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ツタヤ図書館の二の舞いか…愛知県西尾市で市民&市職員が異例の反対運動!豪華スポーツ施設に(Business J)
http://www.asyura2.com/16/hasan109/msg/491.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 6 月 06 日 01:06:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

                抗議活動を行う西尾市民


ツタヤ図書館の二の舞いか…愛知県西尾市で市民&市職員が異例の反対運動!豪華スポーツ施設に
http://biz-journal.jp/2016/06/post_15371.html
2016.06.06 文=関口威人/ジャーナリスト Business Journal


「西尾の抹茶」や「一色うなぎ」などで知られる歴史と産業の街、愛知県南西部の西尾市が、カタカナ言葉のまちづくりに揺れている。「西尾市方式PFI」「サービスプロバイダ方式」「包括マネジメント」……。最長「30年」で「327億円」の公共事業をたった「1社」に任せる―−。難解な用語と不可解な数字が飛び交う計画案は、地方都市の衰えを食い止める良薬なのか、「死ぬかも」しれない劇薬なのか。6月下旬の市議会での議案採決に向け、反発を強める市民らの声を聞いた。


■「#西尾死ぬかも」の悲鳴


「中身はわからない言葉だらけ。周りの友達は誰も知らない。それなのに半数以上の議員が賛成していると聞いて、めまいがした。こんなに急いで何もかもやる必要があるのか。おかしな西尾式PFIを白紙に!」


 50代の主婦が壇上から訴えた。5月22日、西尾市文化会館大ホールで開かれた「市民集会」。会場に詰め掛けた約500人が「PFI反対」の気勢をあげる。地元住民だけでなく、「ツタヤ図書館」建設計画を見直しに追い込んだ同じ愛知県小牧市の住民も応援に駆け付けていた。


 参加者は、市に計画の白紙撤回を求める決議文などを了承した後、市内の中心部へ「デモ行進」。手にしたのぼり旗には、今回の問題をインターネット上で共有する「#西尾死ぬかも」というキーワードも刷り込まれている。「こんなことするのは生まれて初めて。でもとにかく納得がいかないのよ」と60代の女性は怒りを露わに街を練り歩いた。


 この集会の主催者は、市の職員組合や地元の建設業協会など、普通なら「推進側」にいてもよさそうな人たちだ。西尾市建設業災害防止協会の高原宏会長は「300億円もの事業を一括発注し、その事業会社は建設の素人で“ペーパーカンパニー”でいいのだという。われわれも一緒にやらないかと打診されたが、拒否した。あまりにも問題の多い仕組みだからだ」と公然と批判を展開。いったい、これほどの反発を招く「西尾式PFI」とはどんなものなのだろうか。


■5年前の合併を機に掲げた理念


 鎌倉時代から城下町として栄えてきた西尾市は、2011年4月に周辺の一色(いっしき)町、吉良(きら)町、幡豆(はず)町の3町を吸収合併、人口約17万人の新市となった。


 合併にともない、1市3町それぞれにある重複した公共施設の統廃合などを、少子高齢化や厳しい財政状況、老朽化といった観点を踏まえて検討し始めた。国も音頭を取って促す公共施設の「再配置」という考え方だ。


 西尾市は役所内にプロジェクトチームを設置、各施設の現状のデータを集約した上で、再配置の基本理念や方針を「再配置基本計画」として12年4月にまとめた。その後は公共建築の専門家らを交えた検討会を計12回開いたり、施設の劣化調査を2年がかりで行ったりして、さらに具体的な「実施計画」を14年3月までに策定。再配置の対象は357施設、887棟とし、それらの統廃合による規模圧縮や建物の長寿命化によって「30年間で約731億円のコストが削減される」などと試算した。


 こうした市としての意欲や労力、議論の積み重ねはなかなかのものだと素人目にも感じさせる。市のアドバイザーを務めた公共建築の専門家、名古屋大学大学院工学研究科の恒川和久准教授も筆者の取材に対し、「西尾市ほど、このテーマで職員向けに研修を重ねてきたところはない。単純に公共施設の数を減らすのではなく、いかに市民サービスを低下させずに統廃合するかを真剣に議論していた」と評価する。


 ところが、こうして高く掲げた理念が、現実的な「手法」の面から厳しく問われることになるのだ。


■全国初の方式導入、注目集める


 市が実施計画で打ち出した手法は「PFI」、しかも日本初の方式を取り入れた「西尾市方式PFI」と呼べるものだという。


 PFIは「プライベート・ファイナンス・イニシアチブ」の略で、公共施設の建設や維持管理、運営に民間の資金とノウハウを生かし、安価で質の高い公共サービスを求める手法だ。イギリスなど先進国をモデルに、日本でも1999年に「PFI法」が制定され、国や全国の自治体が導入。内閣府によれば15年9月末までに全国で累計511件、約4.5兆円のPFI事業が実施されている。


 通常は初期投資を民間がまかない、行政は契約の事業期間内に「サービス対価」として事業費を分割で支払う。事業期間は平均18年ほど(2011年時点の総務省調査)で、「30年」は決して極端な長さではない。事業終了後は民間が土地や建物を行政に明け渡す。


 事業を担うのは、複数の民間企業で構成する特別目的会社(SPC)。ただし、これまでのSPCは大手ゼネコンやデベロッパーが代表となっていたため、短期的な「ハコモノ」整備には有利だが、長期的な運営や地元企業の参画には不利な面があった。


 そこで西尾市は、SPCの代表企業を建設・不動産会社以外の地元企業に任せ、地域に密着した施設運営を優先させる「サービスプロバイダ方式」という手法を日本で初めて採用することにした。また、PFIは民間の「創意工夫」を引き出すため、施設の細かな仕様は問わず、大まかな「性能」を求めて発注する。西尾市はこの「性能発注」の基となる「業務要求水準書」づくりに市民の声を反映させるとして、「にしお未来まちづくり塾」という市民ワークショップを開催。公募の市民約50人が14年度に7回、専門家を交えて意見交換を重ねた。



 西尾市のこうした取り組みはPFIの先進事例として他の自治体やメディアも注目。15年2月には優秀な土地建物の活用事例が表彰される「日本ファシリティマネジメント大賞」の奨励賞に選ばれた。だが、それから市が業務要求水準書などをまとめ、募集要項を公表、15年度に入り応募者やその企画提案内容を徐々に明らかにすると、矛盾や疑問が噴出し始めたのだ。


■応募は1社、提案はスポーツ施設中心


 15年12月、企画提案書の提出期限が過ぎても応募は「1社」だけにとどまった。市は予定通りその提案内容の評価を、弁護士などで構成する有識者会議に諮った後、16年1月に「公開プレゼンテーション」として市民約460人の前で応募者自らが説明する機会を設ける。しかし、そこに招かれた「まちづくり塾」のメンバーは、提案内容を見て「びっくりして、目が点になった」と証言する。


「目立ったのはフィットネスクラブやスケートボード場などのスポーツ施設ばかり。自分たちは子どもや身障者に使いやすい施設は何かなどを話し合ってきたのに。周りも『こんな話は1回も出てきていない』とあきれ、あまりの違いに『息苦しくなった』というメンバーもいた」


 市が今回のPFI事業に求めたのは、地区や用途別に分けた8つの「再配置プロジェクト」のうち5つで、3施設以上の新設、改修・解体26施設、運営6施設、維持管理160施設などを含む。それらを市が一括して30年間、SPCに委託する計画だった。全国のPFI事業案件を取りまとめる日本PFI・PPP協会は「それだけの数を一本にまとめて発注する事例は今まで聞いたことがない」と認める。


 唯一の応募者となったのは、市内でスイミングスクールやスポーツクラブを運営する民間会社を代表とした計14社による企業グループだ。事業費は市の予定価格を5000万円ほど下回る約327億円(税抜き)で提案。しかしその内容は、温水プールやフィットネスクラブにフットサルコート、そして「エクストリームパーク」と称する「東海地区最大級」のナイター設備付きスケートボード場など、市民の目には「ぜいたく」に映るものばかりだった。合併前の一色町役場跡地には10階建ての市営住宅が提案されたが、先のまちづくり塾メンバーは「海沿いにある中学校が内陸の役場跡地に移ればいい」などと話し合っていたというが、「そんなことはまったく反映されていない。これで市民の声を聞いたと宣伝されるなら、私たちは利用されただけだ」とショックを受けている。


 アドバイザーを務めていた名古屋大学の恒川准教授も「スケートボード場などは説明会で初めて知り、正直びっくりした」と漏らす。


 これについて、担当する市資産経営戦略課の鈴木貴之主幹は「スケートボードは2020年の東京オリンピックで正式種目に選定される見込みで、行政からは出てこない民間ならではの斬新な提案だ」と評価する。しかし、応募企業側からは「スケートボード場はむしろ市側が造りたいとして主体的に進めてきたプランだった」と、食い違った話も出てくる。コンサルタント業務を手掛けた大阪市の五星パブリックマネジメント研究所の天米一志所長は「若者グループからスケートボード場がほしいという声は確かに出ていた。提案の発端はあくまで事業者からだが、交渉の中で市が乗り気になったということだろう。いずれにしてもエクストリームパークは全体の中では付帯事業のような位置付けで、それ以外のコアな事業をしっかりやることに意味がある。市営住宅も、従来ならまったく取り入れられない市民の意見が、まだこれから入る余地があるのが今回のPFIだ」と釈明する。


■縮小案で仮契約も、深まる混迷


 しかし、ふたを開けて唐突に出てきたスケートボード場や、「327億円、30年間、1社にお任せ」といった数字のインパクトで、波紋は一気に広がった。ネット上には378億円に上る市の借金(14年度の市債残高)と比較して、この事業を進める市長や市議会を「お花畑だ」と揶揄する動画が「#西尾死ぬかも」のハッシュタグとともに拡散されている。


 市民集会を主催した「身内」である市職員組合は「公共施設再配置には賛成だが、西尾市方式PFIは当初の理念から大幅に外れており、税金の節約にはつながらない。私企業の思惑に翻弄される将来像が見え、市に明るい未来は見いだせない」と主張。これに対して市の鈴木主幹は「公共事業の考え方を180度変えなくてはならず、PFIには必ずアレルギー反応がある。西尾ではそれが今、頂点に達しているのだろう。われわれとしては産みの苦しみだと思っている」と強気な姿勢を示した。


 反対運動が高まる中で、市は5月30日に企業グループと仮契約を締結。ところが、そこでどんでん返しがあった。懸案のスケートボード場や、建て替えが急務といわれていた学校給食センターの2施設が外れ、さらに新設以外の維持管理業務などの事業期間は30年間から「15年間」に変更、総事業費は税込み約215億円に圧縮されたのだ。


 これらの変更は「市民の不安感を払拭するため、断腸の思いで決断された」(鈴木主幹)という。ただし、2事業とも実現に向けた協議は続けられ、スケートボード場はさらに具体化できれば「追加提案」も可能だとする。事業期間も、16年目の実績を踏まえて契約更新もできる内容だ。仮契約に合わせて発足したSPC「エリアプラン西尾」事務局も「まったくやめてしまうわけではない」と継続協議であることを強調しながら、「今回は従来の造るPFIではなく、削るPFI。少ない予算の中で、市と協議しながらギリギリでやっているつもりだ。われわれは幹事役として、最終的に140社近くになる見込みの参加企業をまとめたい」と意気込む。


 契約に関する議案は6月27日の市議会定例会に提出され、採決されれば本契約が結ばれる見通しだ。あるベテラン議員は「これだけ市が折れたこともあり、今まで賛成だった議員があえて反対に回ることはないだろう」とみるが、反発が予想以上に強まれば棄権する議員なども出そうだという。別の議員は「一番急がなければならない学校給食センターが外されたことで、なんのためのPFIなのか、むしろ混迷の度合いが深まった」とする。


 職員組合も「給食センターを外すことは明らかに要求水準書の変更になる。スケートボード場も批判が高いからほとぼりが冷めるのを待つだけとも読み取れる。30年でなく15年なら妥当なのか、という議論もされていない。市民軽視のごまかしだ」と、むしろ批判を強める。


 高度成長期に一斉に建てられた公共建築の建て替えや維持は、全国の自治体が抱える課題だ。それに正面から取り組み始めた西尾市の姿勢は評価できるはずだろう。だが、ここまでの事態をみると、どこかでボタンの掛け違いが起きてはいないか、それを見ないことにして無理を通そうとしていないかと、首をひねらざるを得ない。


 今回の混乱で逆説的に、西尾のまちづくりへの関心が高まっているのは確かだ。これを機に、よりよい方向へと解決して、「全国初」と本当に胸を張れる成果を残してほしいものだ。


(文=関口威人/ジャーナリスト)
 

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コメント
 
1. 2016年6月06日 18:55:08 : f5hmM5b0qw : @92Pk@VXMPs[7]
公共サービスの新たな民営化方式。行政サービスの水準を維持させることが主眼。
事実公務員の50歳以上の人件費は年収1000万前後。これら巨大な寄生虫世代ごと移管できれば最高なんだよね。

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