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インフレ目標政策は万能特効薬か? 通貨供給はマネーストックやインフレに直結しない 日銀の金融緩和意欲は通貨の供給量で判断
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/461.html
投稿者 eco 日時 2013 年 4 月 05 日 02:23:59: .WIEmPirTezGQ
 

(回答先: 黒田日銀総裁、タブー破る緩和アイデア    黒田日銀、「想定内」でも市場は反応する 投稿者 eco 日時 2013 年 3 月 27 日 11:20:07)

インフレ目標政策は万能特効薬か?

ニュージーランド、カナダ、英国、スウェーデンの経験

2013年4月5日(金)  上田 晃三

 日本銀行は本年1月、消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率2%を物価安定の目標とするインフレ目標政策を導入した。これは、アナウンスメント効果を通じて、円安の進展など金融市場に一定の影響を与えたとみられるが、その運営の実際については、依然知られていないことが多いと思われる。

 そこで本稿では、インフレ目標政策を比較的早い段階から導入している主要4カ国(ニュージーランド、カナダ、英国、スウェーデン)の例をとって、主にその導入からリーマン・ショックまでの約20年の歴史を振り返り、その政策運営の変貌を概観する(図表1)。

【図表1】4カ国におけるインフレ目標政策の枠組み(2012年3月時点)
ニュージーランド カナダ 英国 スウェーデン
導入時期 1988年4月 1991年2月 1992年10月 1993年1月
目標値・幅 1〜3% 中心値を2%1〜3%のレンジ 2% 2%
±1%を許容
物価指数 CPI総合 CPI総合 CPI総合 CPI総合
達成期間 中期 (18〜24カ月) 妥当な時間 (通常2年以内)
目標を達成できない場合 原因・予測・対処法を書面で説明
総裁罷免の可能性 明文化されていない 1〜3%の範囲を超えたら財務大臣に原因と対処法を公開書簡で提出 明文化されていない
 これら4カ国の中銀は、CPI(消費者物価指数)総合の前年比を2%程度に安定化することを目標としている。政策効果が出るまでのラグ(遅れ)、実体経済にもたらす影響を考慮に入れて、4中銀は物価安定の達成期間をやや長めに設定し、足許の物価を無理に安定化するのではなく、先行きの物価を緩やかに安定化することをめざした運営をしている。

 4中銀によるインフレ目標政策の運営はこの25年間、足許の物価安定に向けての厳格な運営から、中期的な物価と実体経済の安定をめざす運営へと大きく変貌した。背景には、インフレ目標政策導入以降徐々にインフレ率が低下し、インフレ期待や長期金利が低位に安定するようになってきたことなどがある。

高インフレ率下で導入されたインフレ目標政策

 ニュージーランド、カナダ、英国、スウェーデンの4カ国は、1980年代、慢性的な高インフレ・高金利に苦しんでいた。86〜90年のインフレ率(前年比)は、ニュージーランドでは9.5%に達していたほか、他の3カ国でも4.5〜6.2%であった(図表2)。86〜90年の長期金利(10年物)は、4カ国とも10%以上であった。

【図表2】4カ国におけるCPI総合インフレ率(%)
ニュージーランド カナダ 英国 スウェーデン
1986〜90年 9.5 4.5 6.1 6.2
1991〜95年 2.1 2.3 3.8 4.2
1996〜00年 1.5 1.7 1.6 0.5
2001〜07年 2.6 2.3 1.7 1.6
(注)前年比の期間平均。英国は1989年から。(資料)各国中銀ホームページ

 インフレ目標政策は、そのような環境の90年前後、インフレ期待を安定化し、インフレ率の低下を達成するために導入された。しかしインフレ目標政策導入によって、即座にインフレ期待が安定化し、長期国債に付されるリスク・プレミアムが低下したわけではない。むしろ、インフレ目標政策導入直後においては、4カ国の政府がGDP対比でみて2〜7%の財政赤字を抱えていたことや、英国では中銀の法的独立性が担保されていなかったこともあって、インフレ目標政策の枠組みに対する信認は高くなかった。

 インフレ期待はインフレ目標政策導入後も高止まりし、91〜95年の各国の長期金利は、わずかに低下したものの依然として8〜10%の高水準にあった。政財界などからは、急速なインフレ率の低下、すなわちディスインフレの過程で景気が悪化するとの懸念から中銀への批判が起こっていたほか、市場では、インフレ目標政策は達成できないとの疑念が広がっていた。

 1995年、英誌『エコノミスト』は、「目標を導入しても政府が望んだほどインフレ期待は下落しておらず、市場は目標が達成できないと予想している」「政府は目標を緩めて経済成長を達成しようという誘惑に駆られている。この誘惑は、多くの先進国の成長が急に緩やかになり、経済が過熱するリスクが低下した今、ますます大きくなっている」と論じている 。96年、ニュージーランド連邦準備銀行のブラッシュ総裁(当時)は、「この数週間、連銀の廃止を要求する記事が多い」と語っている。

 このような背景のもと4中銀は、インフレ目標政策の枠組みに対する信認を確立してインフレ期待を安定化させるため、足元の物価安定に向けた厳格な政策運営を試みた。94年、カナダ中央銀行のティーセン総裁(当時)は「私たちはインフレ率を目標レンジ内に抑え、物価安定を達成するというコミットメントを維持することにより、信認を獲得し続けなければならない」と述べた 。

 またスウェーデン中央銀行では、1994〜95年の間に継続して利上げを実施している。これに関しバックストローム総裁(当時)は、「スウェーデン中銀が長い目でインフレ率を目標レンジ内に抑えることができるとは、国民は単純に信じていなかった。それは高い国債金利、為替安、急速な賃金の上昇などによって明らかだった。従って金融政策は、物価安定目標は真剣なものであるということを示すことに集中しなければならなかった。政策金利は、1994年夏から1995年まで数回引き上げられた」と論じている 。

 こうした政策運営が政府の意向で修正させられた場面もあった。イングランド銀行のジョージ総裁(当時)は、物価安定を実現するために緊縮的な政策が必要であることをクラーク財務相に対して繰り返し助言していた。しかし、97年以前の英国の金融政策は財務大臣によって決められていたため、総裁の助言にも関わらず、緩和的な政策がしばしば実施されていた。例えば、95年5月には、総裁が利上げを助言したにも関わらず、財務大臣は金利を据え置いた。96年6月には、総裁は反対したが、財務大臣は利下げを決定した。

4カ国のインフレ目標政策の変貌

 1990年代後半になるとディスインフレが進み、インフレ期待や長期金利も低位に安定するなど、インフレ目標政策の枠組みに対する信認が次第に確立されてきた。1996〜2000年のインフレ率(前年比)は、スウェーデンにおいては0.5%、その他3カ国においては1.5〜1.7%にまで低下した(前掲図表2)。インフレ期待も低下し、1996〜2000年の長期金利は6%台にまで低下した。

 インフレ目標政策の枠組みに対する信認が確立されてきたことによって、4中銀は徐々に、足許のインフレ率が目標から乖離するようなことはあっても、足許より中期的な物価を重視し、実体経済など物価以外の動向にも明示的に配慮する姿勢を鮮明にするようになった。

 例えば、ニュージーランド準備銀行のシャービン副総裁(当時)は1999年、「今日、インフレ期待は物価安定の目標と整合的な水準により、良くかじ取りされているので、インフレ率を短期的に目標範囲の端や外にもたらすような出来事に対して、積極的に反応する必要性が薄れている」と論じている 。スウェーデン中銀のバックストローム総裁も同年、「(目標にすぐに戻そうとすると実体経済に大きなコストをもたらす)場合には、物価安定の達成期間に目をつむり、インフレ率が目標に向かって緩やかに戻るようにする根拠があるかもしれない」と論じている 。足元のインフレ率が目標範囲の上限を大きく上回り、景気が悪化していた2001年3月にニュージーランド中銀が決定した利下げは、中期的な物価と実体経済の安定を目指した政策の具体例と考えられる。

 2000年代に入ると、一般物価が安定する中で住宅価格などの資産価格が大きく変動した。そのため4中銀は、資産価格が物価や実体経済に与える影響にも配慮することが長期的な物価と実体経済の安定につながるとし、物価安定の達成期間を長めにすることが必要であるとの姿勢を示すようになった。2006年1月、スウェーデン中銀は利上げを実施したが、4月にイングベス総裁(当時)は「今年初めの金利決定の背景には、(住宅に関わる)リスクが、利上げを数カ月遅らせないことの理由の1つとして考えられたことがある」と言及している。5月には金融政策ストラテジーが発表され、資産価格や他の金融変数を考慮に入れると明記された。

割れるインフレ目標政策の効果に関する評価

 ディスインフレが進み、インフレ期待や長期金利が低位に安定するようになったことについては、インフレ目標政策の導入によってインフレ率が低下した、つまりインフレ目標政策が成功した、と解釈できそうである。インフレ目標政策導入直後、4中銀が物価安定に向けて厳格な政策運営を試みてきたことが、景気悪化という代償を払いつつも、インフレ目標政策の枠組みに対する信認の確立に寄与した可能性がある 。

 しかし、この解釈には有力な反論がある。なぜならインフレ目標政策の導入がインフレ率を低下させたのか、それとも高いインフレ率がインフレ目標政策の導入を招いたのかを、データから統計的に識別するのは難しいからである。さらに統計分析の結果について比較するにあたり、一国のインフレ目標政策導入の前後のデータを分析するのか、あるいはインフレ目標政策の導入・非導入国のデータから差異を検出するように分析するのか、という分析手法にも影響される。こうした事情から、インフレ期待・インフレ率・インフレ率予測の不確実性などへのインフレ目標政策の影響を分析した実証研究は多いものの、その対象国、分析手法に応じて結論は様々である。

 インフレ目標政策以外にも、インフレ率低下の達成には以下の要因が寄与したとみられる。第1は、金融政策の透明性の向上である。4中銀は、定期刊行物やスピーチなどを通して、物価安定の意義、政策判断の根拠等を丁寧に説明した。イングランド銀行のキング総裁(当時)らは、1996年、「透明性はそれ自身、または中銀の独立性や公式な中銀の契約と組み合わせることによって、中銀がインフレ・バイアスと戦う上での助けとなる」と論じている。

 第2は、政府の財政再建が進んだことである。財政収支は、1996〜07年平均でみて英国以外の3カ国において黒字となっているほか、英国においても、86〜95年と比べてGDP(国内総生産)比2%以上も財政収支が改善している。第3は、中銀の法的独立性の強化である。英国では97年に政策金利決定権を財務大臣から英国中銀に移すことが発表されているのがその一例だ。そして第4は、インフレを引き起こす外からのショックが小さかったことや、グローバル化の進展など、経済・産業構造が変化したことである。しかし、グレート・モデレーションといわれる経済・物価が安定した時代は、リーマン・ショック前までの話であった。

リーマン・ショック後のインフレ目標政策

 「最近の金融危機はインフレ目標政策に深刻な疑問を投げかけた」。イングランド銀行のキング総裁は、2012年、スピーチでこう述べた。また、リーマン・ショックは「短期的にインフレ目標政策を達成することと、長期的に金融危機のリスクを軽減することの間にはトレードオフがあることを意識させた」とも語っている。

 とはいえ、英国を含む4中銀におけるインフレ目標政策の枠組みは大きくは変わっていない。政策運営面では、これまでと同様、もしくはいっそう柔軟に実行されている。英国では、CPI前年比が+1〜3%の範囲を超えたとき、中銀が財務大臣に原因と対処法を公開書簡で提出することになっている。金融危機の2009年以降、CPI前年比が+3%を上回り公開書簡が提出され続けている一方、イングランド銀行が経済を回復するために金融緩和を続けているのは、柔軟な政策運営の証左であろう。

4カ国はインフレ目標政策の信任を獲得

 以上みてきたように、ニュージーランド、カナダ、英国、スウェーデンの中銀は、試行錯誤を繰り返しながらインフレ期待を安定化させ、インフレ目標政策への信認を獲得してきた。すなわち、4中銀はインフレ目標政策導入当初、インフレ期待の安定を重視する観点から、足元の物価安定に向けて厳格な運営を試みていた。だがその後にインフレ率が低下すると、徐々に、中期的な物価と実体経済の安定を目指す運営に変貌していった。結局のところ、インフレ目標政策を採用していない主要国の政策運営方法と収斂してきたといえる。

 こうしてみると、日本銀行によるインフレ目標政策の導入が、これまでの政策と実際面でどのような差異をもたらすのかは不確かである。インフレ目標政策の導入が万能特効薬のように即座にインフレ率やインフレ期待を2%にするわけではない。仮にインフレ率2%の安定化を達成したとしても、それが必ずしも経済を活性化するわけではないし、むしろ実体経済や金融面での安定性を阻害する可能性すらある。

 これら4中銀の経験が示唆するように、日銀がインフレ目標政策に対する信認を確立し、インフレ期待を安定させるためには、適時・適切な政策を運営し、市場との対話を改善していくという、日銀自身による地道な取組みが必須である。中銀を取り巻く環境として、それを担保するような財政政策の実行など、政府・民間におけるサポートも重要となってくるだろう。


上田 晃三(うえだ・こうぞう)

早稲田大学政治経済学術院准教授
1997年、東京大学物理学部卒業、99年同修士。2004年、英オックスフォード大学経済学修士、2006年同博士号取得(DPhill)。専門はマクロ経済学、応用ゲーム理論。1999年日本銀行入行、調査統計局、金融研究所などを経て2013年4月から現職。


「気鋭の論点」

経済学の最新知識を分かりやすく解説するコラムです。執筆者は、研究の一線で活躍する気鋭の若手経済学者たち。それぞれのテーマの中には一見難しい理論に見えるものもありますが、私たちの仕事や暮らしを考える上で役立つ身近なテーマもたくさんあります。意外なところに経済学が生かされていることも分かるはずです。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20130329/245839/?ST=print

 

 


013年4月5日 藤田勉 [シティグループ証券株式会社取締役副会長],翁邦雄 [京都大学公共政策大学院教授]

通貨供給はマネーストックやインフレに直結しない!
リーマンショック後の世界の常識が通用しない日本

翁邦雄・京都大学公共政策大学院教授×藤田勉・シティグループ証券副会長対談[前編]
円安に振れて株価上昇も顕著になったことからアベノミクスが賞賛されがちだが、積極的な金融緩和でデフレを退治するというリフレ政策は本当に有効なのか?新刊『金融緩和はなぜ過大評価されるのか』を上梓したシティグループ証券副会長の藤田勉さんと、『金融政策のフロンティア:国際的潮流と非伝統的政策』などの著書がある現京都大学公共政策大学院教授で、日本銀行を代表するエコノミストだった翁邦雄さんが、リフレ論を一刀両断する。

米国は日本で言われるほど極端な緩和に踏み切っていない

藤田 金融政策に関して、専門家の議論は大きく3つに分かれていると思います。

 まず、リフレ政策に懐疑的な人たちが唱える、「マネタリーベース(市中に出回る通貨と日銀当座預金残高の合計値)、マネーストック(金融機関の預金残高の合計値)とも日本銀行(以下、日銀)はコントロールできない」という説です。これに対し、逆に「どちらもコントロール可能だ」と反論するリフレ派と、その中間として「マネタリーベースはコントロールできるが、マネーストックは不可能だ」という意見です。

 いずれの派も独自の哲学に基づいて持論を主張しており、まるで宗教同士の対立のようです。議論は平行線をたどったままで、結局は情緒論に帰着しがちなように感じます。

翁 なるほど、情緒論ですか。

藤田 特に浜田宏一先生の著書『アメリカは日本経済の復活を知っている』を読んでいると、つくづくそう感じます。


翁邦雄(おきな・くにお)京都大学公共政策大学院教授。1974年東京大学経済学部卒業。同年、日本銀行入行。シカゴ大学Ph.D.(Economics)取得。日本銀行金融研究所長を経て、2009年4月より現職。専門は金融論、金融政策論、中央銀行論、マクロ経済学、国際金融論。『期待と投機の経済分析ーー「バブル」現象と為替レート』(東洋経済新報社、1985年)、『ポスト・マネタリズムの金融政策』(日本経済新聞出版社、2011年)など著書多数。近著に『金融政策のフロンティアー国際的潮流と非伝統的政策』(日本評論社、2013年)。
翁 かなり売れているらしいですね。

藤田 翁先生がこれまで書かれた論文や著書を拝読したところ、「基本的に、マネタリーベース、マネーストックともコントロールできない」というお考えではないかと思っています。この認識は適切でしょうか?

翁 率直に申し上げると、正しくないですね(笑)。

 なぜなら、「マネタリーベースをコントロールできない」というのは、あくまで金利がついている局面での話です。金利がゼロになった後は、日銀当座預金の残高を増やしてマネタリーベースを拡大できますし、現にこれまでにもそういった政策が打たれてきました。ただし、広義のマネーストックについては、日銀がコントロールするのは難しいと考えています。

藤田 なるほど。それでは、3つのうちの中間的なご意見ということですね。

 ところで、かつて翁先生と熾烈なマネーサプライ(マネーストックの旧称)論争を繰り広げた岩田規久男先生が日銀副総裁に就任されましたが……。

翁 岩田さんが唱えていたのは、「超過準備を増やしても、金利はゼロにはならない」という説です。私は、「金融調節上、それは不可能だ。超過準備を供給してマネタリーベースを増やせば、金利はゼロまで低下してしまう」と説明しました。裏返せば、「金利をゼロにしてよければ、超過準備を増やして、ある程度、マネタリーベースはコントロールできる」ということになります。2001年に実際に量的緩和を実施してみたら、案の定、金利はすぐゼロまで落ちたわけです。


藤田勉(ふじた・つとむ)
シティグループ証券株式会社取締役副会長。一橋大学大学院博士過程修了、経営法博士。北京大学日本研究センター特約研究員、慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員などを兼務。2006〜2010年日経アナリストランキング日本株ストラテジスト部門5年連続1位。『はじめてのグローバル金融市場論』(毎日新聞社、2009年)、『グローバル通貨投資のすべて』(東洋経済新報社、2012年)など著書多数。近著に『金融緩和はなぜ過大評価されるのか』(小社刊、2013年)。
藤田 リフレ派を中心に、「FRB(米連邦準備制度理事会)は大胆な金融緩和を実施しているのに、日銀は消極的だ」という指摘もよく耳にしますが、米国系企業に属する私としては非常に意外に感じる見方で、明らかに間違っていると思います。

 釈迦に説法ながら、米国では、共和党を中心に金融緩和に対して批判の声が強まっています。当初、共和党の政権下において満場一致で選ばれたベン・バーナンキFRB議長ですが、2010年に再選された際には上院で100票中30票という歴代最高数の反対が出て、そのうちの18票は共和党が投じたものでした。バーナンキがもともと共和党員にもかかわらず、です。そして現に、米国のマネタリーベースの対GDP比は、日銀の半分程度にとどまっています。批判の声に配慮し、巷で言われているほど極端な緩和に踏み切っていないのが米国の実態です。

翁 準備預金を増やすことで通貨の供給量を増やすことを目的に緩和を行っているのがFRBのスタンスだと誤解されがちですが、QE2(米国の量的緩和第2弾。2010年11月〜2011年6月実施)以降、彼らは一貫して長期金利を下げる手段として長期債を買ってきました。

 また、2012年の12月12日に新たにオープン・エンドの資産購入プログラム導入に踏み切った際に、記者会見の席でバーナンキ議長は「誤解のないように確認しておくが……」と前置きしたうえで、「中央銀行のバランスシート(貸借対照表)の大きさと、インフレ期待はまったく関係がない」と断言し、このプログラムがインフレ期待に影響しないことを強調しています。しかし、日本では、リフレ派の願望を投影するかたちで米国の金融政策が捉えられているように思えます。

藤田 まったく同感です。おっしゃるとおりで、これからインフレ率を高めることはないとFRBは言い切っています。日本のようにマネタリーベースを増やすという方針は、少なくともFRBやECB(欧州中央銀行)は打ち出していません。

翁 米国で、インフレ期待が高まってきているのでは、と言われていますが、資産購入プログラム導入後、足元まではむしろインフレ期待は少し下がってきています。FRBが現実にやっていることと、リフレ派の願望との間に大きなギャップが生じているので、どこかで精算すべきでしょう。

藤田 単純に通貨の供給を増やしても、その分だけマネーストックが増えたりインフレ率が高まったりするわけではない、というのがリーマンショック後の世界の常識ですからね。

金丸元首相の三重野元総裁批判でバブル崩壊後の利下げが遅れた


翁 そもそも、日銀だけが金融政策のメカニズムについて特殊な考え方をしている、という捉え方が間違っているんですよ。先程のバーナンキ発言は、日銀総裁時代の白川方明さんの発言とほぼ同じなのですから。リフレ派の人たちは、もっと客観的に国際的な議論を見たほうがいいです。

藤田 これまでの日銀の歩みを批判する人たちの間では、「1972〜73年の金融緩和と、1990年以降の金融引き締めは、致命的な政策ミスだ」と指摘する声がよく聞かれます。まず、前者はスミソニアン協定(固定相場制の終焉)の直後で、かつ、田中角栄が総理になって日本列島改造論が席巻していましたし、金融緩和が遅れたのは日銀だけのせいではないようにも思えますが、どのようにお考えですか?

翁 いや、後手に回ったのは確かでしょうね。その当時の事情としては、藤田さんが挙げられたこと以外にも、郵貯問題がありました。

 当時は規制金利時代で、公定歩合を下げる際は銀行預金と同時に郵便貯金の金利も下げてくれないと、郵貯への資金シフトが起きてしまう可能性がありました。大蔵(現財務省)を通じて郵政(現総務)省と折衝しなければ、公定歩合を引き下げられなかったわけです。郵政省は貯金金利の利下げに反対で、ようやく郵政省の同意を得たころには、むしろ公定歩合を引き上げるべき局面を迎えていました。ただ行きがかり上、そこで引き下げてしまったんですね。その時点で踏みとどまるべきだった、と思います。

藤田 なるほど。そのような背景もあったわけですか。


写真・住友一俊
翁 もうひとつ、小宮隆太郎先生が指摘されていたように、当時はマネーサプライ(現マネーストック)の伸びが著しく、インフレは顕在化していないものの、過剰流動性が懸念されるべき状況でした。しかし高度成長期には高い伸びが普通だったので、当時の日銀はそのことにあまり危機感を抱いていなかったようです。結果的には、日銀はもっと早く公定歩合を引き上げるべきだったし、マネーサプライの伸びも注視すべきだった、という総括になるでしょう。

藤田 一方の1990年以降の金融引き締めに関しては、どのように捉えていますか? 私の専門である株式市場から見た場合、1989年の12月29日に日経平均が史上最高値をつけた地点がバブル経済のピークですが、その前日に三重野康日銀総裁(当時)が「公定歩合を引き上げる」と言い出して橋本龍太郎大蔵大臣(当時)と一悶着ありました。

 1990年に入って株価が39%も下落し、同年8月にはイラクのクウェート侵攻で原油価格が急騰しましたが、それでも日銀は1991年まで利上げを続けていきました。その翌年の2月に、金丸信自民党総裁(当時)が「総裁のクビを切ってでも利下げをさせろ!」と政治的圧力を強めて、ようやく金融政策を転換したわけですが、やはりこれは遅すぎた対応だったのでしょうか?

翁 当時の社会的な雰囲気としては、ある時点までは「高騰している地価を、どうにかして下げてほしい」という声がとても強かったと思います。今から考えれば、とんでもないことですがね。

 地価が下がりすぎると大きな金融システム不安が生じることが明確に理解されていれば、むしろ大胆な緩和をしたほうがよいと判断されたはずです。緩和テンポが遅かったとは思いませんが、金融危機という大津波を警戒していなかった分、普通の緩和しかできなかったということです。ただ、地価のピークは株価よりも1年半ぐらい遅行しましたから、当時の社会的雰囲気の中では、金融システム問題がわかっていたとしてもリアルタイムで大胆な緩和の判断を下すのはかなり難しかったでしょう。

 それから金丸さんの政治的圧力については、「実は下げたいと思っていたのに、金丸さんに公の場で言われてしまい(政治に屈したとみられるため)、下げにくくなって困った」と三重野さんは回想録に書いていましたね。

(後編に続く)
次回は4月12日更新予定です。

翁 邦雄氏著書のお知らせ


金融政策のフロンティア 
国際的潮流と非伝統的政策

非伝統的政策に代表される金融政策の新たな枠組みについて理論的に整理し、これからの金融政策を考える足掛かりを提供する。

日本評論社・刊
ISBNコード978-4-535-55721-5
判型:A5判 ページ数:288ページ

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金融緩和はなぜ過大評価されるのか
政治に翻弄される日銀の実力と限界

アベノミクスの勢いで進む円安・株高は、持続するのか?金融緩和だけで、円安・デフレ脱却・潜在成長率の引き上げ、雇用増…と山積する課題を一気に解決できるのか?金融緩和の効果や、その実施者である日本銀行の巧拙、政治との関係など、過去や海外の事例との比較分析を交え、客観的にまとめた金融政策解説の決定版!

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日銀の金融緩和意欲は通貨の供給量で判断できる!
★今月の指標⇒マネタリーベース

為替レートは通貨の供給量で決まる!

 「マネタリーベース」とは、早い話が「世の中にあるお金の量」です。銀行の信用創造機能によって、これが何倍に膨らんでいるかを見るのが「マネーストック」ですが、会計上のマネーストックがいくらになろうが、実際に世の中に流通している量が、マネタリーベースなのです。

 通貨の供給量を調整するのが日銀であり、金融緩和を実際に実行しているかどうかを確認できる代表的な指標です。

 これまで「デフレから脱却できないのは、日銀がお金を増やさないからだ」と、言われてきました。

 それはおおむね正しくて、日米の通貨供給量の差を見ればその理由がわかります。


通貨供給量が増えない金融緩和は効果なし!

 為替レートは、相対的なマネタリーベースの増やし方で決まってきます。リーマンショック前の08年8月には、日本のマネタリーベースは89兆円、米国は0・9兆ドルと近い水準にありました。しかし、リーマンショック後は米国がマネタリーベースを一気に日本の3倍に増やしています。これでは円が高くなって当然。貿易立国の日本にとって、このような行きすぎた円高は国際競争力を低下させ、企業収益を減少させます。

 昨年2月14日、日銀の「バレンタイン緩和」で一気に円安、株高が進んだのに、その効果が長続きしなかったのは、実際にマネタリーベースを増やしていなかったからです。昨年2月、3月のデータを見ると、金融緩和とは逆に供給量が減っているのがわかります。

 日銀総裁が変わる、4月以降のマネタリーベースに注目です。

通貨供給量の比にはソロスも注目している

 「円を刷れば円安になる」という法則がいつの時代も正しいわけではないが、通貨の供給量と為替レートにはある程度の相関関係がある。これを提唱したのは、かのジョージ・ソロスで、日米のマネタリーベース比をチャートにしたものを、「ソロス・チャート」と呼び、機関投資家などの専門家も注目している。

◎Profile
永濱利廣(ながはまとしひろ)
第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト 1971年栃木県生まれ。専門は経済統計、マクロ経済分析。著書に『経済指標はこう読む』など多数。
http://diamond.jp/articles/-/34291  

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コメント
 
01. 2013年4月05日 07:56:20 : nJF6kGWndY

 
インタビュー:急激な円安や金利上昇は心配=元日銀審議委員
2013年 04月 5日 07:13 JST
[東京 5日 ロイター] 元日銀審議委員の中原伸之氏は4日、ロイターのインタビューに応じ、日銀が打ち出したマネタリーベース(資金供給量)を2年で倍増させる量的緩和について、あまりに急激・巨額な金融緩和であり、「急激な円安や長期金利上昇などが起きないか私も心配」と懸念を示した。中原氏は2001年の量的緩和導入の先導役だった。

これまでも中原氏は、安倍晋三首相の事実上のアドバイザーとして、現在は50兆円超の当座預金残高を年末まで100兆円に引き上げるなどの量的緩和策の再採用を提唱してきた。ただ同氏は2012年末に138兆円だったマネタリーベースを14年末に270兆円まで拡大するとの日銀の発表について「あまりに急激な金融緩和で驚いた」と指摘した。

「市場と駆け引きしながら政策を出していくのが資本主義経済での中央銀行だが、今後2年間の政策の手の内を見せてしまった。リーマン・ショックのような危機が起きた際に追加手段が残されていないのでは」と懸念。先々の政策を縛る今回の発表手法は「戦時中の統制経済を連想させる。日銀の『資産倍増計画』だ」と表現した。

その上で「巨額な資金供給を行うのに必要な国債を市場から買い集めることが可能なのか、政策の実効性も不透明だ」「量は質に転嫁する。急激な金融緩和で円安や長期金利上昇が起きかねない」と懸念する。

更に「従来政策からの大幅な方向転換にもかかわらず、審議委員が全員一致で決めたのには驚いた」と述べ、委員らの有識者としての見識が問われると同時に「結論ありきで会合が進んだ印象」と警戒感を示した。

(ロイターニュース 竹本能文;編集 佐々木美和)


 


 
アングル:日銀の次の一手見失った市場、ドル/円上昇継続に懐疑的
2013年 04月 5日 00:04 JST

[東京 4日 ロイター] 黒田東彦日銀総裁の下で初となる金融政策決定会合では「量的・質的金融緩和」が導入され、為替市場では円安に大きく振れた。

しかし、市場関係者の間では、ドル/円がさらに上昇を続けるとの見方は強まっていない。多くの緩和メニューが一挙に打ち出されたことで、次に何が打ち出されるのかかえって見通せなくなったためだ。5日には3月米雇用統計が発表されるが、日銀要因が一巡したことで、ドル/円は早くも正念場を迎えることになる。

<日銀の先行き読みにくく>

ドル/円は92円後半で推移していたが、日銀の金融政策決定会合の結果が伝わると急上昇を開始した。4日のロンドン時間には95円後半まで上昇して3月21日以来の高値を付けた。

今回の決定内容のうち、為替マーケットでは、毎月の長期国債のグロスの買い入れ額が7兆円強になる見込みとされた点が市場の事前予想よりも多かったとされたほか、金融市場調節の操作目標のマネタリーベースへの変更や拡大規模も驚きをもって受け止められた。「ほぼ満額回答」(外資系証券)との声も出る中で、日本の国債利回りが大きく低下し、円は全面安となった。

しかし、市場ではドル/円がさらに上昇してゆくとの見方はそれほど強まっていない。黒田総裁は会見で、「現時点で必要と考えられるあらゆる措置を取ったと確信している」と胸を張って断言したが、市場ではかえって材料出尽くしへの警戒が強まった。外為どっとコム総研のジェルベズ久美子研究員は、先行きの金融緩和期待が高まらなかったと指摘する。「為替は次の金融政策への期待をどんどん織り込む形で動いている。先行きの期待が持てないようになってくると厳しい」と話す。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの村田雅志シニア通貨ストラテジストは「期待を根拠とした円売りは、期待のはく落とともに巻き戻される」と述べる。デフレマインド払しょくのために、日銀が直接手を下す形で長期債利回りを押し下げることや株価の上昇を図ることはできても、それだけでは米国側の要因も影響するドル/円の上昇にはつながりにくいという。ドル/円はボラティリティが高まるなか、週内に反動があってもおかしくないと村田氏は予想している。

<レジームチェンジではない>

「レジームチェンジとは全く思わない」――今回の日銀金融政策決定会合での決定内容について、三井住友銀行の岡川聡シニアグローバルマーケッツアナリストはこう指摘する。

岡川氏が想定する「レジーム・チェンジ」は、外債購入、個別株の購入、付利金利のマイナス化といったものだが、今回はいずれも見送られたからだ。黒田日銀総裁は「量的・質的金融緩和」と銘打ち、マーケットは大幅な円安で反応したが、実質的には白川方明前総裁のもとで打ち出されてきた諸施策が強化されたにすぎないと岡川氏には映る。

岡川氏は、円サイドの要素が出尽くした以上、今後の焦点は米欧に移るとみている。そのうえで「キプロスの問題が表面上は片付いて、ユーロ/円がじわじわ上がってくると同時に米国の景気が回復して手前を中心に米債の金利が上がっていくというのがいちばん望ましいシナリオだが、もしこの2つのうちのどちらかが崩れたときに、円サイドから打てる手はほとんどなくなってしまっただけに怖い」と警戒する。ドル/円は3月12日に付けた高値96.71円を上回る展開は想定できても、100円を回復するのは難しいとみている。

4月入り後、ドル/円は今回の日銀会合を前に調整局面に入っていた。利益確定のドル売りだけでなく、米経済指標が相次いで市場予想を下回り、米金利が低下基調を鮮明にしたことがドル/円の下押し要因となった。3月ADP全米雇用報告で民間部門雇用者数が5カ月ぶり低水準になったことで、5日発表の3月米雇用統計には警戒感が強まっている。市場予想を大きく上回ったとはいえ日銀の緩和具体策がほぼ出そろってしまった以上、米国側の要因に市場の関心は向かいやすい。

(ロイターニュース 和田崇彦;編集 伊賀大記)
 

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日銀の緩和策、米への緩和圧力になってはならない=ダラス連銀総裁
2013年 04月 5日 04:16 JST

[ニューヨーク 4日 ロイター] フィッシャー米ダラス地区連銀総裁は4日、日銀は日銀自体の考えに従って金融政策を運営するべきとしながらも、日銀の積極的な緩和策により、米連邦準備理事会(FRB)が資産買い入れプログラムを継続するよう圧力を受けることはあってはならないと述べた。

同総裁はブルームバーグテレビのインタビューに対し、日銀の緩和策について、「他の誰も承認、もしくは否定する立場にはない」とした上で、「日銀は日銀自体の考えに従って政策を運営するべきだ」と述べた。

ただ、日銀による積極的な緩和策により、米FRBが資産買い入れ策を継続するよう圧力を受けるべきではないとの見方を示した。

そのうえで、「量的緩和(QE)が永久に実施されることはない」とし、「FRBが実施しているプログラムには限りがあり、その限度がどこにあるのか考える必要がある」と述べた。

フィッシャー総裁は、FRBの買い入れ策は徐々に縮小されるべきとの立場を取っている。

「大きすぎてつぶせない」銀行については、経営難に陥った際は政府が救済するとの期待があることで、規模が小さい銀行との競争で不当に有利な立場に置かれているとし、公平な機会が与えられるべきと述べた。
 

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NY外為:円下落、対ドルで11年10月来の大幅安−日銀緩和策で 

  4月4日(ブルームバーグ):4日のニューヨーク外国為替市場では円が対ドルで17カ月ぶりの大幅安となった。日本銀行が市場予想を上回る規模の緩和策を発表したことが手掛かりだった。
ユーロは対ドルで上昇。欧州中央銀行(ECB)はこの日、政策金利を据え置いた。ドラギECB総裁は政策決定後の記者会見で「経済と金融の動向に関して今後数週間に入ってくる全てのデータを厳密に精査し、将来の物価安定に対する影響を判断する」とし、ECBには「行動する用意がある」と言明した。
英ポンドは上昇。イングランド銀行(英中銀)が資産購入枠を維持したことが影響した。円は主要16通貨すべてに対して少なくとも2.9%下落。日銀の黒田東彦総裁は毎月の国債購入額を大幅に引き上げた。
ウエストパック銀行のシニア為替ストラテジスト、リチャード・フラヌロビッチ氏(ニューヨーク在勤)は「事前の日銀政策への期待は高かった。黒田総裁はその期待に応え、あらゆる角度でその期待を超えた」と述べ、「かなり急進的な措置だ。金融システムを流動性や超過準備で満たすことになる。これは通貨にとってはネガティブだ」と続けた。
ニューヨーク時間午後5時現在、円は対ドルで3.4%下げて1ドル=96円33銭。一時は96円41銭となった。 一日の下げとしては2011年10月31日以来で最大。当時、日本は円下落を狙って為替介入を実施した。円はこの日、対ユーロで4.3%安の1ユーロ=124円62銭。ユーロは対ドルでは0.7%上昇して1ユーロ=1.2936ドル。
日銀の金融政策
日銀は黒田総裁の下で初めてとなる金融政策決定会合で、長期国債の購入について、グロス(全体)の買い入れ額をこれまでの月額約4兆円から、毎月の国債発行額の7割に当たる7兆円強とすることを決めた。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想では5兆2000億円だった。日銀の長期国債保有残高を日銀券発行残高以下にとどめる「日銀券ルール」については、「量的・質的金融緩和」の実施に際し、一時的に停止する。
先進10カ国の通貨で構成されるブルームバーグ相関加重通貨指数によると、円は過去6カ月間で18%下落。新体制となった日銀が緩和策を進めるとの見方が背景にある。ドルは2.3%上昇、ユーロは1.3%上げた。
ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルの通貨戦略グローバル責任者、イェンス・ノルドビグ氏(ニューヨーク在勤)は、「日銀は事実上、あらゆる選択肢を一気に投入した」と述べ、「正しい決断だ。インフレ目標を真剣に達成したいのなら、どのような手段を使ってもそれを成し遂げる。日銀はその通りに行動した」と続けた。  
ユーロが一時下落
ECBはフランクフルトで開いた定例政策委員会で、短期金利の調節手段である短期買いオペ(売り戻し条件付き債券買いオペ=レポ)の最低応札金利を過去最低の0.75%に据え置くことを決めた。ドラギ総裁は経済見通しへのリスクは引き続き下方向だとし、インフレ率はECBが目安とする2%弱を「相当下回ったところでじりじりと低下している」と指摘した。ドラギ総裁はまた、ユーロ圏分裂に関するいかなる憶測ともECBは「闘う決意だ」と強調した。
この日のユーロは、ECBの政策発表後に対ドルで下落する場面もあったが、その後下げが行き過ぎたとの見方が広まり、上昇に転じた。
イングランド銀行は4日の金融政策委員会(MPC)で、刺激策である資産買い取りプログラムの規模を3750億ポンドで維持することを決めた。資産購入枠の維持は、ブルームバーグ・ニュースが調査したエコノミスト37人中34人が予想していた。ポンドは対ドルで0.7%上昇した。
原題:Yen Slides Most Since October 2011 on BOJ Stimulus; PoundGains(抜粋) 
更新日時: 2013/04/05 06:47 JST


02. 2013年4月05日 17:27:36 : nJF6kGWndY
インタビュー:日銀緩和、正気の沙汰と思えない=斉藤誠・一橋大教授
2013年 04月 5日 16:58 JST

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日銀緩和に市場は「乱舞」、目先のクライマックス的な動きも

[東京 5日 ロイター] リフレ派に懐疑的な一橋大学の斉藤誠教授は5日、ロイターのインタビューに応じ、日本のデフレは国際競争力の低下に起因するものであり、金融政策だけで克服するのは難しいとの見方を示した。

日銀が新たに打ち出した巨額の国債買い入れによる量的緩和は長期金利の反転急上昇を招きかねず、「正気の沙汰と思えない」と指摘。出口戦略が見えないとして、批判的な立場を示した。

<財政の実情とかけ離れた低金利は維持不能>

斉藤教授はデフレの原因を「資源価格の上昇と国際競争力の低下による海外への所得流出にある」とし、「金融政策で克服するのは難しい」と説明。「家電業界などは採算割れの水準にあり多少、為替が円安に振れても国内設備投資を増やさない」として、金融政策で国内の総需要を刺激し、物価を引き上げるリフレ派のシナリオは望み薄との見方を示した。

黒田新体制の日銀が国債の買い入れ対象を40年債にまで広げたことで、「民間金融機関は日銀が常に低金利(債券価格は上昇)で買い入れてくれるとの安心感から国債を買い続ける。5年、10年、20年と超長期の金利まで徐々にゼロにつぶれていくだろう」と指摘する一方、「巨額の財政赤字を抱える日本経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)からかい離した低金利は持続不可」と警告。その上で「何かのきっかけで反転上昇せざるを得ない」と語った。

<欧米より半周遅れの金融緩和>

仮に反転上昇した場合は、日銀のバランスシートがき損するリスクがあると懸念。「金融機関は、ゼロ金利が理由で付利稼ぎのため当座預金に預けていた資金を取り崩し、現在90兆円程度の紙幣(銀行券)のうちタンスや金庫に眠っている40兆円程度も銀行に持ち込まれ、日銀が回収することになる」とみる。当座預金残高を維持するため付利を引き上げるなど日銀の資金調達コストも上昇し「日銀の資産がき損。国庫納付金がマイナスになり結果的に国民負担が発生する」と述べた。

また、「議事録(議事要旨)が公表されるまでわからないが、日銀が昨日の決定会合で出口戦略まで詰めたのか気になる」とも発言。「米連邦準備理事会(FRB)も欧州中央銀行(ECB)も金融緩和は半分出口モードで、日銀は半周遅れだ。日銀の緩和によるFRBやECBは金利の急激な上昇を伴わずに出口に向かえるが、日銀が出口を目指すときには金利が相当高くなっているリスクがある」と懸念を示した。その上で「欧米より遅れて中国を植民地化したため、植民地主義のすべてのつけを払わされたような歴史と重なるものがある」と語った。

斉藤教授は、浜田宏一米イエール大教授などリフレ派の学者から「『急病患者に対して副作用を恐れて見放すのか』と叱責される」という。しかし、「1997─2002年の金融危機と異なり現在の日本はそもそも劇薬が必要なほどの危機にない」との立場。現在の物価下落も緩やかに安定しているとみている。「日本の生産年齢人口1人当たりの労働生産性は他の先進国よりも高い伸びを示している」と、白川方明・前日銀総裁の発言を引用し、「すでに非常に豊かな国になってしまった日本は、それに見合った競争力が必要」と説明した。

このところの円安・株高は、金融緩和期待も要因としつつ、「欧州危機の深刻化や米財政問題が一服し米経済が好転の兆しをみせた影響が大きい」と語った。「すべてを(金融)政策の効果とみると、円高が進んだ場合さらに金融緩和を必要との議論になりかねず心配」と述べた。

(ロイターニュース 竹本能文;編集 久保信博) 

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情報BOX:日銀緩和に関する海外当局者の発言 2013年4月5日


03. 2013年4月05日 17:46:17 : nJF6kGWndY

来週のドル/円は底堅い、3月米雇用統計弱くても下値限定的か
2013年 04月 5日 17:10 JST
[東京 5日 ロイター] 来週の外為市場では、ドル/円は底堅い動きになりそうだ。日銀が3─4日の金融政策決定会合で政策を総動員したことから、出尽くし感を指摘する声もあるが、海外勢の黒田東彦日銀総裁に対する評価は高く、円買いはしにくいとの見方が広がっている。

今夜発表の3月米雇用統計については、3月ADP全米雇用報告が弱かったことから、参加者の目線は下がっており、仮に予想を下回ってもドル/円の下落は限られる可能性が高い。

予想レンジはドル/円が95.00─98.00円、ユーロ/ドルが1.2800─1.3050ドル。

5日の東京市場で、ドル/円は97.20円まで上昇、2009年8月以来3年8カ月ぶりの高値をつけた。日経平均株価が一時2008年8月以来となる1万3000円台を回復するなど、投資家のリスク選好がしっかりする中で、円売りの動きが続いた。

午後に入り国債先物が急落すると、ドル/円にも下落圧力がかかり、一時96円を割り込んだが、その水準では買い意欲が強く、夕方にかけて急速に戻している。

みずほ証券FXストラテジスト、鈴木健吾氏は「5日は午後に下げたが、高値を更新しており、もう1回上を試す動きになるのではないか。日銀緩和を受け、日本の機関投資家も何らかのリスクを取っていく中で、ある程度為替にも入ってくるだろうという思惑も下値を支えそうだ」との見方を示した。

市場では、日銀の積極的な姿勢を受け、「安易にドル売り/円買いはできない」(国内金融機関)との見方が広がっている。ある大手邦銀関係者は「3─4日の日銀会合では委員をまとめ上げることができないのではないかとの懸念も一部にあったが、ほぼ全員一致だった。黒田総裁が腕力を見せつけた格好で、今後も日銀が黒田色で行くことを考えると、円買いはしにくい」と指摘。その上で「今までは期待先行で円安が進んでいたが、この先は実弾が出てくることから、2年間かけてじわじわと効いてくる。仮に期待がはげ落ちたとしても、じゃぶじゃぶの状況のなかでドル/円は上に行かざるを得ないだろう」との見方を示した。

きょうは3月米雇用統計が発表される。ロイターがまとめたエコノミスト調査では非農業部門雇用者数は前月比20万人増が見込まれているが、3月ADP全米雇用報告が弱かったことから「目線は下がっている」(別の大手邦銀)といい、仮に悪くてもドル/円の下落は限られる可能性が高い。

JPモルガン・チェースのシニアエコノミスト、ジェームス・グラスマン氏は4日、ロイター・グローバル・マーケッツ・フォーラムで、「ADPのデータを受け、ウォール街は既に5日(に発表される雇用統計)の見通しを引き下げた。(非農業部門雇用者数が)16万人を超えたら驚きだ」と語った。

IG証券マーケットアナリスト、石川順一氏は「ポジティブサプライズとなった場合の方が相場の反応が大きいだろう。その場合は円安ラリーが加速する可能性が高い」との見方を示した。

(為替マーケットチーム)


 

日銀緩和に市場は「乱舞」、目先のクライマックス的な動きも
2013年 04月 5日 16:12 JST
[東京 5日 ロイター] 黒田日銀が打ち出した大規模な金融緩和策のインパクトはさらに拡大し、市場は大きく変動している。海外勢の評価も上々で日経平均は一時550円超の上昇。ドル/円は2009年8月以来の97円台まで上昇した。

ただ商いが急増するなどクライマックス的な動きもあり、10年長期金利は一時0.315%まで低下した後は乱高下。ドル/円や日本株も買い一巡後は上値が重くなっている。

<日本株に注文殺到>

「寄り付き、もしくは午前10時までにとにかく早く買ってくれという注文が多かった」(準大手証券の株式担当者)── 今朝のマーケットの現場では海外勢を含めた注文をさばくのに大忙しだったという。株式市場筋によると、寄り付き前の外資系証券6社経由の注文状況は2590万株の大幅買い越しになり、東証1部売買代金は今年最高の4兆8633億円まで膨んだ。

内外の買い注文が殺到し、前場の日経平均.N225は大幅続伸。取引時間中では2008年8月29日以来約4年8カ月ぶりに1万3000円を回復した。「市場予想を大幅に上回った黒田日銀の金融緩和策で、円安だけではなく、デフレ脱却や景気回復への期待が高まっている」(岩井コスモ証券・投資調査部副部長の清水三津雄氏)という。業種別でも前日に続き、不動産株や銀行、証券など金融緩和メリットを受けると期待されているセクターが上位に並んだ。円安を好感し輸出株も高い。

為替市場では、ドル/円は2009年8月以来3年8カ月ぶりに97円台に上昇。市場では日銀緩和策について効果を疑問視する声もあるが、「中銀に逆らってはいけないというFRBに対する市場の姿勢が日銀に対しても移ってきた」(邦銀)とされ、ドル売りは限定的だという。

日銀が前日決定した「量的・質的金融緩和」策では政策目標を無担保コール翌日物の「金利」からマネタリーベースの「量」に変更。2014年末までに12年末の138兆円を270兆円に拡大させる予定だ。「緩和メニューがほぼ出そろったので材料出尽くしを懸念する声もあるが、マネタリーべ―スはこれからどんどん拡大する。緩和縮小が視界に入る米国と比べ円安方向の圧力はかかりやすい」(野村信託銀行・資金為替部次長の網藏秀樹氏)という。

SMBC日興証券チーフエコノミストの牧野潤一氏の試算では、2014年までの日銀のマネタリーベース拡大を踏まえると、14年末のドル/円のフェアバリューは105─110円。105円を前提にすると2013年度の上場企業の経常増益率は12.1%ポイント押し上げられるという。一方、日銀はETFとJ─REITの買い入れをそれぞれ年間1兆円、300億円増やすとしたが、従来決定から増えた部分は4100億円にとどまるとし、株価押し上げ効果は400円程度としている。

<日銀緩和、海外にも波及>

「異次元」とも評された黒田日銀の金融緩和策については、海外でも反響が大きい。

4日の米国株市場では、日銀緩和に伴い過剰流動性の流入期待から米国REITが上昇した。一方、4日の韓国株式市場では自動車株が下落。現代自動車(005380.KS)と傘下の起亜自動車(000270.KS)は米国でリコール(回収・無償修理)を実施すると伝わったことが嫌気されたが、日銀の金融緩和でウォン高・円安に拍車がかかったことも同国輸出株を圧迫したという。「金融緩和にともなう円安であれば、反対しにくいが、景気不安を抱える国などからは口先攻撃が今後強まるかもしれない」(国内証券)と警戒されている。

米連邦準備理事会(FRB)のイエレン副議長は4日、日銀の金融緩和策について、長期にわたるデフレからの脱却に向けた適切な措置だとの見解を示した。一方、ドイツのショイブレ財務相は4日、日本経済について、金融政策に頼るだけでなく、構造改革が必要だとの認識を示すなど厳しい指摘もある。

野村証券・投資情報部エクイティ・マーケット・ストラテジストの村山誠氏は「日銀の桁外れの金融緩和で流動性相場が加速している。新興国でインフレが強まる懸念もあるが、景気が弱い地域も多いなかで、マネーは米国と日本に集中する可能性がある」との見方を示している。

<円債市場は機能不全>

一方、過剰な流動性が、マーケットを大きく変動させやすくなっていることには警戒が必要だ。日経平均ボラティリティ指数.JNIVは日銀決定会合のイベントが終了しても高止まり。会合直前の4月2日に付けた年初来高値29.76ポイントに再び迫っている。日経平均は前場に591円高まで上昇したが、終値では199円高まで上げ幅を縮小させた。

歴史的な乱高下となったのは円債市場だ。10年長期金利は一時0.315%と連日で史上最低水準を更新したが、午後は一転して金利が急上昇。一時は0.620%まで上昇した。国債先物も急落し、東京証券取引所は2008年10月14日以来、4年半ぶりに取引を一時停止する「サーキットブレーカー」制度を発動させた。

日銀がこの日、新たな国債買い入れを通告しなかったことが相場急変のきっかけになったとみられているが、みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は5日付リポートで、最近の債券市場は「日銀依存症」だと指摘。「内外の景気・物価指標を丹念に見ていく姿勢や、株価・為替相場を含む周辺市場の状況を横にらみするような、市場としての通常の姿が失われてしまっており、かなりの程度機能不全に陥っていると言わざるを得ない」と警鐘を鳴らしている。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 宮崎亜巳)


 


国債先物が相場急落で取引停止に、「相場崩壊」懸念の声も
2013年 04月 5日 15:57 JST
[東京 5日 ロイター] 5日の円債市場は大荒れの展開となった。黒田日銀は4日に国債の大量購入を軸にした金融緩和策に踏み切ったが、この日はオペそのものが見送られたことで期待が裏切られたとの見方が広がり、長期国債先物に売りが相次いだ。

東京証券取引所は2008年10月14日以来、4年半ぶりに取引を一時停止する「サーキットブレーカー」制度を発動。店頭では長期金利の指標10年債利回りが乱高下した。強引な金融緩和に対して「相場崩壊」を懸念する声も出ている。

<買い先行後に一転、急落>

国債先物の中心限月6月限は前日より34銭高い146円38銭でこの日の取引を始めた。一時は146円41銭まで買われた。日銀が3、4日に開催した金融政策決定会合で国債を大量購入すると表明。「レジームチェンジを強烈に印象付けた」(みずほ総研の高田創・常務)と好感する声が強まり、国債が買われた流れを引き継いだ。

日本相互証券の新発10年物は一時0.315%と、前日より0.120%ポイント低下し、連日で史上最低水準を更新した。

ところが午後に入ると相場が急変。先物相場は逆に前日より2円94銭安い143円10銭まで値下がりする事態に陥った。東証は、前日より1円安に達した午後1時08分に、規定に基づいて10分間取引を停止。再開後も売りが止まらず、同29分に2円安で2回目の取引停止に追い込まれた。

一方、朝方に史上最低を更新していた10年物は午後に0.620%に急騰。その後は落ち着きを取り戻したが、結局は前日より0.1%ポイント高い0.535%で取引を終えた。

<オペ見送りが引き金に>

相場急変のきっかけになったのは日銀がこの日、新たな国債買い入れを通告しなかったことだ。取引開始前には市場で1回目の国債買い入れが通告されるとの読みが多かった。このため、「在庫を整理することができず、投げ(保有国債を売却する)が出た」(RBS証券の福永顕人チーフ債券ストラテジスト)という。

新年度の滑り出しに合わせて先回りして利益を確定しようと保有する国債を売却する動きが出やすいことに加え、財務省が同日実施した流動性供給入札が、予想より悪かったことも弱材料視された。

黒田日銀による強引な緩和策を懸念する声も出ている。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト「長期金利を形成する『物差し』が不明確になり、水準感が失われている。債券市場全体が壊れ、極度に不安定化している」と話す。

(ロイターニュース 金利マーケットチーム;編集 山川薫 宮崎大)


 


 


UPDATE2: 株・債券「バブルではない」、出口戦略は金融システムに配慮=黒田日銀総裁
2013年 04月 5日 12:07 JST
 [東京 5日 ロイター] 黒田東彦日銀総裁は5日午前、衆院議運委員会で行われた所信聴取で、現在の株式・債券市場はバブルではないと述べた。金融緩和政策の出口戦略については「時期尚早」との認識をあらためて示したが、議論していく場合には、金融システムの安定に十分配慮すると語った。

 

 <バブル懸念も注視>

 

 黒田総裁は4日、就任して初めて開いた金融政策決定会合で、大規模な国債買い入れを中心に市場に大量の資金供給する「量的・質的金融緩和」を打ち出した。市場の想定を上回る内容となったことで、市場では長期金利が過去最低水準に低下するなど債券高や株高が急速に進行している。黒田総裁は「現時点で株式にしても債券にしても、バブルの状況になっているとは思っていないし、直ちにバブルが生じるとは思っていない」と断言。一方、金融緩和政策を進める上で「バブルが生じる懸念があるかどうかも十分、注視している」とし、市場動向を丹念に点検していく考えを示した。

 

 <出口戦略、時期尚早だがリスクを検討>

 

 また、期間の長い国債を大量に買い入れることで、将来的な金融緩和政策からの出口が困難になることへの懸念もある。黒田総裁は「足元の物価上昇率はマイナスであり、今、出口戦略を具体的に云々するのは時期尚早だ」と述べる一方、「十分、出口の場合のリスクについてもよく検討していきたい」と語った。特に金融機関の国債保有が膨らむ中、「重要なのは、金融システムに対する影響だ」とし、「出口戦略を具体的に議論し、進めていく場合には、金融システムの安定性に対する配慮を十分に考えていく」と強調。具体的な出口における国債の取り扱いについて「直ちに売るということではなく、償還を受ける形が多いと思うが、そうしたことを含めて出口戦略で考慮したい」と述べた。

 

 <財政ファイナンスの歯止め、新ルールを検討>

 

 4日の会合では、資産買入基金を廃止して新たな国債買い入れ方式を導入したことに伴い、これまで金融調節目的の国債買い入れである「輪番オペ」に適用していた「銀行券ルール」の一時停止も発表。財政ファイナンス(穴埋め)の歯止めがなくなった格好だが、黒田総裁は「今後も財政ファイナンスをしないとの観点から、歯止めについて政策委員会でも議論していきたい」と新たなルールを検討する考えを表明した。

 

 <期待は思いのままにならない、働きかけが重要>

 

 黒田新体制は2%の物価安定目標の2年程度での達成に向け、市場などの期待に働きかけるルートも重視している。総裁は「期待を中銀が思いのままにコントロールすることはできない」としながら、「不確実ではあるが、大きな要素であり、(期待に)働きかけることは重要だ」と語った。

 2%の物価安定目標と金融緩和政策との関連では、目標の実現をめざして「これを安定的に持続するために必要な時点まで継続する」とした。この点については「(物価が)2%に達していなくても、このままいけば2%達成どころかどんどん上がるという状況になれば政策を調整する」とする一方、「逆に、ある瞬間2%に達しても、持続的に2%近辺で推移する見込みがない場合には、緩和を継続する必要がある」と双方の意味合いがあると説明した。

 

 (ロイターニュース 伊藤純夫;編集 山川薫 内田慎一)


 


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余りにも過激な「質的・量的金融緩和」策のうちの一番驚くべき内容
2013/04/05 (金) 12:53


 流石やるもんですね。今までの地味な日銀総裁と比べて、今度の黒田新総裁は、なんと明快であることか。市場が何を求めているかもよく分かっている。総理が何を求めているかもよく分かっている。

 だから、110点とか120点という満点以上の点数が付くのでしょう。

 その結果、ご承知のように

 長期金利は、史上最低の0.315%を記録し‥

 為替は、1ドル97円台に乗り‥

 そして、日経平均は、13000円台に。

 ところで、黒田総裁は昨日、「量的・質的金融緩和」を導入すると述べましたが、私としては、今回の金融緩和措置が今までと質的に違うと言われても、それはどうかなと思うのです。

 政策目標を、無担保コールレート、つまり政策金利からマネタリーベースに変更したのだから、これは、はっきりと質的に違うものだと言いたいのかもしれませんが、例えば、今から10年以上前に量的緩和策を採用したときにも、日銀当座預金残高を目標値として設定した訳ですから、その意味では同じようなことの繰り返しと言えるのです。

 しかし、量的緩和に関しては、私も、驚いた!!!

 今、NHKの朝ドラファンの間で流行り出している言葉を借りるならば、じぇじぇじぇ!と言いたい。

 何故、これほどまでに急激に長期金利が下がるのか?

 それは、未曾有の規模の国債の買い入れを日銀がやると断言したからです。

 そして、その規模たるや‥

 グラフをご覧ください。

 今現在、130兆円ほどあるマネタリーベースが、2年間で270兆円に増えるまで国債を買い入れると言っているのです。

 簡単に言えば、2年間で140兆円ほど国債の保有額を増やす、と。

 私、30年ほど前、日本政府の国債発行残高が100兆円を突破したときに、こんなことをしていて本当に日本がインフレになってしまうのではないか、と心配した思い出があるのですが、そんな自分がアホみたいに思えてきました。

 だって、たった2年間で140兆円も国債を買い入れる、しかも純増ベースでですよ。

 本当に、じぇじぇじぇ!

 そして、マネタリーベースが270兆円まで増えるということで、日銀当座預金残高は175兆円まで増やす予定なのだとか。

 確か、筋金入りのリフレ派ともいうべき岩田副総裁が、日銀当座預金が80兆円ほどになれば、2%のインフレ率が期待できるなんて言っていたのですが、その80兆円をさらに100兆円ほど上回る額になっているのですから、じぇじぇじぇ!

 本当に驚いた。これこそ、クロトンのバズーカ砲と言っていいのでしょう。

 でも、最後にもっと驚くべきことを皆さんにお知らせしておきましょう。特に、リフレ派の人々に。

 何故マネーの量を増やすとインフレになるのか?

 だって、世の中に出回るお金が増えれば、自然にモノの値段が上がるからと考えるからですよね。

 では、本当に今後2年間で世の中に出回るお金が増えるのか?

 日銀当座預金は、現在55兆円ほどあるのが、先ほど言ったように175兆円ほどにまで増えるのですよね。

 でも、いつも言っているように、日銀当座預金と言うのは、民間銀行が日銀に預けている預金であって、実際に世の中に出回っているお金ではないのです。

 そんな民間銀行の預金が幾ら増えても、実際にお札が世の中に出回らなければ、インフレにはなりそうもないと思いませんか?

 では、実際、日銀券は2年後に、今よりどの位多く世の中に出回るようになるのか?

 黒田総裁が公表した資料によれば、世の中に出回る日銀券は2012年末の87兆円から2014年末には90兆円になると言うのです。

 驚きました? 驚いたでしょ?

 たった3兆円しか日銀券の量は増えないと言うのです。

 それで、どうしてインフレが起こせるの?
http://www.gci-klug.jp/ogasawara/%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B9.jpg


04. 2013年4月05日 19:16:47 : nJF6kGWndY
アングル:黒田日銀が招いた短国金利上昇、失われた「道標」
2013年 04月 5日 18:38 JST

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[東京 5日 ロイター] 黒田日銀は、今回の「異次元緩和」で国庫短期証券については買い取り目標を設定せず、金融政策から外した。より長めの金利へ働きかける狙いからだ。

その裏で短期市場では戸惑いの声もくすぶる。公開市場操作(オペ)としての短国買い取りそのものは残るが、実際にいくら買い取られるのかはっきりしない居どころの悪さに、しばらく参加者の目線は定まりそうにない。

「日銀の買い取りが減るのでは」──黒田日銀による緩和強化を好感する為替相場や株、債券市場の反応とは裏腹に短期市場では、こんな懸念が急浮上した。実際、流通市場で国庫短期証券に売りが出て、一時0.040%を割り込んで推移していた2カ月物利回りは0.090%に跳ね上がったという。

黒田日銀の緩和強化を好感する声は多い。月額ベースで発行の7割を占める買い取りに乗り出したことには、むしろ驚きの声も広がった。しかし、同時により長い金利への働きかけるのに国庫短期証券がその対象から外されたことは、参加者にとっては今後の「道標」を失うことを意味する。

インターバンクのある関係者は「短国は、これまでの月額6兆円の買い取りが増えることはあっても減ることは想定されていなかった。『前倒しで月額10兆円買うのでは』と前のめり気味な見方もあっただけに、今回から政策そのものから外れ、今後、どの程度買い取られるかは不透明になった」と話す。

日銀による短国の買い入れ額が減少するかどうかは、なおはっきりしない。日銀は、今回の金融緩和で銀行券と当座預金からなるマネタリーベースについて、2014年末に270兆円にする目標を打ち出した。これを達成するため長期国債の残高は同年末に190兆円にすると定めた。

日銀のバランスシートで生じるマネタリーベースと長期国債の差額については、主に短国と共通担保オペのいずれかで穴埋めすることになるが、減少するとの予想とは反対に「マネタリーベースが増えれば共通担保オペが入れづらくなり、かえって短国オペの量そのものは今よりやや増えるのではないか」(短資会社)との見方もある。

(ロイターニュース 山口貴也 編集:伊賀大記)
 
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コラム:黒田日銀の巨大資金供給は勇気か、無謀か=熊野英生氏
2013年 04月 5日 17:38 JST
熊野英生 第一生命経済研究所 首席エコノミスト(2013年4月5日)

黒田東彦総裁の就任後初となった4日の金融政策決定会合で、日銀は2014年末までに270兆円の資金供給を行うことを決めた。物価目標の達成に向けて資金供給量を2年間で倍にする大胆な緩和方針を受け、いったんは長期金利が凄まじい勢いで低下した。

ただ一方で、ここまで日銀が市場の過熱を煽ってよいのかとの思いも頭をよぎる。270兆円は、政府予算の3倍近くと、目もくらむような金額だ。補正予算13兆円の規模でさえ小さく見える。数字に関する感覚が麻痺してしまいかねないところが怖い。

資金供給量を2倍に増やす方策として、日銀は年限の長い長期国債を中心に、毎月7兆円強の国債購入を行う計画だ。毎月7兆円強ということは、年換算で85―90兆円という規模となる。2013年度の国債発行計画では、市中発行額は126.8兆円だったので、新規発行する国債の67―71%を日銀が買い取る計算となる。従来は30%だったことを考えれば、これはやりすぎではないか。

「補正予算の13兆円が小さく見える」と先述したが、うっかりすると財政規律の喪失も起こしかねない。今のところ、政府の財政規律は、消費税増税や基礎的財政収支の黒字化といった健全化路線によって担保されている。しかし将来、そうした約束が履行されず、歳出拡大圧力に急かされたとき、国債を発行して日銀が買い取ればよいという発想に傾かないとも限らない。

日銀が政府の国債発行をある程度助けることは必要だが、節度を維持することも重要だ。細かなところでは先日の決定会合で、日銀が輪番オペの対象とする長期国債について「発行後1年以内のもののうち発行年限別の直近発行2銘柄を除く」との制限を撤廃している。今までは市場の価格形成を歪めることに対する慎重な姿勢が見られたが、今後は日銀のオペが市場により積極的な影響力を与えることになろう。

民間銀行が新発債の入札に応じて、すぐに日銀に持ち込めばよいという発想になる。政府の立場から見れば、強力な札割れ対策になるが、反面、民間銀行が価格変動リスクへの意識を希薄化させる可能性も警戒される。

<ショック療法効果を狙う壮大な実験か>

日銀が長期国債の買い入れを極端なまでに推進するのは、イールドカーブを超長期にわたるまで押し下げることで極端な運用難の状況をつくり、民間銀行がリスク性資産へとポートフォリオを組み替える圧力を作り出すことを狙っているのだろうか。マネタリーベースの目標を270兆円という巨大なレベルまで積み上げて行う、そうしたショック療法は壮大な実験といえるだろう。

黒田新体制は、消費者物価2%目標達成に向けて、長期国債を購入することは有効性が高いと言っている。しかし、多くのエコノミストは、2%の目標は現実味が乏しいと考えている。それゆえ、高すぎる目標の達成に向けて、日銀がひたすら国債を購入し続けるというイメージが脳裏に浮かぶ。

毎月7兆円強の国債買い入れでさえ、一見すると冒険的だが、それだけやらないとマーケットに十分なインパクトを与えられないということなのか。極端な運用難を作り出すというショック療法の効果が、本当に腰の据わった円安・株高、ひいては貸出増に向かうかどうかは不確定なところが大きい。先行きの話ではあるが、現在私たちが目にしている状況がいつの間にか変化して、抜けるに抜けられない罠にはまってしまいはしないかと心配になる。

<アベノミクスの成功が開く「パンドラの箱」>

安倍晋三首相が昨年11月、当時の日銀の金融政策を批判した結果、現在のような円安・株高が生み出された。こうした成功体験が、金融緩和への極度な依存が始まる歴史的転換にもつながりかねないと、現在のアベノミクスの成功を見るにつけ、将来について不安を覚える

思い返せば、1999年にゼロ金利政策が導入された当初、株価上昇効果があると喧伝されたことがあった。その後、「柳の下の・・・」ではないが、量的緩和、包括緩和と大胆な金融政策が続いた。今回、金融政策が円安・株高に効果を上げたことが、新たなパンドラの箱を開けた可能性は否定できない。

翻って、インフレ・ターゲットの元々の意味は、経済政策運営の「制御」であったはずだ。人間の判断は間違いやすいものなので、金融政策は機械的に行い、人為的な緩和を抑制する。インフレ・ターゲットの政策思想は、米経済学者ミルトン・フリードマンなどのマネタリストの先祖たちが考えた知恵とは、現在ではすっかり変わってしまっている。

人間の知性が完全なものならば、リフレ手法に合理的にチャレンジするのもよかろう。しかし、経験主義に基づくと、そうした想定が成り立たなくなることは歴史上何度も繰り返されてきた。そうしたリスクにはくれぐれも注意したい。

*熊野英生氏は、第一生命経済研究所の首席エコノミスト。1990年日本銀行入行。調査統計局、情報サービス局を経て、2000年7月退職。同年8月に第一生命経済研究所に入社。2011年4月より現職。


 

 

 

緊急市場調査:日銀緩和を受けた今後3カ月の相場予想
2013年 04月 5日 17:35 
[東京 5日 ロイター] 黒田日銀の大規模な金融緩和策で、各金融市場は新たなステージに踏み込んだ。日経平均.N225は約4年8カ月ぶり、ドル/円は3年8カ月ぶりの高値となった。

一方、10年円債金利は一時、未踏の0.315%まで低下。期待感と警戒感が交錯するなか、為替、株式、金利の各専門家に今後3カ月間の見通しを聞いた。ドル/円のレンジは90─101円、日経平均のレンジは1万2000円─1万4500円、10年長期金利のレンジは0.25%─0.80%となった。

<為替>

●三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニア為替・債券ストラテジスト、植野大作氏

「緩やかなペースで円安が進むだろう。黒田日銀総裁が出してきた政策はメニューとしてはほぼ満額回答で、規模等については期待を超えていた。今後は未体験ゾーンに金融緩和が踏み込んでいくことになる。期待先行の強烈な織り込み局面は終わったが、今後はリアルの政策効果を確認しながら、じわじわと円安が進んでいくだろう」

ドル/円:92.50─100.50円

ユーロ/円:120─130円

●IG証券マーケットアナリスト、石川順一氏

「実体経済は何も変わっていないにもかかわらず、期待先行で円安が進行していたことを踏まえると、ちょっとしたリスク回避のショックで下落する可能性がある。ドルは下値めどとして90円程度をみたい。上値は要人発言などから100円程度が許容範囲という話もあり、この水準はマーケットでも意識されやすい。ユーロ/円の上値は139円程度をみているが、これは米国の景気回復期待が今後も続き、株式市場に反応しやすいクロス円はしっかりとした動きになるとみているためだ。ただ、2009年にはこの水準で抑えられた経緯があり、140円台はないのではないか」

ドル/円:90─100円

ユーロ/円:119─139円

●三菱東京UFJ銀行 市場企画部 チーフアナリスト 内田稔氏

「これまでは、円安、ドル高双方の材料がそろった場合にドル/円は100円が視界に入ると予想していたが、前日の日銀の金融緩和で予想を超える円安圧力が掛かっており、円安材料だけで100円が視界に入るというところに変わってきている。ただ、しばらくは米経済指標が予想を下回る時間帯を想定しておく必要がある。ユーロ/円については、円全面安がサポートとなるものの、ユーロ圏の景気の悪さやECBの緩和強化は重しとなる」

ドル/円:93─101円

ユーロ/円:120─132円

●シティバンク銀行 個人金融部門 シニアFXマーケットアナリスト 尾河真樹氏

「日銀がマネタリーベースを積極的に拡大する一方、FRBは年後半にも資産買い入れ規模を縮小するとみられる中でドル高/円安になりやすい。一時的に円高に振れる要因としては、6月に安倍政権が打ち出す成長戦略が期待外れとなった場合や米国における財政引き締めで景気に悪影響が見られた場合、またユーロ圏の情勢不安が挙げられる。ユーロ/円は円安基調で下がりにくいが、振るわないユーロ圏景気、低いインフレ率、債務問題、ECBの金利先安観によりユーロ自体は弱い」

ドル/円:94─101円

ユーロ/円:120─130円

<株式>

●野村証券 エクイティ・マーケットアナリスト 佐藤雅彦氏

「世界的にはFRBが出口を見始めている感があり、流動性相場では日本が最有力候補となるために、資金は日本にますます集まりやすい。今後は実際にデフレを脱却できる効果が出てくるのか、企業収益や成長戦略もポイントになってくる」

日経平均  1万2500円─1万4000円

TOPIX 1000─1150ポイント

●BNPパリバ証券 日本株チーフストラテジスト 丸山俊氏

「目先は会合後の株価下落を想定していたヘッジファンドやマクロ系ファンドによる買い戻し圧力が強く、調整は見込みづらい。加えて円安進行が企業業績の追い風となり、株価は強含む展開を予想する。欧州や中国など海外の不透明要因はあるが、逆にこれらが払しょくされれば円安が加速し、一段の株価上昇につながるだろう」

日経平均:1万2750円─1万4000円

TOPIX:1000─1200ポイント

●岡三証券 日本株式戦略グループ長 石黒英之氏

「日銀はマネタリーベースを倍化させる方針を打ち出したが、FRBにはまだ及ばない。日銀の緩和余地は残っており、更なる緩和への期待感が継続するだろう。CPIもまだ低水準にあるため、欧米に比べてドラスティックな政策が可能だ。政府は消費増税の判断材料となる4─6月期GDPを押し上げるため、株高政策を継続するとみられ、当面堅調な値動きが期待される」

日経平均:1万2500円─1万4500円

TOPIX:1030─1220ポイント

●東京海上アセットマネジメント投信 シニアファンドマネージャー 久保健一氏

日銀による大胆な金融緩和を素直に評価する株高が持続するとみている。マネタリーベースの増加額と時期を明示したインパクトは大きい。ドル/円は理論値で来年末に105―110円と計算できる。この状況下ではリバランス程度しか株安の要因は見当たらない。調整があるとすれば海外要因だろう。

日経平均  1万2000円─1万4000円

TOPIX 1000─1150ポイント

<金利>

●JPモルガン証券 チーフ債券ストラテジスト 山脇貴史氏

「今回の緩和策は、長期金利を下げることに明確にコミットした意味で、サプライズだった。10年セクターの需給をひっ迫させる状況になる。ポートフォリオのリバランス効果もあり、10年債金利が下がっていく過程では、超長期債利回りに強い低下圧力がかかることはやむを得ないことと考えている」

10年債利回り0.25─0.55%

20年債利回り0.80─1.20%

●SMBC日興証券 金融経済調査部部長 山田聡氏

「今回の緩和策で、日銀の国債買い取り額が超長期ゾーンで従前より圧倒的に増えたので、超長期ゾーンの利回り低下でイールドにはフラット化圧力がかかりやすい。ただ、ボラタイルな展開を想定している。10年債利回りは0.315%まで低下したので、水準感としては低下余地が限られることも想定される」

10年債利回り0.30─0.80%

20年債利回り0.70─1.30%

●みずほ証券 チーフ債券ストラテジスト 三浦哲也氏

「日銀の支配下に国債市場が置かれた初めての経験で、市場はイールドカーブのフェアな水準を模索し、超低金利状態は継続しよう。海外市場の動きにも注意を払いたい。米国では量的緩和の出口議論が事実上封じ込められた。欧州でもECBの利下げ観測がくすぶる。世界景気に不透明感が強まれば、買いに拍車がかかる可能性もある。しかし、良くも悪くも為替は円安方向。日銀の展望リポートで示される物価見通しを上回る経済指標が確認された場合には、2%物価目標の信ぴょう性が高まり、思わぬ金利上昇も意識されやすい」

10年債利回り0.30─0.65%

20年債利回り0.85─1.30%

●メリルリンチ日本証券 チーフ債券ストラテジスト 藤田昇悟氏

「4月は期初の利益確定売りで一時的に需給が緩む場面があるかもしれないが、機関投資家が国債を買わしてもらえないと危機感を抱くのは、本格的にポートフォリオの構築を始める5月半ば以降だろう。日銀の大規模な国債購入で超需給相場の様相を呈し、金利低下トレンドを鮮明にするとみている。国債市場のメーンプレーヤーの都銀はひとまず余剰資金の大半を国債に投下せざるを得ないだろう。仮にリスクを取らず、超過準備に積むような動きがあれば付利撤廃も現実味を帯びてくる可能性も否定できない。銀行は新たなビジネスモデルを構築せざるを得ない状況に追い込まれるのではないか」

10年債利回り0.30─0.80%

20年債利回り0.80─1.50%

(ロイターニュース 金融マーケットチーム)


 


 


 

 
焦点:混迷続くイタリア政局、予想される今後のシナリオ
2013年 04月 5日 15:08 JST
[ローマ 4日 ロイター] 新政権樹立が難航するイタリアでは、少なくともまだ数週間は混迷が続く見通しで、次期大統領の選出に関心が集まっている。

憲法の規定では、政局の混乱収拾は大統領の手に委ねられているが、ナポリターノ大統領(87)の7年の任期は5月中旬まで。次期大統領は新議会で選出されることになっている。

ベルサニ氏(61)率いる民主党などの中道左派連合は下院で過半数を占めているが、上院ではいずれの勢力も過半数には達していない。ベルサニ氏がベルルスコーニ前首相(76)による中道右派との大連立の呼び掛けを拒む一方、既成政党に反発する「五つ星運動」のグリッロ氏はベルサニ氏の中道左派との連立を拒否している。

事態打開には、18日から始まる議会での次期大統領選出で、ベルルスコーニ氏とベルサニ氏が何らかの合意に達することがカギになる。協議が不調に終われば、早ければ6─7月に再選挙が行われる可能性があるが、実施は秋となる公算が大きい。状況は日々変化するが、以下に今後数週間に考えられるシナリオをまとめた。

<再選挙なしに新政権誕生>

5月15日に任期終了を迎えるナポリターノ大統領は、新政権樹立への打開策を見いだすために2つの専門家会議を設置。これにより状況は来週後半までこう着するとみられている。

ベルルスコーニ氏は、大統領は左派出身者が続いているとして右派からの選出を希望。自身が直面する2つの訴訟で有罪が確定した場合の大統領恩赦なども念頭にあるもよう。

ベルサニ氏は、ベルルスコーニ氏と、中道左派政権樹立の黙認と引き換えに無党派の大統領選出で協議する用意があるとみられている。

フィレンツェ市長で中道左派・民主党の次期党首の有力候補とされるマッテオ・レンツィ氏(38)は、ベルルスコーニ氏との連立が再選挙回避の唯一の方法と主張。

新政権は発足しても6─12カ月の短命に終わる可能性があるものの、今回の政局混迷の原因となった選挙法の改正など、重要な改革を進めることが可能となる。リセッション脱却に向けての景気刺激策が可決される可能性もある。

協議が不調に終わった場合、モンティ政権のような実務者内閣を発足させる可能性もわずかながら残っている。ただこれには反対論が多く、ナポリターノ大統領自身も非常に消極的。

<合意なしに再選挙実施へ>

危機脱却にはベルルスコーニ氏とベルサニ氏の何らかの合意が不可欠となる見込み。これまでのところ、「五つ星運動」内での反対の兆候はみられるものの、既成政党による政府を信任しないグリッロ氏の立場にほとんど変化はみられない。

ベルルスコーニ氏とベルサニ氏が大統領選出で合意できなければ、ベルサニ氏が反ベルルスコーニ派の人物を選ぼうとするグリッロ氏に加担する可能性がある。最近では中道左派の元首相、プローディ氏の名前が浮上。選出方法からみて、この流れで新大統領を選出することは可能となる。

これにより新大統領が選出されれば、即座に新政権樹立に向けた調整に乗り出す展開も考えられるが、ベルサニ氏とベルルスコーニ氏の対立が決定的となれば難しい。

さもなければ新大統領は議会解散と選挙実施を余儀なくされる。ただこれには経済界やエコノミスト、さらに国民の多くが経済にとって大打撃として反発。ナポリターノ大統領も強硬に反対している。

ベルルスコーニ氏にとっては、新大統領選出で合意できなければ、選挙が最善のシナリオとなる。最近の世論調査では、選挙が行われれば同氏は少なくとも下院では勝利する可能性があるとされており、自身の裁判でも有利な展開が期待できる。

ベルルスコーニ氏率いる「自由国民」の一部やレンツィ氏は、6月の選挙実施は可能とみている。ただこれは手続き的に難しいとの指摘もあり、7月にずれ込む可能性がある。そうなれば夏休みと重なり、投票率が低下して不透明感が増す公算が大きい。

選挙実施時期として最も可能性が高いのは10月だが、現在の法律の下で実施されれば2月の選挙による混乱が繰り返される可能性がある。

選挙実施が決まれば、レンツィ氏がベルサニ氏に代わって党首を目指す動きが加速する公算が大きい。

レンツィ氏はベルルスコーニ氏とグリッロ氏の両陣営から票を奪うことが可能で、状況を一転させる可能性がある。ただ中道左派内で支持が分かれ、選挙で不利になる可能性もある。

いずれにせよレンツィ氏は、選挙実施時期が遅れるほどベルサニ氏に対して有利な展開を繰り広げられることになる。

 


 


 


ソロス氏が円安雪崩を警告、グロース氏に続き日銀政策に警鐘 

  4月5日(ブルームバーグ):資産家で著名投資家のジョージ・ソロス氏は5日、デフレ脱却に向けた日本銀行の政策が円の一斉売りをもたらすリスクを指摘した。パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のビル・グロース氏に続いて黒田東彦新総裁の下での日銀の政策に警鐘を鳴らした。
ソロス氏は経済専門局CNBCとのインタビューで、「実際すでに起きていることだが、円が下落し始めれば、日本国民は円が下がり続ける可能性が高いと気付き、自分たちの資金を海外に移そうとするだろう。そうすれば、円は雪崩を打って下落する可能性がある」と語った。
グロース氏は4日に、黒田日銀総裁が目指す2%のインフレ率を達成するには円が現在よりもはるかに大幅に下落することが必要だと指摘した。
日銀は4日、2%のインフレ目標達成の期限を2年とし、これに向け毎月の国債購入額を7兆円強とする策を打ち出した。円はこの6カ月ですでに約18%下落している。
ソロス氏は日銀の政策について、「彼らがやっていることで何かが起こり始めれば、彼らはそれを止めることができないかもしれない」と述べた。
また、グロース氏は主要7カ国(G7)が自国通貨の上昇ペースを抑えるために日本に円下落のペース調整を求める可能性があるとの見方も示した。同氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、日本のインフレ率が「2%に近づくためだけでも、はるかに大幅な円の下落が必要だ」として、「G7がこれを容認することは疑わしい。ある程度コントロールすることが必要だろう」と語っていた。

原題:Soros Joins Gross in Warning Kuroda Plan Risks Rout in Yen(抜粋) 
更新日時: 2013/04/05 15:15 JST


 

 


日銀の2%インフレ目標は「非現実的」-PIMCOグロース氏 

  4月4日(ブルームバーグ):米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のビル・グロース氏は、過去最大規模の債券購入を通じて2年で2%の物価上昇率を実現するという日銀の目標は恐らく「非現実的」だとの認識を示した。
グロース氏はブルームバーグテレビジョンのインタビューで「2%の目標を達成するには円はさらに大幅に下落する必要がある」と述べ、「他の主要7カ国(G7)諸国がそれを許す用意があるのか私には分からない」と付け加えた。
日銀は4日、毎月7兆円強の国債を買い入れるとともにマネタリーベースを2年で倍増する方針を表明した。これはエコノミストが予想していた毎月の国債買い入れ額の5兆2000億円(中央値)を上回る水準で、2001年の量的緩和策の開始以降では最大規模。円相場はニューヨーク市場で3.5%下落し、1ドル=96円29銭を付けた。1日の下落率としては2011年10月31日以来最大。
グロース氏はまた、日銀の資産購入プログラムを受けて投資家が米国債などを含む外国の高利回り証券に資金をシフトさせざるを得なくなる可能性があると指摘。米国債は今後「途方もない価格になって利回りが低下する」可能性があるとの懸念を示した。ただ、「当面は他の選択肢の一部に比べてまずまずの価値がある」と語った。
原題:Bank of Japan 2% Inflation Goal Is Unrealistic, Gross Says(1)(抜粋) 
更新日時: 2013/04/05 08:22 JST


05. 2013年4月06日 04:03:33 : xEBOc6ttRg
改正高年齢者雇用安定法の施行と若年失業
2013/04/05


櫨(はじ) 浩一 

ニッセイ基礎研REPORT(冊子版)2013年04月号全文ダウンロード(202KB)
1.改正高年齢者雇用安定法の施行

高年齢者雇用安定法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)が改正され、4月から施行される。これまでは、事業主が高年齢者雇用確保措置として継続雇用制度を導入する場合に、労使協定で基準を定めて対象者を限定することができたが、今後は原則として希望者全員を対象とするものにしなければならなくなる。
1986年に制定されたこの法律が、60歳以上の高年齢者の就業を促進するために大きな役割を果たしてきたことは間違いない。60歳から64歳までの就業率は、2001年には50.7%にまで低下して全年齢平均をかなり下回っていたが、2012年には57.7%にまで上昇して、全年齢の平均とほぼ同じ水準となっている。

2.高まる若年の失業率

このように高年齢者の就業が進んだ一方で、その副作用も見える。20代前半と60代前半の失業率は、長年にわたって全体の失業率に比べてかなり高く、ほぼ同じ程度で推移してきた。しかし、2000年頃からこの二つはかい離が大きくなり、60代前半の失業率は大きく低下して、ほぼ全体と同じ水準に低下した一方で、20代前半の失業率は全体に比べて大幅に高い水準にとどまっている。

かい離が始まった時期から考えて、高年齢者の雇用促進政策が影響していることは明らかだろう。


3.従来方式の延長は限界に

2001年から厚生年金の定額部分の支給開始年齢が段階的に引き上げられ、報酬比例部分の支給開始も2025年には65 歳になる。高年齢者の雇用促進は、厚生年金の支給開始年齢を引き上げて年金保険料の引き上げ幅を抑制するために、定年年齢との隙間を企業に雇用を義務付けることによって埋めようとしたものだ。
つまり、現役世代の負担を軽減しようという意図であったのたが、残念ながら現実には高年齢者が若者の職を奪うという形で現役世代の負担となってしまっている。若年層の失業は、オンザジョブトレーニングで職業能力を高めていく機会を失うことも意味している。現時点で仕事と収入を失うということだけではなく、この間の失業によって職業能力が高まらないため、将来も所得水準が低下する恐れが大きい。
若年失業率の上昇は、これまでのように定年年齢の引き上げや継続雇用という形で、高年齢者が同じ職場で働き続けるという考え方に限界が来ていることを示している。年金財政の安定化のために支給開始年齢を65歳からさらに引き上げることも議論されているが、そのためには雇用の在り方を大きく変える必要があるだろう。

 


日銀の金融緩和策にふさわしいETFはどれか
2013/04/05


井出 真吾 

研究員の眼2013年04月05日全文ダウンロード(193KB)
4月4日午後、日本銀行が「大胆な金融緩和」の導入を決定したことが伝わると、日経平均株価は取引終了までの1時間強で500円近く急上昇した。期待を上回る緩和策を株式市場は大いに歓迎したとみてよいだろう。日銀が決めた緩和策は、資金供給量(マネタリーベース)や保有する長期国債および上場投資信託(ETF)を2倍に増やすこと、買い入れる長期国債の平均残存期間を2倍以上に延ばす等だが、ここでは日銀が購入するのにふさわしいETFとは何か考えてみたい。

ETFとは証券取引所に上場している投資信託の総称である。通常の投資信託との大きな違いは「上場している」ことと、「株価指数等に連動する」というだけで、日本株を投資対象としたETFの多くは通常の投資信託と同じように個別企業の株式を組み入れる。では、日銀のETF購入にはどのような効果が期待されるのだろうか。ごく単純に言えば、日銀がETFを購入するとそのETFの価格が上がり、これに連動してETFに組み入れられている個別企業の株価も上がるというメカニズムだろう。つまり、日銀がETFを通じて株式市場に資金供給することで、株価を押し上げる資産効果が期待される。

ところで、東京証券取引所に上場しているETFのうち、日本株を対象としたものは約70種類ある。日経平均株価指数や東証株価指数(TOPIX)に連動するタイプのほか、特定の業種別株価指数に連動するタイプなど様々だ。日銀は1年間に1兆円規模でETFを買い入れるとしており、購入対象のETFには資産規模や売買高の大きさが求められる。しかし、これだけでは十分ではないと筆者は考える。

前述のとおりETFは株価指数に連動するように個別企業の株式を組み入れる。例えばTOPIXに連動するETFの場合は、ある企業の株式の組入比率をTOPIXにおける構成比と等しくする。日経平均連動型のETFでも同様だ。一方、TOPIXや日経平均では個別企業の株価に基づいて構成比が決まるので、ある企業の株価が他社よりも値上がりすると株価指数やETFにおけるその企業の構成比も増える。つまり、日銀のETF購入は「値上がりした企業により多くの資金を投入する行為」にほかならない。

これは本当に適切か、簡単な例を考えてみよう(下図参照)。A社とB社の実力に見合う株価はいずれも100円で、株価指数(およびETF)に占める構成比は1.0%ずつで等しいとする。ところが、市場での株価はA社120円、B社80円となっている(市場の株価は実力どおりとは限らない)。するとA社は1.2%、B社は0.8%と実力とかけ離れた構成比になる。このETFを1兆円購入する場合、実力見合いなら100億円(=1兆円×1.0%)ずつ投入されるところだが、実際はA社に120億円、B社には80億円が投入されることになる。

言うまでもなく日銀がETFを購入する目的は株式投資で儲けることではなく、資産効果などを通じて日本経済を活性化させることだ。そうであれば、実力より過大評価されているA社よりむしろ、過小評価されているB社にこそ資金が投入されるべきではないだろうか。しかし、そのようなETFが存在しない以上、日銀としてはどうしようもない。

対策はあるか。一つのアイデアは、売上高や営業利益などの大きさに応じて構成比を決める方法だ。財務データを用いても企業の実力を完全に把握することは不可能だが、株価に基づく構成比より効率的に資金投入される可能性がある。また、既存のETFを購入すると、実力より株価が高くなっている(割高な)企業に多く投資することになるため、その後の値下がりで損失を被る恐れもある。こういったリスクも軽減できるかもしれない(日銀は儲けることが目的ではないと述べたが、損失を抱えることは好ましくないだろう)。

本稿のタイトル「日銀の金融緩和策にふさわしいETFはどれか」に自答すれば、「単に株価指数が上がればよいなら既存のETFで十分に役割を果たせる。しかし、資金供給効果を高めるには、企業の実力をより的確に反映したETFの登場に期待したい」である。実際、海外には売上高や利益額などで構成比を決めるETFがある。また、より本質的な議論としては、企業が実力を高められるよう、政府・企業の一丸となった取り組みが進むことを期待したい。

金融市場の動き(4月号)〜期待先行相場の終焉と円相場の行方
2013/04/05


上野 剛志 

Weekly エコノミスト・レター2013/04/05号全文ダウンロード(393KB)
(為替) 従来の急激な円安進行という期待先行相場は、日銀が期待に見事応えたことで政策に裏打ちされた。今回導入された「量的・質的緩和」の影響を考えると、日米長期金利差などの観点から明らかに円安要因と考えられる。一方で、今回日銀は政策を総動員したため、しばらくは現状維持を続けるとみられるうえ、大規模な緩和をこれからも追加していくことはまず不可能であるため、市場は追加緩和を期待しにくくなったとみられる。日本がビックイベントを通過したことで、今後は海外情勢がカギとなりそうだ。米経済の回復はそれ自体がドル高要因であるほか、世界的なリスクオン地合いに繋がり、最強のリスクオフ通貨である円売りを促してきた。先行きは米経済指標が春以降弱含み、世界株安になる傾向があることが気がかりだ。今後も中期的に米経済の回復は続き、ドル高トレンドは維持されると思うが、米経済の減速が確認されれば、ドル円の上値を抑えかねない。
(日米欧金融政策) 3月は日米欧ともに金融政策を現状維持としたが、今月に入り日銀が新たな金融緩和の枠組みを導入。ユーロ圏が様子見、米国は将来の出口を議論している中で、日銀の緩和スタンスが際立つことに。
(金融市場の動き) 3月の金融市場は、円安ドル高、ユーロドルは続落、長期金利も低下した。長期金利は当面底這い、ドル円は米雇用統計を確認する必要があるが、日銀緩和を受けて底堅い展開を予想。ユーロドルは上値が重く、イタリア政局が波乱要因。


1. 為替:期待先行相場の終焉と円相場の行方
4 月4 日の金融政策決定会合において、日銀新体制は大胆な緩和策を導入(詳細はP3〜4参照)、“レ
ジーム・チェンジ(大転換)”を市場に印象付けた。市場の期待は事前に多いに高まっていたため、筆
者は「期待に届かない」と見ていたが、出てきた内容は、範囲・規模ともに市場の期待に十分応えるも
ので正直驚いた。金融市場でも驚きをもって受け止められ一気に相場が動いた。本日には、一時ドル円
が97 円台に急落、株価は13000 円を突破、長期金利も0.3%台に低下して過去最低値を記録した。
(期待先行であった円安が裏打ちされた)
安倍政権による“大胆な金融緩和”に対する期待を受けて、11 月中旬以降急激な円安が進行したが、
昨日までは期待先行相場であった。昨日の日銀の対応は市場に対する答えと位置づけられる。結果とし
て期待に見事応えたことで、これまでの円安は政策に裏打ちされたものとなり、これを以って期待先行
相場は終焉を迎えた。
今回導入された「量的・質的金融緩和」の内容について為替への影響を考えると、明らかに円安要因
と考えられる。同緩和の主な特徴として挙げられるのは、@長期国債買入れの大幅拡大、A資金供給量
の大幅拡大、B時間軸政策の強化、Cリスク性資産の買入拡大である。
このうち長期国債買入れの大幅拡大は日米金利差、とりわけ長期金利差拡大に働くことで円安要因と
なる。最近は日米金融政策のメインターゲットが“長めの国債を買う”ことに収斂していくにつれ、長
期金利差が金融政策の方向感の違いを強く織り込むようになり、為替との相関が極めて高くなっている。
時間軸政策も日銀が大規模な長期国債買入れを長期に続けるという期待によって本邦長期金利を押さ
え込むため、従来よりも日米長期金利差が拡大しやすくなった。また、ETF などのリスク性資産の買入
拡大も株価押上げ等を通じたリスク選好的な円売りに繋がりやすい。
一方、資金供給量(マネタリーベース)の大幅拡大が為替に与える影響はなかなか難しい。日銀が資
産買入を進めると、負債サイドでは日銀当座預金が増え、結果的に日銀の資金供給量であるマネタリー
ベース(現金+日銀当座預金)が増えることになる。「FRB に比べて日銀の資金供給量が足りないから
円高になった」という主張も多いが、日米マネタリーベース比とドル円レートを並べたいわゆるソロス
チャートを見ても、本来それほど説明力は高くない。今回のマネタリーベース拡大の殆どは日銀当座預
金の拡大であるが、「国内銀行等が保有する日銀当座預金の残高が増加すること」と円安ドル高との直
接的な関係性については理屈が曖昧だ。ただし、マネタリーベース拡大が市場の期待インフレ率に働き
かけ、その顕著な上昇を促すことが出来るのであれば、本邦実質金利の低下を通じて、また購買力平価
(インフレ通貨は下落するという考え方)の観点からも円安要因と言える。
(サプライズは期待しにくくなった)
現在の市場は、日銀の決定内容を評価して織り込んでいる段階にあり、円安余地を探っている段階だ。
ただし、今後の市場については、日銀の金融政策がどのように位置づけられるのか、不透明感が強まっ
ている印象だ。黒田総裁は、昨日の会見にて「戦力の逐次投入はせず、現時点で必要な措置は全て取っ
た」としつつも、「必要があれば躊躇なく調整を進める」と一段の緩和への含みを残した。しかし、今
回日銀は政策を総動員して市場の期待に応えたため、少なくともしばらくは現状維持を続けるとみられ
るうえ、今回のような大規模な緩和をこれからも追加してことはまず不可能だ。市場はサプライズを期
待しにくくなり、追加緩和期待が高まりにくくなったとみられる。
そうなると、気になるのが投機筋の動き。これま
で大いに円売りポジションを積み上げてきただけ
に、その帰趨が持つ影響力は短期的には大きい。「日
銀の大規模な緩和が続くという事実を以ってこれ
からも円売りスタンスを続けるのか」、それとも「一
旦材料出尽くしとして売りポジションを粛々と手
仕舞うのか」、どちらも理屈付けが可能なだけに、
動向が注目される。
(海外、特に米国の経済動向が重要に)
また、日本がビックイベントを通過したことで、今後は海外情勢が市場の動向のカギとなる。これま
での円安進行は緩和期待の影響が大きいが、米国経済等の回復が大前提にあった。米国経済の回復はそ
れ自体が、金利・金融政策の観点からドル高要因であるほか、世界的なリスクオン地合いに繋がり、最
強のリスクオフ通貨である円売りを促してきた。
米国経済について、目先は3 月雇用統計が焦点だ。先行するISM 景況感指数は製造・非製造業とも
に冴えず、ADP 雇用統計も予想割れであったため警戒感が高まっているが、無難に通過すればドル円
上昇をサポートするだろう。
ただし、そもそも春はリスクオフになりやすい点は気がかり。2009 年以降の世界株(MSCI 世界株
指数)の月別騰落回数を見ると、1-3 月の株価上昇傾向が強いのに対し、4-6 月の低迷は際立っている。

背景としては、春に欧州危機が緊迫化することが多いうえ、米経済指標が春以降弱含む傾向がある点
が挙げられる。前者はたまたまだと思うが、後者の季節性は雇用統計の推移から見ても顕著である(リ
ーマン・ショック後の季節調整の歪みを指摘する声も多い)。今年については3 月からの米強制歳出削
減のマイナス影響が出てくることも懸念される。
今後も中期的に米経済の回復は続き、ドル高トレンドは維持されると思うが、目先に米経済の減速が
確認されれば、いったん円高ドル安圧力が直接的に、また世界のリスクオフを通じて高まり、ドル円の
上値を抑えかねない。最初のハードルは本日の雇用統計だ。
2.日米欧金融政策(3月):今月、日銀が新たな緩和の枠組みを導入
(日銀)維持(今月に入って緩和)
日銀は3月6〜7日に開催された金融政策決定会合にて、前回に続いて金融政策を現状維持とし
た。政策金利を0〜0.1%程度に据え置き、基金の買入枠等も変更しなかった。
景気判断については、前回の「下げ止まりつつある」から「下げ止まっている」へと上方修正した。
景気判断の引き上げは3 ヵ月連続となる。
ちなみに3 月決定会合は白川前総裁体制下での最後の会合であり、事前の緩和期待は全く無かっ
た。そうした中で最も注目されたのは、声明文で明らかとなった白井審議委員の提案だ。同氏は資
産買入等基金での長期国債買入れについて、14 年から開始予定の「期限を定めない買入れ方式(い
わゆる無制限緩和)」を速やかに導入し、「金融調節上の必要から行う国債買入れ(いわゆる輪番オ
ペ)」と統合する案を提出した。1対8の反対多数で否決されたが、日銀のレジームチェンジを白
川前総裁在任中に先取りする形となっただけに市場では驚きをもって受け止められた。また、宮尾
委員も前回同様、「必要と判断される時点まで」としているゼロ金利政策の時間軸について、「物価
安定の目標の実現が見通せるようになるまで」と変更する旨の提案をしたが、こちらも1対8で否
決された。
日銀新体制に関する動きについては、2 月28 日の政府人事案提示を受けて、3 月上旬に衆参それ
ぞれで新正副総裁候補の意見聴取が行われた後、14・15 日に国会で人事案が承認された(厳密には、
総裁については前倒し辞任した白川前総裁の残り任期についての承認)。その後、20 日の新体制発
足を受けて、21 日には新正副総裁による就任記者会見が開かれた。
この間、黒田新総裁、岩田新副総裁からは、金融緩和スタンスや緩和手法などについて数多くの
発言があり、金融緩和強化への市場の期待は多いに高まった。
その後4月に入り、3〜4日に新体制による初の決定会合が開催され、「量的・質的金融緩和」
の導入を決定した。追加緩和というよりは、これまでの枠組みを新たなものに組み替えた上で、緩
和規模を大きく拡大している。具体的内容は以下の通り。
@量的緩和目標の導入:金融政策の操作目標を無担保コールレートからマネタリーベースへと変更
し、これを年間60〜70 兆円ペースで増加させる(14 年末の残高は12 年末比で倍増)
A長期国債買入れ拡大と年限長期化:長期国債買入れ対象を全ゾーンとした上で、年間50 兆円ペ
ースで増加させる(買入れの平均残存期間は現状の3 年弱から7 年程度へ)
BETF・J−REITの買入れ拡大:各年間1兆円、300 億円ペースで増加させる
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C時間軸の強化:2%の物価安定目標の達成時期を従来の「できるだけ早期に」から「2 年程度」
へと明確化、さらに「量的・質的金融緩和」は同目標が安定的に持続するために必要な時点まで
継続するとした
また、これに伴い、以下の対応を実施。
@資産買入れ等基金の廃止
A銀行券ルールの一時適用停止
B市場参加者との対話の強化
今回の会合では、一部議題について木内委員の反対があったが、ほぼ全員一致の決定であった。
新体制発足後約2 週間でよくこれだけのメニューをそろえ、ここまでの規模を打ち出してきたなぁ
という印象。筆者は銀行券ルールの取り扱いについて、もっと検討時間を要すると見ていたが、「財
政ファイナンスではない」と単に明言することで「一時適用停止」にした。このこだわりの無さが
今回、大規模かつほぼフルメニューの対応が可能になった背景にある。
市場は今回の決定を受けて、大幅な円安・株高・金利低下で反応しており、事前の市場期待を超
えた証左と言えるだろう。

マネタリーベース目標と日銀B/Sの見通し
長期国債89 140 190 銀行券87 88 90
CP等2.1 2.2 2.2 当座預金47 107 175
社債等2.9 3.2 3.2 (マネタリーベース) 138 200 270
ETF 1.5 2.5 3.5
J-REIT 0.11 0.14 0.17
貸出支援基金3.3 13 18
資産計(その他含む) 158 220 290 158 220 290
負債・純資産
負債・純資産計(その他含む)

(FRB)維持
FRB は3月19〜20 日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)において、現行金融政策の維持
を決定した。政策金利を据え置くとともに、MBS と長期国債合わせて月額850 臆ドルの資産買入れ
も継続する。「失業率が6.5%を上回る(かつインフレ見通しが2.5%以下)間は継続」としている
超低金利の時間軸にも変更はなかった。
声明文では、景気について「緩やかな成長軌道に戻った」とし、前回の「(一時的要因が主因だ
が)経済活動はここ数ヶ月停滞した」との認識から上方修正している。
12 月FOMC 議事録公表以降、注目点となっている「QE3 の縮小・停止に関する議論」については、
議長会見にて、今回も「FRB の継続的な資産拡大が及ぼすコストとリスク」についての活発な議論
が行われたことが明らかにされている。バーナンキ議長は証券市場やFRB の国庫納付金への影響な
ど様々なリスクに言及した上で「これらリスクについては現状管理可能」と説明している。
今後については「目標達成に向け前進するに伴い、買入ペースを変更する可能性がある」と述べ
る一方で、「景気拡大が何ヶ月も継続することが買入ペース変更の基準として重要となる」とし、
早期の縮小観測に対してはクギを指している。

ただし、月額850 億ドルの買入れというQE3 の規模は非常に大きく(年間換算で100 兆円弱)、
縮小観測が消滅することはない。今後もことあるごとに維持と縮小の間で観測が揺れ動く状況が続
くだろう。
なお、今回は併せてFRB による経済見通しが改定された。前回12 月時点に比べ、成長率は2015
年にかけてわずかに下方修正、失業率も若干引き下げられているが、大きな変更はない。
また、委員による利上げ開始時期の予想も併せて改定されたが、前回からほとんど変化はなく、
2015 年が最多となっている。経済見通し上の失業率が6.5%を下回る時期も2015 年となっており、
超低金利の時間軸との整合性もとれている。
FRBの経済見通し(%)
実質GDP 失業率
2013年今回2.3〜2.8 7.3〜7.5
前回2.3〜3.0 7.4〜7.7
2014年今回2.9〜3.4 6.7〜7.0
前回3.0〜3.5 6.8〜7.3
2015年今回2.9〜3.7 6.0〜6.5
前回3.0〜3.7 6.0〜6.6
(注)「前回」は12月時点、「今回」は3月時点
(資料)FRB
FOMC委員による利上げ開始時期の予想 
12年9月FOMC 12年12月FOMC 13年3月FOMC
(資料)FRB


(ECB)維持
ECB は3月7日に開催された定例理事会において、政策金利を0.75%に据え置くことを決定した。
声明文では景気判断について、「弱い経済状況が続いてきた」と前回の表現を踏襲、先行きについ
ても「2013 年後半になると徐々に持ち直す」というシナリオを維持している。同時に公表された経
済見通しの改定では、2013 年の成長率を▲0.5%(前回12 月時点は▲0.3%)へ、14 年の成長率を
1.0%(同1.2%)へとそれぞれ下方修正しているものの、13 年の下方修正については、「主に2012
年第4四半期の落ち込み(13 年の発射台低下)によるものと説明している。
ドラギ総裁は記者会見において、利下げについての議論が行われたことを認めたが、「幅広いコ
ンセンサスとして金利据え置きを決定した」と述べた。
その後、4 月に入って4 日に開催された定例理事会でも、政策金利は据え置きとなった。景気判
断や先行きについても特段の変更はなかった。
利下げについても、前回同様、広範な議論があったことを認めた上で、コンセンサスとして据え
置きを決めたことが明らかになっている。

政策金利の先行きに対する市場の見方を示すOIS(一定期間の無担保コール翌日物と固定金利を
交換する金利スワップ)の3月末時点における利回り曲線を見ると、日米欧ともに前月末から殆ど
変化が見られない。同曲線の形状は日本とユーロ圏でほぼ水平で全く先高感がないのに対し、米国
は18 ヵ月以上のゾーンがやや上がっている。まだ遠いものの、今後1 年半から2 年程度で米国の
利上げが開始されることが一部織り込まれているとみられる。
3. 金融市場(3月)の動き: 円安ドル高、ユーロドルは続落、長期金利も低下
(10 年国債利回り)
3月の動き 月初0.6%台半ばからスタートし、月末0.5%台半ばに。
月初、黒田時期日銀総裁候補の所信聴取を受けて緩和観測が高まり、4 日には0.6%へ低下した
が、翌日の10 年債入札が低調で0.6%半ばに戻る。以後しばらく、0.6%半ば〜前半での展開が続
いたが、キプロス支援での預金課税を受けて欧州債務問題の緊張が高まり、18 日には0.5%台に突
入。その後、黒田日銀総裁が国債利回り全体を引き下げる方針を改めて表明したことなどから、さ
らに低下し、28 日には0.5%割れ寸前となる。月末は高値警戒感からやや戻し、0.5%台半ばに。
当面の予想
4 月4 日の日銀決定会合結果を受けて長期金利は過去最低を更新したが、足元では0.5%近辺に。
日銀が今後10 年債などの長めの国債を大量に買入れることが確定したため、長期金利は当面極め
て低位で底這う展開になると予想。米長期金利の上昇は本邦金利の上昇要因だが、まだ急上昇は見
込みがたく、日銀買入れ大幅増額という金利下押し材料の力には及ばず。ただし、金融機関の資金
調達コストからすると現状の金利水準は明らかに低すぎるため、小幅に水準調整が入る可能性も。

(ドル円レート)
3月の動き 月初92 円台半ばからスタートし、月末は94 円台前半に。
月初、黒田日銀総裁候補の所信聴取で緩和期待が高まり、4 日に93 円台半ばへ。その後、米雇用
回復期待の高まりでドル高の様相が強まり、7 日には94 円台へと円が下落。米雇用統計の大幅改善
を受けた11 日には96 円台に乗せる。その後も96 円を挟んだドル高水準で推移したが、18 日には
キプロスの混迷を受けてリスク回避の円買いが生じ、94 円台まで円高が進む。その後もキプロスや
イタリア政局など欧州問題で一喜一憂する状況が続き、月末は94 円台前半となった。
当面の予想
ドル円は日銀の金融緩和を受けて、足元では96 円台に下落。今回の日銀決定内容は市場の期待
に十分以上に応えるレベルであり、出口戦略を議論している米国との差がさらに明確になったため、
円安ドル高要因であるのは間違いない。一方、今回政策を総動員したことでしばらく大幅な変化は
見込みがたく、先行きの材料としては注目度が低下、今後は米国情勢へと視線が移るだろう。目先
のハードルは3 月の米雇用統計だ。先行指標は軒並み期待に届いておらず、失望する内容となれば
ドルの上値が抑えられる。
(ユーロドルレート)
3月の動き 月初1.30 ドルでスタートし、月末1.28 ドル台前半に。
月初は世界的なリスクオン地合いにも支えられ、堅調に推移。ECB 理事会を経て利下げ観測が後
退した8 日には1.30 ドル台後半へ。その後は米雇用統計改善を受けて若干ユーロ安となり、18 日
にはキプロス情勢緊迫化を受けて1.29 ドル台前半となる。その後もキプロス問題の他国への波及
や預金課税が今後の欧州支援の雛形になるとの懸念、イタリア政局混乱の継続によりユーロは下げ、
27 日には1.27 ドル台に突入、月末も1.28 ドル台前半で着地した。

当面の予想
足元は1.29 ドル近辺。キプロス問題は支援合意を受けて緊迫感は沈静化しつつあるが、イタリ
ア政局の混乱については、再選挙となるのか否か、かなり不透明な状況が続きそう。ファンダメン
タルズについても、失業率が過去最高を記録しているように厳しさを示すものが多く、目先のユー
ロが上昇トレンドに回帰するというシナリオはやはり描きにくい。イタリアにおいて再選挙が実施
される確率が高まれば、嫌気してもう一段下げる可能性大。

 


4月ECB政策理事会:問題は不確実性の高まりと信頼感の欠如
2013/04/05


伊藤 さゆり 

経済・金融フラッシュ2013/04/05全文ダウンロード(230KB)
欧州中央銀行(ECB)が4日に4月の政策理事会を開催、政策金利の据え置きを決めた。景気の先行きについての基本的な見方は維持したが、下振れリスクを警戒するトーンを幾分強めた。次の一手に関する質問には「行動する用意がある」と答え、景気の下振れに対処する政策手段を使い尽くしたとの観測を排除した。

キプロス支援は、当初案が預金保険対象の10万ユーロ以下の預金も課税対象とした点を「賢明ではなかった」と認めた上で、銀行同盟の早期実現が教訓であると強調した。キプロスのユーロ離脱観測は「問題の解決策にならない」として一蹴した。

欧州中央銀行(ECB)が4日に4月の政策理事会を開催した。前回に引き続き利下げについて
広範な協議をしたものの、コンセンサスで据え置きを決めた。
前回理事会後、キプロス支援の預金者負担を巡り一時的に市場の緊張が高まり、イタリアでは2
月の議会選挙から1カ月以上経過したものの未だ新たな政権の枠組みが決定していない。直近のP
MIや欧州委員会景況感指数などサーベイ調査の改善基調も途切れており、景気は一進一退で低調
に推移している。
今回の声明文でも、景気の先行きについて「年後半の緩やかな回復」という見方と「リスクは下
方」という判断を維持した。記者会見の質疑応答でドラギ総裁は「昨年の10〜12 月期に記録した
景気の弱さは年明け後も続いている」、「景気の弱さは金融市場の分断の問題を抱えていない国にも
広がっている(注1)」、「不確実性の高まりと信頼感の欠如が主因となり内需が予想よりも弱くなる可
能性がある」と述べるなど、下振れリスクを警戒するトーンを幾分強めた。
次の一手に関する質問には、利下げについて「事前に約束はしない」としつつも、「行動する用意
がある」とも述べ、景気の下振れに対処する政策手段を使い尽くしたとの観測を排除した。ECB
の基本認識は、これまでの非標準的政策によって銀行の流動性の問題は解消したが、資本不足とリ
スク回避指向という問題が残っているために貸出の伸びに結びついていないというものである。こ
の問題を解消するためには、各国政府や中央銀行、欧州投資銀行がそれぞれの役割を果たす必要が
あり、ECBも権限の範囲内でできることを検討しているとし、追加の非標準的政策にも含みを持
たせた。
(注1)フランス、オランダ等を指しているものと思われる。

( 日銀の異次元の金融政策の影響は静観の構え。ECBが遅れをとっているとの見方は否定 )
4日に日本銀行が異次元の金融政策を決めた影響については、直接的なコメントは避けつつ、「為
替相場は目標ではないが、成長と物価の安定にとって重要であり、金融政策の戦略策定にあたって
為替相場の動きを考慮する」として、影響を見極める姿勢を示した。
さらに「ECBは景気刺激という面で他の中央銀行に遅れをとっているのではないか」との質問
に対しては「OMTはもっとも強力な金融政策手段」と答え、新たな国債買い入れプログラム・O
MTの導入が国債市場や社債市場、さらに債務危機国の預金に与えた成果を強調した。
( キプロス支援を巡る混乱は銀行同盟の早期実現の必要性を示唆 )
今回の記者会見では、キプロス支援問題について、金融政策以上に多くの質問が寄せられた。
当初の支援案に預金保険の対象である10 万ユーロ以下の預金も含む課税が盛り込まれた点は「賢
明ではなかった」と認めた。その上で、キプロス支援を巡る混乱からの教訓として銀行同盟の早期
実現の必要性、すなわち、@(2014 年稼動を目指す)単一監督メカニズム(SSM)による国際的
な監視が不可欠である、A(金融機関の破綻処理時、株主に加えて、債権者に損失負担を求める)
ベイルインの対象となる資産のバッファーを持つことが重要であり(注2)、ベイルインの順序付けな
どを既定したEUの破たん処理指令を2015 年などの早期発効を目指すべき、B単一の金融危機管
理基金(SRM)の早期創設が重要という3点を強調した。
(注2)キプロスの銀行は資産規模に対して、ベイルインの適格債務の割合が低かったため、預金者負担を求めざるを得
なかったとされる。
( ユーロ離脱はキプロスの問題解決策にならない )
キプロスが、EU・IMFからの支援の見返りに大規模な銀行再編策を求められたことで、一部にユ
ーロ離脱観測が広がっているが、ドラギ総裁は「ユーロ離脱はキプロスの問題の解決策にならない」と
して観測を一蹴した。
ユーロ離脱国が出た場合への備えを問う質問に対しても、「ヨーロッパ人とユーロ圏にとってのユーロ
の意味、ユーロに投じられた政治的資本を過小評価し過ぎている」として、想定自体に意味がないとし
た。
http://www.nli-research.co.jp/report/report/2013/04/ 


06. 2013年4月06日 04:10:33 : xEBOc6ttRg
未曾有のマネタリーベース緩和が始まる 発表日:2013年4月4日(木)
〜長期国債を大量に買入れて平均残存期間を7年にする〜
第一生命経済研究所 経済調査部
担当 熊野英生(пF03-5221-5223)
日銀が大規模な金融緩和の仕切り直しを実施した。@マネタリーベース・コントロールを操作目標に変更する、A長期国債残高は年間50兆円積み上げる。B質的緩和としてETF・REITを買い増す、という変更である。資産買入基金は日銀本体のバランスシートと統合して、銀行券ルールは一時停止の扱いにする。株式市場はこれらの変更を好感して、日中の変動幅が+558円も拡大し、長期金利は一気に史上最低になった。
長期国債残高を年間50兆円積み増す
黒田総裁は、4月3・4日の決定会合で、約束どおり大規模な金融政策の「仕切り直し」を決めた。アベノミクスの一本目の矢がうなりを上げて飛び出した格好である。
まず、これまでの包括緩和は、「量的・質的金融緩和」という表現に修正される。操作目標は、銀行券発行残高を含めたマネタリーベース・コントロールに切り替えることになった。3月の残高が134.7兆円であったから、そこから2013年末200兆円、2014年末270兆円へと資金供給量が上積みされる予定である(図表1、2)。270兆円といえば、現在のFRBのバランスシート規模に匹敵する大きさであり、日本の名目GDPの57%に相当する。
具体的な緩和内容として注目されるのは、長期国債保有残高を年間約50兆円ずつ増やす方針である。2013年3月の94兆円からみれば2013年末に140兆円へと+26兆円に増やすことになる。
さらに、グロスで言えば、長期国債の買入れは毎月7兆円強になるという。年間換算すれば、85〜90兆円という規模となる。長期国債の市中発行額126.8兆円(2013年度)と比較すると、日銀が新規発行額の67〜71%を買取るという未曾有の状況になる(従来は30%)。
しかも、今回の方針では、「イールドカーブ全体の金利低下を促す観点から」、「長期国債の買入れ対象を40年債を含む全ゾーンの国債としたうえで、買入れの対象を平均残存期間を、現在の3年弱から国債発行残高の平均並みの7年程度の延長する」としている。デュレーションを3年弱から7年にするということは、今後どのくらいを
イメージしているのかはわからないが、日銀が長期・超長期国債を大量に購入することが想起される。
細かな変更で言えば、「国債の発行後1年以内のもののうち発行年限別の直近発行2銘柄を除く」というルールの廃止も劇的だ。市場で消化された新発債をすぐに日銀に持ち込めば買ってくれるという非常に都合の良いルール変更である。国債管理政策上において、強烈な札割れ対策になり得る。
また、「質的緩和」の部分として、ETF、REITの買い入れの拡大も決定している。ETFは年間約1兆円、REITは年間約300億円に相当するペースで買入れをするという。ただし、これまで白川体制では、2013年中にETFを0.5兆円、REITを100億円増やすと表明していたので、今回の決定はそれほど追加的に大きなものではないと理解できる。
仕切り直しの内容
今回の緩和によって見直された部分に注目してみよう。すなわち、白川前総裁の包括緩和についての総点検である。
まず、資産買入基金は廃止して、日銀のバランスシート本体での買入れと統合する。それに伴って、銀行券ルールの一時適用停止を決めた。すでに、資産買入基金分を含めると、銀行券発行残高を突破していた状況を、公式に認めることになる(図表3)。
この「一時」は、撤廃するということとは異なっており、やはり政策委員の中に財政ファイナンスを心配するメンバーが居たことを示唆している。しかし、「一時」と言っているのに期限を明示していないので、撤廃に限りなく近いものだ。裏返しに言えば、日銀による「財政ファイナンスではない」という説明の説得力は低下することになる。
また、見えにくい変更点としては、日銀がゼロ金利・量的緩和の出口を考えることをしなくなったことも特筆される。長期・超長期国債を次々に買入れてバランスシートを膨らませるということは、先行きのバランスシートの縮小を考えずに緩和をやっていると、多くの人に信じさせる。
その一方で、0.1%の当座預金の付利は残すことを決めている。総裁会見では「引き下げは必要ないとの結論に達した」と述べている。執行部以外に、付利撤廃は好ましくないという判断が根強かったのだろう。これは、量的縮小を前提にせず、出口を模索できるようにするという意図をにじませたという理解もできる。
政策効果の波及についての説明
黒田総裁は、これまで金融政策の説明をわかりやすくすると宣言していた。そうした意図は発表資料にも様々にみられる。一番大きな変化は、政策効果の波及についての解説であろう。
量的・質的緩和は、「長めの金利や資産価格などを通じた波及ルートに加え、市場や経済主体の期待を抜本的に転換させる効果が期待できる。これらは、実体経済や金融市場に表れ始めた前向きな動きを後押しするとともに、高まりつつある予想物価上昇率を上昇させ、日本経済を、15年近く続いたデフレからの脱却に導くものと考えている」と説明されている。
この点は、金融政策効果に対する反論にもなる。従来、インターバンクにおける流動性拡張が、どのように実体経
済の改善へと波及するのかが説明されてこなかった。その点を、黒田総裁らははっきりさせようとしているのである。一方、海外の中央銀行には、資産価格は金融政策の目標ではないと、視野に入れない姿勢を採っているところもある。それに対して、日銀はそれを念頭に置いていると言っている。
マーケットがイメージするのは、さらなる円安・株高・金利低下であろう(図表4)。4月4日の株式市場では、日銀の会合の結果が伝わるまでは大きく下げていて、発表後は急上昇することになった。日中の株価変動は実に+558円である。また、10年物国債の金利水準もこれまでの過去最低の0.43%を下回るまでに急低下した。
今後、金融緩和効果がどのように浸透するのかという点では、不確実な部分が依然として大きい。仮に、クレジットリスクに影響を与えるルートがあるとすれば、不動産価格が上昇して、銀行の担保評価が緩和することを通じてであろう。一足飛びに、不動産価格の上昇へと金融緩和が向かうことはないだろうが、株価上昇が継続的に進めば、じわじわとそうした圧力も働いていくだろう。
一方で、そうした円安などの効果だけで、「2年程度の期間を念頭において、できるだけ早期に」消費者物価の前年比を2%上昇まで持ち上げることが可能かどうかには大きな疑問を抱く。黒田総裁が、わかりやすく波及経路を説明する姿勢自体は好意的に受け止めたいが、論理的に物価上昇を誘導できるかどうかは懐疑的にみている。
円安・株高を誘導できるのか
今後、株高・円安を進めるためには、2つのハードルがあるとみられている。ひとつは、物価上昇への期待感があまりに強くなってしまい、反動減が心配されることである。どうしても消費者物価が上昇するには時間がかかる。
今後の消費者物価指数の推移を予想すると、うまく行けば、2013年6月に伸び率がプラスに転じる可能性がある(図表5、発表日は2013年7月末)。それでも、2年程度で2%上昇率という目標からみれば、まだまだ十分な成果とはいえない。気の短い投資家たちが、金融緩和の効果をもっと気長に待つことができるであろうか。
もうひとつは、欧州各国の財政不安の再燃がユーロ安圧力になっている障害もある。2012年末から為替レートが急速に円安に向かった理由は、単にアベノミクスの成果と言い切る訳にはいかない。海外情勢の変化をうかがうと、米経済の好転がドル高を促したことと、イタリア・スペインの長期金利上昇が一服してユーロ高が進んだことがある。つまり、ドル高とユーロ高の裏返しとして、円安が進みやすかったのだ。ところが、ここ1、2か月は、イタリア問題とキプロスの混乱が不安定要因になって、一時のユーロ高がすっかりユーロ安に変わっている。円安の支えになってきたユーロ高の環境がなくなって、円安方向には振れにくくなる。
黒田総裁にとって円安が進むことは、2%のインフレ目標を達成するために、極めて重要な条件になっている。今後、その条件がうまく行くかに関しては、まだ見極めができない。黒田総裁のきめ細かな采配に注目していきたい。
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/kuma/pdf/k_1304b.pdf

 
総裁に岩田規久男氏と中曽宏氏が就任してから初めての金融政策決定会合が4月3〜4日に開催され、日本銀行は量的な面と質的な面の双方で(これまでと)「次元の違う金融緩和」を決定した。市場予想を大きく上回る大胆な内容であり、金融市場は株高・債券高(金利低下)・円安で迎えた。
2%を2年で達成との強いコミットメントを明示
今回の決定は多岐に渡るが、その中心に据えられているのは、「2%の『物価安定の目標』を2年程度の期間を念頭に置いて、早期に実現する」との強い誓いである。今回の公表文に盛り込まれた内容は、国民や金融市場の期待へ働きかけるという意味において極めて強いコミットメントとして位置づけられる。
そのコミットメントを空手形としないための裏付けも、従来とは「次元の違う」ものである。
操作目標をマネタリーベースに変更し、2年で倍増
第一に、日本銀行は金融市場調節の操作目標を従来の無担保コールから、日本銀行が供給する通貨量を示す「マネタリーベース1」へ変更し、その上でマネタリーベースが年間60〜70兆円増加するよう調節する。これは2012年末時点で138兆円のマネタリーベースを2013年末に200兆円、2014年末に270兆円とすることを意味する。つまり2年で倍増である。
長期国債買入の対象年限を伸ばし、かつ買入額拡大
第二に、マネタリーベース拡大の裏付けとして、資産買入を積極化する。これは、通貨供給量の増加に伴う日銀の負債拡大に対応する資産側の措置である。資産買入の主体となるのは長期国債であり、日銀の長期国債保有残高が年間50兆円拡大するよう買入を行う。こうした残高増加に対応するフローの買入額(償還分を差し引かないグロスベース)は7兆円強となる。
2014年から予定されていたオープンエンドの資産買入により2兆円、更に輪番オペで1.8兆円、合計3.8兆円の長期国債買入が計画されていた。新たなフローの買入額7兆円は、その従来額3.8兆円を大きく上回る次元の違う内容である。加えて、保有残高の積み増しを行うために、買入対象を従来の3年未満から全ゾーンの長期国債へ拡大した上で、買い入れ対象国債の平均残存期間を現状の3年弱から、国債発行残高の平均並みの7年程度(6〜8兆円)に長期化する。こうした買入金額の増額及び対象残存期間の長期化はイールドカーブをブルフラットニングする効果を有するだろう。

資産価格上昇へのアプローチ
第三に、株価及び不動産価格のプレミアムに働きかけるという目的で、ETF及びJ-REITの保有残高がそれぞれ年間1兆円、300億円増加するよう買入を行う。
金融政策を分かりやすく伝えることが効果を強める
こうした一連の措置は量的・質的な観点から極めて大胆なものだが、金融政策を分かりやすく伝え、国民期待に働きかけようとする意図も散りばめられている。まず、基金などに分かれることで、分かりにくかった金融緩和措置を統合し、マネタリーベースという一つの量的指標の目標に統合した。マネタリーベースはやや専門的な概念だが、通貨供給量と説明することで一般の国民にも分かりやすくなる。またバランスシートの資産・負債関係を踏まえれば、日銀の保有する資産量とも概ね等しい。前述したようにマネタリーベースは2012年末138兆円が2013年末200兆円、2014年末270兆円と増えるが、日銀保有資産も2012年末158兆円が2013年末220兆円、2014年末290兆円と拡大する。
また、金融市場に向けたメッセージも分かりやすい。国債買入対象年限の長期化は長期金利押し下げ、ETF及びJ-REITの購入積極化は明確な資産インフレのメッセージである。一般デフレ脱却のためには、資産デフレから脱却し資産価格上昇も必要との認識が示されている。
最後に、最も重要な点は、冒頭でも述べたが、黒田総裁が国会などで繰り返し主張してきた物価安定目標達成の目途2年を、決定会合の公表文に盛り込み、国民へインフレ2%を2年で達成という分かりやすいコミットメントを明確に示した点である。
2%達成の蓋然性が高まったとまでは言えないが、次元の違うかたちで近づいた
大胆なコミットメントと資産買入措置等は「高まりつつある予想物価上昇率を上昇させ、日本経済を、15年近く続いたデフレからの脱却に導く」ための方策である。物価安定目標の2%は、これまで日本経済が経験したことのない目標であり、達成に向けたハードルは極めて高い。今回の一連の方策を踏まえても、現時点で2年で2%の達成が視野に入った、もしくは達成の蓋然性が高まったと論じるのは困難であるが、従来の政策に比べて、達成可能性が「次元の違う」かたちで高まったことも間違いない。
但し、今回の措置には多少気になる点もある。全ゾーンを対象としての長期国債買入とETF及びJ-REITの買入は、金融資産のシフトを広範に促すものであり、上述の通り、明確な日銀(及び政府)からのメッセージと言える。但し、2%物価安定目標の達成を2年としつつ、買入対象国債の平均残存年限を7年としたことが整合的なのかどうかという点は、今後、論点になりうるかも知れない。また、今議論しても詮無い話ではあるが、今回の金融緩和が成功し、出口戦略を講じるに至った場合に、日銀が保有する国債ポートフォリオの縮小が大きな課題となるかも知れない。同様の課題は、現在オープンエンドの国債買入を行っているFedも抱えこむ可能性がある。
今後について、まず注目されるのは2年で2%の物価安定目標と今回の金融緩和を踏まえて、4月末の展望レポートで示される政策委員の経済見通しがどう変化するかである。なお、今回の政策決定は極めて大胆かつ包括的なものであり、当面は日銀が次の一手を講じることは、基本的に予想されない。次の一手があるとすれば、10月展望レポートにおける見通し変化を踏まえた上でとなるだろう。
http://www.itochu.co.jp/ja/business/economic_monitor/pdf/2013/20130404_2013-065_J_MPM-Apr2013.pdf


 

2013年4月5日
日本銀行
総 裁 記 者 会 見 要 旨
―― 2013年4月4日(木)
午後3時半から約60分
(問) まず、本日の決定のポイントについて、ご説明をお願いします。
(答) 日本銀行は、本日、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目
標」を、2 年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するため、「量
的・質的金融緩和」を導入することを決定しました。
具体的には、第1 に、量的な金融緩和を推進する観点から、金融市場
調節の操作目標を、従来の無担保コールレート・オーバーナイト物から、マネ
タリーベースに変更することとしました。その上で、「マネタリーベースが、
年間約60 兆から70 兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行
う」ことを決定しました。
第2 に、イールドカーブ全体の金利低下を促す観点から、長期国債の
保有残高が年間50 兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行うことを
決定しました。また、長期国債の買入れ対象を、40 年債を含む全ゾーンの国債
とした上で、買入れの平均残存期間を、現状の3 年弱から7 年程度と、国債発
行残高の平均並みの期間に延長することも併せて決定しました。
第3 に、資産価格のプレミアムに働きかける観点から、ETFおよび
J−REITの保有残高が、それぞれ年間1 兆円、年間300 億円に相当するペー
スで増加するよう買入れを行うこととしました。
第4 に、以上の措置で構成される「量的・質的金融緩和」は、2%の
「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時
点まで継続することとします。また、その際、経済・物価情勢について上下双
方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行います。
第5 に、これらの実施に伴い、「資産買入等の基金」は廃止し、いわ
ゆる「銀行券ルール」を一時停止することとしました。

以上の施策は、これまでとは次元の違う金融緩和です。
まず、第1 に、戦力の逐次投入をせずに、現時点で必要な政策を全て
講じたということです。
第2 に、政策を分かりやすく伝えるように、枠組みを見直したという
ことです。まず、2%の「物価安定の目標」を、2 年程度の期間を念頭に置いて、
できるだけ早期に実現することを明確にコミットし、そのための枠組みとして、
操作目標を「マネタリーベース」とする新しい金融調節方式を導入しました。
第3 に、量的にみても、質的にみても、これまでとは全く次元の違う
金融緩和を行うということです。まず、量の面では、先程申し上げたマネタリー
ベースでみると、2 年間で倍増することになります。最大のバランスシート項
目である長期国債の保有額も、2 倍以上になるように買入れを進めます。また、
質の面では、長期国債の買入れの平均残存期間を従来の2 倍以上に伸ばし、長
めの金利に働きかけるほか、ETFの保有残高を2 倍以上にするなど資産価格
のプレミアムへの働きかけも強化します。
私どもも、この先の長期国債の買入れやマネタリーベースの供給が、
市場参加者の常識を超える極めて巨額なものであることは十分に認識してい
ます。実際、長期国債のグロスの買入れ額は毎月7 兆円強となる見込みです。
その意味で、取引先金融機関の積極的な応札など、市場参加者の協力が欠かせ
ません。市場参加者との間では、金融市場調節や市場取引全般に関し、これま
で以上に密接な意見交換を行う場を設けることとしています。
次に、経済・物価情勢について説明します。わが国の経済は、「下げ
止まっており、持ち直しに向かう動きもみられている」と判断しています。先
行きについては、国内需要が各種経済対策の効果もあって底堅く推移し、米
国・中国等を中心に海外経済の成長率が次第に高まっていくことなどを背景に、
緩やかな回復経路に復していくと考えられます。今週初めに公表された短観で
も、全産業・全規模の業況感は、3 四半期振りに改善に転じ、先行きも改善が
続く見通しとなっています。また、ここ数か月、国際金融資本市場における投
資家のリスク回避姿勢の後退や、わが国の政策期待によって、金融市場の状況
は好転をしています。
物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、前年の耐久消
費財の動きの反動から、小幅のマイナスとなっていますが、予想物価上昇率の
上昇を示唆する指標もみられています。

日本銀行は、1 月の「共同声明」において、「物価安定の目標」の早
期実現を明確に約束しました。今回決定した「量的・質的金融緩和」は、これ
を裏打ちする施策として、長めの金利や資産価格などを通じた波及ルート――
長めの金利や資産価格のプレミアムへの働きかけ――、さらには、リスク資産
運用や貸出を増やすいわゆる「ポートフォリオ・リバランス効果」とともに、
市場・経済主体の期待を抜本的に転換させる効果も期待できると思います。こ
れらは、実体経済や金融市場に現れ始めた前向きの動きを後押しするとともに、
高まりつつある予想物価上昇率を上昇させて、日本経済を、15 年近く続いたデ
フレからの脱却に導くものと考えています。
最後になりましたが、本年4 月末に期限を迎える被災地金融機関を支
援するための資金供給については、今後の復興関連需要に対応する観点から、
期限を1 年間延長することとしました。
(問) ターゲットを金利からマネタリーベースに変えた狙いについて、もう
少しご説明下さい。また、銀行券ルールを一時停止しますが、これに代わるルー
ル作りを何か考えていらっしゃるのでしょうか。
(答) ご承知のように、従来は、無担保コールレート・オーバーナイト物を
金融市場調節の操作目標としていましたが、他方、資産買入等の基金で国債も
購入していました。現時点では、無担保コールレート・オーバーナイト物の金
利はほとんどゼロである中で、量的かつ質的に金融緩和を進めるという観点か
ら、最も端的にマネタリーベースを操作目標にして量的な緩和を進めるわけで
す。他方、質的な緩和の面では、先程申し上げた通り、長めの金利を引き下げ
るために長期国債の購入を大幅に拡大する、あるいはリスクプレミアムをさら
に圧縮する観点からETFやJ−REITの購入も倍増することも考えてい
ますので、金融市場調節の操作目標としては、マネタリーベースが一番適切だ
ろうと考えました。それから、マネタリーベースは、端的に言うと、日本銀行
の出す通貨、お金という意味でも分かりやすく、学界でも一番よく知られてい
る指標ではないかと思います。
銀行券ルールについては、現時点でも、いわゆる「輪番オペ」の分と
資産買入等の基金の分を合わせた長期国債の保有残高は、日本銀行券の発行残
高を超えています。今後、さらに長期国債を大量に買い入れる状況のもとでは、

銀行券ルールをそのまま踏襲していけないわけです。従って、当面、こういっ
た量的・質的な金融緩和を行い、2%の物価安定目標を達成するまで、国債保
有残高は非常に大きいままで推移しますので、銀行券ルールを一時的に停止す
るということです。
(問) 先程、「戦力の逐次投入はせず」とおっしゃいましたが、とりあえず、
現在考えられるメニューは、今回で全て出し尽くしたという感覚でよいので
しょうか。
(答) 今回、必要な措置は全て採ったと言ってよいと思います。もちろん、
経済も金融も生き物ですので、その時々の状況をみて、必要があれば躊躇なく
調整していきますが、2 年で2%の物価安定目標を達成するために、現時点で
必要な措置は全て決定したと考えています。実際の国債の買入れやマネタリー
べースの拡大については、日本銀行として、毎月毎月、オペレーションを続け
ていくことになります。
(問) 3 つ質問します。今回の政策変更で、今まで岩田副総裁が主張してこ
られた「マネタリーベースを増やすことで、BEIを含めて予想インフレ率を
上げていきましょう」という理屈に、全面的に乗られたとの理解でよいのか確
認させて下さい。
2 つ目は、これまでは3 か月に1 回、展望レポートという機会を通じ
て、日本銀行として物価の上昇程度を確認されていたと思いますが、今後は、
何を指標に、どういうfrequency(頻度)で政策効果をみていくのか教えて下
さい。
3 つ目は――細かい質問ですが――、現在、10 年超の超長期債を毎月
1,000 億円買っていますが、今後、どの程度増やすのか、決まっていたら教え
て下さい。
(答) 第1 点目ですが、先程申し上げた通り、今回の措置は、量的・質的な
金融緩和です。もちろん、「量的」な緩和という面では、バランスシートであ
れ、マネタリーベースであれ、当座預金であれ、全て大幅に拡大するわけです
し、金融市場調節の操作目標としてマネタリーベースを採っていきます。他方、

「質的」な緩和も大幅に進めます。これは、長期国債の全ゾーンを買入れ対象
とし、しかも、買入れの平均残存期間を現状の3 年弱から7 年程度へと倍以上
にする、さらにETFやJ−REITも大幅に買入れを拡大するということで、
今回の措置には量的・質的の両面があります。
第2 点目の展望レポートについてですが、従来同様、当然、政策委員
会で議論し、公表していくことになると思います。
第3 点目の10 年超の超長期国債のご質問ですが、先程申し上げた通
り、基本的には、全体の平均残存期間が7 年程度となるように買入れます。従っ
て、当然、10 年超の超長期国債もバランスを取った形で買入れていくことにな
ります。具体的な買入れ方については、執行部にある程度の自由裁量が許され
ているわけですが、あくまでも7 年程度という、かなり長い平均残存期間にな
るように買入れることになると思います。
(問) 2 点伺います。今回、新たにマネタリーベースを目標にしましたが、
かつての日銀が実施した量的緩和政策では、マネタリーベースではありません
が、その一部である当座預金残高を目標にして緩和策をやりました。しかし、
その結論として、ここに書いてあるようなポートフォリオ・リバランス効果は
なかったのではないかと結論付けているようです。けれども、今回、新たにこ
のようなことをやる、マネタリーベースを増やせばデフレから脱却できるとは、
どういう波及経路を考えているのか、前回は効果がなかったのに、なぜ今回は
効果があるのか、総裁のお考えをお伺いします。
次に、財政についてです。先般の国会で、総裁自身も、今の日本の財
政状況について、「持続不可能である」という発言をされています。その中で、
発行額の7 割もの国債を買うということ、しかも銀行券ルールもなくすと、財
政ファイナンス――事実上の直接引受け――ではないかという受止め方も出
てくると思うのですが、足許、そういった懸念がないにしても、今後出てくる
ことを考えないのか、通貨の信認を維持する立場としてのご発言をお願いしま
す。
(答) 第1 点については、かつて、当座預金残高を操作目標として量的緩和
が行われたわけですが、例えば、最近のFRBのいわゆる量的緩和をみても、
単に負債側の量あるいはバランスシートを拡大するだけではなく、その際に、

資産の中身、内容についても、質的な面で緩和効果がより出るように工夫され
ています。日本銀行でも、包括緩和の中で、量的な拡大もしてきましたし、質
的な面も努力してきたわけです。従って、量的な拡大は必要ですが、それだけ
で十分な効果があるわけではないので、それと同時に質的な面での緩和も、根
本的・抜本的に、いわば次元の違う程の質的な緩和も併せて行うこととしまし
た。量的・質的両面から効果を発揮できるように行うということです。
財政ファイナンス云々については、「『量的・質的金融緩和』の導入
について」という公表文にも記している通り、あくまで、2%の物価安定目標
を達成するために行う金融緩和の方法として、最もマーケットの広い、深い、
流動的な国債市場においてオペをするということであり、財政ファイナンスを
する意図は全くありません。そういう意味で、日本銀行が、自主的に、金融緩
和の方策として長期国債の買入れを行っていくということです。もとより、政
府において、国債の信認を確保する必要があるのは言うまでもありません。ご
承知の通り、1 月に公表した「共同声明」において、政府は、「日本銀行との
連携強化にあたり、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財
政構造を確立するための取組を着実に推進する」としているわけです。当然、
日本銀行としては、こうした取組みが進んでいくことを強く期待しています。
(問) 先程、「現時点で必要な措置は全て採った」とおっしゃいました。そ
の一方で、「経済は生き物なので、必要な情勢になれば、躊躇なく調整してい
く」とおっしゃいました。この「調整していく」という言葉を発する前に、そ
れこそ少し躊躇されたのではないかという感じもしたのですが。この2 年間で
2%の物価安定目標を実現できない、ないしこれから半年、1 年経つにつれ、実
現が難しいとなった時には、今回は「2 倍」というのが非常に大きなキーワー
ドになっていると思いますが、足りないということになれば、これらを3 倍、
4 倍というように増やしていくのかどうか、長期国債の保有残高や平均残高、
マネタリーベースを2 倍から3 倍、4 倍と増やしていくのかどうか、お聞かせ
下さい。
(答) この点については、公表文の中でもかなり明確に書いています。「『量
的・質的金融緩和』は、2%の『物価安定の目標』の実現を目指し、これを安
定的に持続するために必要な時点まで継続する。その際、経済・物価情勢につ

いて上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う」と書いています。
当然、経済情勢をみながらリスク要因を点検し、必要な調整があれば躊躇なく
行うことになると思います。
ただ、何度も申し上げますが、私どもとしては、現時点で考えられる
あらゆる政策を総動員して、2%の「物価安定の目標」について、2 年程度を念
頭に置いて実現する。そのために必要な措置は、ここに全て入っていると確信
していますし、実際に、2 年程度で物価安定目標を達成できるものと思ってい
ます。
(問) 波及経路について、もう少し噛み砕いてご説明をお願いします。資金
の量を増やしても、実際に民間の資金需要がなければ、なかなかデフレ脱却に
つながらないというのが、麻生大臣などもおっしゃっているように、1 つの説
になっています。これに「質的」な緩和を加えることで資金需要を高めるメカ
ニズム、効果があるというのは、どういうことなのか、噛み砕いて説明して頂
けますか。
(答) これは、先程も申し上げたように、長めの金利をさらに下げていく、
あるいは資産価格のプレミアムに働きかけていくことによって、より十分ある
いは迅速に資金需要に対応できるようになり、その結果、これまでよりも、当
然、資金需要が出てくるわけです。このような形で、かなり直接的にイールド
カーブ全体を下げ、リスクプレミアムを縮小していく効果があります。
また、こうしたことを通じ、金利が下がり、リスクプレミアムが下がっ
ていけば、投資家や金融機関、あるいは企業や個人などの主体は、他のポート
フォリオに資産をシフトしていくわけです。そのようなポートフォリオがシフ
トしていく先には、色々な資産、例えば、株や外債やその他たくさんあると思
いますし、一部の経済学者には、直接的に投資や消費に――特に投資に――シ
フトしていくという議論をする方もおられます。従って、ポートフォリオ・リ
バランス効果というのも、かなり期待できるのではないかと思います。
その上で、市場・経済主体の期待に影響が出てくると、物価がこれま
でよりも上がっていくという見方が出ます。今後、物価が2%程度上がってい
くと見込まれた場合には、設備投資や住宅投資、その他の投資の需要も増えて
くることになります。このように、複数のチャネルを通じて、経済の拡大、2%

へ向かっての物価の上昇ということが期待できると思います。
(問) 採り得る手段は全部採ったということですが、この半年くらいテーマ
だった付利金利の引下げについては、今回はテーマにはならなかったのでしょ
うか。
(答) 先程述べた3 つのチャネルを通じて、景気の拡大、2%へ向かっての
物価の上昇が達成できる、従って、付利金利を引き下げる必要はないという結
論に達したので、それについては何も触れていません。
(問) 2 点伺います。まず、2 年程度で2%という目標を達成するために今回
の措置を採った、すなわち、マネタリーベースと長期国債・ETFの保有額を
2 年で2 倍にするということですが、なぜ2 倍なのか、どういう根拠で2 倍に
することが必要と判断されたのか、分かりやすく説明して下さい。
もう1 点は、「次元の異なる金融政策」ということになると、これま
で我々が体験したことのない効果、または副作用が出てくる可能性があると思
います。例えば、いわゆる「悪い金利上昇」が起こったりすることも考えられ
ると思いますが、そのような副作用が出てきた場合、あるいはそのような可能
性について、総裁はどのようにご覧になっているのでしょうか。
(答) 2 年で2%の物価安定目標を達成するのは、相当容易ならざることで
あることは事実です。しかし、これまでのように、いわばincremental(漸進
的)に、少しずつ量的・質的な緩和を拡大するやり方では、このデフレから脱
却して2%の物価安定目標を達成することはできないと思います。そこで、現
在採り得るあらゆる手段を動員して、2 年程度でそれを実現するということで
す。その際、例えば、GDPギャップがどの程度縮小していく、あるいはポジ
ティブになる必要があるかとか、物価上昇期待がどの程度上昇していく必要が
あるかといったことなどは、色々な学者が分析し、あるいはモデルでの計算等
をしているようです。そういったものも考慮しながら、現在の経済状況を踏ま
え、2 年程度で2%の物価安定目標に近づけ、それを実現するためには、これ
より少ない額では不十分であり、ここまでやれば物価安定目標の達成が可能に
なるということで、この額としたわけです。

副作用やその他の効果についても、中央銀行として十分に議論はして
いますが、現時点で、長期金利が跳ねるとか、資産バブルが膨れ上がるといっ
た懸念は持っていません。当然のことながら、そのようなリスク、副作用も十
分考慮しながら金融緩和を進めていくわけですが、現時点でそのような重大な
副作用が直ちに現れる可能性は、極めて低いと思います。
(問) 国会でも、マネタリーベースのトランスミッション・メカニズムにつ
いておっしゃっており、スピルオーバーについてもお考えがあると思いますが、
具体的に、様々な資産マーケットへの波及効果等も当然念頭に置いていらっ
しゃるのでしょうか。
今回、マネタリーベースの残高を重視する枠組みに変更されたと思い
ますが、これは、岩田副総裁が以前からおっしゃっている「期待に働きかける
上で、マネタリーベースの残高が重要」というお考えを踏まえたものではない
かと思いますが、その点について、もう一度――復習のようで恐縮ですが――、
お願いします。
(答) 様々な資産市場があると思います。固定金利の国債、社債等の資産も
ありますし、株式市場や外貨建て資産の市場もあります。様々な市場があると
思いますが、マネタリーベースについては――何度も申し上げますが――、こ
れだけの国債あるいはリスク性資産の買入れという資産側の増加と見合って、
当然に負債側も増加していくわけです。そういう意味で、「量的」な緩和と「質
的」な緩和とを併せて行っていくわけです。その際の金融市場調節の操作目標
については、これまでのように、無担保コールレート・オーバーナイト物を操
作目標にする意味がもうあまりなくなってきているため、「量的」な目標をき
ちっと導入した方がよいわけです。その際の目標の候補としては、一番狭い意
味では、かつての量的緩和時のような「日銀当座預金」があり、広いものでは
「マネタリーベース」、さらには「バランスシート」があると思います。この
うち、経済学的な観点から言えば、やはり「マネタリーベース」が分かりやす
く、かつ金融市場調節の操作目標として適切な指標であろうと考えました。資
産総額であれ、当座預金残高であれ、期待に与える影響は一定程度あるとは思
いますが、マネタリーベースが、学界で一番エスタブリッシュされている量的
な指標であるということと、金融市場調節の操作目標という観点からマネタ
10
リーベースが一番適切ということで、このようにしたわけです。
いずれにせよ、重要なことは、「量的」にみて非常に大きく拡大する
という点と、イールドカーブを全体的に引き下げたり、リスクプレミアムを圧
縮するという「質的」な点を、両方併せて行うことに尽きると思います。
(問) 2 問お伺いします。ETFとJ−REITの額を増やしますが、この
増加額の根拠を教えて下さい。
また、市場参加者との意見交換の場を設けるということですが、具体
的にどういった形で行うのかについて、決まっている範囲で教えて下さい。
(答) ご承知のように、ETFは、株式をバックにしていますので、ある意
味では、潜在的にもの凄く巨大な市場です。そこで、今のリスクプレミアムの
状況をみると、まだまだ圧縮できる余地があるということで、ETFの保有額
を2 倍以上増やそうと決めたわけです。他方、J−REITは、まだマーケッ
トがそれほど大きくないこともあり、今の条件のもとでは、それほど拡大する
余地はないわけですが、いわば資産市場の典型である株式と不動産について、
リスクプレミアムを引き下げる余地があるものについては思い切った拡大を
したということです。「なぜ倍か」というご質問ですが、J−REITは、今
のままでは倍以上にするのは難しい一方、ETFは、市場規模を踏まえると、
まだ買い入れる余地がいくらでもあると思いますが、あくまでもリスクプレミ
アムを適切に圧縮するために、いわば必要にして十分な量を買い入れるという
ことで、2 倍と決めたわけです。
2 点目は、市場参加者との対話についてです。これは、従来から金融
市場局を中心に色々な形でやっているわけですが、今回の「量的・質的緩和」
が、これまでと次元の違う規模であり質であるため、スムーズにオペレーショ
ンを行うには、かなり幅広い関係者から、単にオペの状況だけでなく、もう少
し広く金融資本市場の動向等も含めて対話をしていく必要があるだろうとい
うことです。そういう形で、市場関係者の協力を得る必要もあるし、また、市
場に無理なプレッシャーを与えることなくスムーズに「量的・質的緩和」をす
る必要があるということで、かなり幅広い相手と、幅広いイシューについて、
より高いレベルで対話することを考えています。
11
(問) 1 点目は、本日、一段と長期金利が下がっているので念のため伺いま
す。総裁が資産バブルの懸念はないとおっしゃる時には、国債相場についても、
バブルの懸念が生じている、あるいは既にバブルになっているというお考えは
ないのかどうか、教えて下さい。
2 点目は、多少技術的な話であるものの、マーケットの関心が強いイ
シューですので敢えて伺います。今回、ETFの買入れ額を倍増したことにつ
いて、従来の買入れ方式を維持すると枠が消化し切れないのではないかという
見方があります。これまで、日銀は、どういう観点からETFを買い入れてい
るかというルールを公表していませんが、実態としては、午前中の株価指数が
1%超下落すると日銀が午後に買い入れる、ということが知れ渡っていて、そ
れがマーケットの期待形成に影響しています。ですので、敢えて伺いますが、
そういった従来のルールを見直し、いわば緩和して、従来より買いやすくする
という考えはあるのか、教えて下さい。
(答) 1 点目について、私は、特に国債バブルが生じているとは思っていま
せん。イールドカーブ全体にわたって引き下げようというのが、まさにこの「量
的・質的金融政策」の中間的な目標ですから、当然のことながら、価格は上が
り金利は下がると思います。それは必要なことであり、かつバブルであるとは
思っていません。
第2 のご質問は、ETFについて、どういうストラテジーで買入れを
行うかという議論だと思います。これは、執行部の専門家に任されているとこ
ろですが、やはり効果的にリスクプレミアムを圧縮する、そのためにはどうい
うストラテジーがいいか、さらに執行部でよく検討することになると思います。
倍増あるいは倍以上にすることで買えなくなるといった心配はしていません
が、より効果的にリスクプレミアムを下げていくにはどうしたらよいかは、執
行部がよく考えることと思います。
(問) 先程、総裁は「資産バブルの兆候など、そういう懸念はない」とおっ
しゃいましたが、これからそういう懸念をどのようにウォッチしていこうとお
考えですか。総裁が、あまり「ない、ない」と言っていると、なんだか「見た
くない」というような感じがしないでもないです。日本銀行は、これまでの緩
和局面でいつも、指標が出ているのに見逃して大きな失敗を繰り返してきたわ
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けですから、あまり「ない」ということを強調されると、またどうなのかな、
という感じもするので、過去の教訓をどのように踏まえ、そのような懸念を
ウォッチされているのか、その基本的な姿勢をお伺いしたいと思います。
(答) 日本銀行も、他の中央銀行と同じく、その使命・目標は「物価の安定」
ですが、当然ながら、資産価格や賃金、雇用といった経済全体の動向を十分に
注視しながら、物価安定目標を達成、あるいは、持続するよう努力することに
尽きるわけで、当然、資産価格の状況は十分注視していきたいと思っています。
過去、特に1980 年代後半において、資産バブルが生じたことは紛れもない事
実であり、その背景には金融行政の観点の問題もあります。80 年代前半に土地
の価格が上昇し――株は80 年代後半に上昇しました――、土地制度、土地規
制の問題もあったと思います。それに加え、80 年代後半の金融政策で緩和が行
き過ぎた面もあったと思います。従って、そうした教訓は十分に頭に入れなが
ら、資産価格の動向はよく注視していきたいと思っています。
(問) 金融政策決定会合の議論の中身は明らかにしないと思いますが、今回、
総裁が初めて出られて、結果をみると、非常に色々なことが全会一致で決まり、
個人的にはこんなにスムーズにいくのかと驚きました。総裁からみて、今回の
会合で、他の審議委員を含めて物価目標に向けた問題意識というか、これまで
の政策に対する意識変化が何か起きたということなのか、初の会合に出られた
感想を含め、可能な範囲でご意見を伺わせて下さい。
(答) 今回の決定会合は、私にとって最初の決定会合ですので、例えば、そ
の前の2 月あるいは1 月の状況は存じません。ただ、やはり、日本銀行は、
1 月の決定会合で2%の物価安定目標を決定し、これをできるだけ早期に実現
することをコミットしたわけです。その際には、一部の委員が反対したと聞い
ていますが、2%の物価安定目標を早期に実現することは、いわば機関決定、
政策委員会として決めたことです。それを早期に実現するという観点から、全
ての委員が議論し、そうした中で、いわばincremental(漸進的)にやってい
くのではなく、必要な措置を全て今回決定する――実際のオペレーションは毎
月毎月やっていくわけですが――こととしました。そういうことを議論し、皆
の賛同を得たということではないかと私は思っています。繰り返しになります
13
が、私は、今回よりも前の決定会合には参加していませんので、それとの比較
はできません。
(問) 就任会見で同様の質問が出ましたが、改めてお伺いします。安倍総理
が、4 月2 日の予算委員会で、日銀法改正について、「日銀は2 年という期間
や責任にコミットがあるので、今は日銀に任せるが、法改正は常に視野に入れ
ていきたい」と発言されました。本日、具体的な政策を示されたわけですが、
このことを踏まえ、総裁は、日銀法改正について、実際にどのようにお考えな
のか、改めてご所見をお願いします。
(答) 日銀法改正については、政府、国会が決めることです。私どもとして
は、現行日銀法を前提として、そのもとで、今申し上げたような決定を行い、
2%の物価安定目標に向け、2 年程度を念頭に置いて必要な措置を全て採ること
を決めたということに尽きます。法律改正云々については、特に私から申し上
げることはありません。
(問) 量的・質的に大胆な緩和であると思いますが、通貨のプロである財務
官もやっておられたので、一般的に言って、この緩和が円安につながるのかど
うか、どうお考えなのか伺います。
(答) 為替について具体的に申し上げることは、中央銀行のマンデートを超
えているので申し上げかねます。一般論として、他の事情が等しければ、金融
を大幅に緩和した国の為替レートが下落する傾向があることはその通りだと
思いますが、それ以上に、何か具体的に為替の動向について申し上げることは
控えたいと思います。
(問) 期待に働きかけることが大事だと思っていますが、その期待をみる指
標を、新しく整備されるご予定はありますか。
また、当座預金が0.1%の金利である一方、2 年物の国債は0.06%で
あり、国債を買うよりも当座預金に入れておいた方が利回りがよいので、金融
機関は貸さないのではないかとの話があります。この先、量を拡大することで、
価格が上がり金利が下がると思いますが、当座預金の付利と国債利回りの差は、
14
どんな感じになるのでしょうか。
(答) 第1 点の「期待」についてです。「期待」といった場合、「期待物価
上昇率」もあると思いますし、あるいは、様々な金融資産の価格も期待を反映
して動いているので、期待の状況に関係していると思います。狭い意味で「期
待物価上昇率」についていうと、ご承知のように物価連動債との関係からブレ
イク・イーブン・インフレ率(BEI)が計算でき、それも1 つの指標になる
と思います。その指標は、確か、最近はかなり上昇しており、1.4%ぐらいに
なっていたと思います。その他、様々な企業、消費者あるいはエコノミスト等
を対象としたアンケート調査で物価上昇期待の動向をみることもできますが、
それらでみても、一般的に上がってきていると思います。
次に、金利、特に短期の国債の金利についてです。今回の措置以前に、
既にほとんどゼロになっており、そうした状態は今後も続くと思います。一方
で、付利の問題については、先程申し上げた通り、全面的な量的・質的金融緩
和の中で、様々な波及経路を通じて、経済・物価に影響を与え得るという考え
方であるため、現在付利を動かすという考えはありません。
(問) 2 点お伺いします。1 点目は、先程、長期国債の新規発行に関して、
日本銀行の購入額が7 割になるという話がありましたが、7 割を日本銀行が購
入するというのは、まさに「池の中の鯨」のような状況になってしまうと思い
ます。市場の金利形成、価格形成についてどう考えたらよいのか、お考えをお
聞かせ下さい。
2 点目は、日本銀行の国債やリスク性資産の保有が増えることに伴い、
バリューアットリスクというか、日本銀行が金利リスクおよび市場リスクに晒
されることについてです。仮に、リスクが増加して損失が増えた場合には、例
えば国庫納付金を納められないなど、いくつかの問題が生じると思います。そ
の際、例えば、政府との間で損失補填の条項を結ぶというようなお考えはある
のでしょうか。
(答) まず1 点目ですが、先程申し上げた「7 割」というのは、国債残高を
毎年約50 兆円ずつ増やしていく際に、グロスでみた毎月の買入れが7 兆円強
になり、それが、毎月の国債発行額の7 割近くになるということです。国債の
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価格形成に一番重要なのは、おそらくストックの話だと思います。ストックで
は、7 割などということには到底なりません。従って、市場に大きな歪みを生
じることにはならないと思います。ちなみに、これまでのいわゆる資産買入等
の基金では、残存期間1〜3 年の国債を買ってきましたが、その際も、実は、
グロスの買入れ額は発行額の7 割に達していました。今回やろうとしているこ
とは、いわば全てのゾーンに拡げてやっていこうということであって、これま
で以上に市場金利の形成をそれぞれのゾーンでやり難くすることは意図して
いません。
2 点目のリスクの問題は、当然、中央銀行として念頭に置いておかな
ければならないことですが、リスクが増えるから必要な金融緩和はしないとい
うことではなく、リスクを念頭に置きつつ必要な金融緩和は行うということで
あるべきだと思っています。いわゆる「出口」の際、色々な長期国債を持って
いた場合にリスクがあるという問題はご指摘の通りですが、具体的に、それが
直ちに日本銀行の損失になるということではないと思います。記者の方がおっ
しゃったように、国庫納付金がどういうレベルになるかには影響があるかと思
います。もちろん、長期国債の価格が下落するとか、長期国債の金利が上がる
ことは、リスクとしてはあるわけですが、それが直ちに日本銀行の損失につな
がるということではないわけです。
(問) 時間軸について伺います。今回、時間軸について、「2%の物価安定
の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続す
る」とあります。これは、安定的に持続することが見通せれば解除できるとい
う意味なのか、教えて下さい。
(答) 公表文にある通り、両面あると思います。ある場合には、物価上昇率
が一時的に2%になっても、まだ安定的に物価安定目標が持続するという状況
になければ緩和を続けるわけです。一方、物価上昇率が2%になっていなくて
も、既に2%の物価安定目標が持続的に維持できる状況になっていれば、それ
以上の緩和は必要ないかもしれません。いずれにせよ、公表文にあるように、
物価と経済の動向について、上下双方向のリスク要因を点検しながら、調整が
あり得るということです。
16
(問) 黒田総裁にとって、今回初めての金融緩和ですが、自己評価すると100
点満点中何点なのか、聞かせて下さい。
また、「次元の違う金融緩和」とおっしゃっていますが、総裁のイメー
ジの中で、これまでの金融緩和は何次元で、これからは何次元なのか、イメー
ジで結構ですので聞かせて頂けますでしょうか。
(答) まず1 点目ですが、評価というのは自分でするものではなく、他人あ
るいは市場でされるものだと思います。
それから、「次元」については、マネタリーベース――総資産でも、
当座預金でも同じような動きですが――でみて、これまで行われてきた緩和と
は次元の違う、大幅な量的緩和を行うわけで、さらに、質的にもそういった面
があると思っています。
(問) 今おっしゃられた「次元の違う緩和」ですが、今まで日銀は、色々な
形で金融緩和をやってきましたが、なぜ、黒田総裁のもとで、次元の違う色々
なメニューができることになったのでしょうか。逆に言うと、今まで、なぜデ
フレから脱却できずに来たのか、その辺りのお考えをお聞かせ下さい。
(答) 何度も申し上げますが、いわばincremental(漸進的)にやっていく
のではなく、2%の物価安定目標を達成するために必要なことを全て、今、決
定したという点が、ある意味で新しい要素だと思いますが、2%の物価安定目
標は、1 月の決定会合で既に決められており、しかも、それをできるだけ早期
に実現することになっています。それを引き継ぎつつ、2%の物価安定目標を
早期に実現するために、具体的に、量的・質的にこういった次元の異なる政策
を、9 人の政策委員が全員一致で決めたのは新しいところだと思います。
(問) 今回、会見でパネルを用いるなど、かなり周到に色々な種類とパター
ンを用意されているなという印象を受けますが、これはどなたの発案で、総裁
はどういう目的でこれを使おうとしておられるのでしょうか。
(答) 私は、以前から、金融政策はコミットメントが非常に大事であるし、
そのコミットメントが市場関係者のみならず経済主体に分かりやすく伝わっ
17
て期待を変えることが非常に重要だと申し上げてきました。そういった考え方
に基づいて、ポイントをできるだけ絞り、このようなパネルを使ってご説明し
ています。アイデアがどこからきたかというと、それはスタッフからですが、
こういう形でやろうというのは、私が言ったわけです。
(問) 就任会見の時に、岩田副総裁から、「期待が変わってお金が動き出し
ても貸出は増えない。それは、手許にお金がたくさんあるためで、実際、景気
が拡大した時でも貸出は減っている」とのお話がありました。今回、イールド
カーブを下げるという意味で、ある程度貸出をやりやすくなるという影響もあ
ると思いますが、黒田総裁は、これを集中的にやることで、この期間で貸出が
動くという期待をお持ちなのでしょうか。
(答) 最近の短観、あるいは色々な経済指標でみても、貸出については、や
や動きが出てきているとは思います。色々な状況の中で、貸出が先行するのか、
資産効果が先行するのか、あるいは期待が先行するのかという議論はあると思
います。現時点では、貸出が増えつつある動きがみられることは事実ですが、
非常に効いているようにみえるのは──短観でもその他の指標でも分かるよ
うに──、資産効果、あるいは期待の効果から消費マインド、企業マインドが
相当好転してきている形で効いてきていると思います。しかし、貸出も、景気
が拡大し物価が上昇する中では、当然に増えていくと思います。
(問) 今回の公表文の3 頁で「予想物価上昇率の上昇を示唆する指標がみら
れる」とあります。先程、BEIのお話がありましたが、BEI以外に、具体
的に「この指標がこう変わっているのが期待の変化の現れだ」とか、総裁が実
際に最近の指標をみて「これは」と思われた指標はありますか。
(答) それは、様々なアンケート調査やその他の指標がありますし、短観に
も入っています。
以 上
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1304a.pdf


07. 2013年4月06日 15:21:19 : xEBOc6ttRg
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/shima/pdf/s_1304e.pdf 

「期待」に働きかけるだけでなく「協力」も働きかける異次元緩和
2013年4月4日(木)
第一生命経済研究所 経済調査部
副主任エコノミスト 藤代 宏一

【海外株式市場】 〜ADP、ISM非製ともにネガティブ〜

3日の米国株式市場、NYダウ平均株価は反落。前日比▲111.66jの14550.35jで取引を終了。軟調な欧
州株式市場の展開を引き継ぐ中、米経済指標が嫌気された。
ADP雇用統計は民間非農業部門雇用者数が前月比+
15.8万人と市場予想(20.0万人)を下回った(図)。前
月分の上方改定(19.8万人→23.7万人)こそ好感できる
が、週末発表の雇用統計に警戒感を抱かせる内容であっ
た。

ISM非製造業景況指数は54.4と市場予想(55.5)を
下回ると共に前月(56.0)から悪化。新規受注(58.2→
54.6)、雇用(57.2→53.3)が大幅低下しており、ヘッ
ドラインの悪化以上にネガティブ。

<主要株価指数>
終値前日比
日経平均株価12634.54 円272.34 円
TOPIX 1037.76 pt 27.33 pt
NYダウ14,550.35 j▲111.66 j
DAX(独) 7,874.75 pt ▲69.12 pt
FT100(英) 6,420.28 pt ▲70.38 pt
CAC(仏) 3,754.96 pt ▲50.41 pt
上海総合※ 
<外国為替>※
95.46 円2.42 円
122.06 円2.54 円
1.2787 j▲ 0.006 j
<長期金利>※
日本0.460 % ▲ 0.090 %
アメリカ1.811 % ▲ 0.048 %
イギリス1.755 % ▲ 0.022 %
ドイツ1.288 % ▲ 0.019 %
フランス1.988 % ▲ 0.026 %
イタリア4.589 % ▲ 0.032 %
スペイン4.911 % ▲ 0.031 %
オーストラリア3.402 % 0.003 %
<商品>
NY原油94.45 j▲ 2.74 j
NY金1552.80 j▲ 22.30 j
※は右上記載時刻における直近値。図中の点線は前日終値。
(出所)Bloomberg

2
【外国為替相場・債券市場】 〜遠のく2%〜

3-4日の外国為替市場では、市場予想を下回る米経済指標が嫌気されドル安主導で円とユーロが上昇。米
10年債利回りが年初からの上昇を帳消しにするレベル(一時1.8%を割れ)まで低下するなど、安全資産の需
要が強いことを改めて感じさせる動きであった(図)。年初からの米金利上昇は米経済回復期待と相俟って
高まるQE縮小観測に基づくものであったが、足元の雇用情勢を中心とする米経済はQE縮小を“意識する
には十分だが、織り込むには不十分”といったところだろ
う。一方で、米経済は“減速”や“踊り場”という言葉が
馴染むほど悲観的な状況には無く、現時点においては飽く
まで“モメンタム鈍化の兆し”程度の軽傷に留まっている
と判断される。一段の米金利低下が正当化されるほど米経
済が減速する状況に陥ることも考えにくいことから、金利
の低下余地もまた限定的だろう。ドル円については、米金
利上昇という円安ドライバーを失うリスクがあるものの、
上述のとおり米金利低下余地も少ないことから、円高圧力
もまた限定的になる可能性が高い。

4日の日本時間では、金融政策決定会合の結果を受けて円が急落。ネガティブサプライズを覚悟していた
市場参加者が相当数存在した、ということであろう。

【国内株式市場】 〜異次元緩和に対する異次元の初期反応〜

4日の東京株式市場、日経平均株価は続伸。前日比+272.34円の12634.54円で取引を終了。前日の欧州株
式市場が総じてリスクオフに傾斜した流れを引き継ぐ中、金融政策決定会合の結果を受けて、一挙に買い優
勢に転じた。このところ市場予想下ぶれが相次ぐ米経済指標は気掛かりだが、「異次元緩和」を前にして
“買い遅れ”を懸念した投資家の買いが殺到した模様である。日経平均株価が発表前の約12165円から終値の
12634円まで500円近く上昇。初期反応も異次元であった。
【注目点】 〜「協力」まで働きかける完全なる異次元緩和〜
新生日銀の決定は、筆者を含む市場関係者の予想をあらゆる点において完全に上回る異次元の内容であっ
た。また、異次元の緩和策を短期間で纏め上げたことに加え、審議委員の合意を形成するまでに導いたこと
もサプライズだ。更には声明文の至るところに変更が施され、日銀の意図や狙いを「わかりやすく」伝えて
いる点も好感が持てる。特に目を引いたのが、「長めの金利や資産価格などを通じた波及ルートに加え、市
場や経済主体の期待を抜本的に転化させる効果が期待できる」と明記し、資産価格の梃入れに本腰を入れ始
めていることだ。FRBの模倣と言ってしまえばそれまでだが、黒田総裁ならびに岩田副総裁は市場との対
話にかなり重点を置いている模様で、株式・不動産など資産価格の上昇無くしてデフレ脱却は有り得ないと
の認識を持っているようだ。希望的観測に過ぎないが、今後は市場で日銀の求心力が高まるのではないか。
一方で、付利撤廃を見送るなど、市場の期待に安々と応じない慎重な面もある。マネタリーベースを積み
上げるには金融機関がオペに応じることが不可欠になるが、付利撤廃により、金融機関がオペに応じるイン
センティブが低下することで、マネタリーベースが意図したように積み上がらないリスクを警戒しているよ
うだ。声明文にも「(マネタリーベース積上げには)金融機関の協力が欠かせない」と明記し、金融機関に
オペ参加を促すことで民間に協力を求めた。その発想もまた異次元である。

【NYダウ・日経平均株価予想レンジ(5営業日内)】
NYダウ 14250〜14800j 日経平均株価 12200〜12900円 ドル円 92.5〜97.5円


08. 2013年4月09日 18:27:28 : xEBOc6ttRg
焦点:黒田日銀が引き起こしかねない「逆運用部ショック」
2013年 04月 9日 16:53

トップニュース
インタビュー:消費増税先送りも選択肢、ドル100円程度は「妥当」=浜田参与
インタビュー:日銀緩和は事実上の資産バブル宣言=加藤・東短リサーチ社長
インタビュー:熱狂は失敗へ、財政ファイナンスに警鐘=与謝野元経済財政相
ドル99円前半、タイバーツは日本マネー期待で16年ぶり高値

[東京 9日 ロイター] 黒田日銀がマーケットとの対話力を問われている。長期国債の7割を吸い上げる異次元緩和は、需給を過度に締め上げる「逆・運用部ショック」とも言える危機を引き起こしかねないからだ。

国債をいつ買うかの具体的な日程開示や、買い取り手法を巡る市場からの要望にどう耳を傾けるかは、今回の政策を成功させられるかどうかの一里塚になる。

「いっそのことオペの日取りを発表したらどうか」。ある大手銀行幹部はこう漏らす。異次元緩和へのシフトで長期国債の購入額は月額4兆円から7.5兆円に増やされたが、実際にいつ買い取られるかは市場関係者には分からない。

これまでの輪番オペでも購入日程そのものは公表されていなかったが、「国債入札の多い火曜や木曜日には通告しないなどの『暗黙のルール』が存在し、オペは、あうんの呼吸で打たれていた」(邦銀)ほか、万が一、足並みが乱れても額が今ほど大きくはなかったため、その影響は限定的だった。だが、日銀による大量購入時代に入り、事情は変わった。

財務省が毎月発行する利付国債は10兆円余り。日銀はこの7割を吸い上げるのに1回のオペで、1日1兆円超を購入する。

実際、日銀が異次元緩和を発表してから市場でオペを巡る思惑が交錯し、先物相場は5日から2営業日連続して取引停止に追い込まれた。「大蔵省(当時)が資金運用部の国債買い入れを停止を表明した1998年の『資金運用部ショック』とは逆に、急激な日銀の国債購入は需給をひっ迫させ、深刻な流動性の低下を引き起こしかねない。(オペがいつ通告されるのか)せめて心の準備は必要」と、前出の銀行幹部は言う。

流動性が低下すれば、需給バランスからは金利低下圧力となるが、一方で流動性プレミアムの増大が金利上昇圧力につながり、相場が乱高下するリスクを大きく高めかねない。

別の市場関係者は「吸い上げられる7割の国債が(2年物から40年物にかけて)すべてその割合に均せるわけではない。各年限によって投資家の需要も違えば、そもそもの流動性や発行量も違う異なるため、今後の円滑な国債購入には市場との対話が不可欠」と話す。

日銀は、利付国債を償還までが1年以下、1年超5年以下、5年超10年以下、10年超に区分けし、それぞれに買い取る金額についてはすでに公表した。しかし、参加者からは「1年超5年以下の配分をもっと増やしたらどうか」(外銀)、「マイナス金利での買い取りは許容しない方がいい」(外資系証券)など、早くもファインチューニングを求める声が出ている。

「日銀が対話に失敗し、投資家から『それなら国債投資から手を引く』とそっぽを向かれたら、残る3割の国債は証券会社が不良在庫として抱え込むか、巡りめぐって日銀がすべての国債を買わざるをえなくなる。その狙いとは裏腹に政策効果は泡と消える」と、前出の関係者は言う。そうなる前に打開策を打ち出せるかが日銀には問われている。

(ロイターニュース 山口貴也 編集:伊賀大記)


 

インタビュー:熱狂は失敗へ、財政ファイナンスに警鐘=与謝野元経済財政相
2013年 04月 9日 16:59 JST
[東京 9日 ロイター] 与謝野馨・元経済財政相は、ロイターのインタビューに応じ、2%の物価目標を2年で達成することを大命題として黒田日銀新体制が打ち出した「異次元」緩和策に対し、「財政ファイナンス」であることは明らかで、健全な金融財政政策とは言えないと警告した。

期待に働きかけることで円安・株高が進行しマインドが好転しているが、国民が大熱狂する政策はたいてい失敗に終わると警鐘を鳴らした。

デフレ脱却のための金融政策の柱に2%の物価目標を掲げる「アベノミクス」について、与謝野氏は「インフレを政治家が政策手段として使ってはいけない。アベノミクスはインフレーションをあてにした政策論で、私は批判的だ」と述べた。物価目標達成の可能性については「日銀が物価を動かすことができるかというと、そんな道具は持っていない。能力も持っていない。そういう人に物価目標を作らせるのは無責任極まりない」と批判した。

異次元緩和を好感して、金融市場では連日のように円安と株高が進行。マインド好転による経済の好循環への端緒となっている。

しかし、与謝野氏は「日本経済が本当によくなるためにはやはり、人が良く働き、新しい技術を作り、海外でモノを売る努力を一生懸命するという、従来と変わらない努力が必要なのであって、レーガノミクスも失敗、サッチャリズムも失敗した。問題は政策が長い期間の評価に耐え得るかということにかかっている」と指摘。「ここ一週間、株が上がって、円が安くなったからといって、皆が喜んで、お祭りしているのは、この政策がダメだということを証明しているようなものだ」と皮肉った。

続けて「ギリシャ、ローマの時代から、国民が大熱狂する政策は大抵失敗に終わっている」と指摘。円安による政策効果については「日本経済にそんなに恩恵を与えるわけではない」との見方を示した。2%の物価目標については「2%も物価が上がれば国民は怒り、(利払い費の膨張で)財政の大赤字がどんどんどんどん増えていく」とし、取るべき手法ではないと批判した。

とりわけ、日銀による大量の国債買い入れについて、政府と日銀が「これは財政ファイナンスではない」と言っても、「財政ファイナンスであるということは明らかだ。決して健全な金融財政政策とは言えない」と指摘。「長期金利は理由もなくある日突然上がり始める。誰も打つ手がない。そういう性質のものだ」と懸念を示した。

*インタビューは8日に行った。

(ロイターニュース 吉川裕子;編集 石田仁志)


 


インタビュー:日銀緩和は事実上の資産バブル宣言=加藤・東短リサーチ社長
2013年 04月 9日 17:37 JST

[東京 9日 ロイター] 東短リサーチ社長でチーフエコノミストの加藤出氏は、日銀が2年で2%の物価安定目標を達成するために導入した「量的・質的金融緩和」策について、中央銀行が資産バブルを起こそうとすることを明確に事実上宣言したケースだと指摘。フィスカルドミナンス(財政による支配)の問題に直面する可能性があるほか、出口政策の難しさがリスクになるとの懸念を示した。

また、日銀が大量の国債を買うことで国債市場の機能が壊れていくため、財政赤字に対する市場からのウォーニング(警告)が出にくくなると指摘した。

インタビューの概要は以下のとおり。

──日銀が2年で2%の達成を目指して導入した今回の緩和策をどうみるか。

「オーソドックスに需給ギャップを埋めて2年以内に2%に持っていくことは事実上不可能と日銀もわかっているので、いかに期待に働きかけるかということだろう。フィリップス曲線の傾きを立てて、成長をやや加速するとインフレが従来より上がりやすくなるという環境を作りたいということだと思うが、結局は資産バブル、円安バブルを起こすということが明確なメッセージだと思う。かつて日本で中央銀行が資産バブルを起こそうとすることを明確に事実上宣言したケースはなかったのではないか」

「先行き仮に2%に達したら、そこから抜け出すことが非常に困難な政策だと思う。インフレ目標が2%とセットされているから(緩和を)やめられるんだという楽観的な見方は危険で、先行きの出口政策への準備は表には出さなくとも水面下では検討すべきだと思う」

──米連邦準備理事会(FRB)と比べてどうか。

「(FRBの緩和策に)今回で追いついたかあるいは追い抜いたといえるだろう。出口政策の困難さという点では上回ったのではないか。金融危機対応のQE1を除けば、FRBは直接リスク性資産は買っていない。MBSは買っているが、フレディマックとファニーメイのギャランティがあるもので、一応間接的な政府保証がある」

──副作用やリスクをどうみるか。

「フィスカルドミナンスという問題に直面していくだろう。国債の発行量の7割を購入するというのは強烈だ。日銀が国債を買うことで需給に見合って長期金利が低下するが、そういう状態が長期化し、人為的に国債金利を低く抑えつけていることに慣れてしまうと、モラルハザードが起きる確率がかなりある。今は世界経済が上向きだが、これが萎(しぼ)んでしまうと財政出動の議論が出てきやすくなり、日銀が買っているから大丈夫となって財政赤字が膨らみやすい」

「将来、(緩和政策を)正常化する際に、本来は日銀が国債を売却する必要があるが、その手前の議論として国債買いオペをスムーズに減らせるかというところで大きなハードルが出てくるだろう。オペを減らし、長期金利が上がりそうな時に『これは必要な引き締め措置だ』と言えるか。2%になっても『安定的に持続的に必要な時点まで』というコミットメントがあるので、なかなか難しいのではないか」

──2年で2%という目標は達成できるか。

「まだ1年から2年先の話だが、おそらくどこかで無理して2%はやらなくていいという議論に変わってくるのではないか。究極的には景気を良くしたいという議論なので、あらゆる歪みを乗り越えて2%にすべしという議論は、よく考えると、とくにそれを望んでいる国民はいないという話になるだろう」

「消費税率の引き上げを急ぐと消費の腰を折るという議論もあるが、日銀がこれだけ大量に国債を購入すると、財政ファイナンスとみられないようにする必要がある。政府がある程度、財政再建に向かって動いているというポーズは必要。政府は財政にモラルハザードを起こさないという意思を見せ続ける必要がある」

──日銀はあれだけの国債を買えるのか。

「国債市場を壊していくのだろう。そこはやはり問題だ。これまでは日本政府の大量国債発行を消化できるように日本の国債市場、レポ市場の機能を徐々に高めてきた。その機能を今中銀が壊している。これが長期化すると、市場の縮小とともに市場機能も後退するので、元に戻そうと思ってもすぐに戻せなくなる」

──前回の量的緩和との違い。

「前回は日銀が購入する資産は基本的に短期だった。1年以内の資産が中心で、長期国債買い入れも増やしたが、基本的な部分は短期資産の積み上げで、それによる期待への働きかけを狙ったが、限界があった。中銀の資産にどのようなものを入れるか。構成要素の変化という意味での質的緩和を伴わないとポートフォリオリバランスを起こさせにくいということだと思う。単にマネタリーベースを増やすだけでは前回もやったけどだめだったと黒田総裁は思っているのだろう」

「福井総裁の時代は長期国債の買い入れは増やさなかった。短期市場の機能は悪化させたものの、長いところは市場の期待を許容していた。今回はそういう意味で、財政赤字に対する市場のウォーニング、アラートが出にくい政策となる」

──日銀の信頼性、独立性はどう変わるか。

「先進国の中銀の中では日銀の独立性がいま一番低い状態になっていると思う。ただ、黒田総裁が今回こういった政策をうったことで、政府から信認を得て、そのリソースが将来の出口政策に使えればいい」

「2年でもし2%達成したら、日銀は賞賛され、ある程度出口政策をやれる政治的資源を得ている可能性がある」

──今回の政策は何をもって成功と判断すればいいか。

「基本的には一般の人々の景気への感覚というのは給料が増える、あるいは家族が雇用されたというところで実感される。賃金・雇用に表れてくれば必ずしも2%にいかなくても成功したと言われるだろう」

*インタビューは8日に実施しました。

(ロイターニュース 石田仁志、木原麗花;編集 吉瀬邦彦) 

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インタビュー:消費増税先送りも選択肢、ドル100円程度は「妥当」=浜田参与
2013年 04月 9日 17:40 JST
[東京 9日 ロイター] 安倍晋三首相のブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一米エール大名誉教授は9日、ロイターとのインタビューに応じ、日銀の黒田東彦新体制が打ち出した大胆な金融緩和政策などを受けて景気に明るい兆しが見え始めている中、その動きを確実なものにするためにも、政府が2014年4月から予定している消費税率の引き上げを1年先送りすることも選択肢との認識を示した。

黒田日銀による大規模緩和を受けて、為替市場では円安が加速しているが、1ドル=100円程度の円安は競争力からみて「妥当な水準」と語った。概要は以下の通り。

──日銀の黒田新体制が打ち出した「量的・質的金融緩和」の評価は。

「金利ではなく、ハイパワードマネー(マネタリーベース)を操作するというのは、そうした政策を主張する人からみても非常に驚きだったかも知れず、日銀が採用したのは画期的。さらに、これまでお金の交換に等しかった短期国債の買いオペが長期国債に及んだのは大きな進歩だ」

──今回の緩和策によって2%の物価目標を2年程度で達成することは可能か。

「金融政策が資産市場に効くことはわかっていたが、白川(方明前総裁)体制では(金融緩和)を出し惜しみしていたため、(効果が)わからなかった。現在は想定以上に円安、株高が進み、資産に関しては実験済みとなった」

「(2%の物価目標を)2年で達成できるかはわからない。財・サービスや消費、投資、雇用などにどれだけ的確に早く(効果が)及ぶかがこれからの問題だ。経済が回復してくれれば、1%に越したことはない。過剰設備を解消し、失業率も次第に改善し、有効求人倍率も1より大きな地域が増える状態が望ましい」

──景気の先行きは引き続き不確実性が強い状況ということか。

「来年4月に消費税を上げても大丈夫かは、今後をみてみないとわからない。安全策として1年くらい延ばすのもいいのではないか。せっかく上がりかけた景気が増税でぽしゃってしまう例は、日本の歴史だけでなく、世界の歴史にもある。ブレーキをかけて歳入(税収)の上昇が止まれば、消費税は率を上げただけで、何のためにもならない。財政の大盤振る舞いをしない限り、輸出業者からの儲けが国庫に入ってくるので、それを財政に使わずに貯める方向でいいと思う」

──仮に追加緩和が必要になった場合、日銀に手段はあるのか。

「例えば国債をすべて買い切るつもりでやってもいい。REIT(不動産投資信託)やETF(上場投資信託)はいくら買ってもいい。その他の手段も考えられる」

「問題は行き過ぎた場合にうまく止められないと、引き締めなどで(政策が)ギクシャクする。行き過ぎないよう、なだらかに収めることができれば名人芸だ。しかし、日本経済全体を行き過ぎたインフレに導くようになった場合、今まで金融を拡張し続けてきたので、引き締めることは悪いことではない」

──金融緩和策を受けて市場では円安がさらに進行している。

「いくらにすべきとは今の立場では言えないが、(1ドル=)100円程度はリーマン危機前後の状態とあまり変わっていない。学者風に言えば、実質為替レートなど競争力の指標から妥当な水準だと思う。株価も為替も長期的にみて妥当な水準から振れることは当然ある。今のトレンドがすぐに止まるかはわからないが、大きな行き過ぎやその反動で上下することも当然、起こり得る」

(ロイターニュース 伊藤純夫 金子かおり 木原麗花)

 

ソロス氏予言の「円安雪崩」は来るか
2013/4/8 7:36 (2013/4/8 9:38更新)日本経済新聞 電子版
 週明けの円相場は早くも98円台を突破した。

 6日付本欄「ソロス氏が黒田日銀に警鐘、海外への資本逃避も」に書いた同氏予測の「円安雪崩」現象が本当に来るのだろうか。

 5日の米雇用統計後のドル円相場の動きを見ると、「雪崩」は極論にしても、円売りトレンドのマグニチュードの強さを感じざるを得ない。

 日本時間5日午後9時半に発表された3月分の米雇用統計。市場内の事前コメントでは「非農業部門雇用者増の良しあしの境は20万人。それ以下なら悪いと判断され、米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和終了観測は後退するので、ドル売り。万が一10万人を切るようであれば、円安にも水を差す」などと語られていた。

 ところが蓋を開けてみれば、その「万が一」が起こり、雇用者増が前月比8万8000人と事前予測を大幅に下回った。

 失業率は7.6%と前月から0.1ポイント低下したが、労働参加率減少(就職をあきらめ求職活動を止めた人たちが増加)が影響しており、素直に「雇用改善」とはいえない状況だ。

 市場の反応は早かった。

 発表直後、セオリーどおりドルが売られ、96円40銭から95円80銭まで瞬間的に円高に振れた。

 ところが、次の瞬間にドル急反騰。96円50銭まで戻した。

 その間、10分ほどの出来事。

 いまや95円台まで円高が進行すると、「円売りトレード」に乗り遅れたマネーが、一斉にドル売りバンドワゴン(楽隊車)便乗に動く。

 従来の「市況の法則」も当てはまらない。「異次元緩和」には「異次元円安」の様相だ。

 結局、ニューヨーク外為市場は、97円60銭まで円安進行で引けた。そして、週明けはいきなり98円台である。

 朝方発表された2月の経常収支が6374億円の黒字というニュースも、貿易収支の赤字6770億円を所得収支の黒字1兆4074億円が上回るという「円高時代」にはお馴染みの構図なれど、発表直後の円買戻しは小幅にとどまっている。従来であれば、かなりの円買い材料だが、ここでも「市況の法則」どおりには動かない。

 5日の本欄「緩和競争で米を急追 円、2年後120円回帰も」に「まずは100円への道程が現実的に見えてきた感がする」と書いた。それが、「異次元円安」となると、市場力学による慣性の法則が働き、100円突破でも急停止できない状況さえ考えられる。ソロス氏がいうところの「円安が止まらなくなる」現象である。黒田日銀の「異次元金融緩和」の衝撃が引き起こした市場のモメンタム(勢い)により、105円まで円安が進行した後、さすがにこの材料も陳腐化して長い調整局面に入るシナリオもあり得るのではないか。

 黒田日銀新総裁は、政策手段の「小出し」をせず、切り札のほぼ全てを一気にテーブル上に出した。そうなると、市場も「小出しの円安」ではなく、「一気に大台突破」の反応を見せても不思議はない。しかるのちに、新金融政策の実施段階で詳細が吟味され、アベノミクス・ハネムーンの終焉(しゅうえん)とともに、市場のユーフォリア(高揚感)から覚醒するにつれ、円安も調整局面に入る、という見立てだ。

 なお、波乱要因としては、北朝鮮発の地政学的リスクと、日本の債券市場リスクが考えられる。特に後者は欧米ヘッジファンドによる「悪い円売り」を誘発しかねないので要注意だ。前者については、避難通貨として円が買われるという観測もある。しかし、地理的にリスクの震源地に近い国の通貨に世界のマネーが「逃避」するとも考えにくい。ただし、その時のマーケット内部に円売りポジションが大量に蓄積していると、円買い戻しの要因として「利用」されることはありえよう。


豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島逸夫事務所(2011年10月3日設立)代表。9月末までワールド ゴールド カウンシル(WGC)日本代表を務めた。
 1948年東京生まれ。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラーとなる。チューリッヒ、NYでの豊富な相場体験をもとに金の第一人者として素人にも分かりやすく、独立系の立場からポジショントーク無しで、金市場に限らず国際金融、マクロ経済動向についても説く。
ブログは「豊島逸夫の手帖」http://www.mmc.co.jp/gold/market/toshima_t/index.html
ツイッター(http://mobile.twitter.com/search?q=jefftoshima)ではリアルタイムのマーケット情報に加えスキー、食べ物など趣味の呟きも。日経マネーでは「現場発国際経済の見方」を連載中。日本経済新聞出版社や日経BP社から著書出版。
業務窓口は jefftoshima@hyper.ocn.ne.jp
http://www.nikkei.com/money/gold/toshimagold.aspx?g=DGXNMSFK0800D_08042013000000


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