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ALTEC と WE 755シリーズ について
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1190.html
投稿者 中川隆 日時 2021 年 7 月 13 日 17:26:46: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: アルテックの世界 投稿者 中川隆 日時 2020 年 8 月 13 日 18:25:52)

ALTEC とWE 755シリーズ について(1)
2016-11-19
https://blog.goo.ne.jp/kobmina/e/c003aa45613620602ef65da5e4ed65f5


 大阪のリティルオーディオ(リティルマネジメント)さんに修理に出していた「ALTEC755A」が帰ってきました。

 相変わらず匠の腕前で修理前後の写真を見比べても区別がつきません。もちろんトラブルも解消されました。いつものことですが修理後の測定結果も同封されています。

 隣町にオフィスがあった時にその作業風景を見学させてもらったことがあるのですが見識の高さと手際の良さに圧倒されました。いとも簡単そうに行うのを見たら「易しい作業かも」と勘違いする私のような素人がきっと大勢いると思う。事実その後はエッジの張り替えや、ボイスコイルの交換、コーン紙の移植などとても敷居が高くてできそうもないと思っていた作業を(無謀にも)行ってきた。うまくいったのも失敗したのもあったがとにかく「駄目元でチャレンジしてみよう」は自分の趣味の世界を広げてくれました。

 しかし今回は何と言っても「高額商品」なので師匠(勝手に弟子入り)にお願いした。トラブルは「ビビリ音が出る」で小入力の時は気づかなかったのですが少し大きな音になると発生するというもの。ボイスコイルが当たっていると思われました。同封されていた修理メモでは「ボイスコイルがバラけて外れていた」というもので修理はその部分の巻き直しという内容。過大入力が原因ということですが心当たりはないので以前から発生していたのかもしれない。オークションはいろんなリスクを伴います。貴重な文化財を素人の手で破壊しなくてホントに良かったです。「ALTEC755A」にはもうしばらくは生き延びて貰います。

 

 出典:Lansing HERITAGE

 
 「ALTEC755A」は1954年から製造され自社以外でもAR社のスピーカーにも搭載された。その後極短期間に少数のALTEC755B、1963年にはALTEC755C、1968年にはALTEC755Eが長期間にわたって作られました。このパンフレットによれば「ALTEC755A」のインピーダンスは8Ωのようです。どうも某雑誌別冊のALTEC特集で間違った記載があった様子。(実測DCRからやはりインピーダンスは4Ωのようでこれは間違いもしくは途中で仕様変更があったと思われる)

 「ALTEC755A」の源流は有名な「Western Electric 755A」で主に公共の施設などで使われたユニットです。1947年に列車の車内放送用として開発されました。少し前までは米国の病院の取り壊しなどで大量に発見されて輸入されたと噂されましたが最近ではあまり聞かれません。手軽に「Western Electric の音」が味わえるということでとても人気が高く高値で取引されています。建物の壁や天井に埋め込まれていて人の目に触れなかったユニットはとても程度が良いものが多かった。ただ製造されてから70年程度経過していて音質の個体差が結構あると言われています。

 20年ほど前に関東のWE専門店を訪れたのもこのユニットの音を聴いてみたいという目的からでした。お店の人が用意してくれたのはCDウォークマンとアンプは忘れましたがソースは女性ボーカルでとても印象的な音だったと記憶しています。結局その時はKENYONのトランスを2個買って帰った。入手したのはそれからしばらく経ってからですが入手先は長野県のお店で送られてきた段ボール箱には「Western Electric」の文字がある!当時完実電気が再発売したWE300Bの元箱だったと思います。その気遣いに感動して思わずお礼の電話をした。やはりリアル店は「お客に夢を売って欲しい」と思う。口上代が高くても構わない。うまく騙して夢を見させて欲しい。。は暴言多謝。

 発表は1947年で口径の異なる3種類があった。(伝説のWE750Aはその10年前に発表されている。死ぬまでに聴く機会があるのだろうか?)


 
 これらもとても魅力的ですがWE755A以外は今の所縁がありません。壁の中の狭いスペースに収めるために配慮した設計になっているらしい。口径20cmのパンケーキと呼ばれた厚みの薄いスピーカーはWestern ElectricからALTECが生産を引き継いだわけですが最終型のALTEC755Eまで続きます。(「パンケーキ」の愛称はフェライトマグネットになってからとも言われている)
 Western Electric 755AとALTEC755Aの間にALTECが生産してWEに納入した「KS14703」というユニットがありこの3種の音色の比較が話題になることが多い。「KS14703」は見たことはあるのですが聴いたことはありません。

 左が「ALTEC755B」で右が「ALTEC755A」


 

 

 並べてみて違いを探すとフレームの塗装、エッジ、ターミナル、引き出し線、コーンの形態(Bが少し深い)、写真ではわからないがコーン紙の表面手触りなどが異なる。 

 「WE755A」は現在KSランドセル(KS12046)のレプリカに入っています。実際にはこの組み合わせは無かったと聞いています。
 
 「ALTEC755E」はヒースキットのバスレフ箱に入っています。この箱はSS-1という2wayスピーカーの箱で、その下にウーハーを増設できるという製品。譲っていただいた時ははっきりいってボロボロだったのですが頑張って塗装剥離してオイル仕上げにした。サランネットは手洗い洗濯して再使用です。
 
 ヒースキットは飛行機までキットで売っていて(ヒースさんはその飛行機の墜落で亡くなったらしい)いかにも合理的なアメリカらしい製品コンセプトだと思います。いずれもっと詳しく調べたいと思ってます。
 左は「ALTEC755E」、右は「ALTEC755B」

 引き出し線はとても細い。ワンタッチターミナル!

 コーン紙は基本的に同じではないかと思うほど良く似ている。

 左は「WE755A」、右は「ALTEC755A」

 ターミナル、引き出し線は同じに見える。「ALTEC755A」をKS12046 ランドセルレプリカ箱に入れて聴いてみます。

 KS12046レプリカは改造してあります。本来はボックス内ボックスがあり、ホントに小さい容量の箱なのですがオートトランスなどを載せるボードを切り取って裏蓋を新設しました。密閉箱の容量は2倍程度になったと思います。オリジナル箱では恐れ多くてとてもできない改造です。密閉度を高めるために工作精度には少々気を使いました。吸音材は現在は比較的多めに入れています。
 アンプは整備したWE86BでCDプレーヤーからアッテネータ経由で。WE755Aと比較してみると、、基本的には同系統の音味だと思います。「ALTEC755A」の方が線が太い感じ。悪く言えば少しピントが甘い写真。
 もう一つの箱(ラックマウント用の金具が付いている)に収まった「ALTEC755A」とも比べてみる。

 2個重なってますが上だけ鳴っています。ランドセル(改)と比べても大きな違いはありません。どちらも過不足なく気持ちよく鳴ります。(この箱のバッフル板は割れています。どうやってリペアするか検討中)
 
 数日間聴いてから「ALTEC755B」に換えてみますと、、。
 私の耳では「ALTEC755A」よりも「ALTEC755B」の方が「WE755A」に近いのではないかと聞こえました。まず音が軽々と出てきます。ひだが深くてしなやかな感じ。ピントも合っている。
 「ALTEC755B」の生産台数はとても少なく入手は困難なようですがこれは要注目かと。私が入手した時は常識的な価格でした。なぜ生産が継続されなかったかですが雑誌の情報では使われているコーン紙は初期の「ALTEC755C」のモノと似ているらしい。そうすると枯渇してきたアルニコ(アルニコV)から次世代のフェライト(インドックスV)への変更だけ、、か。また「ALTEC755A」から「ALTEC755B」の違いで一番大きいのはそれまでのフィックスドエッジからフリーエッジへの変更で以降継承される。目的ははっきりしないがエッジの変更により引き出し線が細くなったりのチューニングが施されていると思われる。

 初めて買ったJBLは「LE8T-H」でフェライトだった。当時すでにアルニコ製LE8Tは製造していなかった。学生の身であったので苦労して通販で並行輸入業者から購入。ずっと憧れのスピーカーだったがたどり着くまでにコーラルの「6F60」をカッコが似ているという理由で使っていた。また今でも続いている雑誌の売買欄にあった中古の「LE8T」(たしか17500円だったと思う)が欲しくて相手に送金するも送ってくる気配が無い。そのかわり下宿に警察が来て詐欺事件だという。「被害届を出されますか?」と。昔から悪い奴は居たわけだがやがて彼の父親と名乗る方からわび状とともにお金を送ってきた。嬉しかったのと同時に親に同情した。「LE8T-H」は手放してしまったがその後「LE8T」は出入りはあるが「LE8」と共に使い続けている。
 自分の先入観からかどうもフェライトのイメージが悪い。特にJBLユニットは前面から取り付けることが多いが磁気回路が大きければそれはムリ。あの大きさで良かったのだろうか?などと思う。

 「ALTEC755B」があまりにも良いので「WE755A」の入ったランドセルと並べて比較してみる。。やはり異なる。。「WE755A」は前にせり出すような凹凸ある音。「ALTEC755B」は奥行きのある凹凸。念のために端子の接続を変えてみて再確認。

 KS12046レプリカ箱ですが板厚は曲面加工している部分はかなり薄い箱です。サイドはデザインのためか10mm程度の板が取り付けられている。またオリジナルは(このレプリカももともとそうだったのだが)裏板が本体と独立していて壁にまず裏板を取り付けてから本体を裏板に引っ掛けるような構造になっています。そのとき上下どちらの向きでも取り付け可能で高い位置の場合は下向きに角度がつく取り付け方もできた。ボックス内には棚がありKSナンバーのトライアッド製のオートトランスが組み込まれていた。館内放送のアンプは電送タイプで各スピーカーでインピーダンスマッチングを行なっている。

 薄い板厚でボックスの鳴きを利用した音創りについてはよく語られる。かつて極厚板、過剰な補強でとにかく共振を排除する設計がスピーカーに限らず流行したがいつのまにかあまり言われなくなった。床に穴を開けて地面からコンクリートブロックを立ち上げたプレーヤー置き場など今見たらちょっと滑稽な光景。でも当時は良い音に対する熱意は今の比ではなかったと思う。薄い板厚のボックスはなんとなく楽器風で手軽なのだが良い音にするには条件があるようで板の硬さが大切だという。これはバイオリンでも一緒で表裏板加工するときの重要な要素とのこと。(加工時に板を硬くするという技)最近ではビンテージバイオリンの解析が進んできて品格はともかく良い音の製品ができているらしい。ちょっと弾かせてもらったことがあるが国産高性能軽自動車みたいだと思った。ちなみにストラディバリウスも弾かせてもらったことがある。なにか蝋人形のような恐ろしい顔をしたバイオリンだった。どういった経歴かわからないがなにかぞっとするものを感じた。(大抵は血統書のようなものがついていて美しい図鑑でストラドをはじめ有名なビンテージ品は把握されている。業者はそれを見ながらオークションに参加する)バイオリンは各国で作られているが面白いことに地域ごとの序列がある。最高位はもちろんイタリアで現在はクレモナの復興が目覚ましい。かつて日本製のバイオリンが世界を席巻して昔からの産地は廃れてしまったのだが。その他ドイツでも有名なそして悲劇的な生涯のマエストロが存在した。次に東欧、アジアと続く。先ほどのバイオリンは実はアジアで作られたバイオリンのパーツを日本で加工、組み立て、塗装して完成させている。社長によれば木材からの削り出しから行なっていてはとても試行錯誤にならず分業することで数をこなすことができてはじめて発見できた事が多かったと。

 バイオリンはいつまでも「選ばれた人だけが操れることができるユダヤの魔法の箱」であってほしいと勝手に願っている。「ALTEC755B」と「WE755A」を聴きながら妄想が広がってしまった。今日は「勤労感謝の日」一日中音楽に浸る事ができて良かった。

 最期に登場する「ALTEC755E」

 同じようにランドセル箱に入れて聴いてみる。作りは簡素だし、フェライトだし、量産型だし、きっと勝負にならんだろう、、と思ってましたがなかなか聴かせます。低音は豊か、中高音も大きな不満はない。「WE755A」との価格差を考えれば健闘していると思う。

 違いは音の手触りというか輝きというか、粒子の大きさ、粉っぽさ、切れ味、実体感、くらいか。もっと言えば同じ系統とは思えないほど異なる音味。「ALTEC755B」と「ALTEC755C」と「ALTEC755E」の違いを聴いてみたいが残念ながら「ALTEC755C」は持っていないので想像の域は出ないがやはり磁石の変化の音に対する影響は大きかったのではないかと思います。バスレフ箱には合わないと言われてますがヒースキット「SS-1」で聴いた時、ようやくその評価が高い事が理解できたような気がしました。ほんの少しツイータで高域を補ったら随分違って聞こえると思います。


 お読みいただきありがとうございました。

 後日談1 
  先日数十年ぶりに東京にあるWE専門店を訪れて念願の「KS14703」の音を聴かせてもらった。直前に「管球王..」の取材で使われたもので1本だったがD氏の匠のチューニングも合わさってとても好ましいものだった。WE,ALTEC755Aとの違いは同一条件で比べてみないとわからないし個体差も加わってビンテージユニットの評価は難しい。入手して音出ししてたとえ気に入らなくとも「◯◯」製品なのだからいい音がするはずだ! という強い信念のもとで粘り強く頑張るしかない。


6 コメント

ALTEC 755 について (小平 忠利)
2017-05-25 19:51:52
はじめまして。

長野県駒ケ根市の小平と申します。
貴殿様のプログ拝見いたしまして
ALTEC755Bの存在をしりました。
音の出方の説明で当方の好みに合って
いるようにおもいますが今現在755Bは入手可能なのでしょうか?
不躾で申し訳ありませんが商品の有無付きましてご存じでしたらお教えください。
是非、死ぬまでに一度自分の部屋で聞いてみたいと思いました。
駄文で恐縮ですが御返事いただければ幸いです。

755シリーズについて (koban)
2017-05-25 23:21:41
 こんにちは、投稿ありがとうございます。「ALTEC 755B」は一連の755スピーカーでも特に生産年数が短かったためか市場で見ることは稀です。雑誌「管球王国」の試聴記事でも高い評価でした。なぜ短命だったかは不明ですが生産上の問題があったのかもしれません。入手についてはやはり専門店への問い合わせになるかと思います。


755について。 (Rafael)
2019-08-30 18:06:32
小生あまり雑誌を見ないのでこの世界どうなっているのか良く知りません。でもAltec755Aを入手しておよそ50年、しばらくして755Bが加わり、途中遍歴はあったものの、結局何は無くとも755になりました。
755BはC,E同様布エッジでも気のせいか755Bのほうが好ましい。C,Eは少々能率が低いようでバランスは755Aが最も良いと
思います。


再度755について (Rafael)
2019-08-31 13:34:57
20年ほど前755Eのエッジに初めから付いていた藁ゴミのようなものが気になりビスコロイド剤の溶剤で除去を試みても固着してとれない、eBayでC、E用のコーンを入手して交換しました。そこで755Bのコーンと比較するべく計測をしたら、BよりもC,Eのほうが深い、つまりBはAをふくめて以降のものより浅く平たいことになります。マグネットの相違と共にA,BとC,Eとの音の違いになるでしょう。
ところでKobanさん、A,B,C,EとあるのになぜかDを見たことが無い、USの知人に問うても不明です。なにか情報を持ってらしたら教えて下さい。


また755です (Rafael)
2019-08-31 13:59:04
書き忘れてまた投稿します。小生の755Aは当時シカゴのAllied Radioで扱った物を元箱付で、ワシントン州のお客に送りインボイスも付いていて日付けは1951年4月となっている。Kobanさんの記事では755Aの発売は1954年ですが資料の出典を含めて教えて下さい。


ALTEC 755 (koban)
2019-09-04 12:17:22
コメントありがとうございます。
 個体差があるかもしれませんが文中にもありますようにコーン紙の形状については拙宅の755Aは他と比較して浅くその他の(A以外)は似ていました。A製造年の原典は探してみます。
 ALTEC 755Dについての記述は私も見たことがありません。周波数レンジと耐入力はWEとAは共通で(そうするとインピーダンスが異なるという記述は怪しくなる)Eではかなり拡大されています。使用の目的は大きな変化は無かったと思われますのでモデルチェンジはコストダウン、アルニコからフェライトへの変更、前述のレンジの拡大が主な理由かと思いますが気になるのは聴いたことのない755Cです。オークションでは評価が高いようで結構な価格設定になってるみたいですね。

 音楽ジャンルの変遷に合わせてフルレンジを諦めてマルチへ移行したのは必然で、もちろん現在でもフルレンジは存在しますが一部の好事家が対象でその市場は小さくなるばかりです。電気信号を音波に変換するスピーカーは個性の塊で様々な矛盾をどう料理するかはまさに匠の技、それを必要とした時代の製品に魅力があるのは当然でその当時の遺産で私たちは楽しんでいます。心配なのはコーン紙の寿命でオリジナルはいつか絶滅するのではないかと思っていますしスピーカーに限らず工業製品の旬な時期はすべてのプロダクツにあるわけでそれを過ぎたものは骨董品と呼ばれます。大切にしかし仕舞い込まずに使っていきたいと思います。

 古い時代のフルレンジは直熱3極管シングルアンプと相性が良い、、というイメージがありますがそう単純ではなさそうで私はWEについては耐入力に気をつけながら5極管PPなどでちょっとパワーを入れた方が気持ちよく聴けます。素性の良いアンプではとても自然に聞こえますし音味は蓄音機が最も近い感じがします。どこからか聞こえてくるのではなく引き込まれるような音で蓄音機や陣笠と似た世界です。

https://blog.goo.ne.jp/kobmina/e/c003aa45613620602ef65da5e4ed65f5  

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コメント
1. 中川隆[-5027] koaQ7Jey 2021年7月13日 17:30:48 : TXygMoa43s : WmtBVXNOYUZVemc=[26] 報告
ALTECとWE 755シリーズ について(2)
2021-07-03
https://blog.goo.ne.jp/kobmina/e/7042a8be6cc9f19ff49a39b12e790745?fm=entry_awc


 前回ALTECとWestern Electricの755シリーズを投稿してから5年近く経過した。755シリーズの始祖はWE 755Aで最末裔のALTEC 755EまでKS,ALTEC A,B,C,Eと存在している(なぜかDは欠番)。WE〜ALTEC 755BまでがアルニコでC,Eがフェライト、またB,C,Eはフリーエッジ、その他はフィックスドエッジでセンターキャップが一体のコーン紙の形状や質感も微妙に異なっている。また同名称の製品でも生産時期で細部が異なっている場合がある。

 シリーズを通じて評価は高く製造が終了してかなりの年数が経過しているが人気は衰えていないように思える。ユニット単体以外でもALTEC、AR製品でスピーカーボックスに組み込んで販売していたモデルがあった。前回はKSとALTEC 755Cが未聴だったが幸運にも今回はじめて自宅で試聴することができた。



1 KS 14703

  インピーダンス4Ω 70〜13kHz 最大入力8W

   

 WE製品だが製造はALTEC社で社外品という型式のKSが付いている。製造は1950年頃かららしくWE755Aより数年後で丁度LPレコードが発表された時期になる。インピーダンスはWE 755Aと同じ4Ωで両者の音色の違いについては様々な記述があるが周波数特性を広げてソースに対応させたというのが一般的な解説のよう。WE 755Aはもともと列車に設置されたスピーカーらしいが1948年10月当時のCMペーパーを見ると「ラジオ局、有線放送、一般家庭のラジオやレコード再生で他社製品よりすぐれている」とあり口径の異なるシリーズ3機種(755A:8 3/8"、756A:10 1/4"、728A:12 11/32")のうちのいちばん小さいものだった。KS 14703はWE製品だが1954年にはALTEC 755Aが発表されWEからALTECへの移行が完了しているのでKS 14703は最後のWEのスピーカーだったか?(自信無し)。ところでALTEC755Aのカタログにはインピーダンス8Ωとあるが実測DCRからこれは4Ωのまちがいもしくは途中で仕様変更があったと思われる。PAのためにシリーズ接続して使いやすくするための4Ωと思われるし伝送出力での単体使用時はオートトランスで変換され問題ないという判断か。

 入手以來ALTEC 618Cという前面バッフルが傾斜している銀箱に入れている。

  

 この箱の板厚はバッフルが15mm、その他は9mmという極薄で軽い。また密閉箱ではなく後面には持ち運ぶために指を入れる(多分そうだと思うが)穴が空いている。大した補強もなく当然箱鳴りがする。しかしユニット口径が20cmということもあってそれほどパワーは入らず(WE 755A、KS 14703の最大入力は8W)箱鳴りが問題になるほど大音量での再生をしなければボロが出にくい。それよりも小口径を補う低域の増強に重きを置いているのだと思っている。同じ形状の618Bという口径が30cm用の箱があるのだがさすがにちょっと役不足かもしれないと感じて内部に桟をいれて使っていたことがある。

 WE 755Aが入っているレプリカランドセル箱と比較しながら聴いてみた。アンプはWE 91Bレプリカ、ソースはCDでEMT 918のステレオ再生

   

 久しぶりのステレオ再生は残響がスピーカーの外から聞こえたりして慣れるまでちょっと違和感があった。箱が異なるユニットの比較は正直なところかなり様相が異なっていてあたりまえに難しい。全体のバランスは銀箱の方が好ましいがこれは今まで大型のシステムを長く聴いていたことが大きいと思う。ランドセルは前に飛び出すような音だがちょっとうるさい感じもある。しばらく聴いてみましょう。



  

Bon Appetitti! 竹内まりや (2001年)

 竹内まりや9年ぶり9枚目のオリジナルアルバム。ほとんどがタイアップ曲で聞き慣れたものだがこのCDを最後に聴いたのは多分15年以上前。近年SNS時代になって同氏の楽曲は世界的に評価され注目を集めるようになった。曲や編曲演奏が良いのはもちろんだがAメロ、Bメロがあって展開部があって、、というオーソドックスな構成はかつての歌謡曲みたいでおじさん世代にも安心感があり若者が注目している、、と聞けば昔からのファンはちょっといい気分になる。インフルエンサーの感覚にマッチすれば有名無名、新旧関係なく拾われ拡散する時代になった。サブスクが一般的になって今までなら思いもしなかったジャンルの楽曲に触れる機会も多くなった。



 途中WE 755Aランドセルを懐かしの「逆オルソン方式」にしてみた。



 故江川三郎氏の提唱していたスピーカーの設置方法で「左右を近づけて外側に向ける」というもの。数十年前に自作のボックス+ダイヤトーン六半で聞いていた時にこの方式にしていてそれ以來かもしれない。ちょっと不自然な感じがしたがビジュアルも手伝って慣れてないだけかもしれない。音場は確かに変化したがユニットの素性の判定にはならないと早々に元に戻したがセパレーションが悪かったアナログソースにマッチしていたのかも、、などと考えた。

 しばらく聴いてWE 755Aの素晴らしさが目立ってしまった。手塚治虫や鳥山明のような線の美しい漫画やモノクロブロマイドの美人を見た時のような感覚。情報量が多いのに音に品があって可愛らしくまとまる。レプリカランドセルは小型の改造密閉箱で重低音は最初から諦めている(?)のだが618C銀箱に入れる時には細かなチューニングを行わないと不満が残ると思われた。膨らませた低音はいらない。

 KS 14703+618C銀箱は拙宅の標準機だったがもう少し手を入れる必要性を感じた。やっぱりユニットの比較は同一条件もしくは最適チューニング後でないと難しい。

 「季刊ステレオサウンド別冊 魅力のフルレンジスピーカーその選び方使い方」(1979年3月31日刊)

 

 42年前の刊行、内外37機種のフルレンジユニット(すべて当時の現行機)を特注した2.1m x 2.1mの平面バッフル2枚に取り付け、岡俊雄、瀬川冬樹、菅野沖彦ら三氏が試聴し(すべて実測データ付き)意見をかわすという内容。また若者50人が詰め掛けた瀬川氏司会の公開試聴会の様子も掲載されていた。2,500円のダイヤトーンP-610Bから100,000円のTANNOY PHD385Aまで同一条件で鳴らしていて当時持っていたP-610B(これしか買えなかった)の健闘ぶりに嬉しくなった。ALTEC 755Eは21,000円、JBL LE8Tは30,000円でこのあたりの入手を夢見ていたが手が届かず中古LE8Tの詐欺にあったことは以前書いた。JBLの人気が高かったのは高性能はもちろんだがその美しさが大きな要素で実際に聴き比べできる環境もなく雑誌の論評を読んで妄想を膨らませていた。当時この記事の影響で平面バッフルを作った人は多かったのではないかと思わせるほど熱気のある内容だった。ユニットの能力がほぼ100%発揮されたというこのバッフルの行く末は不明だが今となっては古(いにしえ)のユニットの試聴もしてみたいものだと思います。



2 ALTEC 755C

 鮮やかなグリーンハンマートーンの塗装はこの時期のALTEC製品に共通していて「アルテックグリーン」などと呼ばれる。フェライト磁石になった関係で高さが低く(平たく)なって「パンケーキ」という愛称はこの製品からだと確信する。スピーカー端子はBまではハンダ付け、Eはワンタッチターミナルだったが(ネジ止めも一部あったらしい)その中間なのかネジ止め。ボイスコイルへの連絡線はBと同様に細くこれはフリーエッジになった関係かもしれない。Bと異なるのはエッジ部全周に渡ってビスコロイドが厚く塗布されている事でこれはサウンドに大きな影響を与えそう。しかしビスコロイドを塗布していないものも見たことはあるのでいろいろな仕様を受けていたのかもしれない。フリーエッジ(コーン紙にエッジが接着されている)は薄い布製だが755C前期は755Bと同じ茶色で後期になると755Eのような黒となるらしい(未確認)。

インピーダンス8Ω 40〜15kHz 95.5dB/w/1.2m 最大入力15W f0 52Hz(シリーズ中最低)

  

 618C銀箱に1個だけ組込んで左はKS14604、右はALTEC 755Cにして比較試聴した。能率がかなり異なるのはインピーダンスが4Ωと8Ωで異なっているから。KS 14703と比べて平面的で抑揚が少ない、全体に薄いベールがかかっているような曇天、高域の伸びが足りない、低域の弾み方や質感など、聴き比べるとかなり異なっている。個体差もあるだろうしチューニングもしていないのでこれが製品の特徴と言いきれないが今のところ世間の評判の序列を乱すことはなかった。

 618C銀箱の左右ともALTEC 755Cにして試聴するとやはり左右ユニットの個体差が少しある様子だが年代物の製品なのでこれは致し方ない。アンプや接続を変えてなるべく目立たないようにして試聴を繰り返す。

  オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 第三楽章 J.S.BACH



 

 iPhone 7手持ちで撮影。この曲は以前所属していた室内オーケストラの最初の定期演奏会の曲で本当に懐かしい。緊張でガチガチになっていた思い出が。

 久しぶりに聴いたがBACH先生の魅力が詰まっている作品。オリジナルの楽譜は消失したらしいが自身の編曲した2台のチェンバロ版から復元された。作業された方には感謝です。



 同じ演奏をWE 755A+ランドセル型密閉箱で再生





https://blog.goo.ne.jp/kobmina/e/7042a8be6cc9f19ff49a39b12e790745?fm=entry_awc
2. 中川隆[-5026] koaQ7Jey 2021年7月13日 17:36:58 : TXygMoa43s : WmtBVXNOYUZVemc=[27] 報告
Western Electric 755A
WE755A についてのさまざまなお話
http://mikami.a.la9.jp/audio/we755a/we755a.htm

事の始まりは、Western Electric 755Aスピーカーが拙宅にやってきたことに始まる。聴きなれたレコードを何枚かかけてみると、愕然としてしまった。当然のことではあるが、愛聴盤というものは、どこにどんな音が入っているかを暗記しているものであるが、このスピーカーで聴くそれは、まったく別物であった。今迄聴こえていなかった音が、豪華絢爛に再現されてくるのであった。
 
  それはあたかも、澱んだ東京の空に浮かぶ見慣れた星空から、一転して空気の澄み切った山の頂きから仰ぎ観る天空の星星の情景そのままに、天空一面、星、星、星のショーの大星夜を目の当たりにしたようなものだった。

星星が煌く音となり、その微粒子が壮大な音楽を構築しているかのようであった。今迄、自分は一体、何を聴いてきたのだろうという悔しさと、まだレコードにもCDにもいくらでも秘められた音が入っているのだという嬉しさが頭の中を過ぎった。
 


  755Aの悲劇と再臨  

その後、悲劇が襲うこととなる。S社製高級アンプの200Wの出力が、暴走し耐入力6Wのボイスコイルを焼損するのである。アンプのケミコンからは白煙が上がり、755Aは無言に沈黙した。私の人生は、この後暫しセピア調に色どられる。
 
  しかし再生装置は、工業製品である。見事に復旧した755Aは、ボイス・コイルの位置合わせと、ビスコロイドの調整により、以前に増してその再生能力を高め、復活したのである。S社のアンプは、クズ鉄として葬られたのは、ご想像のとおりである。以降、Western には、出力トランスのあるアンプを使用することとした。また、壊れたものは、自分で修理、動いているものも自分でメンテナンス、チューニングを心がけている。おかげで、カートリッジのダンパー交換からWE555のオーバーホール、調整までするに至った。

     
  2A3シングルアンプ  

市販の高級アンプが逝ってしまったあとは、20年前に設計した2A3のシングルアンプを引きずりだしてきて使った。出力は、3Wで、トランスを背負っているので、スピーカーには直流が流れないので、安全である、というか、傷めるほどの出力が出ないのだ。  
WE755Aは、そのシステムの音を忠実に表現する。アンプの音をそのまま出してしまうところがある。アンプの素性が露呈してしまうのだ。オーディオ用のアンプでは、周波数特性とか、歪みがどうのとかという基準は、みんなクリアしている。音色がどうのこうのという問題も、組み合わせる装置やケーブルでコロコロと変わる。これに一喜一憂していたのでは、永遠に堂々巡りである。

そこで、新しい基準を設けることにした。これは単純明快で、本来ソースに入っている音が聴こえるてくるか否かを基準にしようというものである。もはや、音色の好みの問題ではない。再生できているかいないか、聴こえてくるかこないかであるから誰でも分かる。音が完全に再現できていれば、あとは各自の好みで音色を決めればよい話しである。

比較は、単純明快である。アンプを用意して、ソースを再生してみる。片方のアンプの再生された音が、あたかもスモッグのかかった大都市の夜空に見る星の数としよう、大星夜アンプの目指す音は、あたかも空気の澄みわたった高山の頂きから仰ぎ見る夜空の星々のショー、あたかも宝石箱をひっくりかえしたように、豪華絢爛な音の輝きを堪能しようというものである。本来そこにあるものをただ、あるがままに再生しきろうというただそれだけである。一般のアンプは、そこまで徹底して造られていない。出しきれていない音の部分を音色を付加することで補い、あたかも再現できているかのごとくの音を造り上げている。再生できていない部分の音を他の音に尾ひれをつけて修飾を加え、バランスさせているのだ。大星夜アンプ基準で比較試聴するとその差には唖然とすることとなる。

     
  非日常世界

  大星夜アンプ基準でアンプが追い込まれていくと、場合によっては非日常的な世界への入り口を垣間見ることがある。伝説のショパン弾きと語りつがれている、ウラディミール・ド・パハマンの演奏が、78回転のSPにわずかに残されている。RVCがこれをLPに復刻して発売している。当然CD版もある。このレコードを普通の超高級システムで再生すると、騒々しいスクラッチ・ノイズの中に沈んだ演奏がか細く聴こえてくるだけである。スモッグの濃い空を通して遥かかなたの星を見ようとしてもかすみ、揺らぎ、その何たるかは、茫洋として分からない。

カートリッジレベルからモノラルで追い込んだシステム、アンプは大星夜級を使用する。そしてこれにWestern Electric 555 Receiver を繋ぐ。キャパシターのカットオフは200Hzである。スクラッチ・ノイズは、音楽とは完全に分離して聴こえるので、まったく邪魔にならない。

眼前に100年の時の流れを遡って、パハマンが現れる。そこに居るのである、そして私たちに語りかけている。その声は血の通った、まさに肉声を彷彿させる。ひとたび演奏に入ると、モノトーンのはずの100年前の演奏が、総天然色のような色彩を帯びてくる、その演奏はあまりに美しく、ひとたび剥製となった動物の心臓が再び鼓動を始め、血を得て、生き返ってきたかの様を呈する。まさに黄泉がえりである。あまりに生々しく、美しさを通り越した不気味さ不可思議ささえ感じられる。

  常人は、私も含めてこの世界には、踏み込まないほうが無難かも知れない。これは、Western 555 Receiver の特異なる世界で、594A Loud Speaking Telephone では、再現しない世界であり、WE555 の謎のひとつである。

孤高のドライバー Western Electric 594A


1933年4月27日に行なわれた、ワシントン・フィラディルフィア間141マイルの電話回線を使用したオーケストラの立体音響伝送実験(オーディトリ-・パースペクティブ)は、ベル研究所が当時の最高水準の技術を結集したエクスペリメントとして歴史に残る。このためのシステムは、膨大なコストと人員が投入された。当時の技術水準と貨幣価値を今日に比較換算するならば、NASA的なプロジェクトと考えてもよいだろう。

このときの再生用のシステムが、幻のフレッチャー・システムであり、おそらくは人類史上最高のシステムと評価できるものだ。すべては、このエクスペリメントのために研究開発された。

このスピーカー・システムは、低音部に20インチの巨大な金属振動版を持った折り曲げ低音ホーンと大口径4インチ振動版を持つ中高音用のホーンドライバーで構成されている。中高音ドライバーは、マルチセルラホーンである。このシステムは、当時の映画産業界から劇場用としてのリリースの声が大きかったが、低音ホーンのエコー現象もあり、実際に業務用の装置としては量産されることはなかった。製造された数は、10本に満たないと思われる。

しかしながら、このシステムの中高音用のドライバーは改良を経て、世に出されることとなる。これがWE594A Loud Speaking Telephone 、すなわち今日我々が目にすることのできる、あのWE594Aドライバーである。その生まれからしてただならぬ血統のスピーカーである。このドライバーの性能は隔絶したものである。自動車に例えるならば、F-1レーサーのようなものだ。

WE594Aは、WE555とは異なり、2Wayのシステムとして、あくまで低音用のスピーカーと併用することを前提に作られている。しかし皮肉なことに、このドライバーとつなげられる相棒は、かのフレッチャーシステムの巨大金属振動版低音ホーン・ドライバーだけなのである。これ以外の紙の振動版のウーファーでは、やすやすとはつながらない。

WE594Aは、その生まれから、まさに孤高の存在であった。究極の理想を求めて設計され、卓越した性能を発揮するが、それとバランスできるウーファーがないのである。

最近は、いろいろなところで594Aが鳴っている。しかしその多くは、我々に忍耐を強いるようなサウンドを轟かせている。オーナーは、これがウエスタンのすばらしい音なのだから、この良さが分からない者は、オーディオを語る資格がないといわんばかりの情熱を傾注する。聴衆も自分の耳に自信がないからか、恐れ入って敬意を持って、いい音だと絶賛する。裸の王様の世界そのままである。正直な人は、私はこの音を好きになれませんとかウエスタンの音というものはこの程度のものかと思ってしまうかも知れない。

このような悲劇は誰のせいでもない。そもそも本来のウエスタンの音を聴いたことがある人がいないのだ。それはもう70年以上前にこの空間から発して、そして消えてしまい、人々に語り伝えられた、伝説の音なのである。今日に生きる人々は、当時のシステムを可能な限り再現し、失われた音を復活させようとしているのだ。私は、その情熱に心から協調する。しかし再現された音が、はたしてその本来のウエスタンの音であるかどうかの検証は、とても難しい。

この"孤高の"594Aドライバーは、そもそも鳴らすのが至難の代物なのだ。よって、やかましい音で鳴っている594Aに出会っても、達観しようではないか。趣味でF-1レーザーを所有しているようなものだと思えばよろしい。そしていつの日にか鳴らしきることを生きがいとすれば、これはすばらしいライフワークとなる。
http://mikami.a.la9.jp/audio/we755a/we755a.htm


プロローグ  

私の書斎にWestern Electric 755Aがやってきた日のことは、忘れられない。東京都内の文人宅から、そろそろと自家用車で、品川の自宅まで運んだ。システムに繋いで、そろそろと音出しをしてみる。

  聴きなれたレコードを何枚かかけてみると、愕然としてしまった。当然のことではあるが、愛聴盤というものは、どこにどんな音が入っているかを暗記しているものであるが、このスピーカーで聴くそれは、まったく別物であった。今迄聴こえていなかった音が、豪華絢爛に再現されてくるのであった。  

それはあたかも、澱んだ東京の空に浮かぶ見慣れた星空から、一転して空気の澄み切った山の頂きから仰ぎ観る天空の星星の情景そのままに、天空一面、星、星、星のショーの大星夜を目の当たりにしたようなものだった。

  星星が煌く音となり、その微粒子が壮大な音楽を構築しているかのようであった。今迄、自分は一体、何を聴いてきたのだろうという悔しさと、まだレコードにもCDにもいくらでも秘められた音が入っているのだという嬉しさが頭の中を過ぎった。  
     
  755シリーズの伝説

管球王国の特集などで、さまざまな755シリーズのスピーカーが紹介されて以来、WE755Aは、多くの人の知るところとなった。WE755Aを入手後も、KS-14703、ALTEC 755A,755Cと結構な数の755シリーズのスピーカーを聴きまくった。その結果は、尋常なものではなかった。755シリーズのスピーカーは、一本一本音がちがうのだ。一般には、WE755A,KS-14703,ALTEC 755A,755Cの順で音が良いと信じられており、値段もその順番になっている。しかしその実態は、シリーズの差よりも固体差のほうが大きいのだ。特定個体の比較でWE755Aよりも音の良いKS-14703個体もあった。755Aは、製造後50年を経ており、オリジナルでも経年変化が多く、さらにはこの高名さの故に修復の加えられたものもかなりある。修復の程度も製造後20年目で一度、さらに40年目で二度目といった複数の修復が加えられたものもある。私が入手したユニットは、外見はかなりみすぼらしかったが、偶然にもまったくのオリジナルで、音質的にも優れたものだった。


     
 
755Aの音について

 

Western Electric 755Aは、非常に高い分解能と忠実な再現力を目指して設計されたスピーカーで、高音域には、このスピーカーに特徴的な独特の音色が色づけされている。スピーカーでは、高い分解能や描写力を追求すると、音楽再生上のバランスが崩れたり、過度に妖艶な音を発したり、はたまたピュアすぎても蒸留水のような味気ない音になることがあるが、WE755Aの場合は、非常に高い分解能と忠実な再現力に、たぐいまれなバランスと音楽性を実現している。高音域の音色も音楽性を高めることはあっても、いささか品格を貶めるものではない。おそらくは、マグネット型フルレンジコーン型のスピーカーの最高傑作のひとつにまちがいないだろう。


     
  どのように鳴らすか  

専門誌の特集などに、WE755Aは、鳴らすのが難しいと書かれてある。これはこのスピーカーが、非常に繊細かつ敏感に、そのシステムの音を実に忠実に出してしまうからだと思う。だからシステムの悪いところはより悪く、よいところはよりよく再現してしまうのではないかと思う。うまく鳴らないのは、途中の問題個所を直せばよろしいということだ。システム全体を高度にバランスさせれば、驚くほど素晴らしい音で鳴る。反面、これはとても興味深いことだが、このスピーカーの固有の魅力的な高音域の音色は、これらの一切に関係なく美しく歌う。かなりいい加減なシステムでも、このスピーカーを繋ぐと、おやっと思わず振り返るような音が聴かれる。


     
  755Aのペア組み  

もともとWE755Aは、個体差が非常に大きく、製造時の歩留まりも非常に悪かったものと思われる。またすでに製造後50年以上も経過しているので、使用状況による経年変化も大きく、個別のユニットの音色の相違は、非常に著しく、音色的にペアをとるのは至難の業と言える。ショップの話では、20から30本くらいでやっと何本かのペア取りができるとのこと。私としては、モノラルで追い込んで使用するか、音の違う2本をステレオの左右の音を聴き比べて、相性のあうほうに繋げば、それでよいと思う。しかし、これではステレオ再生時にうまく定位させるのが難しい。

     
  低音が出ない  

JBLの075というツイーターは、すばらしい音がする。この音そのままで低いほう迄、全部カバーしてくれないかという欲求にかられることがあった。WE755Aの場合もこのバランスのままもう少し低音が出てくれないものかと泣きたくなる思いをしている人も多いのではと思う。低音に関して云えば、ユニットの個体差によって、高音は若干弱いが低音が少しは出るというものがある。これは初期に製造されたものなどで、アルニコ磁石の減磁がすすんだことによるものだろう。またエッジに塗られているビスコロイドは硬化が進む。一般に755Aは、低音が出ないといわれているが、これは、50年以上かけてエッジのビスコロイドが硬化して、f0(最低共振周波数)が高くなり、低音でにくくなるためだ。この意味で現存する755Aは、製造時の状態とはまったく違った音になっていると思われる。どうしても低音という場合には、箱で出すか、音色的に合うユニットで低音を補うことになるが、どちらも試練が待ち構えている。私の場合は、魔法箱と称する箱を使用して楽器として鳴らしている。あとは平面バッフルがよいだろう。

     
  追い込みと試練  

とても高い分解能と高度な再現力のあるスピーカーだから、鳴らすために追い込むときには、覚悟と注意が必要になる。私の場合、モノラルレコードで追い込んでいく段階で、困った経験をした。たとえばクラシックの二重奏や四重層を聴くと、個別の演奏パートの楽器の音がはっきり分離して聴こえてくる。バイオリンの演奏も指の動きが見えるような錯覚すら覚える。演奏家の呼吸のスーハー音も当然ごとく聴こえ、レコーディングの音の色づけまでもわかる。こうなってくると、ピアノのミスタッチや演奏のテンポの乱れや伴奏が合わずに必死で追いかけたり、はたまた追いつくのを待っていたりが手にとるように分かるようになってしまう。今まで、とても気にいっていた愛聴盤の演奏が実はあまりに下手糞だったというのが分かってしまうと、もう騙されていたような気分になって、この盤から遠ざかることになってしまう。このようにして、再び聴けなくなった"過去の愛聴盤"がたくさん出来上がってしまった。


反面、今までわけのわからなかったように聴こえるような演奏が、理解できるようになり、名演の名演とされる所以が分かってくる。また、今までに聴こえてこなかった音が聴こえてくるため、レコード・ライブラリのもう一度聴きなおすことになり、これはまた、今までにない発見になる。

 

 
  15ミリ厚のベイ松合板製のWE指定箱がひとつと、研究中の共振タイコ原理箱(通称魔法箱)がひとつ、そしてカラ松合板の900X900ミリの平面バッフル、ラワンかまぼこ状態反りの900X900ミリの平面バッフル、20x30ミリのバッフル(壁面共振用)などなど。
 
5/9/2003(3/4/2005 写真追加)

http://mikami.a.la9.jp/audio/we755a/we755a.htm


ウエスタンのシステムをオリジナルの状態のコンビネーションで使用するというのは、ある意味で正解である。ウエスタンは、まさにその状態でバランスをとっている。
ウエスタンのスピーカーのリード線などを見ても、こんなところに細くて純度の低い銅線を何故使用するのだろうかと思うが、実はそれでもってバランスをとっている。6Nや7Nを使用すると破綻することがある。594Aのダイヤフラムのリード線も細い。オリジナルのWE755Aのリードも初期は細い。アルテック以降の755Aでは、"良い"銅線が使用されている。バランスというものの本質が分かっていない後期の設計者が、抵抗値が低ければよい音になるだろうと思って、変えてしまったものかも知れない。

いずれにしろ、ALTEC 755Aは、外見も仕様も全く同じだが、Western 755Aの音はしないのである。
http://mikami.a.la9.jp/audio/nazo2/nazo2.htm

3. 2021年7月13日 17:40:22 : TXygMoa43s : WmtBVXNOYUZVemc=[28] 報告
ケーブルの長さで音が変わる  

スピーカーに限らず、オーディオシステム、部品間を繋ぐ電線の問題は実に頭の痛い問題である。つながないことには音が出ないので、電気を使う装置の宿命としてつきまとう。電線不要の蓄音機がうらめしい。この問題であまりに悩むと電線病となる。すべてを電流伝送にすればよいのだが、あらゆるコンポーネント間が電圧駆動になっているため、この問題は避けて通れない。ここでは、私の考え方と解決のヒントを紹介しよう。

  WE755Aは、8インチの秀作、不世出のフルレンジ・ユニットである。このスピーカーは、高能率で実に細かい音を再現するに長けているが、ボイスコイルのインピーダンスが4オームと低く(ごく普通のスピーカー・ケーブルでは特に顕著だ)、アンプとの接続が全長1メートルくらいでは20センチ程度の長さの差があると音に出てしまう。むっとして、ケーブルを短く切るが、短ければ短いほどによい。理論的にも現実的にもケーブルは無いのが理想的である。将来は、スピーカーも電流駆動にしたいと思っているが、この分野はまだまだ研究が必要だ。  

  低いインピーダンスのスピーカーは、ケーブルの影響を受けやすい。下図左にあるように、SPケーブルが長い場合、ケーブル自体の抵抗が多くなり、アンプ側からみると、ボイス・コイルを駆動しているのか途中の配線を駆動しているのか、訳がわからなくなる。WE755Aスピーカーのボイスコイルは、銅線を直径1インチのボビンに35回程度巻いてあるだけである。交流的には磁界内でインピーダンスを持つが、DCR(直流抵抗)では、2オーム程度と低い。周波数が低くなってくるとDCRはより大きな問題となってくる。
 

  プロ用システムの600オームインピーダンス伝送  

家庭用の装置では、ケーブルの長さは数メートル程度でおさまるが、劇場や野外PAなどの場合では、このケーブル長が数十メートルに及ぶことがある。このため業務用の装置では、アンプからの出力インピーダンスを高く送り出している。歴史的に業務用の装置ではアンプからは600オームの送り出しにして、スピーカーのすぐ近くにマッチング・トランスを設置し、ここでスピーカーのインピーダンスにあわせる。ケーブルが短い場合は、当然トランスを入れないほうが音質的に優れるが、使用される環境が特定できないプロユースでは、安定した性能を発揮するために、高めのインピーダンスで送り出して、マッチングをトランスで取るようにしている。

  多くのウエスタン・ユーザーは、シアター用のシステムをそのまま自宅のリスニング・ルームに持ち込んで聴いていると思われる。バランスどりもこのプロユースのインターフェースで行っている。しかしながら、ホーム・ユースでは、ケーブル長が短ければ、高いインピーダンスで送り出す必要もなく、間にマッチング・トランスを入れる必要もない。これら取り去ることにより、理論的にも現実的にもシステム性能は、飛躍的に向上するはずである。束縛から解き放たれたウエスタンのドライバーは、想像を絶する音の世界を現出する。基本性能の高さをいかにマスクして使いやすくしているかが、如実にわかる。しかしウェスタンのドライバーを、素の状態で他の装置とバランスをとるのは、至難の業である。これはレーシング・マシンのチューニングの世界に通じるものがある。


 
  リモート・トランス方式  

  高性能のスピーカーケーブルは、非常に高価である。私のように懐に余裕のない者は、数メートルのケーブルに十万円も出せない。というか、もともと無いのが最高の状態のものに、泣く泣く資金を投入するというのは、技術的にも忍びない。そこで、数メートルの範囲であれば、アンプの出力トランスをアンプの外に出してしまえ、ということになった。これが、私流のリモート・トランスという方法である。普通は出力トランスは、上左図のようにアンプのシャーシの中に収まっているが、これを外して上右図のようにスピーカーのすぐ傍にもってきてしまう。そうすると低インピーダンスの配線部分は、とても短くてすむ。数十センチくらいと短ければここには、目いっぱい高いケーブルを使ってやることもできる。アンプとトランス間は、高目のインピーダンスでつながっているし、電流は数十ミリアンペア程度と極めて少ない。よってケーブル延長の影響は、スピーカーの場合より圧倒的に少ない。但しこのケーブルには数百ボルトの電位があるので、感電に気をつけないといけない。またアンプとトランス間はすべてはんだ付けでやらなければ危険である。回路がプシュプル方式の場合は、お金さえかければ、さらに効果的な回路構成をとることができるが、一般の人にはお勧めしない。ここで節約した資金は、別の場所に投資したほうがいいと思う。

  モノーラル・アンプを使う
 
このリモート・トランス方式にしなくとも、モノラルのアンプを2台にして、それぞれをスピーカーのすぐ傍に置く手がある。この場合、コントロール・アンプとメイン・アンプの間のケーブルは、通常の電圧伝送であっても、まだまだ伸ばす余裕がある。スピーカーのケーブルは、ボイスコイルのインピーダンスが低いので延ばせないのである。私の使用しているウーファーRCA 1444のインピーダンスは、30オームである。よってケーブルの影響を受けにくい。これも業務用のものである奥ゆかしい仕様になっている。反面、ネットワークのインダクタが巨大化するが、その点は本HPのネットワークの項目も参照されたい。

http://mikami.a.la9.jp/audio/audio.htm

4. 中川隆[-5025] koaQ7Jey 2021年7月13日 17:42:51 : TXygMoa43s : WmtBVXNOYUZVemc=[29] 報告
Western Electric 755A


技術が知識の蓄積なら、WEを遥かに超える機器が生まれても何ら不思議は無いんですが・・・。

知識や情報は蓄積されるものだという常識を一度疑ってかかるべきかもしれません。

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WE社の製品は、まだコストをいくらかけても問題ない時代のものなので、それを真似するにはコストがかかりすぎる。

WEの模倣品を製造している所の製品の価格をみれば、いくらコストがかかるかは推定できる。はっきり言って模倣品を買うほうが、本物よりも値段が高い。ただ、状態の良い本物は数が少ないので、金よりも探す労力のほうが甚大だ。

WE755Aも本当に状態の良いものは、数が少ない。ほとんどが減磁したり、コーンがへたっている。良い755Aを手に入れられた人は本当に幸運だ。
http://blog.livedoor.jp/takeo2005/archives/50813773.html


EMT930(139st)からマランツ7、ウェスタンエレクトリック143Aにて
ラ­ンドセルオリジナル入り KS14703と753C、755Aの鳴き比べをしました.


HIDE1187 4 か月前
素晴らしい!!
直接聴いたら鳥肌物でしょうね!
そこで演奏してい­るようですね。いいな〜〜!


WE755A
http://www.youtube.com/watch?v=KV5dMlmW2tQ


5. 中川隆[-5024] koaQ7Jey 2021年7月13日 17:45:39 : TXygMoa43s : WmtBVXNOYUZVemc=[30] 報告
Western Electric  KS-14703 
http://www.jupiteraudio.com/2145/2145.html 

KSシリーズは1950年頃にALTEC社でアッセンブルされたと言われています。

ALTEC社は 755Aという型式で自社で製造しており、8Ωインピーダンス設定です。

KS-14703 は ALTEC社のアッセンブルで Western Electric社に収めた製品ですが、このヴォイスコイルインピーダンスは、WE社の 755Aと同様の 4Ω設定であり、ほぼ同等品と言って良いでしょう。

ただ、ウエスタンマニアの方達からすれば、一言二言あるかもしれません。

一般的にKS-14703はWEの755Aよりも分解能が高く、ハイファイ指向になり現代的になっていると書籍等で言われています。

だからといって、755Aが古くさい昔の音ということではないでしょう。
時代に応じて要求されたスペックで製造されており、1950年代後期に至ってはモノラルの時代からステレオの時代へと移行し、全てワイドレンジ化が図られ時代とともにハイファイへと加速的に移行した事実があります。

そしてWEの時代はトーキーの時代であり、それ以降音楽を楽しむという時代へと移行し、スペックの向上が図られたのも事実です。

音楽を聴く上で重要なのは、中域がどれだけしっかりしているかがよく問われるところですが、それは必須であり中域だけでも意味はありません。

しっかりとした中域に付帯して、低域、高域の必要性も必須であり、音楽のニュアンスを見極める上で、上から下までのしっかりとした情報が聞こえてこその音楽です。


本来、WE 755Aがセピア系のサウンドですが、KSはもう少しカラーレーションがしっかり付いたサウンドイメージでしょうか。

それだけに音楽の幅も広く、様々なソースに対応してくれます。
http://www.jupiteraudio.com/2145/2145.html


▲△▽▼


ALTEC 755 について 2016-11-19
https://blog.goo.ne.jp/kobmina/e/c003aa45613620602ef65da5e4ed65f5
 大阪のリティルオーディオ(リティルマネジメント)さん
http://www.labsp.net/

に修理に出していた「ALTEC755A」が帰ってきました。

 相変わらず匠の腕前で修理前後の写真を見比べても区別がつきません。もちろんトラブルも解消されました。いつものことですが修理後の測定結果も同封されています。

 隣町にオフィスがあった時にその作業風景を見学させてもらったことがあるのですが見識の高さと手際の良さに圧倒されました。いとも簡単そうに行うのを見たら「易しい作業かも」と勘違いする私のような素人がきっと大勢いると思う。事実その後はエッジの張り替えや、ボイスコイルの交換、コーン紙の移植などとても敷居が高くてできそうもないと思っていた作業を(無謀にも)行ってきた。うまくいったのも失敗したのもあったがとにかく「駄目元でチャレンジしてみよう」は自分の趣味の世界を広げてくれました。

 しかし今回は何と言っても「高額商品」なので師匠(勝手に弟子入り)にお願いした。トラブルは「ビビリ音が出る」で小入力の時は気づかなかったのですが少し大きな音になると発生するというもの。ボイスコイルが当たっていると思われました。同封されていた修理メモでは「ボイスコイルがバラけて外れていた」というもので修理はその部分の巻き直しという内容。過大入力が原因ということですが心当たりはないので以前から発生していたのかもしれない。オークションはいろんなリスクを伴います。貴重な文化財を素人の手で破壊しなくてホントに良かったです。「ALTEC755A」にはもうしばらくは生き延びて貰います。
 
 「ALTEC755A」は1954年から製造され自社以外でもAR社のスピーカーにも使われました。その後極短期間に少数のALTEC755B、1963年にはALTEC755C、1968年にはALTEC755Eが長期間にわたって作られました。このパンフレットによれば「ALTEC755A」のインピーダンスは8Ωのようです。どうも某雑誌別冊のALTEC特集で間違った記載があった様子。

 「ALTEC755A」の源流は有名な「Western Electric 755A」で主に公共の施設などで使われたユニットです。1947年に列車の車内放送用として開発されました。少し前までは米国の病院の取り壊しなどで大量に発見されて輸入されたと噂されましたが最近ではあまり聞かれません。手軽に「Western Electric の音」が味わえるということでとても人気が高く高値で取引されています。建物の壁や天井に埋め込まれていて人の目に触れなかったユニットはとても程度が良いものが多かった。ただ製造されてから70年程度経過していて音質の個体差が結構あると言われています。

 20年ほど前に関東のWE専門店を訪れたのもこのユニットの音を聴いてみたいという目的からでした。お店の人が用意してくれたのはCDウォークマンとアンプは忘れましたがソースは女性ボーカルでとても印象的な音だったと記憶しています。結局その時はKENYONのトランスを2個買って帰った。入手したのはそれからしばらく経ってからですが入手先は長野県のお店で送られてきた段ボール箱には「Western Electric」の文字がある!当時完実電気が再発売したWE300Bの元箱だったと思います。その気遣いに感動して思わずお礼の電話をした。やはりリアル店は「お客に夢を売って欲しい」と思う。口上代が高くても構わない。うまく騙して夢を見させて欲しい。。は暴言多謝。


 
 発表は1947年で口径の異なる3種類があった。(伝説のWE750Aはその10年前に発表されている。死ぬまでに聴く機会があるのだろうか?)

 
 これらもとても魅力的ですがWE755A以外は今の所縁がありません。壁の中の狭いスペースに収めるために配慮した設計になっているらしい。口径20cmのパンケーキと呼ばれた厚みの薄いスピーカーはWestern ElectricからALTECが生産を引き継いだわけですが最終型のALTEC755Eまで続きます。(「パンケーキ」の愛称はフェライトマグネットになってからとも言われている)

 Western Electric 755AとALTEC755Aの間にALTECが生産してWEに納入した「KS14703」というユニットがありこの3種の音色の比較が話題になることが多い。「KS14703」は見たことはあるのですが聴いたことはありません。

 左が「ALTEC755B」で右が「ALTEC755A」

https://blog.goo.ne.jp/kobmina/e/c003aa45613620602ef65da5e4ed65f5


 並べてみて違いを探すとフレームの塗装、エッジ、ターミナル、引き出し線、コーンの形態(Bが少し深い)、写真ではわからないがコーン紙の表面手触りなどが異なる。 

 「WE755A」は現在KSランドセル(KS12046)のレプリカに入っています。実際にはこの組み合わせは無かったと聞いています。
 
 「ALTEC755E」はヒースキットのバスレフ箱に入っています。この箱はSS-1という2wayスピーカーの箱で、その下にウーハーを増設できるという製品。譲っていただいた時ははっきりいってボロボロだったのですが頑張って塗装剥離してオイル仕上げにした。サランネットは手洗い洗濯して再使用です。
 
 ヒースキットは飛行機までキットで売っていて(ヒースさんはその飛行機の墜落で亡くなったらしい)いかにも合理的なアメリカらしい製品コンセプトだと思います。いずれもっと詳しく調べたいと思ってます。


 左は「ALTEC755E」、右は「ALTEC755B」

https://blog.goo.ne.jp/kobmina/e/c003aa45613620602ef65da5e4ed65f5

 引き出し線はとても細い。ワンタッチターミナル!

 コーン紙は基本的に同じではないかと思うほど良く似ている。

 左は「WE755A」、右は「ALTEC755A」

https://blog.goo.ne.jp/kobmina/e/c003aa45613620602ef65da5e4ed65f5


 ターミナル、引き出し線は同じに見える。「ALTEC755A」をKS12046 ランドセルレプリカ箱に入れて聴いてみます。

 KS12046レプリカは改造してあります。本来はボックス内ボックスがあり、ホントに小さい容量の箱なのですがオートトランスなどを載せるボードを切り取って裏蓋を新設しました。密閉箱の容量は2倍程度になったと思います。オリジナル箱では恐れ多くてとてもできない改造です。密閉度を高めるために工作精度には少々気を使いました。吸音材は現在は比較的多めに入れています。

 アンプは整備したWE86BでCDプレーヤーからアッテネータ経由で。WE755Aと比較してみると、、基本的には同系統の音味だと思います。「ALTEC755A」の方が線が太い感じ。悪く言えば少しピントが甘い写真。

 もう一つの箱(ラックマウント用の金具が付いている)に収まった「ALTEC755A」とも比べてみる。

 2個重なってますが上だけ鳴っています。ランドセル(改)と比べても大きな違いはありません。どちらも過不足なく気持ちよく鳴ります。(この箱のバッフル板は割れています。どうやってリペアするか検討中)

 「WE755A」と「ALTEC755A」はインピーダンスが4Ωと8Ωですが同一条件で比較していいのだろうか?とちょっと疑問に思います。

 数日間聴いてから「ALTEC755B」に換えてみますと、、。
 私の耳では「ALTEC755A」よりも「ALTEC755B」の方が「WE755A」に近いのではないかと聞こえました。まず音が軽々と出てきます。ひだが深くてしなやかな感じ。ピントも合っている。

 「ALTEC755B」の生産台数はとても少なく入手は困難なようですがこれは要注目かと。私が入手した時は常識的な価格でした。なぜ生産が継続されなかったかですが雑誌の情報では使われているコーン紙は初期の「ALTEC755C」のモノと似ているらしい。そうすると枯渇してきたアルニコ(アルニコV)から次世代のフェライト(インドックスV)への変更だけ、、か。また「ALTEC755A」から「ALTEC755B」の違いで一番大きいのはそれまでのフィックスドエッジからフリーエッジへの変更で以降継承される。目的ははっきりしないがエッジの変更により引き出し線が細くなったりのチューニングが施されていると思われる。

 初めて買ったJBLは「LE8T-H」でフェライトだった。当時すでにアルニコ製LE8Tは製造していなかった。学生の身であったので苦労して通販で並行輸入業者から購入。ずっと憧れのスピーカーだったがたどり着くまでにコーラルの「6F60」をカッコが似ているという理由で使っていた。また今でも続いている雑誌の売買欄にあった中古の「LE8T」(たしか17500円だったと思う)が欲しくて相手に送金するも送ってくる気配が無い。そのかわり下宿に警察が来て詐欺事件だという。「被害届を出されますか?」と。昔から悪い奴は居たわけだがやがて彼の父親と名乗る方からわび状とともにお金を送ってきた。嬉しかったのと同時に親に同情した。「LE8T-H」は手放してしまったがその後「LE8T」は出入りはあるが「LE8」と共に使い続けている。
 自分の先入観からかどうもフェライトのイメージが悪い。特にJBLユニットは前面から取り付けることが多いが磁気回路が大きければそれはムリ。あの大きさで良かったのだろうか?などと思う。

 「ALTEC755B」があまりにも良いので「WE755A」の入ったランドセルと並べて比較してみる。。やはり異なる。。「WE755A」は前にせり出すような凹凸ある音。「ALTEC755B」は奥行きのある凹凸。念のために端子の接続を変えてみて再確認。

 KS12046レプリカ箱ですが板厚は曲面加工している部分はかなり薄い箱です。サイドはデザインのためか10mm程度の板が取り付けられている。またオリジナルは(このレプリカももともとそうだったのだが)裏板が本体と独立していて壁にまず裏板を取り付けてから本体を裏板に引っ掛けるような構造になっています。そのとき上下どちらの向きでも取り付け可能で高い位置の場合は下向きに角度がつく取り付け方もできた。ボックス内には棚がありKSナンバーのトライアッド製のオートトランスが組み込まれていた。館内放送のアンプは電送タイプで各スピーカーでインピーダンスマッチングを行なっている。

 薄い板厚でボックスの鳴きを利用した音創りについてはよく語られる。かつて極厚板、過剰な補強でとにかく共振を排除する設計がスピーカーに限らず流行したがいつのまにかあまり言われなくなった。床に穴を開けて地面からコンクリートブロックを立ち上げたプレーヤー置き場など今見たらちょっと滑稽な光景。でも当時は良い音に対する熱意は今の比ではなかったと思う。

薄い板厚のボックスはなんとなく楽器風で手軽なのだが良い音にするには条件があるようで板の硬さが大切だという。これはバイオリンでも一緒で表裏板加工するときの重要な要素とのこと。(加工時に板を硬くするという技)最近ではビンテージバイオリンの解析が進んできて品格はともかく良い音の製品ができているらしい。ちょっと弾かせてもらったことがあるが国産高性能軽自動車みたいだと思った。

ちなみにストラディバリウスも弾かせてもらったことがある。なにか蝋人形のような恐ろしい顔をしたバイオリンだった。どういった経歴かわからないがなにかぞっとするものを感じた。(大抵は血統書のようなものがついていて美しい図鑑でストラドをはじめ有名なビンテージ品は把握されている。業者はそれを見ながらオークションに参加する)

バイオリンは各国で作られているが面白いことに地域ごとの序列がある。最高位はもちろんイタリアで現在はクレモナの復興が目覚ましい。かつて日本製のバイオリンが世界を席巻して昔からの産地は廃れてしまったのだが。その他ドイツでも有名なそして悲劇的な生涯のマエストロが存在した。次に東欧、アジアと続く。先ほどのバイオリンは実はアジアで作られたバイオリンのパーツを日本で加工、組み立て、塗装して完成させている。社長によれば木材からの削り出しから行なっていてはとても試行錯誤にならず分業することで数をこなすことができてはじめて発見できた事が多かったと。

 バイオリンはいつまでも「選ばれた人だけが操れることができるユダヤの魔法の箱」であってほしいと勝手に願っている。「ALTEC755B」と「WE755A」を聴きながら妄想が広がってしまった。今日は「勤労感謝の日」一日中音楽に浸る事ができて良かった。

 最期に登場する「ALTEC755E」

 同じようにランドセル箱に入れて聴いてみる。作りは簡素だし、フェライトだし、量産型だし、きっと勝負にならんだろう、、と思ってましたがなかなか聴かせます。低音は豊か、中高音も大きな不満はない。「WE755A」との価格差を考えれば健闘していると思う。

 違いは音の手触りというか輝きというか、粒子の大きさ、粉っぽさ、切れ味、実体感、くらいか。もっと言えば同じ系統とは思えないほど異なる音味。「ALTEC755B」と「ALTEC755C」と「ALTEC755E」の違いを聴いてみたいが残念ながら「ALTEC755C」は持っていないので想像の域は出ないがやはり磁石の変化の音に対する影響は大きかったのではないかと思います。バスレフ箱には合わないと言われてますがヒースキット「SS-1」で聴いた時、ようやくその評価が高い事が理解できたような気がしました。ほんの少しツイータで高域を補ったら随分違って聞こえると思います。
https://blog.goo.ne.jp/kobmina/e/c003aa45613620602ef65da5e4ed65f5


▲△▽▼


mas********さん 2015/1/15 14:28:32

755Aコピー版 特徴を教えてください。

ほかにも パーマネント磁石でないのが あるようですが


1.サウンドベース555 755A 価格:120,000円(ペア/税別)

2.ウエスタン ラボ Products Inc.755A pair 販売価格 168,000円

3.サンバレーのWE755A復刻版 129,600円


補足
755EX 励磁(フィールド)型スピーカー ¥250,000/ペア English

その伝説的WE755Aをベースに励磁構造(Field Exciter)の設計にてこの755EXは完成しました。

励磁電圧可変可能な音造りにより お好みの音質が愉しめる低電圧励磁コイルの設計仕様としました。


こういうのも ありますが どうなのでしょう


i_m********さん 2015/1/15 15:33:28

はじめまして♪

ほうほう、検索してみました。

母体は同じ物のようですねぇ。中国の工場。

あとは納入先(販売会社)に合わせて、少しだけ違うらしい。

かなり昔から、フレームだったり、コーン紙だったり、パーツとしては出回っていた、さらに組み立て済みで、精度が良く無い固体も一時で回っていたので、やっと国内の企業がマトモに売れる状態に出来上がった、という事でしょう。

せめて、半額程度なら、私も触手が動きますが、(苦笑)

WEを好むオーディオマニアックが、日本には多いので、販売店1社だけでは難しかったかもしれないが、これだけマニアックな3社も集まれば、有る程度の量産めども立った、というところでしょう。

WEの755は、ウォールマウント用として開発され、後のアルテック時代(最終は755E)まで製造されていたユニットです。

劇場等の通路やいろんな場所、壁や天井に埋め込み、多用されたスピーカーで、人の声には抜群の定評が有る。

同社のスピーカー群に比べると、比較的大人しめな音、逆に言えば家庭内等で近接利用ならクセが少なくて聞きやすい、という傾向です。

基本的に。WE時代は一般販売はされていなかった(全ての機器、消耗品の真空管やケーブルまでも、リース)ので、AやCタイプの流通は非常に少ない。アルテックランシング扱いに成ってEタイプなら一般販売されたため、今でも個体数が多い、と言われています。

私も中古で755Eを入手したんですが、とにかく音量をドンドン絞って、やっと聴こえるくらいに成っても「歌詞の内容」が聴き取りやすい。これには驚かされました。それでいてかなりの音量に上げても音のバランスが変わらない、スピーカー工作が好きなのですが、この点には感服です。

天井や壁に取り付けるのが前提だったため、箱が小さいと低域が誇張された感じに成りやすい、このため大きな箱にするか、後面開放などにするか、少し悩む所でしょう。(この辺りは、個人の好みに成って来ますけれどね。)

音と対峙して聴く、というより、出て来た音に体をゆだねて、ゆったりと「音楽を楽しむ」というのには、大変良いユニットの一種です。

復刻版がどういう評価を受けるのか、多くのユーザーからの意見が出てくるのが楽しみです♪


i_m********さん 2015/1/16 13:04:01

高性能な永久磁石が無かった時代は、基本的に強力な磁力は電磁石、励磁型です。

マグネット部の素材や構造も、もちろん音に影響は有りますが、単に変わった/変わらない あるいは、オリジナルの音/いや違う という観点だけでの考察は、あまり有益では無いと思います。

結果的に、より好む音、扱いやすいサウンドが得られれば、それはどれで良いのですが、、、
とは、言ってもヴィンテージファンは、オリジナリティーを尊重する傾向が強いのも確かな事実です。

我家にも1本、電磁石タイプが有る(先代が入手したユニット)
電磁石部分がDC400Vって事なので、管球アンプとの組み合わせが大前提かな? 残念ながら、私は実際の音を聞いた事が無い。

電磁石型にもメリットとデメリットがあるのですから、単純に優劣言及する事は、パスします。

そもそも価格差が、、、(苦笑)
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12140690137

6. 中川隆[-5023] koaQ7Jey 2021年7月13日 17:46:30 : TXygMoa43s : WmtBVXNOYUZVemc=[31] 報告
・Western Electric 755A (1947) : インピーダンス 4Ω, フィックスドエッジ, 列車の車内放送用として開発, 建物の壁や天井に埋め込んで使用する
http://mikami.a.la9.jp/audio/we755a/we755a.htm

・Western Electric KS-14703 (1950) : インピーダンス 4Ω, フィックスドエッジ, ALTEC でアッセンブルした 755A 同等品
http://www.jupiteraudio.com/2145/2145.html


・ALTEC LANSING 755A (1954) : KS-14703 でインピーダンス を 4Ω から 8Ωに変更

・ALTEC LANSING 755B (1954) :インピーダンス 8Ω, 755A のフィックスドエッジからフリーエッジに変更

・ALTEC LANSING 755C (1963) : インピーダンス 8Ω, 755B のアルニコマグネットをフェライトマグネットに変更

・ALTEC LANSING 755E (1968) : インピーダンス 8Ω, フリーエッジ, フェライトマグネット, 通称”パンケーキ”
https://blog.goo.ne.jp/kobmina/e/c003aa45613620602ef65da5e4ed65f5


・ SUNVALLEY AUDIO(旧キット屋) LM 755A (2012) : 12万円・ペア/税抜, 中国 Line Magnetic社製, Western Electric 755A の粗悪なレプリカ
(WE755A が KSランドセル(KS12046)ボックスと組み合わされた事は過去には無い)
https://www.kit-ya.jp/products/detail/723

7. 中川隆[-5022] koaQ7Jey 2021年7月13日 17:49:21 : TXygMoa43s : WmtBVXNOYUZVemc=[32] 報告
平面バッフルの部屋 平面バッフルとフルレンジスピーカーが大好き。いい音めざして試行錯誤。
2020-10-14
https://openbaffle.hatenablog.com/entry/2020/10/14/203446

Western Electric 755A:フルレンジレビュー
レジェンドにして、いまでも世界最高クラスのフルレンジスピーカー
https://openbaffle.hatenablog.com/entry/2020/10/14/203446

Western Electric 755A

「ウェスタンエレクトリック 755A」、このスピーカーユニットの背景については多くを語る必要はないのだろう。すでに諸兄が、その歴史や特長を諸所で語っておられる(ご存じない方は「Western Electric 755A」で検索)。私はそれらのレビューや評判を見聞きし、一度は聴いてみたいと願っていた。しかし、その価格は常人の感覚ではおいそれと買えるような値段ではなかった。そこまでは無理、と夢の中だけで止めていた。

そんな私がこのユニットを手に入れるに至ったのは、癌という病気にかかったからだった。時間を大事にしようと思ったとき、オークションで指が動いていたw。そんなユニットなので、実際にテスト・視聴したことを報告したい。

スペック
スペックは以下の通り。

https://openbaffle.hatenablog.com/entry/2020/10/14/203446

(ネットからの情報と実物からの情報で私が作成したものだが、発売年はちょっと怪しい。正確な発売年をご存じの方は教えていただければありがたい)

外観
https://openbaffle.hatenablog.com/

浅型のコーン紙に、大き目のセンターキャップ、2本のコルゲーション(同心円状の凹凸)に特徴がある顔。この顔は、その後Altecになっても継承されている。

https://openbaffle.hatenablog.com/entry/2020/10/14/203446

アルニコマグネット、強固なフレームで安定感がある。茶色の部分は布のようなもので通気性がある。

https://openbaffle.hatenablog.com/entry/2020/10/14/203446

これはコーン紙の拡大写真だが、全面にディンプル(くぼみ)が施されているのがわかる。ディンプルは空気の整流効果やねじれ力を防止し歪を抑制する効果があるそうだが、2本のコルゲーションと共に歪の防止に役立っているのだろう。

https://openbaffle.hatenablog.com/entry/2020/10/14/203446

エッジはコーン紙をそのまま延長したフィクスドエッジだ。製造後70年以上経っているだろうに、穴1つない。

F特
視聴は以下の竹平面バッフルで行った。一番下が755Aだが、上のスーパーツィターとスーパーウーハーは鳴らさず、純粋に755Aフルレンジ一発だ。

https://openbaffle.hatenablog.com/entry/2020/10/14/203446


視聴感の前にF特を紹介しておこう。以下は、竹平面バッフルに装着した状態で、軸上1mで収音した結果だ。

https://openbaffle.hatenablog.com/entry/2020/10/14/203446

WE 755A F特(軸上1m、WaveSpectraにて)


きれない特性だと思う。100Hzから8KHzくらいまで概ね平坦で、それより先は上も下もなだらかに落ちていっている。1KHzあたりに少しピークがあるが、これが音の個性になっているようだ。


視聴感想
一言で言えといわれれば、明瞭。いろいろ言ってよければ・・・、音がクリアー、明かるく前に出る、情報量が多い、音に芯がある、バランスが抜群、人の声がリアル、中域から低音にかけての音に色気を感じる。周波数帯域はF特の通り広くはないが、低音も高音もちゃんと出ている。特に低音の音質は平面バッフル方式と相まって、どのユニットよりも魅力的。ドラムやコントラバスの音など、ずっと聴いていたくなる。

強いて弱点を言うなら、低音の量感がさらにあればいいことと、音量を限界近くまで上げていった際に、少し歪が出始めることくらいだろうか。
これが70年以上前に作られたものとは・・・。信じられないが、外観も古びてないし、それ以上に音は現代でも世界最高クラスのクオリティーだ。

このユニットを手に入れて本当によかったと思う、と同時に、これまでのスピーカー開発の歴史とは何だったんだろう、と思ってしまう。少なくても言えることは、ダイナミックスピーカーは70年前におおかた完成していたということだ。(fin)

https://openbaffle.hatenablog.com/entry/2020/10/14/203446

8. 中川隆[-5021] koaQ7Jey 2021年7月13日 17:52:04 : TXygMoa43s : WmtBVXNOYUZVemc=[33] 報告
Date: 8月 26th, 2011
ナロウレンジ考(その2)
http://audiosharing.com/blog/?p=5728
以前、アルテックの755Eを持っていた。
鳴らしていた、ではなく、持っていた、と書くのは、普段はダンボール箱の中にしまったままで、
ときどき思い出して引っぱり出してきて、鳴らす。

そういう使い方だから、755Eのために平面バッフルやエンクロージュアを用意していたわけではない。
梱包用のダンボール箱から出した755Eを床に置く。
つまりユニット前面が天井を向くようになるわけだ。
それでダンボール箱となかに入っていたダンボール紙を利用して、755Eを床から少し浮す。
床をバッフルみたいにして使う、しかもユニットは上向きだから、無指向性的使い方でもある。

755Eを使いこなしている方からみれば、なんといいかげんな、と怒られてしまいそうな鳴らし方なのだが、
意外にも、いい感じで鳴ってくれた。

低音も高音も出ていない。典型的なフルレンジ一発のナロウレンジの音なのだが、
それほど編成の大きくない録音を鳴らすと、中央に歌手が意外にも立体的に定位する。
さすがアルテックだな、声がいい感じ鳴ってくれる、と聴き惚れるぐらいの音が、
鳴らす音楽を選びさえすれば、そう思える音が鳴ってくれる。

ナロウだなぁ、と感じるのは聴きはじめのわずかのあいだだけで、
すぐに耳がなれてしまうのか、ナロウレンジであることはさほど気にならなくなる。
そうなってくると、マルチウェイのスピーカーシステムでは鳴らしにくいところを、
すんなり出してくれていることに気がつく。
もちろんマルチウェイのスピーカーシステムが苦手とするところすべてを、
フルレンジ一発のシステムがうまく鳴らすわけではないが、
フルレンジのナロウな音に耳がなれてくると、
意外にも楽器固有の音色の描き分けに関してはフルレンジの方が優っていることが多いのでは……と思えてくる。
楽器の音色だけではない、人の声、歌い手による声質の違いに関しても、
フルレンジのほうが素直に出してくる、というか、聴き分けやすいところがあることに気づく。
http://audiosharing.com/blog/?p=5728


ナロウレンジ考(その3)
http://audiosharing.com/blog/?p=5730

アルテックの755Eを、そんな鳴らし方を、ときどき楽しんでいたときに、
ステレオサウンドの取材で出合ったのがウェスターン・エレクトリックの100Fである。
裏板の銘板には、LOUD SPEAKER SET、とあるとおり、アンプ内蔵の、いわゆるパワードスピーカーだ。

100Fは、電話交換手のモニター用としてつくられたもの、ときいている。
見た目は古めかしい。
最初見た時は、こんなものもウェスターン・エレクトリックか……と思ったぐらいだから、正直、あなどっていた。

記憶に間違いがなければ、たしかBGMを鳴らすときに100Fを使われた。
だから音量は小さめ、電話交換手のモニター用だから、
人の声(会話)が明瞭に聞こえることを目的として開発されたものだろうから、ワイドレンジではない。
せいぜい上は4〜5kHzぐらいまでか。下は100Hzぐらいであろう。
内蔵アンプも、電源トランスを排除しコストを抑えた設計・構造。
それなのに、耳(というよりも意識)は、100Fの方を向いていた。

聴いているうちに、無性に欲しくなった。
これも、やはりウェスターン・エレクトリックだな、とさきほどまでと正反対のことを思っていた。

100Fは、当時よりもいまの方が入手しやすくなったと思う。
あるところに訊いてみたところ、1台10万円だった。それもそんなに程度がいいとは思えない100Fだった。
しかも、私はステレオで鳴らしてみたい、などと思っていたから、
いくらアンプ内蔵とはいえ、20万円かかるだけでなく、すぐにはペアでは揃わない、ともいわれた。
まだ20、21歳くらいのときで、そんな余裕はなかった。

そのあとも何度か100Fを聴く機会はあった。
それでもステレオで聴いたことは、まだない。
いまでは、もうモノーラルでいいじゃないか、とも思っている。
100Fをステレオで鳴らしてみたい、という気持、あのころほどではなく薄れている。
とはいえ、100Fは、私が聴いていた音のなかで、もっともナロウレンジらしいナロウレンジの音かもしれない。
http://audiosharing.com/blog/?p=5730

ナロウレンジ考(その4)
http://audiosharing.com/blog/?p=5757

アルテックの755Eの音も、ウェスターン・エレクトリックの100Fの音も、
多くの人は、高域があまり伸びていない、とまず感じ、ナロウレンジの音だと判断されることだろう。

たしかにサインウェーヴで測定するかぎり、どちらも高域は伸びていない。
けれど、ここで考えたいのは、サインウェーヴでその測定結果と聴感上のレンジ感は一致することもあれば、
そうでないこともある、ということ。

よく聞く話に、こんなことがある。
テストレコード(テストCD)、もしくは発振器を使ってサインウェーヴを聞いてみたら、
年齢のせいか、もう20kHzなんてもちろん聞こえない。15kHzも無理で、12kHzあたりがどうにかこうにかで、
聴力が衰えることは頭ではわかっていても、その結果に愕然として、
もうこれからはスーパートゥイーターなてん不要で、ナロウレンジでいい、と。

こう語られる年輩の方がおられ、
若い人の中には、高域が聞こえにくくなっている年輩者の音の評価なんて当てにならない、という者もいる。

確かに高域に関しては若いときの方がよく聞こえるけれど、それはあくまでもサインウェーヴに関してのこと。
われわれがオーディオを介して聴くのは、サインウェーヴではなく、音楽であること。
音楽の波形とサインウェーヴの波形は、似て非なるものであること。

つまりサインウェーヴの高域が聞こえなくなったから、高音域まで再生できなくてもいい、
サインウェーヴの高域が聞こえなくなった聴覚は当てにならない、
このふたつは実に短絡的で、誤解でしかない。

サインウェーヴで捉えてしまうと、こんなふうに考えてしまうのも無理もないこととはいえ、
サインウェーヴの呪縛から解放されなければ、ワイドレンジについてもナロウレンジについても、
いつまでも誤解が解消されないままになってしまう。
http://audiosharing.com/blog/?p=5757

9. 中川隆[-14797] koaQ7Jey 2021年12月07日 04:43:17 : 2zSsj4hxA6 : M1FvMG5mVWxiOGc=[28] 報告
超お買い得
真空管アンプ「カトレア」 ささやき 45アンプ
価 格 185,000円

出力が2Wと少ないですが音質が素直でとても綺麗な音が聞けます少ないパワーで透明感と繊細な音を求めている人へお薦めです。但しスピーカーの能率が95db以上有るのが理想的です。
45はグリットチョークを使用し、ロングライフ設計で動作させています。良い球はシンプルに作るのが最高の音が聞けます。ごまかしの無い素直な音を是非聞いてみて下さい。


サイズ W335 x D235
回路構成 CR結合(グリットチョークによる)ドライブ
入力感度 1V  100kΩ
出 力 2W + 2W
使用真空管 6SL7  45  5Y3
シャーシー カリン
B電源回路 一回路
NFB回路 なし
納 期 1ヶ月

http://www.cattlea.jp/product/?no=3

▲△▽▼

ペンションすももの木 _ 「カトレア」の交流点火の真空管アンプ
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/488.html

真空管アンプ「カトレア」 _ 交流点火の 300B ・ PP5-400 コンパチブル モノラルアンプ
http://www.asyura2.com/18/revival4/msg/113.html  

45 シングルアンプ
http://www.asyura2.com/18/revival4/msg/153.html

My Audio Life (趣味のオーディオ) 45 シングルアンプの製作
http://www.asyura2.com/18/revival4/msg/154.html


▲△▽▼

45シングルで鳴らされた Goodmans Axiom80 が理想の音

良く知られているように故瀬川冬樹氏は45シングルで鳴らされた Goodmans Axiom80を生涯理想の音とされておられたようです。このスピーカの設計者がその後作ったスピーカは多々ありますがそのどれもが一聴して柔らかな音を出しますから本来の方向はリアル派とは異なるのでしょう。低域共振点は20ヘルツ台で大変に低く、エッジ、ダンパのコンプライアンスが高い割には最大振幅に制限があるためにアナログ時代は極めて使いにくいユニットでした。ピックアップ系の共振が問題にならないデジタル時代の環境では大変使いやすくなっています。
https://www.audio-maestro.com/about.html

フルレンジ好きの人ならば、一度は憧れたであろう「GOODMANS AXIOM80」という英国製の特異なスピーカーが手元にございます。愛好者には古くは 故瀬川冬樹氏や是枝重治氏などが有名でしょう。私も数年前より80年代に発売された復刻版を数セット取り扱いました。旧タイプとは、コーン紙の形状や厚さが大きく異なっています。

旧タイプのコーン紙は、薄くて張りがあり、外周部分に折り返しを付けてコーン紙全体の強度を上げる構造でした。それに対して復刻版はポテッと厚めで、その外周部分は切りっ放しでありました。

カンチレバーも、旧タイプでは薄くしなやかなモノでしたが、厚めのものに変わっていました。旧タイプより耐入力が増している事から想像するとそれらと関係があるのかも知れません。復刻版は現在手元にはありませんが、オークションなどで手に入れることが出来る様です。価格は上がっていますが・・。

旧タイプも稀に目にしますが入手は絶望的かもしれません。


AXIOM80は、コーン紙が「フラフラ」して扱い難いと云う定説が昔からありました。アナログ時代には確かにレコードの反りなどの理由によりコーン紙が揺さぶられ、ボイスコイルが底打ちする可能性があり、狭帯域のシングルエンドの真空管アンプが有利でした。故瀬川冬樹氏は無帰還でトランス結合の「UX-45シングル」で鳴らしていたようです。能率が高く、2W程度の出力でも充分に楽しめました。

メーカー製の専用箱は私の知る限りは昔から存在せず、付属の図面を元に家具屋へ注文するか自作でした。通称「ヤマハ箱(ヤマハで製作されたもの)」も見たことが有ります。何れにしろ「専用 ARU」との組み合わせが一般的でした。

現在 AXIOM80 を駆動するアンプは「6BM8/ECL82 超3極菅接続」を私は使用しています。小型の出力トランスを持つエレキット製品の改造品です。見た目は非力なのですが、音の広がりや奥行き感などに優れ、安価で簡単に改造出来て、とても満足しています。
http://rmuk.exblog.jp/

瀬川冬樹は創刊まもない頃のSS誌で、ゴッホ美術館で手持ちの複製画の本物を見た時その本物は所蔵の複製画の複製に見えた、という小林秀雄の有名な一文を引いてオーディオ論を展開していました。今日眺めても極めて優れたオーディオ論で、瀬川畢生の名論文だとおもいます。

瀬川冬樹氏の名論文は1960年頃のラジオ技術誌の「私のリスニングルーム」、しばらくあとの「M夫人のクレオさん」(クレデンザのこと、M夫人は福岡で御健在)、1960年代半ばのラ技連載の一連の「これからのステレオ装置」などであり、個人的には1970年代の瀬川さんは抜け殻としか思えないのです。

それは瀬川さんも分かっていたようです。
お亡くなりになる直前のことですが倉敷在住のIさんに、

ぼくはもうだめなんだ、体もだめだしオーデイオも堕落してしまったんだ、

今一度昔に帰りたい、45とアキシオム80に戻りたい、

そのために80は8本用意しているんだが、、

と述懐されたそうです。

瀬川さんのピークは JBL の蜂の巣ホーンをお使いになられたマルチアンプ時代の頃まででしょう。

Iさんからその話を伺った時、なぜか太宰治を想いました。氏が癌に侵されていることはそのころは既に衆知のことでした。
しばらくしてお亡くなりになったのですが大村一郎としてはS字状結腸にできた腫瘍で亡くなったとしても瀬川冬樹としてはそうではないと思ったものです。
http://www.audio-maestro.com/luochi_sui_shii.html

10. 2022年2月11日 17:16:27 : 8fbxFIojGM : N1RjM3BBSXg1Yy4=[41] 報告
ALTEC 755E
http://www7b.biglobe.ne.jp/~ballds/spF2.html


言わずと知れた通称「パンケーキ」タイプ、WEの755Aを源とする著名なフルレンジのALTEC版です。タイプはA, C 及びEとあるようです。 755AはWEとほぼ同じような感じで、マグネットがCやEよりも大きいです。755CはAltecグリーンの独特の雰囲気があります。 再生帯域はA→C→Eの順に広くなっているようです。 ただ、今までの経験からすれば、データ上の帯域は聴感とは違いますけどね。 一部の意見では、WEの755A → ALTEC755A → 755C等の順に音が本来のものから離れていく(音がよくないと・・)と言われるかたもいるようです。 お値段からすればそうかもしれませんね。 WEものは3倍くらいしますからね。
最近、ちょっと面白そうな新しい箱が販売されたので、早速を購入して755Eを入れてみました。(4月18日)

Vintageものを崇拝するつもりではないのですが、このサイズのフルレンジを考えたときに一度は参考までに鳴らしてみたい・聴いてみたいと思っていたスピーカーのひとつです。 お値段もそれなりにプレミアムがついて、他のユニットとは一線を引いています。 また、再生周波数の帯域はあまりワイドでなくてもいいのと、20cm以上のフルレンジではあまり新しいユニットはありませんから、こういう古いものも対象になると思います。さすがに古いとは思うんですが、聴いてるJAZZが50年代から60年代前半ということを考えると、このあたりがソースとの相性もよく狭帯域故に古い録音でもノイズがのり難いので聴きやすいかもしれないという気があったので、挑戦してみました。 この手の古いものでオリジナルのままの状態のものなど望めるものではないので、コーン紙の張替え等いくつか修理されています。 どの程度往時の音が出ているか分かりません。
この時期のアメリカのスピーカーは欧州のものに比べ、やはり高域は伸びていないようです。 ただ、中域のエネルギー感は素晴らしいです。 音の厚みというか、密度というか、音に実体感を感じます。 それでいて硬さというか、嫌な刺激のある音が全くしないで、耳に心地の良い音がします。 このあたりはALTECの音味とちょっと違う感じもします。 そんな意味で、あまり音域の広くない人の話し声やヴォーカルでは、未だかつて聴いたことがないほど素晴らしい音を聴かせてくれます。 元来PA用が主用途のようなので、このような傾向なのでしょうか。 755Eが一番帯域が広いと言われているようですが、確かに低域には広がってるようです。 個人的にはもう少し締まった方が好きですが、一般的には量感からすればこのほうがいいのでしょう。 箱でかなり音が違ってきそうです。
また、DVDでの映画の再生(5.1CHではなく、2CHでバーチャル・サラウンド・モードでの再生をしています)では、台詞の通りが良いというか、他のものとは人間の声の聴こえかたが異次元のような気がします。決して、最新のテクノロジーでの音は聞かせてもらえませんが、コケオドシ的なサウンドは全く出てこなくて、遠い昔の劇場で見ているかのような安心して映画を楽しめるような雰囲気を醸し出してくれます。 この映画を愉しむという目的では手放せなくなりそうです。

組み合わせるアンプですが、バロネット箱使用時に最初300Bシングルのアンプで鳴らしていたのですが、箱との絡みもあるのかもしれないのですが、音に余分な響きが付いてくるような感じがあり、響きの少ないSTC4033Xで単段アンプを作って組み合わせました。 あまりレンジは広くないですが、中域に集約されたとても静かでクリアーな感じになりました。 但し、アンプもかなり狭帯域なので、相乗効果で豊かな低音はかなり出にくくなっています。 個人的にはそれが好みに合っていますが・・。 これにより、ボーカルやギターが余分な音がしなくてとても聴きやすい音で鳴ってくれます。  

<追記> (4月18日)
新しい箱は通称、「銀箱」で有名なALTECの「612A」モニターのミニチュア版です。 高さ、幅、奥行き、それぞれがオリジナルのちょうど半分くらいの長さですから、容積にすれば1/8位ですかね。 オリジナルは以前私も使っていた620Bモニターと同じ「604」シリーズの15インチ・同軸2WAYユニットですが、620Bに比べると、容量は小さいのですが、スタジオ・モニターでの使用はこちらのタイプのほうが多かったように記憶しております。 箱の塗りもモニター系で多い、グレーや黒でなく、ハンマーネット・トーンというのも嬉しいですね。 艶があって、見た目も楽しませてくれます。 ユニットの直径も半分ほどの8インチなんですが、本来ならばもう少し容量があったほうがいいのかもしれませんが、個人的には今までの箱の中での今のところベスト・マッチングだと感じています。 バランスがとても良く感じられるのと、厭味な感じが全く感じられずとてもゆったりした気分にさせられます。長時間の視聴でも聴き疲れしない音です。 セッティングもモニター的に少し高い位置(ワーフェデールの上に乗せた状態)から前傾させた形で鳴らしてみたのですが、無難な鳴りかたはするものの、どうもゾクっとするようなものが出てこない。 以前の箱でも感じたことなんですが、視聴位置にかなり近いところでソロの楽器やボーカルを鳴らした時に真ん中に演奏者の小さな像がポカッと浮かんできて、そこで演奏しているような雰囲気を味あわせてくれます。 特にギターとかではゾクッとさせてくれます。 で、そんな感じのセッティングにしたら、やはりこっちのほうが合いそうです。 でも、この鳴りかた、どこかで経験したような・・・・。 随分昔に一度使っていた、Lo−D(日立のオーディオ・ブランド)のHS−500という2WAY(20Cmウーファーとホーン・ツィーターの組み合わせ)のスピーカー(かなり名器だと思っています)があったのですが、それでソロ・ギター等を鳴らした時の雰囲気にとっても似ています。 とっても柔らかな音なのですが、ギターの音像が全くぼやけないで音の輪郭がとってもくっきりしています。 
さて、念願の似合いの箱が見つかったので、次はアンプですね。  4033Xアンプをを8オームに直して、ALTEC系スピーカー用に変えるか、予備の4033Lを使ってもう一台作るか、または他の真空管で作るかですね・・。 兎に角中域の厚みとエネルギー感を損なわないアンプが欲しいですね。 350Bの3結を考えていたのですが、パワー感を考えて5極管結合という手もありますね。 
7月の終わりに16Ωスピーカー用にVT52のPPアンプを用意しましたので4033XアンプをALTEC2台に使っています。 それで、箱を上の方に上げてみたらなかなかいい結果がでましたので、しばらくモニター・スピーカー的に高い位置に置いています。
仕様: 20cm フルレンジ・スピーカー
入力インピーダンス: 8オーム
出力音圧レベル: 92dB程度


現在使っている755E。 大きさは755Cと同じです。 最初に入手した755C、個人的にはALTECグリーンに心がトキ
メキます。 ビビリが出てちょっと調整が必要ということで、試聴
室で鳴らしていた755Eと交換しました。 755Eの色はグレイ
と白です、604Eでもこんな色つかいでしたね。 尚、コーンは7
55A用を使用しているとのことでした。
写真右) ベースとなった、WEの755A

ちょっと小さ過ぎるかなとは思ったのですが、WEのオ
リジナル箱でも意外と小さな箱に755が入っていたの
を思い出し、とにかく試してみました。 今のところベス
ト・マッチングで、バランスの良い音を聴かせてくれてい
る、ALTEC612タイプの銀箱ミニ。 これも、右の箱と
同じお店で購入しました。 右の箱の新しいタイプも聴
いてみましたが、どうも箱が大きすぎるような感じがあ
り、なんとなくバランスが悪く感じました。 お店の推奨
は409タイプの8インチダブル・コーンのの新しいユニ
ットでした。 確かにそのほうが、明るい音が前に張り
出してくるALTECサウンドが楽しめると思います。 
755はどちらかというと奥に広がる感じが出てきます
ので、ALTECサウンドとはちょっと違いますね。 どちら
かと言うと、個人的にはこの奥行き感が出るタイプの
音のほうがが好みです。 ユニットを購入したお店のオリジナルの推奨箱で、試聴室でも
この組み合わせで鳴らされていました。 試聴室でもその傾向
はありましたが、狭い自室での再生では特に低音が出過ぎる
感じなのと、低音のある帯域で定位がなくなり音源がぼわっと
広がってしまうような感じが出ます。 また板材が12mmと薄め
なので箱鳴りがあり、余分な音が付いているような感じがありま
す。 もう少し厚みのある板材で鳴きを抑えたほうが、このユニ
ットには合いそうです。 現在、このタイプの箱は19mmの板
材で販売されていますので、このほうが相性がよさそうです。 
個人的な見解ですが、アメリカ製のユニットには鳴きを抑えた
箱のほうが相性がいい気がします。 それに反し古いヨーロッ
パ製のユニットでは、少し鳴きがあるほうが、よさそうに思えま
す。もちろん、箱との相性もあるでしょうけど・・・。

http://www7b.biglobe.ne.jp/~ballds/spF2.html

11. 中川隆[-10865] koaQ7Jey 2024年4月18日 14:39:29 : yyinFZpMyw : cnlBZDZ1Q0g1NkU=[3] 報告
<■58行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
2020-10-14
Western Electric 755A:フルレンジレビュー
レジェンドにして、いまでも世界最高クラスのフルレンジスピーカー
https://openbaffle.hatenablog.com/entry/2020/10/14/203446

Western Electric 755A
「ウェスタンエレクトリック 755A」、このスピーカーユニットの背景については多くを語る必要はないのだろう。すでに諸兄が、その歴史や特長を諸所で語っておられる(ご存じない方は「Western Electric 755A」で検索)。私はそれらのレビューや評判を見聞きし、一度は聴いてみたいと願っていた。しかし、その価格は常人の感覚ではおいそれと買えるような値段ではなかった。そこまでは無理、と夢の中だけで止めていた。

そんな私がこのユニットを手に入れるに至ったのは、癌という病気にかかったからだった。時間を大事にしようと思ったとき、オークションで指が動いていたw。そんなユニットなので、実際にテスト・視聴したことを報告したい。

スペック
スペックは以下の通り。

f:id:fullrange:20201015034946p:plain

(ネットからの情報と実物からの情報で私が作成したものだが、発売年はちょっと怪しい。正確な発売年をご存じの方は教えていただければありがたい)

外観
f:id:fullrange:20201012212707j:plain

浅型のコーン紙に、大き目のセンターキャップ、2本のコルゲーション(同心円状の凹凸)に特徴がある顔。この顔は、その後Altecになっても継承されている。

f:id:fullrange:20201012212652j:plain

アルニコマグネット、強固なフレームで安定感がある。茶色の部分は布のようなもので通気性がある。

f:id:fullrange:20201012212702j:plain

これはコーン紙の拡大写真だが、全面にディンプル(くぼみ)が施されているのがわかる。ディンプルは空気の整流効果やねじれ力を防止し歪を抑制する効果があるそうだが、2本のコルゲーションと共に歪の防止に役立っているのだろう。

f:id:fullrange:20201012212657j:plain

エッジはコーン紙をそのまま延長したフィクスドエッジだ。製造後70年以上経っているだろうに、穴1つない。

F特
視聴は以下の竹平面バッフルで行った。一番下が755Aだが、上のスーパーツィターとスーパーウーハーは鳴らさず、純粋に755Aフルレンジ一発だ。

f:id:fullrange:20201012211941j:plain
視聴感の前にF特を紹介しておこう。以下は、竹平面バッフルに装着した状態で、軸上1mで収音した結果だ。

f:id:fullrange:20201013210859p:plain

WE 755A F特(軸上1m、WaveSpectraにて)
きれない特性だと思う。100Hzから8KHzくらいまで概ね平坦で、それより先は上も下もなだらかに落ちていっている。1KHzあたりに少しピークがあるが、これが音の個性になっているようだ。

視聴感想
一言で言えといわれれば、明瞭。いろいろ言ってよければ・・・、音がクリアー、明かるく前に出る、情報量が多い、音に芯がある、バランスが抜群、人の声がリアル、中域から低音にかけての音に色気を感じる。周波数帯域はF特の通り広くはないが、低音も高音もちゃんと出ている。特に低音の音質は平面バッフル方式と相まって、どのユニットよりも魅力的。ドラムやコントラバスの音など、ずっと聴いていたくなる。
強いて弱点を言うなら、低音の量感がさらにあればいいことと、音量を限界近くまで上げていった際に、少し歪が出始めることくらいだろうか。
これが70年以上前に作られたものとは・・・。信じられないが、外観も古びてないし、それ以上に音は現代でも世界最高クラスのクオリティーだ。

このユニットを手に入れて本当によかったと思う、と同時に、これまでのスピーカー開発の歴史とは何だったんだろう、と思ってしまう。少なくても言えることは、ダイナミックスピーカーは70年前におおかた完成していたということだ。(fin)
https://openbaffle.hatenablog.com/entry/2020/10/14/203446

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