロシアが、制裁を逆手に取って非米型の世界システムを構築し、北朝鮮にも入りませんかと言ってきた。金正恩は大喜びでこの話に乗った。

https://tass.com/politics/1742819
Current level of understanding between Russia, North Korea unprecedented

非米システムは、米国側に全く頼らずに国家の経済運営ができるように作られている。米国による経済制裁を無効にするシステムだ。北朝鮮だけでなく、ミャンマーやシリア、イランなど、米国に制裁されてきた世界中の反米非米諸国にとって救世主だ。
ロシアから誘われて非米システムに入った北朝鮮は潰れないことが確定した。軍事外交的にも、今回の安保理での拒否権発動のようにロシアが守ってくれる。中国も隠然と賛成してくれる。
北朝鮮は、もう孤立していない。ロシアに誘われて非米側の一員になり、多極化の世直し、米覇権の引き倒しに参加し始めた。
米国側(米日韓)と戦うのは、北朝鮮のお家芸だ。当たるかどうかわからないけど核ミサイルも持っている。
米国側と非米側の対立(経済戦)は、中長期的に非米側の勝ちが決まっている。北は、孤立して国家崩壊していくショボい負け組から、いきなり勝ち組に転換した。

https://sputnikglobe.com/20240115/north-korean-delegations-russia-visit-spurred-by-changing-geopolitical-climate---experts-1116178186.html
North Korean Delegation's Russia Visit Spurred by Changing Geopolitical Climate

北はこれまで、米国側に攻撃されぬよう、国家存続のために核兵器やミサイルを開発してきた。核やミサイルの開発をやめてほしければ経済制裁を解除しろ、経済支援をよこせ、と米国側を威嚇してきた。
そうした北の対米好戦性は今や、孤軍奮闘でなく、ロシアなど非米側を加勢し、制裁や覇権を乱用する極悪な米国側を倒す「正義の戦い」(笑)に変質した。
北朝鮮はロシアに誘われて「非米側の防人」になった。この転換を引き起こしたプーチン政権は優れた創案者だ(黒幕の黒幕、米諜報界の隠れ多極派がプーチンに示唆したのかもしれないが)。

https://tanakanews.com/231204russia.htm
多極型世界システムを考案するロシア

北朝鮮の国家崩壊の可能性はほぼなくなった。北の崩壊を想定した南北統一や和平のシナリオは無効になった。韓国は、北を崩壊寸前のならず者でなく、恒久的な国家と認めた上で、国家間の南北和平を想定せざるを得なくなった。
米国側と非米側の対立が、中長期的に米国側の金融崩壊と非米側の台頭で終わるのなら、米国側である日韓は負け組に入り、米国に頼らず、駐留米軍の撤退を折り込みつつ、北の脅威に対応していかざるを得ない。
日韓は、米国に頼れなくなるし、北の弱体化も望めなくなり、米国に北を潰してもらって問題を解決して自国周辺を安定させることができなくなった。

https://responsiblestatecraft.org/donald-trump-north-korea/
Why Trump is right about North Korea

日韓は、米国が覇権崩壊して頼れなくなる前に、北との緊張を緩和しておかねばならない。そのため、今年に入って北側から誘われたときに、日本政府は岸田訪朝に前向きな態度を示した。勝ち組に入った北は、日本や韓国と戦争するのでなく、和解して自国を繁栄させようとしている。
北が日本に和解を提案したことも、もともとロシアのアイデアだった可能性がある。和解によって北朝鮮の脅威が減れば、在日米軍の駐留理由も半減し、米国が日本を傀儡化してロシアを敵視する構図が崩れうる。日朝が和解したら、次は南北の和解になり、日韓を対米従属から引き剥がして露中敵視をやめさせられるかもしれない。ロシアはそう期待している(現実は、対米従属したいのは日本自身なのだが)。

https://www.upi.com/Top_News/World-News/2024/02/16/Kim-Yo-Jong-Fumio-Kishida-Japan-North-Korea-summit-abduction-issue/5151708074405/
North Korean leader's sister opens door to improved ties with Japan

岸田訪朝の話が持ち上がった後、米国は日本をAUKUSに入れて対米従属から逃げられないようにする対抗策を出して阻止した。
米国の中国包囲網に協力している日韓の首脳に、中国の脅威から世界を守ったのでノーベル平和賞を与える話まで出てきた(戦争こそ平和。オーウェル1984)。それらの逆流策があり、岸田訪朝の話は頓挫している。今後また動きがあるかもしれない。

https://breakingdefense.com/2024/04/as-aukus-opens-discussions-with-japan-officials-confident-pillar-i-will-continue-unabated/
Aussie PM says no Japan as AUKUS member, but Pillar II on table

日本など米国側では、非米側が新たな世界経済システムを作っていること自体がほとんど報道・指摘されていない。米覇権が崩壊への道をたどっていることも指摘されない。ロシアが北朝鮮を引っ張り込んで非米側の防人にしたことや、北がもう崩壊しないことも無視されている。
米国側では近年、世界の大転換の重要事項が指摘報道されず、人々は頓珍漢な幻影ばかり延々と見せられ、世界の流れを理解できなくなっている。その中で大転換が進んでいる。

▼その他の要素

以下は、記事を見直しているうちに要らなくなった部分。一応貼り付けておく。

北朝鮮はもともとソ連が作った国だ。米英は第2次大戦を終えるにあたり、連合国の仲間だったソ連に、日本が支配していた朝鮮半島の北半分を与えることにした(米英中枢の軍産複合体は、ソ連中共と仲違いして世界を冷戦の恒久対立状態に陥れ、米覇権を軍産支配下に置く策略の伏線として、北朝鮮や東欧をソ連に与えた)。
ソ連は、傀儡になってくれそうな金日成を北の指導者に据えた。金日成はソ連の意に反して自主独立(主体思想)をやりたがったが、それでも冷戦終結までソ連は北を支援していた。
冷戦後、ソ連は崩壊して資本主義のロシアになって北を支援しなくなり、金家の独裁維持のため社会主義を貫かざるを得ない北は、ロシア(や市場主義化したトウ小平の中国)を裏切り者呼ばわりした。ロシアは北と疎遠になった。

冷戦終結後、2014年のウクライナ転覆まで、ロシアは米国の覇権を尊重し、その傘下に入ることを望んでいた。だから以前のロシアは米国の北朝鮮敵視策に反対しなかった。
しかし、ウクライナが露敵視国に転換させられ、米欧が決定的にロシアを経済制裁するウクライナ戦争になる中で、米国はロシアを北朝鮮と同じ立場(米国に敵視されて正当防衛的に軍拡する国)に追い込んだ。
ウクライナ開戦翌年の2023年夏以降、ロシアの方から北朝鮮に接近して支援を強化していき、今回のロシアの北制裁拒否につながる流れになった。
冷戦終結から最近まで、北は「死にぞこないの社会主義国」「冷戦の遺物」であり、世界から社会主義国が消えていく(もしくは中国のように換骨奪胎する)中で、北は孤立していた。ロシアは北を孤立から引っ張り出し、非米側の防人という新たな役割を与えた。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/russian-mystery-plane-landed-pyongyang-making-washington-nervous
Russian Mystery Plane That Landed In Pyongyang Making Washington Nervous

露中の上層部には、米国側が自滅して覇権が自分たちの側に転がり込んでくる流れが見えている。米国はすでに、露中が北朝鮮を擁護しても十分な報復ができない。だからロシアは安保理で、米国を恐れずに北制裁潰しの拒否権を発動できる。
いつも書いているように非米化の策略は、習近平が黒幕でプーチンが鉄砲玉だ。だからロシアが拒否権を発動し、中国は棄権した。

非米側では北朝鮮より先に、イエメンのフーシ派が「非米側の防人」として動いている。イランに隠然と支援されてきたシーア派イスラム教徒の、イエメン最大の武装政治組織(事実上の与党)であるフーシ派は、習近平が仲介したイランとサウジの和解によってサウジとのイエメン戦争が終わった後、昨年10月のガザ戦争の開始とともに、イエメン沖の紅海を通る欧米(イスラエル系)の商船を攻撃するようになった。
長い戦争と内戦で武器弾薬を豊富に持つフーシ派の攻撃はずっと続いており、欧米の商船は紅海からスエズ運河の航路を使えなくなった。その一方でフーシ派は、中露BRICSなど非米側の商船は攻撃せず、通常通りの航行を許している。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/russia-china-strike-shipping-deal-houthis-ensure-safe-vessel-transits-report-says
Russia & China Strike Shipping Deal With Houthis To Ensure Safe Vessel Transits

世界の商船の3割が通る紅海からスエズ運河は、非米側専用の航路になった。この状態はずっと続く。紅海の封鎖は、米国側の流通を阻害し、米欧のインフレを激化させて経済崩壊に拍車をかける。
習近平やイラン上層部は、覇権非米化の流れを自覚している。イランや中国は、フーシ派を動かして紅海を非米側専用の航路にすることで、米国側から非米側への覇権転換を進めている。

https://tanakanews.com/240303houthi.htm
中国に棚ボタな紅海危機

少し前までイエメンだけの話にすぎなかったフーシ派の動きは、今や全世界を巻き込む覇権や地政学の転換を引き起こしている。フーシ派は、非米側を強化する防人になっている。
北朝鮮の好戦性もこれまで、北の政権や国家を米国の敵視策から守るための自国都合の動きにすぎなかったが、今や非米側が米覇権を引き倒す動きの中に組み込まれている。
フーシ派を傘下に入れてきたイランは最近、北朝鮮との外交関係を強化している。非米側の防人どうし、ノウハウの交換や経済交流の強化を目論んでいるのだろう。

https://sputnikglobe.com/20240424/whats-known-about-iran-north-korea-relations-1118093379.html
What's Known About Iran-North Korea Relations?



この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/240501nkorea.htm

http://www.asyura2.com/24/kokusai34/msg/573.html

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