すべては仕組まれていた 6/6

すべては仕組まれていた[5]
エピローグ

◆エピローグ

 橋本政権は、日本の国益を守るための有効な手を打ち続け、そのためにグローバリストの怒りを買った。円安も株価暴落も、政治が原因ではなく、投資家によって仕組まれたものだったにもかかわらず、政治の、そして橋本首相の責任であるかのように報道され続けた。多くの日本人は、それをそのまま信じてしまい、橋本首相を辞任に追い込む結果となった。

 その翌日、東京で開かれたBIS秘密会議。ロスチャイルドの代理人も参加したこの会議の議題は、「アメリカに集中している資金を、98年の秋には日本に移動させたい。その条件を、橋本の後継者にどうやって整えさせるか」というものだった。

 この時点で、アメリカはバブル経済のまっただ中にあった。そのバブルも98年秋には終わりを告げる、と彼らは予告していたのである。

 

 アメリカ国民は投資信託にお金をつぎ込んできた。しかも、アメリカは金利がほかの国々と比べて高いので、世界各国から資金が流れ込み、その結果、バブルが生じた。

 97年のアジア金融危機は、このバブルを加速するためにソロスなどの国際投機筋が起こしたものであった。日本の金融ビッグバンも同じ目的で実施された。アメリカのバブルそのものが、国際投機筋のめちゃくちゃな投機によって作られたものだといってもいい。

 もちろん、そのバブルはもともと、破たんさせるために作られたものだ。98年秋、ロシアの金融危機をきっかけにして、アメリカのバブル経済が破たんしつつある。アメリカ経済が完全に崩壊したら、世界に大きな混乱を生み出すだろう。

 だが、この真犯人は隠されている。それどころか、あくまでも日本のせいにさせられつつあるのだ。アメリカのルービン財務長官は、国際投機筋、いわゆるヘッジファンドがすべての元凶であるということを隠して、あくまでも「日本発の世界恐慌」と声高に主張している。

これがルービン財務長官の正体だ! 『週刊ポスト』98.10.16号

 下院金融・財務委では、9月14日から、世界経済の同時危機に関する公聴会が行なわれたが、その2日目の15日には、ヘッジファンドの雄、ジョージ・ソロス氏が証言を行ない、「通貨をもてあそぶヘッジファンドこそ世界経済の元凶である」との問いかけに、「IMF(国際通貨基金)によるアジア、ロシアほかに対する救済策の失敗」を挙げて徹底的に反論してみせた。

 そして翌16日には、ルービン財務長官、グリーンスパンFRB議長が招かれたが、ルービン長官はこの席で、「現在の世界経済の深刻な状況は、日本の金融危機に由来するものである」と強調した上で、IMFへの協力を要請した。ただし、「ヘッジファンド元凶説」については言及していない。ルービン長官がこの時点でLTCMの経営危機を知っていながら、ヘッジファンド元凶説に触れなかったとはいかにも不自然だ。再び下院中枢筋。「ルービン長官にとっては、世界経済危機の発祥地が米国であってはならない、ということだ。それが米政府が主導するIMFであることはもちろん、ヘッジファンド、つまり、ウォール街であるといわれることもまた許されない。不倫疑惑で傷だらけのクリントン政権にとっての最後の砦は好調な経済以外にない。ここで、米国が世界経済危機の元凶であるといわれるようなことがあれば、クリントン大統領の危機に直結する。政府の経済政策を一手に握るルービン長官としては、だからこそ“日本元凶論”を強調して米国から矛先をかわす必要がある」

 ルービン長官にとって日本は、格好の《スケープゴート》というところだろう。

 経済的な混乱が起きたら、次は何が起こされるだろうか。統一世界政府主義者、グローバリストのシナリオによれば、経済の混乱に続いて、政治的・軍事的混乱が引き起こされることになっている。

 今から20年前に出版されたゲイリー・アレンの『ロックフェラー・ファイル』には、このように書かれている。

“我々は再び警告する。今やロックフェラー一族は、大恐慌を新たに準備している。”
“1929年の世界恐慌は、主としてアメリカを支配下に収めるために企てられたが、次の恐慌は、日本をはじめとするアジア諸国を欧米エスタブリッシュメントの強力な監視下に置き、「新しい国際経済秩序」を受け入れさせる口実としてつくり出されるだろう。”

 これこそまさに、現在の状況を予告していた言葉ではないか。さらに続けて、アレンは、彼らの計画を解説する。

“各国のトップを国連に集めて指令を下し、全世界をすぐさま支配しようと考えるのは、あまりにも性急で露骨すぎる。
 しかも、各国にはそれぞれの事情があり、大衆は必ずしもトップの指示に従うとは限らない。そこでエスタブリッシュメントとしては、各国の大衆がかかえる問題を十分に把握し、「大衆」の求めに応じる形で「国際的解決」を提案する。
 そうすれば、各国のトップといえども「世論」の圧力には逆らえず、また、問題を一国で処理することはできないので、結果的にエスタブリッシュメントの代理人の提案を受け入れるだろう。”
“このようなボトム・アップ方式のほうが、私有財産と国家の廃止をめざす世界的億万長者の最終目標――地球政府=グローバル・ガバメントを実現する近道だ。”

 今のところ、たしかに、決定的な破局はまだ訪れてはいない。イラク危機も危ういところで回避された。インドネシアでも政変があり、暴動が起こって、アメリカ軍が出動してもおかしくない事態に陥ったが、最悪の場面は避けられた。核兵器はあっても核戦争はまだ起こっていないし、中東情勢も経済危機も、今一歩のところで踏ん張り続けている。

 だからといって、これが平和だとはいえない。むしろ、世界を破局に導くためのスイッチが、あちらにもこちらにも仕掛けられつつある状態ではないか。経済でもいい、軍事的対立でもいい、あるいは偶然の事故でも災害でもいい。いつでも世界に混乱を巻き起こす条件が、いまや完全に整えられてしまっている。そして、その混乱に乗じて、グローバル・ガバメント、地球政府がやってくるのである。

 すべての準備が着々と整えられている。そして、彼らの計画に乗せられないようにするには、私たちは真実を見抜いていかなければならない。世界で起こっている物事の背後に、実際には何が存在しているのか、しっかりと見極めていかなければならない。そのために私たちに必要なのは、真実を見抜く目である。そして、今、私たちが本当になすべきことは何なのか、それを理解し、実行していかなければならないだろう。

 忘れてはならない。彼らの計画は、今、この瞬間にも着々と大規模に、静かに進められているのである。


「すべては仕組まれていた」1998年10月執筆

  1. オープニング
  2. 橋本龍太郎つぶしはダボス会議で決められた
  3. 橋本龍太郎はグローバリストに抵抗していた
  4. ジョージ・ソロスの陰謀
  5. アメリカの没落が始まった
  6. エピローグ

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