すべては仕組まれていた 2/6

すべては仕組まれていた[1]
橋本龍太郎つぶしはダボス会議で決められた

◆参議院選挙

 98年参議院選挙。自民党が惨敗(ザンパイ)した。

〔7月12日参議院選挙、自民党惨敗、橋本龍太郎首相辞任、民主・共産に批判票が流れる。暗い顔の自民党首脳部がずらりと並ぶ〕

〔菅直人・民主党代表の「自民党政治にレッドカード」コメント、「日本経済をここまで追い込んだために自民党政治ではだめだと有権者が怒りの声を上げた」という分析コメント。要するに、日本経済悪化を止められなかった橋本政権に国民が怒ったという報道内容〕

 7月12日の参議院選挙は、マスコミすら予想できなかったほどの大波乱となった。自民党が負けに負けたのだ。参議院選挙では3年ごとに半分の議員の選挙があるが、自民党が現状の議席数を維持するには61議席が必要だった。自民党では最低ラインとしてこの61を設定、できればさらに進んで、過半数の議席をとりたいとまで考えていた。

 ところが、選挙の数日前から一気に自民への逆風が吹き始めた。その結果は――惨敗。61を維持するどころか、47という数字に終わったのである。

〔各地の選挙当選者の様子。東京で当選した中村敦夫(元俳優)と落選した小野清子、大阪でトップ当選した西川きよし(元漫才師)。中村敦夫当選で、東京で自民が議席を失ったと聞いて喜ぶ菅直人〕

 東京、大阪、愛知、埼玉、神奈川、京都などの大都市圏を中心に、16の都府県で自民党がまったく議席をとれなかった。特に京都で自民党が議席を失ったのは、自民党結党以来のことだという。比例区も過去最低の14議席だった。

〔喜ぶ非自民(特に菅直人、共産党不破氏)と落ち込む自民党。〕

 そして、開票後まもなく、橋本龍太郎首相は辞任を表明した。

 この自民党惨敗の原因として、一般的には、日本経済をここまで悪化させたからだとされている。


◆日本経済の転落ぶり----最悪の日本経済

〔選挙のときに経済への不満を語る有権者〕

 現在、日本の経済は大変なことになっている。

 現在、日本は史上最悪の失業率を示しており、それは毎月ひどくなっていく一方だ。会社の倒産、あるいはリストラ、すなわち人員削減の結果、失業者がどんどんふえており、逆に求人は減っている。5月29日に総務庁が発表した労働力調査で、調査開始以来最低の4.1%と発表された。これは、アメリカと並ぶ水準である。

 また、6月12日に経済企画庁が発表した国民所得統計速報によると、1997年度の国内総生産(GDP)はその前年より0.7%減った。日本経済がマイナス成長となったのは、オイルショック以来、23年ぶりのこと。経済成長率としては戦後最悪の記録となっている。

 この経済の悪化に加えて、現在、日本の円と株価がひじょうに不安定になっている。

 6月12日、ニューヨーク株式市場は「日本発の経済不安」への警戒感から、株価が急落した。〔朝日新聞6月13日朝刊にこの記事あり〕

日本の株の値段が下がるということは、日本の経済全体での財産が減ってしまうということだ。特に、大企業にとってはその影響が大きい。その結果、会社倒産などが連続することにもなる。

 週明け6月15日、東京外国為替市場で一気に円が暴落した。一九九○年八月以来、約七年十カ月ぶりに一ドル=146円58円を記録。その翌日には、一時146円75銭まで円安が進んだ。日本円売りがとどまらなくなったのである。

 円相場がどんどん安くなるということは、日本の円の値打ちがなくなりつつあるということだ。

それに連動して株価も落ち込み、ソウル・香港なども連鎖的に値を下げてしまった。

 第1話で解説したとおり、97年には、アジアで経済危機が発生した。タイ、マレーシア、フィリピン、香港、韓国、そして日本。このときには、「アジア発の世界恐慌発生」といわれた。つまり、アジアの経済危機は、ひとりアジアにとどまるものではなく、世界中に悪影響を及ぼしたのである。

 しかし、その危機も最悪の事態は避けることができた、と思ったところへ発生したのが、今回の【「日本発の世界恐慌」】の危機なのである。現在、一気にすべてが崩壊するような事態には陥っていないが、じわじわと日本の経済危機が全世界に影響を及ぼしつつある。いまや、日本経済が世界経済のカギを握っている。

 今、日本経済が崩壊したら、アジアの経済も、そしてアメリカ経済も、すべて崩壊する。そして、連鎖的に世界中を巻き込むことになるだろう。

「日本発の世界恐慌」――これは97年から98年はじめの段階では、一般的には考えられないことだった。しかし、これを以前から知っていた人たちがいる。いや、こうなるように計画している人たちがいたのである。


◆ダボス会議が決めていた日本発の世界恐慌

●1998年ダボス会議で橋本下ろしを明言

アナウンサー「国際的な政治・経済などの課題を話し合う世界経済フォーラムが、スイスのリゾート地ダボスで開かれています。世界の政治指導者や経済人2000人が集まったこの国際会議でも、アジアの経済危機に対して議論が集中しています」

 世界経済フォーラム、通称、ダボス会議。あまり大々的に報道されることはないのだが、実はこのダボス会議の別名が「裏のサミット」。世界の流れは、表のサミットや首脳会談などではなく、まさにこの片田舎で開かれる会議によって決められているといっていい。98年の議題は、まずはアジアの金融危機、それから日本叩きだった。

米エコノミスト デビッド・ヘイル氏
「この危機は単に東アジアのものではなく世界的なものだ」

アナウンサー「アジアの金融危機に対しては依然として厳しい見方のようですけども、日本に対してはですね、この会議ではどういう意見、声が出ているのでしょうか」

レポーター「じつは、会議を通じて世界2番目の経済大国日本が、アジアにいながらいったい何をしているのかと集中攻撃を浴びる形になっています」

独銀行頭取 マーティン・コルハウゼン氏
「日本はこの危機の解決にあたり、もっと責任を持つべきだ」

米経済学者 ルーディ・ドーンブッシュ氏
「日本は財政的措置を怠っている。言い逃れは何の得にもならない」

 ドーンブッシュ教授は、「アジア発のデフレの第二波が世界に広がるのを防げるかどうかは日本の政策次第だが、防波堤となるべき日本が世界で一番間違った政策をとっている」と述べた。

レポーター「『日本自身の危機脱出、すなわちそれがアジアの危機脱出にもなるし、それによって世界に危機が拡大していくのを防ぐことにもなる。だから日本はもっともたもたしないで何かやってほしい』、そういういらだちが、今の世論、国際世論といえるのではないでしょうか」

 さらにドイツ銀行エコノミストのケネス・カーティスも、「今の指導者の下では状況の好転は期待できない」と述べた。つまり、橋本政権ではダメだと明言したのである。

●97年ダボス会議は日本が経済危機の台風の目と指摘

 その一年前、97年のダボス会議では、もっと明確に日本経済が台風の目になるといわれていた。

 国際経済研究所の所長であるフレッド・バーグステンは述べた。

「世界経済には、いつ大きなショックが来てもおかしくない」
「今のところ、最も緊急・切迫した問題を抱えているのは日本である」
「日本経済は根本的な所でおかしくなっている。その主な原因は金融システムの弱さであり、これによって経済が足を引っ張られているのである」
「パニックが起きれば、日本市場だけでなく、外国市場にも厳しい影響が出る」
「バブル崩壊時と同じような大ショックが世界に走りかねない」

 すなわち、このとき明白に、日本発の世界経済危機の可能性が訴えられていたのである。

 では、ここまで的確に将来を見通していた彼らは、それだけ優れた分析家だったのだろうか。いや、そうではない。なぜなら、ダボス会議に集うメンバーは評論家だけの集団などではなく、一国の政治指導者や、経済担当者、あるいは世界の動向すら左右しかねない大企業の社長たちである。つまり、ダボス会議の参加者こそが、世界を動かしている者たちなのだ。そのダボス会議の予測とは、単なる予測ではなく、彼らの【計画】にほかならない。

 世界の大きな流れは、計画されているものなのである。


「すべては仕組まれていた」1998年10月執筆

  1. オープニング
  2. 橋本龍太郎つぶしはダボス会議で決められた
  3. 橋本龍太郎はグローバリストに抵抗していた
  4. ジョージ・ソロスの陰謀
  5. アメリカの没落が始まった
  6. エピローグ

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