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日銀の金融政策変更で「リフレ派敗北」という報道は本当か(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/16/hasan114/msg/565.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 10 月 20 日 10:16:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

日銀の金融政策変更で「リフレ派敗北」という報道は本当か
http://diamond.jp/articles/-/105157
2016年10月20日 高橋洋一 [嘉悦大学教授] ダイヤモンド・オンライン


■日銀の「総括的な検証」を受けて
強調される「リフレ派の敗北」という報道


日経新聞の記事には、ゴジラに扮した筆者らが、財務省と日銀の権威を踏みつぶす風刺漫画が描かれている(※実際に掲載されている風刺漫画とは異なります)

 日銀による金融政策の「総括的な検証」を受けて、「リフレ派の敗北」を強調する報道が見受けられる。リフレ派という“異端の理論”について実験してみたが、「失敗して路線変更を余儀なくされた」という記述が共通して見られるが、本当だろうか。

 その一つとして10月12日の日本経済新聞「「財務省を信じない」首相 「異端」影響力には陰りも」を取り上げよう。

 この記事には、「シン・ゴジラ」をパロディ化した風刺漫画が掲載されており、なかなか笑わせる。ゴジラに扮した安倍首相がリフレ派の経済学者を想像させる4匹の小さなゴジラを引き連れて、日銀や財務省を破壊しているように描かれている。ちなみに、4匹の小さなゴジラのうち、1匹は筆者のようである。なお、風刺漫画は上の引用先でみてほしい。

 大のゴジラファンの筆者としては、ゴジラに扮した筆者らが、財務省と日銀の権威を踏みつぶすのは、事実でもあり、この漫画は気に入っている。しかし、この記事は財務省・日銀の権威こそが重要であるというわけだ。

〈「景気が回復しかけると、いつも日銀が妨げるのをみてきた。財務省も日銀も信じられないからアベノミクスに至った」と首相は周囲に語る。〉

 という箇所は正しい。しかし、その他の記述は取材したのかどうかも怪しいものばかりである。

 これは、18日のニッポン放送「ザボイス そこまでいうか」での筆者と浜田宏一エール大名誉教授野との対談でも話題になった。

 実は、ラジオ番組では、今回の日銀の金融政策変更の話がメインだった。ところが、冒頭、浜田先生はその話の前にと言い、自分の発言について間違った報道が多すぎると苦言を呈した。

■クビをかしげたくなる記述がある日経記事
記者は本当に取材をしたのだろうか

 一つは、「米国FOMC前に日銀は金融緩和すべきでない」と浜田先生が発言したが、そうした発言はまったくなかったと言った。

 次に、安倍首相に「今はロシアと経済で手を結ぶチャンス」と発言したと報道されたが、それもまったくないと、かなり怒っていた。
 これが、冒頭の日経新聞である。それによれば、

〈 同月13日には内閣官房参与で米エール大名誉教授の浜田宏一氏が首相に熱弁を振るった。「今がロシアと経済で手を結ぶ最大のチャンスです」〉

 と書かれている。

 浜田先生は、首相に会って説明する時間はごくわずかしかないので、そうした余計な話はするはずがないと言っていた。日経新聞は、どうして当事者に話を聞かないのだろうか。ちょっと確認すればすぐわかる話だ。

 実は、筆者も日経新聞の記事にでてくるが、筆者の関係したことでも、ちょっとクビをかしげたくなる記述がある。次の箇所だ。

〈 アベノミクスが始まって約4年。財務省と日銀も少しずつ首相官邸との間合いをつかみ始めた。「呼吸がわかってきた」。政府が28.1兆円の大型経済対策を詰めた今年7月。規模は財政投融資で大きく膨らませて見せ、赤字国債は新たに出さない――。財務省の演出を首相も採用した。〉

 この記事を書いた記者は本当に取材をしたのだろうか。本コラムの読者であれば、2月25日付けの本コラム(「マイナス金利は心配無用 国民も政府もメリットのほうが大きい」)で、財投債活用のインフラ整備を提言しているが、おそらく日本で最初に財投債活用を書いたもののはずだ。

 景気対策は当初外為特会の含み益を活用しようと思っていた。ところが、財務省は円高放置という暴挙にでて、含み益活用ができなくなった。その上、大型補正すれば国債発行が増額して、2020年度PB(プライマリー収支)黒字化目標が達成できなくなると脅してきた。これには官邸も参り、筆者のところに何かアイディアがないかと問い合わせてきた。

 筆者は、大蔵官僚時代に、財投改革を担当し、財投債の制度設計をした本人である。当時、郵便貯金から大蔵省への預託をやめ、財投に必要な資金調達をするという意味で、財投債発行に切り替えたのだ。財投債発行額は、それ以前には郵便貯金からの預託金額である。預託金は財政赤字にカウントしないのだから、財投債もカウントしないという経緯があった。もちろん、バランスシートでみれば、負債の財投債と資産の投融資が見合っているから、ネットでの債務増でない。これは、筆者が本コラムでいつも使っている、ネット国債でみるべしというロジックとも完全に整合性がとれている。

 こうした話は、財務官僚だったら知らないはずない。しかし、官邸には財投債をいわずに、2020年のPB黒字化で脅してきたようだ。これは、官邸以外の所でも財投債を完全否定するような情報が筆者のところに入ってきており、財務省の仕掛けであることが容易に推測できた。

 本来であれば、財務官僚としては、財投債という手段もあると進言すべきところ、それを隠していたわけだ。財務官僚が財投債を言っていれば、筆者が言う必要はなかったはずだ。

■官邸から信用されない財務省
財務省のいいなりで書く日経の記者

 こんなことをしているから、財務省は官邸から信用されないわけで、これが真実である。

 日経新聞の記者は、こうした取材もせずに、財務省のいいなりで、あたかも財務省が演出したかのように書いている。まったく赤っ恥記事である。

 また、次の箇所も怪しい。岩田規久男日銀副総裁や原田泰審議委員について、

〈「成果が出ない以上、失敗を認めざるを得ないのだろう」。〉

 と誰の意見かわからないが引用文の形で書いている。

 筆者は、これまでの金融政策は評価している。なにより就業者数は増加し、失業率が低下するなど雇用環境がよくなった。これはマクロ経済政策としてクリアすべき必須条件だ。

 こういうと、冒頭の批判者は人口、生産年齢人口が減っているからだと答える。しかし、人口減少は2005年から、生産年齢人口減少は95年からだから、アベノミクスの金融緩和による結果と無関係だ。「リフレ派の敗北」とかいう記事を書く人は統計数字をまったく読めない人たちだ。

 ただし、筆者は今回の日銀決定には不満がある。今回、金融緩和か引き締めかという政策でみれば、現状と同じで何もしていないからだ。

 筆者の計算では失業率は現在3.1%からさらに2.7%程度まで下がる。これは、5月19日付けの本コラム『日銀の「失業率の下限」に対する見方は正しいか』で詳しく論じたので、それを参照していただきたい。しかも、インフレ率はゼロ近辺で、目標2%まで達していない。このとき、失業率を下げインフレ率を高める金融緩和だ。

 今回日銀はそれをやらなかったので、筆者の評価は、やるべき時にやらなかったという意味で、日銀はサボったとなる。日銀は、野球でいえば7対0の場面で、追加点2点でコールドゲームのチャンスなのに絶好球を打ち損じたというところだ。

 それでも、これまで結果が出ていないとは、日経新聞は何を見ているのだろうか。

 日本のマスコミのみならず、経済学界でも正しく理解されていないこととして、「金融政策が雇用政策」という世界の常識があげられる。

 金融政策というと、条件反射的に物価安定となって、雇用が頭から抜けてしまう。経済学をきちんと勉強したなら、物価と雇用(失業率)はフィリップス曲線を通じて、裏腹の関係であることは知っているべきだ。日本のマスコミは、金融政策が雇用確保を目的としていることをまったく理解していないのは嘆かわしいことだ。

■筆者らリフレ派は「異端」なのか
それは日本のマスコミ・学会だけだ

 最後に、日経新聞が代表であるが、しばしば筆者らは異端と言われる。しかし、それは日本のマスコミ・学会の中での話だ。世界中の中銀はリフレ的な考え方で運営されている。浜田先生には、前述の番組で、私の1998年から2001年までのプリンストン大学での在学期間について、バーナンキやクルーグマンらと日常的にディスカッションをしていたのだから、異端のはずがないと断言してもらった。

 ちなみに浜田先生は、ラジオ番組収録後、プリンストン大に行き、日本人のノーベル経済学賞候補である清滝信宏教授、2011年にノーベル経済学賞を受賞したシムズ教授と日本経済について議論する予定であるとのことだ。

 いずれにしても、リフレ批判者は、基本的な経済学を理解できていない。このため、金融政策は無効であり、他の政策を行うべきという。しかし、これまで雇用増加に寄与し、さらに雇用の増加が見込まれるのに、もう金融政策をやるなと言うのは、デフレに逆戻りせよと同じである。彼らとその背後にいた財務省と日銀は、失われた20年間の教訓がまったくなく、デフレの犯人だったといっても過言ではない。



 

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コメント
 
1. 2016年10月20日 21:23:52 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[618]
「財務省を信じない」首相 「異端」影響力には陰りも
日本国債 見えざる手を冒す(5)
2016/10/12 3:30
日本経済新聞 電子版
 「政府の財政政策と、日銀の金融政策の両立が大事です」。9月28日、首相官邸の執務室。安倍晋三首相に語りかけたのは一時帰国中の本田悦朗スイス大使だった。話題は1週間前の日銀金融政策決定会合の講評だ。

浜田氏(右)は2度にわたる消費増税延期にも関わった(7月、首相官邸)
 同月13日には内閣官房参与で米エール大名誉教授の浜田宏一氏が首相に熱弁を振るった。「今がロシアと経済で手を結ぶ最大のチャンスです」
 本田、浜田両氏は、金融緩和による物価上昇を重視する「リフレ派」。日銀の白川方明前総裁から黒田東彦総裁への交代劇や、2度の消費増税延期など重要局面で首相の判断に関わった。なぜ厚い信頼を勝ち得たのか。
 「リフレ派になったきっかけは?」。2013年4月、首相は衆院予算委員会で質問を受けた。
 「首相を辞めて時間ができた」。首相はこう前置きし「山本幸三議員がリフレ派で主張していた。嘉悦大の高橋洋一教授から話を聞き、浜田教授からも色々と手紙を頂き政策も変わった」と、リフレ人脈の名をあげた。
 首相は政権交代前の12年11月の講演で「2〜3%のインフレ目標を設定し『無制限緩和』していく」と宣言。表現を進言したのが本田氏だった。日経平均が上がると安倍氏は喜び、本田氏に「無制限という言葉は相当効いた」と電話した。「首相には大きな成功体験だった」(首相周辺)
 当時、リフレ派は主流派経済学からみると「異端」。首相の主流への不信が異端とのつながりを強めた側面もある。
 「景気が回復しかけると、いつも日銀が妨げるのをみてきた。財務省も日銀も信じられないからアベノミクスに至った」と首相は周囲に語る。

 アベノミクスが始まって約4年。財務省と日銀も少しずつ首相官邸との間合いをつかみ始めた。
 「呼吸がわかってきた」。政府が28.1兆円の大型経済対策を詰めた今年7月。規模は財政投融資で大きく膨らませて見せ、赤字国債は新たに出さない――。財務省の演出を首相も採用した。
 日銀が金融政策の軸足を量から金利へ切り替え、リフレ路線からの事実上の転換を図った9月の金融政策決定会合。リフレ派は「量的緩和の限界を意識させるな」(本田氏)、「国債購入の拡大は可能」(浜田氏)と国債をもっと買わせる量的な追加緩和を訴えたが、声は届かなかった。
 日銀政策委員会のリフレ派、岩田規久男副総裁や原田泰審議委員も路線転換に賛成票を投じた。「成果が出ない以上、失敗を認めざるを得ないのだろう」。日銀内でも冷ややかな声が漏れた。
 本田、浜田両氏ら側近のベスト・アンド・ブライテストたちと首相の協議はあくまでも非公式な場。長期安定政権には「主流」の力を引き出す懐の深さも求められる。
(おわり) 

2. 2016年10月20日 21:27:44 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[619]

ベスト・アンド・ブライテスト(the Best and the Brightest)は、「最良の、最も聡明な人々」を意味し、1960年代のアメリカ合衆国のケネディとそれを継いだジョンソン政権において安全保障政策を担当した閣僚および大統領補佐官たちを指す

ニューヨーク・タイムズの記者デイヴィッド・ハルバースタムにより、同名の本が出版された。ベトナム戦争を始めたケネディ政権と、それを継いだジョンソン政権において国防長官を務めたロバート・マクナマラを中心とした「最良の、最も聡明なはずの人々」が、いかにして政策を過ち、アメリカ合衆国をベトナム戦争の泥沼に引きずりこんでいったのか、ホワイトハウスの内情を克明に描いたドキュメンタリーである。


3. 2016年10月20日 23:54:53 : 9O0GlXCbMc : 5aqHJ9HBhYI[3]
>こういうと、冒頭の批判者は人口、生産年齢人口が減っているからだと答える。
>しかし、人口減少は2005年から、生産年齢人口減少は95年からだから、アベノミクスの金融緩和による結果と無関係だ。

うん、無関係だと思うよ。
数字上生産年齢人口が下がっても、数年は問題とはされず、将来の問題として放置され続けたからね。年金支給延期に伴って、団塊の世代の雇用延長をしたりして退職を遅らせて対応していたから、本格的に被雇用者不足になったのは大分後。
企業は本格的に人不足でヤバくなるまで新規雇用を制限していたから、その分若者にしわ寄せが行ってる。尚且つ昨今は、新規雇用も非正規雇用ばかりだから、若者は二重に被害を受けながらの失業率低下の達成だ。

>しかも、インフレ率はゼロ近辺で、目標2%まで達していない。このとき、失業率>を下げインフレ率を高める金融緩和だ。
非正規雇用ばかりで所得を上げていないのに、インフレ率だけ高めるって若者を殺す気なのか?

>日本のマスコミのみならず、経済学界でも正しく理解されていないこととして、>「金融政策が雇用政策」という世界の常識があげられる。
どこの世界だ、ああ、お前ん中の世界か。

>経済学をきちんと勉強したなら、物価と雇用(失業率)はフィリップス曲線を通>じて、裏腹の関係であることは知っているべきだ。

【フィリップス曲線】
賃金上昇率と失業率との間に存在する負の相関関係を示したもの。経済学者のアルバン・ウィリアム・フィリップスがイギリスで1862年〜1957年に実際に起こった現象をもとに58年に論文で発表した。その後、サムエルソンがより失業率と密接な関係がある物価上昇率と失業率との関係としてとらえなおし、そちらが「フィリップス曲線」と呼ばれるようになった。インフレが起こると失業率が下がり、失業率が上がると物価が下がるということを示している。しかし、90年代以降先進国では極端なインフレが起こらない「ディスインフレーション」が進行するにもかかわらず、失業率は高まっていくという現象がおき、フィリップス曲線では説明が難しい状況になっている。

経済学をきちんと勉強しなおせ。以上。


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