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中国経済、失速鮮明に…公的資金で強引に「官製バブル」演出、メッキ剥がれ始める(Business Journal)
http://www.asyura2.com/16/hasan109/msg/515.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 6 月 07 日 00:55:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

中国経済、失速鮮明に…公的資金で強引に「官製バブル」演出、メッキ剥がれ始める
http://biz-journal.jp/2016/06/post_15383.html
2016.06.07 文=真壁昭夫/信州大学経法学部教授 Business Journal


 最近、「中国経済が持ち直しつつある」との楽観的な考えが広がっている。その背景には、住宅価格を中心に不動産市場が回復していることがある。不動産開発の盛り上がりや政府の公共投資の期待を受けて、一部の鉄鋼メーカーは減産ではなく増産に踏み切っている。政府による融資規制の緩和などが不動産投資を支え、一時的にセンチメントが改善している。それを一部の経済専門家は「持ち直し」と見ているようだ。

 ただ、経済指標を見る限り、依然として中国経済は減速している。1〜3月期のGDPは6.7%増となり、足元の製造業部門全体の活動も伸び悩みが鮮明化している。これまで中国政府は、不動産から株式、そしてまた不動産へと投資資金のシフトを促して景気を支えてきた。株式市場が低迷すると、政府は融資規制の緩和などを打ち出して資金を不動産に流れ込ませてきた。問題は、そうした表面的な動きに反して、実体経済の本格的な動きが遅れていることだ。

 また、足元では人民元がやや軟調に推移している。それは米ドルの先高観だけでなく、中国の減速懸念や不動産市場の先行き不透明感を反映しているといえる。先行き、人民元が大きく下落すれば世界の投資家が中国経済の変調を懸念し、リスク回避が進む恐れがある。それは、円高圧力を高めるだけでなく、多くの新興国の景況感悪化にもつながる。チャイナリスクの高まりが、わが国の景況感を悪化させることには要注意だ。

■中国経済に対する楽観を支える不動産市場

 足元の中国経済を支えている主な要因は、住宅価格の上昇を中心とする不動産市場の回復だ。GDPや工業生産などを見ると、指標そのものの水準は低下している。一方、その内訳を見ると、不動産向けの投資、販売床面積などの伸びが顕著だ。つまり、中国経済は基調として弱い動きが続いているが、住宅を中心とする不動産市場の回復が弱さをある程度補っている。それが、一時的に景気への懸念を後退させている。

 問題は、不動産市場の回復が持続可能か否かだ。結論からいうと、不動産市場での本格的な需要の回復は見られない。住宅などの価格上昇は、政府による規制緩和と利下げを受けた一時的な投資(投機)熱に支えられているとみるべきだ。

 2014年以降、中国政府は頭金比率の引き下げや、外国人に対する不動産投資規制の緩和などを打ち出してきた。一方、中国人民銀行(中国の中央銀行)は利下げや金利の自由化を行うことで、不動産向けの投融資を支えた。その結果、4月の新築住宅価格は、主要70都市のうち65都市で上昇した。住宅価格が上昇した都市の数は3月から3都市増え、大都市だけでなく中小の都市にまで住宅価格の上昇が浸透している。この状況はバブルというべきかもしれない。

 中国が住宅投資に関する規制を緩和したのは、住宅在庫を減らしたかったからだ。同時に、政府は不動産市場へのテコ入れを通して景気を支えたかったはずだ。この結果、15年6月に急落した株式市場から流出した資金が不動産市場に流入し、株価下落の影響を補ったのである。

 そして、住宅市場の上昇は鉄骨などの需要を喚起し、鉄鉱石価格の反発につながった。過剰な生産能力のリストラが急務である鉄鋼メーカーのなかには、期待先行で減産ではなく増産に乗り出した企業もある。実体経済が弱いだけに、中国政府は資産価格を実態以上に膨らませて懸念を食い止めようとしている。つまり、政府は規制緩和などを通して株式市場から不動産市場への資金シフトを促し、バブルを小規模に発生させることで一時の楽観を醸し出している。

■高まるハードランディングの懸念

 投機に支えられた経済は不安定だ。一時的な楽観を指摘する向きもあるが、それは慎重に評価すべきだ。そして、中国政府も不動産市場の過熱に懸念を持ち始め、融資規制の強化を進めている。規制の強化を受けて、住宅価格の上昇をけん引してきた上海、シンセンでは住宅価格の伸び率が鈍化している。住宅価格の上昇に刺激されて上昇してきた大連の鉄鉱石先物市場でも、投機の取り締まりが進められている。

 そうなると、多くの専門家が中国のハードランディングを懸念せざるを得なくなる。ハードランディングとは、加熱した景気が急速に冷え込み、金融市場や経済に無視できない混乱が生じることを指す。今すぐにハードランディングが発生するとは考えにくいものの、短期的には金融市場が大きく混乱し、世界経済の景況感が急速に悪化するリスクはあまり高くないとみる。

 なぜなら、中国には利下げなど金融政策に余地があるからだ。外貨準備の減少にも歯止めがかかっている。今のところ、先進国に比べて財政にも余裕があるはずだ。加えて、不動産市場の悪化を受けて流出したお金を再度、株式市場に流入させる措置も進めている。シンセン-香港間の相互取引の実現は、本土株式市場への資金流入を支えるだろう。また、いまだに中国政府は公的資金を用いて株価の買い支えを行っている。

 一方、要注意なのは中国政府の相場管理能力だ。16年年初にもみられたように、株価の急落を受けて、政府が無理やり売買の停止などを発動しても効果は限定的だ。むしろ強制的に売り圧力を抑えようとすれば、市場の混乱は高まる。中国市場の混乱は当然、わが国をはじめ世界の金融市場にも波及するはずだ。中国政府は、今年年初にサーキットブレーカーを導入したことが市場の混乱を増幅したことを反省し、相場管理の運営を改善してきた。そこには一定の成果が見られるはずだ。

■日本と世界経済への影響

 中国経済が減速していることは事実だ。中国の景気、金融市場の下振れリスクに対する注意を怠ることはできない。中国経済への懸念が高まり、世界各国に影響が広がるというチャイナリスクの波及経路のなかで、中国の人民元の動向には注意が必要だ。昨年11月末、国際通貨基金(IMF)は人民元を特別引き出し権(SDR、各国の外貨準備資産を補完する国際準備資産)に加えることを決めた。それは、人民元がより広範に自由に取引されることを意味する。つまり、不動産市況の悪化など中国経済の変調は直接、為替レートに反映されやすくなる。

 足元まで人民元はドルに対して下落基調で推移した。その原因は、原油価格の上昇が米国のインフレ期待を高め、ドルが上昇したことだけではない。中国の不動産、鉄鉱石先物の価格上昇がいき過ぎているとの懸念も影響しているはずだ。金融市場ではチャイナリスクに対する懸念が徐々に上昇し、人民元への売り圧力が高まりやすくなっている。

 人民元の下落リスクは、日本経済に無視できない影響をもたらす。昨年8月、あるいは今年1月のように、人民元が急落すると世界の投資家はリスク回避に向かいやすい。その場合、経常黒字やデフレ経済下での実質金利の高さを理由に、円は安全通貨として買い進められやすい。

 すでに、円高は日本企業の業績を圧迫している。ドル安・円高だけでなく人民元をはじめとする新興国通貨に対する円の上昇は、新興国事業を強化してきた企業の減益要因だ。中国への懸念は、新興国全体からの資本流出圧力を高めやすい。人民元安は、多くの新興国通貨の下落につながる。それが、ドル以外の通貨に対する円の上昇圧力を高める。

 一部では中国経済が持ち直しつつあるという見方があるようだが、引き続き中国経済の動向は慎重に見たほうがよい。不動産や株価の動向次第では、下方リスク拡大が意識されやすい。それが人民元の下落圧力を高め、円高、株安、そして企業業績への懸念など、日本経済にマイナスの影響をもたらすことには注意すべきだろう。

(文=真壁昭夫/信州大学経法学部教授)
 

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