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深セン行って学ぶ人学ばない人 チャイノベーション インド人ガッカリ日本行かない 豪、ワーホリ若者で深刻な労働者不足カバー
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/839.html
投稿者 うまき 日時 2018 年 12 月 10 日 20:30:01: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

(回答先: 中国の技術窃取に悩まされ続ける米国の対抗措置 日本が見落としがちな米中貿易戦争の文脈 休戦あり得ぬ トランプ最終的戦勝は 投稿者 うまき 日時 2018 年 12 月 10 日 19:44:30)


そんなに凄い? チャイノベーション


深センに行って学ぶ人学ばない人

日本人にありがちな2つのポイント

2018年12月10日(月)
小平 和良

 中国広東省の深圳は「ハードウェアのシリコンバレー」と呼ばれ、中国にそれほど関心がない人にも広く知られるようになった。スマートフォンによる決済など、ここ数年で一気に社会に溶け込んだIT技術に実際に触れるため、大企業の経営者から大学生に至るまで様々な人が深圳を訪れるようになっている。


1982年、工事中の深圳港(写真:akg-images/アフロ)
 個人や企業単位で深圳に行って視察するだけでなく、20万円程度の料金で参加できる視察パッケージツアーも増えた。ツアーにせよ、個人での訪問にせよ、旅程は似ている。民生用ドローン世界最大手のDJIやIT大手の騰訊控股(テンセント)のような有名企業やコワーキングスペース、電気街を訪問するほか、スマートフォンによる決済やシェア自転車、無人コンビニなどを体験する流れだ。

 もちろん、現地を見てその実情を知ることは重要だ。一方で、日本からの視察の一部に対しては、現地の人から批判の声が上がっているのも事実だ。批判の原因を探ると、日本人にありがちな2つのポイントが浮かび上がるとともに、日本の問題点が浮かび上がる。

@ビジネスにつながらない
 日本のビジネスパーソンが視察に来ても、ただ見て帰るだけでその後のビジネスにつながらないと嘆く現地の人は多い。これは深圳に限ったことではなく、米国のシリコンバレーなどでも同様のようだ。深圳の一部の施設は、日本人による視察については料金を取るようになっている。

 問題は日本企業の意思決定の遅さにある。

 日経ビジネス12月10日号の特集「チャイノベーション」では、誰もがしがらみなく挑戦できる深圳を表す標語として「来了就是深圳人(来たらもう深圳人)」という言葉を紹介した。

 深圳にはもう一つ、改革開放の精神を表す有名な標語がある。「時間就是金銭、効率就是生命(時は金なり、効率は生命なり)」だ。改革開放によって生まれた深圳は、その誕生の経緯からしてビジネスと経済発展を宿命づけられていたとも言える。


改革開放40周年に合わせ深圳を視察した習近平国家主席。視察した展示には「時間就是金銭、効率就是生命(時は金なり、効率は生命なり)」の標語が(写真:新華社/アフロ)
 40年で40倍超の人口になったこの都市の発展スピードを生み出したのは、カネを稼ぎ出すために猛烈な速度で動く企業や個人だ。1日決断が遅れれば、他社が類似品を作り、競争に敗れてしまうかもしれない苛烈な環境が「深圳スピード」とも言われるこの都市の文化を生み出した。

「所詮は中国」では見誤る
 会議を重ねて調整する日本企業が、この深圳スピードに合わせるのは簡単ではない。日本の大企業が深圳をなかなか活用できないのも、この点に原因がある。もちろん即断即決は拙速による失敗と隣り合わせだが、深圳のスピード感と失敗を許容する精神は学ぶべき点がある。

A上から目線が抜けない
 現在は先端的な都市とのイメージがある深圳だが、改革開放以降40年の発展の歴史において重要だったのが「世界の工場」としての役割だ。2001年に中国がWTO(世界貿易機関)に加盟したことで、外国企業による中国への投資が増え、中国は家電やパソコン、携帯電話などを製造し、輸出する「世界の工場」となった。

 現在の深圳が「ハードウェアスタートアップの聖地」と呼ばれるのも、世界の工場として電子部品や素材などの大小さまざまな工場が集積したことにより、部品の調達や試作品の製作が容易になったからだ。

 多くの日本企業も深圳や隣接する東莞の「世界の工場」を「下請け」として、安価な製品を生み出した。こうした経緯もあるからか、無意識に「所詮は中国」といった見方になりがちだ。

 もちろん実際の深圳は「先端都市」としての側面とともに、中国の都市としての猥雑さも残る。ビルの一室で手工業的に電子部品を作っている工場も未だあり、品質もピンキリ。コピー品を大量に生み出す環境があるのは確かだ。

 ただこれをもって「所詮は中国」と断じるのは危険だ。@で見た「深圳スピード」と「様々な工場が集まるエコシステム」の組み合わせは、日本の特に大企業の課題とも言える「オープンイノベーション」や「アジャイル型開発」などとの相性がいい。

 中国の技術力が高まっているのは、IT(情報技術)の発達とともに浮上してきた新しい研究開発手法と中国の文化との相性が良かったという側面もありそうだ。中国の技術力向上に対する警戒感が高まっているが、学べるところからは学ぶ姿勢は持ち続けたい。


このコラムについて
そんなに凄い? チャイノベーション
激化する米中対立。その背景には勢いを増す中国の技術力への米側の警戒感がある。実際、中国では半導体やAI(人工知能)などでスタートアップが続々と誕生。スマホ決済などライフスタイルを一変させるイノベーションも出てきた。中国発の技術革新「チャイノベーション」はそんなに凄いのか?
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/120700255/120700002/?ST=editor


 


 

そんなに凄い? チャイノベーション


深センで垣間見た「チャイノベーション」の熱源

失敗を恐れぬ中国の起業家たち

2018年12月10日(月)
広岡 延隆

 トランプ米大統領も警戒感を強めているとされる中国の技術力。半導体やAI(人工知能)などのハイテク分野では中国発のスタートアップが続々と誕生し、中国の産業高度化をけん引する役割を果たしつつある。そんなスタートアップが集まる都市の一つが香港に隣接する広東省の深圳だ。中国発技術革新「チャイノベーション」を体現するという深圳に足を運び、熱源を探ってみた。
 「何をしている! ここがどこかわかっているのか!」。ガードマンの鋭い声が響き、そのまま古い雑居ビルの事務室に連行された時は流石に冷や汗が出た。

 2009年ごろ、中国広東省の深圳を訪れた時のこと。「華強北と呼ばれる秋葉原のような電気街があり、海賊版の携帯電話がたくさん売っているらしいよ」。知人にそう聞いて足を運んだら、本当に米アップルや韓国サムスン電子を真似た海賊版の携帯電話が多数陳列されている。面白がって不用意に写真を撮っていたところを見咎められてしまった。英語で「観光客だ」と説明し続け、解放された時の安堵感は今でも覚えている。


今も電気街が華強北にはある。試作などに必要な部品がそろう
 それから9年。同地域には真新しい高層ビルが林立しており、そこかしこにあった明らかな偽ブランドの携帯電話を売るショップも見当たらなくなっていた。「いかがわしさが感じられなくなって少し残念だ」と中国人の知り合いに冗談交じりに話したら、「今時、そんな偽物を買う人なんていませんから。今の深圳は北京、上海、広州と並ぶ一線都市ですよ」と憐れむような目で見られてしまった。

 今や、生産のみならず技術開発でも日本を凌ぐ実力を身につけたとも言われる中国の製造業。その原動力の中心になって急速な発展を遂げてきたのが、深圳だ。

 農村から来た若者が小さな修理工場に雇われ、技術を身につけて起業する。香港に隣接し改革開放政策の象徴として経済特区が設けられた深圳は、かつてのアメリカンドリームさながらの立身出世が可能な街として若者を引きつけてきた。偽ブランドの携帯電話を売っていた若者たちにも、そうした背景を持っていた人が少なからずいたに違いない。

 その起業ブームがさらに加速したのが2014年以降のことだ。「大衆創業・万衆創新」(大衆の起業・万民のイノベーション)。李克強首相の打ち出したスローガンのもと、中国政府は起業やイノベーションを促進する政策を相次いで打ち出した。起業ブームに乗って生まれた企業の多くは淘汰されたが一部は生き残り、技術力を高めようとしている。

 無人で農薬などを散布できる農業用ドローンのメーカー、天鷹兄弟集団(深圳市)はその一社。創業者の李才聖氏は技術者出身ではなく、全く異なる分野の上場企業の管理職をしていたが李首相の言葉を聞いて起業しようと決意。中国で「米の父」として知られる農学者、袁隆平氏との出会いもあり、2015年3月に同社を起こした。


中国農業のIT化を後押しする天鷹のドローンと創業者の李才聖氏
 今や年間の出荷量は約1000台。「同等の散布量のヤマハ製品と比べたら10分の1の価格だ」と李氏は胸を張るが、武器は価格だけではない。農業従事者が直感的に操作できるスマホを使った飛行ルート指定機能を備える。木に引っかかって墜落しても駆動部分が壊れないようにする構造など、農業用特有のニーズを踏まえて設計開発していることが受け入れられているという。

エリートが生み出すユニコーン
 最近目立つのが高学歴の「エリート」が起業したスタートアップの躍進だ。

 普段はタブレットだが、二つ折りにするとスマートフォンに。「フォルダブル」と呼ばれる次世代スマホの本命を、韓国サムスン電子などに先駆けて発売した柔宇科技(ロヨル)の創業者、劉自鴻氏は清華大学を卒業しスタンフォード大学で博士号を取得した。シリコンバレーなど米国での人脈も持ちながら、あえて物作りのインフラが整った深圳で起業する例が増えており、10億ドルを超える資金調達に成功した「ユニコーン」と呼ばれるスタートアップも多く生まれている。ロヨルもその一社だ。

 深圳の平均年齢は34歳。若者の流入は今も続いており、多様な背景を持つ若者達が失敗を恐れずに起業するサイクルが加速している。米中の対立激化で世界景気の先行きが不透明感を増しているなどの外部リスクはあるものの、現地の起業への熱気は失われていないように感じた。


このコラムについて
そんなに凄い? チャイノベーション
激化する米中対立。その背景には勢いを増す中国の技術力への米側の警戒感がある。実際、中国では半導体やAI(人工知能)などでスタートアップが続々と誕生。スマホ決済などライフスタイルを一変させるイノベーションも出てきた。中国発の技術革新「チャイノベーション」はそんなに凄いのか?
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/120700255/120700004/?


 


インド人もガッカリ「普通、日本には行かない」インドと日本の新しい臨機応変関係
世界の中心になる「デジタル・インド」


2018年12月10日(月)
繁田 奈歩


WeWorkのようなCoWorkingスペースには、インドの数多くのスタートアップがオフィスを構える
 インドは13億人の巨大市場として過去から注目を集めてきたが、もはやその視点だけでインド市場を狙うのは得策じゃないと思っている。もちろん外国人の目からすれば、13億人の未開拓市場を狙うというのは、インド進出の一つの大きなモチベーションではある。ただし、ここインドに長く在住していると、その視点だけではインド事業の突破口をなかなか開けないのではないか、と心配になってくる。

 日本でもその他諸国でも、ほぼすべての産業でデジタルトランスフォーメーションが叫ばれ、テクノロジーとの連携が必要となってきた。その中で、インドの層の厚いテクノロジーレイヤーとの連携という道筋も、インドという市場を活用するための一つの方法であると思う。

 13億の市場を狙うという意味でもテクノロジーの影響は否定できない。ほんの5〜6年前だったら、他の地域で成功したモデルをインドに横展開するというモデルでも行けたかもしれない。でも、この数年で社会は一気に変わってしまった。イノベーションは先進国のモノであり、何年かたって新興国に展開されてくるという状況ではもはやない。

 タイムマシン経営はもはや過去の遺産となりつつある。新興国のほうが一足飛びのリープフロッグイノベーションが起きやすい中では、イノベーションは新興国のほうが生まれやすいのかもしれないし、新しいテクノロジーやサービスの需要度は新興国のほうが高いともいえる。

 その熱を受けてインドでは、WeWorkのようなCoWorkingスペースに数多くのスタートアップがオフィスを構えている。毎週のようにネットワーキングイベントを行い、スタートアップのみならず大企業との連携も推進されている。

 AI(人工知能)やブロックチェーンなどの新しい技術も一気呵成に世界に広がっている。こういった中で、世界中で人材不足が叫ばれ、世界中で新しい事業モデルや新しい事業創造が言われている。過去の勝ち組がそのまま勝ち組で残り続けられない社会となっている。また、インドの企業がインド国内市場をターゲットにするだけでなく、インドのエンジニアリングパワーを活かして諸外国の課題解決を行っている例も既にいくつも出ている。

インドの大企業もスタートアップに頼りたい
 日本でもオープンイノベーションが叫ばれるが、インドでも同じだ。とあるインドのインフラ系大企業を訪問した時に、そこの取締役が「誰かいいスタートアップ経営者経験がある人が欲しい」と突如言い出した。大企業の今までのやり方では勝てない、と。そのためには新しい風を外から入れる必要があるが、自分たちではスタートアップの気持ちはわからない、と。だからこそ、そういう人を連れてきて、彼らにスタートアップ連携や育成プログラムとの連携を任せたい、というのだ。

 さらに彼が言うには、血気盛んな若手を採用してもすぐやめてしまうことを考えたらスタートアップの気持ちがわかる人たちを経由して、目的に応じたプロジェクトを複数のスタートアップと緩やかな連携をしていきたいと言う。インドの企業だからインド人が多く、そんな彼らなら新しい産業にもどんどんついていけるんじゃないか、と私は勝手に思っていたが、なかなかことは簡単ではなさそうだ。

 インドのテクノロジーチームに熱い視線を注ぐのは、日本企業やインドの企業だけではない。最近では様々な国のスタートアップ連携の話をインド国内のあちらこちらで耳にする。イスラエル、フィンランド、エストニア、ドイツ、韓国、シンガポール等々。スタートアップだからシリコンバレーとだけ考えるのはもはや時代遅れでもある。

 イスラエルやフィンランドなどは自国の人口も少なく、市場もさほど大きくはない。自国の企業価値を向上させようと思えば外の市場への展開が必要不可欠だ。人口が少ないという側面からすれば、エンジニア人口も枯渇するわけだし、インドの理系人材の豊富さは魅力的だ。さらに自国の企業がインド市場に出ることができれば市場も拡大できる。インドと連携することによるベネフィットは短期の人材確保だけに限らないわけだ。

 フィンランドは数万人規模のAIロボティクス大学をつくり、そこにインド人の学生を誘致しようとしているという。スマートシティー関連のカンファレンスに来ていたフィンランドの起業家曰く、「まずはインドでサマースクールをやってAIやロボティクスに興味のある優秀な学生を探す。そしてフィンランドに留学してもらい、卒業後はしばらく働いてもらう。その後はインドに戻るなり、フィンランドで起業してもらうなりすればよい」。フィンランドからインドは8時間程の距離でもあり、どこの国に行くにも7〜8時間で行けるフィンランドは魅力なんだと熱く語っていた。

 イスラエルもインドに向けて積極的に動いている。昨年インド―イスラエルの首脳会談が行われ、両国の共通課題である、水分野、農業分野、防衛といった側面での協力促進をすると発表し、その中にスタートアップ連携も一つの協力テーマとして盛り込まれた。その後即座にデリーとテルアビブを結ぶ直行便が就航された。驚くべきスピード感だ。


テルアビブ直行便を宣伝するエアインディア
 ドイツ勢も勢いがある。友人が、「ボッシュは危機感がないのに新しいことを次々に仕掛けているところがすごい」と言っていたが、ドイツ勢のインドに向けての動きは日本の数歩先を行っており、さらに動いている企業の数も段違いと聞く。インド政府のスタートアップ・インディアの海外連携責任者に言わせると、ムンバイ、プネーの西部からグジャラート州にかけてドイツの動きは積極的で、既に8000社近くが様々な形で動いているという。

 日本も遅ればせながら今年5月に世耕経産相が来印した際に、バンガロールでインド日本スタートアップハブを構築すると発表し、そのローンチセミナーが9月に開催された。しかし、いくら官が動けど民間が動かない限りはなかなか大きな動きに繋がっていかないのも事実だと思う。スタートアップに限らず、日本のエンジニア不足が深刻であり、IT人材不足をインドで補えるんじゃないかという話もあちらこちらから聞かれるが、動きはスローだ。

 日本とインド。もちろん、様々な相互補完の可能性はある。エンジニア議論にしても同様で、日本はエンジニア不足、インドは若いエンジニア人材も多い。インドのスタートアップや企業の力を活用して日本のハードウエアや技術と連携させることで新興国モデルを創れるんじゃないか、という話も相互補完にはぴったりだ。さらにインドの人たちは優秀だという印象ももちろんある。

日本企業の行き過ぎた?IIT信奉
 日本企業の人たちからは「インドではIIT(インド工科大学)が優秀でしょ?だからIITから人を採用したい」と散々聞かされるが、正直こういう話にも辟易している。

 もちろんIIT出身で優秀な人も多い。一方で残念ながら全員が優秀なわけではない。私の過去の経験でも、インド最高峰の大学を出た人たちと何度も仕事をしたことがあるが、口だけな人たちも多いし、メンタルが弱く、きつく言われるとすぐにへこたれてしまう人もいたりする。

 日本ですら、東大生ばかりを取りたいのか?と聞くと、「いやー、東大生はいらないですよね」と言う人たちが、インドだとIITやIIM(インド経営大学院)ばかりを視野に入れるのもなかなか不思議な状況ではある。


AIスタートアップが大学で行ったセミナー。100人以上が集まった
 インドをどう活用するのかという「可能性議論」は、もはや10年以上行われている。コンセプトはできており、それを実行するフェーズに来ているにもかかわらず、なかなか動きが取れないというのが今のジレンマでもあるだろう。

 エンジニア不足議論一つをとってもそうだ。コンセプトはぴったりである一方で、課題も明確だ。日本のエンジニア給与水準は低い。年収1500万円まで行くITエンジニアはあまり見ない。一方でインドのエンジニアで年収1500万円を超える人たちはごまんといる。安い給料を求めて国境を越えていく人たちは残念ながら少ない。

日本のブランド力は、自分たちの妄想?
 日本、アメリカで働いた経験のあるインドの友人に言わせると、よほどのきっかけやモチベーションがなければ正直日本へは行かない、とはっきりと言う。当社のクライアントからは、「インドの人にとって日本はブランドだし、品質は高いという印象があるから、日本への関心は高いはずだ」とよくいわれるが、正直なところそうではない。もちろん、そういう話をしてくれるインドの人も数多くいるが、一方で日本企業とのビジネスのしづらさ、コミュニケーションの取りづらさを指摘する人や、そもそも日本企業と働くということを考えたこともない人たちも多いというのが実際だ。

 日本の企業にはガラスの天井というのもある。外国人は出世が限られる。日本の企業で働こうと思えば日本語の壁もある。日本の企業文化やプロジェクトの進め方の違い等もある。しかしながら課題も実は結構明確になっているのだ。これらをどう解決して、お互いがハッピーに協業できる方法を模索するかというフェーズであり、「インドと日本は協力関係が作れる!」というお題目を唱える時代はもはや終わりだ。

 「3年で会社をやめてほしくない」とクライアントは言うけれど、彼らが3年以上も満足して働ける価値を日本企業はどう出していけばいいのか、それが難しければ3〜5年いてもらえば御の字で、ヒトを入れ替えていくという考え方を取るのも一つなのだ。もちろん、人事制度などを工夫して充実したキャリアパスを提供できるビジョンを提示し、より定着率を高める努力もあったほうがよい。


ニューデリー市内にも新しいオフィスやマンションが次々に建つ
 いずれにせよ、インドから見れば日本が唯一の市場ではない。世界最強の八方美人国家であり、チャンスがあればどこにでも躊躇なく飛んでいく人たち。そんな人たち、そんな企業を惹きつけるだけの魅力をどう我々が創り上げていけるのか、そこが問われているのである。

 逆に言えば、インドは今までは大企業でなければ攻められないというなんとなくの暗黙の了解のようなものがあって、大企業の進出ばかりが言われているが、実はそんなことはない。企業の規模や企業の設立年度等はあまり関係がない。できたばかりのスタートアップであろうが、企業規模が小さかろうがそんなことは関係がない。いかにして彼らが不得手なところ、彼らの不足している点を補完できる企業や人であればいくらでもチャンスがある。

「朝令暮改」も悪くはない
 日本企業は自ら定義を決めてしまい、その枠から外れられない傾向が強いように思う。大企業は大企業として、中小企業は中小企業なりに、というのもあれば、製造業は製造業として、リテールはリテールとして、など自らの活動の範囲を自ら狭めてしまっている。定義を決めるのではなく、自分たちの強みを見いだし、その強みを市場のどこにどう活かすのか、こういった発想に切り替えることが、新しく、変化が急激に起こる市場に挑むためには大事なんじゃないかと思っている。

 時としては朝令暮改も必要だし、自分が今まで正しいと信じてきたこと、常識だと思ってきたことを捨て去らなければならないことも多い。自ら状況を見極めて知恵を絞り、行動を起こし、それを修正していくことが必要なのだ。

 今、当社は「エクサウィザーズ」(東京都港区)という日本のAI開発スタートアップのインド展開のサポートをしている。スタートアップだからとか企業規模が小さいからとかインドでは知られていないからとかそんなことは障害の一つにもなっていない。着眼点、切り込む力さえつくれればインドの人たちは話を聞いてくれるし、チャレンジの場も提供してくれる。

 一方で、この市場にどのようにアダプトしていくのかが問われるわけであり、そこの課題に積極的に取り組もうとする姿勢と、それらの課題解決の場を与えてくれるステイクホルダーに対してのベネフィットが明確であれば、インド側は協力を惜しまない。

 やる気とスピード感があって、自分たちの製品、サービスに自信がある人達であれば下手に日本で、様々な障壁にぶつかって悶々としているよりも、未知かもしれないが、新しく官民挙げて国を発展させようとしているそんな市場にチャレンジしてみるのもいいんじゃないかと切に思う。


日本のAIスタートアップである「エクサウィザーズ」がインドで開催した人工知能ワークショップ

このコラムについて
世界の中心になる「デジタル・インド」
急速に「デジタル化」が進むインド。日本では「インドにビジネスチャンスあり」と言われ続けてきたが、このデジタル化の実像を知らなければ、今どきのチャンスは見つけられない。現地に長く滞在し、エコシステムの立ち上げにも携わる日本人社長が、インドの内側からインドの今を報告する。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16nv/092700018/120300007/


 



定年バックパッカー海外放浪記

オーストラリアは深刻な労働者不足を先進国若者のワーキングホリデーと途上国出身留学生でカバーしている(下)

オーストラリア自転車&キャンプ旅2000キロ走破 第13回
2018/12/09

高野凌 (定年バックパッカー)

(2017.11.4〜2018.1.10) 68日間 総費用33万9000円〈航空券含む〉)
なでしこ女子の夢は“英語で案内できるバスガイド”

ロンセストンの造船所。タスマニア島の内陸部だが大河ティマ―川の要衝に位置し、市内から渓谷観光ボートが発着している
 12月14日。メルボルンのゲストハウスで出会ったアンリは21歳。高校卒業後にバスガイドとして2年勤務。

 アンリは初めての海外体験で、当日午後日本から到着したばかり。先輩バスガイドが英語で外人観光客にガイドしているのを見て“かっこいい”と憧れて英語習得を決意。貯金と親の援助で150万円を確保してワーホリ・ビザを申請。

 翌日銀行口座を開設して、語学学校に短期コースを申し込みに行くとのこと。それから日本人向けのミニコミ誌で仕事を探すという計画であった。


中庭から見たビクトリア女王博物館&美術館
オーストラリアでも違法労働者にはブラック職場しかない
 12月20日。タスマニア島中央の小都市ランセストンのスーパーで日本人青年二人組に遭遇。彼らによるとタスマニアは気候が穏やかでブルーベリー、いちご、チェリーなどの収穫(picking)の賃金が高いのでワーホリ志願者に人気らしい。


ロンセストンのお役所が並ぶエリア。ビクトリア朝時代の建築物が現在も現役である
 他方で違法滞在しているマレーシア人やインドネシア人などは就労ビザがない。雇用者側は最低賃金保証義務がなく、税金、社会保険、健康保険を納付する義務もないので“安く使える労働力”(cheap labor)として低賃金で酷使しているという。

 賃金未払いのケースもあるが、こうした違法滞在者は当局に訴えることもできず泣き寝入りという。

 ニューサウスウェールズのマクレーン近郊の牧場主によると悪質な牧場主は違法労働者を意図的に雇用して労務コストを抑制しているとのこと。

 途上国出身者は容易に取得できる学生ビザで入国して違法就労しているケースが多いようだ。“就労目的留学生”の行き着く先は日本と同様にブラック職場しかないのだろう。


ロンセストンの地方裁判所
フランス男子は農園仕事(farm job)で荒稼ぎ
 12月20日。ストラスブルグ出身のフランス男子とロンセストンのゲストハウスで遭遇。ワイン畑(vineyard)で植樹(planting)に従事して3カ月。

 2週間後にはタスマニア南部のホバートに移動してサクランボの収穫(cherry picking)で稼ぐ計画。重労働だが収穫量に応じた出来高払いなので一日で350豪ドル(≒3万円弱)は稼げると鼻息が荒い。


タスマニア島東海岸のスオンジ―付近のワイナリーの葡萄畑
 一般にフルーツの収穫時期は短期間なので効率的に農園から農園に移動する必要があり、移動手段(transportation)を確保するために最近中古車を買ったという。

将来の不安を抱える邦人カップル
 12月21日。ゲストハウスのキッチンで夕食を準備して邦人カップルと夕食。彼らも近隣のワイナリーの葡萄畑で働いている。

 葡萄の木の手入れは専門知識が必要だ。引退したワイナリーの職人が指導員としてワーホリの若者たちに技術指導している。老人達は作業シーズンの半年は指導員として働き、残りの半年はゴルフや釣り三昧の暮らし。セミリタイヤで豊かな老後を送れるオーストラリア社会が羨ましいとカップルは慨嘆。


葡萄園が広がる地域を走っているとワイナリーの看板に誘われる
 仕事場までの往復のため彼らは中古乗用車を購入。日本語ミニコミ誌やウェブサイトには中古車の売買広告が多数あるので日本人どうしで簡単に売買可能らしい。

 男性はイタリア語を学ぶためにイタリアの地方都市に三年留学。女性は貿易会社勤務を辞めてフランス語習得のためカナダ東部(フランス語圏)で2年ワーホリ経験。オーストラリアのワーホリは金銭面では魅力的だが、自分たちのキャリア形成には何の役にも立たないと将来への不安をのぞかせた。

ニュージーランドのカメラマン志望
 12月21日。ルームメイトの髭面青年はニュージーランド出身でカメラマン志望。政治家を被写体とするニュース写真、雑誌に載せる人物写真、個人の肖像写真などで小銭を稼いでいる。
旅行資金と生活費を稼ぐためにオーストラリアで農場仕事をしている。農場仕事は休日労働や早出・残業が不可避で体力的に厳しい。「その分稼ぎも良いけど、一生続けるのは御免だぜ」と苦笑いした。


ワイナリーのオーナー氏が自らワーホリの若者たちに作業方法を指導。白人系若者たちは半袖半ズボン姿で作業。シャルドネ、ソービ二オン・ブラン、ピノなど白ワイン用葡萄を栽培。品種毎に手入れ方法が異なりデリケートな仕事のよし。手前は若者たちが運転してきた中古車
 農場の監督の指示で夜明け前に車を運転して現場に到着。午前の仕事が一段落したら持参したサンドイッチをかじって昼食。そして日没後の午後8時過ぎまで休みなしの作業。ゲストハウスに戻ってキッチンで自炊して夕食。洗濯してシャワーを浴びて10時には就寝。繁忙期にはこうした生活が続くという。 

リンゴ園の日本人グループ
 12月22日。ロンセストンからジョージタウンを目指して北上。途中、道路沿いの果樹園で作業中の男子4人、女子5人の邦人グループを発見。

 リンゴの木の枝の剪定作業をグループで請け負ったとのこと。真夏の紫外線対策として、帽子を被りタオルやマスクで顔を隠し手袋をして長袖・長ズボンという重装備。

 脚立に登って剪定、降りて脚立の位置を動かす。また脚立に登って剪定。これを独楽鼠のように敏捷に繰り返す。私が声を掛けた女子以外は私を無視して一心不乱に作業に没頭していた。

旅先で意気投合した日本大好き台湾男女
 1月4日。タスマニア最大の都市ホバートのゲストハウスで台湾人男女と同室になった。女子はタスマニアの農場で2カ月箱詰め作業(packing)をやってきた。ワーホリ期間中も毎日台湾の両親に電話する孝行娘だ。アニメで覚えたという日本語は中々の水準。

 男子は台北でファミマの店長をしていた。キャンベラで大工の手伝いを半年やってタスマニアに来た。将来は日本でワーホリすることを熱望。

ワーホリで知り合った日韓カップル
 1月5日。隣の二段ベッドで起居しているスレンダー美人は中京圏のペットショップで働いていた。彼氏はフリーターの韓国男子。二人はパースで知り合い2年間一緒にワーホリしてきた。

 ホリデーはなくてワーキングばかりしてきたようだ。韓国男子は日本語が上手く、次は日本でワーホリすることを希望していた。


ネルソン山の山頂公園からホバート市街を望む
日本もワーホリ制度で先進国若者を受入れている
 日本は現在21カ国とワーホリ協定を締結している。オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、韓国、フランス、ドイツ、英国、アイルランド、ノルウェー、デンマーク、台湾、香港、ポーランド、ポルトガル、スロバキア。さらに2017年にハンガリー、スペイン、アルゼンチン、チェコ、チリと締結。

 政府統計によると2017年度の日本への受け入れ実績は約1万5千人。国別内訳は以下の通り:
韓国:5100人、台湾:4200人、フランス:1300人、オーストラリア:1200人、英国:900人、香港:700人、ドイツ:700人、カナダ:500人、デンマーク:200人。スペイン、ポーランド、フィンランドが100人前後。その他の国は50人未満となっている。

もっと先進国若者を短期労働者として招致できないか?
 世界各国を旅行していると『日本で働きながら長期滞在(半年から2年間くらい)したい』という希望を頻繁に聞く。先進国の若者で日本にワーホリ制度があることを知らないケースも散見される。

 日本の労働賃金水準はオーストラリアに比較すれば低いが、逆に文化・歴史・サブカルチャー・自然美・食べ物など総合力では日本の魅力はオーストラリアを凌駕している。もっとワーホリ受入れを日本は相手国にアピールすべきではないか。

 知人の若いカップルが経営している有機農法農園には常に数人の先進国の若者が住み込んで農作業を手伝っている。盆栽や植木職人見習いとして来日している外国人も多い。旅館、レストランなどの接客業でも応募者はいるのではないだろうか。

 先進国の若者が日本で働きたいというニーズと日本の人手不足をマッチングするような制度的仕組み(例えばワーホリ外国人専門の求人サイト)を拡充するとか、様々な工夫を凝らしてワーホリの来日人数を昨年実績の1万5000人から10万人程度に増やすことは日本社会にとりプラスになると思うがいかがであろうか。

⇒次回に続く

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