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経済対策「20兆円」の規模は適正か(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/16/hasan111/msg/368.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 7 月 28 日 09:12:20: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


経済対策「20兆円」の規模は適正か
http://diamond.jp/articles/-/96767
2016年7月28日 高橋洋一 [嘉悦大学教授] ダイヤモンド・オンライン


■マスコミもきちんと区別できていない
 「ヘリコプターマネー」の種類


 前回の本コラムでは、「ヘリコプターマネー」(http://diamond.jp/articles/-/95525)について書いた。ヘリコプターマネーとは、財政支出を国債発行で賄い、同時に中央銀行がその国債の買い入れることである。この財政政策と金融政策の合わせ技の手法は、money-finance、monetizationと英語では言われる。


 しばしば補給金や減税という財政政策面に目を奪われて、この手法の意味を勘違いする。識者の中には、地域振興券の配布もヘリコプターマネーという人もいるが、これは普通の財政政策であり、ヘリコプターマネーではない。ヘリコプターマネーでは、中央銀行が国債を買い入れると通貨が発行されることにその本質がある。


 なお、財政政策では、給付金や減税などのように広い範囲を対象とするものもあるが、特定地域、特定事業のように狙いを絞って行うことも多い。後者であっても、有効需要増加という意味では、前者と同じであるので、その財源調達を事実上通貨発行によるのであれば、ヘリコプターマネーの一種になる。


 ただし、中央銀行の国債買い入れには、2種類ある。この区別は法律面であり、経済政策としての区別はほとんどない。一つは既発国債を買い入れる場合であり、これは現行法にはまったく抵触しない。もう一つは新発国債を引き受ける場合である。両者の経済的な効果は同じであるが、後者は法的に財政法による国会議決を要し、無条件ではできない。


 つまり、新発国債の日銀に引き受けによるヘリコプターマネー1と、既発国債の日銀買入によるヘリコプターマネー2がある。ヘリコプターマネー2は今の量的緩和であり、問題なく行われるが、ヘリコプターマネー1は実施のハードルが高い。


 このため、ヘリコプターマネーがヘリコプターマネー1を意味する場合には、政府関係者であれば、発言を慎重に行い否定的に言う。


 つまり、黒田総裁や菅官房長官がヘリコプターマネーを否定的に言うのは、ヘリコプターマネー1のことである。一方、ヘリコプターマネー2はなんの制約もなく、今でも行われている。


 今のマスコミ報道では、この両者を区別して書いているモノは皆無であり、それがこの議論の混乱を呼んでいる。この混乱は、市場関係者からみれば市場の夢、期待にもなるので、市場が沸いているともいえる。もともと市場関係者は言葉には厳密でなく、雰囲気を味わう人が多いので、ヘリコプターマネーを筆者のように厳密に扱うのは無粋ともいえるのだが。


■否定する識者も多いヘリマネ
 ハイパーインフレ、国債暴落になるのか?


 ヘリコプターマネーを否定的にいう識者も少なくない。ちょっと前までは、ヘリコプターマネーをするとハイパーインフレ、国債暴落になるという人が多かった。


 さすがに、今ではヘリコプターマネー2(これは経済的な効果としてはヘリコプターマネー1とほぼ同じ)をしても、さっぱりハイパーインフレ、国債暴落になっていない。それどころか、マイナス金利である。これは、本コラムに書いように(2015年12月17日付け『「お札を刷って国の借金帳消し」ははたして可能か』)、政府と日銀をまとめて「統合政府ベース」でバランスシートをみると、日本の財政危機はかなり遠のいているのだ。このため、国債暴落という状況になっていない。


 なお、国債暴落論者は、日銀が保有している国債がいずれ市中に放出されることを前提にしている。というか、日銀が大量に国債売却しないと国債暴落のシナリオが完全に崩れるからで、国債暴落論者のメンツの問題だろう。


 これは、日銀の出口戦略に関係するが、日銀が語らないので、日銀の大量国債売却は今のところ否定されない説としていってもいいだろう。しかし、ちょっと頭を使えば、果たしてそうした事態になるかどうか(インフレ率が2%を大きく超えるかどうか)、その場合日銀がそうするかどうか(日銀は国債を売却せざるを得ないかどうか)、はなはだ疑問である。


 まず、今の日銀の国債買い入れペースはそれほど急激でない。そういうと今でも「大量に購入しているではないか」という批判が来るが、筆者の言うのは、インフレ率が急速に高まるほどのペースでないという意味だ。筆者の過去の本コラムを見てもらえればわかるが、インフレ目標2%が達成できる程度であり、それ以上のインフレになるような量的緩和ではないのだ。


 さらに、もしインフレ率が2%を大きく超える場合であっても、必ずしも国債売却は必要ない。そうなった場合、景気が過熱しているわけで政府が増税することも有効な手段である。


 なにしろ、2014年の消費増税前には、1.6%程度まで順調に上昇していたインフレ率が消費増税で直ちに低下に転じたわけだ(2015年3月19日付け本コラム『「2%インフレ目標未達」の批判は誤解で的外れ』)。


 それほど消費増税はインフレ率を下げる効果がある。増税はそうした景気過熱に冷や水をかけるのが本来の使い方である。また、金融政策の中でも国債売却の代わりに準備率の引き上げという手法もある。いずれにしても、インフレ率が2%を超えても、日銀の国債売却によらない手法もある。


 いずれにしても、国債暴落論者は、インフレ目標があることを忘れて、暴落という。これは金利高であるが、インフレ目標を大きく破る事態であるので、そもそもそうした経済運営をしないように財政政策と金融政策を行うことを頭っから否定しているので、極論になりがちだ。


 世の中には、統合政府ベースでバランスシートをいうと、「日銀の保有国債を償却するつもりか」という暴論が出てくる。こうした空理空論を考えなくても、日銀が保有している国債は、償却もされずに、ほぼ永遠に借り換えられるという方が、実際のオペレーションに近い。


■バーナンキ氏来日で語られた
 永久債発行はアクロバティック過ぎる


 しばしば日銀引き受けは禁じ手と言われるが、日銀保有国債については乗り換えと称して、これまでも日銀引き受けが行われてきた。その時々の国債市場の需給に応じて、保有国債全額ではなく一部について乗り換え(日銀引き受け)が行われきたが、筋としては国会議決を受ければ全額日銀引き受けでも問題ない。


 ここまで考えると、バーナンキ氏が来日したことから、政府が永久債を発行して、それを日銀引き受けするという話がまことしやかに市場では語られたが、それはちょっとアクロバティック過ぎることがわかる。


 筆者は、今の制度(国債ニ関スル法律等)で、政府の永久債発行を明示的に禁止していないと思う。国債ニ関スル法律第1条では、償還期限を定めることになっているが、「定めない」と定めることも可能であろう。


 経済学的に見れば、毎年利払いをして遠い将来に元本も返すことと、毎年少し余計に利払いして元本を返さないのはまったく同じであるからだ。


 ただ、現実の経済対策は、8月の内閣改造の後、9月の臨時国会で補正予算として提出しなければいけない。制度上の細かい詰めをしながら、永久債発行を検討するくらいなら、例えば60年債にしたほうがはるかに簡単だ。実際、60年債なら金融商品としてほぼ永久債と同じである。


 しかも、今回の経済対策では財投債を発行する。2月25日付けの本コラム(「マイナス金利は心配無用 国民も政府もメリットのほうが大きい」)では、財投債活用のインフラ整備を提言しているが、おそらく日本で最初に財投債活用を書いたもののはずだ。


 その趣旨に戻れば、財投債は超長期のほうが望ましい。今のインフラは制度としては60年償還を原則としている。であれば、財投債の年限は60年が最適になる。


■今回の経済対策でベースとなるのは
 国債発行による財政支出と量的緩和である


 以上の予備知識を前提として、今回の経済対策を考えてみよう。ここでベースになるのは、ヘリコプターマネー2、つまり、国債発行による財政支出と今行われている量的緩和である。


 ここで、国債とは財投債であり、超長期であろう。期間は上に書いたとおり60年債が望ましいが、市場で受けられるかどうかを検討するので、これまで発行実績のある20〜30年債かもしれない。今の金利環境を考えると、財投債を日銀が購入しなくても、「無利子、無償還」に近くなる。日銀が購入して、その後も乗り換えていくのであれば、実質上「無利子、無償還」と言ってもいい。


 経済対策を見るとき、「真水」かどうかという議論がある。


 経済対策を見るときに、公的資金の出所で分ける。このため、一般会計予算、特別会計予算(財政投融資)を基本として見なければいけない。予算執行側(諸官庁)からみれば、一般会計は元利ともに返済義務がないので無償資金、特別会計予算は元利の返済義務があるので有償資金といわれる。


 前者の一般会計予算はしばしば「真水」といわれる。真水が注目を受けるのは、景気対策のGDP押し上げ効果に関係するからだ。例えば一般会計での公共事業では予算額の2割程度である用地取得費を差し引いた金額が政府投資となってGDPを押し上げると計算される。


 後者の特別会計予算では、予算額にしばしば事業規模が使われる。真水との関係では、特別会計を原資とする政府金融機関の融資額は真水とは言わない。これが直接GDPを押し上げないとされているからだ。


 経済対策の規模を表す場合、前者の一般会計予算額と特別会計事業規模を合算して表すことが多い。細かくいえば、一般会計と特別会計から資金を受ける政府関係機関予算での事業規模も加味される場合もある。


■GDP押し上げ効果には真水が必要
 真水は10兆円程度必要


 なお、経済対策の事業規模に融資額が多く含まれている場合には、事業規模は大きくなるが、計算上のGDP押し上げ効果はさほど大きくならない。もっとも、その公的な融資がなければ、企業倒産が相次いで、結果としてGDPを下げることもあるので、実際のGDPへの貢献はその時々の経済状況に依存する。


 財投債の場合には、これまで「真水」と言ってはいない。しかし、上のようなヘリコプターマネー2であれば、真水化しているといってもいい。「21世紀型のインフラ整備」に8兆円必要らしいので、うまく財投債設計を工夫すれば、真水化できる。


 後は、実際の補正予算をみて、どこまで真水化できるか、GDPの押し上げ効果がどうなるかがポイントである。今のGDPギャップを考えると、「真水」は10兆円程度必要である。


 

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コメント
 
1. 2016年7月28日 10:18:10 : NNHQF4oi2I : p@MqjzZMakU[472]
<<GDP押し上げ効果には真水が必要
 真水は10兆円程度必要

ままごと 官僚 養護学級総理  同じ事の繰り返し

 政治制度 行政制度 司法の行き詰まりに近づいている

 何時になっても 物事の解決が出来ない 小田原評定


 無責任体質が 社会の崩壊を招いている


2. 2016年7月28日 11:52:56 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[2078]

>経済対策「20兆円」の規模は適正か

これは政策目標次第だな

デフレ脱却を最優先し、構造改革を後回しにするのであれば、そこそこ適切な水準だろう


それに今回の経済対策は需給ギャップを埋めるという意味では、伝統的な政策だ

追加緩和とセットになれば、実質ヘリマネ(これまで同様、財政ファイナンス)となるが、別に新しさはなく

これまでと、あまり変わらないのであれば、潜在成長率を高める効果は、それほど期待できないだろうし、当然、時間がたつほど効果は薄まる

>財投債の年限は60年が最適

50年債の発行でもたついている現状では、まだ暫くかかるだろうな


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