172. 2013年7月18日 13:55:48
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@アメリカ経済の主流はWASPが独占しているAアメリカ社会とユダヤ人の実態Bアメリカとイスラエルの2つのユダヤ人社会に横たわるギャップ @アメリカ経済の主流はWASPが独占している
●東欧系ユダヤ移民の大部分は、ロシア・東欧社会の最下層から出てきた人々で、アメリカに渡ってもその事情は変わらなかった。手に職のある者は、アメリカでも職人として働くことになる。床屋職人、パン焼き職人、タクシー運転手などに、こういうユダヤ人が多い。 もちろんビジネスを大成功させた者もたくさんいる。ニューヨークに集中しているドイツ系ユダヤ人経営の既製服工場に縫製工として雇われ、多くの労働者が結核で倒れる劣悪な職場でがんばり抜き、やがて経営のトップに昇りつめた者。ウォッカの本場、ロシアやポーランドで習い覚えた技術を駆使して、蒸留酒製造業者として成功した者。現在でもこの業界の半数はユダヤ系だと言われている。 ●ちっぽけな露店商人からチェーンストアの経営者に出世した者も多い。もっとも、最大のスーパーチェーン「デイヴィッド・メイ・カンパニー」や、ラザラス家の「フェデレイテッド・デパートメント・ストアズ」などの大物は、在来のドイツ系あるいはスペイン系ユダヤ人が所有、経営している。
その他、芸能関係やマスコミ関係、出版関係の世界に進出して、成功を収めた者も多い。医者や弁護士、学校の先生、学者など、学問の世界や知的専門職に進出して成功を収めた者も多い。これらの世界は圧倒的にユダヤ人が強いといえる。 ◆
●しかし、ユダヤ人が進出していない、もしくは進出できなかった分野というものも存在している。現在、「チェース・マンハッタン銀行」や「ファースト・ナショナル・シティ銀行」のような大銀行、重化学工業、自動車工業、大石油会社、鉱業、運送業、大きな保険会社、つまり大企業の決定的な地位には、ユダヤ人の姿はほとんど皆無だといわれている。
なぜなら、アングロサクソン系のアメリカ人(WASP)が、国の生い立ちから銀行、重化学工業などの国の基礎産業に君臨してきたためである。 ●アメリカ経済界でのユダヤ人の地位は、たとえば自動車産業によく表われている。
自動車生産業のトップにユダヤ人がほとんど見られないかわりに、ユダヤ人たちは販売会社やレンタカー業に集中している。チェコスロバキア出身のユダヤ人ジョン・D・ハーツが1915年に創立したタクシー会社「イエロー・キャブ」の車は、いまや全米いたるところで走っているし、「ハーツ・レンタカー」と言えば世界中で通用する。上院議員になったユダヤ人ハワード・メッツェンバウムも、レンタカー会社「エイヴィス」の持ち主である。 ジョン・D・ハーツ
チェコスロバキア出身のユダヤ人。 1915年にタクシー会社「イエロー・キャブ」を設立、 1923年にアメリカ初のレンタカー会社 「ハーツ・レンタカー」を設立。 ●このような産業構造上のユダヤ人の位置は、金融業においてもはっきりとわかる。 ユダヤ人の金融業者は、もっぱら投資銀行や、“ブローカーエイジ”、つまり株式仲介業に集中している。これは1934年に預金銀行から分離させられた業種である。しかも、これらの会社でもたいていの場合、非ユダヤ人の共同経営者がいなければやっていけないという。 ●このように、ユダヤ系の人々は、主に商業や技術、芸術、報道関係に進出し、ユダヤ系企業は各産業の支流を形成しており、主流はあくまでもWASPに占められているといえる。(もっとも最近は、ユダヤ系アメリカ人は優秀な頭脳と勤勉さから、あらゆる部門に関連し、アメリカ政治を左右するほど大きな力を示すに至っている)。
WASP勢力の中心に君臨しているロックフェラー一族
●なお、「WASP財閥」の代表と言われているのがアメリカ最大の財閥と言われるロックフェラー財閥である。 ロックフェラー財閥の創始者であるジョン・D・ロックフェラーは、アメリカの石油の独占を通じてこの大財閥を一代で築き上げた。彼の設立したスタンダード石油はアメリカの石油の90%を支配したと言われ、戦前のアメリカ石油産業を完全に独占していた。しかし、ロックフェラーの独占はそれだけに止まらなかった。彼らはこの石油で築き上げた富を元手に金融界にも進出し、シティバンクやチェース・マンハッタン銀行といった巨大銀行をその支配下に収め、巨大金融財閥を築き上げていったのである。さらにロックフェラーはこれらの金融機関を使って他の産業を次々と手中に収め、アメリカ経済の支配者への道をばく進していった。 石油王ジョン・D・ロックフェラー (1839〜1937年)
●現在ロックフェラーの支配する企業には、エクソン、モービル、シェブロンなどの「石油カルテル」を始め、シティバンク、チェース・マンハッタン銀行などの「金融カルテル」、ニューヨーク・ライフ、エクイタブル・ライフ、メトロポリタン・ライフなどの「保険カルテル」、インターナショナル・ハーベスター、クエーカー・オーツ、ジェネラル・フーズ、モンサントなどの「食糧カルテル」、さらにユナイテッド、ノースウェスト、デルタなどの「航空カルテル」、さらにはテキサス・インスツルメント、ボーイング、イーストマン・コダック、アライド・ケミカル、ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリングなどのアメリカを代表する巨大企業がずらりと名を連ねる。まさにロックフェラーこそアメリカ経済の陰の支配者なのである。 こうしたことから世界一の金持ちにランクされても不思議ではないロックフェラーだが、アメリカの真の支配者の富はビル・ゲイツのような成り上がり者と違って『フォーチュン』などの長者番付に載ることは決してない。これらの企業から入るロックフェラーの莫大な収入は彼らの所有する数百に上る「無課税財団」に蓄えられ、課税もされずに闇から闇へと消えていくのである。 (※ よく世界一の金持ちはマイクロ・ソフトのビル・ゲイツだと言われたりするが、彼の資産は584億ドルであるのに対し、ロックフェラー家の資産総額は8375億ドルである。この数字を見れば、財閥のケタ外れの資本力が分かるだろう)。 ●このようにWASP勢力の中心に君臨しているロックフェラーだが、彼らはカーネギーをはじめとする他のWASP財閥と政略結婚によって深く結び付いている。現在のアメリカの大富豪の半分以上はロックフェラーと血縁関係を持っていると言われるほどで、アメリカ貴族社会とでも言うべき上流社会が形成されている。この東部エスタブリッシュメントと呼ばれるロックフェラー、カーネギー、メロン、ハリマン、フォードといったWASPの巨大財閥こそアメリカの真の支配者たちなのである。
●なお、ロックフェラーをユダヤ人とみなす説があるが、当館では、ロックフェラーはWASPとして扱っていく。(「ロックフェラー=ユダヤ人」説の実態については、別の機会に詳しく触れたいと思う)。
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Aアメリカ社会とユダヤ人の実態 ●早稲田大学法学部出身で、現在、「副島国家戦略研究所(SNSI)」を主宰し、アメリカ政治思想・社会時事評論などの分野で活発な活動をしている副島隆彦氏は、アメリカ社会とユダヤ人の実態について、興味深い分析を行なっている。彼の著書から重要な部分を抜粋し、ここに「参考データ」として保管しておきたい。 ※ 以下の文章は、副島隆彦氏の著書『政治を哲学する本』(総合法令)と、 『悪賢いアメリカ 騙し返せ日本』(講談社)から抜粋したものです --------------------------------------------------------------------------------
■アメリカの真の支配者たち アメリカは、ズバリ、4つの階層(階級)から成り立っていることから説明しよう。それは、次のとおりだ。
【1】 ブルー・ブラッド(青い血)と呼ばれる人々。あるいは、「ザ・シークレット・クラブ(The Secret Club)」と呼ばれる秘密クラスのメンバー。この人々が、アメリカの真の支配者階級である。300人前後だ。アメリカの隠れた貴族たちだ。
【2】 ビジネス・クラス(Business Class) 大企業経営陣に属する人々。ほとんどが弁護士資格を持ち、高級官僚として政府の仕事についたりもする。 【3】 ミドル・クラス(Middle Class) 大企業管理職層。および自営業者たち。専門職の人々。 【4】 残りは全て、ワーカー(Worker)である。有色人種も一般労働者層の白人も、移民も、全て、ひとまとめにされてここに含まれる。おそらくこの層が、国民の80%を占める。 この4分類は、アメリカ人なら誰でも知っている。事実として受け容れる。こんな簡単な真実さえ、日本国民にこれまで教えなかったアメリカ紹介を専門にしている日本人知識人たちを私(副島)は、糾弾する。 そこで、何が【1】の「ザ・シークレット・クラブ」(アメリカ「唯一」の秘密クラブ)かが、問われる。これは、ヨーロッパに中世からあったフリーメイソンの流れを組むものかもしれない。アメリカ人たちは、これを単に「Mason(メイソン)」と呼ぶ。ユダヤ系の大富豪たちも、それにからまるだろう。これには、さらに、いわゆる「Mafia(マフィア)」の最高幹部たちも加わっているだろう。これ以上のことは、今の私には分からない。私のアメリカ人の友人たちのコトバのはしばしから伝わる知識と情報の断片をつなぎ合わせて、私なりに謎解きをやっている最中である。 ちなみに、アメリカのマフィアと日本のヤクザは違う。アメリカのマフィアは、もし、その人がマフィアであると分かれば、その場で逮捕されるのだ。すなわち、マフィアは、秘密結社であり、非合法組織なのだ。こんなことも日本人は知らない。一体、本当に、アメリカを分かっているつもりなのかね。 ◆
1920年代に、石油王や金融王や鉄鋼王や自動車王、鉄道電気王となった人々が築いたロックフェラー家やモルガン家やカーネギー家などが、イギリス人の支配を脱して、アメリカの世界覇権を奪ったことは先に述べた。
ところが、アメリカには、他にもっと古い、名家中の名家の、本物のブルー・ブラッドがいる。それは、セジウィック家と、ド・フォレスト家である。この両家が、アメリカ東部の最高の名家であり、大富豪である。これに比べれば、ケネディ家などは、アイルランド系の成金にすぎない。ジョン・F・ケネディが大統領の現職のまま暗殺された理由も、そもそもは、このあたりの問題からだ。 『イーディ』という映画があるが、ここに描かれているイーディ・セジウィックという女性が、鍵を握っている。ロバート・ラドラムというアメリカの小説家の『ベクテルの秘密ファイル』の中に描かれる人々が、そうなのだ。ベクテルは、カリフォルニア州に本社を置く、アメリカ最大の建設会社である。そして、このベクテルに勤めていたのが、元国務長官シュルツであり、元国防長官のワインバーガーらである。 彼らは、【1】のザ・シークレット・クラブのメンバーではない。彼らは、【1】に雇われた【2】のビジネス・クラスの人間であるに過ぎないのである。だから、彼らは、年収20億円をもらってもいいのである。それを高額すぎると言って非難するのは、お門違いだ。これは、企業のオーナー経営者が、お手盛りで自分の給料という形で、会社の富を盗んでいるのとは違う。彼ら【2】は、【1】から支払われる当然の報酬を受け取っているだけなのだ。【1】から企業経営を任されて、立派に利益を上げたのだから、当然、その分け前をもらえるのだ。これが、先述した、CEO(チーフ・エグゼクティブ・オフィサー、最高経営責任者)だ。 ◆
あの反日を叫んでいた、クライスラーのアイアコッカ前会長も、実はこの【2】の人間にすぎない。イタリアからの貧しい移民の子が、独力で立身出世して【2】にまでなったのである。
ジョージ・ブッシュは、父親が、テキサスの石油事業で成功した人だから、一応【1】に所属するように見えるが、やはり【2】に近い。「ブッシュは、メイソンだ」という噂話が、当時、アメリカ庶民の間に広まっていた。 リチャード・ニクソンや、ロナルド・レーガン元大統領らも、いくら、国民政治家として大物であったとしても【1】に入ることはできない。彼らは、典型的な【2】の人間である。これが、アメリカなのである。 これらの事実に、着眼しているのは、日本人学者では、青木保氏(文化人類学者)である。 〈中略〉 ◆
■ユダヤとは何か そこで、アメリカの陰の部分でありながら、これまたよく分からないのが、ユダヤ人社会である。アメリカのユダヤたちとは、一体何なのか、という問題に、必然的に発展する。ユダヤ人(Jews ジューズ)とは何であるか、から問わなければならないが、これがよく分からない。現代思想家や、一流学者たちで、私たちに、「ユダヤ人問題」とは、何か、をはっきり教えてくれた思想家が果たしているだろうか。
ジャン・ポール・サルトルの『ユダヤ人問題』など読んでも、訳が分からない。要するに、ヨーロッパで差別され続けたかわいそうな民族で、選民思想(「自分たちは神に選ばれた民族だ」)を持ち、ディケンズの『クリスマス・キャロル』のケチな金貸しグルージィ爺さんのような金融業者や貴金属商が多い。そして、ナチス・ヒットラーに、600万人がガス室で毒殺(ジェノサイド)された。だからかわいそうな人種差別の犠牲となった民族で、アインシュタインのように優秀な人が多い、という印象を私たちは持たされているだけだ。 では、一体、何故、そんなにまでヨーロッパ中で差別され、虐待されてきたのか、ということになると、これが分からない。それは、そのまま「ヨーロッパとは何か」という問いにつながるからだ。 私の洞察では、ヨーロッパは、ローマ帝国の時代にすでに、人口が飽和状態になっていた。ローマ帝国の奴隷たちは、コロシアム(円形競技場)で、動物に噛み殺される見せ物にされたりした。ヨーロッパは、この頃からすでに、ずっと、人口が、過剰だったのだ。だから、その一部を事あるごとに、なんらかの形で、抹殺・消滅させることによってしかヨーロッパは生きのびれなかったと、考えるのが自然だ。そこで、ユダヤ人や、ジプシーのような、出自がよく分からない、日本で言えば「渡来人(帰化人)」のような人々にしわ寄せがいったのではないか。ヨーロッパ近代の大思想家たちも、ユダヤ人問題には触れていない。自分たち自身がユダヤ人である人が多いので、ヨーロッパの大思想自体が、ユダヤ対反ユダヤの争いの歴史のようにも見える。 自分自身がユダヤ系であるカール・マルクスの『ユダヤ人問題に寄せて』が例外的である。あるいは、カール・ヤスペルスや、ハンナ・アーレントらのユダヤ人学者たちの研究書ならある。アメリカの大学の図書館や生協には、広大な「ユダヤ思想(Judaism)」のコーナーがある。 ◆
ユダヤ人虐殺を命じたアドルフ・ヒットラーという人間は、人類史上最大の極悪人ということになっているが、ヒットラーとは、何者だったのか、と考えた場合、ヨーロッパ全体を覆っている光のあたらない、残り半分の闇の部分を不可避に担当した人間だったのだ、と考えることができる。このように考えることで私なりに、少し納得がいく。もし、ものごとを「善悪」「正しい、間違い」ではなく、「事実」だけから冷酷に見ようとするならば、このように考えるしか他に思いつかない。
ナチス=ヒットラーとは、ヨーロッパ人全ての無意識の、闇の部分の必然が生んだ産物であった。だから、彼一人を悪者扱いにして、人種差別反対を叫べば、それでよい、ということだけにはならない。ヒットラーは、アメリカとソビエトの世界覇権に反抗して、自分たちの部分覇権を要求したのだ。そして、打倒され、一方は自殺した。 アメリカとは、ヨーロッパという鏡に映った、別のヨーロッパである。プロテスタントとユダヤ人が、信仰の自由を求めて、ヨーロッパから大量に移り住んで建国した国である。アメリカのユダヤ人が、ドイツ人を憎む気持ちは、今もものすごい。そして、ドイツと日本を今でも敵視して、じっと監視して、事あるごとに騒ぎたてようとしているのも、実は、在日のユダヤ系のアメリカ人たちなのである。 アメリカは、プロテスタントとユダヤ人の秘密協定によって建国した国である、という秘かな考えが、アメリカ国内にはある。これは、教科書に書いてあるような、「アメリカ独立革命戦争」や、「フィラデルフィア独立宣言」からできた国である、という説明とは、全く別のものである。アメリカのユダヤ人たちは、厳然として、今でも大きな政治力・経済力をもつ。ただ、それが、どのようなもので、どのような形で組織され、先述した、【1】のブルー・ブラッドや、ザ・シークレット・クラブとどのような関係にあるのか、は、今のところ分からない。 ◆
私はハッタリと妄想をたくましくして「ユダヤの陰謀」を唱える人々とは、一線を画したい。しかし、それでも、世界を裏であやつる人々の存在を、私は否定できないので、「陰謀史観」を否定しない。
ちなみに、ローマ・カトリック教会の総本山、バチカン(教皇庁)が、すでに、隠れユダヤ人たちの枢機卿の数が増えて、バチカン自体が、ユダヤ人たちの世界支配理念によって、握られてしまっているという噂が、アメリカ庶民の間で交わされている。「隠れユダヤ人」というのは、「クローゼット・ジュー」と言って、ユダヤ人なのに、そのことを周囲に明らかにしない人々だ。また、何をもってユダヤ人と呼ぶかでも分からない点がある。ユダヤ人は母系社会だったりするからだ。熱心なユダヤ教(根本教義派)の信者でなくても、ユダヤ的世界普遍思想を持つ人もいる。ただのケチくさい商人のような人々もいるであろう。 ただ、私の先生の小室直樹に、最近、質問した。「ユダヤによる世界支配の陰謀というのは在るのですか?」と尋ねたら、一言のもとに「そんなものは無い。何故なら、彼らほど、お互いに裏切り合う人々はいないからだ。そのことは、『旧約聖書』を読むと、嫌というほど、たくさん書かれています」と教えていただいた。 以上、副島隆彦著『政治を哲学する本』(総合法令)より --------------------------------------------------------------------------------
■ユダヤ人という人種はいない 「ユダヤ陰謀論」と呼ばれる一群の出版物があって、それなりに売れているらしい。私(副島)は、「ユダヤ陰謀論(コンスピラシー・セオリーと英語ではいう)」には加担しない。むしろそれらの風説の根拠になっている諸事実の方を、しっかりと論証することで、日本人のアメリカ理解を明確なものにしたいと考えている。不確かな情報に妙におびえる風潮がかえってよくない。
「こういうことを今回は書きたい」と担当編集者に告げたら、「『マルコポーロ廃刊事件』の二の舞にならないように気をつけてください」と助言された。私は、そんな浅薄ではないから、大丈夫である。私のことを「陰謀論者として、葬り去ってやる」と、考えている人々の方こそ、どうも、陰謀論を内心では密かに信じているのではないか。 まず、ユダヤ人の定義から入る。つまり、近代政治国家上の国民概念としてのユダヤ人である。文献から引用する。 「日本では、案外知られていないことであるが、ユダヤ人は人種ではない。ユダヤ教に改宗した者がユダヤ人になるのである。そしてユダヤ教徒になるためには、ユダヤ教の戒律を守ることを宣言すればよい。今日から豚を食べないとか、貝を食べないとか、安息日には必ず休むといった簡単な一連のルールを確認すればよいのだ。」 (『ユダヤ人の発想』)
この文は、マーヴィン・トケイヤー氏という、ユダヤ人のラビ(ユダヤ教指導者)の『ユダヤ人の発想』(徳間書店)から引いた。つまりユダヤ人は人種ではなく、民族でもない。ユダヤ人になるには、トーラ(「モーゼ五書」)とタルムードという部厚い教典および戒律(生活規範)書に従えばよい。
『大英百科事典』にも次のように書かれている。 「人類学の成果は、かつて単一のユダヤ人なる人種が存在したことのないことを示している。世界各地のユダヤ人集団の人体測定の結果は、集団相互間で、身長、体重、毛髪、皮膚、瞳の色など重要な身体的特徴が、著しく異なっていることを明らかにした。」 (『エンサイクロペディア・ブリタニカ』)
このようにユダヤ人は人種ではない。さて、そこで世界中にユダヤ人がどれだけいるかというと、1350万人である。このうちアメリカ合衆国に580万人おり、イスラエルを上回る最大のユダヤ社会を作っている。イスラエルのユダヤ人は460万人である。イスラエルのユダヤ人のうち35%はシナゴーグ(ユダヤ教集会所)に一度も行ったことがないとされる。この統計数字は、「WJC(世界ユダヤ人会議)」(議長エドガー・ブロンフマン・シーグラム会長)が公表しているもので、1997年現在のものである。
イスラエルよりもアメリカに多くユダヤ人が住んでいることがわかる。アメリカの人口は2億8000万人だから、わずかに3%である。それなのに、あれほどの影響力を持つのだから、もう少しはいるような気がするが、こんなに少数なのである。全部で1600万人とする説もある。このうちニューヨーク州に住むユダヤ人が120万人である。 ■ユダヤ教の3つの宗派 次にユダヤ教(Judaism これは「ユダヤ思想」とも訳せる)を信じる人々の内訳であるが、大きく3つに分かれる。【1】正統教義派(オーソドックス)、【2】保守派(コンサーヴァティヴ)、【3】改革派(リフォームズ)の3つの宗派である。
【1】のオーソドックスが厳格に教典タルムードの戒律を守る人々。【2】のコンサーヴァティヴが多数派で、【3】リフォームズの改革派は信仰度のもっと緩やかな人々である。【1】の正統教義派は、イスラエルではシャスという政治的な宗教政党(党首はアリイ・デリ)を中心に、聖典ユダヤ教連合、国家宗教党を作り、イスラエル議会の20%を占めている。彼らは、最近までネタニヤフ首相率いるリクード(保守党)と連立政権を作っていた。イスラエル労働党政権と対立している。 ヘンリー・キッシンジャーやポール・サミュエルソンたちは、【3】の改革派ユダヤ人であって、もはやタルムードの戒律(生活規範)を厳格には守らない。しかし、サバスの精神だけは強く保持している。サバスは、「7日に1日は休む」という戒律である。年に一度の大きなサバスが「過越しの祭り」である。欧米の大学教師たちは7年に一度、一年間有給で休める年があってこれをサバティカル・リーヴというが、このサバスに起源を持つ制度だ。 この他に、12月に「ハヌカの祭り」というのがある。1月にずれ込む年もある。このハヌカの祭りを、最近は、ユダヤ人学者やビジネスマンが多いところでは、職場にまで持ち込んで、やっている。たとえばハーバード大学のような環境で、教授団の多数派が、このハヌカの祭りを12月中ずっと職場でも、「ダビデの星」とかを公共空間に飾ったりして威示している。そうすると、他のキリスト教徒の教授たちがどんなに嫌な思いをしているか、見当がつく。12月はキリスト教徒にとってはクリスマス(キリスト生誕)の祭りの月であるから、これと正面からぶつかる。というか、ハヌカの祭りをわざとぶつけている。日本人の駐在員や、留学生でこの光景を見た人は多いのではないか。 イエス・キリストだってユダヤ人であり、当時の原始キリスト教というのは「エッセネ派」というユダヤ教の一派だったではないか、などと私が歴史知識をひけらかしてもまったく相手にされなかった。厳しい宗教対立の世界である。もし知識人階層であっても「ユダヤ陰謀論」を何となく信じている人々がいるとすれば、このへんの嫌な感じに淵源するだろう。 ■建国の柱アシュケナジム 次に、ユダヤ人の歴史について説明する。それは、『旧約聖書』に書いてある数千年前の預言者たちの物語の類ではなくて、もっと、こちら側に近い史実である。 〈中略〉
中世ヨーロッパの東の方で、ドイツ、ロシア、ポーランドのあたりに元々住んでいたユダヤ人たちはアシュケナジムと呼ばれる。この人々は、「くずれドイツ語」と呼ばれるイディッシュ語を話している。『屋根の上のヴァイオリン弾き』の村である。この人々が第二次世界大戦の時の苛酷な強制収容所と戦乱の時代を生きのびて、中東パレスチナに「戻って」建国したのが今のイスラエルである。 そして、このパレスチナの地に古くから住んでいたユダヤ人たちであるスファルディム・ユダヤ人と合流した、というか彼らを支配した。もとより、教典タルムード(ヘブライ語で書かれている)を信じて読み続ける人々をユダヤ人というのである。そして、現在のイスラエルの公用語であるヘブライ語(ヘブル語)を使っている。 このようにアシュケナジムは、人種的には元々、ドイツ人の一種かもしれない。歴史学上は、5世紀から10世紀に黒海地方に強国ハザラ王国というのがあった。このハザラ人たちがタルムードを信じてユダヤ教徒に改宗した。このハザラ王国は、東ローマ帝国と同盟を結んで、イスラム教徒と対立していたようだ。このハザラ人(ハザール人)たちが、王国が滅亡後、東欧に移動してきた人々であるともされる。 〈中略〉 ◆
ヨーロッパ・ユダヤ人の起源もなかなか古い。ふつうは、1492年に、当時の世界覇権国であったスペイン海洋帝国の都、マドリッドからユダヤ商人全員(ユダヤ500家族)が追放された事実を重視する。これを「ディアスポラ」(民族離散)という。この時を期にヨーロッパ各都市に広がったとされる。ディアスポラから生まれたのが「隠れユダヤ人」という思想である。本当はユダヤ人なのに表面だけカトリック教徒に改宗していた人々である。これの知識人版を「マラーノ」(スペイン語読みでは「マラノス」)という。ヨーロッパの優れた知識人階級は大半がこのマラノスである。スピノザやカール・マルクスだけではない。
ジャック・アタリ(欧州復興開発銀行総裁)というフランスの超エリートが、次のように書いている。「日本人の知識人層もマラノス化してアメリカの支配に対抗するしかないだろう」となかなか鋭いことを最近書いている。アメリカでは「隠れユダヤ人」のことを「クローゼット・ジュー(Closet Jews)」という。 ■地球主義者 vs 愛国主義者 さて、アメリカ合衆国にも建国の秘密がある。
表面の公式の建国は、1776年の「独立宣言」であり、大陸会議でのトマス・ジェファーソンが起草した独立宣言文と後の合衆国憲法典の制定を根拠とする。しかしワシントンDCの博物館を見て回ると、ユダヤ教徒とキリスト教徒の議定書、約定書のようなものがたくさん展示してある。16世紀のアメリカ移住の一番初めの頃からユダヤ人商人が渡って来ている。インディアン相手の毛皮商をやっていただろう。清教徒(ピューリタン)上陸よりも早く各国の囚人たちの植民地がいくつもできていた史実の方も重要である。このへんにもアメリカ建国教育の嘘がある。実は、ユダヤ人とキリスト教徒の協定でアメリカは建国されたのだ、という事実の方が、もっと重たいのだ。 ホワイトハウスのそばに、ラファイエット公園という小さな公園がある。ここに毎年一回、大統領はやって来て、ユダヤの長老に挨拶する儀式が今でもある。ユダヤ人票がほしいアメリカ大統領は、とりわけ大きなユダヤ教徒のヤムカ(あるいはキッパと呼ばれる例の帽子のような丸い布)を被って、この儀式に出る。日本にだって天皇家には今でも、非公開で秘密の国家儀式がいくつもあるだろう。 ◆
そこで、である。今のアメリカに住むユダヤ人たちのうち、金融財界人や学者、官僚になった人々が、グローバリスト・ユダヤ人である。彼らは、世界を自分たちの能力で管理してゆきたいと考えている。彼らはグローバリスト(地球主義者)であるから、「わが愛する祖国と大地」を持たない。だから愛国主義がない。世界中のすべてが彼らの居住地だからだ。
それに対して、古くから、イスラエル(パレスチナ)の地に住んでいたユダヤ人たちがいる。彼らは、スファラディムと呼ばれる。イスラエルの保守党で、スファラディ・ユダヤ人の系統であるリクードは、祖国愛の強いナショナリストである。だから、彼らはアメリカのグローバリスト・ユダヤ人たちの言うことを聞かない。 それに対してリベラル派であるイスラエル労働党の方は「パレスチナ和平」に積極的で、アメリカ・ユダヤ人の言うことをよく聞く。このように、ユダヤ人世界も大きくはグローバリストと反グローバリストに分かれて対立しているのだ。 このような大きな事実を、私(副島)が日本人に伝えなければ、他にいったい誰が伝えるというのか。陰謀理論になどとらわれている暇はない。 以上、副島隆彦著『悪賢いアメリカ 騙し返せ日本』(講談社)より ///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
Bアメリカとイスラエルの2つのユダヤ人社会に横たわるギャップ ●中東問題の研究家である立山良司氏(防衛大学教授)は、アメリカとイスラエルの2つのユダヤ人社会に横たわるギャップについて、著書『揺れるユダヤ人国家』(文藝春秋)の中で興味深い指摘をしている。
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■「約束の地」は米国?──ガラス越しのキス 米国ユダヤ人の指導者の一人レオナード・フェインは、ユダヤ人国家イスラエルと米国のユダヤ人社会との関係について、こう書いている。
「イスラエルの建国以来、米国から移民したユダヤ人はわずか6万人。これは米国のユダヤ人人口の1%にすぎない」 ◆
実際、圧倒的多数の米国ユダヤ人にとって、実生活における「約束の地」は、イスラエルではなく米国であり、世界のユダヤ人人口の半分は米国に集中している。
イスラエルはこのことを実に苦々しく思っている。 1991年1月から2月の湾岸戦争が終了した直後、イスラエル誌は「真の友は誰か」という特集を組んだ。「イラクがスカッド・ミサイルを撃ち込んだ1ヶ月半の間に、米国ユダヤ人指導者のうち誰と誰は本当にイスラエルに来てわれわれと危機をともにした。だが、誰それは同情のメッセージだけで実際には来なかった。また、開戦前にイスラエルに滞在していた誰々は、ミサイル攻撃が始まるとさっさと帰ってしまった」と実名をあげた皮肉たっぷりの特集記事で、最後には「ニューヨーク・フィルの音楽監督ズービン・メータはユダヤ人ではないが、イスラエルに来て激励していった。彼はイスラエルの真の友人だ」とまで書いていた。 ◆
イスラエルと米国の2つのユダヤ人社会はあらゆる面で密接に結びつき、場合によっては米国の政治を牛耳っているかのように見られている。確かに両者の関係はきわめて広範で、そのことが両国間にも「特別な関係」を築き上げる背景となってきた。
しかしその一方で、2つのユダヤ人社会の間にはユダヤ教やユダヤ性、ユダヤ民族、シオニズムなどの基本的な概念をめぐり越え難いパーセプション・ギャップが存在する。こうしたギャップを間にはさんだ2つのユダヤ人社会の関係を、米国の中東学者ジョイス・スターは「ちょうどガラス越しのキスを運命づけられた恋人同士のようだ」と表現している。 パーセプション・ギャップの背景をなしているのは、同じユダヤ人社会といってもそれぞれが置かれている状況がまったく異なるという事実だ。 ◆
イスラエルは独立宣言にあるように国家自体が「ユダヤ人国家」と規定され、ユダヤ人が完全なマジョリティを構成し、宗教はもちろんのこと、社会や文化、政治などあらゆる面で「ユダヤ性」が維持され、強調されている。使われている言語もヘブライ語だ。それ故、基本的には同化という問題はイスラエルには存在しない。
一方、米国のユダヤ人は『米国ユダヤ年鑑』によれば1995年時点で590万人であり、全人口のわずか2.3%というマイノリティ集団だ。このため、米国では本人が意識的にそうしない限りユダヤ的な生活とは無縁となってしまう。ユダヤとしての宗教や文化、習慣、歴史などを学ぶためには、自らそうした学校やクラスを選ばなければならない。また、米国ユダヤ人の3分の1は非ユダヤ人と結婚しているといわれるように、同化の問題はますます深刻になっている。 宗派の構成も異なっている。イスラエルでは正統派、特にハレディーム(超正統派)が大きな影響力を持っているため、非宗教的なユダヤ人を含め宗派の面では圧倒的多数が正統派に属している。一方、米国では80%以上が保守派か改革派であり、正統派は10%以下と推定されている。 〈中略〉 ◆
そうはいっても米国のユダヤ人はイスラエルの国債を買い、寄付金を募り、親イスラエル的な外交政策をとるよう絶え間なく米国政府や議会に圧力をかけている。また、イスラエルへ移民する考えはないにもかかわらず、シオニストとして活動しているユダヤ人も多い。 〈中略〉
軍事面でも米国はイスラエルを全面的にバックアップしている。1973年の「第四次中東戦争」の際には、緒戦で劣勢となったイスラエルに対し、米国が大量の武器や弾薬を空輸して戦況を挽回させた。米・イスラエル間の広範な軍事協力の一つの背景には、イスラエル軍が米国製の兵器を実戦で使用することで、それに改良が加えられるという相互依存の関係がある。 〈中略〉 ◆
米国のユダヤ人社会がなかったら、イスラエルは政治的にも経済的にも立ち行かなかっただろう。
アイオワ大学のデイビッド・ショーンバームによれば、1946年から48年までの3年間に全米的な資金調達機関「ユナイティッド・ジューイッシュ・アッピール(UJA)」を通じてイスラエルに対し在米ユダヤ人が行なった寄付は約3億7000万ドルであり、このほかにも別のルートによる寄付が相当額あった。この額は米国政府が1948年から1952年までの間にマーシャル・プランの一環としてトルコに対して行なった援助総額3億5000万ドルを上回っていた。 〈中略〉 ◆
『ガラス越しのキス』の著者ジョイス・スターは次のようなエピソードを紹介している。
米国ユダヤ人会議が主催したイスラエルと米国のユダヤ人同士の対話の席上、イスラエルのユダヤ人が米国の「兄弟」に対し一生懸命説明していた。イスラエルとエジプトがスエズ運河をはさんで「消耗戦争」と呼ばれる砲撃戦を繰り返していた1970年、彼はシナイ半島の最前線にいた。たまたま互いの砲撃が数時間やんだ時、突然、米国ユダヤ人の団体を乗せたバスが最前線に現れた。アメリカ人たちはバスから降り、イスラエル兵と抱き合い、戦車に乗って写真を撮り、「よくやっている。君たちこそ英雄だ」とほめた。そうしてまた、バスに乗って帰っていった。 「これが問題なんだ。あんた方はやって来るけれど、またバスに乗って帰ってしまう」 結局、2つのユダヤ人社会は互いに相手を必要としながらも、ガラス越しにしかキスできない恋人同士のような状態を続けている。 以上、立山良司著『揺れるユダヤ人国家』(文藝春秋)より
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