★阿修羅♪ > 経世済民115 > 794.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第197回 経済成長と認知的不協和(週刊実話)
http://www.asyura2.com/16/hasan115/msg/794.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 11 月 18 日 22:33:25: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第197回 経済成長と認知的不協和
http://wjn.jp/article/detail/5106840/
週刊実話  2016年11月24日号


 前々回、「認知的不協和」という心理的現象について取り上げた。本稿における認知的不協和とは、自分が信じた(あるいは「信じ込まされた」)情報が間違っていると認識した際に、懸命に「自分は間違っていなかった」という結論を導くために思考を巡らせ、情報を求める心の動きになる。

 さて、前回解説した通り、日本のGDPが世界に占めるシェアは、日本経済の絶頂期(1995年)の17%超と比較し、今や5.6%と見る影もなく凋落した。'96年以降の世界全体のGDP成長率は、平均3.799%であった。それに対し、日本は経済のデフレ化で極端に成長率が低下。'96年以降のGDP成長率の平均は、何と0.771%と、1%にすら届いていない(数値はいずれもIMFデータによる)。

 今後、世界経済が約3.8%の成長を続け、日本経済が0.771%という寂しい経済成長率を続けた場合、2040年に日本のGDPのシェアは2.7%にまで低下する。もはや、経済大国でも何でもなく、普通に発展途上国だ。

 日本のGDPが世界に占めるシェアを高めるためには、最低でも4%の経済成長が必要になる。もちろん為替レートの変動の影響もあるが、とりあえず国家として名目GDP(実質GDPではない)4%超の成長を目指すという目標は合理的だ。
 何しろ、実質GDPではなく、名目GDPである。

 名目GDPは生産の「量」の変化である実質GDPの成長率と、インフレ率(GDPデフレータ)に左右される。例えば、わが国がGDPデフレータベースで2%のインフレ率を維持する場合、実質GDP成長率、すなわち経済成長率が2%であれば、名目GDP4%成長という目標を達成できる。

 高々、この程度の話にすぎないのだ。インフレ率2%の下で、経済成長率2%を達成する。「高々、この程度」の経済成長の目標ですら、日本国民の多くは思考停止的に「そんな成長率は不可能だ」と否定しようとしてくる。

 成長否定論者が真っ先に持ち出す理屈は、「人口が減っているから経済成長できない」というものだ。とはいえ、左ページの図(※本誌参照)の通り、世界には日本以上のペースで人口が減っている国々が2桁ある。というよりも、ジョージア(旧グルジア)やバルト3国などと比べると、日本の人口減少ペースはまだまだ甘い。

 とはいえ、2000年から2015年にかけて人口が減った国々の中で、まともに経済成長をしていないのは、わが国のみだ。ちなみに、ジョージアは2000年からの16年間で人口が16.6%も減った。それにもかかわらず、この時期の経済成長率の平均は5.6%だ。それに対し、日本の平均成長率は0.85%にすぎない。人口が減っていることは、経済成長率低迷の理由にはならない。

 などと書くと、それこそ「認知的不協和」に陥った人は、
 「日本は経済が成熟しているから成長率は低い」
 と、抽象的な言い訳を持ち出す。

 そんなことを言ったらドイツはどうなるのだ。ドイツの過去16年間の人口は、日本以上に減っている。さらに、ドイツは日本と同じように経済が成熟した国だ。ところが、この時期の経済成長率は1.26%と、日本を上回っている。そもそも、「経済の成熟」を成長率低迷の理由にする時点でおかしい。

 例えば、ギリシャのGDPはリーマンショックが発生した'08年をピークに、何と28%以上も縮小してしまった(ユーロ建て)。GDPとは、国内の生産の合計であると同時に、支出(需要)、所得の合計でもある。'08年以降、ギリシャ国民は平均で3割近い所得縮小に見舞われたのだ。
 強烈な「貧困化」である。

 1929年、アメリカのNYウォール街で株式大暴落が発生。世界はアメリカを先頭に「大恐慌」という超デフレーションにたたき込まれた。当時、アメリカのGDPは、わずか5年で4割も縮小してしまった。

 '08年以降のギリシャは、7年間でGDPが3割縮小したわけである。さすがに大恐慌のアメリカには及ばないが、それに近い恐慌状態に陥っているのは間違いない。

 ギリシャのGDPが激減するのと時期を同じくし、ドイツはGDPを何と18%も増やした。結果的にドイツとギリシャのGDPを比較すると、'08年には10倍台だったのが、'15年には17.5倍に広がってしまった。まさに、勝ち組と負け組に分かれたわけだ。

 ギリシャはドイツよりも経済が成熟しているのか? もちろん、そんなことはない。ドイツは先進国であり、ギリシャはどちらかといえば発展途上国に近い。すなわち、成熟していない。

 それにもかかわらず、ギリシャ経済が停滞(というよりも「縮小」)する時期、ドイツは経済成長を続けた。なぜなのか。

 日本やギリシャの経済が低迷している理由は、人口や「経済の成熟度」とやらとは無関係で、単にデフレーションに陥っているためだ。物価と所得が悪循環を描いて下落するデフレ期に、経済成長を達成することは不可能である。

 日本の低成長の原因が「デフレ」であると分かれば、政府による財政出動という正しいデフレ対策を打つことができる。ところが、認知的不協和に陥った人々は、過去の自分の認識(例:日本は宿命的に成長しない)を否定したくないため、懸命に日本経済が成長しない(あるいは「成長させない」)レトリックを考案し、正しいデフレ対策を妨害しようとする。

 とりあえず、日本経済は正しい政策を打てば、成長路線に戻れるという現実を理解しよう。すべては、そこから始まる。

みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
1. 2016年11月18日 22:48:36 : e9xeV93vFQ : X@Yfiwe5Mok[6]

>今後、世界経済が約3.8%の成長を続け、日本経済が0.771%という寂しい経済成長率を続けた場合、2040年に日本のGDPのシェアは2.7%にまで低下する。もはや、経済大国でも何でもなく、普通に発展途上国

発展途上国というより衰退国家

老人や既得権者優遇で改革を先延ばしした必然だから

今さら、どう足掻いても避けられない運命だな

ただ、海外も愚民が多く、多くは、いずれは衰退に転じ、さらに悲惨になるから、

特別、悲観する必要もないw



2. 2016年11月19日 19:17:05 : 2LiKY8ftgY : PTfAaIrqs6s[123]
ギリシャ化が 進む観光 依存なら

3. 2016年11月20日 21:29:28 : HjCHbiL9yc : r66eSYUSdgw[151]
サービス経済化の時代に、サービスの人件費を単純に時間で評価しているために、経済が拡大していかないのではないか。労働時間を短縮し、高度なサービス労働を適切に評価していくような労働政策を打ち出していかなければならないだろう。単に公共投資的な財政政策でうまくいくくらいなら、停滞の二十年はなかったのではなかろうか。

  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民115掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
経世済民115掲示板  
次へ