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コラム:強まる円高圧力、年内ドル95円も=門田真一郎氏(ロイター)
http://www.asyura2.com/16/hasan105/msg/786.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 2 月 22 日 21:53:30: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

コラム:強まる円高圧力、年内ドル95円も=門田真一郎氏
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-shinichiro-kadota-idJPKCN0VV0E2
2016年 02月 22日 15:29 JST


門田真一郎バークレイズ銀行 為替ストラテジスト
 2月22日、バークレイズ銀行・為替ストラテジストの門田真一郎氏は、円の割安感やグローバルな不確実性の高まりを踏まえると、年内1ドル=95円程度までの円高が想定されると分析。提供写真(2016年 ロイター)


[東京 22日] - ドル円相場は1月末の日銀マイナス金利導入にもかかわらず急落を続け、2月11日には一時110円台まで円高が進んだ。その後は持ち直しの動きも見られたが、依然残る円の割安感やグローバルな不確実性の高まりを踏まえ、年内95円程度までの円高を想定している。

そもそも年初から10円以上の急激な円高が進んだのはなぜか。周知の通り、円は安全資産として世界的なリスクセンチメントの動向に左右されやすい。すなわち、リスクオフ局面では円高圧力が強まる傾向がある。

また、2012―14年の円安の結果、円はかなり割安な水準に達していた。円の実質実効為替レートは昨年6月にプラザ合意以来の円安水準に達し、購買力平価で見た割安感が強まっていた。

加えて、アベノミクス当初に大幅な悪化を示していた貿易収支も、昨今の原油安でほぼ赤字が解消されている。結果、所得収支黒字の拡大もあって、経常黒字は11年の震災前の水準を回復している。

さらに、日銀の金融緩和効果に対する疑念が生じた。昨年12月の緩和補完措置や今年1月末のマイナス金利導入にもかかわらず、円高が止まらなかったためだ。つまり、きっかけさえあればいつ円高に火がついてもおかしくなかった。

<リスクオフがきっかけで円高加速>

このように円高の条件がそろった状況下、ついに円高のきっかけが訪れた。2月に入り、欧州銀行部門への懸念や米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測後退が顕在化したのだ。これらが、従来からくすぶっていた中国の資本流出・人民元安や原油価格下落に新たな材料として加わったことで、リスクオフの流れが加速した。

海外投資家も円高見通しに転じており、米商品先物取引委員会(CFTC)が発表している建玉報告によれば、非商業(投機)部門の通貨先物ポジションは今年に入り、12年後半以降で初めての円買い超に傾いた。

中国・新興国の景気減速といった問題は構造的で早期解消が期待しづらく、今後も円高圧力を加え続けよう。しかも、過去を振り返ると、円安トレンドから円高への転換は急速に進む傾向が強かった。円の割安感が大きく、世界的なリスクセンチメントが悪化する局面ではそうしたトレンドが顕著で、現状はまさにその双方が当てはまると言えよう。

こうした状況を踏まえ、筆者はドル円が年内95円程度まで円高が進むと予想している。購買力平価に基づく中長期フェアバリューも95―100円程度となっている。

<グローバルリスクと政策当局のせめぎ合い>

この見通しには双方向のリスクがある。中国経済の急減速や地政学リスクの高まりなどで、一層深刻なリスクオフとなった場合、さらに円高が進む可能性は否定できない。12―14年の円安局面と異なり、グローバルな逆風の中での日銀緩和が円高を抑制する効果も限定的となろう。

一方、日本を含む各国政策当局が金融市場の混乱をただ静観するとは考えにくい。実際、今週末に中国・上海で開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に向けて政策協調の可能性が焦点となっている。

ただ、主要国中央銀行のバランスシートがすでに高水準にあり、その多くがマイナス金利導入に踏み切っているほか、財政状況も全体的に厳しいなか、政策余地の限界に対する市場の疑念を払拭(ふっしょく)できるかが注目される。

むろん、主要国の政策協調が、投機筋のショートカバーを誘発する形で、リスク資産の反発をもたらす可能性もあろう。一部の国からは、新興国の資本規制を求める声さえ聞かれる。しかし、世界経済の基調的な減速や一部新興国の債務問題などへの本質的な解決策になるとは考えにくく、政策の限界を改めて露呈し、中長期的には市場の変動を高めることになるのではないかとの懸念は拭えない。

世界的なリスク動向と当局対応のせめぎ合いがテーマとなるなか、今年のドル円相場は変動の大きい展開が見込まれる。

*門田真一郎氏は、バークレイズ銀行の為替ストラテジスト。2008年にバークレイズ証券株式会社に入社し、調査部で銀行戦略調査および外債ストラテジーを担当した後、2013年から現職。海外拠点の為替・金利・経済チームとのネットワークを活かし、為替市場見通しのほか海外経済・政治動向などについて幅広い情報提供を行っている。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)経済学部卒。

 

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コメント
 
1. 2016年2月23日 06:32:38 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[303]

円高への正しい対応の仕方小笠原誠治
2016/02/22 (月) 11:51


 本日、ドル円は、1ドル=112円台で推移しているようです。昨年後半と比べれば10円ほど円高に振れているといいでしょう。

 そして、こうして円高になるものだからなおさら株価はさえないのです。

 では、こうした円高は何故もたらされているのか?

 その答えは、私の昨日の記事をお読みくださった方はお分かりでしょう。


 しかし、世の中には、円高は全てヘッジファンドのせいだと考える輩がいるのです。

 高橋洋一氏

 「ヘッジファンドに"倍返し"せよ 異常円高に為替介入で対抗を」 (2月19日、ZAKZAK)

 「1月29日に発表された日銀のマイナス金利は、金融緩和策なので、理屈上は円安の方向である。それが、反対の円高に振れ、しかも、ほぼあり得ない程度の大きさとなった。

 この状況の解説として有力なのは、一部のファンドの仕掛けに市場全体が乗ってしまった可能性があると、筆者はみている。

 筆者としてまったく解せないのは、為替で投機的な仕掛けを受けているにもかかわらず、財務省が大規模な為替介入を行っていないことだ。

 はっきりいえば、このような大きな変動の時に、為替介入で市場に冷や水をかけて、冷静さを取り戻すように仕向けるのは、財務省の役割であり、職務怠慢と言われても仕方がない。こうしたときに為替介入をしないのなら、財務省が外国為替資金特別会計を持ち、介入権限を有している意味がない。」

 浜田宏一氏

 「直近の円高は異常、財務省は介入すべき=浜田内閣官房参与」(2月16日、ウォールストリートジャーナル)

 「浜田氏はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が最近行ったインタビューで、「直近の円高は統計学的にも異常」で、ヘッジファンドが仕掛けているようだと指摘。「したがって、円の方向を決めるためでなく、その乱高下を防ぐために、財務省が介入して投機者を牽制するほうがよいと思う」と述べた。」


 如何でしょうか?

 ひと頃流行った流行語ではないですが、倍返しをしたらいいのだ、と。

 まあ、ここまで極端な意見ではないにしても、現に急激な円高が起きているのだから為替介入をすべきだという意見もあるのです。

 確かに、為替レートが日々乱高下を繰り返すようでは、ビジネス活動もままならないのです。

 麻生財務大臣も、10日ほど前、次のように言っています。

 「緊張感を持って注視していくと同時に、必要に応じて適切に対応していく」(2月12日)

 これ口先介入と言っていいでしょう。

 必要に応じて適切に対応していくということは、為替介入もあり得るということなのです。

 でも、本当に為替介入が必要なのでしょうか?

 何故かと言えば、そもそもこの円高は、昨日も言ったように、日銀の長期に渡る超低金利政策によってもたらされた円キャリートレードとその巻き戻しによって引き起こされているからなのです。

 つまり、リスクオンの状態では、超低金利の円を借入れ、それを元手に新興国等に投資していたのが、先行きが不透明になってリスクオフになると、暫くそうした投資資金を回収しておこうという動きが起きるのです。

 従って、ヘッジファンドの影響が全くないとは言わないまでも、本当の円高の理由は別のところにあると考えるべきで、だとしたら倍返しをしろだなんて主張が如何に滑稽か直ぐ分かると思うのです。

 いずれにしても、今やマイナス金利まで導入してしまっている日本銀行!

 そのような異常な政策に頼っているので、普段からより高い利回りを求めて円が海外に流出するような状況が起きているのです。

 言っておきますが、今や雇用環境は様変わりで人手不足が問題になっているのに、そのような状況でマイナス金利を打ち出しているのですから。

 そして、そのような円は、その時々の状況に応じて敏感に国境を移動するので、円のレートが乱高下する原因になるのです。

 つまり、今回の円高は、黒田総裁によって強化された異次元の緩和策によってもたらされているのです。だから、このような円高が嫌だというのであれば、マイナス金利政策やゼロ金利政策を止めればいいだけの話なのです。

 高橋洋一氏の主張を支持する人が結構いるのは承知していますが、そろそろお目覚めになって頂きたいと思います。
http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2016/02/22/025305.php


 


NY外為(22日):資源国通貨が上昇、原油反発で−円は下落
2016/02/23 05:02 JST

    (ブルームバーグ):22日のニューヨーク外国為替市場では商品輸出国の通貨が上昇。原油価格の反発で、リスク資産に対する投資意欲が持ち直した。
カナダ・ドルとオーストラリア・ドルは3営業日ぶりに上昇。一部の原油輸出国が生産量を現行水準に凍結するとの観測が背景にある。安全性から逃避先となることの多い円は、この日は3営業日ぶりに下落。ユーロはほぼ3週ぶり安値。
今年に入り、中国経済の成長減速が世界経済の拡大を抑制するとの見方から、高利回り資産全般にリスク回避の波が押し寄せた。中でも商品輸出国は特に打撃を受けたが、売られ過ぎとの見方から値を戻しつつある。石油輸出国機構(OPEC)加盟国の間では産油量をめぐる協議が行われ、今週は上海で20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれる。
ワラックベス・キャピタルのマネジングディレクター兼シニアストラテジスト、イリヤ・フェイギン氏(ニューヨーク在勤)は「今年の商品関連国通貨のパフォーマンスは比較的好調となる」と予想。「商品相場には過剰な悲観がすでに織り込まれている。豪ドルは上昇するだろう」と述べた。
ニューヨーク時間午後2時24分現在、カナダ・ドルは対米ドルで前営業日比0.5%高い1米ドル=1.3701カナダ・ドル。豪ドルは1.2%上昇し1豪ドル=0.7236米ドル。円は米ドルに対して0.3%安い1ドル=112円96銭。ユーロは1%下げて1ユーロ=1.1023ドル。
原題:Oil-Exporter Currencies Gain at Yen’s Expense as Crude Rallies(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2YS3XSYF01Z01.html

 
あらゆる金融・財政手段の行使、G20で必要性訴え=米高官

Business | 2016年 02月 23日 05:25 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス


[ワシントン 22日 ロイター] - 今週末26─27日に上海で開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、米国は、世界的な需要押し上げに向け各国が利用可能なあらゆる金融・財政手段を行使するよう求める構え。米財務省の高官が22日、明らかにした。

同高官は「世界的な需要押し上げに向け、財政面を含め政策余地の利用拡大を求めていく。そうすることで信頼感が高まり変動も軽減されると思う」と述べた。


安倍首相のGDP目標達成には3%成長が必要−チャート
2016/02/23 01:00 JST
    (ブルームバーグ):  安倍晋三首相は、2020年ごろまでに名目国内総生産(GDP)を600兆円にする目標を掲げている。この目標達成には、名目で年間3%の成長率が必要になる。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)によれば、四半期に6回更新される新しいGDPトラッカーでは、2015年10ー12月(第4四半期)の実質GDPをマイナス0.7%成長としている。インフレ率を政府目標の2%と仮定した場合でも成長率は1.3%で、アベノミクスの目標達成にはまだ長い道のりがあることが示唆されると、BIのエコノミスト、増島雄樹氏は記している。
原題:Abe’s GDP Target Needs 3% Growth, Not Minus 0.7% Tracked: Chart (抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2YFH7SYF02901.html


 


米国債:下落、原油上昇と世界的な株高で逃避需要が後退
2016/02/23 05:01 JST
    (ブルームバーグ):22日の米国債相場は下落。2年債利回りはほぼ3週間ぶりの水準に上昇した。原油相場と世界の株価が上昇したため、資金の逃避先としての米国債需要が弱まった。
年内の利上げ観測が再浮上し、金融政策に最も敏感な2年債利回りは上昇した。原油相場は今月に12年ぶり安値に沈んだ後、過去4営業日で3度目の上昇となった。財務省は23日に2年債入札(規模260億ドル)を実施する。今週は入札が3回実施される。
三菱UFJ証券USAのシニア米国債トレーダー、トーマス・ロス氏(ニューヨーク在勤)は「不安を材料にした大規模な相場展開となっていたが、幾らか落ち着きを取り戻した」と指摘。「利回りが格段に上昇するには経済指標の好転が必要だ。かなり買われ過ぎだったが、中立水準に戻っている」と述べた。
ニューヨーク時間午後1時1分現在、2年債利回りは前営業日比1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して0.75%。同年債(表面利率0.75%、2018年1月償還)価格は1/32下げて99 31/32。
原題:Treasuries Fall as Refuge Demand Wanes Amid Gains in Oil, Stocks(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2YS6SSYF01Y01.html

NY原油(22日):2週ぶり高値−現行水準での生産凍結に期待
2016/02/23 05:36 JST

    (ブルームバーグ):22日のニューヨーク原油先物市場ではウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が急反発し、約2週間ぶり高値。一部の石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアによる現行水準での生産凍結はいずれ、原油市場の供給超過解消につながるとの見方が広がり、この日は世界的に株価が上昇した。
エネルギー関連の商品に重点を置くヘッジファンド、アゲイン・キャピタル(ニューヨーク)のパートナー、ジョン・キルダフ氏は「今年の原油市場を圧迫していた経済への懸念の多くが、少なくとも米国に関しては明るい内容の経済データで緩和された」と指摘。「不安を募らせているショートの投資家は多い。これまでにも何度か底入れの判断を急ぐ動きがあったが、ちょうど今もそれに相当する」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物3月限は前週末比1.84ドル(6.21%)高い1バレル=31.48ドルで終了。終値ベースで4日以来の高値となった。3月限はこの日が最終取引。中心限月の4月限は1.64ドル上げて33.39ドル。
原題:Oil Rises to Two-Week High With Equities Amid Output Freeze Talk(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2YTPUSYF01X01.html


S&P500種、過去の買い時と直近のPER低下−チャート
2016/02/23 03:56 JST

    (ブルームバーグ):S&P500種株価指数の株価収益率(PER)が16.5ー17倍に下げると、「放って置けないほどの割安感が出てくる」とオッペンハイマーのチーフ・マーケット・ストラテジスト、ジョン・ストルツファス氏は22日のリポートで指摘。S&P500種が年初来安値を記録した今月11日、PERはこのレンジの底まで下げた。その後19日までに同指数は6.1%戻し、2014年以降6度あった同様のPER低下後1カ月の値上がり率平均と一致した。
原題:When Does the S&P 500 Look Cheap These Days Now We Know: Chart(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2YMETSYF01W01.html


株価が追跡調査なら、政治的リスクの値付けは過小 米国大統領選、投資家は甘く見ていないか?
2016.2.23(火) Financial Times
クリントン氏、0.2P差で辛勝 米アイオワ州民主党員集会
予測市場などは、ヒラリー・クリントン氏の勝利を見込んでいるようだが・・・〔AFPBB News〕
(2016年2月20/21日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

バラク・オバマ大統領のレガシー(遺産)は今後何十年も議論されることになる。批判する人にも擁護する人にも、たくさんの材料があるだろう。だ が、オバマ氏には1つ、偉大さを主張する明確な権利がある。代々オーバルオフィス(大統領執務室)を占めた人物の中で恐らく最高の株式市場評論家なのだ。

2009年に大統領に就任してから数週間後のこと。オバマ氏の経済チームが金融危機に対処する待望の計画を持っていないことにトレーダーたちが気づき、株式市場がまたしても下落する中で、オバマ氏は投資家にいくつか助言を与えた。

「今皆さんが目にしているのは、もし株式投資に対して長期的な視点に立つのであれば、利益と収益率が、株式購入が潜在的に良い取引になる水準に到達し始めている様子だ」とオバマ氏は述べた。彼は正しかった。その週の終わりに米国株は大底を付け、6年続く反騰が始まった。

オバマ氏はまた、株式市場は「政治における追跡調査のようなもの」だと助言した。人は日々の変動に翻弄されるべきではないということだ。ここでもやはり、オバマ氏は正しかった。

最近の株価反騰には、あまり意味がない

残念ながら、それは今、過去1週間の相場反発に過度に期待しないことを意味する。株価の反発はほとんど何も変えていない。1月に急落した後だけに、反騰する可能性は常に高かった。金のトレンドはまだ上昇基調だし、債券利回りのそれは下落基調だ。

株価の回復は――まだ――オバマ氏が2009年3月に予想した上昇相場がついに終わったことを疑う理由にはならない。

だが、株式市場を追跡調査として見ると、投資家が米国大統領選を扱っている様子について心配になることが明らかになる。政治的なリスクの値付けが著しく低いように見えるのだ。

投資家が先物契約を買い、自分の支援する候補が勝った時に儲けを得る予測市場によると、民主党の候補者たちが僅差とはいえ明確な本命で、レースは何カ月も安定している。

アイオワ大学が実施している「アイオワ・エレクトロニック・マーケッツ」では、民主党候補が勝つ確率は62.4%だ。昨年夏以来ずっと、勝算は60%以上で推移している。

ニューヨーク市のマイクロソフトリサーチの「プレディクトワイズ」は複数の予測市場と賭け屋から予想をえり抜くプロジェクトで、ここでも同じように民主党の勝算は62%となっており、何カ月も小幅な変動しかない。

「トランプ騒動は結果に影響せず」

つまり、これは接戦と見られているということだ。ドナルド・トランプ氏が参戦してからの興奮は、確率の究極のバランスに何の影響も与えないと見られている。また、民主党は現在、市場が勝算をたった52%としていた4年前の今の段階よりも強いと見られている。

部分的にはこれは、2012年の選挙が、今や選挙の構図が明らかに民主党に有利なことを示したためだ。民主党候補が本命としてスタートするのは当然だ。

だが、予測市場と株式市場の結果は相変わらず自己矛盾している。株式市場は国民のムードを反映し、経済を予想する。投票の意向にも影響を与える。株価が下落すると、人は貧しくなり、現職の与党に投票する可能性が低くなるからだ。

現職者は株式市場が大幅に急落した後に、地位を維持できない傾向がある。2000年、2008年、あるいは1932年に起きたことを見るといい。

また、現職者は経済が悪化していると見られている時に実施される選挙で負ける傾向がある。このため、株式市場が下落しているのに民主党候補が本命として順調に進んでいるのは奇妙だ。さらに、主要候補の立場を見るといい。民主党のバーニー・サンダース氏は公然と反ウォール街を掲げている。同氏が勢力を伸ばせば、明らかに市場は心配するだろう。

共和党サイドでは、トランプ氏が反ウォール街の発言をしており、常に投資家を心配させるような「ワイルドカード」になっている。テッド・クルーズ氏は金本位制への復帰を支持した。これは大半の投資家が激しく嫌う政策だ。

そしてヒラリー・クリントン氏がいる。株式市場、そして概してウォール街は、夫が大統領だった時代に好調だった。

ヒラリー・クリントン氏も反ウォール街の発言をしたが、意外なことに、目下いる候補の中では最も市場に優しい人物だ。

1968年の大統領選が参考になる?

このため予測市場と株式市場のメッセージを次のように正当化することができるかもしれない。

我々は1968年に目を向けるべきだ。あのベトナム戦争時代の選挙戦では、ロバート・ケネディとマーチン・ルーサー・キングが暗殺され、街頭で暴動が起き、ジョージ・ウォレスが人種隔離主義の選挙運動を展開した。そしてリチャード・ニクソンが勝利を収めた。当時のニクソンは、今のクリントン氏とよく似ていた。昔から政界で活躍し、各方面から不信感を持たれていたが、明らかに職務を遂行する資質があった。

もしかしたら投資家は、米国がニクソンに戻ったようにクリントン氏に戻ってくることに賭け、選挙戦のドラマにいちいち気を取られることを拒んでいるのかもしれない。

だが、もしそうだとしたら、資産価格にとってのリスクは下振れ方向にはっきり偏っている。より穏健な共和党候補の誰かが勢いを取り戻せば、市場は喝采するだろう。だが、サンダースかトランプ、クルーズの勝利の確率が高まれば、市場にとってマイナスだ。今後数カ月間のどこかの段階で、そうした良くない結果の確率が高まるだろう。

それが資産価格を押し下げることをオバマ大統領に教えてもらう必要はない。

By John Authers
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マイナス金利、個人と企業にもこれだけの影響マネックス証券の大槻奈那チーフアナリストに聞く

2016年2月23日(火)田村 賢司

 円高を止め、インフレ期待を押し上げるために、日銀が導入したマイナス金利。市場に衝撃を与えたが、目論見とは逆に円は急伸し、日経平均株価は暴落した。個人や企業にとっての影響も大きい。マネックス証券のチーフ・アナリストの大槻奈那氏に、今後予想される影響と日銀の目論見が外れた背景、次の一手を聞いた。
(聞き手は田村 賢司)
マイナス金利が2月16日から始まりました。預金金利の引き下げなどのほか、個人への影響をどう見ていますか。


大槻奈那(おおつき・なな)氏
スタンダード&プアーズ、UBS証券、メリルリンチ証券などで銀行担当アナリスト。各種メディアのアナリスト・ランキングで高い評価を得てきた。2016年1月から現職。名古屋商科大学経済学部 教授も兼務。
大槻:運用の方で言うと、確かに預金金利の引き下げのほか、公社債投資信託(MMF)の新規募集停止や生命保険会社の一時払い終身保険の販売停止などが始まっています。短期の国債で運用している商品は、運用がマイナスになってしまうので、すぐにそういう影響が出ているわけです。

 預金については、まだマイナス金利にする金融機関はありません。そもそも、預金を預けたら金融機関が金利を取るということが契約上出来るのかどうか、まだ不明ですね。ただし、口座を維持するための口座管理料などの名目で、預金者から別に手数料を取る可能性は否定できません。今のところ、邦銀はそういうことを言っていませんが。ただ、預金の引き出しなどに伴う手数料は、当然ですがこれまでも徴収しており、極めて低い預金金利との対比で考えれば、既に実質マイナス金利になっているとも言えるかもしれません。

ある程度は企業向け融資が増えるが…

口座管理料は、一部の預金で過去にも徴収したことがありますね。

大槻:2000年代の初め頃から、一部のメガバンクで口座残高に応じて金利を少し高くしたり、ATM手数料を一部無料にしたりといった優遇を提供する一方で、残高が10万円を切ると口座管理料のような手数料を取るという預金商品がありました。

 しかし、これも2009年頃までに口座手数料を廃止したので、今はそういうものはないはずです。当時は市場金利が下がってきた時期で、預金の獲得や、口座はあるものの使われていない休眠口座を動かそうという狙いがあったはずです。

では、マイナス金利によって起こる個人のメリットは何でしょうか。双方を考え合わせると個人はどう動くでしょう。

大槻:これも既に動き出していますが、住宅ローンや自動車ローンなどの金利が一段と下がるはずです。住宅やクルマを購入する予定のある人には好機ですね。

 ただ、それ以外の点ではどうでしょう。一時払い終身保険やMMFなど、個人に人気の高い商品が使いにくくなると、いったん現金にするのでしょう。ある程度はタンス預金にするかもしれませんが、金額が大きくなるとセキュリティの問題もあるので、それもしにくいはず。結局、口座管理料を徴収されても、安全のためのコストと考えざるを得なくなるかもしれませんね。

企業にとっての影響はどうですか。日銀の狙う投資拡大につながるでしょうか。

大槻:貸出金利は0.07%(7ベーシスポイント)程度、最終的には0.1%(10ベーシスポイント)程度下がるはずです。過去にも金利低下局面では、その位下がったことがあるからです。

 問題は、それで資金需要が出るかどうかです。日銀による2013年4月の異次元緩和で貸出金利が1.3%程度から1.1%程度に下がっていく過程で、貸出残高は30兆円程度増えていきました。それをみると、ある程度は増えるかも知れません。欧州でも、2014年6月に欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏でマイナス金利を導入した後、それまで数年、前年比マイナスを続けていた企業向け貸し出しが、前年並みになる程度までは戻りました。

 ただし、それ以上は難しいでしょう。国内市場の成長期待が低い中で、投資を拡大するということにはなりにくいからです。個人の住宅ローンは欧州でも伸びたので、それは増えるかもしれませんが。

投資家の6割が「デフレ脱却に寄与せず」

マイナス金利導入後、円高が急速に進み、株価も暴落しました。日銀の目論見と全く逆になったのはなぜでしょう。

大槻:経済協力開発機構(OECD)は2月18日に、2016年の世界の経済成長率予想を引き下げました。米国やドイツ、ブラジルのそれを下げ、世界経済が減速するとしたのです。当社では2月前半に、顧客の個人投資家に「日銀のマイナス金利政策は、デフレ脱却に寄与するか」といったことをアンケートしました。すると、半数近くが「デフレ脱却には貢献しない」と答えました。回答者の約6割が投資経験10年以上のベテランばかりですが、見方は厳しかったですね。

 考えてみると、昨年後半から経済環境はかなり変わっています。米国は昨年末に続いての追加利上げの可能性が縮小し、原油価格は暴落して日本の貿易赤字は小さくなっています。米国が利上げをすれば、日米の金利差が開き、円安になりやすいし、貿易赤字の減少は円安要因の縮小ですから、元々、円高になりやすい方に環境が傾斜していたといっていたとも言えるわけです。そこに中国や米国の景気減速懸念が加わったわけですから、株価も暴落しやすい。日銀は悪いタイミングで、マイナス金利導入を決めたのかもしれません。

次に日銀が打ってくる手はなんでしょう。マイナス金利の幅拡大でしょうか。

大槻:そうですね。量的緩和は、まだすぐには終わりませんが、国債の買い入れ自体は次第に難しくなりつつあります。やはりマイナス金利の幅を拡大してくるのではないでしょうか。

 ただ、3月というよりは、夏の参院選を睨んで4月辺りの決定会合で決めるのではないでしょうか。

このコラムについて
キーパーソンに聞く

日経ビジネスのデスクが、話題の人、旬の人にインタビューします。このコラムを開けば毎日1人、新しいキーパーソンに出会えます。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/238739/022200136/?ST=print

 


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大丈夫?「爆買い客」中毒になっていく日本経済 外国人観光客は神様です 日本人客よりも大事な店が増加中
2016.2.23(火) 姫田 小夏
いまや銀座の経済は外国人旅行客によって支えられていると言っても過言ではない。(資料写真)
?日本国内で、英語や中国語にハングルなど多言語表記の案内板を至るところで目にし、多言語のアナウンスを耳にするようになった。

?米国に拠点を構えてビジネスをする三井真由美さん(仮名)はその変化に驚いている。久しぶりに訪れた日本は、訪日外国人客の熱烈歓迎ムード一色だった。驚きつつ、「当惑した」というのが真由美さんの正直な感想だ。

「デパートや都心の家電量販店だけではなく、ちょっとしたスーパーやドラッグまでも免税制度が導入されていてびっくりしました。お店のレジで免税価格で買えてしまうなんて」

?前職が客室乗務員だということもあり世界各国を訪れたことがある真由美さんだが、「日本ほどの外国人観光客向けのサービスは欧米では見たことがない」という。

?ヨーロッパやアメリカでも、外国人観光客に税金を還付する制度はある。だが、いったん税金を払ったあとで別の免税窓口に行くか、または空港の免税カウンターに出向かないと還付されない。手続きが面倒なため、少額の場合は還付金を受け取らない観光客も多い。

日本の「おもてなし」はやりすぎ?

?「日本はなぜそこまでやるのかしら?」?真由美さんは素朴な疑問を投げかける。

?真由美さんはハワイとの違いを教えてくれた。ハワイでは、外国人観光客は居住者よりもずっと高い値段で買い物をしなくてはならない。ハワイとしては、裕福な外国人観光客には高く買ってもらい、お金をたくさん落としてもらおうというわけだ。日本は逆だ。「外国人を対象にした過度な割引や優遇などのサービスが目につきます」

?そうした日本の過剰な「おもてなし」に真由美さんは否定的だ。「それは本当に必要なことなんでしょうか。免税なんかにしなくても、訪日外国人客は日本で買い物をするはずです」。確かにハワイでの買い物が割高だったとしても、ハワイの魅力が失われるわけではない。ハワイには買い物だけではないたくさんの魅力があり、観光客はそれに引かれてやって来る。

?最近、筆者の周りでは、このように「日本の『おもてなし』はやりすぎなのではないか」という声が聞かれるようになった。

?丸の内のオフィスに勤務し、海外旅行が趣味の田村朋子さん(仮名)も同様の意見だ。外国人観光客のために特別な割引をする必要はないという。「私が海外旅行するとき、旅先で割引に期待することはほとんどありません。基本的に外国人と分かれば吹っかけられますから、予想外の出費をするのは覚悟の上です。せめてその国の国民と同じ価格で買い物ができれば満足です」

肩身が狭い日本人買い物客

?今、東京の高級ブランドの店では日本人の買い物客の肩身が狭くなるという現象が起きている。中央区在住の女性がこう語る。

「店員は爆買いの接客にてんてこ舞い。銀座のデパートやブランド店では以前のような優雅な買い物はできなくなりました。

?バッグや靴を選んでいると、店員は『ゆっくり考えて下さい』と言って、そそくさと行ってしまいます。爆買いの訪日外国人客には手厚く接客して、日本人客には適当に、みたいな感じです」

?売り場は「爆買い客」優先の接客で、少額の買い物客である日本人は歯牙にもかけてもらえない。

?小売り業のみならず運輸業でも外国人観光客向けの特別なおもてなしが目につく。シンガポールから日本に旅行に来た筆者の友人、イ・ボーンさんが羽田空港で買ったのは、2200円で3日間乗り放題という訪日外国人客専用のレールパスだ(京急線の羽田空港国際線ターミナル駅〜泉岳寺駅と、東京メトロ全線・都営地下鉄線全線が乗り放題)。

?こうした外国人向け周遊券は欧州などにもサービスとして定着しているが、日本のは格段に安い。イ・ボーンさんは言う。「もともと日本の交通運賃の料金設定は合理的だと思いますよ。それをここまでディスカウントしてくれるんですから、ありがたいですね」

?海外旅行に出向く人は、基本的に生活に余裕のある人たちだ。いわゆる富裕層にとって、短距離移動の交通運賃は割引があろうとなかろうとさほど大きな問題ではないだろう。だとしたらなぜ、ここまでの大安売りを展開しなければならないのか。

?国際観光マーケティングに詳しい人物に聞いたところ、最近の日本の“爆安事情”について次のように語ってくれた。

「私鉄各線は訪日外国人客に利用してもらおうと必死です。なぜなら沿線の人口が減り、運輸収入が減っているからです。中には、いつも電車がガラガラで廃線を覚悟しなければならないような私鉄もある。そこに現れたのが訪日外国人客です。どんなに割引をしてもかまわないから1人でも多くの人に乗ってもらいたいというのが本音でしょう」

「買ってくれる客に対応するのは当然」

?1月27日、東京・銀座三越の8階に空港型免税店がオープンした。訪日外国人客をターゲットにした専用フロアである。

「あの銀座の老舗百貨店までもが・・・」という嘆きの声も聞こえてくるが、前出のマーケティング専門家は「ビジネスである以上、買ってくれる客に対応するのは当然」という。ひいてはそれが今の日本経済の下支えになるというわけだ。

?2015年、訪日外国人客が日本滞在中にもたらした旅行消費額は3兆4771億円になった。日本の定住人口1人当たりの年間消費は125万円だという。単純計算だと、日本人280万人分の消費額に匹敵する。

?そして、その旅行消費の多くを占めるのが中国人客による買い物である。2015年の中国人客の消費額は1兆4174億円となり、旅行消費額全体の4割にまで膨らんだ。

?ここ数年で、一国の経済がここまで「訪日外国人客」の影響を受けるようになったのは、まったく想像もつかなかった変化と言ってよい。訪日外国人客の消費で国を維持していく――いよいよ覚悟を決めなければならない時代が到来したのだろうか。

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World | 2016年 02月 23日 01:56 JST 関連トピックス: トップニュース
原油増産凍結合意、10━15ドルの価格押し上げも=ベネズエラ

[カラカス 22日 ロイター] - ベネズエラのデル・ピノ石油・鉱業相は22日、原油増産凍結合意に伴う価格押し上げ効果は1バレル=10━15ドルとなる可能性があるとの認識を示した。

同氏は国営テレビの取材に、石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟国に合意参加を呼び掛けた。

サウジアラビア、ロシア、カタール、ベネズエラの4カ国は先週、他の主要産油国が追随すれば、原油生産を1月の水準で凍結すると合意した。イランはこうした動きを歓迎したものの、自ら足並みをそろえるかは明言を避けた。凍結実現が見通せない状況だ。

同氏は、他のOPEC加盟・非加盟産油国が6月までに加わって、価格や供給量動向を監視する委員会設置を呼び掛けた。

先月のロシア、OPEC産油量は、記録的水準に近かった。

同氏は、記録的な原油在庫を踏まえると、行動を起こさなければ価格崩壊につながる恐れもあると警告した。
http://jp.reuters.com/article/venezuela-oil-minister-idJPKCN0VV1V0


World | 2016年 02月 23日 01:47 JST 関連トピックス: トップニュース
米産油量21年までに過去最高、シェール回復へ=国際エネルギー機関

[ロンドン 22日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)は22日、米産油量が2021年までに過去最高となる見通しを示した。

効率向上を追い風に、国内生産者が価格低迷への抵抗力を高めるとみられている。

IEAはこの日出した報告書で、米産油量は今年と来年にやや減少すると予想。その後、日量1420万バレルに増加すると見通した。

米シェールガス生産量の減少幅は、今年が日量60万バレル、来年はさらに日量20万バレルと予測した。その後上向き、21年には日量500万バレルに回復するとした。2015年からは日量77万バレル増える。

世界供給量の伸びは、15━21年が日量410万バレルと予想、09━15年は日量1100万バレルだった。

IEAは「需給の均衡が取れるのは2017年になるだろう。ただ、大幅に積み上がった在庫により、原油価格の回復速度は緩やかになる見込みだ」と予想した。

現在の原油価格に基づくと、今年の石油輸出国機構(OPEC)全体の輸出収入は3200億ドルと、ピークだった12年の1兆2000億ドル、昨年の5000億ドルから減ると推計した。

相場低迷に伴う開発計画の遅れが予想され、OPEC産油能力の伸びは、21年までに日量80万バレルにとどまるとした。

制裁が解除されたイランが、OPEC産油量を押し上げるとしたが、OPEC第2の産油国となるには不十分との見方を示した。

*内容、写真、カテゴリーを追加して再送します。
http://jp.reuters.com/article/iea-outlook-idJPKCN0VV14M


World | 2016年 02月 23日 01:14 JST 関連トピックス: トップニュース

 原油先物上昇、米シェールガス減産予想受け

[ロンドン 22日 ロイター] - 22日の原油先物相場は5%前後上昇した。 国際エネルギー機関(IEA)が、今年と来年の米シェールガス生産量が減少すると予想、供給過剰状態が改善に向かう可能性が意識された。

1326GMT(日本時間午後10時26分)時点で、北海ブレント原油先物LCOc1は1.61ドル(4.9%)高の1バレル=34.62ドル。

米原油先物CLc1は1バレル=30ドルの節目を突破、1.44ドル(4.9%)高の同31.08ドル。

ベーカー・ヒューズ(BHI.N)が公表した週間統計によると、米石油掘削リグ稼働数が、2009年12月以来の低水準となった。このほか、世界の株式市場が反発、商品市場の追い風となっていることも、原油相場を下支えしている。

ただ市場では、需要が鈍化する中、市況はなおぜい弱との見方も聞かれる。IEAは「現在の市場の状態をみれば、価格が短期的に急回復する可能性は低い」としている。
http://jp.reuters.com/article/cru-us-shale-idJPKCN0VV1PU


 

欧州債:総じて上昇−経済指標でECB追加緩和への期待高まる
2016/02/23 02:31 JST

    (ブルームバーグ):22日の欧州債市場ではユーロ参加国の国債が総じて上昇。域内景気の減速兆候で欧州中央銀行(ECB)が来月に金融緩和を拡大するとの見方が広がり、国債需要を押し上げた。
イタリア10年債も値上がり。英マークイット・エコノミクスが発表したユーロ圏の製造業と サービス業を合わせた2月の総合購買担当者指数(PMI)速報値は52.7と、約1年ぶりの低水準に低下した。欧州債の指標とされるドイツ10年債は3営業日続伸。先週に2015年1月以来の週間大幅高となった欧州株がこの日も上げたものの、ドイツ債には影響しなかった。ドイツ製造業の活動状況を示す指数は2月に1年3カ月ぶり低水準に落ち込んだ。
ブルームバーグ世界国債指数によれば、ドイツ債のリターンは年初から今月19日まででプラス3.4%。ドラギ総裁率いるECBが緩和を拡大するとの観測が背景にある。同国債は米国債とともに世界で最も安全な資産の一つと見なされており、年明けの株安に伴う質への逃避も支援材料だった。
ラボバンク・インターナショナルのストラテジスト、マシュー・ケアンズ氏(ロンドン在勤)は「域内経済が低迷からほとんど抜け出したと示唆するような力強いパターンが、主要経済データからは十分にうかがえない」と指摘。緩和「プログラムが最終的に拡大されるのは明らかだ。ドラギ総裁は政策委員会の中で十分な支持を得たように見える。市場の期待を好転させようとECBができる限りの措置を講じるのだから、これは強気の環境だ」と付け加えた。
ロンドン時間午後4時33分現在、イタリア10年債利回りは前週末比4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.52%。同国債(表面利率2%、2025年12月償還)の価格は0.37上げて104.36。同年限のスペイン債利回りは5bp下げて1.66%。一時は8日以来の低水準に達した。
ドイツ10年債利回りは2bp低下の0.18%。過去2営業日で7bp下げている。11日には0.13%と、昨年4月以来の低水準をつけている。
原題:European Bonds Advance as Data Support ECB Stimulus Speculation(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2YJ0D6S972H01.html


大手米銀、危機時の救済防止策に抵抗−長期債務の保有義務に反発
2016/02/23 00:58 JST

    (ブルームバーグ):危機時の銀行救済を防ぐ目的で米連邦金融当局がまとめた計画には、与信低下を通じて景気を損ねかねない要件が含まれるとして、大手銀行が反発している。
システム上重要な機関に指定された銀行に対し、深刻な損失を吸収する能力の引き上げを求める米当局の提案には、「非生産的もしくは不必要な要件が数々含まれる」と、米銀を代表するロビイスト組織5団体が22日、書簡で訴えた。提案の柱を成す長期債務の保有義務については廃止を求めた。
「過剰な要件」はJPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカ(BofA)など銀行の借り入れコストを押し上げ、「その結果、市場への信用コストが上昇し、経済に行き渡る信用の量が減少するというリスクが生じかねない」と書簡は説明した。
イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が「大き過ぎてつぶせない銀行問題」への対応策として重視する総損失吸収能力(TLAC)規則は、極端な財務悪化時に株式に転換できる債券の保有を銀行に義務づけている。
原題:Biggest U.S. Banks Fight Back Against Fed’s Too-Big-to-Fail Plan(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2YGINSYF01X01.html

G20財務相・中銀総裁会議、金融の安全網拡充する方法協議へ−当局者
2016/02/23 01:16 JST

    (ブルームバーグ):上海で26、27両日開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、世界の金融システムの安全網を拡充する方法が話し合われると、事情に詳しい当局者が明らかにした。
議題の詳細は正式発表されていないとして匿名を条件に語った同当局者によれば、各国の外貨準備や地域での緊急資金調達の合意、中銀のスワップ協定や国際通貨基金(IMF)といった既に存在するリソースを経済危機への対応でいかに調整するかが協議の内容に含まれる。
今年に入っての世界的株安や為替ボラティリティの急上昇を受けて、G20への注目度は高まってきた。市場混乱への対応で協調行動が今回取られる公算は小さいとかつての当局者らはみるものの、特に新興市場経済を支援する方法では小粒でも何らかの合意につながる機運が生まれる可能性はある。
当局者らによれば、新興市場から資金が流出している状況下での今回の会議では、資本フローの過剰変動を抑える方法や無秩序なデフォルト(債務不履行)回避に寄与でき得る集団行動条項の改善をIMFの改革とともに協議する。
原題:G-20 Talks Said to Examine How to Bolster Financial Safety Net(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2YGGXSYF01V01.html


World | 2016年 02月 23日 02:42 JST
英国の武装攻撃対策、EU離脱なら難しく=欧州警察機関長官

[ハーグ 22日 ロイター] - 欧州警察機関(ユーロポール)のロブ・ウェインライト長官は22日、英国が欧州連合(EU)を離脱した場合、武装攻撃や組織犯罪から市民を守ることが、今よりも難しくなるだろうとの見方を示した。

ウェインライト氏は、6月に実施される英国の国民投票でEU離脱が支持された場合、英国との情報共有のあり方を変えねばならないと述べた。

EU離脱を主張する英国のダンカン・スミス雇用・年金相は週末に、EUに残ればパリ攻撃事件に似た出来事が起きるリスクが高まると発言している。

ウェインライト氏は、英国はパスポートなしでEU内の自由な行き来を可能にするシェンゲン協定に加盟しておらず、国境管理を強化する権利は既にあると主張。一方で、英国の警察は欧州のテロ対策や諜報活動によって得た情報の共有のためのプログラムを構築する上で主導的な役割を果たしてきたとも指摘。もし英国がEUを離脱した場合は「別の移民・ビザ政策を選択することもできる」としつつ「どんな国境政策もかいくぐることができる秘密の犯罪ネットワークが密入国を手引きしている。残留・離脱のどちらを選択しても、英国はこうした組織に対して依然としてぜい弱であり続ける」と述べた。

ウェインライト氏は組織犯罪を取り締まる英国の重大組織犯罪庁(SOCA)で長官を務めたこともある。

http://jp.reuters.com/article/britain-eu-europol-idJPKCN0VV1XU

Business | 2016年 02月 23日 02:30 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
EU離脱なら英経済に打撃、格付け大手2社が再表明
[22日 ロイター] - 主要格付け会社ムーディーズとフィッチは22日、英国が欧州連合(EU)を離脱する決定を下した場合、英経済に打撃が及ぶとの見方をあらためて示した。

フィッチは離脱なら、目先の経済コスト、および著しい長期的リスクを伴うと指摘。

ムーディーズは現在「Aa1」としている英格付けの見通しを「ネガティブ」とする可能性があるとし、同国にとりクレジットネガティブになるとの見解を示した。

両社とも、離脱決定後の政治的な不透明性が英国の投資にマイナスの影響を及ぼし、経済、財政見通しを悪化させるとしている。

エコノミストや市場アナリストの間でも、離脱した場合には、英経済、およびポンドなど金融資産の重しになるとの見解が大勢となっている。

キャメロン英首相は20日、EU首脳会議が英国のEU残留に向けた改革案で合意したことを受け、残留の是非を問う国民投票を6月23日に行うと表明した。

*内容を追加して再送します。
http://jp.reuters.com/article/moodys-brexit-brief-idJPKCN0VV1SQ


Business | 2016年 02月 23日 02:26 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
ポンド/ドル6年ぶり大幅安の勢い、EU離脱確率上昇で

[ロンドン 22日 ロイター] - 22日の外為市場で、ポンドが下落。対ドルでは1日の下げが約6年ぶりの大きさとなる見通し。ロンドンのボリス・ジョンソン市長ら保守党の古参議員が英国の欧州連合(EU)離脱の支持に回るなど、英国がEUから離脱する確率が高まっていることが背景。

ジョンソン市長は21日、6月23日に実施される英国のEU離脱の是非を問う国民投票で離脱を支持すると表明。これを引き金に、ポンドは対ドルGBP=D4で一時7年ぶり安値を更新。対ユーロEURGBP=D4でも1.5%下落した。

ポンド相場の変動に対するヘッジコストGBP6MRR=は約4年ぶりの高水準に上昇。また、ポンドは貿易加重ベースで1年3カ月ぶりの安値をつけた。

英国債価格も下落。ただ、ポンド安が輸出業者への追い風になるとの見方から、英株価は上昇した。

格付け会社ムーディーズは同日、英国が欧州連合(EU)を離脱する決定を下した場合、同国にとってクレジットネガティブになるとの見解を示した。

米シティグループは英国がEUから離脱する確率を30─40%とし、これまでの20─30%から引き上げた。英国担当エコノミスト、マイケル・サンダーズ氏は「EU離脱派はこれまで英国の有力政治家からの支持に欠いていたが、ゴーブ司法相やジョンソン市長などの支持によって、状況は変わった」と述べた。さらに「英国がEUを離脱すれば、英国とEUは共に経済的、政治的に大きな痛みを伴う影響を受けることになる」としている。
http://jp.reuters.com/article/britain-eu-markets-pound-idJPKCN0VV1XJ

Business | 2016年 02月 23日 02:19 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
ポンド変動ヘッジコスト4年ぶり高水準、EU離脱観測高まる

[ロンドン 22日 ロイター] - 英ポンド相場の変動に対するヘッジコストが22日の取引で約4年ぶりの高水準に上昇した。

ロンドンのボリス・ジョンソン市長が6月に実施される英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票で離脱を支持すると表明したことを受け離脱観測が高まり、英企業の間でヘッジの動きが活発化したことが背景。

ポンド/ドルの6カ月物インプライドボラティリティーGBPVOL=は12.2%と、2011年終盤以来の高水準をつけた。6カ月物は相場がこの先どの程度急激に動くかを示す指標と見なされており、6月23日に実施予定の国民投票はこの期間内に入っている。

スポット市場では英ポンドは対ドルGBP=D4で2.3%安の1.4057ドルまで下落し、7年ぶり安値を更新した。

ロンドン市長が離脱支持を表明したことを受け、米金融大手シティグループが英国がEUから離脱する確率を従来の20─30%から30─40%とに引き上げるなどの動きが出ている。

英国の中小企業向けのヘッジ関連サービスを提供するフェニックス・パートナーズのディレクター、リチャード・デメオ氏は、「向こう数カ月に英ポンドが下落するとの可能性が織り込まれるなか、国内企業から強い引き合いがあった」と指摘。

「最終的には英国はEUから離脱しないとの見方から国民投票後にポンドが反発すると見込んでいる向きは待てるが、現時点では短期需要のヘッジが活発に行われている」と述べた。
http://jp.reuters.com/article/britain-markets-sterling-hedge-idJPKCN0VV1WU


World | 2016年 02月 23日 02:05 JST 関連トピックス: トップニュース
EU離脱の国民投票、再実施せず=キャメロン英首相

[ブリュッセル 22日 ロイター] - キャメロン英首相は、6月23日に予定している欧州連合(EU)離脱の是非を決める国民投票について、再実施はないと表明した。

これに先立ち、離脱支持の考えを明らかにした英ロンドンのボリス・ジョンソン市長は、離脱を支持しない限り、EUは英国の要望に真剣に耳を傾けないと述べ、離脱を決めれば一段と優位な条件をEUから引き出せるとの考えを示唆していた。

キャメロン首相は「知り合いにも離婚手続きに着手した夫婦はいるが、結婚の誓いを新たにするために離婚手続きを始める人はいない」とし、英国民が交渉の材料として6月の投票で離脱を支持することはできないとの考えを示した。

http://jp.reuters.com/article/britain-eu-cameron-referendum-idJPKCN0VV1VQ


Business | 2016年 02月 22日 19:59 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
英国離脱ならEUより英国に悪影響=イタリア首相

[ローマ 22日 ロイター] - イタリアのレンツィ首相は22日、英国が今年の国民投票で欧州連合(EU)離脱を決めれば、EUの市民よりも英国の市民に大きな悪影響が及ぶとの見方を示した。

首相は海外メディアとの会見で「英国のEU残留を望むが、離脱した場合、EUの市民よりも英国の市民のほうが大きな悪影響を受けるだろう」と発言。「英国が離脱し場合、最大の問題は英国の問題、英国の企業と市民の問題になるだろう」と述べた。
http://jp.reuters.com/article/britain-eu-renzi-idJPKCN0VV105

 

NBonline
「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」
老人ホーム連続転落死に見る「介護崩壊」の予兆

90歳入所者が暴露した「“豪雨”の介護現場」のリアル

2016年2月23日(火)河合 薫


 今回は「介護現場のストレスの傘」について考えます。

 以下のメッセージは、私の知人でもあり、最高齢の“友人”でもある90歳の女性が、先週送ってくださったモノだ。彼女は、有料老人ホームで要介護の夫と暮らしている。

 川崎市幸区の有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で入所者3人を殺したとして元職員の男が逮捕された件で、

「今度の事件もただうわべだけで判断できないものを感じています。介護の現場の実情を一人でも多くの人に知ってもらいたい」

と、メールを送ってくださったのである。

有料老人ホームに住む90歳の友人からの手紙

 容疑者の計画的な犯行は決して許せるものじゃない。「ストレスが殺害動機につながった」といった趣旨の見解も、あまりに直接すぎて引っかかるものもある。

 「他人事ではない」とする“友人”の話には、今の介護現場のリアルが描かれていれていた。そこで、“自分たちの問題”として、まずはお読みいただきたいと思う。

「Sアミーユ川崎幸町で起こったことは、他人事ではないような気がしています。殺害なんて絶対に許されることではないし、虐待も暴力もいかなる場合も許し難いことです。

 でも、入所者の中には大声で喚き散らす人、たえずヘルパーを呼びつける人、自分がわからなくなってしまった人、思うようにならないとヘルパーの手にかみつく人など、さまざまです。

 そんな人達の家族に限って 面会に来ることがなく、ホームに預けっぱなしなのです。

 私は夫とともに、毎日、食堂で食事をしているのですが、食事は終わったのに、食べた感覚がなく『食事を早くください!』『死んでしまいます』と大声でわめいている女性がいて、若いヘルパーが優しく対応している姿に頭の下がる思いがしています。

 ヘルパーさんたちがあまりに大変そうなので、食器を運ぶくらいお手伝いしようと申し出ました。でも、絶対にやらせてもらえません。ナニかあったときに、施設の責任になるからです」

「感謝の言葉だけでは、彼女・彼らが報われません」

 「先週、またヘルパーが2人辞めてしまいました。理由は『給料が少なくて結婚できないから』ということでした。離職者があとを絶たず、なかなか補充もできないので、残ったヘルパー達が、過重労働を強いられているのが現状です。

 ホームには各部屋にインターホーンが設置してありますが、認知症の進んだ入所者が夜間もひっきりなしに押すこともしばしばです。夜勤ヘルパーは、その度に対応しなくてはならない。就寝前に投薬が必要な人もいるので、夜勤の仕事はかなり重労働です。

 ヘルパーの中には夜勤はしない、という条件で勤務している人もいるので、限られたヘルパー達が順番でやっています。すぐに順番がやってくるので、真面目なヘルパーは体重は減るわ、顏はやつれるわで見ていて可哀想になります。私はいつもそんな彼等に感謝と激励の言葉を送っていますが、そんな感謝の言葉だけでは、彼女・彼らが報われません。

 みなさん、献身的にやってくださります。でも、……人間には限界ってものがありますよね」

「高齢者へ3万円支給するなら、介護関係に回すべき」

 「政府は『施設を作る』と言っていますが、その前にヘルパーの待遇を改善すべきだと思います。ヘルパー不足は入所者へ深刻な影響をもたらしているのです。1日4回だったオムツ交換が3回になり、夜間見回りもなくなり、適性があろうとなかろうとスタッフを採用するしかない。悪循環です。

 私は今度の事件で介護ヘルパーが尻込みしてしまわないか、心配です。多くのヘルパー達は献身的に頑張っているのです。待遇改善に向けた世論がもっと高まらないものか、といつも思っています。

 所得が低い高齢者へ3万円支給する余裕があるなら、介護関係に回すべき、だと思います。ここはまさしく姥捨山です。入所者たちはみんなそう言っています。

 入所者は、家庭内介護が限界にきたために、本人の意志ではなく“入れられた”人が多いので、私のように発言できる入所者は滅多にいないと思います。

 私のコメントがお役に立つようでしたら、こんな嬉しいことはありません。どうか薫さんのお力で、たくさんの方に現状を知ってもらってください」

 以上です。

介護施設が、人の「生きる力」を奪いつつある

 これが人生の終の住処、介護の現場のリアルです。

 介護する人、される人、介護施設を運営する人、預ける人……。

 “友人”のメッセージには、介護という現場に関わるすべての立場の人たちの、日常と、苦悩と、懸命さと勝手さと……。そして、自分ではどうにもできないジレンマが描かれていて、正直ショックだった。

 これまでにも介護問題は度々取り上げてきたし、現場の方たちの話をいくどとなく聞いてきたけど、今回改めて、介護施設という“環境の力”が、暴力的なまでに、そこに“いる人”の生きる力を食い荒らす“化け物”になっていると感じてしまったのだ。

 だが残念なことに、現状の「介護」には誰もが「問題あり!」と感じているのに、どこか他人事で。実際に自分の頭の上に“雨”が降ってこないことには、その雨の冷たさがわからない。

 そう。「すごい大変な雨が降ってる」と頭でわかっても、心で感じ取ることが実に難しい問題という問題がある(ややこしい)。

 私自身、自分では介護関係の人たちの話に耳を傾け、現場に足を運び、寄り添っていたつもりだったが、父のことがあって初めて本当の“雨”の冷たさがわかった。

 “プレ介護”状態になった父との関わり方に戸惑う事ばかりで。

 不安と、切なさと、怒りと、悲しさと……。ストレスの専門家なのに、ぐちゃぐちゃで上手く対処できなかった。唯一ホッとできた瞬間は、「なんか今日、パパ元気だ!」と感じられたときだけで。

 散々「生きる力」だのなんだの研究してきたにも関わらず、「人間に本当に生きる力なんて、あるのだろうか?」と思ってしまったり、研究してきた理論も、調査結果も、なんだかえらく遠い世界の出来事のように感じた。

 しかも、なぜがそれを誰にも言えなかった。いや、言いたくなかったといった方が正確かもしれない。

 自分でさえ認めたくない“自分“を感じとる瞬間があって、私自身がそれに耐えられなかったのだと思う。うまく言えないけど……。

増える介護施設での利用者虐待

 実はこの“友人”のメッセージを、他のメディアで取り上げたとき「90歳の方の言うことを鵜呑みにするのか?」「この介護施設だけの話だろ」という意見があった。

 批判を恐れずに言わせていただけば、「90歳を舐めるなよ!」と。“友人”は私よりよほどしっかりしていて、世の中を実に冷静に、客観的に、やさしく、ときに厳しく見つめるまなざしをもっている人生の大先輩だ。

 「うぬぼれかもしれないけど、私はここにいる人たちの代弁者だと思っています」――。 メッセージの最後にはそう加えられていた。

 そもそも介護保険制度は、介護を医療から分離することで始まった制度だ。高齢化が進み、医療の範疇のままでは医療費がかさみすぎるという考えから、医療と介護とに分けられた。専門家の中には、「そもそもこの制度自体、介護にはお金をかけないという視点から始まった経緯がある」と指摘する人もいる。

 人間には限界ってものがありますよね――。

 この言葉の真意を、もっともっと、一人でも多くの人が“我が事”ととして受け止め、考えて欲しくて、“友人”のメッセージをここでも取り上げさせてもらいました。

 厚労省が2月5日に、高齢者虐待防止法に基づき発表したデータによれば、2014年度に特別養護老人ホームなどの介護施設で発覚した職員による高齢者への虐待は300件(前年より35.7%増)で、過去最多を記録した。

 被害の約8割は認知症のお年寄りだった。また、虐待の内容は、殴る蹴るなどの「身体的虐待」が最も多く63.8%。次いで、暴言を吐くなどの「心理的虐待」、「経済的虐待」おむつを替えないなどの「介護放棄」だった。

 また、虐待をした職員の年齢は、「30歳未満」の割合が22%で最も高く、男性の場合は34.4%、女性だと17.3%を占めた。

 虐待の要因は認知症への理解不足といった「教育・知識・介護技術などに関する問題」が6割超と最多で、「職員のストレスや感情コントロールの問題」が約2割だった。

 厚労省の担当者は「知識不足とストレスが合わさって虐待に至ってしまうケースが多いようだ」としているという。

本人が独力で解決できる問題なのか???

 「知識不足とストレス」――か。

 確かにその通りなのだろう。だが、どこか他人事のようで……。もっと環境にスポットを当ててくれよ、と。

なぜ、「虐待」の原因にストレスがなってしまうのか? 
介護の現場の、ナニがストレッサー(ストレスの原因)になっているのか?
そのストレスを軽減するには、どうしたらいいのか? 

 厚労省の役人であればこそ、
「介護の制度やあり方には構造的に問題がある。超高齢化社会に向けて、国は根本的に考え直す必要があるかもしれない」
くらいのことを言ってほしかった。

 いかなる状況であれ、虐待や暴力は許されることじゃない。だが、そこで起こる“事件”は、環境の問題でもあり、心、すなわち感情の問題でもある。お国の“担当者”であれば、それくらいわかるはずだ。 

 批判ついでに言わせてもらえば、「知識習得」っていうけど、物理的にも精神的にもギリギリの状態で働いている介護の現場の人たちに、知識を習得する時間などない。今の状況のままで、たとえ機会を義務付けたところで、本当に効果的な教育が行えるのか?

 「離職者があとを絶たず、その補充もなかなか見つからないので、残ったヘルパー達が、過重労働を強いられているのが現状」(前述の手紙より)で、特に「夜勤」は精神的にも、肉体的にも負担だ。

 虐待が発生している現場では夜勤が月15日以上、勤務時間は280時間にも及ぶ例があり(NPO法人全国抑制廃止研究会調べ)、介護職の方の中には手取りが10万円ちょっとで、生活のためにバイトをしている人もいる。

 2015年12月の介護サービスの有効求人倍率は3.08倍で、全職種平均の1.21倍の2倍超。 14年度の年間離職率は16.5%(介護労働安定センターの調べ)。このうち勤続1年未満で辞めている人が約4割を占めた。約6割が「職員が不足している」と答えた。

学び、磨く時間がどこにあるのか?

 念のため繰り返すが、知識が重要なのは当然のこと。

 だが、いつ、どこで、どうやって知識を習得する機会が作れるのか? 現状をしっかり見据えた上じゃなきゃ、ただの机上の空論に過ぎないのである。 

 しかも厚労省は人手不足解消のために、介護職の資格要件の緩和の措置を打ち出している。団塊世代が75歳以上になる「2025年問題」に備え、質よりも量といわんばかりで、あべこべじゃないか。

 そもそも介護や保育などのヒューマンサービスワーカーたちは、究極の感情労働者(emotional labor)だ。

 かつて肉体労働者が、自分の手足を機械の一部と化して働いたように、感情労働者は自分の感情を自分から分離させ、感情それ自体をサービスにするため、とんでもなくストレスがかかる。

 特に介護現場の感情労働者は、サービス対象となる要介護者の数だけ、感情を切り分け、演じる必要があるため、降りそそぐ“ストレスの雨”も多い。

 認知症のおじいさん、車いすのおばあさん、ベッドで一日中すごす寝たきりの老夫婦……。身体の状態、認知機能、突然の変化、10人いたら10通りの“感情”が求められる。

 それでも“人生の最終章”を、できるだけ“心地よいひととき”を過ごしてもらいたい、少しでも“笑顔”にさせてあげたいとほとんどの介護職の方たちは願っている。

 もちろん鼻っからヒューマンサービスの適性が微塵もない人もいるかもしれない。人手不足から適性を見極める余裕もなく、人を雇っている施設も少なくない。でも、それでも、「多くのヘルパー達は献身的に頑張っている」(前述の手紙より)のである。

年中“雨季”なのに、どこにも傘がない

 
 だが、ギリギリの人数で、長時間労働を強いられ、二言目には「責任、責任」と家族から責められ、高齢者と上手くコミュニケーションが取れなかったり、何度注意しても聞いてもらえなかったり、暴れられたりしたら……、誰だって心が折れる。

 真逆の感情が自分の内部で激しくぶつかりあい、「抱くべき(抱きたい)感情」と「抱いた感情」のズレを修正できず、感情の不協和に陥り、燃え尽きたり、罪の意識にさいなまれたり、本当の自分が分からなくなったりと、極度なストレス豪雨でびしょ濡れになってしまうのだ。

 いわゆるバーンアウト。

 「持続的な職務上のストレスに起因する衰弱状態により、意欲喪失と情緒荒廃、疾病に対する抵抗力の低下、対人関係の親密さの減弱、人生に対する慢性的不満と悲観、職務上能率低下と職務怠慢をもたらす症候群」

 こう定義される状態に陥るのである。

 実際、介護職に携わる3割以上もの人がバーンアウト状態にあるとの報告もあり、「賃金の低さ」だけじゃなく、バーンアウトも離職の大きな理由なのだ。

 つまり、「ストレス」「ストレス」とマスコミも含め言葉を連発し、「ストレスが虐待の原因」などと口にする“先生”もいるが、介護の現場はもともとが“湿潤気候”。梅雨のようなシトシトとした雨と、落雷を伴うゲリラ豪雨が繰り返し降る、ストレスの雨の多い職場だ。

 そういった職場環境では「雨を減らす努力」と「傘を増やす努力」の両方が求められる。

「3万円」を何に使いますか?

 そう。どんなに雨の多い職場でも、傘をたくさん準備し、時には同僚や入所者の家族に傘を借りたり、傘に入れてもらえれば、びしょ濡れにならずにすむ。だが、今の介護の現場には「傘」がない。。

・時間的余裕
・余暇や休息の時間
・専門知識
・専門的スキル
・サポーティブな人間関係(上司、部下、同僚、入所者の家族 etc)
・労働に見合った金銭的報酬
・ねぎらいの言葉などの心理的報酬
・社会からの評価
etc etc…… 

 そういった“傘”がない状態で、土砂降りの雨の中で戦わされている。傘で雨をしのぐことさえできれば、「おじいちゃんやおばあちゃんの笑顔」で、元気になれる。

 「大変だったけど、良かった」――。
  そんな風に思える瞬間が職務満足感を高め、モチベーションを引き出し、いいサービスにつながっていく。

 と同時に、雨を上手くしのいだ成功体験が、そこで働く人たちのストレスに対処する力を育くみ、激しい雷雨に襲われても、折れない生きる力を引き出すのである。

 私が今、書いていることは「夢の世界」だと思われるかもしれない。ふむ。そのとおりだ。でも、こういった傘の多い世界を目指すべきだし、雨を雨と感じなくてすむ教育をすべきだし、そうなれば、「年をとることの不安」も少しだけ軽減できる。

 とはいえ最大の問題は、こんな夢物語を語っている最中にも、土砂降りの雨に濡れている介護職の方たちが山ほどいて、せつない思いをしてるおじいちゃん、おばあちゃんがいるってこと。

 では、どうすればいいか? いちばん手っ取り早く増やせる傘は何か?――。それはとにかく「賃金を上げる」ことだ。

 「所得の低い高齢者へ3万円支給する余裕があるなら、介護関係に回すべき」(前述の手紙より)。

 介護職員の平均月収は21万円程度で、他の職種より10万円ほど低い。これには施設長や看護職員など、比較的高い賃金の職種の方たちも含めた数字なので実際の月収は10万円程度という人も多い。

 この低賃金を一般平均である30万円程度にするには、年間1兆4000億円が必要となる(NPO法人社会保障経済研究所算出)。労働人口で単純計算すると「1人あたり年間3万円弱」。今後、高齢化がさらに進むことを考えれば、将来的には負担額はもっと多くなるに違いない。

 3万円の価値。アナタはどう考えますか?

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